高等学校施設部会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成22年12月13日(月曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省)5階 5F7会議室

3.議題

  1. 高等学校施設整備指針の改訂について
  2. 高等学校施設整備の推進方策について
  3. その他

4.出席者

委員

【委員】青木栄一、上野佳奈子、尾池武、小野島惠次、國分達夫、小寺啓一、髙際伊都子、巽公一、長澤悟、宮本文人、吉岡大介、和田文夫(敬称略)
【特別協力者】新保幸一、屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】岡技術参事官、長坂施設企画課長、野口企画調整官、瀬戸課長補佐

オブザーバー

【文教施設企画部】杉浦施設助成課課長補佐
【初等中等教育局】
(高校教育改革PT・産業教育振興室)沓澤産業教育調査官
(教育課程課)梶山教育課程企画室長
【高等教育局私学部】真野私学助成課専門官
【スポーツ・青少年局】朝倉企画・体育課運動部活動推進専門官

5.議事要旨

 (○:委員の発言)

(1)高等学校施設整備指針の改訂について

・事務局より資料1に基づき、高等学校施設整備指針改訂の素案について説明。
・(p1)第1章 第1節の1、(p2)第2節の第1の2について

○ 「計画」という言葉について、「計画」を行う主体が国なのか自治体なのか、明確に分かるように書き方を工夫するとより良いと思う。

・(p9)第1章 第3節の3(5)「生徒指導・教育相談に対応する施設機能の設定」について

○ 「個別相談に対応でき」と記述されているが、個別相談だけではなく指導を加えてはどうか。生徒側から相談に来る場合だけでなく、教員側から指導する場合にも、プライバシーを守ることができる小部屋をつくることが望ましいのではないかと思う。

○ 生徒指導を行う部屋と教育相談を行う部屋とは、機能が異なるため、配置場所も異なると思う。本校では、教育相談は保健室の機能に合わせて保健室に近い位置に、生徒指導は職員室に近い位置に配置している。両方の機能を一つの部屋でまかなうことは、あまり好ましくないだろうと思う。

○ 施設整備という言葉の範囲について、どこかで定義を入れたほうが良いのではないか。

・(p2)第1章 第2節の第1の2について

○ 「各都道府県において」とすると、私立学校が抜けているように見える。私立も含めたニュアンスの表現としたほうが良いのではないか。

○ 地域との関係に関しては、第1章 総則の第1節の5(p1)に、「地域の生涯学習の場としての役割」「まちづくりに配慮」と書かれているが、地域との連携を進めるための施設という点についても、もう少し明確に書かれていると良いのではないか。地方で様々な学校の議論に関わっていると、地域を支えることになる人材を育てる場としての高等学校の在り方は、かなり大きな関心事だと感じることがある。

○ 無尽蔵に部屋があれば、機能ごとに別の部屋を用意するのがベストだが、現実的な対応として部屋数に余裕がない場合には、機能ではなく誰が相談に来るかによって部屋を分けることを考える。入学希望者、地域の方、保護者など外部の方が相談に来る部屋の場合、生徒と行き違いにならないような動線の工夫がなされていると非常に使いやすい。逆に、生徒指導でもカウンセリングでも履修指導や進路指導でも、在校生が来る部屋の場合には、ある程度動線が明確で、職員室もしくは対応する教員の近くに配置されていると学校としては非常に扱いやすい。
 ただ、高等学校の場合は相談内容が多岐に渡るため、できれば教育相談・生徒指導・進路指導・履修指導を一つの項目として、例えば「相談者に応じて配慮することが望ましい」など、部屋を個別に設けるかどうかは緩やかな表現となるよう工夫した方が良いのではないか。

○ 総則は、項目を立ててどんどん細かくしていくと、大きなつかみが、少しわかりにくくなるおそれもあるので、総則では大きくとらえておいて、けれども、大きくとらえることが全部一緒の部屋だという表現にならないよう工夫すればいいのかと思う。

○ p22のホームベースのところで、「教科教室型の場合においては」となっているが、「教科教室型の運営をとる場合においては」というふうに、「運営」という文言を入れていただいたほうがわかりやすいのではないかと思う。教科教室型と言った場合に、校舎のつくりを言う場合と、運営方式を言う場合と二通りあるので、表現を検討してはどうか。

○ 今回の修正で、日照、採光、通風、換気、室温等、良好な室内環境を保つ観点から語句が見直されているが、「音響」という文言は、保健室や、屋外からの騒音の影響を受けないようにという観点の箇所において主に書かれており、他の普通教室等においては記載がないが、記載箇所をもう一度見直してみてはどうか。最近の学校の事例では、音響の観点を見落としてしまうことで使い勝手が悪い空間ができてしまっている例が見られる。複合施設としたり積層したりすることによって、例えば体育館や運動施設が上階に配置され、音楽室や体育館などの大きな音が出る部屋と普通教室とが近くに配置されることにより音響の問題が起きていたりする。また、可動間仕切りの使用のために教室の静けさが保てなくなっていたり、音響への配慮なくホームベースを設計したために隣室同士の音が筒抜けとなり、ホームルームには使えない空間になってしまっていたりする。

○ p13の第2の(5)で、「周辺住宅等との間で、日照やプライバシー等における相互の影響に配慮した配置とすること」ということは書いてあるが、実際に配置計画をしようとすると、学校の出す音というか、例えば体育館の音だとかは、時にかなり大きな条件になることがあるが、そのようなことも含めて、表現を整えることにしたいと思う。

・(p28)第4章 第2の6、(p29)9 美術・工芸について

○ 理科関係教室及び美術・工芸・書道関係教室の2つの特別教室群については、指針改訂の方向性(参考2)の一つ「環境面への配慮」を踏まえて、排出物の地球環境及び周辺環境に対する配慮についての記述を盛り込んではどうか。理科関係教室では有機物質等、工芸・美術・書道関係教室では絵の具等の排出があるので、特に盛り込んでも良いのではないか。

・(p39)第4章 第7の3 職員室(5)について

○  「日常的な生徒とのコミュニケーションが促されるよう、談話コーナーの設置や生徒側から入りやすい雰囲気となるよう、情報管理に配慮しつつ計画することが重要である」とあるが、日常的な生徒とのコミュニケーションを促進すること、生徒側から入りやすい雰囲気となることが、本当に高校の職員室に必要なのかどうか、議論が必要なのではないか。

○ 本校の場合、教科職員室制だが、生徒との関わりは非常に重要と考えており、教科職員室の外の部分に少しオープンなスペースをつくって、生徒の対応は職員室ではなくそのスペースで生徒と関わっている。その意味では、職員室は入るのが少し厳しい雰囲気だが、生徒との関わりはそのような形で対応している。

○ 地方ごとの気候風土、例えば積雪や季節風への配慮について、配置計画に関する章などで記述があれば良いと思う。

○ 現在、国として、学校も含めた公共施設の木造化や内装材の木質化などの木材利用が言われている。現行の指針でも木材利用について記載されてはいるが、さらにもう少し積極的に触れる必要があるのかどうか検討してみてはどうか。

・(p19)第3章平面計画の第2の9(1)生徒指導・教育相談室について

○ ①に「生徒等が気軽に行くことができ」とあるが、生徒指導と言うと基本的には何か問題行動があった場合に個別指導する、また教育相談と言うと精神的な悩みを抱える生徒に対して個別にカウンセリングをする、という区分けをする。そう考えたときに、生徒が面談室に気軽に行くことは現実としてほとんどない。また「資料室」という記載があるが、資料室についても、生徒指導や教育相談で生徒が気軽に行くということはあまりない。進路指導や履修指導の部屋については、生徒ができるだけ気軽に行き、必要な情報を得たり、相談をしたりするということがある。
 そのため、「生徒が気軽に行くことができ」よりも、「生徒等が入りやすく」や「利用しやすく」などの文言のほうがより現実的なのではないかと思う。

○ トイレの洗面所について、あまり手を入れずにつくられている学校が見受けられる。トイレの中で、洗面所の部分についても、そこで手洗いやうがいを行う場合には十分配慮する旨の記述もあると良いのではないか。

○ 地方では学校がコミュニティーの中核になるようなケースがある。地域の産業やその歴史などを展示して生徒達に見せることも教育の一つと思うので、その観点を加えられないか。

(2)高等学校施設整備の推進方策について

・事務局より資料2に基づき、「高等学校施設整備指針の改訂等について」の素案について説明。

○ 中高一貫教育に関しては、私立学校が従来から取り組んでいることなので、「新しいタイプ」ではなく、別の表現に工夫できないか。

○ 推進方策については、高校教育改革が進む中で、各自治体の施設整備の実態をしっかり検証して示すことが重要である。厳しい財政状況のために施設整備が十分にできず、改革の効果があがらない状況も生まれている。また、研修会等を通じて各自治体の担当者に施設整備の実態と課題の理解が深められるような文言が盛り込めないかと感じた。

○ p1の下のほうに「高等学校の質的な整備」というのがあるが、教育の中身の質を上げていくことが重要である。

○ p5の(3)の効果的・効率的な施設整備のところで、「相互利用・共同利用、拠点校化等を考慮すること」と記載されているが、確かに拠点校化していけば、財政的には効率化が図れると思うが、拠点校化したことによって教育効果がそれぞれの学校でやったのと同じ効果が得られているのかどうか、あるいは教育効果の面でどのような課題があるのか。拠点校化を示すのであれば、これらについて十分に検証していく必要があると思う。

○ やはり一番問題なのは、進まない耐震化なのではないかと思う。

○ 校長先生たちが一番望んでいるのは、まず耐震化と古い設備の更新である。その点について盛り込んで欲しい。また、部活動などの施設の充実についても盛り込めないか。

○ 国から地方公共団体に対して情報提供をする前提として、(都道府県毎の施設整備に関する財政支援制度とその現状なども含めて)情報収集をする必要があろうかと思う。その際、公立対象だけではなく私立学校を対象とするものも含めた情報収集が重要ではないか。

○ p5の上の(2)のキャリア教育・職業教育の充実のところで、キャリア教育はすべての高校に求められているものなので、表現としてはもう少し工夫してはどうか。

○ 今、義務教育の段階で不登校とか、いろいろな問題を抱えている児童生徒が非常に多くいる。そういう子供たちを高等学校で100%近い進学率で、いずれかの高校で受け入れていかなければならない。そして、社会に送り出さなければならない。そう考えると、高校はきめ細かい指導をして、社会人になるとか、上級学校へ行くとか、そういった役目がより一層増えてくると思う。

(3)その他

・事務局より資料3に基づき今後のスケジュール案について説明。

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