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学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第45回)議事録

1. 日時
平成17年12月14日(水曜日)10時〜12時

2. 場所
文部科学省9階 省議室

3. 出席者
(協力者)
飯塚哲、上野淳、衞藤隆、長田美紀子、加藤幸次、北浦かほる、佐古順彦、高際伊都子、丹沢広行、辻村哲夫、長澤悟、成田幸夫、林トシ子、増谷信一、屋敷和佳、山上隆男(敬称略)
(事務局)
大島施設企画部長、舌津技術参事官、岡施設企画課長、山さき企画調整官、山下文教施設環境対策専門官、廣田指導第一係長 他

4. 資料
資料1   学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第44回)議事録(案)
資料2 「教室等の室内環境の在り方について」(案)

5. 会議概要
1  開会
2  議事
  (1) 教室等の室内環境の在り方について
(2) その他
3  閉会

6. 議事
(1) 教室等の室内環境の在り方について

<教室等の良好な環境の在り方について>
 事務局より、「教室等の室内環境の在り方について」(案)について、資料2に沿って説明。

 以下、自由討議。

 第3章の3「多様な教室環境づくりの創意工夫の事例(天井高さを中心として)(以下、事例とする)」の中で紹介されている事例は、p10の教室の天井高さに係る計画・設計上の留意点にある14の観点について、全て網羅されているものか。

 一つ一つの項目に対応しているわけではない。例えば、2室内環境における通風、換気、あるいは、防音についての事例が挙げられているわけではない。事例の室内環境を計画・設計する際にはこれらの点について留意されているが、これらの点について網羅的に事例を挙げているわけではない。

 それは、事例がないからなのか。それとも、事例を出さなくても理解してもらえるということなのか。

  14の観点について配慮された事例を選んでいる。

 格子天井の事例が多い。格子天井は空間的に優れていると思うが、どのように掃除するかというような維持管理について考えると、教室等の良好な室内環境を確保することは少し難しいのではないかと思う。

 格子天井の事例は、天井高さの3メートル規制があったときに、児童生徒の学習・生活空間をできるだけ良好なものにするための苦肉の策だったのではないかと思う。

 格子天井は、学齢段階にかかわらず、天井高さが一律であることはおかしいという考え方から、例えば、小学校の低・中・高学年毎に天井高さを変えたいと考えての一つのアイデアである。

 格子天井はメンテナンスが難しいのではないかと思う。教室等の高い場所を掃除するとなると児童生徒では危険であるから、教職員が対応することになる。教育現場において、実際にきれいに維持していくことは難しいのではないかと思う。

 ハイサイドライトについても、数年程度はきれいであろうが、メンテナンスのコストがかかることを考えると、実際にきれいに維持していくことは難しいのではないかと思う。

 メンテナンスという面では、例えば、天井から吊されている照明については1年に2、3度、教職員が電球を交換する。事例にあるような非常に天井が高いものについては、照明をどのように取り替えればよいのか分からない。

 格子天井については、別の角度から魅力的だと考えている。天井高さの3メートル規制の撤廃後、とりあえず実行できることは格子天井ではないかと思う。現在使用されている建材では天井からモノを吊り下げることができない。格子天井は学習環境を構成していく上でダイナミックな展開を可能にすると思う。確かに清掃という面では気になるが、現場の人間からみて、より積極的な意味から事例として挙げた方がよいのではないかと思う。

 多様で良好な教室環境づくりを阻んできた要因の一つとして、具体的な学習形態とスペースの関係について、これまで現場教師の発言が少なすぎたのではないかと思う。大きな要素の一つとして扱われなければならないのではないかと思う。本文中には、p8の1(1)の2行目「多様な教育内容・方法等への対応」や(2)の2行目「教室環境の計画・設計に当たっては、何よりも児童生徒を含めた利用者の視点を重視し、学校関係者の学校づくりへの積極的な参画を促しながら、理解・合意を求めていくことが重要」と記述されているが、p10「教室の天井高さに係る計画・設計上の留意点」14の中に具体的な学習形態とスペースとの対応について盛り込むことができないかと思う。

 事例の中に「オープンスペース」が挙げられているが、中には家具が配置されていない写真がある。これはこのスペースが教育の中で活用されていない証拠である。豊かな教室環境をつくるためには現場教師の責任についても文言として盛り込みたいと思う。

 この報告書の中で具体的な学習内容や方法にまで立ち入るのは難しいのではないかと思う。p9の2行目で「教職員」という言葉を出しており、この会議の性格上、その文言を記述しただけでも十分ではないかと思う。また、教職員が入ってくると空間を閉じてしまう傾向もあるように思う。

 この会議では学校の教室の天井高さを中心に議論し、児童生徒の視覚的、心理的な影響など物理的な要因を扱ってきている。その中で、多様で良好な教室環境づくりを進めてほしいという観点から、教職員等の関係者の参画も必要であるということを記述している。さらに、ここで、具体的な教科の授業について特定しながら触れるということは悩ましいのではないかと思う。

 具体的な教科の授業について各論まで記述する必要はないと思うが、天井高さと関連して、例えば、オープンスペースを設計するときに、学習形態を一緒に考えることが必須条件ではないかと思う。つまり、その空間でどのような活動を行うのかということを具体的に理解しないと天井高さについて議論することはできないのではないかと思う。

 第2章の1の(2)「1多様な学習環境への対応」のp3の下から3行目に「教育内容の特性を踏まえた学習活動、一人一人の児童生徒に応じた指導など、今日の多様な学習形態に対応するために、教室及びその周辺の多目的スペースの空間構成・形状等について、関係者の創意工夫の下で」と記述されており、それを踏まえた上で、第3章の1「(1)多様な視点からの総合的な検討」の上から3行目に「…学習形態、学習内容…への対応などを分析・検討し…これらの諸要素に応じて…」と記述されており、今の議論はこの中で整理されている。

 自分の学校設計に携わったことがあるが、議論に参加したときは既に基本設計が終わっていて、オープンスペースや採光などの大枠の設計は既に固まっていた。p9の5行目に「学校・地域・行政が一体となって積極的に学校づくりに参画している」例があると記述されているが、例ではなく、設計の段階で携わることを提言として書いた方がよいのではないかと思う。

 川崎市を例に出すと、平成14、5年から「基本設計」の前に「基本構想」という段階を導入していて、学校の先生方や地域の方の意見や専門的な新しい教育環境の考え方を取り入れるようにしている。こうすると、学校の先生方や地域の方の思いが取り入れられるので、学校ができた後も効果が見られるように思う。

 今の議論については、p9の1行目に「多様な教室環境づくりを促進していくためには、設計着手以前の企画の段階から、教職員や、保護者、地域の人々、行政関係者、専門家等の関係者が参画するなど、学校・地域・行政の緊密な連携協力を図るとともに、教室を利用する児童生徒の声にも配慮した教室環境づくりを進めていくことが重要である」と書き込んでいる。

 p9の1、2段落については一緒に扱ってもよいのではないかと思う。具体的には「企画の段階から」とあるが「企画の段階から、基本構想、基本計画を通じて」と記述してはどうかと思う。

 p8の2つ目のパラグラフの4、5行目「本来、学校が持つべき良好な教室環境が十分に確保されなくなるおそれもある」は少し表現が弱いのではないかと思う。「十分に確保されないようなことがあってはならない」とか、あるいは「そうならないように注意する必要がある」というようにもう少し強めに書き込む必要があるのではないかと思う。

 p8の3つ目のパラグラフの1行目「つくっていってほしい」は少し弱いのではないかと思う。「つくっていくことが求められる」というように期待よりも、もう少し強く書き込む必要があるのではないかと思う。

 p8(2)1〜2行目「まちづくりの核、生涯学習の場として地域社会において最も身近な公共施設であることなどから」に続いて「教室環境の計画・設計に当たっては」とあるが、これは少し話が飛びすぎているのではないかと思う。

 天井高さの3メートル規制は特別教室にも適用されていたが、この報告書の中で扱われている教室は普通教室に特化されているのではないかと思う。例えば、p10の1空間構成の中で特別教室について、例えば、音楽室では天井を高く確保するなど、その活動に見合った空間が必要であることを触れておいた方がよいのではないかと思う。

 以前に窓側に梁が垂れているかいないかで空間の開放感がかなり違うという話をしたことがある。どのように教室内部の展開を設計するかアピールすることは大切であると思う。高さの問題について、天井高さだけでなく、例えば、子どもが椅子に腰掛けたときの窓枠の高さに対して抱く心理だとか、もう少し全てにおいて考慮していくことが重要だということをどこかで整理する必要があるのではないかと思う。

 建築基準法には採光面積の基準があり、例えば、ある規模の教室を想定すると、その教室に必要な窓面積を算出することができる。ここで、天井高を下げて設計したときに必要な窓面積を基準通りに算出すると、腰壁が低くなってしまい転落のおそれが出てくる。転落防止の事例について触れておくべきではないかと思う。

 p10の4その他の中で「階高や天井高さの設定について十分に検討する」とあるが、「将来的な変化に対応するため、階高や天井高さについて、十分に天井懐(天井と上の階の間の空間)を確保することが大事である」というような記述を入れておいた方がよいのではないかと思う。

 これからの学校施設の整備は耐震補強がより行われるようになると思うが、耐震補強に伴って天井高さを検討することも出てくるように思う。このときに採光面積が悪化するおそれがあることを書いておいた方がよいのではないかと思う。

 格子天井については、大規模改修等により教室をオープン化した際に吸音性を確保するため、天井面に設置した吸音材料を直接見えないようにするアイデアとして使用する。また、木を活かした学校づくりや天井からモノを吊るすためのアイデアとしても使用することができる。

 健康面について、昨年度末に文部科学省において全国の小・中・高校生を対象にした調査を実施したが、アレルギー性鼻炎の子どもは約1割もいる。学校の室内環境という観点からはアレルギーに優しい室内環境をつくる必要があると思う。例えば、素材にしても、ダニやカビが発生しにくいものが大事であると思う。今後問題になってくるのではないかと思う。

 事例について、新築のものが多いのではないかと思う。今後は耐震補強などの改修に併せて天井高さについても検討するような機会が出てくるのではないかと思う。

 先程出てきた採光や窓からの転落防止など、改修後の教室を利用するときに新たに必要となる配慮や今後起こりうる問題について記述できたらよいのではないかと思う。

 p9の上から10行目に事後評価について記述されているが、その責任の所在も明確にした方がよいのではないかと思う。

 天井高さの改修事例について、現時点ではこの報告書に出せるものが少なかった。

 この報告書は基本的に天井高さを中心にまとめている。したがって、先程から、ご意見を戴いている安全等その他の問題については「学校施設整備指針」の中で整理することを第3章の頭で示している。

 採光面積については安全性を確保する観点から、安全ガラスの使用、バルコニーの設置などが考えられる。また、採光自体はトップライトやハイサイドライトで補うことも可能である。

 事例について最先端のモノが多い。良好な室内環境を確保するためにはここまでやる必要があるのかというような印象がある。もう少し、リーズナブルな事例があってもよいのではないかと思う。

 田舎に住んでいると事例に載っているような学校に憧れる。新築ではなくて、改修してもこのような学校にすることが可能であるような事例があれば有難いと思う。

 事例については、天井高さに関連するモノに限定して集めているので少なくなっている。

 「今後の特別支援教育の在り方について」という答申が出されており、この中で、個別指導の重要性が示されている。事例の中に、個別指導を可能とするような小さな空間の事例も入れて貰えると参考になると思う。

 事例の教室について何人くらいのクラスか分かると参考にしやすいのではないかと思う。

 p9の点検評価について、もう少し強調した方がよいのではないかと思う。学習形態と教室空間の対応がいずれ求められてくるのではないかと思う。点検評価というよりむしろ事後評価というような多面的な評価について触れていただけたらと思う。

 もともとの議論が、既存の建物について、階高が限られている中でどのように対応できるかといったことを検討してきている。改修事例が少ないというのは矛盾しているように思う。天井高さの3メートル規制の撤廃後も既存の建物の天井高さが限定されている中で事例に載っているような豊かな環境をどのようにつくっていくことができるのかといったジレンマを解決できていないように思う。

 地方分権や規制緩和の流れの中で、教育行政と学校建築をよくしようとする理想との間にギャップを感じている。厳しい財政事情の中で、新たな空間の在り方が問われていると思う。厳しい財政状況を踏まえ、どのように教育環境を保持していくことができるのか見直しを考える時期にきているのではないかと思う。

 (公立学校については、)補助件数が1,000件くらいある中で新増築は80件程度である。改修が多い状況にある。

 良好な教室環境づくりを進めていく上で、アスベストや耐震化などの様々な問題は解決されているのか。

 特に緊急性が高いといわれているのがアスベストである。調査については、学校関係で8割強程度終わって、残りの2割弱については1月末くらいまでには調査しようと考えているところである。対策については補正で措置しようと財政当局と協議中である。もう一つ大きな課題の耐震化については、この会議で報告書を出したとおり、相当大きな予算が必要であり、リスクの高いものから計画的に実施していく必要があると考えている。また、とりあえず補強だけをやるというのではなく、良好な教室環境の確保など施設の質的整備も併せて行っていくことを求めているという状況である。

 p12の上の写真、p18の下の写真について、家具が配置されている写真があればよいのではないかと思う。

 事例について、課題等の記述があればよいのではないかと思う。

 p15の写真について、ハイサイドライトの右下に直射日光が入っているのが気になる。

 p16の写真について、ホームベースの暗さ・狭さが気になる。

 p17の写真について、ワークスペースにおける学習活動が固定されてしまっているのではないかと思う。

(2) 今後の進め方について
 事務局より、今後のスケジュールについて、説明。

(文教施設企画部施設企画課)


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