今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議におけるこれまでの主な意見

目指すべき姿

○イノベーションを起こすために、情報インフラの整備も重要。

○抽象的な表現が多く、各大学のキャンパス計画に取り入れようとしたとき、具体的な対応策がわかりにくい。既存施設で対応するものと、新設により対応するものとを、切り分けて記載したほうがわかりやすいのではないか。

○「産学連携」と「地域・社会との共生」は質が違うので、これらを1つにまとめるのはどうか。従来通り、分けてあるほうがいいのではないか。

○国際化について、例えば、EU では大学間のネットワークが大きな変化としてあらわれており、海外大学との連携・大学間のネットワークの整備が重要となっているが、日本はネットワークに参加するための環境が整備されていない。いかに参加し、世界に貢献していくかの視点も加えることが必要。

○キャンパス環境について、子育てや災害時の避難所としての役割等、社会的責任も大学に求められているものの1つである。地域の中で大学が担うべき役割に加えるべきではないか。

○環境問題への貢献について、老朽化した施設及び基幹設備の改善も記述した方がいいのではないか。

○次の計画では、「エネルギー」をキーワードとして入れるべきではないか。

○施設整備に投資することへの国民の理解が必要。耐震化については理解がえられやすいが、次のステップに行くためには明確なコンセプトの打ち出しが重要。地域連携とエコは一つのキーワードとなるかもしれない。

○施設の目指すべき姿とあるが、最終的にどういった施設があるべきか、質の水準や整備手法等もう少しブレイクダウンして議論しないといけないのではないか。

○地方における高専の役割というものはとても大きい。また、地域のNPOとの連携も大切だと思うので、これらの点についても記述してはいかがか。

○グローバル化された世界の中で日本が生き残るためには、大学の果たす役割は重要であり、国際的な知の交流拠点となるような打ち出しが必要ではないか。

「国際競争に勝ち抜く」ということも大事だと思うが、大学には平和構築や経済的な連携を通じて世界をよくしていくなど、国際社会に貢献するという役割もあり、世界の中で日本が生き残るためには、「知の発信」ではなくて、「知の交流」の拠点というような要素が重要なのではないか。

国と国立大学法人等の役割

○政策的課題への対応として行う部分と大学の個々の構想に基づき行う部分にメリハリがあってもいいのではないか。

○スペースの有効活用など施設マネジメントは進んできているが、更に進める必要がある。

○施設整備は国が措置するという原則は、どこまでの範囲のことを言っているのか。各大学では、国の整備に頼るというより、自助努力による整備にかなり意識が向かっている。

○国と国立大学法人等の役割は、相互依存の関係にある。それぞれの役割を明確化した上で、それをシンクロナイズするための具体的な実施方策を検討することが必要なのではないか。

○役割分担については、国と大学のそれぞれでPDCAサイクルを踏まえてもう少しわかりやすく整理した方がいいのではないか。その中で、国と各大学の目標がそれぞれ進められ、相互関連が出てくるというのが明確になるのではないか。

○国と国立大学法人等との役割分担として、例えばどのような施設について大学の自己収入で整備が可能なのかメッセージを出す必要がある。また、そのような整備のグッドプラクティスを示すことも必要ではないか。

諸外国の状況

○世界最高水準の教育研究を行うための施設を考えるうえで、海外大学の施設の状況や予算制度、長期計画を実現するための方策について、どのようになっているのか。
海外の大学の機能別(施設種別)毎の予算までわかるといいが。

○学生宿舎の充実はこれからの課題だと考えている。海外の大学の学生宿舎の整備状況がわからないか。

○附属病院については、アメリカ以外の例も調べてほしい。医療制度そのものの問題だが、今の診療報酬制度で施設整備費までまかなえるようになっているかは疑問。

○英国では、大学の建設ラッシュになっており、施設の売買も大学が意思決定できる。

○アメリカでは、教育・研究環境上の安全性も含めて、地域全体の安全性を高め、大学キャンパスが地域の財という意識がある。

施設整備に係る費用

○試算にある維持管理費は十分な費用か。私大では倍以上かけているようであり、メンテナンスにはもっと費用が必要ではないか。

○維持管理費の不足分は外部資金で補うような状況になるが、現実的に厳しいのではないか。

○建物を持つためにいくらかかっているのか明確になっていない。多大な財源が必要なことをアピールすべき。

○施設は時間が経つと老朽化するため、老朽再生のためにどれくらいの投資が必要かマクロ的な試算が必要。(基本的な性能維持のための費用と機能向上のための費用を分けて)

○横浜国立大学の点検調査結果一覧表のように、まずは現状を把握することが大事ではないか。また、横浜国立大学の資料にあったLCC表のようなものが各国立大学法人等でできないか。

○いろいろな前提をおいて試算していると思うので、中身を分ける等さらに充実させる必要があるのではないか。

○建物の質の確保とコスト削減の両立が可能な方策が必要である。

推計で毎年2,200 億円必要とあるが、予算額の推移を見ていると、ここ数年はほとんどクリアしておらず、毎年何百億分のマイナスが蓄積している。予算が増えないのであれば、保有施設を減らすしかなく、危機的な状況である。

中長期的な整備の方策

(ベンチマークや新たな指標の検討)

○25年で老朽化という基準はわかりやすいが、国民の理解を得るために大学の教育研究活動に必要な機能の明確化、施設の質的な基準が必要。

○狭隘化について、耐震化のIs 値のような指標はあるのか。

○マネジメントを進めるにあたり、目標値をどう設定するか。様々なベンチマークの手法があるが、ベンチマークを設定するのであればどこが担うのか。国立大学法人が相互で協力し合っていくのが望ましく、国立大学法人の横の繋がりという観点が抜けている。

○キャンパス計画のスタンダードやIs値だけではなく快適性等を示す新たな指標、ベンチマーキングは国として示した方がいいのではないか。

○PDCAサイクルを考えることや、新たな指標は重要である。老朽度だけではなく大学の役割も踏まえた指標を検討することが必要ではないか。

(キャンパスマスタープラン)

○良い研究者、良い学生、そして運営資金をどれだけ集め、既存の施設や資産をマネジメントしていくかの学内コンセンサスを形成することがキャンパスマスタープラン策定の大きな目的であり、そのために何をするのかを戦略的に考え、示している。

○キャンパスマスタープランは、必ずしも先端的な戦略だけでなく、ベースとなる水準を整備するということが大前提となっている。各大学で、キャンパスマスタープランを作成した方がいいが、大学の規模等によっては整理の方法がわからない場合もある。キャンパス計画のスタンダードみたいなものをいくつか示す必要があるのではないか。

○キャンパスには、自然環境が豊かな大学と都市の中にある大学の2つのタイプがあり、各大学の状況に応じて施設をいかにマネジメントしていくかが重要。

(大学マネジメント)

○長期借入金による整備を実施するためには経営判断が必要だが、各大学で判断していいのか。専門性が必要であり、特に大学の規模によっては、今の組織では厳しいのではないか。大学の規模等によって支援の方法が異なるのではないか。

○各大学の多様な考えと国の整備の考えをどのように整理するか。各大学の独自性をどのように確保していくかについて整理する必要があるのではないか。

○今後は、大学が個々のキャンパス計画をしっかりと持つ必要があり、一方、国は国としての方針があり、それが密接に融合しつつ財政的な支援がなされていくという将来の姿がある。そこに至るまでに整理しなければいけない事項もあり、時間的な段階をわけて整理するとわかりやすくなるのではないか。

フランスのような計画的な整備を日本で行う場合、誰が推進するのか。施設のマネジメントや安全に関する部分を誰がするのか。

単科大学などでは、施設担当職員が少なく負担が大きいため、人材のコンソーシアムのようなものを組織し、複数の大学についてやっていくなど、工夫が必要ではないか。

寄附を受け入れる体制も各大学においてきちんと整備する必要がある。

(予算・財務関連)

○法人化のメリットを活かし、様々なファンドと国の支援の組み合わせによる整備ができないか。

○大学の構想と政策的な対応とは、違う概念であり、ファンディングが違えば一番いいのだが、同じ財源でどう割り振るかが課題ではないか。

○計画的なキャンパス整備のために、安定的な予算を確保することが重要。安定的な財源がある場合とない場合でキャンパス整備に与える影響がどう異なるのか、どのような影響が出るのか整理することが必要。

現在の予算システムを変更するのは難しいと思うが、施設維持管理のための別枠を設けるようなことはできないか。

多様化・高度化する施設において、いかに利用者にきちんと教育していくか、メンテナンスを図るか、施設を守る部分にも費用を配分していく必要があるのではないか。

(重点的な施設整備)

過去の蓄積(研究や教育)のアーカイブ化や、現在の情報社会に適応した図書館等、学術の基盤をきちんと整えるといった記述もあるといいのではないか。

何が重点なのかというのを、少しニュアンスを出して入れておくと文章がピリッとするのではないか。

世界最先端という話と、全体の底上げという2つの話とが混じっている。どちらを目指しているのか。両方となると、総花的になってしまうというようなジレンマがあると思うので、プルトップの部分とボトムアップの部分というのは、ある程度書き分けたほうがいいのではないか。

(その他)

○法人化に伴い労働安全衛生法への対応が必要となり、安全な労働環境を確保するための費用確保に苦慮。ソフト面も絡むが、給排気設備等の整備、避難経路の確保、ボンベの集中管理等により安全なキャンパスをつくるための設備が不足しているところは多々あり、長期的な視点で検討してほしい。

○外部資金を受け入れやすい環境の整備(税制改正など)が重要。また、日本企業の寄附の大部分がアメリカに流れている。アメリカに寄附することの税制面のメリットは余りなく、日本が危機的な状況にあることを訴えるべき。

○施設整備に関しては、憲法的なものがあるのか。それを改正することで自由度が広がるということはないか。

○法人化時の議論で、「施設費は国が原則的に措置する」とされており、この原則の中で国と国立大学法人等との役割を考えることになる。自己収入による整備ばかりに頼っていると、その原則が壊れてしまうので、非常に心配している。

○法人化後、大学には安全の確保や管理のためのスペースが重要になってきている。
安全という面とその管理をするという観点からキャンパスをどのように考えているのか。

○附属病院では、教育・研究・診療を行っており、キャッシュフローで半数が赤字となっている。臨床医学の論文数は主要国は増加しているのに対し、日本は法人化後に減少するなど、国際競争力が低下している。借入金の返済のため、診療時間の増加による研究時間の減少が原因の一つである。財政投融資と1割の国費では、苦しい状況であり、民間に比べると負担が大きい。弾力的な対応ができないか。

○学生と教職員の健康もきちんと見る必要があり、労安法による作業環境の確認もあり産業医をお願いしたりしている。その際、附属病院の役割も大切であり、適切な支援が必要ではないか。

○昨今の経済状況では、産学連携による民間からの相応の規模の資金提供は厳しい状況。資金面だけではなく、企業が持っている特殊な研究施設などを活用するなど多様な連携が必要ではないか。

○日本では、基幹技術が徐々になくなってきている。それぞれの大学で大きな設備の整備はなかなかできない状況だが、拠点として整備していくことは重要。

少子高齢化の視点が、とりまとめの中でほとんど議論されていないところが少し気になる。日本が直面している構造変化を踏まえたとき、きちんと押さえておく必要があるのではないか。

少子化の影響は、次期5 か年ではそれほど顕著に出てこないと思うが、その次の5か年ではものすごくそれは大きく響いてくると思うので、その辺の頭出しをどう意識するのかというのは非常に大事なのではないか。

アジア全体にどう貢献するかということを考えたとき、アジアの中で日本はどう振る舞うべきなのかという視点も、次の次の5 か年ではものすごく重要になるだろう。

※下線は、前回会議時での主な意見

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大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

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