ここからサイトの主なメニューです
審議会情報へ

学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議

2003年10月28日 議事録
学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第3回)議事録

学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第3回)議事録

【日   時】   平成15年10月28日(火)   10:00〜12:00
【場   所】   文部科学省分館   201・202号特別会議室

【出席者】  
[協力者]   浅田稔、上野淳、工藤和美、古瀬敏、澤野由紀子、園田眞理子、野村みどり、萩田秋雄、八木美典、柳澤要(敬称略)
[事務局] こう技術参事官、大島施設企画課長、平井防災推進室長、笠原文教施設環境対策専門官、木村防災推進係長、内藤特別支援教育企画官(初等中等教育局特別支援教育課)他

【資   料】
資料1     学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議(第2回)議事録(案)
資料2   現地調査報告
資料3   第1回、第2回会議における意見の整理(案)
資料4   学校施設のバリアフリー化等に関する基本的な考え方の整理(案)
資料5   報告書フレーム(案)
資料6   ハートビル法、利用円滑化基準と利用円滑化誘導基準の比較

参考1   野村委員提出資料
参考2   「ユニバーサルデザイン ハンドブック」(丸善(株))抜粋
参考3   「高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準   平成15年2月」国土交通省
参考4   たか橋委員事例研究資料
参考5   学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究スケジュール(案)

【会議概要】
(1)開会
(2)議事
(3)閉会

【議  事】
(1)    事務局より資料1〜6、参考1〜5について説明。併せて、第2回会議議事録の内容確認。

(2)    現地調査報告
報告1 横浜市立新治小学校
   小学校と養護学校の併設により相互交流を行いやすい。
   併設している新治養護学校は、肢体不自由養護であり、重度重複障害の児童生徒が在籍している。
   中庭にエレベーターを増設したことにより、養護学校の児童生徒もスムーズに移動できる。
   オープンプランの小学校であるので、障害のある児童生徒が訪問時に周囲を見渡し、認知しやすい。
   養護学校は教室を1階にまとめてあり、移動に関してはバリアフリー化している。
   交流学習の大切さを改めて認識した。今後、このような交流が活発化するだろう。
   横浜市は所管する学校数が膨大であるため、全ての学校施設をバリアフリー化することは難しい。
   
   児童生徒数は増加。小学校の児童数増加に対しては、プレハブを増設して対応している。養護学校も人数が多く、密度が高い。
   昇降口のところに段差があるなど、まだまだバリアフリー化の必要がある。

報告2 世田谷区立桜丘小学校
   世田谷区は「世田谷区福祉推進条例」に基づく「施設整備マニュアル」により、早くから幼稚園・保育園でバリアフリー化を推進している。
   エレベーターは1基、障害者用トイレを各階男女別1箇所に設置している。
   雨水吹き込み防止のためにベランダ出入口に設けられた段差以外は、障害となる段差は見られない。
   保健室は広く、シャワー室、措置室が付随している。
   
   施設のバリアフリー化に伴って、人的サポートも必要である。桜丘小学校の場合は、保護者が協力的である。
   人的サポートもバリアフリーの一環である。
   バリアフリー化とは、心的対応も含める。しかし、用語の捉え方がケースバイケースで異なるので、用語の持つ意味を整理(定義)した方がよい。

報告3 品川区立戸越台中学校
   当時としては先端的な要素が取り入れらているが、避難計画や動線処理などの課題はある。
   品川区は学校選択制であり、交通アクセスに関する問題が生じる可能性がある。
   乗り換えがあるなど、エレベーターのアクセスが不便である。
   3階レベルにある校庭が避難場所となっており、避難計画に検討の余地がある。
   地域開放時の動線の混乱あり。
   玄関ホールを投票所として使用する場合には、取り外し式のスロープを設置して対応している。
   
   様々なことに取り組んでいるが、もう一工夫必要と考える。
   エレベーターは、一般生徒は原則として使用禁止であり、障害者及び高齢者が使用している。

報告4 新宿区立新宿養護学校
   手すりの高さは、中間値(80cm)を採用している。また、指が挟まらないよう溝を埋めている。
   仰向け時の目の保護のため、蛍光灯にカバーを取り付けている。
   図書室の本棚は、車いす使用者が使用しやすい高さに設定している。
   安全対策及び夜間開放時の動線を配慮して、階段室入り口にジャバラ戸を設置している。
   避難時も考慮して、廊下幅は広めに設計している。
   女子トイレにベッドを設置している。
   校舎内と外部間の段差はない。
   避難経路はスロープが望ましいが、面積上、設置することは難しい。

報告5 大阪府堺市泉が丘地区
   協議会等の組織的な取り組みにより、面としてのバリアフリー化が進んでいる先進地区である。
   指針で示す整備範囲は、障害種別の整備ステップを設けたい。
   特別支援教育の推進体制と、施設整備の方向との連携が必要である。

報告6 国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)
   既存校舎のバリアフリー化の整備は重要である。
   車いす使用者用便所は男女各1箇所ずつが望ましい。
   保健室に近接してシャワー室、便所を設置するとよい。
   障害のある児童生徒の移動時間のロスを軽減するため、各棟にエレベーターを設置する必要がある(複数設置)。
   車いす使用者も通過可能な防火戸を設置する必要がある。
   低価格なエレベーターの設置の推進を望む。
   既存施設について、バリアフリー化が図られるよう、方策を検討する必要がある。
   施設のバリアフリー化を推進するには財政面の課題もある。
   
   国際障害者交流センターについては、バリアフリー化が過剰、という印象がある。
   宿泊施設のバス・トイレについては、バスタブと洗い場の両方でシャワーを浴びることができる。面積があれば、少々のアイデアで誰もが使いやすい施設となるいい例である。
   平面計画が直交軸に基づいたシンプルな形状であるので、視覚障害者が把握しやすい。空間構成の明快さは重要である。

報告7 大阪府立児童図書館ビッグバン
   便所が子どもの体格に合わせて整備されている。
   保護者のために、ベビーチェア等を設置している。
   学校施設にも視覚障害者誘導用ブロックを設置する必要があると考える。
   児童生徒が施設のバリアフリー化を通じて、障害者問題を理解するような取り組みをしていきたい。
   
   戸越台中学校の非常用スロープ(特別養護老人ホーム用)は、実際には危険である。
   避難者が滑り台の途中で停止した場合、怖がって降りることができない。人の流れが滞留し、非常に危険である。

(3)    参考資料の紹介(説明)
参考1: 「バリアフリーの生活環境論(医歯薬出版)」抜粋
   既存校舎をバリアフリー化する際の点検手法等や特別教室等の改造手法、避難経路について記載している。

参考2: 「ユニバーサルデザイン   ハンドブック(丸善(株))」抜粋
   アメリカでのソフト面も含めたバリアフリーの歴史(変遷)等について、詳しく記載している。
   全体的な配置計画、動線、人間工学等についてポイントをまとめている。
   
   「高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準   平成15年2月」(国土交通省)の70〜71ページについて。既存便所は、奥のブースを広くすると車椅子使用者用となる。

(4)    報告書のフレーム検討
   事務局より資料3〜6について説明。
   
   ベースとなる水準と望ましい水準との中間(個別対応)があるのではないか。
   施設の使用者(対象)により、バリアフリー化の内容(基準)が微妙に異なるが、報告書はどのようにまとめていくのか。注意深くまとめていく必要があると考える。
   対象とする障害種について、知的障害者等も含めて障害全般について幅広く対応させたい。それがユニバーサルデザインにつながると考える。
   知的障害者も含めるが、対象は、主として肢体不自由、視覚障害、聴覚障害等、身体の機能上の制限を受ける障害とする。
   ハード面(施設)という点から留意すると、このような障害種が中心となるだろう。
   知的障害児童は出現率が高く一般校に入りやすいので、様々な配慮が必要である。
   WHOの国際障害分類の捉え方には、心身機能・身体構造、健康状態、活動、参加の4つのレベルがある。障害に関する事項が複雑化してきているので、ユニバーサルデザインの器を用意しつつ、個々に対応できるようにするとよい。
   物理的な面から迫る方が議論しやすく、説得力がある。
   個別支援が必要な重度重複障害児には、ユニバーサルデザインだけでは十分ではない。付加する必要がある。
   一般校でどの程度の障害の児童生徒を受け入れるかにより、配慮する事項が異なるので、一律に基準を定めることは難しい。選択の余地が必要である。
   使用者(対象)を明確にした方がよい。
   視覚障害者の対応が不十分と考える。
   視覚障害者誘導用ブロックについて、議論の余地がある。国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)のように、ブロックの設置は入り口のみとし、建物の中では素材の違い(カーペットと平滑な床)で区別する手法がある。
   地域住民の生涯学習について。ゲストティーチャー等に高齢者や障害者を採用するケースがある。
   「地域住民の学校参加と生涯学習の場としての利用の促進」というような表現が望ましい。
   対象となる建築物については、屋外施設(運動場、プール、遊具、植栽等)や家具・備品等にも配慮した方がよい。
   労働環境としての学校施設についても考慮した方がよい。
   現実には多様な、幅広い配慮について、整理して記載するべきと考える。
   全ての学校で対応か、個別に対応かを整理した方がよい。
   スウェーデンのように、ほとんど規則がないにも関わらず、それぞれに対応した良い施設(空間)ができる場合はある。基準さえ満たせばよいという考え方に導かないよう、留意する。
   
   報告のまとめ方については、事務局と相談してさらにつめていく。

(5)    その他
   第5回現地調査の実施について、現在調整中である。
   海外の事例について、視察(現地調査)を予定している。
   第4回会議は11月18日(火)10:00〜、第5回会議は12月17日(水)で仮決定。




(大臣官房文教施設部施設企画課)

ページの先頭へ