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学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第42回)議事録

1. 日時
平成17年8月16日(火曜日)10時〜12時30分

2. 場所
文部科学省現庁舎10階 10F1、10F2会議室

3. 出席者
(協力者)
赤堀侃司、飯塚哲、上野淳、長田美紀子、加藤幸次、北浦かほる、佐古順彦、高際伊都子、丹沢広行、辻村哲夫、長澤悟、成田幸夫、林トシ子、増谷信一、松村和子、屋敷和佳、山上隆男、山重慎二、山本恒夫(敬称略)
(事務局)
大島文教施設企画部長、舌津技術参事官、岡施設企画課長、山さき企画調整官、山下文教施設環境対策専門官、都外川指導第一係長 他

4. 資料
資料1   学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第41回)議事録(案)
資料2 文部科学省におけるアスベスト対策について
資料3 教室の健全な環境の確保等に関する調査研究 報告書(第2次 概要版)
資料4 これまでの主な意見 −天井高さ3メートルの最低基準の取り扱い−
資料5 天井高さ3メートルの最低基準の取り扱いについて 論点整理
資料6 教室等の室内環境の在り方について 報告書の骨子(案)
資料7 教室の健全な環境の確保等に関する調査研究 報告書(第2次 概要版)【抜粋】
資料8 今後の検討スケジュール(案)
参考
教室等の良好な教育環境の確保に係るこれまでの主な指針等
みんなで考えるこれからの学校施設
 「小学校施設整備指針」及び「中学校施設整備指針」について

5. 会議概要
1  開会
2  議事
  (1) 教室等の室内環境の在り方について
(2) その他
3  閉会

6. 議事
(冒頭、事務局より資料2に基づいて、文部科学省におけるアスベスト対策について説明。)

(1) 教室等の室内環境の在り方について

<天井高さ3メートルの最低基準の取り扱いについて>
 上野委員より、「教室等の健全な環境の確保等に関する調査研究」の調査結果について、資料4に沿って説明。

 以下、自由討議。

 p45の「3-8 コストスタディ」における「階高」と「天井高さ」の違いは何か。

 p46の下の図はモデルとした学校の断面図である。例えば、1階の床と2階の床の間の寸法(3,850ミリメートル)が「階高」である。また、1階の天井と2階の床の間には梁のある懐が通常80センチメートル程度あるため、「天井高さ」の寸法は、(Chイコール3,000)である。

 天井高さを低くしている取組について、具体的にどのようなものがあるか。

 p48の上から3番目の写真は、低学年の教室であり、格子天井を設けることにより、見かけ上の天井高さを低くしている。p49の上の事例は、教室の天井を低く、オープンスペースの天井を斜めに高くして、ハイサイドライトを設置している事例である。下の事例は逆に、オープンスペースの天井を低く、教室側の天井を斜めに高くして、ハイサイドライトを設置している事例である。p48の一番下の写真は、天井高さの低い小さな空間を囲んで、子どもたちの遊び場としている事例である。

 p49の教室やオープンスペースの天井高さを高くし、ハイサイドライトを設置している事例は開放的な空間を意図したものであることが分かるが、p48の格子天井を設けることで天井を低くしているものの意図は何か。

 学齢段階に応じて、天井高さに対して子どもの意識に違いがあると思うので、天井高さに高低差をつける方が良いのではないかという考え方を持つ設計者の創意工夫による設計例である。

 p66の(天井高)の「天井高さ」3つ目の「なかぐろ」の記述が一般的な大きさの教室の取組として読み取れる。「サブ空間」であることが分かる趣旨の言葉を入れるべきではないか。

 (仕上げ等)の「木材の使用の有効である」の記述は、報告書のどの部分から書き出されたのか。

 首都圏中心ではあるが、現地調査で訪問した学校においては、全体的に木質の仕上げに一定の効果が認められていたと感じた。

 児童生徒へのアンケート調査結果において、木質の仕上げた良いと評価している学校も見られた。

 p27の「(イ)教室天井高基準を制約的に感じたことの有無」では、天井高さの基準が3メートル以上であることが制約となって、学校施設として活用できないという意味である。

 学校施設以外の建物を学校施設に転用して使用しようとする場合、天井高さの基準が3メートル以上であることが制約となって、学校施設として活用できないという意味である。

 既存の教室等を改修して2重床等にする場合、天井高さが3メートルを切ることになるため、教室としては使用できなくなる等を制約と感じているということである。

 事務局より、天井高さ3メートルの最低基準の取り扱いに関する論点整理について、資料4、5に沿って説明

 以下、自由討議。

 案2を推選したい。ただ、天井高さの考え方を中心としたガイドラインのイメージを示した資料において、一般的な教室の天井高さは、「なお、児童生徒等の学習及び生活のための空間として、2.7メートル程度以上を確保することが望ましい」の「以上」は外して欲しい。「以上」という記述では今までの考え方と同じではないか。「程度」という表現で良いのではないか。

 案2で、ガイドラインの中に天井高さの2.7メートル以上の最低推奨値を残すことは、3メートル以上の基準が撤廃されたにも関わらず、また規制が出来ることになり、中途半端ではないかという考え方もあるかもしれない。

 ただ今の意見に賛成。現行の天井高さの3.0メートル以上の基準が適切であるとは、どのような観点からも、合理的・客観的で妥当な説明をするのは難しい。やはり、法律で縛ることではないのではないか。

 しかし、学校の設置者に対して、この程度が適切ではないかと説明するためのガイドラインを示すことは十分あり得ることだと思う。

 これまで、多くの学校を訪問してきたが、天井高さについても様々なものがあり、天井高さについては既に設置者の裁量により設定されている。「以上」は未練がましい。

 学校施設について、他の施設に転用する、他の施設から転用するという考え方は大事である。新築の学校施設整備が減少している中で、今後、学校施設の整備を推進していくことを考えると、他の公共施設との基準の溝を埋めなければならない。国全体として、公共施設の相互利用を考えなければならない。そのときに「以上」というのは垣根になる。

 ガイドラインの中に、2.7メートル以上のような最低推奨値が記載されない場合、それは、2.4メートルの教室が出来ても構わないということか、それとも、子どもの学習環境・生活環境という観点から、2.4メートルのような教室ができることはよくないということかわからない。2.7メートルを下回るような教室ができることにより、子どもの学習環境・生活環境にマイナスの影響があるのであれば、ガイドラインに明記することが大事だと思う。

 ガイドラインを守らないようなケースを防ぐためには、国として事後的にチェックすることが大事であり、ガイドラインの提示だけで望ましい環境が確保されるか疑問。地方分権の流れは、事前の規制ではなく、事後のコントロールにシフトするのが大事なポイントである。

 ガイドラインの中で、「必要な階高の確保は重要」の記述については、先程の創意工夫や他の施設からの転用という観点から考えると、削除すべきではないか。なぜ、学校施設についてのみ、予め階高を確保する必要があるのか。

 研究会の調査結果では、天井高さ3メートルと2.7メートルについて、児童・生徒や先生の評価に差はほとんどない。場合によっては、2.7メートルの教室の方がすっきりしているという面もある。しかし、2.4メートルについては、3メートルや2.7メートルと評価に差がある。日本建築学会において、中学校で調査研究を実施したところ、中学校は体も大きく、40人弱の生徒がいると、2.4メートルの設営室だと相当窮屈な感じであった。

 ガイドラインについて、小学校の低学年・高学年、中学生、高校生に分けて、それぞれ基準をまるメートルと定めるのは適切ではなくて、やはり、教室の天井高さは2.7メートル程度が標準ではないか。小学生の低学年について、場合によっては2.4メートルもあり得るかもしれないが、中学生、高校生では2.4メートルはあり得ないので、2.7メートル程度が妥当なガイドラインではないか。

 天井高さ2.7メートルの教室は、高さと幅のバランス、プロポーションが良いと思う。児童生徒の 2.7メートルの設営室に対して良い評価が見られるのは、このことが影響していると思う。

 今までの流れから案2にならざるを得ないか。ただし、案1の懸念事項と案2の利点を見ると、3メートル以上だと工夫できなくて、3メートル以下だと工夫できる、というように読み取れる。3メートル以上であっても設計者の工夫で教室空間を計画・設計できると考えられるため、この記述は妥当でない。

 案2の利点について「地方分権や規制緩和の推進に大きく貢献」というのは賛成できるが、「良質なストックが確保される」という観点が抜けているのではないか。

 2.7メートル以上の最低推奨値は、現状の学級規模の人数から導かれている。したがって、人数が変わると天井高さも変わるのではないか。教室の高さと広さには相互関係があって、切り離して考えることはできない。報告書(2次・概要版)を見ると、海外の基準では、面積について、生徒1人当たりの面積か、1クラス当たりの面積を示している国がある。2.7メートルという数字を記述すると、3メートルから2.7メートルに変わったことだけが残る。学級人数との関係でガイドラインの中で示せないか。

 今回の課題は3点ある。1点目はアライアンス(協調)をどのように用意する必要があるか、あるいは、どのような社会状況があるかという点。2点目は、教育環境の質をどのように確保するかという点。3点目は学校を含め、建物を建設する際の課題に対してどのように答えていくかという点である。これらの課題に総合的に対応しなくてはいけない。総合的に検討することが重要であることからすれば、高さだけのガイドラインだけでは、目指すべきことの内容が伝わらないのではないか。

 他の建物への転用を考えて、構造体はある程度の余裕を持ってつくり、中は機能的な変化等に対応できるようにつくるスケルトン・インフィルの考え方は大切である。これからの学校施設整備は、改築から既存利用へ、既存施設の品質を上げて利用していく。設備の更新や二重床を整備しようとするとき、天井高に余裕がないと難しい。天井高さまるメートル以上というのではなくて、どのように利用するかが大事である。階高を低くして、コストを安くする考え方は矛盾している。

 改築から改修の流れの中で、既存の学校施設を改修して質を高める場合、空調設備の設置等の点で、天井高さ3メートルの最低基準を緩めることは効果がある。

 天井高さを低くする場合、天井高さについてみんなで考える時の考え方を示すことが重要である。

 天井高さだけでなく、我が国の学校教育の基盤のメッカである教室について、広さ、人数、面積、換気・通風など様々な側面についても指摘する報告書を作成するのが良いと思う。

 案2の方向でいい。報告書に特に「天井高さ2.4メートル」のデータを付けて欲しい。データを付けておくと、設置者の参考になる。

 現在、中教審の義務教育特別部会で、義務教育の在り方について議論されているが、文部科学省全体として歩調を揃える必要があるのではないか。

 案2で賛成。現在、e-Japan重点計画においても、封通教室の情報化は注目されている。今や、どのような建物においても情報化は当たり前という状況である。

 社会資本の相互利用の観点からは、学校にだけ特別な基準があると有効活用をしにくい。しかし、子どもの豊かな教育環境に配慮しなければならないという観点は大事であり、研究会の調査結果から、ガイドラインに示す数字として2.7メートルは妥当な値ではないか。

 コスト面を表に出すのではなく、様々な面から検討し、情報化や天井高さなどを考慮して、あるべき教室環境の姿を追求し、豊かな施設環境を確保する方向でまとめるのはどうか。

 案2で賛成。学校施設の用途変更の必要性や、特色ある学校づくりの面から天井高さ3メートルの規制は緩和された方がよい。

 2.7メートルより低い数字の場合、どの程度が良いか検討するのは難しい。2.7メートルの数字の位置付けは難しいが、根拠は必要。数字の示し方を曖昧にすると、低い天井高さの教室を設計されるようになると思うが、海外の「最低推奨値」の考え方もそのような経緯から生まれたのか。ガイドラインの中に、「以上」と入れても、罰則があるわけではない。海外の推奨値がどのように守られているか、調べてみてはどうかと思う。

 案2で賛成。「2.7メートル程度以上」という記述を外しても、コスト面でも大きな効果はないという結果が出ており、極端に天井高さの低い建物が数多く出てくる可能性は低いのでは。むしろ、多様な学習環境や生活環境を確保するために基準を撤廃することが表にでないと説得力がない。現場の立場からは、多様な学習環境や生活環境が求められる中、どのような空間を確保するために天井高さの基準を撤廃するかに強く迫ることが重要だと思う。

 また、学校現場では、狭い部屋も必要としている。3〜4人の小グループ用の活動の空間、もう少し閉ざされた空間、天井高さを低くした空間もほしい。

 ガイドラインのイメージの中で、唐突に「収納スペース」が紹介されるのは違和感がある。ITへの配慮や、空調設備等々、いくつかの事例を載せるのはどうか。

 当初は、現場の立場から、天井高さ3メートルの最低基準は継続すべきと考えていたが、これまでの議論や研究会の調査結果から、案2で賛成。今後、学校施設の設備について増えてくる、既存施設の改修について、天井高さ3メートルの最低基準の撤廃による影響などを示せたらいいと思う。

 案2で賛成。学校の設置者は自らが管理する学校施設の環境について責任を持つべきである。自由度が増す分、事後のチェックが必要である。また、子どもの学習環境をどのようにするか、子どもの声を反映することが大事であり、ガイドラインの中に記述してほしい。

 天井高さ3メートルの最低基準が撤廃されることで、どこまで天井高さを下げることが出来るかというような、子どもを『実験』の対象にするような学校が現れるのではないかという危惧がある。

 この対策として、チェックリストを設けて報告を求めることも考えられるが、規制緩和の流れに逆行する恐れがある。多面的に考えた上でどこまで許容できるか、ある程度の数値を示すことは必要であると思う。

 財政事情は、確かに厳しいが、天井高さを低くすることによるコストの圧縮と、設計に自由をもたせることにより生じるメリットのコストパフォーマンスを比較すると、設置者の立場としても、案2に賛成。学校を整備する立場として、出来るだけいい学校をつくろうとする場合、設計者に自由度を持たせた方がいい環境ができるということもある。

 案2で賛成。現在、盲・聾・養護学校の児童・生徒数は増えつづけているが、学校施設について、新築での対応はほとんどない。そのため、既存施設を盲・聾・養護学校の仕様にするのだが、3メートルの規制の壁に当たっている。3メートル基準を撤廃して、転用による既存施設の有効活用の道を開くことが現実的ではないか。

 案2で賛成。しかし、ガイドラインの位置付けをどうするかが課題であり、それにより、打ち出し方で変わってくる。例えば、補助交付の採択上結びつけるかどうかなどを検討することが今後の課題か。

 最近は空調の設置されている学校が増えている。例えば、冷房の吹き出し口の近くにいる子どもへの影響、また、天井高さが低くなることによる最上階の断熱の必要性など、天井高さとの関係をどの程度を関連事項に入れるか検討する必要がある。

 現在、天井高さを決定する基本になっている教室の大きさは、63平方メートルの40人か。

 建築基準法施行令では、50平方メートルを超える「学校の教室の天井高さは、3メートル以上でなければならない」と規定されている。教室を63平方メートルにしなければならないという基準はない。法律や補助基準で縛っているわけではないが、一般的にほとんどの学校が8メートルかける8メートルや7メートルかける9メートルの40人で設定されている。一般論として、これらの教室は狭い。

 案2で賛成。これまでの片側廊下の四角教室で一斉授業を行うような画一的なスタイルから、多様な学習形態を実現するために、天井高さ3メートルの基準を撤廃するということであれば賛成。

 案2で賛成。天井高さ3メートルの基準を撤廃することで、子どもたちが落ち着きをもち、集中力のもてる環境が確保されることが大切である。

 皆さんの意見を踏まえると、本協力者会議としては、現行の天井高さ3メートルの基準を撤廃して、ガイドラインを策定するという方向でまとまったと思う。

<教室等の室内環境の在り方について 報告書の骨子(案)>
 事務局より、資料6、7に沿って説明。
 資料6については、本日の議論の結論に沿って書き込んでいくこととし、天井高さについて、規制緩和することは、良好な教育環境を確保するためというメッセージを強く打ち出していくこととしたい。

 報告書(2次・概要版)の中で、学級規模や密度による評価の違いについて、影響が大きいとされる一方、日本には面積に関する基準がない。諸外国には、教室面積の基準がある国もある。基準が撤廃された後の懸念として、既存施設の転用が進むことにより、面積の狭い教室が出てくる可能性があるため、基準を撤廃するに当たって、1人当たりの推奨面積を出す必要があるのではないか。

 学校施設について、校舎の面積の基準は、小、中、高等学校設置基準に記載されている。

 報告書(2次・概要版)に、参考として、データ、基準類をしっかりと載せていくことで、設置者の判断の重要性を協調する方向を出したい。

(2) 今後の進め方について
 また、本年9月に中間報告として報告書の骨子(案)の「1.〜2.」についてとりまとめ、本年12月に最終報告として「1.〜3.」について取りまとめることとされた。

 学校施設の延床面積については、小、中学校設置基準において、平成14年度に定められている。国庫補助における積算上の基準については、この基準よりも大きなものとなっている。

 ガイドラインは国が示す目安である。地方公共団体の取組に対しては、法令上の根拠がないとチェックできない。このため、建築基準法上の規定がなくなれば、事後のチェックすることは難しいが、地方公共団体の議会の議員は選挙により選ばれているので、それがチェック機能を満たすことになる。

(文教施設企画部施設企画課)


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