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第1章   環境を考慮した学校施設(エコスクール)の趣旨


第1節   背   景

   近年,地球規模の環境問題(地球温暖化,オゾン層破壊,水質汚濁,海洋汚染,熱帯林等の減少,酸性雨,有害廃棄物の越境移動及び大気汚染等の公害など)が世界共通の課題として提起されており,平成4年6月に,ブラジル・リオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」においては,地球環境保護のための21世紀に向けた行動計画「アジェンダ21」が採択されるなど,現在,世界各国が環境負荷の削減に取り組んでいるところである。
   我が国においても平成元年5月に地球環境保全に関する関係閣僚会議が設置され,平成2年には地球温暖化防止行動計画が決定されるなど地球環境問題についての取組が強化されてきている。
   さらに,平成5年11月には,我が国の環境政策の理念と基本的な施策の方向を示し,総合的な環境政策を展開する上で大きな基礎となる「環境基本法」が制定され,平成6年12月には,環境基本法の最も中心的な施策である「環境基本計画」が閣議決定された。
   「環境基本計画」は,21世紀半ばまでを展望した上で,政府が長期的,総合的に21世紀初頭までの施策の方向を明らかにしたものである。その中では,環境問題の重要性から国,地方公共団体,事業者,国民,民間団体等の各主体は,環境保全に関して担う役割及び環境保全に関する行動の有する意義を理解し,それぞれの立場に応じて,自主的,積極的に行動することがうたわれており,国の役割の1つとして,地方公共団体が自主的,積極的に実施する環境保全施策について,必要な財政上の措置,技術的支援に努めることが挙げられている。
   特に,国の環境保全に向けた取組の率先実行の1つとして建築物の建築,管理等に当たっての環境保全への配慮が挙げられており,建築物の建築等は環境保全の中でも大きな位置を占めているといえる。
   学校施設については,これまで社会的要請に応じた量的整備が進められてきたことから,現在,学校の建物面積は約3億m2に達しており,その使用するエネルギー総量は膨大なものとなっているが,さらに,今後は多様な学習活動を支援するための拠点として高機能化,快適性等が求められていることから,使用エネルギーの一層の増加が予想されている。


第2節   目   的

   このような背景から,今後の学校施設の整備に際しては,環境への負荷の低減を図る等の環境対策を講じることは極めて重要な課題と考えられ,本調査研究を実施した。
   学校施設における環境対策を行うためには,学校施設としての特性を考慮して,概ね以下の3つの視点から整備充実を図っていくことが必要と考える。
   第1に,環境への負荷の低減を目指して設計・建設がなされる施設であること
   第2に,環境への負荷の低減の目的に沿った運営がなされる施設であること
   第3に,環境教育にも活用されることが可能な施設であること
である。
   本調査研究においては,このように環境を考慮して整備される学校施設を「エコスクール」と称することとする。これは,環境と調和のとれた21世紀の実現のため,環境保全に対しより積極的な取り組みが求められている現在の状況にあって,学校施設も環境保全という新しい視点から整備することを目的とするものである。

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