高等学校施設部会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成23年2月4日(金曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

旧文部省庁舎 4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 高等学校施設整備指針の改訂について
  2. 高等学校施設整備の推進方策について
  3. その他

4.出席者

委員

【委員】青木栄一、小野島惠次、小寺啓一、髙際伊都子、髙間專逸、長澤悟、吉岡大介(敬称略)
【特別協力者】新保幸一、屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】岡技術参事官、長坂施設企画課長、野口企画調整官、瀬戸課長補佐

オブザーバー

【文教施設企画部】杉浦施設助成課課長補佐
【高等教育局私学部】真野私学助成課専門官
【スポーツ・青少年局】朝倉企画・体育課運動部活動推進専門官

5.議事要旨

 (○:委員の発言、●:事務局の発言)

 (1)高等学校施設整備指針の改訂について

・事務局より資料1に基づき、高等学校施設整備指針の改訂案について説明。

○ 集団への帰属意識に関連した施設の在り方について、何か記述すべきことはあるか伺いたい。

○ 高校では、クラスという一つの集団への帰属が前提に来ると思うが、現在この指針の改訂作業の中で非常に強く書いているのは、個々に対応という記述である。よって、集団に溶け込めない生徒に対しては、一人になって落ちつける空間があるけれども、帰属の場所も大事であるというような表現になる。両方の観点からうまく書き込むのは難しいと感じる。

○ クラスという枠組みで限定せず、例えば行事や学習などの活動の場面で、人間関係やグループをつくっていくことを考えるべきだと思う。したがって、それにあわせてユーティリティーの高い教室が必要になってくるのではないかという感覚がある。

○ (資料1,p22「2 屋内運動場」について)(2)の「適切な室温を確保するように計画することが重要である」との表現は強すぎると思う。

● 前段の「通風、換気及び自然採光を十分確保する」ことは「重要である」で良いと思うが、「適切な室温を確保する」も「重要である」とするのは、踏み込み過ぎかと思う。

● 補足させていただくと、小・中学校施設整備指針の改訂の際に、当該部分について「重要である」という表現に直したので、高等学校施設整備指針においても、それとの平仄をとるという形で「重要である」とした、という経緯がある。

● 表現は検討させていただきたい。

○ 前段の「通風、換気及び自然採光を十分確保する」は問題ないということだが、自然採光を確保していない新しい体育館も既にある。それを考えると、やはり「重要である」とすると、強すぎるのかもしれない。それも含めて検討いただければと思う。

○ 高校レベルとなると、競技によっては、自然採光は競技の支障になると体育の先生から注文がつくこともよくあるので、小・中学校と高等学校とでは若干、書き方を変えた方が良いかもしれない。
  ただ、健康で快適な環境をつくるという趣旨そのものについては、異存のないところだと思うので、表現について検討してもらいたい。

○ (資料1,p1「1 特色ある高等学校づくりの推進」について)「様々なタイプの高校」という表現に関して、資料2のp5の1(2)「キャリア教育・職業教育のための空間」においても「様々なタイプの高等学校に共通して」という文言があるが、それぞれで意味が異なると思うので、表現を見直す必要がある。

○ 高等学校の教育改革や再編整備等については、どうしても地方自治体の取組という印象を持ってしまうので、私立学校という文言を入れるわけではないが、高等学校にかかわる教育には、かなり幅広い設置者がかかわっているということを踏まえて、書き方に少し工夫をいただければと思う。

○ 長く建物を使うことも視野に入れるという切り口が、書いてあってもよかったのではないかと感じている。

○ 今日的な状況の中で、大変重要なご指摘、建築全般としても重要な観点だと思う。サスティナブルあるいは持続可能性については、既存の施設を大事に使っていくこと、地球環境との問題、地域の中での役割を継続的に果たしていくこと、それから教育の変化に対応していくとことなど、全体に関わる話で、それぞれの項目にはにじんでいるところはあると思うが。

 ● 長く建物を使うということに関連しては、第1章・第3節(4)(p7)の「長期的に施設を活用できるよう、維持管理のしやすさも含めた長寿命化や変化等を考慮した計画とすることが重要である。」を今回の改訂で追記している。この記述を、さらに前の方の、いわば理念的な基本的方針のところまで持ってくるかどうかについては、ご検討いただきたい。

○ 現在の改訂案では「第2節 学校施設整備の課題への対応」の「6 環境との共生」(p6)に特にエネルギーに関係する内容をまとめている。サスティナブルあるいは持続可能性についてここに書くのが適切かどうかということも踏まえて、検討課題としたい。

● (資料1,p39「4 廊下、階段等」について)「廊下にベンチ等を配置するなどして・・・重要である」となっているが、通路の場合は避難の問題や手すりの設置の問題などがあると思うが、御意見を伺いたい。

○ 廊下といえども、生活空間として豊かな環境にしていこうという趣旨であると思う。あくまで通行や避難に障害がないことが前提となる。

● 補足させていただくと、当該部分は、必ずしも廊下にベンチを置くことが重要というのではなく、あくまで、生徒の待ち合わせスペースを計画したりすることが重要である、という現行の文脈は生かしながら、もう少し具体的にイメージを持ってもらうための例として追記している。繰り返しになるが、昨年小・中学校施設整備指針を改訂した際に、当該部分についてご議論いただき、その結果を踏まえて、小・中学校施設整備指針でこのような表現とした。それを受けて、今回、高等学校施設整備指針でも、待ち合わせスペースの重要性をより具体的にイメージしてもらうための例として、同様の表現を追記したという経緯である。

○ 「ベンチ等を置く」は例の一つであるので、先ほどご指摘があったような、手すりを設けなくてはいけないなどの状況の中では、もちろんベンチを配置する計画にはならない。

○ 誤解を生んではいけないので、削除したほうがよいと思う。

○ 「4 廊下、階段等」の他の項目については、安全などの観点で不可欠な事項であるのに対し、この項目は空間を豊かにしていくという観点である。設計の思想としては大事な内容だと思うが、例示をして、さらに「重要である」とするかどうかについては、検討を要する。

○ ベンチを配置する等の工夫は各学校が考えて行うものと考えると、「重要である」とするのは少し言い過ぎで、幾つかのアイデアとして有効であるとするのが良いのではないかと思う。

(2)高等学校施設整備の推進方策について

・事務局より資料2に基づき、「高等学校施設整備指針の改訂等について」(案)について説明。

○ (資料2,p2)高校教育について、今の大きな課題は学力向上や学力保証というところに既に移ってきているのではないかと思う。

○ 「個性化・多様化」の趣旨は、学校の個性化・多様化ではなく、生徒の個性化・多様化であるので、それがよく伝わる表現がよい。

○ p5で老朽化について触れられているが、指針の中でも具体的に書ければ良いと思う。

● 施設整備指針は整備の際の留意点を示すものであって、改修で整備する場合もこれが適用される。老朽化して施設がどんな問題が出るかと言うと、例えば安全の問題で、老朽化していることによって、子供たちが事故に遭うということがあるが、そういう老朽化によって起こる問題についてのそれぞれの項目での対応というところでは、読み取れるのではないかと思う。

○ 例えば資料1のp7では、一般的に長寿命化していこうという内容があるが、純粋に建物そのものが古くなり、それをいかに長く使うかという観点から、老朽化対策について記述ができないだろうかと思った。

● 部会長の指示を受けながら、事務局でさらに検討してまいりたい。

○ 「効率的な整備」とすると、とにかく節約をしようという印象を与えてしまうのではないかと思った。ここでいう「効率的」は、まず施設整備をする時点で他校と機能や施設がダブらないようにするという区別化と、また整備後もいくらでも使い方の変化に対応できるような柔軟性ということで書かれてはいるが、「効率的」という言葉でそれらをまとめた場合に、とにかく節約を、という印象を読み手に与えてしまうのではないかと感じた。
  また、「効果的」という文言が「効率的」と並んで使われているが、もう少し何か書き込むことができるのではないかと思った。

○ p3の「(2)学習・生活空間の充実」について、生徒の生活空間としての充実という内容はここに記載されているが、学習空間の充実としては、この記載は少し物足りなく感じた。また、生活空間という意味でも、日照、通風等でまとめてしまうのは若干物足りない感じがする。

(3)その他

・事務局より資料3に基づき今後のスケジュール案について説明。

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

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