今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(第13回)参考資料2

科学技術に関する基本政策について(答申原案)― 関連部分等抜粋 ―

第11回総合科学技術会議基本政策専門調査会(平成22年11月17日)配布資料

4.基礎研究及び人材育成の強化

1.基本方針

 基礎研究の振興は、人類の新たな知の資産を創出するとともに、世界共通の課題を克服する鍵となる。また、基礎研究は、我が国の国力の源泉となる高い科学技術水準の維持、発展や、イノベーションによる新たな産業の創出や安全で豊かな国民生活を実現していくための基盤を成すものでもある。さらに、これらの基礎研究によって知のフロンティアを開拓するとともに、課題達成を進めていくのは、それに携わる人である。
 このような観点から、2(ローマ数字).及び3(ローマ数字).で掲げた国として取り組むべき重要課題への対応とともに、「車の両輪」として、長期的視野に立った基礎研究の推進と科学技術を担う人材の育成を一層強化していく必要がある。
 研究者の自由な発想に基づいて行われる基礎研究は、近年、イノベーションの源泉たるシーズを生み出すもの(多様性の苗床)として、また、広く新しい知的・文化的価値を創造し、直接的あるいは間接的に社会の発展に寄与するものとして、ますますその意義や重要性が高まっている。我が国の科学技術イノベーションの礎を確たるものとするためには、国として、独創的で多様な基礎研究を重視し、これを一層強力に推進していくことが不可欠であり、基礎研究の抜本的強化に向けた取組を進める。
 また、我が国としては、科学技術イノベーションの推進を担う多様な人材を、中長期的な視点から、戦略的に育成、支援していく必要がある。特に、近年、あらゆる活動がグローバルに展開される中、人材の国際的な獲得競争は一層激化しており、国をあげて科学技術イノベーションを強力に推進する観点から、優れた人材の育成及び確保に関する取組を強化する。
 さらに、我が国が、世界のトップクラスの人材を国内外から惹き付け、世界の活力と一体となった研究開発を推進していくためには、優れた研究施設及び設備、研究開発環境の整備を進める必要がある。このため、国際水準の研究環境及び研究基盤の形成を一層促進する。

2.基礎研究の抜本的強化

(1)独創的で多様な基礎研究の強化
 基礎研究は、研究者の知的好奇心や探究心に根ざし、その自発性、独創性に基づいて行われるものである。その成果は、人類共通の知的資産の創造や重厚な知の蓄積の形成につながり、ひいては我が国の豊かさや国力の源泉ともなるものである。このような独創的で多様な研究を広範かつ継続的に推進するための取組を強化する。
<推進方策>
 国は、研究者の自由な発想に基づいて行われる基礎研究を支援するとともに、学問的な多様性と継続性を保持し、知的活動の苗床を確保するため、大学運営に必要な基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設整備費補助金、私学助成)を充実する。
(略)

(2)世界トップレベルの基礎研究の強化
 国内外の優れた研究者を惹きつけ、世界最先端の研究開発を推進するとともに、国際的に高く評価される研究をさらに伸ばすためには、国際研究ネットワークのハブとなり得る研究拠点を形成する必要がある。このため、世界トップレベルの研究活動、教育活動を行う拠点の形成に向け、大学運営の改革と強化を促進する取組等を進めるとともに、海外から優れた研究者や学生を獲得し、受入を促進するための環境整備を進める。
<推進方策>
(略)
・国は、大学や公的研究機関において、海外の優れた研究者や学生の受入を促進するため、フェローシップ(研究奨励金)や奨学金等の支援体制の充実、再任可能な3年以上の契約、出入国管理制度上の措置の検討、家族の生活環境を含む周辺自治体や地の国際化に向けた環境整備の支援を行う。また、「留学生30万人計画」に基づき、優秀な留学生の戦略的な獲得に向けた総合的取組を進める。
(略)

3.科学技術を担う人材の育成

(2)独創的で優れた研究者の養成
 2 研究者のキャリアパスの整備
 優れた研究者を養成するためには、若手研究者のポストの確保とともに、そのキャリアパスの整備を進めていく必要がある。その際、研究者が多様な研究環境で経験を積み、人的ネットワークや研究者としての視野を広げるためにも、研究者の流動性向上を図ることが重要である。一方、流動性向上の取組が、若手研究者の意欲を失わせている面もあると指摘されており、研究者にとって、安定的でありながら、一定の流動性が確保されるようなキャリアパスの整備を進める。
<推進方策>
(略)
・国は、競争的に選考された優れた若手研究者が、自ら希望する場で自立して研究に専念できる環境を構築するため、フェローシップや研究費等の支援を大幅に強化する。
(略)

4.国際水準の研究環境及び基盤の形成

(1)大学及び公的研究機関における研究開発環境の整備
 1 大学の施設及び設備の整備
 大学が、高度化、多様化する教育研究活動に対応し、優れた人材を惹き付けるとともに、国際競争力の強化、産学連携の推進、地域貢献、さらには国際化を推進するためには、十分な機能を持つ質の高い施設や設備を整備する必要がある。大学の施設及び設備の整備は着実に進捗しているが、財政事情の厳しい中、計画的整備や維持管理に支障が生じており、施設及び設備の整備や高度化、安定的な運用確保に向けた取組を促進する。
<推進方策>
国は、国立大学法人(大学共同利用機関法人及び国立高等専門学校を含む。)において重点的に整備すべき施設等に関する国立大学法人全体の施設整備計画を策定し、安定的、継続的な整備が可能となるよう支援の充実を図る。
国は、国立大学法人が、長期的視野に立ったキャンパス全体の整備計画を策定するとともに、施設マネジメントを一層推進するよう求める。また、寄付や自己収入、長期借入金、PFIなど、多様な財源を活用した施設整備を進めることを期待する。国は、税制上の優遇措置のあり方の検討を含め、これを支援するための取組を進める。また、私立大学における施設及び設備の整備に係る支援を充実する。
(略)

5.社会とともに創り進める政策の展開

1.基本方針

(略)
 さらに、第4期基本計画の目標達成に向けて、科学技術イノベーション政策を着実に実行していくためには、研究開発投資の十分な確保が不可欠である。諸外国が科学技術投資を一層強化する中、我が国唯一の資源とも言うべき科学技術イノベーションの競争力を高め、国際的地位を保持し続けていくためにも、国民の広範な理解と支持と信頼を得て、研究開発投資の一層の拡充を図る。

4.研究開発投資の拡充

 天然資源に乏しく、少子高齢化の進展や人口減少が見込まれる我が国にとって、科学技術、そしてそれに基づくイノベーションは、将来に向けた唯一とも言うべき競争力の源泉であり、その意味で我が国の生命線といってもよい。このような観点から、我が国ではこれまで、基本計画において研究開発投資の拡充に向けた目標額を掲げ、政府一体となって科学技術への取組を強化してきた。これにより、第2期及び第3期基本計画に関しては目標額には至らなかったものの、国のGDPが伸び悩む中、他の政策経費に比べて、科学技術関係経費の増額が図られてきたことは高く評価される。
 しかし、近年、先進国に加えて、中国をはじめとする新興国が科学技術に関する投資の大幅な拡充を進め、国をあげて、その発展を図っており、科学技術においても、我が国の相対的地位が将来的に低下していくことが強く懸念される。このため、我が国として、第4期基本計画で掲げる政策を着実に実行し、科学技術先進国としての地位を保持するとともに、各国との協調、協力の下、地球規模の課題解決など科学技術イノベーションで世界に貢献していくためには、これらを支える研究開発投資の目標を明確に設定した上で、投資を拡充していくことが不可欠である。
 その際には、我が国の政府負担研究費割合が諸外国に比して低水準であること、民間企業の研究開発投資が厳しい状況にある中、政府の研究開発投資が呼び水となり、民間投資が促進される相乗効果が期待されること、諸外国が投資を拡充するための指標として対GDP比を掲げていること等を総合的に勘案し、目標を設定することとする。
<推進方策>
・国は、2020年度までに、官民合わせた研究開発投資を対GDP比4%以上にする。
・(P)国は、政府研究開発投資を対GDP比○%にする。(※ なお、記述の仕方については、答申までの間に引き続き検討。)
(略)

(参考)第4期科学技術基本計画策定に向けた今後の検討スケジュール

平成22年12月15日 総合科学技術会議 基本政策専門調査会
平成22年12月下旬  総合科学技術会議(決定、答申)
平成23年3月 閣議決定

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