平成21年6月9日(火曜日)10時から12時まで
文部科学省16F特別会議室
木村委員(主査),杉山委員(副主査),勝方委員,唐木委員,小林委員,小松委員,中西委員,深見委員,山重委員,山本委員,吉田委員
布村文教施設企画部長,岡技術参事官,小川計画課長,山﨑計画課整備計画室長,平井参事官,藤原会計課長 ほか
新保国立教育政策研究所文教施設研究センター長
○新たな指標の開発については、とても期待している。今までIs値と老朽化だけだったが、これで何かいい指標が出れば、施設の状況も随分変わるのではないか。
○大学が法人化して、一番困っているのが環境・安全・衛生であり、会社の研究所と比べて特に遅れている。例えば、ボンベの集中管理等により安全なキャンパスをつくる、避難経路を確保する、大学から有害物質を出さないようモニターする等ソフト面も絡むが、設備が不足しているところは多々あり、長期的な視点で検討してほしい。
●安全については、法人化前に調査を行い、法律上の最低限はクリアしていると認識している。実験の安全点検マニュアルのようなものの検討を予定しており、新たな大学の中の取り組みを進める方法としていきたい。
○老朽施設の改修や改築の費用だけでも推計で毎年2,200億円必要とあるが、予算額の推移を見ていると、ここ数年はほとんどそれをクリアしていない。毎年何百億分のマイナスが蓄積していっているという状況がまず根本的な問題としてあり、もし予算が増えないのであれば、これは保有施設を減らすしかない。それぐらい危機的な状況である。
○現在の予算システムを変更するのは難しいと思うが、施設維持管理のための別枠を設けるようなことはできないか。
○「国際競争に勝ち抜く」ということも大事だと思うが、大学には平和構築や経済的な連携を通じて世界をよくしていくなど、国際社会に貢献するという役割もあり、世界の中で日本が生き残るためには、「知の発信」ではなくて、「知の交流」の拠点というような要素が重要なのではないか。
○世界の状況を見ると、英国のハイエデュケーションに関するホワイトペーパーでは、高等教育に参入する者が増えれば、それは英国の国際競争力に直接つながるというような記述がある。オーストラリアでは、教育予算をものすごく増やそうとしており、日本で言う国大協のようなところが、大学改革が絶対必要だという前提のもと、高等教育に対する支出を増やせば、何十年後にはGDPがどのぐらい増えるというような詳細な計算をしている。
○多様化・高度化する施設において、いかに利用者にきちんと教育していくか、メンテナンスを図るか、施設を守る部分にも費用を配分していく必要があるのではないか。
○「重点的な整備が必要な課題」と、「国家的政策課題や社会的要請」とがあるが、内容的に重なりがあるのではないか。重点的といっているものは大概、国家的政策課題や社会的要請への機動的な対応で、安全・安心とか地球環境というのが、まさに国家的な政策課題であり社会的要請である気がする。全体の構成を考えたとき、それらの分類についてがよくわからない。
●5年間の中長期的な計画であり、その年々の社会的要請にも機動的に対応できるよう、このような分類としている。
○教育研究をするためには学術的な基盤がきちんとしていなければいけない。例えば、過去の蓄積(研究や教育)のアーカイブ化や、現在の情報社会に適応した図書館等、学術の基盤をきちんと整えるといった記述もあるといいのではないか。
○何が重点なのかというのを、少しニュアンスを出して入れておくと文章がピリッとするのではないか。
○フランスのような計画的な整備を日本で行う場合、誰が推進するのか。施設のマネジメントや安全に関する部分を誰がするのか。学長などにやれと言われても、教員は専門が異なる素人であり、3、4年という任期もある。それをするのが施設担当の職員だと思うが、予算も権限もあまり与えられておらず、全体の中のポジションはそうハイレベルのところにあるわけではないとい。ここが、非常に問題であると思う。
○単科大学などでは、施設担当職員が少なく負担が大きいため、人材のコンソーシアムのようなものを組織し、複数の大学についてやっていくなど、工夫が必要ではないか。
○寄附を受け入れる体制も各大学においてきちんと整備する必要がある。
○施設マネジメントのクオリティを守るため、維持管理は一番重要である。ここで出ている維持管理費はどれぐらいの水準にあるのか。
○世界の主要大学との施設水準の比較は、慎重にやる必要があるのではないか。
●多くの大学では維持管理費が足りない中、今ある範囲で使ったらこういう状態であったという数字である。国立大学と比較して、私学は少ない施設をお金をかけて使っているということが言える。
○交付金の積算の基礎との対応関係は、できないのか。
●それほど大きなずれはなく、大学によってばらつきがあるが、平均的な数字をつかんでいく上では、それほど大きな違いではない。限られたお金の中では、それ以上使いようがなかったのではないか。
○世界最先端という話と、全体の底上げという2つの話とが混じっている。どちらを目指しているのか。両方となると、総花的になってしまうというようなジレンマがあると思うので、プルトップの部分とボトムアップの部分というのは、ある程度書き分けたほうがいいのではないか。
○少子高齢化の視点が、とりまとめの中でほとんど議論されていないところが少し気になる。日本が直面している構造変化を踏まえたとき、きちんと押さえておく必要があるのではないか。
○少子化の影響は、次期5か年ではそれほど顕著に出てこないと思うが、その次の5か年ではものすごくそれは大きく響いてくると思うので、その辺の頭出しをどう意識するのかというのは非常に大事なのではないか。
○アジア全体にどう貢献するかということを考えたとき、アジアの中で日本はどう振る舞うべきなのかという視点も、次の次の5か年ではものすごく重要になるだろう。
○事務局より資料4に基づき、今後のスケジュールについて説明。
大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室