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学校施設の安全管理に関する調査研究について

2001/12/04 議事録
学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録

学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録

【日  時】 平成13年12月  4日(火)  15:00〜17:20

【場  所】 学術情報センター203会議室

【出席者】
[協力者] 伊藤  智,宇佐美絢子,生越詔二,工藤和美,斎藤能,定行まり子,佐野康廣,瀬渡章子,谷口賢司,長澤  悟,野村晶三,増谷信一,安井義和,山本俊哉,吉澤晴行,吉村英祐  (敬称略)
[事務局] 小田島文教施設部長,萩原技術参事官,施設企画課長
中村企画調整官,大西係長  他

【資  料】
資料1   学校施設の安全管理に関する調査研究について
資料2 学校施設の安全管理に関する調査研究の検討項目(案)
資料3 学校施設の安全管理に関する調査研究のスケジュール(案)
資料4 学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議の議事内容の公開について(案)

参考1 幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理に関する通知
参考2 学校の安全管理に関する平成14年度概算要求等について
参考3 小学校施設整備指針における防犯対策に関する記述部分
参考4 「小学校施設整備指針(平成13年3月)」
参考5 「中学校施設整備指針(平成13年3月)」
参考6 パンフレット「みんなで考えるこれからの学校施設(平成13年10月)」
参考7 「学校開放のための施設・環境づくり(平成7年10月)」
参考8 「複合化及び高層化に伴う学校施設の配慮について(平成9年10月)」
参考9 「高齢者との連携を進める学校施設の整備について(平成11年6月)」
参考10 学校で発生した刑法犯認知件数
参考11 共同住宅に係る防犯上の留意事項
参考12 防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針

【会議概要】
(1) 開会

(2) 文教施設部長挨拶

(3) 委員及び事務局紹介

(4) 主査選出
主査は長澤委員に決定する。

(5) 議事

【議  事】
 
(1) 学校施設の安全管理の在り方について
事務局より資料1〜3,参考1〜13について説明

(2) 自由討論
 
  我が国における刑法犯認知件数は昭和21年に約138万7千件,昭和48年に約119万件,平成12年に約244万3千件となっている。特徴としては,刑法犯認知件数は終戦直後から昭和48年までは長期的には減少傾向にあったが,それから約30年経過した平成12年には約2.05倍に増加してきており,現在,一般的に言って治安は悪化している状況にある。

  学校での刑法犯認知件数には大学等も入っており,具体的なデータはないが,小中学校等と比較して大学等における窃盗等の件数は多いと見込まれる。また,被害現場が学校内には限らないが,被害者に関する統計によると,小中学生等が占める割合は,脅迫が4.3%,恐喝が24.9%となっている。さらに,強制わいせつの全被害者数の31.5%が中学生以下で占められており,その内,小学生は19.5%となっている。子どもたちの安全が脅かされており,子どもたちを守る対策を講じることは早急の課題となっている。

  阪神淡路大震災の際に,多くの人々が学校に避難するとともに,学校内でのボランティアの協力等もあり,開かれた学校とすることの重要性が認識された。池田小学校の事件以降,全国各地の学校で管理体制が整えられてきているが,地域の人々等が学校に入りにくい印象となる体制づくりとなってはあまり良くないのではないか。

  学校施設を計画・設計する際には,単に施設を造るという観点だけではなく,学校で起こった様々な事件,事故等を教訓とする必要がある。

  学校の先生方が安全管理の点で苦労していることは,学校内への人の出入りのチェックである。一般的に言って小中学校には,グラウンドや校舎裏等があり,侵入しようと思えばどこからでも可能であり,そういった意味からは校門に1人警備員を配置するだけでは対策は万全とは言えないのではないか。

  各学校が立地する地域には様々な特性がある。例えば,地域の人口が減少傾向にあり,いかに学校施設を利用して地域の町づくりをするか等の課題がある場合,地域の方々が学校の中の様子を見守ってくれる状況を作るなど,地域が参加しやすい体制で学校施設の安全管理を行うということも考えられる。

  現在,我が国の小中学校では防災対策ということで耐震補強工事が行われているが,単にコンクリート壁を増やすというだけではなくて,その際,PTAや地域の人々が集まるサロンのような場を作って,学校の安全管理に貢献してもらうということも考えられるのではないか。

  校外からの侵入者による犯罪に対しては,共同住宅における防犯のための指針も参考になるとは思うが,池田小学校のような事件の場合には,単に施設面による管理の強化だけではうまくいかないのではないか。地域で学校を守ることをソフト及びハードの両面で考えていくことが重要であり,顔見知りの地域の人々が学校に入ってもらえる空間作りをしていくことが大切であろう。

  学校によっては,校区が広くて,地域あるいは父兄が自分の町の学校という意識があまりない場合もある。地域の人々の関わり合いと学校における犯罪にはどのような相関関係があるのだろうか。

  建築関係の雑誌等にとりあげられる立派な学校は,我が国全体からすれば,ごく一部であり,それらをもって日本の学校水準は向上し,開かれたといえるのであろうか。また,都会の大規模な学校と地方の小規模な学校とでは建物を構成する建築的な手法も異なり,地域との繋がりも違うことを考慮する必要がある。

  阪神淡路大震災の際に調査をしたが,避難場所として学校を思いついたのは,その学校を卒業した人や,子どもたちが多いということであり,心理的にその学校が地域と繋がりが深いのではないかと思う。

  共同住宅の場合は比較的,狭い範囲での監視であるのに対し,学校は非常に立場の弱い子どもたちが多くいて,敷地も広いこともあり,今まで以上の知見が必要となるのではないか。

  学校における防犯対策として,現在,登下校時に門を閉じたり,開放する場合は防犯カメラを設置したりしている。また,人の出入りの管理は職員,外来者,全員に名札をつけ,名札のない人には気をつけるように子どもたちに指導を徹底している学校もある。ソフト,ハード両面で様々な対策があるが,各学校の日常の体制や,地域との連携の程度が関係するので,一つの対策をすれば,それで良いと言うことではないと思う。
  
  防犯カメラの設置等の予算措置が,例えば,地方交付税で講じられていること等について,学校では良く知られていない場合もあり,広報活動等も必要ではないか。

  近年,社会をアピールするような事件が多いが,安全に関して個々の事件だけに対し解決するのではなく,長続きするような防犯対策なり安全管理の在り方を考えていく必要がある。本調査研究協力者会議では,形のある長続きする指針を構築していくことが重要であろう。

  幼稚園では地域開放により地域の人々が訪れたり,PTAの方々も毎日,園内で活動をし,老人会の人たちとの交流会等を実施しているところもある。また,業者等は保育時間以降に来てもらう等の工夫を行っている幼稚園もある。

  池田小学校の事件以降,幼稚園での安全対策として,例えば死角を無くすため樹木を伐採したり,必要時以外は門を閉じたりしているが,外部からの侵入対策と同時に園児たちが道路に出て交通事故に遭わないようにすること等の安全性についても考慮する必要がある。

  部屋に笛を置いたり,防犯ベルを設置すること等も検討しているが,実際に女性の先生が犯罪者と渡り合えるかどうか等,課題が多いと認識している。

  ハード面として門,柵等の安全管理対策を行っても,池田小学校の事件のような確信犯により学校に侵入された場合,学校は防ぎようがないというのが正直な感想である。また,小学校は女性の先生が多いため,犯罪者が学校に侵入した場合に,どのように対応できるのかということに非常に不安感がある。

  学校では現在,地震,火災を想定した避難訓練を行っている。また,池田小学校の事件のような事態を想定して訓練をする場合にも,大人を信用するなと教えることはできない。難しいことだが,PTAの方々と話合いながら,子どもが大人に不信感を持たせないような指導を行う必要があり,子どもたちに,自分の安全は自分で守るということを指導することも必要ではないか。

  私立学校では,通学範囲が広いので,電車通学中や夕方の暗い時間帯の下校時に被害に遭うこともありうるため,自分の身は自分で守るということを十分指導している。また,下校時に駅に着いた際には,児童の安全を確認するために携帯電話を持っていることが必要となる場合もあり,マナーの問題も含め,その対応を考えていく必要がある。

  池田小学校の事件以降,早急に全国の学校でPTAの臨時役員会,集会が開催されたことからも,父兄の方々は児童を自分たちの手で守る意識が強いと認識している。PTAの方々が不審者からどのように児童を守るかといった検討会を行い,校門で名札を付ける等,様々な方策を出している。

  PTAでは防犯に関する対応策の事例を全国的に収集し,子どもの安全管理に関する事例発表を兼ねたシンポジウムを開催すること等を予定している。

  学校への侵入者対応マニュアルがあっても,実際にどう使うかについては,先生一人一人の問題になってくる。また,防犯対策としては,機械警備もあるが,やはり最後は人が対応することが必要だと思われる。しかし,学校の先生方は警備等の本職ではなく,従って不審者に太刀打ちすることは到底できない。むしろ警備の専門の方が学校にいて,防犯対策を講じた方が機械警備よりもいいのではないか。

  安全性を重視するために門を1ヶ所に限定しても,年月が経てば,利便性を求めて他の門も使用してしまうことがあるので,安全性と利便性との兼ね合いを考慮することが大切である。

  監視カメラをあえて見える場所に設置することで侵入者を遠ざけ,子どもたちが安心できると    いった効果もあり,そういった意味からの学校施設の安全管理も必要である。

  確信犯に対し物的なもので守るのは不可能だと思う。また,開かれた学校について,門が開いたことと結びつけて考えるというより,地域と結ばれた学校と考えるべきである。学校の余裕教室を利用して地域のふれあいのための催しを実施する等,常に地域の方が学校にいて,外から学校の状態が見えるという状況にすることが効果的であると思う。また,被害が多いのは登下校時であることからも,登下校時には地域の方々の引率を行う等,学校だけで対策を講じるのではなく,児童を守る地域の環境を作っていくことが必要であると思う。

  防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針に記載されている4原則(監視性の確保,領域性の強化,接近の制御,被害対象の強化・回避)は学校でも適用できるのではないか。

  学校施設の防犯対策としては,対象とする犯罪をどう設定するのか,どこに視点を置くべきか,また目標とするセキュリティーレベルはどの程度にすべきか等を決めることが重要である。

  警備とは,そもそも無人の状態で外部からの侵入を予防し,物の盗難等を防御するというものであるが,池田小学校の事件は,有人である状態の中で侵入され,凶悪な犯罪が行われるという大変特異な事件である。被害の軽減方法,施設面での対応等を警備業界でも現在検討しているところである。

  通常は学校内よりも通学路上の方が被害に遭うことが多いと思うが,本会議における学校施設の安全管理について,どの範囲まで考慮するかを検討すべきであろう。

  ハードのみで防御を考えるとやればやるほど厳重に囲いを作っていくことになるため,ソフトとの連携というのが非常に重要である。安全教育との連携による施設づくりが必要であり,その際,地域との連携を考慮することは重要であると思う。

 
(3) 今後の日程について
事務局より,資料3に基づき,今後の予定について説明。次回の会議については,予め各委員の都合を確認した上で,1月下旬を目途に開催することとされた。


(文教施設部施設企画課)

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