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学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議

2003年12月17日 議事録
学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

【日   時】   平成15年12月17日(水)   10:00〜12:00
【場   所】   文部科学省分館   601号会議室

【出席者】  
[協力者]   浅田稔、荒木喜久子、上野淳、江崎安幸、古瀬敏、澤野由紀子、園田眞理子、橋儀平、千田捷熙、成田幸夫、野村みどり、柳澤要(敬称略)
[事務局] 大島施設企画課長、平井企画調整官、笠原文教施設環境対策専門官、木村防災推進係長、内藤特別支援教育企画官(初等中等教育局特別支援教育課)他

【資   料】
資料1     学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第4回)議事録(案)
資料2-1   現地調査報告(第5回)
資料2-2   現地調査報告(海外調査)
資料3   報告書素案

参考1   「JIS案内用図記号JISZ8210」(抜粋)
参考2   報告書フレーム(案)の構成イメージ
参考3   学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究スケジュール(案)

【会議概要】
(1)開会
(2)議事
(3)閉会

【議  事】
(1)    事務局より資料1〜3、参考1〜3について説明。併せて、第4回会議議事録の内容確認。

(2)    現地調査報告
報告1 川崎市立西生田小学校
   広々とした廊下、わかりやすい空間構成、車いすであらゆる場所にアクセス可能な計画である。
   各階に障害者用トイレを設置している。
   障害児学級におけるトイレについて、補助具の高さ調節が可能であることが望ましい。
   広々とした廊下は、学習スペースとしても利用している。
   教室、体育館等の出入口の扉は吊り下げ式を採用し、床にレールがなくフラットである。ただし、留め金部分の破損等の危険性がある。
   あらゆる場所にスロープを設置している。車いすでアクセスできる計画だが、動線が長い場所がある。
   エレベーターは、心筋性疾患の児童やけがをした児童等だけが利用する。設置場所が校舎の端であり、動線が長くなる場合があるため検討の余地がある。

報告2 東京都立科学技術高等学校
   校内にペデストリアンデッキや屋上庭園を設置している。
   屋外への出入口はほとんど段差がない。
   施設内のあらゆる場所に視覚障害者誘導用ブロックを敷設する必要はないのではないか。
   車いす使用者用トイレは、一般のトイレとは別の場所に設置され、施錠されていた。一般トイレと一体となった設計が望ましい。
   東京都立科学技術高等学校では、必要性の有無に関わらず2段に手すりを設置するなど、過剰なバリアフリー化が見られる。
   吊り下げ式ドアについて、レールの段差解消という利点はあるが、破損しやすく少々過剰といえる。
   学校施設のバリアフリー化については、必要性を考慮し、個別によく検討する必要がある。
   
   川崎市立西生田小学校は、明確な空間計画(単純なプラン)及びオープンスペースを計画する等バリアフリー化を徹底している。

報告3 海外視察(スウェーデン及びデンマーク)
   スウェーデン及びデンマークは生涯学習の分野において先進的である。全ての人のための学習機会を保障している。
   スウェーデンでは、2002年から聴覚障害児以外の児童生徒は全て一般校で受け入れる制度である。デンマークでは、障害のある児童生徒の希望があれば一般校で受け入れ可能である。
   北欧では、建築を専攻する学生等にユニバーサルデザインの教育を進めている。
   
   スウェーデンの高校に設置されていた簡易なEVは日本の建築基準法に適合しうるのか。
   
   建築基準法施行令において構造規定があり、適合しない。
   
   このような簡易なEVは段差解消機の幅広なものである。
   
   大阪府の府立学校において、EVが設置されている学校数は全体の1/3程度である。住宅用に開発されたEVは、一般のものより設置コストが1/2程度であり、工期短縮も可能であるため、学校施設での採用も考えられる。
   
   海外ではかごに扉のないタイプのEVを用いているが、安全性に対する感覚が日本とは異なる。
   
   給食の配膳等、使用目的にもよるが、6〜9人乗りでは少々小さいだろう。
   
   デンマークの学校では、90度方向に扉が開くEVを後付で設置するなど、車いす使用者のためのアクセシビリティを確保するために工夫している。
   スウェーデンでは、全盲の児童生徒も一般校で受けいれている。施策及び強い意志により実行できるのであろう。
   スウェーデン及びデンマークでは、車いす使用者等のアクセシビリティについて、多大に配慮している。

(3)    事務局より資料3について説明。
   バリアフリー化を通して学校がどうあるべきか、また、現代におけるバリアフリー化の必要性等の理念を明記する必要がある。
   今回の指針では、バリアフリー化の推進について基本的には検討をし、ユニバーサルデザインの考え方については部分的にふれる、というように最初に明記した方がよい。
   
   学校施設は地域の全ての人の財産であり、みんなが利用できるようバリアフリー化を図ることが重要であることを明記する。
   第2章ユニバーサルデザインと第3章との兼ね合いについて、議論をする必要がある。
   
   機能的な事項だけではなく、ゆとり等の心理的な事項についても盛り込むことが望ましいのではないか。
   技術的なことに固執し、過剰な設備を設置すると、かえって冷たく単純化する。心理的な面についても配慮することが望ましい。
   
   ユニバーサルデザインの定義においては、障害者と健常者というように二分化しないよう、「障害の〜」を意識的に用いず、「能力の違い」としている。
   ユニバーサルデザインの考え方について、北欧では1970年頃から認識されているが、日本ではハートビル法改正以後認識され始めた。従って、だれもが利用できることを本来の意図とするが、現実的に考えてバリアフリー化を推進することが適当だろう。
   
   改修はバリアフリー化、新築・改築はユニバーサルデザインを採用するなど、方針を示した方がよいのではないか。
   
   適切なガイドラインを示すことにより、全ての人が利用できるものになっていく可能性は高い。
   理念を最初に提示することは重要である。
   
   3万5千校の学校に対してどのような施策を展開していくか、難しい。
   
   既存の学校施設において、いかにバリアフリー化を図っていくかがポイントとなる。
   
   知的障害(情緒障害等)児のパニック症状を沈静させるために小さな部屋を設置する等、快適性を確保することが有効である。

(4)    事務局より第3章について説明。
   「適切な整備水準」をどうするのか、理念も含めて議論した方がよい。
   「適切な整備水準」と3段階の振り分け方との関係性が不明である。また、どこまでをどの段階に振り分けるか、曖昧である。
   
   新築は必須で、既存の場合は改修してでも設置する必要があるかどうか等、基準を設定する必要がある。
   
   事務局と調整し、それをたたき台として次回会議で議論する。
   
   標準案内用図記号を実際に使用している学校では、知的障害児学級等において遊びに組み入れ、普及している。
   基本的なことだけを取り入れ、後から付加できるような仕組みが最終的には合理的であり、望ましい。
   
   安全性を確保するなど、基本的なことは必要最低限設置するものとし、利便性を追求するものについては各学校施設において可能な範囲で設置または工夫することが望ましい。
   
   アメリカの設計標準では、安全性と利便性を備えることが前提である。
   学校施設の利用者は特定多数である。地域開放時(不特定多数)の一部分の人のために、必要性の有無に関わらず、視覚障害者誘導用ブロックを敷設する等、その他の人の安全を危ぶむことは望ましくない。

(5)    その他
   第6回会議は1月14日(水)14:00〜16:30で仮決定している。





(大臣官房文教施設部施設企画課)

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