高等学校施設部会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成22年6月28日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館(金融庁)9階 共用第2会議室(904)

3.議題

  1. 高等学校施設整備指針の改訂に向けた検討について
  2. その他

4.出席者

委員

【委員】青木栄一、上野佳奈子、尾池武、小野島惠次、國分達夫、小寺啓一、髙際伊都子、髙間專逸、公一、長澤悟、町田静隆、吉岡大介(敬称略)
【特別協力者】新保幸一、屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】西阪文教施設企画部長、岡技術参事官、長坂施設企画課長、森企画調整官、瀬戸専門官ほか

オブザーバー

【文教施設企画部】杉浦施設助成課長補佐
【初等中等教育局】(高校教育改革PT)小谷教育制度改革室長、天野教育制度改革室専門官、沓澤児童生徒課産業教育振興室産業教育調査官
(教育課程課)梶山教育課程企画室長
【高等教育局私学部】真野私学助成課専門官
【スポーツ・青少年局】朝倉企画・体育課運動部活動推進専門官

5.議事要旨

(○:委員の発言、●:事務局の発言)

(1)高等学校施設整備指針の改訂に向けた検討について

・長澤部会長より挨拶
・事務局より資料3に基づき文部科学省の取組や当調査研究協力者会議について、また高等学校施設整備指針について説明。
・事務局(教育制度改革室)より資料4に基づき高校教育改革の推進について説明。
・事務局(教育課程課)より資料5に基づき高等学校学習指導要領の改訂について説明。
・事務局より資料6、7に基づき調査研究の趣旨等について説明。
・事務局より参考2に基づき、6月14日開催の親会議(第6回)における湯澤教授の発表内容について説明。
・尾池委員より資料8などに基づき、群馬県における今後の県立学校の在り方について説明。
・小寺委員より資料9に基づき、福井県における高等学校の施設整備の現状・課題について説明。

○ 中等教育学校では、前期課程の生徒(中学生)と後期課程の生徒(高校生)とが一緒に生活し、6年間の中で生徒の身体的な成長は非常に大きい。本校(新潟県立燕中等教育学校)では、高等学校校舎を改修整備して中等教育学校としており、体育館やグラウンドなど、中学生にとっても非常に余裕のある施設がある一方で、図書室など、整備不足を感じる施設も存在する。
  また、新潟県では、高等学校の再編整備計画の中で高等学校を母体として中等教育学校を整備しているが、校舎の新設は難しく、高等学校の改修により整備を行っている。

○ 東京都における全日制の総合学科の高等学校は現在9校あるが、始めに整備された晴海総合高等学校、つばさ総合高等学校は改築、それ以外は大規模改修により整備されている。高等学校施設を考えるうえでは、改築で整備された学校と大規模改修により整備された学校とのどちらの立場に立つかによってかなり考え方が異なると思っている。
  例えば晴海総合高等学校の場合、改築校のため非常に恵まれた施設となっており、教室の数は総合学科の教育課程をある程度こなせるほど充実している。それに対して大規模改修校である前任の学校では、間仕切りの工夫などにより対応していた。

○ 施設整備は既存施設をどうするかというのが大きな課題なので、大規模改修を行う際の視点からもぜひご発言いただきたい。

○ 中高一貫校・中等教育学校は、高等学校でも中学校でもない全く別の施設として考えることが必要となる側面があると感じている。普通学科、専門学科や総合学科、中高一貫校など多様な学校があり、また卒業後の進路は進学が多い学校、就職が多い学校ある中で、学校によって必要な施設整備が異なってくることについて施設整備指針の中でどこまで言及するか、検討するべきではないか。
  高等学校では、施設はあるに越したことはないが、その地域や特色を生かして近隣の高校や大学と施設を共有していくという点が、非常に重要だと思う。例えば工業高校における機械など使用可能な期間が短いものは、常に新しい施設設備を整備するのではなく、積極的に学校外施設を活用することも有り得る。そういった意味では、施設という点から、高大連携について議論していっても良いのではないかと感じている。

○ 従来の工業高校では、理論の学習は座学として教室で、また実習は機械やパソコンを使用して実習室で、それぞれ別々に行っていた。今後は、座学と実習を一体的に行うことが課題となっており、実習室にも座学ができるような機能が必要になってくると思う。
  また、従来の実習では一人一人が個別に実習をする形態が多かったが、今後は言語活動の充実という観点から、コミュニケーション能力を身につけさせるため、例えば班による学習、まとめ作業、発表という形態の授業も積極的に取り入れる必要があると考えている。
  発表の形態は、従来は視聴覚教室でパワーポイントなどを使うものが多かったが、ポスターセッションによるものも多くなってきている。発表の場としては、視聴覚教室だけではなく、ポスターセッションができるような広くフレキシブルな空間が必要。本校(東京都立科学技術高等学校)でもそのような空間を設け、発表の他にも、演劇や地域の小・中学生を集めた科学技術の啓発活動などを行っている。
  (上記のような)新しい学習指導要領に対応した様々な学習形態が可能になるような施設があれば、学校側も工夫ができるのではと思う。

○ 東京都では、カリキュラムに「奉仕」の時間があり、地域やNPO法人、商店街、小・中学校などと連携し、1年次に必ず様々なボランティア体験をさせて、社会経験を積ませている。
  生徒数の増減により臨時的に学級数の増減が生じると、奉仕の時間や体育祭など、学級ごとに行ってきた活動をどのように運営していくかが問題となる。

○ 東京都立つばさ総合高等学校では、生徒のホームルームはないが、生徒の居場所としてホームベース、ラウンジ、自習スペースなどがある。環境活動の取組の一環として、普通教室と特別教室にごみ箱を置かず、各階にごみを捨てる場所を設けているが、学校全体が全員の場所という意識から、教室内にごみ箱がないことにあまり抵抗はないようである。ただしその一方で、自分の固定の居場所がないことで、ラウンジや自習スペース、トイレに飲み物のごみなどを気軽に置いていってしまうということもある。

○ 適正配置や統合により学校がなくなることで、地方では高校に通えなくなるという子供たちが出てくるのではないかと危惧している。また、エアコンの設置については地域により様々で、設置・電気代ともにPTAが負担している話、耐震改修で付けたブレースにより窓が開けにくく風が入りづらくなるのでPTAがエアコンをつけた話などを聞いている。

○ 小・中学校では、教員給与、学校の施設整備に負担金等があるため、国のコミットメントが制度上表現されている。一方で、高等学校は一般財源のため、地域によって非常に差がある。ただ、最近では高校無償化により国の高等学校政策へのコミットメントが明確になったとも考えられ、施設整備指針についても、「望ましい」「有効である」の項目は、積極的に盛り込んで良いのではないかと思う。
  現在は様々なタイプや課題を持つ高等学校が増えているため、現行の指針と比べ、多様なタイプあるいは課題別に留意事項等を盛り込むのが良いのではないかと思っている。

○ 小学校に関しては、建築の立場から実態調査等により使用状況や新しい試みを評価することで、その反省を生かした建築の提案がなされてきているように思う。一方、高校については、建築の立場からの施設の状況分析はこれまで比較的少ないように感じている。設計者側がどのような施設とするか非常に悩んで設計したものが、実際にはうまく活用されるような空間にならなかったという例もある。
  施設整備指針は、学校側のニーズを反映することはもちろんだが、実際に学校をつくる建築側の人間が、できるだけ具体的な課題をイメージして建築に落とし込めるようにつくっていく必要があると思っている。

○ 都道府県の財政難や少子化により、多様な教育を展開するだけの学校をつくり得ないという状況が生まれつつある。その中でどのような施設整備を構想していくかが非常に重要な課題だと思う。

○ 高等学校の課題やとらえ方の視点は様々あるが、その学校で学ぶ喜び、教える喜びを色々な意味で感じられるような学校をつくるために、施設がどのようにあれば良いか、個々の記述を踏まえて最後に大きな姿として見えれば良いと思う。

(2)その他

・事務局より資料10に基づき高等学校施設の現地調査について説明。
・事務局より資料11に基づき今後のスケジュール案について説明。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

指導第一係
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(大臣官房文教施設企画部施設企画課)