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特別支援学校施設部会(第2回)議事録

1. 日時
平成18年8月30日(水曜日)13時30分〜15時30分

2. 場所
文部科学省9階 省議室

3. 出席者
[協力者]
飯塚哲、岩井雄一、岩本弘子、上野淳、長田美紀子、新保幸一、田中良広、成田幸夫、林茂和、平根孝光、宮崎英憲、黒川君江(特別委員) (敬称略)
[事務局]
(文教施設企画部)
舌津技術参事官、岡施設企画課長、山さき企画調整官、森文教施設環境対策専門官、金光施設助成課長補佐、廣田指導第一係長
(特別支援教育課)
蝦名特別支援教育企画官、宍戸視学官、池尻特殊教育調査官、石塚特殊教育調査官、下山特殊教育調査官、丹羽特殊教育調査官、樋口特別支援教育調査官 他

4. 資料
資料1   特別支援学校施設部会(第1回)議事録
資料2 特別支援学校施設部会(第1回)における主な意見
資料3 学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議(第47回)における主な意見
資料4 特別支援教育に係る調査研究の検討範囲等について(案)
資料5 肢体不自由と知的障害の重複化の状況について(下山特殊教育調査官プレゼン資料)
資料6 自閉症の特性と学校・学級のデザイン(宮崎委員プレゼン資料)
資料7 LD・ADHD・高機能自閉症とは(樋口特別支援教育調査官プレゼン資料)
資料8 通常の学級に学ぶ軽度発達障害のある子への支援と施設設備(黒川君江先生プレゼン資料)
資料9 学校施設整備指針策定に関する現地調査の実施について(案)
資料10 調査研究スケジュール(案)

5. 会議概要
1  開会
2  議事
  (1) 調査研究の検討範囲等について(協力者会議の報告)
(2) 関係委員等からのヒアリングについて
1 肢体不自由、知的障害の重複化の状況等について(下山特殊教育調査官)
2 知的障害における自閉症傾向の状況等について(宮崎委員)
3 LD、ADHD、高機能自閉症等発達障害の状況等について(樋口特別支援教育調査官、黒川君江文京区小日向台町小学校教諭)
(3) その他
3  閉会

6. 議事
(1) 調査研究の検討範囲等について(協力者会議の報告)
前回の部会における議論を踏まえ、資料4のような形でこの調査研究をどの範囲、どういう立脚点で進めていくかという試案をまとめて協力者会議に提案した。協力者会議でも非常に熱心な議論が行われ、幾つかの指摘はあったが、ひとまずこの資料4をベースに、今後部会を中心として丹念かつ精力的な検討を進めてほしいという主査からの指示があった。

我々はその指示を受けて、この資料4等をベースにしながら、今後、盲・聾・養護学校等の施設整備指針や、小中学校の整備指針の特別支援学級又は通級についても記述を追加していくという作業に本格的に入っていくことになるが、今後、現地調査及び勉強会を踏まえて、委員相互の相互理解を深めながら指針の改訂作業に取り組んでいくことにしたい。

・事務局より資料1〜3に沿って説明。
・上野部会長より資料4に沿って説明。

(2) 関係委員等からのヒアリングについて
1 肢体不自由、知的障害の重複化の状況等について(下山特殊教育調査官)(資料5)
現在の盲・聾・養護学校数は、昨年5月1日現在、全国に1,002校。うち5割を超える部分が知的障害の養護学校、2割近くが肢体不自由の養護学校。少子化の中で児童生徒数は減っているが、養護学校については知的障害の子どもを中心に増加傾向。その中で、障害の重度・重複化が進行。児童生徒の43パーセントが重複学級に在籍、肢体不自由の養護学校では75パーセント。

肢体不自由と知的障害をあわせ有している児童生徒が多数。知的障害の養護学校の児童生徒のうち26パーセントが重複障害学級に在籍、そのうち肢体不自由を伴う重複障害者は3割から5割。肢体不自由の養護学校の児童生徒のうち69パーセントが重複障害学級に在籍、そのうち知的障害を伴う重複障害者は9割以上。

単一の障害の状況として、肢体不自由の児童生徒は、歩行や筆記等の動作に困難。学習の面では小中学校等の教科の学習が小中学校に準ずるような形で行われるほか、身体の動きの改善等、障害の改善・克服に関する自立活動という領域を設けて指導している。

知的障害の児童生徒は、知的な発達の遅れがありコミュニケーションや日常生活能力等の適応、行動面に困難。小さいうちは遊びが学習になり、その後、生活課題を中心とした学習、働くことを重視した学習へ、生活能力の育成を重視した教育が行われる。

(肢体不自由と知的障害の程度が中程度の児童生徒)
多くの児童生徒が車いす等の移動補助具を使用。最近は電動車いすを早くから使用。床ずれの状態が起きやすいため、姿勢の変換が必要であり、臥位姿勢をとれるスペースも必要。

食事や着がえや排泄等の日常生活動作の自立はある程度可能だが、条件が限られる場合が多いため、理学療法や作業療法などで得られるアドバイスも大事。

コミュニケーションの手段として、音声言語だけではなく絵やカード、様々な機器が使われており、パソコン等の情報機器も大変大事なツールになっている。

(肢体不自由と知的障害の程度が重度の児童生徒)
自力で移動することが困難なため、介助型の車いすを使用。姿勢を保持するために座位保持椅子を初めとした様々な器具が活用されている。

姿勢の変換が頻繁に必要で、リラックスできるスペースが不可欠。姿勢の変換は教員が抱いて行うことが多いため、指導に携わる教員に非常に腰痛が多いといった問題がある。

食事、着がえ、排泄等の日常生活動作のほとんどにおいて介助が必要。一方、その中で行われている食物を取り込む、飲み込むことも大事な学習活動になっている。

様々な機器や自作の教材等が活用されている。

(医療的ケアを必要とする児童生徒)
たんの吸引や胃や腸に入れた管から栄養物を入れるといった「医療的ケア」を必要とする児童生徒が大変多くなっており、全体で5,824人、約6パーセントいる。肢体不自由の学校に限ると約2割。現在、学校に700人近い看護師が配置され増加傾向にあり、安全確実なケアの実施等が求められている。

(訪問教育を受けている児童生徒)
障害のため通学をして教育を受けることが困難な児童生徒を対象に、家庭や病院施設に教員が訪問をして教育を行う「訪問教育」を受けている児童生徒もおり、現在、3,169人、約3パーセントいる。障害が重い児童生徒が多いが、体調がよいときには通学して学習するスクーリングも行われている。訪問教育の児童生徒は、通学体制の整備、医療的ケア実施体制の整備により減少してきている。

(肢体不自由と知的障害の重複障害の児童生徒に必要な施設設備)
車いすなどの移動や姿勢補助具を使って活動できるスペースが必要である。また、寝た姿勢がとれるスペースが必要で、マットや畳などのフロアスペースが必要である。さらに、多くの物を収納する十分なスペースが必要である。

バリアフリー環境を整える一方で、障害の改善のために多様な活動を一層促進する環境が必要である。自立活動室やプール等が非常に有効な活動の場になっているケースがある。障害の重い子どもたちが浮力の中で体を動かすということができるので大変有効である。

高さや大きさや形状の異なるトイレ。トイレは自立の上で大変大事であり、トイレの形や大きさは随分影響する。また、個別にトイレを用意する子どももいるので、広いスペースのトイレ空間が必要になる。それから調節可能な机や作業台も大事である。

障害のある子どもとない子どもの交流を一層促すために、玄関に近い所、あるいは子どもが交差するところに談話室空間を設けることも大変有効だろうと思う。

画像を通した経験やコミュニケーション、Eメール等での発信ができることは大変有効であり、教室で使用できる情報ネットワークが一層普及していくことが望まれる。

医療的ケアという点から、子どもが手を洗う以外に水回りが非常に大事になるので、洗浄設備や衛生的な環境を建築面や施設設備面から保持できるようなものを検討する必要がある。

看護師が配置されるようになり、医療的ケア拠点のための施設整備として、専用のケアルームを設けるようなところもある。子どもの数も非常に増えており、専用の部屋の必要性が高まっている状況である。衛生的なケアを可能にする器具や、緊急事態用の器具が医療的ケアという点から求められている。また、教員の身体的負担を軽減するといった観点での施設設備の検討も必要である。

2 知的障害における自閉症傾向の状況等について(宮崎委員)(資料6)
全国の知的障害養護学校535校の調査によると、自閉症と診断されたうちの約6割から7割が知的障害を伴っている。それ以外にも、自閉症群、広汎性発達障害、PDDの子どもが情緒障害学級、あるいは通常の学級にかなりいると言われている。知的に遅れのないタイプまで、幅広く存在するので、今は自閉症スペクトラムという言葉を使っている。

対人関係障害とよく言われているが、自閉症の子どもが全く人に関心を示さないかというと、そうではない。年を経るに従って、対人関係も発達してくる。ただ、非常に弱さを持っているので、教育の仕組みを考える必要がある。また、コミュニケーションの障害は、言語が全くないタイプから、非常に小難しい話をするタイプまでさまざまである。

自閉症の特徴として、柔軟な思考および反復的な行動ができないと言われている。それから、情報を処理する過程で障害があると言われているので、聴覚よりは視覚優位で対応することの方が多い。したがって、教育の場でもそこをきちんと上手に活用しなければならない。

自閉症スペクトラムの障害の特徴としては対人関係障害、言葉の遅れがある。重度の自閉症であれば、くるくる回る物にすごく注目をするとか、標識、マーク、数字等にこだわるので、数は頭の中に一回入れてしまうと、すべてが記憶されていくという傾向もある。活動の範囲や興味が極端に狭く、逆に言うと、そこをうまく活用するよう教育の活動がなされていると言える。また、周囲のわずかな変化も恐れるという傾向があり、非常に極端で、わずかな変化を恐れ、苦痛に感じるという問題がある。

自閉症の出現率は、有病率の決定というのが非常に難しく、国によって随分違うが、大体自閉症で200人に1人ぐらいの出現、アスペルガー症候群が大体300人から500人に1人である。男子の方が多く、自閉症は(男女比が)4対1、アスペルガー症候群は10対1と言われている。こだわりの中身が女性の場合では社会性が高いのでこだわりの中身が余り目立たないが、男子の場合はすぐ目立つということがある。

昨年の国立特殊教育総合研究所の調査では、どの学校にも、どの障害種にも自閉症の子どもがいるということがわかっている。また、自閉症に対してはクラスごとで対応している学校が多く、学校全体での取組という点では遅れていることがわかる。

自閉症の認知面での弱さは、聴覚処理にかなり課題があるので、視覚に訴える仕組みをつくることが重要である。抽象的な問題解決に弱さを持っており、応用問題や注意の集中がなかなかできないと言われている。特に認知面での長所として機械的な学習には優れているので、難解な知識は持っているがそれを活用することが難しい子どもや、芸術面や科学面、計算能力に優れた特徴を持った子どももいる。

学校ではマルチモードの処理は全く弱く、一つずつ解決をさせていく仕組みをつくらなければいけない問題があるので、事前にきちんと指示をしなければいけないという問題がネックである。

自分が思っていることを表現できないのでフラストレーションがたまり、かんしゃくを起こしてしまうという問題もある。教室の構造化とか、空間の構造化とか、教材の構造化と言われる、アメリカのノースカロライナで開発された教育の仕組みをうまく活用することが重要である。

(学校・教室環境の整備)
必要に応じた教室の構造化が必要である。

特別な学級では優先的な座席配置、あるいは、馬蹄形で先生が児童生徒一人一人に対応できる仕組みをつくることが必要である。

あまりさまざまな物を教室に置かないなど、視覚刺激を少なくしてあげる教室空間をつくることが必要である。

採光に対する配慮が必要である。蛍光灯は非常に刺激が多いことから、できることなら自然光や白熱灯の方がよい。

教室のエリアをどう考えるかということに関しては、個別課題に応じた小さなスペースがあること、それからスモールグループのエリア、それから大きなグループのエリアといったようなことを上手に仕組みとして考える必要がある。

視覚的なプロンプトも個別化していくことや、感覚アイテムを提供するということも考えられる。

(質疑応答)
特殊教育諸学校の教員・教諭の専門性や免許・資格は、今どのようになっているのか。

盲・聾・養護学校の教員の専門性は、小中高等学校の免許にプラスして盲学校、聾学校、養護学校それぞれの免許を持つことになっているが、当分の間、特殊教育免許の保有を要しないこととしていることから、必ずしも全ての教員が持っているわけではなく、肢体不自由、知的障害だと6割ぐらいの教員が特殊教育の養護学校の免許状もあわせて持っているという状況である。ただ、特に障害に対する対応という部分では、現場でいろいろな研修等を通して学んでいるという状況だろうと思う。

3 LD、ADHD、高機能自閉症等発達障害の状況等について(樋口特別支援教育調査官)(資料7)
(LD(学習障害)について)
学習障害とは、1つ目の定義として、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指し、2つ目の定義として、学習障害の原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定され、視覚障害等の障害や環境的な要因が直接の原因となるものではない。被虐待児については、特に環境的な要因ということでLDと同じような症状を示すことがよくあるということが知られている。

LDについては、さまざまなところに困難がある状況なので、一言で説明するということは非常に難しいが、情報処理の手がかりを自分で見つけ、うまく利用することができない状態である。読みに困難を示す子どもへの支援の例として、枠組みを示すなど、何らかの支援をすることがLDの子どもにとって非常に有効だと言われている。

(ADHD(注意欠陥多動性障害)について)
注意欠陥多動性障害とは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障を来たすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続する。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されている。

ADとは注意欠陥で、注意(アテンション)の働きが欠けているという意味である。注意には選択的注意、持続的注意、注意の分配という3つの側面があり、この注意の機能に困難があるという状態である。

HDとは多動性あるいは衝動性の障害とも言われる。衝動性が高いとは、衝動を抑制できないということである。

(高機能自閉症・アスペルガー症候群について)
高機能自閉症とは、自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものを指す。また、アスペルガー症候群はこの中でも言葉の発達の遅れを伴わないものと定義されているが、両者の違いについては、研究者の間でも異論がある状態と聞いている。

高機能自閉症の子どもは通常の学級に在籍しているので、学校生活の中でさまざまなトラブルが起きている。この原因として一番大きなものが、他者の心の動きを類推したり、他者には他者の立場があり、自分とは異なる考えを持っているということを理解したりする機能の発達がなかなか難しいことである。通常の子どもだと、理屈で考えるというよりは顔色を見てぱっと相手の感情が読めたり、心の動きが類推できたりする。

平成14年に行った調査では、通常の学級において、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒は全体の6.3パーセントほど在籍している。ただ、これは担任教師がチェックした結果であり、専門家や医師が診断した結果ではない。

そういった子どもに対する対応の基本は、二次的な障害の予防である。誰でもそうだが、繰り返し失敗し、挫折感を味わうと意欲を持てなくなることで、自尊感情が低下して非常に低い自己イメージを持つようになる。これはやがて学習性無力感と呼ばれる状態になり、こういった対応を誤り続けると、反社会的行動、非社会的行動や精神障害等に陥る可能性もあることが指摘されている。

そうならないために、認知特性に応じて、成功体験を数多く積めるようにする、正しい自己理解ができるようにする、余分な刺激を統制する、叱咤激励しないといった4つのことが基本的な対応になると思う。

3 LD、ADHD、高機能自閉症等発達障害の状況等について(黒川君江文京区小日向台町小学校教諭)(資料8)
通級指導とは、いつもは通常の学級で学び、週1日程度数時間、子どものニーズに合わせて指導をする場である。通常の学級と通級の両方の指導がうまく重なることで効果が上がる。通常の学級と通級指導では指導のスタンスが違い、個の特性に配慮していかに学びやすくしていくかが主眼になる。

通級指導では、話し手を見る、話し手の方に体を向ける、聞き漏らしたり、わからなかったら周りの動きを見てみる、隣に聞く、手を挙げて質問するなど、集団生活を円滑にするためにはどんな力を培っていくかを考えるスキルを指導する。

通級指導をしている子どもには、学習上の課題、行動上の課題、環境調整の課題の3つがあり、通級の指導の形態は個別の指導、小集団の指導、コンサルテーションである。

1日の指導を通して、一番大切にしている事は、できた、わかった、楽しかったという充足感である。週に1度の通級の場で、在籍校の集団生活に向かうエネルギーとスキルを培いたいと考えている。ただ、通常の学級の指導も大切なので、文京区独自の取組で、在籍校の先生全員に通常の学級での個別指導計画づくりをお願いし、在籍校の先生と相談しながら、通常の学級、通級指導、両方の指導計画をマッチングしている。

(施設設備面での配慮)
施設設備で優先的に配慮すべきことは安全だと感じている。今いる学校に異動した時は、まず、蛍光灯の防御網をお願いした。落ち着きのない子どもには、教室、廊下、他のいろいろな部屋の間もフラットにした。

傷ついた経験の重なりで気持ちが荒れている子には、清潔、整然がわかるように清掃、片づけをして、環境を整えることも指導である。また、カーテン、引き戸で余計なものは見えないように設計した。

指導面から必要な場を用意することも重要であり、先ほど話した軽度発達障害のある子どもの3つの課題に対する支援の場づくりである。

学習上の課題から、目からも耳からも刺激の少ない環境で集中して学習できる小さな落ち着いた個別学習室が効果的である。どうしても無理ならば、つい立てで仕切る個別学習スペースは必須である。

行動上の課題から行われるソーシャルトレーニングは、今後の特別支援教育の最たる課題である。先を見越すと、小集団学習ができるスペースや、体を使ったゲーム、競技ができるルームが必要になり、小集団学習室やプレイルームをつくった。

環境調整の課題では、周りの理解の輪を築いていくためには、話が十分にできる場が必要である。面談室やグループ懇談室は通級指導が指導の一環として持つコンサルテーションに大きく寄与してくれた。通級以外の子を気にしないではいられない時期があるので、生理的な欲求を安心して行える専用トイレをつくってよかったと思っているが、これは健常の人が思いやらなければならないことである。

悩みを深めている時や、受け手の対応がとても大切になる。取り次いでもらう状況は避け、受け手にとってもらえる安心感を持ってもらうための専用電話や、児童のそのときの様子を見ながら、すぐに個別教材を作成するためのコピー機、個人情報の保管、教材の整理のためのファイリングキャビネットは必要不可欠な備品である。

(質疑応答) 時間の都合上、黒川先生の発表についてのみ質疑応答
黒川先生の学校の総児童数は何人で、軽度発達障害のある児童は何人いて、この教室の対象の学年は何学年なのか。

現在の児童は20名である。1年生から6年生までいて、それと軽度発達障害の子どもがすべてに在籍している。就学相談の中で、LD、ADHD、高機能自閉症や軽度の情緒障害の範疇に入る子どもが通っている。私が以前いた駒本小学校が30名になり、とても毎年この数では無理なので、昨年急遽つくった。小学校が文京区には20校あり、駒本小学校が30人、私どもの学校が20人なので50人の子どもが来ていて、1校当たり2.5名の通級になっている。ただ、まだまだ入級希望者がいるので、通常の学級にはニーズのある子どもはたくさんいると思っている。

東京は大きいから十何校でということなのか。私は1つの大きな学校で通級の学級があるかと思ったのだが、違うのか。

20校の小学校があり、いわゆる拠点校方式をとっている。小日向台町小学校では、20名のうち3名が自校通級で、そのほかの17名が他校通級になっている。

私も今年3月まで小学校にいて、500人規模の学校で12、3人のアスペルガーを含む軽度発達障害の子どもを抱え、通級に入れていたので、今日、樋口調査官が言った全国調査の出現率の6パーセントは、おそらく高機能自閉症の6パーセントだろうと思う。

黒川先生の学校で経験した中での相談室の必要性や切迫感について、もう少し触れていただきたい。

環境調整の話の中で触れたが、この子どもの課題は、指導面ももちろんだが、人と人、場と場によって、すれ違い、誤解があることが大きな支援の妨げになっているように思う。

高機能自閉症やアスペルガーという言葉も、やっと学校の中では共通言語になってきたが、やはりじっくり話が聞ける場があるということはとても大切なことだと思う。環境の中で大切にされている実感の話をしたが、話を聞いてもらっている実感を得てもらうには、環境をきちんと整えてあげるということが大事なことではないかと感じている。

カウンセリングルームというような相談室のイメージだけではなくて、現場は本当にこうした相談室がほしいということか。

校外から通級してくる児童のために昇降口、下駄箱、入口部分の配慮については、情緒障害だけではなくて、言語障害だとか、難聴学級で配慮されている部分がたくさんあるかと思うが、そこについて何か工夫をされているところや、困っていることがあれば聞きたい。

パーテーションという形で隣のコーナーの音や指導の声が聞こえる部分のところは、果たして子どもたちによい環境なのだろうか。聴覚障害の場合に、逆に困る部分があるので、当然情緒障害の子どもでも音に対して敏感な子どもには配慮がいるだろうと思う。現実的には空き教室から起こしたという方法ではあるが、音に対する基本的な配慮の必要性を感じていれば教えていただきたい。

駒本小学校では独自の門を用意している。これは先ほどのトイレと同様に、子どもの周りに対する気持ちというのはとても変化があり、堂々と正門を通れない時期にあわせる必要があると考え、専用門をつくった。ただ、これからの特別支援教室はある面少しオープンなところをつくる必要もあると思うので、今の小日向台町小学校については、専用門をつくっていない。

個別学習室は、特別支援教室でも通級指導教室でもない。通常の学級で、もし考慮することができたらどうかというものなので、これがひとり歩きしたら困るなと私自身は思っている。ただ、先ほど言ったように、仮教室から始めたときはパーテーションだった。そのときの子どもの学習の仕方、集中度は、今の個別学習室をつくったときの学習の仕方とは全く違う。これはやはり刺激の取り入れ方の難しい子どもが特別に来る場所である。だから特別にその子に合わせて教室をつくることが必要だと感じている。

場合によっては、少し通級や小中学校の特別支援学級の環境についての議論が白熱した段階で、また黒川先生に協力をお願いすることがあるかと思うのでよろしくお願いしたい。

(3) その他
事務局より今後のスケジュールについて資料9及び資料10に沿って説明。

次回は、今後の具体的な指針のまとめ方の幾つかの主要なポイントについて整理をしつつ、検討の方向性について徐々に明確にしていきたいと思う。

(文教施設企画部施設企画課)


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