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盲・聾・養護学校若しくは特殊学級に在籍する又は通級において指導を受ける児童生徒の比率が増加している。また、LD、ADHD等の児童生徒への対応も課題になるなど、障害種の多様化も進んでいる。このため、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応えていく方向へ転換することが求められている。 |
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個別の教育支援計画、特別支援コーディネーターについてモデル事業を実施している。 |
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特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告において、盲・聾・養護学校から特別支援学校へ及び小・中学校等の特殊学級から総合的な体制へ制度を改めることについて検討することを提言している。これらの制度改正には法令改正が伴うため、現在、文部科学省内で検討している段階であり、本会議では制度改正を前提とした議論はできない状況である。 |
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昨年、学校教育法施行令を一部改正し、就学時の健康診断で盲・聾・養護学校就学に該当しても、小・中学校において適切な教育を受けることができる特別な事情があると認められた場合、一般校に就学することが可能となっている。最終的には、各市町村教委が施設的対応のみならず、学校の受け入れ体制、学校の理解等により総合的に判断することとされている。 |
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学習指導要領において、盲・聾・養護学校等と小・中・高等学校等との連携や交流を実施するよう規定している。
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盲・聾・養護学校への就学が適当と思われる範疇の児童が、保護者の強い要望等で小学校に就学するケースが増えている。このような状況を踏まえて、学校施設のバリアフリー化を考えていくのか。 |
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小中学校では、重度の障害をもつ児童生徒を預かることは難しい。施設設備の整備だけではなく、人的な支援も必要である。 |
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交流教育は児童生徒のためにも必要。そのベースとして、施設のバリアフリー化は必要最低限のことである。 |
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学校は、子どもたちの教育の場であるとともに、地域コミュニティの場ともなっているが、施設のバリアフリーに関するニーズがうまくとらえられていない場合がある。誰のためのバリアフリーなのかを意識することが重要である。 |
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学校は、すべての児童生徒が利用できるユニバーサルデザインの方針で整備すべきであり、公共施設におけるユニバーサルデザインのモデルとなるべきである。 |
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バリアフリー化のポイントは、教室間のスムーズな移動とコミュニケーションの伝達である。
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障害のある児童を小学校に通わせたいという保護者からの要望と教職員の人数の問題とのバランスをどうとるか、施設の整備だけでなく、運用上の工夫も重要である。 |
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次代を担う子どもたちが学習・生活する場である学校は、ユニバーサルデザインの考え方で整備する必要がある。 |
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学校施設をバリアフリー化するとともに、教育においても活用するなど、ハードとソフトの連携が重要である。 |
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社会教育施設と複合化するなど、地域に開かれた学校では、総合的な学習の取り組みが進んでいるという印象があり、施設・設備が教育内容に影響を与えると考えられる。 |
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学校施設をユニバーサルデザインで整備することにより、生涯学習の拠点にもなると考えられる。 |
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カリフォルニア州立大学の図書館では、点字ブロック敷設はなく、出入口近くに障害者対応用の受付(いす)を設置している。ユーザー(障害者)がこのいすに座るとスタッフが優先的に対応することとなっている。 |
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ストックホルムの視覚障害者センターの例では、視覚障害者の安全を考慮して、歩道と車道を完全分離。手すり付き歩道で建物入口まで誘導する。その途切れた箇所には足ふきマットがあり、施設の出入口を示している。風除室内にも手すりがあり、すぐ前の受付まで誘導する仕組みになっている。 |
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弱視の方のためには、床、壁、ドア等を色の対比によりわかりやすくすることが重要である。 |
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NYライトハウスでも、点字ブロック敷設はなく、出入口を一方通行にして、混雑時の衝突を避けるようにしている。 |
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トイレは、案内表示とともに音声案内を設置。(NYライトハウス) |
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ストックホルムの学校の例では、重度重複障害児のために、天井に面走行リフターを設置している。 |
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リフターは個別に使う道具なので、パーソナルアシスタントによる介助は1対1で行われている。 |
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視覚障害者は、学校−自宅間および学校内における歩行訓練が必要である。安全でわかりやすい空間を整備するとともに、空間認知のためにも歩行訓練を行うことが重要である。 |
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学習空間では、弱視の児童生徒に対して、傾斜調整机や黒板を写すカメラなどの設備を整えることは有効である。 |
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アダプテーションに関する整備については、使用状況をフォローアップして、改良を加えることが必要である。 |
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肢体不自由の児童生徒はアダプテーションによる一貫したサポートが必要である。このことは、学校だけではなく、家庭等においても必要である。 |
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聴覚障害者に対しては、情報のバリアフリーが重要で、例えば補聴器の意味など、体験学習等を通して、担任、クラスメイトの障害に対する協力を得る。この協力がなければ効果があがらない。
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障害を持つ児童生徒が一般校に通学するケースが増えてきている。 |
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インクルージョンは海外でも大きな流れであり、国内においても避けられないだろうと認識している。 |
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アメリカの例では、学区が役割分担して障害に応じて児童生徒を受け入れている。 |
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基本的なバリアフリー化は必要であるが、全ての学校が全ての障害に対応しようというのは現実的ではない。ソフト及びハードについて、地域単位で議論し、よく考えることが望ましい。
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ベーシックなバリアフリーを学校にどこまで求めるのか。本当の意味で全ての人が使いやすい(ユニバーサルデザイン)状態にどこまで近づくことができるのか。今後、議論の余地がある。 |
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県立学校の施設整備については、段差解消やトイレの改善、エレベーターの設置等を内容とした行動計画を定め、老朽改築や耐震補強工事に併せてバリアフリー化の工事を実施している。 |
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余裕教室を養護学校の分校として整備したり、学校間の交流の場として利用するなどの取り組みも実施している。 |
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ホームページで教員のためのユニバーサルデザインに関するテキストを公開し、子どもたちへの教育に役立てられるようにしている。
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アダプテーション、インクルージョン等の用語について、基本的な概念を整理する必要がある。 |
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諸外国においては、バリアフリーに関するコンセプトがしっかりしている。ハートビル法は、最低限のレベルを規定しているが、今回の指針はどこを目指すのか、標準のレベルをどこに設定するのかを考える必要がある。 |
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施設・設備だけでなくソフトの対応も重要である。人的な対応はどの程度見込めるのか。 |
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教職員を有効活用するとともに、専門家が学校を巡回して指導するなどの対応が考えられる。現在、こうした対応についてモデル事業を実施しているところである。 |
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今回取りまとめる指針が目指すレベルについては、次回、具体的に検討したい。 |
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学校施設の整備は、年間どのぐらいの事業量があるのか。 |
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学校施設は、共用の場であり、児童生徒が一日の1/3を過ごす場である。これは、住宅や他の公共施設の状況と異なる点である。 |
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基本的な部分を整備した上で、個別対応、アダプテーションの可能性についても検討する必要がある。 |
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公立小中学校は全体で3万4千校である。公立学校の施設整備に関する国庫補助の年間予算は約1,500億円であり、事業費はこの2〜3倍になる。 |
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今後は、既存の校舎を耐震補強して使い続けていくことが進んでいくと考えられる。このため、既存施設のバリアフリー化を検討することも重要である。 |