今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(第15回) 議事要旨

1.日時

平成23年7月6日(水曜日)10時から12時まで

2.場所

学術総合センター1階 特別会議室101(東京都千代田区一ツ橋2丁目1番2号)

3.議題

  1. 東日本大震災を踏まえた見直しの方向性
  2. その他

4.出席者

委員

勝方委員、木村委員(主査)、小澤委員、小林委員、小松委員、杉山委員(副主査)、豊田委員、中西委員、深見委員、山重委員、吉田委員

文部科学省

岡技術参事官、山下計画課長、藤井計画課整備計画室長、齋藤参事官(技術担当) 他

5.議事要旨

 事務局より、配布資料について確認のあと、資料1により本調査研究協力者会議の実施期間を延長する旨、説明。

(1)東日本大震災を踏まえた見直しの方向性

事務局より、資料2、参考資料2~7について説明。

<主な意見等>(○:協力者、●:事務局)

○ 耐震化については以前から一定の基準で底上げを図っているが、大学病院のように地域の防災上非常に重要な施設は、もっと上位の耐震性能を目指したり、災害時の想定シナリオを作った上で、エネルギー供給の面も含めて対策を考えておくべきではないか。どの施設を優先させ、どの程度の耐震性能を確保させるか、重点化することも重要。

○ 国立大学は、災害時においても地域の知の拠点としての役割を果たすことが期待されており、地域貢献の視点についても、震災を踏まえた見直しをするべきではないか。

○ 地震に限らず様々な災害を想定し、長期的な視点で対策を考えるべきではないか。

○ 国立大学は法人化前のシステムを引きずり、特にトップダウンによる組織的な安全対策が遅れている印象がある。環境安全や防災については、トップダウンで組織を動かして対応していくべきである。

○ 大学は企業とともに産業を発展させており、病院等を含めて非常時にも多くの貢献をしているのだから、電力需給が逼迫している状況下で、大学が単に研究活動だけをしていて電力を大量消費しているといった見方をされないよう、地域における大学の重要性をもっとアピールする必要がある。

○ 各国立大学法人等が単独で予算を確保して事業を実施していくには限界があるため、各法人の動きをサポートするようなマネジメント組織があっても良いのではないか。例えば、米国では大学でも行政でもないファンドを形成する手法が多く見られる。

○ 今般の震災で、これまでの耐震基準で耐震化してきた成果の検証についてどうするか。また、国立大学は高台にあることが多いが、津波対策についてどう減災を図っていくか考えるべきではないか。

● 今回の地震は震源が陸地から遠かったこともあり、耐震補強済みの学校施設への被害はそれほど多くなかったと言われているが、現在、日本建築学会の協力なども得ながら学校施設の被災度判定等を行っているところで、全体の状況を把握できるのは年度末となる見込み。津波対策については、ソフトとハードを組み合わせて減災を図るという全体のフレームの中で、施設の対策を考えることになる。

○ 東北地方の大学の中でも、東北大学の被害だけが突出していると聞いたが、理由は何か。

● 東北大学の中でも被害の大きかった青葉山キャンパスでは、地震波の周期と地盤の固有周期が一致してしまい、共振によって揺れが増幅したため、多くの建物被害が生じたのではないかと考えている。

○ 大型の実験装置の据付けは各研究室任せになっている部分があり、統一基準のようなものがあっても良いのではないか。

● 国立大学法人等の建物自体の耐震化は進捗してきているが、非構造部材の耐震対策はもとより、実験設備の固定などの基本的な防災対策の充実、検証の必要があると言われている。

○ 電力の需給問題について。大学が構内で使う電力は自分で賄う、というような仕組みはできないか。大学のキャンパスには建物も人もたくさんあり、都市のシミュレーションとしてエネルギー対策の先導的な取組を実験的に行うことは、地域貢献になるのではないか。

● 幾つかの国立大学において、NAS電池等を活用して停電時や非常時の電力を確保する動きがあると聞いており、蓄電して夏のピークカット時に活用する方法も検討していると聞いている。

○ 今後、電力会社が電気料金を値上げすれば、自然エネルギーだけではなく、LNGなどを使う自家発電でも長期的には有利になる素地ができるのではないか。

● 今回の報告書案では、老朽施設の改善による省エネルギー化に加え、大学が社会の実験場、フロントランナーとしての取組を進めるという視点についても触れており、財政的には厳しいが、国家的な研究開発と相まって取り組むことは重要であると考えている。

○ 実験的な取組はイニシャルコストが高いが、研究プロジェクトとして多額の研究費を投下して実施することは良いと思う。

○ 震災によって、幾つかの大学や研究所、研究者の保有する研究資産が失われ、保管に当たってはバックアップや共有化を行うなど仕組みも重要であるため、研究環境という意味のサスティナビリティの視点を入れた方が良いのではないか。

○ 何度か被災地の小中学校を見てきたが、学校と地域の関係がコミュニティの核となっており、学校づくりは町づくり、地域づくりそのものであると実感。大学も地域との新しい関係を構築していくべきである。

○ 学校と地域の関係が鮮明になってきているが、大学や高等教育界が総合的に関わっている姿が余り見えないように思う。個々の研究者等は現地でよくがんばっておられる。

○ 今般の震災において大学病院はかなりの貢献をしており、震災直後の困難な状況の中、震災発生翌日には日本全国の大学が東北大学や岩手医科大学等へ緊急物資を届け、何とか病院機能を維持した。日常的なネットワークが機能した結果、自主的な相互支援が実現したと思うが、国民に伝わっていないのが残念であり、もっとアピールしなければならない。

○ 報告書として取りまとめるに当たって、これまでの検討内容と、震災を踏まえた新たな視点をどのように配置するか。

● これまで検討してきた報告書(案)に溶け込ませるような形を考えていたが、本日の御意見を踏まえ、検討したい。

○ 大学病院については、震災を受けた病院だけでなく、他の病院にも言えることなので、溶け込ませて良いと思う。

○ 日本全体に言える内容は溶け込ませ、特に防災に絡む内容は記述を補強するのが良いのではないか。また、東北や関東地方の被害については、追補的に書くような書き分けもできるのではないか。

追加の意見、本日欠席の協力者からの意見がある場合は、7月13日(水曜日)までに事務局へ連絡することとなった。

(2)その他

事務局より、参考資料8、資料3について説明。

<主な意見等>(○:協力者、●:事務局)

○ 第2次5か年計画の進捗について、ここまで進むとは思わなかったが、大学の努力のお陰でもある。

○ 大学病院が投じている自己財源についても明記するべきではないか。

● 大学が附属病院の施設整備へ投じている金額については、次回会議で報告したい。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)