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避難所に指定されているか否かにより,学校施設に必要な耐震性能は異なるのではないか。
また,1.25という用途係数により,構造耐震判定指標(Iso値)の値が複数(0.6,0.7,0.72)混在してしまっている。 |
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予算がない状況で,避難所として使われない学校施設のIs値まで,0.7に上げる必要があるのか。避難所として使用しない学校施設については0.6でよいことにできないか。0.1下げることで自治体がやる気になってくれると思う。 |
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パイロットモデル事業は,国が全額を負担してでも各自治体に対して実施する必要がある。
全都道府県に対してでなくても,地震の起こる確率が高いところからでも実施すべきである。 |
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静岡県の県立高校においては,昭和53年頃から耐震診断を実施してきた。診断結果は,5段階のランク付けを行い,耐震性の低いものから対策を行ってきた。阪神大震災までは,震災後の学校再開を目標にして校舎面積の1/2を確保できるよう耐震補強を進めてきたが,阪神以降は突発型地震にも対応できるよう,前校舎の耐震化を目標にして対策を行っている。また,体育館については,避難所に指定されている学校を優先的に耐震補強を行っている。 |
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市町村で耐震化が進まないのは,結局,建築の分かる技術者がおらず,耐震改修の方法が分からないからではないか。 |
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都内のある区に対して,耐震補強実施予定の小学校について話を聞いたところ,結局,耐震指標等の係数を満たしているかどうかだけが,耐震補強の要件となっていた。現在の耐震補強は,子どもの命を救うのか,建物が倒壊しないようにするのかどちらが目的なのか。また,現状として,耐震補強をして学校の使い勝手が悪くなったという自治体の声をよく耳にするが,耐震補強をして学校をよりよくすることが必要であり,耐震補強と使い勝手の両面から議論していく必要がある。
また,耐震化の実施にあたり,補強するのか建て替えるのかの判断が明確になっていない。 |
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技術職員のいないような小さい自治体に対しては,県の職員が親身になって面倒を見ている。問題は,中規模の自治体である。
また,これまでの耐震補強は,子どもの生命を守るという応急措置的なものであるが,ただ,それすら進んでいない現状の中で,耐震補強と同時に学校の使い勝手をよくしていこうという考えと,応急補強だけなら同じ予算でより多く建物を補強できるという考えとがあり,自治体は悩んでいる。
今回,静岡県と大田区の方に本会議に入ってもらったことで,先進的な自治体の意見は聞くことができるが,耐震化の進んでいない自治体の話も聞いてみる必要があるのではないか。 |
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常に地震を感じている地域と,地震がほとんどないような地域とで,耐震に対する感覚のずれがある。阪神・淡路大震災は早朝に起きたため,学校で多くの児童が亡くなることがなかったが,あの時間帯が授業中だったらどうなったっていたか。そうした危機感が自治体に欠けているのではないか。限られた予算というが,借金をしてでも,耐震化を進めるべきではないか。 |
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町の大きさや学校数その他の状況から,どれくらいの予算を投入すれば耐震化が完了するというようなモデルを提示できるとよい。 |
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苦しい予算の中で,学校施設の耐震化がいかに緊急な課題かということを市民に認めてもらうためにも,情報は開示していくべきである。その意味では,今回,70%近くが耐震診断されていないと新聞報道されたことには非常に意味がある。 |
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情報を正確に出していくことが基本。また,補助金や優先順位のつけ方について,ある程度柔軟に対応できる仕組みづくりが求められる。 |
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どういう診断をしたらいいのか分からない自治体が多い。適切な耐震診断を行うために,診断方法の選択段階で何らかの支援策を考えていくことが必要である。 |
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建物の構造性能に関わらず,経年数だけで大規模改修と判断されているケースがあり,耐震改修等の実施に至る判断に,構造的要素が含まれていない。
構造性能が低い危険なものから優先的に耐震化を実施していき,その後,他の様々な要素を考えて改修等を実施していく必要がある。また,多くの学校施設の耐震化を推進する上で,まずは,倒壊しないということだけを目途に判定していくことも視野に入れてみてはどうか。 |
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人命保護という観点から耐震化を考える必要がある。現状では,本当に危険な建物にも関わらず,大規模改修のサイクルにあわないため後回しにされていたり,逆に,補強しやすいものが選ばれていたりすることがある。本気で人命保護を考えるなら,すぐにでも危険校舎の5%くらいは手をつけるべきはないか。
また,多少の被害が起きても倒壊を防ぐことを目的としたもの,ある程度機能の確保も重視したものなど,選択肢をいくつか用意してはどうか。その上で,倒壊防止が目的であれば,補助率を上げる等の措置をするなど,選択によって,自治体のインセンティブを刺激するような方策が必要であろう。 |
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耐震については当面の応急的な対応が非常に重要である。今後10〜20年以内に,大地震が発生する可能性は十分あり,それを視野に入れた対応をしていく必要がある。 |
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コンクリート強度の弱い建物や溶接の悪い建物を,補強するか建て替えにするかについて,自治体は頭を悩ましている。 |
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耐震化の方策として,最低限避難できる間建物をもたせる方策と,被災後も機能を維持できるための方策との2種類が考えられる。この考えの下で,技術的な面も考慮しながら,各自治体が耐震化のプログラムを選択し,提案していくことが望ましい。
また,予算を投入したことにより,学校がよくならないといけない。耐震だけでなく,トータルで見た「安全な学校」という考えが必要ではないか。 |
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学校の耐震化の推進と地震調査研究推進本部の研究内容とを結びつけながら,プライオリティのあり方を検討しなければ,耐震化の問題は解決しない。 |
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地震調査研究推進本部での調査研究の結果が,耐震計画の優先順位の決定に活かされればよいが,地震調査研究推進本部の調査結果は平成16年度末に出るため,それと今回の報告書をどうつなげていけばよいのか。 |
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地震調査研究推進本部の結果が分かった時に,国としてどう対処していくかについて,考えておく必要があるのではないか。 |
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東南海・南海地震は数十年後に起こることは確実と言われており,地域ごとに対応を考えていく必要がある。危険度の高い活断層のある地域の学校施設の補強をどうするかも課題であろう。
静岡県などにおいては,東海地震発生の危険性が言われて20年経つが,まだ全てが耐震化されてはいない。東南海・南海地震の発生は今後,30〜40年以内と言われているが,今から手をつけていかなければ間に合わない。
ここ50年間は大きな地震は発生していないが,過去100年のうち前半の50年の歴史を見ると,内陸で直下の地震が数年に1度と頻発しており,今後,直下の地震が増えてくる可能性は高い。 |
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体育館の診断基準についても,校舎と同様に倒壊防止を基本としているが,体育館を避難所として使用することを前提とした診断方法についても考えていかなければならない。 |
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診断後の補強の方法について,もっと設計者の側から選択肢を提案してもらい,自治体がそれを受け入れるという態勢があってもいいのではないか。
また,在来工法に比べて新しい工法で補強した方が安くできる場合,その工法についても,補助対象として認められるような仕組みがあれば,補助する側も助かるのではないか。
さらに,この工法を使えばIs値が1.0や1.5ほどの耐震性能が確保できるといった判定があれば,補助する側も自治体も助かるのではないか。 |
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耐震化推進は,地震発生後の早期の復旧・復興が目標であり,避難や即時の応急危険度判定等についても議論すべきである。また,耐震化に対する意識の啓蒙のためにも,診断結果を公表すべきであり,一般の方にも危険性を知ってもらった上で議論をする必要がある。 |
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耐震診断をしても,改修に結びつかなければ有効ではないという考えはよくない。診断結果を改修計画の中でうまく利用するためにも,診断をさせることに重点をおく必要がある。 |
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日本には,災害発生後,直ちに避難所の安全性をチェックするという体制がない。阪神・淡路大震災の際も一切チェックすることなく,避難所にしていたという状況であった。
また,耐震化を考える時に,児童生徒の避難という点については,あまり考えられていなかったが,今回の調査研究では,避難の観点からの検討も行う必要がある。 |
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地震に対する耐震性という観点だけでなく,既存のRC造の学校施設をどうするかという議論も必要である。また,学校施設の維持管理の体制の甘さも問題となっている。
また,日本の学校施設は,なぜ鉄骨造でなくRC造なのかという議論も必要ではないか。 |