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1   施設マネジメントの導入

   国立大学にとって，知の拠点として人材を輩出し，国際競争力のある学術研究等を行うため，これらの諸活動の基盤である教育研究環境等の充実は不可欠である。
   このためには，大学が所有する既存施設を有効に活用する必要があり，トップマネジメント※２の一環として，長期的な視点に立った施設マネジメント※３を導入する必要がある。


１    施設マネジメントの必要性
 （既存施設の戦略的な有効活用）
・    教育研究等の諸活動やそのためのキャンパス内での生活支援等と有機的な関連を持つ大学施設は，国立大学の基盤となるものであり，国立大学は所有する既存施設を効率的に管理し，必要な機能の向上を行い，有効活用を図る施設マネジメントを導入することが重要である。
・    また，公的な施設である国立大学施設は，長期的な利用に耐えられるよう適切な維持管理・改修を行うとともに，流動的利用システムの構築などにより一層の有効活用を図ることが重要である。※４

２    施設マネジメントの視点と実施
 （施設マネジメントの視点）
・    施設マネジメントを検討するためには，学生や研究者等が教育研究に専念できるよう施設の安全性を確保した上で，施設の質の管理（クオリティマネジメント），施設の有効活用（スペースマネジメント），施設に係るコスト管理（コストマネジメント）という３つの視点で具体的な目標を立て，これらについて総合的に調和を図りつつ，推進することが重要である。
・    この３つの視点は，それぞれ次のことを意味する。
   1    「クオリティマネジメント」とは，施設利用者の要望に配慮し，教育研究等の諸活動に応じた機能を確保・向上することである。
   2    「スペースマネジメント」とは，施設の需給対応，施設利用度を踏まえて，既存施設を目的・用途に応じて適切に配分し，最大限に活用することである。
   3    「コストマネジメント」とは，上記のクオリティ及びスペースの確保・活用に要する費用を管理し，大学経営の視点から，費用対効果の徹底，資産価値の維持を図ることをいう。

（施設マネジメントの実施）
・    施設マネジメントの実施にあたっては，大学の教育研究活動における施設の重要性を認識しつつ，既存施設の現状を適切に把握した上で，取り組むべき課題に対し施設マネジメントの目標となる施設水準を設定し，これを実現するための実施方針及び施設計画を作成することが重要である。


※２    国立大学法人法案（仮称）において，「役員会」制の導入により，トップマネジメントを実現し，また，「経営協議会」を置き，全学的視点から資源を最大限活用した経営を行うなど，国立大学法人に「民間的発想」のマネジメント手法を導入することとしている。
※３    平成１４年５月「今後の国立大学等の施設管理に関する調査研究協力者会議（主査：大﨑仁国立学校財務センター長）」において，報告書「「知の拠点」を目指した大学の施設マネジメント－国立大学法人（仮称）における施設マネジメントの在り方について－」が取りまとめられた。施設マネジメントとは，キャンパス全体について，総合的かつ長期的視点から，教育研究活動に対応した適切な施設を確保・活用することを目的とし，施設の企画・計画，整備，管理の全般にわたる業務である。
※４    平成１３年６月２６日総合科学技術会議科学技術システム改革専門調査会報告「大学，国立試験研究機関等の施設整備について」において，施設を次世代にまで長期的に継承・利用すること，流動的利用システムによる有効利用などが提言されている。また，平成１３年５月閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」において，既存ストックの有効活用が示されている。


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