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学校施設の安全管理に関する調査研究について

2002/04/03 議事録
学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議(第3回)議事録

学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議(第3回)議事録


【日  時】 平成14年4月3日(水)  15:00〜17:30

【場  所】 文部科学省分館2階  201特別会議室

【出席者】
[協力者] 伊藤  智,生越詔二,工藤和美,斎藤能,定行まり子,佐野康廣,瀬渡章子,谷口賢司,長澤  悟,野村晶三,増谷信一,安井義和,山本俊哉,吉澤晴行,吉村英祐(敬称略)
[事務局] 施設企画課長,中村企画調整官,瀬戸係長  他


【資  料】
資料1 前回議事録(案)
資料2 学校安全とその内容
資料3 小学校の防犯対策の現状と保護者の意識
資料4−1   安全の環境デザイン  領域化
資料4−2 事例分析に基づく建築の日常機能と非日常機能の相互関連に関する考察
資料5 警備業の現状と学校に係る警備業務
資料6 現地調査報告

参考1 スクールセキュリティガイド
参考2 大阪府安全なまちづくり条例(案)

【会議概要】 (1)開会
  (2)議事

【議  事】
(1) 学校施設の安全管理の在り方について
事務局より資料1〜6、参考1〜2について説明

(2) 防犯対策の取り組みについて(発表)
[斎藤委員]資料2  学校安全とその内容
 
  健康と安全という観点については、文部科学省の学習指導要領の総則に記載されており、学校安全は重要な位置付けとなっている。

  学校安全を考える上で、安全教育と安全管理が必要であり、これらは、学校教育活動全体を通して行うものである。学校教育活動とは各教科、特別活動及び道徳の3本柱であり、その中で安全教育と安全管理が行われている。さらに、安全教育は安全学習と安全指導に分けることができる。安全学習とは各教科で行われるものであり、安全についての知識を与え、理解させ、安全に関する原理原則等の学習をさせる。また、安全指導とは安全学習を行った結果、日常生活の上で反映させるための指導である。

  安全学習の中で中心となる教科は、小学校では体育の中でのけがの防止、中学校では保健体育の中での傷害の防止であり、高等学校では保健体育の中での安全教育等である。また、安全学習と関連する教科として、理科、図工、技術家庭といった教科の中でも指導がなされている。

  安全指導は特別活動(学級活動,ホームルーム活動)や学校行事、そして学級会活動や児童会活動といった児童生徒たちの自主的な活動の中で行われている。安全教育と安全管理とは一体となって行う必要があり、万全な管理を行っても、教育を怠っては十分な学校安全を確保したとはいえない。

  平成10年度の学習指導要領の改訂に伴い、総合的な学習の時間を小中学校では週に2〜3時間設けている。高等学校では3年間で105時間から210時間設定しており、その時間の中で、国際理解や環境、福祉等、各学校の裁量で行われているが、ここ2,3年では健康や安全について指導するところも出てきている。

  学習指導要領では「生きる力」ということを強調しており、今までは児童生徒が先生によって教育されていたものを、これからは自分から学び、考え、物事を解決していく能力を身につけることが必要とされている。安全についても、積極的に、この考えを取り入れてきたといえる。近づく危険の早期発見と早期回避の能力を児童たちに身に付けさせる必要がある。

  児童各々の身体の発達も様々であり、安全の能力も異なる。児童の身体的な発達を日頃より高めることは重要であり、自分自身をセルフコントロールする能力を高めることも必要である。

  学校における安全管理として行っていることは、学校環境の管理と事故発生後の安全管理である。学校環境の管理とは、安全点検であり、学校保健法のなかで施設設備についても点検を行わなければならないと法的に定められている。また、事故発生後の安全管理とは救急体制、連絡体制を組織立てていくことであり、学校環境の管理と事故発生後の安全管理は、いずれも必要なものである。

  施設設備面での防犯対策が行われている学校はあるが、ソフト面(事故発生時の救急体制や連絡体制の整備等)の取組みは不足しているように思われる。従って、報告書をまとめる際には、施設面だけでなくソフト面についても言及する必要がある。

  組織的な活動も重要であり、教職員の役割分担や、協力体制を整備し、いつでも柔軟に対応できるようにしておく必要がある。そのためには、教職員の学校安全に関する共通理解が必要である。

  平成7年に起きた阪神淡路大震災の際に、教職員が献身的な努力をして、児童たちの自立の促進に大きな役割を果たしたといわれている。また、中学生や高校生もボランティアとして活躍し、地域と学校が密接に連携し、地域に開かれた学校となったという例からも、学校と家庭、地域社会との関係は非常に重要である。

  学習指導要領では現場学習や開かれた学校を目指しているものの、昨年の池田小学校の事件以降、閉鎖的な傾向になっていることに違和感を感じる。開かれた学校を目指すには1つでも自由に出入りのできる門が必要であり、安全管理と安全教育を徹底しながら積極的な地域開放を推進していくべきではないか。

[瀬渡委員]資料3  小学校の防犯対策の現状と保護者の意識
  奈良・京都・神戸において聞き取り調査を行った結果、池田小学校の事件以前の小学校の状況として、観光客の通行が多い地域では、校門は常時開放され、学校を展示館と間違えて入校してくる人がいても、あまり気にかけない様子であり、危機管理意識は薄かったといえる。また別の学校では1階のトイレの借用を装い、案内した生徒がトイレに連れ込まれ、いたずらされる事件もあった。全般的に学校は公共施設であるとの理由から、トイレを借用する人が多い傾向があった。

  夜間については、調査した学校全てにおいて機械警備をしており、校舎には侵入されないものの、プールへのいたずら(ごみの散らかし等)や運動場への侵入があった。

  携帯用防犯ブザーを購入し、遠方通学の児童へ貸与したり、擬似監視カメラを設置し、センサーで音を鳴らすことにより侵入者を威嚇したりしている学校もある。

  池田小学校の事件以降、ハード面の対策として、まずアクセス制限、監視性強化、警報・緊急通報設備の3点に分類し検討した。正門については登下校時は開放されているが、始業後は門を閉めている学校がほとんどである。一方、京都市の学校は開かれた学校を目指していることもあり、開放されている学校もある。

  教育委員会の主な取り組みとして、奈良市ではサイレントハンドマイクを学年に1台と「特別警戒中」という奈良市教育委員会と奈良県警による大きく目立つ看板を校門に設置していた。また、京都市の場合は防犯カメラ、モニターテレビ、出入者感知センサーを設置しており、神戸市では、学校と県警とのホットラインを敷設し、囲障等のない学校には警備員を配置していた。

  池田小学校事件以降、防犯対策における監視性強化として,奈良市の学校では防犯カメラを設置し,京都市の学校では地域の寄付により防犯カメラを設置していた。見通しの確保としては、植栽を伐採したり、くもりガラスから透明ガラスへ替えたりする等の対応を行っていた。警報緊急通報設備では奈良市ではサイレン付きハンドマイクを職員室や各学年の主任の教室に設置した。

  池田小学校事件以降のソフト面の対策としては、人で守ることが大事であることから、登下校時の校門での立番や保護者の協力を得ての校区のパトロールを行っていた。そして校区内で保護者が買い物をする時に、自転車のかごの前面に「校区パトロール中」という札を貼る等、取り組むことの容易な防犯活動から実施していた。

  不審者侵入想定の避難訓練等は児童の教育との関連からも行い難いことも想定されるが、学校によっては、児童に不安感を与えないような避難訓練を行っているところもある。

  緊急通報のベルが鳴ると、児童は興味を持ち、鳴った方向に集合する習性があり、むしろ危険な場所に来てしまうこともあるため、音のする方面は危険だという指導をすることもあった。

  学校施設の防犯に関するアンケート調査を行ったところ、開かれた学校とは門が開放されているということではなく、地域と連携した授業や行事を行うこと、そして様々な学校の情報を開示していくことであるということであった。また、学校の安全を守るために保護者や地域社会はもっと学校に関与すべきだという問いに対して約8割が賛成であった。

[吉村委員]資料4  安全の環境デザイン  領域化  
  住宅において雨戸や格子をなくすことで、住居内に人がいることが認識でき、かつ、塀を設けないことにより、周囲の自然監視による防犯性能を高めることが可能である。

  阪神淡路大震災以降、建設された高層集合住宅では、2階のバルコニーが外部から入りやすく、そして一度入れば、バルコニーの陰になり、侵入による犯罪が起きやすい。そのため,現在では忍び返しが設置された例もある。

  侵入者は逃げ道を考えて侵入してくることから、袋小路の住宅地では、相互監視が効きやすく、逃げ難いことから防犯上有効であるといえる。

  江戸時代の町において、長屋の間口を開け放しにしておいても、犯罪が起き難かったのは、町角に木戸・番人小屋・自身番所があり、相互監視により、町ぐるみで防犯をしようという意識があったからだといえる。

  英国では「THIS IS A NEIGHBORHOOD WATCH AREA」と標記された標識があり、近隣の人がみてい るという警告を与えることで防犯性能を発揮しているといえる。

  英国では法律で11歳まで鍵っ子が禁止されていることから、子どもの安全に対し、親は神経質である。従って、牢屋のような高い柵によって子どもたちの遊び場が囲まれていても、社会的には認知されている状況である。

  門を開放していても、来客があればすぐわかる位置に職員室・受付を設置することが重要である。

  幼稚園では門の施錠は侵入者対策だけでなく、幼児の道路への飛び出し等も考慮しているため、一概に開かれた学校として正門を開放するわけにはいかないといえる。

  阪神淡路大震災の際に、学校は避難場所となったが、塀や門があったため、鍵を管理している管理人が来るまで避難場所に入れないことがあったことから、その教訓を生かし、小学校改築後には、塀をなくし、低い生け垣とネットフェンスへと替えた学校もある。

  学校の防犯に関する設計について、学校長が変わるたびに設計の意図を説明しなければならない。学校利用者は建築物のもつ性能を良く理解しておく必要がある。

  非日常と日常時の関係として1日常的に使わない設備・機器は非常時に使いこなせない。2非常時のためだけの組織は非常時に役立たない。3日常通らない経路は避難時に使われない。ということがいえる。

  安全面(日常安全、避難安全、防犯)からの学校計画の見直しや、学校開放によるリスクをどのように評価し、そのリスクをどこまで許容するのかという検討が必要である。

  ハード(建築的対応,防犯設備設置)とソフト(人・組織)の連携をどのように図り、維持していくか、また、既設校においてどこまで対応が可能となるか、さらに安定性を含め「地域の  力」にどこまで期待するのか等について検討の必要がある。

  現地視察校での試みはどこまで一般性を持つのか、また日常業務のなかに危機管理をどのように織り込み、さらに安全管理のしやすさと地域開放をどのように両立させていくかについて検討の必要がある。

[野村委員]資料5  警備業の現状と学校に係る警備業務  
  警備業が日本に誕生した昭和37年以降、昭和47年には警備業法が制定され、平成10年には警備員数が40万人を突破し、平成13年には社団法人  全国警備業協会研修センターを設置し、警備員の質の向上,技術の向上を目的に警備教育を行うに至った。そして、平成14年には常駐警備1級という資格を整備したところである。

  警備業務は施設警備業務、雑踏警備業務、輸送警備業務、身辺警備業務の4つに分類することができる。

  施設警備業務の現状としては、常駐警備方式が多い。そして、施設の閉館後において防災上も即応すべき緊急性が無く、第一警戒線で警備可能な施設は機械警備による全面無人化システムが進んでいる。また、施設内のテナント(金融・貴金属・ATM)、特殊施設(原子力・美術館・病院・駅・地下街)、特定地域(新宿・池袋・渋谷)等では機械併用の常駐方式が増えている。機械警備業者は年々増加しており、警備業者数も134社となっている。

  即応体制の整備については警備業法に定められており、遠隔で施設を管理する場合に、情報を受けてから、侵入の有無の現場確認を25分以内(交通の便が悪い等の事情がある地域では30分以内)に行う必要がある。また、情報受信の基地局から40分以上かかる場合には警備員の待機所を設けて、20分以内に現場確認をする体制を整備する必要がある。

  学校警備は常駐警備から機械警備に変わってきている。また、学校施設における常駐警備や機械警備は、無人の状態の時の盗難、侵入の対応であったが、池田小学校の事件のように有人時の侵入ということは想定していなかった。

  安全な領域を確保するために必要最小限の防犯設備を整備する必要がある。そして、正門やフェンスの設置による侵入者の制限、校門近辺の機械設備の設置及び構内の巡回点検による犯罪の早期発見といった第一警戒線の強化が必要となる。また、学校周辺の環境整備の点において、帝塚山学院のように校舎や体育館を警戒線上に配置することで、出入口を最小限にできる。さらにブロック塀からフェンスにしたり、くもりガラスから透明ガラスにすることで監視障害をなくすことも重要である。

  京都市立洛央小学校では、道路に面した児童玄関に監視カメラを設置し、校庭は2階、プールは3階に配置され、校庭のフェンス(防球ネット)を高くしてあることから、第一境界線を強化し、侵入者が侵入しにくいという感覚を与えている。しかし、外部から入り難いということは、内部から出難いということでもあるため、防災時には避難のために直ちに門を開けるということやプールの水を火災時には緊急に使用することからも非常時開錠システムも考慮しつつ、防犯性について考える必要がある。

  出入管理において、学校の構内に駐車場がある場合には、車による来校の際に車内に凶器等を隠すことができ、警備員は常に車内を確認することができないため、学校の構外に駐車場を設けて、校門を通る際には、来校者のみ入校するといった形式をとることが必要である。

  広い構内での監視は大変であることから、職員が校庭から職員室に帰るとき等、構内の死角部分を通って目的地に行くといった迂回監視をすることも可能である。

  学校周辺の環境整備として、高い塀、門を設置しても、周辺の樹木や台など利用して侵入できるため、侵入利用物の撤去をする必要がある。また、監視障害をなくし、通学路の環境整備を行うことが必要である。

  地域による防犯活動として、地域内での挨拶を励行することで、地域全体で外部からの不審者の挙動や特徴を知ることができるといった効果があるといえる。また、警備会社の巡回車による学校周辺の巡回や地域団体・関連企業との連携協力が必要である。

[自由討論]  
  報告書としてまとめるにあたり、自然相互監視による防犯を最優先すべきである。また、学校施設の敷地内だけで防犯対策を講じるのではなく、敷地外からの自然監視等、周辺環境を踏まえた建築計画が必要であろう。このことは防犯に配慮した『共同住宅に係る設計指針』の「基本的な考え方」の中でも述べられている。

  侵入者の接近の制御のためには、どこを開放するかという防犯ゾーニングが必要である。この防犯ゾーニングの実施にあたっては、立地条件や学校特性を踏まえる必要がある。例えば池田小学校のような同一敷地内に他の学校施設がある場合には、敷地(キャンパス)全体のゾーニングと動線計画を検討した上で実施する必要がある。

  周辺地域と連携してソフト・ハード両面からの防犯まちづくりをしていく観点が必要である。国土交通省においては、団地や道路等の計画において、防犯まちづくりを奨めているところであるから、今回の調査報告にあたって学校サイドからも防犯まちづくりを奨めていく考え方や方針を示していくことが必要である。例えば池田小学校の正門付近は人通りが少なく、更に周辺の団地は学校側に居室の窓が向いておらず、自然監視が望めない環境にある。そのため、今後の学校の建て替え等にあたっては、団地における防犯の取り組みと連携して進めていくことが必要であろう。

  博多小学校や打瀬小学校のように周辺に開かれた学校では、施設の機能に対する校長先生の理解があったため、非常時にも対応が可能であろうが、その学校施設の機能の理解が無ければ、有効な防犯対策が解らないままという状態に陥ってしまう。一方、既存学校の場合では学校構内の死角部分や学校施設の問題点を把握しておく必要がある。また、学校施設についての防犯に関する安全教育は今後、ますます重要となってくるであろう。

  安全教育として、これまでは災害時の避難訓練を行ってきたが、防犯訓練についても新たに行っていく必要があるといえる。例えば東海村のような原子力事故の場合は、通常の避難訓練と異なり、校舎内に入る必要があるため、避難方法と事故対策をよく考える必要がある。

  帝塚山学院、トキワ松学園と打瀬小学校とは互いに防犯に関する考えが相反する学校であるが、どの学校も今まで事故がなかったということである。全国一律の学校安全管理対策のための指針をつくるのではなく、地域や学校、児童生徒の特性等を踏まえた学校ごとの安全管理を行っていくことが重要である。

  日野小学校や池田小学校の事件を特異な事件と解釈して、学校安全を考えていくのか。または、類似した事件も残念ながらあり得るという前提で考えていくのかによって、協力者会議の方向性が変わってくるのではないか。

  打瀬小学校のような開かれた学校での管理体制や避難に対する設計者の意図を、その学校の先生たちが受け継いでいくことで、施設の機能を有効に生かすことができる。安全管理を継続させていくためにも施設管理マニュアルを作るべきである。

  池田小学校の事件のような犯罪だけでなく、日常の児童生徒のいろいろな事故に対応することが学校の役割である。本協力者会議における防犯レベルの設定については、日常的な安全管理を考慮しつつ、侵入者を防ぐ学校施設のあり方とすることが良いのではないか。

  日野小学校、池田小学校の事件を特異とみるかどうかに関わらず、犯罪発生の認知とその前兆をどのように捉えるのかということが必要であり、警察への通報体制、犯罪者の侵入抑制(学校施設に入り犯罪を起し難いと思わせる。)が重要な対策である。

  防犯管理を継続するためにマニュアルを作成することは防犯の第一歩である。そして、学校に防犯担当者を配置し、教育委員会等が監査をするようなシステムをとらない限り、また同様の惨禍が起きてしまう恐れがある。マニュアル作成は第一歩であり、その上で、マニュアルを活かして行くための人材の確保が大事である。

  防犯対策だけでなく、いじめ問題等、様々な学校への要請や教育課題があり、組織の中でその都度、取り組んでいるが、月日が経つに連れ、当事者意識が薄れ忘れられてしまうのが現状である。しかし学校長としては児童への安全教育と教職員の管理の両面から緊急時の訓練の持続をすることが重要であると認識している。

  普段、使用しないものは緊急時には使えない。月1回避難訓練を行っているが、児童に対して、いろいろな避難のタイプを想定して行うことは困難である。そのため、大勢で動く場合には単純な行動を考える必要がある。非日常を想定した避難訓練では単純な行動を徹底して繰り返し行い、指導していくことが重要である。

  侵入者を想定した訓練については、高学年の児童は訓練の趣旨を理解し実施することが可能だが、低学年の児童に対しては、そういった訓練を指導し難いのが現状である。

  教職員には多数の仕事があり、科目指導だけでなく、しつけ等も行っており、防犯や避難訓練の研修のための時間が足りないことも事実である。

  教職員は児童の登下校時に通学路の巡回をしたり、休み時間には児童とともに運動場に出ることで、人の目による防犯活動を行っている。

  非常に予算をかけて防犯対策を行っている学校もあるが、そのことによって過信が生じることがあるのではないかと思う。防犯カメラを設置し、警備員を駐在させてはいるが、緊急時の連絡体制等はまだ出来ていない学校もあった。まずは人で守るといった危機管理意識の維持が重要である。

  現在、各学校が防犯対策を行っているが、その学校ごとに防犯診断を行い、各学校の防犯対策のレベルを知るとともに、防犯レベルを上げるための支援も必要であろう。

  機械警備が過重になっても、機械警備に頼ることで逆に人の防犯意識が薄れてしまう恐れがあるため、機械警備についての記述については留意する必要がある。

  池田小学校のように校舎をロの字型にすることで防犯上、中庭は安全となる。一方、強風時には中庭に風がたまったり、地震時にはガラス片が落ち危険となることから、ロの字型校舎は好ましくない面もある。従って、報告書にはロの字型が防犯上ふさわしいといった記述ではなく、総合的に勘案することが重要といった記述が望ましい。

  学校におけるバンダリズム(スプレーによる落書や故意によるガラス破損)といった予兆を示すサインを知ることで犯罪を事前に予測し、対策を立てることができるため、海外調査の際には、そのような考え方で防犯対策を行っているかどうか留意して頂きたい。

  京都市の学校グリーンベルト事業は大変参考になるといえる。それと同じように英国では自治体と地域からの包括的な補助金により、学校に防犯カメラを設置したという例がある。そして学校と地域と自治体の3者により防犯レベルを設定し、学校を守っている。

  施設調査を行った学校の中で、警備員を常駐させている場合の年間費用は1,100万円〜1,400万円ということであるが、公立学校では可能であるのか。また、地域の人々や保護者との連携が必要であるということだが継続的にできるのか。公立学校でも予算的に可能であり、かつ継続的にできる防犯対策が必要である。

  学校ごとに地域の特性を生かした防犯対策が必要と言えるが、できるだけ具体的に記述しなければ、現場は戸惑ってしまうため、可能な範囲で具体的に記述する必要がある。

  博多小学校の校長による「施設の力・人の力・モノの力」という防犯対策の手段を明確にすることが必要である。

  防犯対策をいかに行うかということだけでなく、児童たちに安心感を持たせる施設とすることが重要である。


 
(3) 今後の日程について
次回の会議については、予め各委員の都合を確認した上で、5月中旬を目途に開催することとされた。


(文教施設部施設企画課)

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