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現在の高等学校教育は、生徒が授業を選択できるシステムとなり、生徒の多様な学習ニーズに合わせて、教室を構成していく必要がある。教科教室型の場合は、生徒のホームベースも必要となる。また、生活の場としての役割も重視されてきており、教育面と生活面の両面からの見直しを行う必要がある。また、情報化への対応については、学校を計画する上で重要な要素となってきている。
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小中学校は主に市町村が設置者であり、学校は設計事務所が主に設計するのに対し、都道府県設置の高等学校は技術職員により計画されることも多いため、その計画手法も異なるのではないか。計画のプロセスのあり方についても、検討する必要があるものと思われる。
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小中学校施設整備指針を改訂する際には、教育の多様化を施設面から支援したいという気持ちで臨んだが、義務教育ではない高等学校の指針改訂の意義についても考えてみることが大切である。
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一概に高等学校といっても、大学受験を目指す教育と目指さない教育とでは、学びの体制は大きく異なる。高等学校側で、新しい多様な学習スペースはどれだけ必要とされているのだろうか。
また、新設校だけではなく、既存校の大規模改修にも配慮して検討する必要がある。 |
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自習室については、週完全5日制の導入により、土曜日に生徒が利用することもあり、例えば、施設・設備面でも公共図書館並みのしつらえが必要ではないか。
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高等学校では食堂やランチルームの需要が高く、また、特別教室は老朽化している。さらに、普通教室にロッカーさえもなく、女子更衣室はあっても男子更衣室はないという伝統校もあり、このような現状も踏まえ検討する必要がある。
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学びの姿として、高等学校は大学型で計画するのか、それとも小中学校型かといったことについて、検討することは重要である。
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愛知県では現在、耐震補強に力を入れている。幅広い教科選択等に対応し大学型を目指したいが、特別教室が不足し、建物も老朽化しており苦慮しているところである。
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情報化への対応の観点から言及すると、これからは、コンピューター教室だけではなく、普通教室や職員室にもパソコン等を設置するとともに、コンピュータ教室を中心としたLANを構築することも重要である。
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高等学校施設の課題としては、普通教室でプロジェクターを用いるような場合の管理方法、「情報」教科及び「総合的な学習の時間」の新設に伴うコンピュータ教室や図書室のメディアセンター化への対応、生涯学習のためにIT講習会を実施する際の機器の管理等が挙げられる。
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大阪府では中学3年生が平成12年には約15万人であったが、平成20年には推計で約7万人となるので、高等学校の内40校を半分の20校に統合することとしている。このため、新築のみならず大規模改修にも対応するなど時代に応じた指針に改訂することが必要である。
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学校というものが、子どもにとって魅力がなくなってきているのではないか。情報化や国際化等、家ではできない経験が学校でできれば、子どもをもっと惹きつけるものとなる。また、高等学校は、地域の人にとって、小中学校に比べると敷居が高い印象を持たれているのではないか。
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普通教室や図書室にも生徒たちが自由に使用できるパソコンが必要である。アメリカからの研修生がある高校を訪れた際に、「日本ではノーベル賞受賞者がいるのに、なぜ物理教室や化学教室にパソコンがないのか」と疑問を持たれたことがあった。
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学習の選択の幅が広がるにつれ、教室数が不足してきている。また、教材を保管する倉庫や学習成果を発表する小講堂なども必要である。
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今後、高等学校の統廃合は避けられないことではあるが、むしろ個々の学校施設を充実するためのチャンスととらえ、モデルとなる先進的な取組みを少しづつでも増やしていきたいと考えている。
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学校は生徒の学習の場所であるだけではなく、教員にとっての職場でもある。女性教員の更衣室や休憩室もないという現状は問題であり、ゆとりを持って生徒に対応していくためにも、このような観点から施設面を考慮することも必要である。
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今後の国際化を踏まえると、留学生など諸外国の人と接する場所も必要となる。大規模改修の時こそ施設充実のチャンスであり、そのような内容の指針とすべきである。
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生徒の個性を伸ばすためには、集団教育の場だけでは不十分である。個人学習を支援するシステムは近年充実されてきてはいるが、更に発展させるためには、進路指導だけではなく学習指導のための相談の場が必要となるのではないか。相談の場はあまり広すぎない方が良く、インターネットの利用や他の教室との併用も考慮すべきだろう。
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小集団に対応する生活空間も必要だが、中・大規模な学習空間も必要である。現在、大学においても、少人数授業に対応してフレキシブルに教室を仕切れる仕組みを取り入れているところがある。また、体育館については、日本では防球ネットで仕切るぐらいであるが、ドイツでは防音性能を持った壁で区分することもできている。
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小中学校施設整備指針との整合性が必要である。例えば、地域の人々が利用するクラブハウスなどを充実させ、地域との連携を図るべきであり、少しでも利用しやすいものを整備していく必要がある。
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教室のロッカーの有無や学校開放の程度等については、都道府県による差が大きい。多様な実態を踏まえつつ、いかに焦点を絞って整備指針の内容を検討するかが重要である。
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大学型の教育システムが取り入れられてきているが、高校生を小さな大人と見なすのか、大きな子どもと見なすのかで、学習指導や施設整備の方法も異なってくるのではないか。
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「プライドの持てる高校」という観点が重要である。大学に行っても何をして良いかわからないという生徒もいる。高校では、試行錯誤して苦労して物事を模索したといった思い出を残せる学校環境にすることが必要である。
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中学生や高校生の居場所について研究しているが、生徒にとって自己表現の場が必要とされている。また、今後は、施設のバリアフリー化がますます重要になってくるであろう。
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学校施設整備指針については、学習空間のオープン化や生活空間の充実等、これまで学校施設のあり方について先導するという位置付けがあった。今回の改訂で、財政難や少子化の中でどのように先導していくべきかを考えた場合、相談空間の充実や情報化や国際化への対応等が考えられる。
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現在の指針では諸室単位で記述されているが、各教科や群ごとのセンター的な共通空間についての記述も考慮すべきである。
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高等学校については、昭和40〜50年代に量的な整備が進められており、今後は、新築よりも、改築か改造又は改修といった整備手法が主となってくる。学校施設整備指針を現実に即したものとするためにも、報告書の冒頭等で、指針の位置付けを表現しておいた方が良い。
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範疇は異なるが、ソフト面の一つとして、あふれる情報への対応も念頭において議論した方が良い。
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平成3年頃、日比谷高校普通科はオープン化した教科教室型であったがその後どうなったのか。
また、千葉県立幕張総合高等学校、東京都立新宿山吹高等学校、埼玉県立伊奈学園総合高等学校、東京都立国際高等学校は現在ではどうなっているかなど、それぞれ当時目指していたものを検証し、今回の改訂に活かすことが考えられる。
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