学校施設評価システム検討部会(第6回) 議事録

1.日時

平成20年3月10日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 9階 共用第3会議室

3.出席者

文部科学省

(文教施設企画部)
 長坂施設企画課長、森文教施設環境対策専門官、岡施設助成課長補佐、廣田指導第一係長

オブザーバー

(協力者)
 上野淳、小松郁夫、佐古順彦、新保幸一、長者美里、檜山幸子、屋敷和佳、山口千代已、山西潤一(敬称略)

4.資料

  • 資料1 学校施設評価システム検討部会(第5回)議事録(案)
  • 資料2 学校施設評価システム検討部会(第5回)における主な意見
  • 資料3 学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第54回)における主な意見
  • 資料4 学校施設の評価の在り方について(中間報告素案)
  • 資料5 今後のスケジュール(案)

5.会議概要

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)中間報告案について
    • (2)その他
  3. 閉会

6.議事

  • 資料1から資料3に沿って、第5回部会議事録(案)と主な意見の説明。
  • 資料4について、前回からの変更点を中心に説明。

(1)中間報告案について

1.資料4(はじめに~2章)

【委員】
 13ページの15校の結果だけで全国の学校の満足度を論じることはできないため、「ユーザーである教職員の意識を探る方法を試行的に確認する意味で」のように丁寧に記述した方がよい。

【委員】
 13、14ページにある「総合満足度といくつかの個別要素の満足度の間にも一定の相関関係」を14ページの図の中でどう読んでいくのか説明が欲しい。

【委員】
 3つのグラフ、表から読み取ることは難しい。重相関分析の結果を得ているが、説明するためには、いろいろなグラフを出さなければならないので、表現を工夫したい。

【委員】
 来年度には、国立教育政策研究所の研究成果などにも意見をいただき、徐々にこの相関関係を公表していくほうがよいのではないか。あくまでもプレテストであり、調査方法の有効性を確かめるための研究だということ、15校はサンプリングだということを強調して書いたほうがいいかもしれない。

【委員】
 総合満足度とは、幾つかここで示されている満足度の指標を単純に総和したものを指しているのか、独立して「総合的な満足度」というものを尋ねたのか、よくわからない。

【委員】
 アンケートの質問表には、「総合的に見て、今、先生がお使いの学校施設への満足度はいかがですか」という設問を問1として設けた上で、問2以降に、個別要素の満足度について18項目にわたり聞いた。問1と問2以降の相関分析をしたところ、そこにある幾つかの項目と問1の間に明らかに相関関係がありそうだというところまで作業が進んでいる。

【委員】
 4ページに「学校施設を含む公共施設の事業にかかわる評価の動きも進展」と書いてあるので、青森県、杉並区の事例が学校施設も含めて評価しているのか確認した上で、もしそこまで踏み込んで評価しているのであれば、そのような記述を加えたほうがいいと思う。

【事務局】
 学校施設を含め公共施設全体のアセットマネジメントをしているので、記述を加えたい。

【委員】
 以前、青森県において、こういうシステムの一環として、学校施設のバリアフリー等や老朽化対策なども組み入れられているような話を聞いたので記述してもらいたい。

2.資料4(3章~4章)

【委員】
 前回の部会の「委員会を構成して体制をつくるべき」という意見は、学校現場等に過大な負担感が起きるといけないという配慮もあり、表現を工夫した。

【委員】
 親委員会では「整備指針との関係を明確に記述せよ」という意見があったので、総則として大事な記述を明らかにし、「安全でゆとりのある」とか「地域と連携した」といったことを随所に匂わせる表現にした。

【委員】
 18ページの「学校施設を評価する上での設置者の役割」のところに、「財政難の中では、計画的に改善に取り組むことが重要だ」ということを入れてはどうか。

【委員】
 即座に全部の学校について対策ができるわけではないので、「計画的、長期的な視野に立って」といった文言はあったほうがよい。

【委員】
 学校施設の評価について、毎年度やるものと何年かに1回やるもの、全項目やるのか抽出でやるのかということをどこかで記述したほうがいいのではないか。

【事務局】
 学校施設は、建て替え直後、新築直後、老朽したものなど千差万別で、それらを一般的に書くのは難しいのだが、繰り返し指摘いただいたので相談しながら考えたい。

【委員】
 細かいことを毎年やるのかといった疑心暗鬼があるかもしれないので、幾つかの考え方があることも書いておいたほうがいい。毎年評価することもあるだろうし、定常的には項目を抽出して評価して、何年に一度に全体的に評価することもある。

【委員】
 受け取る側は、自分の学校に適した項目を抽出して評価するという思いを持っているので、特に毎年やらなければならないものとは思わない。

【委員】
 教育委員会、学校によって、文科省が何と言ってもうちはうちだというところもあれば、文科省から報告が来るとまじめに全部やらなければいけないと受け取るところもある。

【委員】
 21ページの「施設利用者の視点の導入」において、一番上のまるの中には「教職員」が入っていないので追記していただきたい。

3.資料4(5章~7章)

【委員】
 前の親会議と部会のご意見は、今日の指摘以外は大体反映された感じである。

4.資料4(学校施設の評価に関する手引き)

【委員】
 中間報告とダイジェスト版がそれぞれ独立して機能する場合もあり得るということか。

【委員】
 学校現場にこの手引きが来ると、施設評価と学校評価を別々にやらなければいけないのかと感じてしまうと思う。この報告書には、「学校評価において施設・設備を取り上げる場合があり、その一環として」という記述があるので、新たにやらなくてもすでにある学校評価を活用することもあるということがわかる。手引きのどこかに「学校評価を活用して」という記述があると整理がつく気がする。

【委員】
 41ページと42ページは見開きのほうがよい。また、評価シートを状態面と運営面に分けているが、まじめな学校は状態面から全部書かなければいけないと思うのではないか。混乱が生じないように、学校は運営面を中心に評価するということがこのシートでもわかりやすくなるといいのではないか。

【委員】
 この手引きは学校よりも、むしろ教育委員会を説得するためのものではないか。PDCAサイクルの中で重要なのは「改善の実施」という部分である。教育委員会が学校から厳しい評価が出た場合には改善をするというふうに腹をくくらないとできないのではないか。

【委員】
 38ページの「学校施設を評価するメリット」にある「学校・家庭・地域の連携協力の促進」のところがわかりにくい。家庭や地域の連携協力が評価のメリットにどうつながるのか具体的に書いていただきたい。

【委員】
 39ページの学校、設置者の学校施設に対する責任とは何か。

【委員】
 学校施設を評価する際のポイントの第1番目に「安全点検や施設の有効活用等の「運営面」」と書いてある。運営面となると、学校現場では選択科目が増えたのに、そのための教室が足りないといったことが問題になる。それは、学校が教育委員会に対して施設の要望をする中で、数多いものの1つだろうと思うので、この運営面の記述を工夫することができないか。

【委員】
 41ページの評価結果の表示方法(例)として「取り組まれているが、成果が十分でない」「取組が不十分である」とある。この取組は学校の取組か、教育委員会の取組か。

【委員】
 学校施設の評価を設置者として真剣に取り組もうとすると、場合によっては改善をせねばならないという事実が明らかになってしまうので、この仕組みそのものが受け入れられないのではないかということか。

【事務局】
 問題の事柄による部分も大きいと思うが、例えば耐震補強は、法令に基づくものであり、学校施設の所有者は当然やらないといけないという状況にある。そういう事柄について教育委員会が取り組まないことは問題ではないかと考えており、そういう状態面についても情報共有されることにより、よい方向への効果を期待したい。

【委員】
 PDCAサイクルを学校施設評価にも十分機能させることが大切であるということを設置者にきちんとアピールし、説得することが大事であるということをご示唆いただいた。

【事務局】
 本文中に「学校関係者に対して説明責任を果たし、双方向のコミュニケーションを図っていく。」ことが重要であり、情報を共有し、「学校・家庭・地域の連携協力により改善を進めていくことが重要」だと書いている。38ページの該当部分に「問題点や課題等を共有することにより」という補足があれば、クリアできるのではないか。

【委員】
 39ページの「学校施設に対する役割」という表現について、「学校施設に対する何々の役割」というふうに少し言葉を補足する工夫が必要かもしれない。

【委員】
 41ページの評価ランキング等はまだあまりきちんとは議論していない。

【事務局】
 これまで何段階で評価をするといった議論は十分でなかった面もあるかもしれない。

【事務局】
 誰の取組かということについては、今回、設置者と学校というそれぞれの主体が評価することにしているので、それぞれの取組についてという理解である。

【委員】
 「安全点検や施設の有効活用等の運営面の」という記述は、20ページに詳細な記述があって、ここを読めばわかっていただけると思うが、39ページのように要約するとわかりにくい点があるかもしれないので、少し工夫をしてもらいたい。

【委員】
 部会として十分議論していないが、第三者評価や学校関係者評価は、この段階では書かなくてもいいのか。設置者と学校だけが閉じた関係で評価しているイメージを与えないか。

【事務局】
 中間報告の中では、学校評価全体の動き等を見つつということで留保しているが、その留保したということをあえてパンフレットに書くまでもないと思っている。

【委員】
 40ページ5の「改善の実施」に、「設置者は、必要性、緊急性等の観点から改善の優先順位を決め、計画的・戦略的な改善を図る」云々とあるとおり、教育委員会も評価としても改善できないということではなく、計画的に戦略的に改善を図り、そのことを公表していくことが大事なのではないか。また、文科省では、市町村別の耐震化率の数字を発表し耐震化の競争をさせているが、いいことだと思う。

【委員】
 三重県尾鷲市の教育委員会の改善計画では、子どもがいつ東南海地震に遭うかわからないから、連合PTAが教育委員会だけではなく市長にも、計画の前倒しを要望している。改善の実施が空文化するのではないかということについては、保護者、地域住民が改善不十分という情報さえ得れば、それが選挙に絡んでくることにもなるし、設置者にとっては厳しい状況になる。文教整備が地域住民にとっては選挙における選択肢の1つになっているので、地方自治、住民自治の観点からいけば、公表していくことを求めるべきではないか。

【委員】
 改善が実施できるかどうかというのは財政的な限度があるため、計画的に整備していくということをマニフェストのように公表させることが大事なのではないか。順位というのは地方議会では必ず話題になるため、非常に鮮烈だと思う。

【委員】
 第三者評価である学校を訪ねたときに、教育長自ら施設については厳しく評価していただいて結構ですと言っていた。結局、財布を握っているのは教育委員会ではないので、賢い教育長は評価結果をうまく使って議会なり住民を動かし、首長も動かすことをしている。

【委員】
 金がないことも公表した上で、その金をどう有効に使うかという議論を住民がすることに意味があると思うので、戦略を立ててもらうことが必要ではないか。そのためにも、評価シートによりデータに基づいた議論をしていくことはいいことではないか。

【委員】
 耐震など施設整備を実施すればこういう補助が受けられるという情報をどこかに書いていただくと、文科省の施策が生きてくるのではないか。本文中に、今の制度をうまく利用して耐震化を進める、安全な文教施設をつくっていくということを書けないか。

【委員】
 教育委員会に財政的な権限がなくても、このシステムを活用し、アピールしていくことによって事実を明らかにし、改善に向けての働きかけをする有効な手段になることも貴重な指摘である。

【委員】
 「はじめに」で公立の小中学校を主な対象として書いてあるが、幼稚園は実は7割、8割が私立であるし、小中学校などでも私立の施設がある。この報告は私立に対してどういう影響があると理解したらいいのか。

【事務局】
 私立の小中学校においても使っている施設の弱みを確認するためのいいツールだと思うので、参考として活用していただければと思う。

【委員】
 このシステムを有効に機能させるために、補助金の配分に連動させることはできないか。つまり、ちゃんと評価をしているところには、その学校施設整備の交付金の中でも配慮するというところまで踏み込めば、効果があるのではないか。

【委員】
 将来的な課題として受けとめさせていただきたい。

【委員】
 今の予算の関係は、39ページに「予算配分に反映」と書いてあるので、読む人が読めばそれなりの評価をして、設置者に要求していけば予算配分になると思う。

【委員】
 大きな枠組みで言えば学校評価があり、その中で自己評価があり、関係者評価の中で家庭や地域住民の方々がみずからの学校がどういう状況に置かれているかという認識を持って評価しそれを公開していけば、結果として学校に予算がつき、ある種の圧力になっていく。社会全体がそういう方向に動いているから、家庭や地域と連携して学校をよくしていこうという社会の意識を高めていくことが重要である。

【委員】
 38ページを見ると、学習や生活が子どもたちにとって大事だとか、地域にとって防災が大事だとか書いてあり、2段目の2つのパラグラフでは、安心、豊かとかといった表現が出ているが、そういったわかりやすい言葉がもっと前面に出てきたほうがいいのではないか。

【委員】
 学校施設というのはもっと切実で、子どもたちや先生たちにとってこんなに大事なのだということがもっとPRできるとありがたい。

【委員】
 教室環境が子どもたちの心理や快適感にどのぐらい寄与しているかということは、整備指針会議でいろいろ勉強して発表する機会もあったが、施設企画部としても、すぐれた環境は大事だと言っていることのほかに、例えば文教施設研究センターなどで基礎的な研究を積み重ねて、「よく工夫された快適かつ適切な学習教育環境が子どもたちの学習効果や心理の安定性につながる」といったエヴィデンスをつかむ研究プロジェクトも必要かもしれない。

【委員】
 41ページの評価シートについて、学校は自己評価だが、その信憑性はだれが評価するのか。設置者と学校とが評価シートを活用しつつ、評価結果に対する根拠資料や具体的な理由を参考にしながらお互いの評価結果を共通認識するということが重要だということか。

【委員】
 みんなオンパレードの絵をとることが目標なのではなくて、共通理解があって、ある目標設定に対して、どの位置にいるか確認できることが大事なのではないか。だから、運営面について、設定した目標に対してどこまで努力しているか、どこまで取り組もうとしているかといった取組の姿勢を評価することは今後工夫を要するところである。

【委員】
 現場の教師が空間をどう生かして教育改善をしていくかということと、前向きにまた批評的にその学校環境を見て改善していくということについても、この評価を根づかせていく上での1つのポイントになるのではないか。来年以降それを工夫して議論できればと思う。

【事務局】
 評価結果が妥当かどうかということを確認していく1つの手段として、学校関係者に対する説明責任を果たしていき、双方向のコミュニケーションを図っていくことが考えられる。評価結果及びその改善方策を、地域住民や保護者等に対して示していく中で改善に係る示唆をいただいていくというプロセスも考えられるので、学校設置者が共有することの重要性、それを公表してコミュニケーションを図っていくことの重要性をこの報告書の中でも示していければと考えている。

【委員】
 教育環境が子どもたちに与える影響はいろいろあると思うが、例えば、教育環境を改善した前後で意識を聞くのもまた1つの指標になっていくと思う。

【委員】
 教育環境は、心理的にも、子どもたちの学校に対する思いなどに大きく影響するのではないか。科学的分析をしたこともないが、学校現場にいると、子どもたちのわずかな声から感じることがあって、確実に施設は子どもたちに影響を与えていると感じる。

【委員】
 各学校、教員自体が自分の学校をどういう形で利用し、考えていくかによって、子どもたちにどういう影響があるかを考えることになる。それを保護者や地域の人たちと共有し、自分の学校の課題を明確にしながらうまくサイクルを回していくことが必要である。しかし、これを十分説明しないといけない。施設の評価と出たときに違う意味で住民が動き出すということが考えられるが、どんな形で各教育委員会が学校におろしてくるのかによって随分違ってくるのではないか。

【委員】
 今年、全体像として学校施設の評価の在り方をつくることができたが、実際にどうやって運用し、どのように実効性を持たせるのかについて来年度検討しご意見を承るチャンスがあると思う。

【委員】
 本日いただいた意見をベースにし、再度調査研究協力者会議に報告する。部会長と事務局に一任していただきたい。

(異議なしの声あり)

(2)その他

  • 事務局より、資料5に沿って今後のスケジュールについて説明
  • 長坂施設企画課長より閉会のあいさつ

以上

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)