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学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議

2003年11月18日 議事録
学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第4回)議事録

学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第4回)議事録

【日   時】   平成15年11月18日(火)   10:00〜12:00
【場   所】   経済産業省別館   827号会議室

【出席者】  
[協力者]   上野淳、江崎安幸、工藤和美、古瀬敏、澤野由紀子、園田眞理子、千田捷熙、成田幸夫、野村みどり、萩田秋雄、柳澤要(敬称略)
[事務局] 大島施設企画課長、平井企画調整官、笠原文教施設環境対策専門官、木村防災推進係長、内藤特別支援教育企画官(初等中等教育局特別支援教育課)他

【資   料】
資料1     学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第3回)議事録(案)
資料2   現地調査報告
資料3   第3回会議までの意見の整理(案)
資料4   本調査研究における検討の基本スタンス(案)
資料5   報告書フレーム(案)

参考1   「高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準」(抜粋)
参考2   日本建築学会計画系論文集(抜粋)
参考3   学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究スケジュール(案)

【会議概要】
(1)開会
(2)議事
(3)閉会

【議  事】
(1)    事務局より資料1〜5、参考1〜3について説明。併せて、第3回会議議事録の内容確認。

(2)    現地調査報告
報告1 静岡文化芸術大学
   ユニバーサルデザインを基本理念とする静岡県の方針に沿って建築。
   通路幅は広めに、階段の勾配はゆるめに設定している。
   視覚障害者誘導用ブロックを主要部に設置。道路の視覚障害者誘導用ブロックから連続して敷設し、施設内に誘導する。
   サインは大きめとし、コントラストをつけている。また、誘導音付きの総合案内板を採用している。
   高層部に非常エレベーターを設置し、非常時に対応する。
   地下1階の体育館については、不特定多数の利用者が一斉に避難することは難しい。不特定多数の利用は禁止されている。
   視覚障害者誘導用ブロックは、台車で避けることはほぼ不可能で不便である。危険の警告は必要だが、誘導は必須ではない場合が少なくない。ビッグ・アイのように、床材(絨毯等)の張り分けにより対応できる。
   車いす用トイレのペーパーホルダーの配置が後方すぎる。無理に体をねじるため、赤外線センサーにより水が何度も流れて不経済である。
   階段について、標準階高をもとに面積をとったため、踊り場等で余分に段をつけている。
   ガラスによる間仕切りは、避難時に衝突する恐れがあるため、不適切なデザインである。

報告2 浜名湖ガーデンパーク(花博会場)
   ユニバーサルデザインを取り入れることを基本に、アドバイザー制度を導入し、学識経験者や視覚・聴覚・下肢障害のある者等の意見、助言を受けている。
   主園路幅員8m、細園路幅員3m超とし、勾配は4%以下としている。
   芝生地等、進入可能とするため極力段差を無くすが、視覚障害者の白杖の使用に支障がないよう3cmの縁石(段差)を設置している。
   階段と平行してスロープ設置している。
   休憩所として、ベンチを約50mごとに設置しているので、計画基準人数6万人の1割がいつでも使用可能である。
   トイレは、主園路沿いは約200m以内ごとに設置している。
   ピクトグラム(絵文字)を採用している。
   総合案内に加え、音声、チャイム、触地図等を設置している。
   
   静岡文化芸術大学では、オストメイト対応トイレは設計当初需要がないとみなし、設置していない。後から設置するための空間的な余裕はある。
   
   ピクトグラムは重要である。学校で使用するピクトグラムは、基本的なフォーマットがあると普及するだろう。現在は、各施設ごとに設定しているのか、もしくは統一的なサインがあるのか。
   
   ピクトグラムは、個々(設計者)の判断に任せていたが、交通エコロジー・モビリティ財団がWカップ向けに企画・調整をし、その一部分がJISに採用されている。現在、ISOに提案中である。
   理解しやすいピクトグラムはJIS規格だろう。わざわざJIS規格から逸脱するものを学校施設の表示に採用する必要性はない。
   
   ピクトグラムは、利用者の層及び利用者である不特定多数のボリュームにより異なるだろう。例えば小学校低学年では、漢字が読めないので夢のあるピクトグラムが望ましい。小・中・高校で限定するものと一般的なもので、差を作った方がよい。身障者用等、基本的なもの(多くの人が確実にわからなければならないもの)は統一した方がよい。
   
   子どもは学校内だけではなく、街中でも活動するので、街中と学校とのサインが異なることは好ましくない。少なくともISOで理解できるものは小さな子どもも理解できるとみなせるだろう。
   
   もちろん一般的なものは統一すべきだが、クラス表示等は層に合わせた方が理解しやすい。
   
   JIS資料を入手し、ピクトグラムの種類及び基本形(スタンダード)を把握する必要がある。
   
   ISOでは絵だけでなく文字の大きさも決められているが、全てを絶対的に採用する必要はない。一つのルールである。
   
   文字の大きさは、空間の大きさにより影響を受ける。空間の大小により、見え方が異なる。
   
   瞬時に情報を得やすい手段があるとよい。
   
   視覚障害者が触知案内板を触って理解することは至難の業である。設置すればいいということではなく、受付横への設置と併せて、スタッフが利用目的から判断し、案内するシステムが必要である。
   施設案内における人的対応は、学校在籍者は事前に施設配置を学習するため絶対的に必要なわけではないが、地域開放の際には必要である。
   学校施設は他の公共施設とは性質が異なるため、利用パターンを踏まえた人的対応が必要である。
   視覚障害者誘導用ブロックは、高齢者が転ぶ原因となり得る。
   
   視覚障害者誘導用ブロックは、入口や危険な場所がわかる程度に、また人の介助が必要となる場所まで敷設すればよい。連続的ではなく、スポット的な表示で対応できるだろう。
   触知案内板がどこまで機能するかは難しい問題である。作りすぎてもよくない。
   触知案内板に字幕を掲示した場合、視覚障害者及び一般の人の情報取得手段となる。
   静岡文化芸術大学では、グレーチングの溝の幅が大きな箇所及び廊下の柱が飛び出ている箇所があった。よく配慮されていても、基本的な安全確保は最重要である。
   ハイスペックなトイレブースを少数設置する方法より、全体的なトイレブースの平均レベルをあげる方がよい。
   大勢の人が一斉にトイレを利用する施設では、「ハイスペック+一般ブース」という組み合わせより、全ての人が使用できる程々に広い大きさに統一した方が待ち時間が少なくなる。
   
   浜名湖ガーデンパークのトイレでは一番奥のブースが障害者用である(資料2,P13写真参照)。一番奥は回転スペースとして奥の空間を利用できるので、配置としてはよい。また、男女トイレの間に多機能トイレ(ファミリートイレ)を配置している。
   静岡文化芸術大学では、触知案内板のところにセンサー反応するチャイムが設置され、案内板の所在がチャイムにより判断できる仕組みとなっている。
   視覚障害の種類及び利用者の性質(特定者または不特定多数)により施設のバリアフリーの仕様が異なる。
   学校の利用者は基本的には特定多数であるが、外部からの訪問者(不特定多数)に対してもわかりよいサインとすることが必要であろう。
   
   浜名湖ガーデンパーク内の施設では、受付から離れた位置に触知案内板が設置されている。人的対応を考慮する場合、その配置をよく考慮する必要がある。
   トイレブースの配置について、障害者用は一番奥に配置することが望ましいのか。回転スペース及び固定観念があり、奥のブースが定番とされているが、譲り合いやすい位置は一番手前である。
   
   アメリカでは、奥に障害者用ブースを設置することが一般的である。中間設置の場合は、引き戸の引き込み空間が必要であり困難である。
   
   トイレの配置について、設計者の意図ではなく、マニュアルに頼りすぎであることは問題である。
   小便器の手すりは体位安定のためであり、奥ではなく手前の便器に設置した方がよい。
   小便器横の手すりは、便器ぎりぎりでは衣服が汚れるので好ましくない。単純に設置すればよいというものではない。
   
   一般の人であっても触地図で判断することは困難である。
   障害者誘導用ブロックを設置しても、どういう目的で、どこに行きたいのかを知るための人的支援が必要である。
   目隠し等で実際に視覚障害者と同様の体験をすると参考となるだろう。
   案内板に寸法(幅員、勾配)及び色の対比を明記することにより、学習材料にもなる。
   
   学校の利用者は特定多数(在籍者)とみなし、サインをきちんと設置していない。第3者がわかるようなサイン計画をしていないのが現状である。
   視覚障害者は訓練されているので、サイン(情報)に敏感である。
   
   視覚障害者の多くが中途失明者であり、外部者には高齢者も含まれることを考慮した方がよい。

(3)    福岡市立博多小学校の報告(工藤委員より説明)
   地下1F、地上5F建て。学童クラブ、公民館、幼稚園を併設。
   施設開放を盛んに行い、特に図書館、ランチルーム、オープンスペースはよく利用されている。
   最上階に通級のクラス(きこえとことばクラス:43名)及び特殊学級(さくらぐみ:5名)がある。
   1Fに管理部門、2Fにデッキを設置。エレベーターは校内に3台設置している。
   4つの小学校が統廃合したもので、福祉のまちづくり制度をベースに建築している。
   車いす置き場は、外来者がわかりやすい場所に配置。利用率は低い。
   玄関(履き替え場)は、受付に隣接して設置し、床材の色を変えることにより判別しやすいよう工夫している。
   案内板の色遣いは青と白を採用している。
   特殊学級の位置について、父兄も含めて議論した。
   テニスボールをいす、机の脚にはめ込み、音が小さくなるようにし、聴覚障害児に対して配慮している。
   職員室がなく、講師コーナーを設置している。先生同士のコミュニティ、助け合いが重要である。
   出入口の床の段差を無くすと、雨水、埃の問題がある。靴の履き替え場では、掃除の仕方に工夫が必要である。
   非常時に抵抗がないよう、特別避難階段(自閉式の引き戸付き)を通常時にも利用している。バランサーを調節し、ゆっくり閉まるよう配慮している。
   高齢者の利用が多い場所は、スロープ、段差の床材の色を変えて配慮している。
   段差は、いす、作業台、遊び場としても活用可能である。段差を全く解消することは好ましくない。
   同敷地内にある異なる施設では相互に施設を利用している。
   福祉のまちづくり条例に従い、視覚障害者誘導用ブロックを設置したが、スリッパがひっかかるなど、不便である。それぞれの施設の状況への適合性を考慮して、設計者が柔軟に判断できることが望ましい。
   エレベーター乗降の様子がスタッフ控え室から見えるように配慮。
   幼稚園の身障者用トイレスペースをシャワー室として計画している。
   設計上・運用の注意点は、1見通しのよい全体計画(先生相互の協力体制)。2フラット床にする上で、埃・水を防ぐ方法及び子どもの掃除に対応するかどうか。3スロープ(集団移動に対応)。4点字誘導用ブロックとつまづき。5トイレのスペックと掃除。6エレベーターの位置と数。7災害時の水平・垂直移動。
   
   床をフラットにした場合の雨水の進入防止方法として、5cmの段差を設けている。だたし、出入口の段差は2cm以内に抑えている。
   
   聴覚障害児童に対する通級指導教室は、内装の質を配慮するとともに、他の教室(生徒)と分離しても支障はないと判断し、最上階に配置している。磁気ループは設置していない。

(4)    参考資料の紹介
1参考1「高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準(抜粋)」
   聴覚障害者に対するアンケート結果では、1非常時に警報(情報)が把握できない2エレベーターで満員時のブザーに気が付かない、といった問題点が挙がった。光による情報伝達が望ましい。
   ホテルの客室について、ポータブルに情報交換できるものが必要である。アメリカでもその必要性は論じられている。また、音と振動による情報伝達(呼び出し)も必要である。

2参考2「日本建築学会計画系論文集(抜粋)」
   聴覚障害者からみた施設のバリア等に関する研究成果が示されている。
   一般的な建築物が研究の対象となっているので、学校施設についても参考となるだろう。
   
   聴覚障害の場合であっても音の情報伝達は重要であり、統合的なサインシステムが必要である。
   音、字幕、フラッシュによる情報伝達では、100%伝達することは難しい。
   補聴器、赤外線システム等技術の進歩とともに、磁気ループの使用は高齢者や障害者の利用を前提とした施設において基準化しつつある。

(5)    報告書のフレームの整理
事務局より資料3〜5について説明。

   先日見学した学校は、聴覚障害専門の学校でありながら、バリアフリー関連の特別な設備が設置されていない。
   8人の児童生徒に対して1人の先生がついている。
   特別支援教育を推進する際の拠点校主義の考え方を踏まえると、資料4,4「整備水準の設定の考え方」に追加項目が必要になってくるのではないか。
   
   一般の小中学校における指針を策定することが目標である。
   
   特別支援教育を推進する際の拠点となる学校(センター的役割を持つ学校)は、小・中学校というよりも、盲・聾・養護学校を想定している。
   特にLD、ADHD等の児童生徒の対応については、基本的には、各小・中学校で行うことになるが、各地区の拠点となる盲・聾・養護学校にセンター的役割を期待したい。
   
   一般の小中学校(約3万4千校)のバリアフリー化をどのようなスタンスで推進していくのか、議論の余地はある。
   
   資料4,1(4)「対象とする障害種」において、「肢体不自由」の後に「病弱」を入れた方がよい。
   
   資料5,第3章「学校施設のバリアフリー化等に係る計画・設計上の留意点」について、資料4,2(2)〜(5)「バリアフリー化に関する基本的な考え方」を考慮した表記にした方がよいのではないか。

(6)    その他
   海外事例について、スウェーデン及びデンマークの学校を対象に12月1日〜7日で視察を予定している。
   報告書の素案を取りまとめるにあたってのメモの提出を委員に依頼。
   第6回会議は1月14日(水)14:00〜、第7回会議は2月6日(金)10:00〜で仮決定。





(大臣官房文教施設部施設企画課)

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