令和8年3月10日(火曜日)9時00分~11時00分
文部科学省東館15階 15F1会議室 及び オンラインのハイブリッド形式
川原主査、相澤委員、合田委員、牛久委員、大上委員、桂委員、北野委員、小長谷委員、泰地委員、高橋委員、津田委員、松岡委員、溝口委員、横山委員
淵上 研究振興局長、坂下 大臣官房審議官、阿部 参事官(情報担当)、栗原 計算科学技術推進室長、轟木 参事官補佐
赤池 科学技術・イノベーション推進事務局参事官(統合戦略担当)、大西 総務省国際戦略局技術政策課技術革新研究官、門元 外務省経済局経済外交戦略課長、中村 外務省経済局経済外交戦略課主査、渡辺 経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課長、永野 科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー
【川原主査】 それでは、定刻となりましたので、AI for Science推進委員会の第2回会合を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日も、現地出席とオンライン出席のハイブリッドの開催で行っております。
本日の委員会は、事前に登録のあった報道関係者3社による撮影を認めております。撮影時間はこれより冒頭の3分程度といたします。撮影は会議の進行の妨げにならないよう配慮をお願いしております。
なお、頭撮り終了時間となりましたら、報道関係者の皆様には御退室いただき、その後、議事に入らせていただきます。
それでは、報道関係者の皆様は撮影をお願いいたします。
まず、出席者の御紹介、配付資料の確認と、ハイブリッド開催に当たっての注意事項について、事務局より説明をお願いいたします。
【轟木補佐】 事務局でございます。まず、本日の出席状況について御案内をいたします。
丹波委員が御欠席となりますが、SB Intuitions株式会社、井尻代表取締役社長兼CEOにオブザーバーとして御参加をいただいております。
また、オブザーバーといたしましては、座席表にも御案内させていただいていますとおり、関係省庁からも御参加をいただいているところでございます。
文部科学省からは、研究振興局長の淵上と大臣官房審議官の坂下が御参加をいただいてございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、議事次第に基づきまして、配付資料を確認させていただきます。現地出席の方は、お手元の配付資料、オンライン出席の方は、ダウンロードいただいている資料の御確認をお願いいたします。
もし現時点でお困り事ですとか不具合などございましたらお知らせいただければと思います。よろしかったでしょうか。ありがとうございます。
続きまして、ハイブリッド開催に当たっての注意事項を申し上げます。ハイブリッド開催における注意事項、画面にも表示させていただいておりますが、前回と同様でございます。主な注意事項といたしまして、現地出席の方も含めて、御発言いただく際は、「手を挙げる」ボタンを押して御連絡いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からの御案内は以上でございます。
【川原主査】 ありがとうございます。
本日は、2件の議題を予定しております。議事1に関しては、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針(素案)について、議事2に関しては、「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム」についてとなっています。
なお、議事1及び議事2について、公開の場にて討論を行った後、議事1に関しては、AI for Science推進委員会運営要綱第2条に基づき、非公開にさせていただきます。
頭撮りについてもお時間となりましたので、報道関係者の皆様におかれましては、撮影を終了し、御退室をお願いいたします。
それでは、議事1に移ります。AI for Scienceの推進に向けた基本戦略の素案につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【阿部参事官】 では、お手元の資料0で前回の振り返りをしつつ、資料1-1から1-3まで簡単に御説明したいと思います。
まず、資料0、前回第1回での主なコメントをまとめているものでございます。幾つかコメントをいただいており、まず重点領域の関係につきましては、同じ領域で10倍の資金を使っているところでは日本は勝てない。日本がパワープレーできる領域の設定が必要という点や、またパワープレーできないがやらなければならない領域についてはどう戦略を立てるのかが重要だという御指摘。また、極めて先駆的な観測・実験を行う研究、大量の高精度データを創出するノウハウ、方法を有する研究等もプロジェクトに考慮すべきという点をいただいています。
研究データにつきましては、まず、データの共有という点で、どのくらいするかしないのか、どのタイミングにするのか、大きな意思決定になるという点。また、ネガティブデータについても機械学習等でできるようになるとよいという点。
それから、研究データの公開・共有に対する研究者のモチベーションやインセンティブの御指摘、民間企業も含めたデータ共有に関するエコシステムの設計が必要という御指摘。それから、データ共有な協議のためのリポジトリを整備すべきという点。また、クローズな環境で独自のデータを学習させるというスキームについて御指摘がありました。
それから、データの取得に関しては、AI向けデータが不足しているという点と、AIのためにどういうデータを取得できるかを重視することが重要ではないか。また、データの整理・キュレーションをするものに対する評価、インセンティブの設定、データセットの構築をどのようにAI駆動で行うかという点をいただいております。
さらに、高価値なデータという点で、極めてトップレベルの科学による質のよいデータを、世界に先駆けて創出することが重要とのご指摘もいただいております。
人材育成に関しましては、危機感とやる気を有している若手の層を拾い上げる必要があるのではないかという点や、AIを前提とした知識や手法の教育についていただいております。
それから、AIの影響につきまして、生成AIによる論文作成補助が受け入れられ始めているという点のほか、他分野の知識を容易に利用することが可能になり、新たな分野が創出される展開が予想される。一方で、AIエージェントをホストできる環境がない点が問題ではないかという点をいただいております。
体制等ということで、産学連携について、プレーヤーが足りない中で民間企業の力は絶対必要になるという点。それから、AIの能力を上げるためには、全産業領域に影響を与え得る、サイエンスができるAIが必要という点。
それから、科学そのものがビジネスになりつつあるということで、トップ層の科学者が実践していることをミドル層やボトム層でも実践できるようなAI for Scienceを重視すべきではないかという点をいただいております。
その他として、AI for Scienceは幾つかのレイヤーがあるというところで、科学者が使うAIツールを開発するレイヤーもある。これが発展すると、AI自体が科学者になり、自律的な研究が可能になるのではないかという点をいただいておりました。
続きまして、資料1-1を御覧ください。「AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針(素案)」ということで提示させていただいております。こちらの資料は、前回、会議資料として御説明しましたパワーポイント資料、そこで目次を示しておりましたが、それをワードに落とし込んでいるものになりますので、ポイントを絞って御説明したいと思います。
まず、目次を御覧ください。前回の目次と比べて、1点、総論の6ポツ目、留意事項等という項目が追加になってございます。
1ページ目を御覧ください。「はじめに」というところですが、ここでは、AIが今如何に重要なものになってきているのか。この基本的な戦略方針の立ち位置などについて記載しており、一番下のところですが、御覧ください。第7期科学技術・イノベーション基本計画、これが来年度から始まるわけですけども、この5年間において、我が国の強みを最大限に生かしたAI for Scienceの先導的実践を通じて、科学の再興を実現し、国際競争力の確保・強化を図ることを目的に、AI for Scienceを国家戦略として体系的に推進するための基本的な方向性を示すものとしております。
2ページ目、総論、背景等ということで、ここでは、国際情勢、国内動向、それを踏まえた喫緊の課題と記載しておりますが、AI for Scienceをめぐる国際競争が非常に激化しているというところで、AI for Scienceを我が国の科学イノベーション政策の中核に据えて、今後5年間を勝負期間と位置づけて、スピード感を持って政策を展開することが求められているのではないかということを記載しております。
3ページ目、2ポツ、日本の現状(強みと課題)というところで、強みとして、情報基盤、研究基盤、社会基盤を挙げております。
それから、2-2課題として、研究力・人材、計算資源、研究データ、横断的課題とガバナンスという項目で、それぞれ前回の資料から記載しているという状況です。
それから、3ポツ目、今後の方向性と目的ということで、方向性では、日本が自律性と信頼性を備えた研究国家として、AI for Science先進国としての地位確立を目指すとしており、政策的な目的では、5ページ目の上段に書いてあるような3つの柱を前回提示していたというところでございます。科学研究の革新と科学的発見の加速・質の変革、研究力の抜本的強化と科学の再興、国際的優位性・戦略的自律性の確保というところで記載しております。
それらを具体的に実現していくための具体的な目標と手段というところを4ポツ目に入れております。研究力向上・人材育成の推進と計算資源の戦略的増強・利便性向上、高品質データの創出一元化ということで記載しております。
6ページ目を御覧ください。5ポツ目と6ポツ目につきましては、本日の議論を踏まえて記載していきますので、現段階ではブランクになってございます。
7ページ目以降、各論というところですが、こちらも前回の資料から持ってきていますので、内容は省略しますけれども、7ポツ目、基本的な各取組の考え方として、(1)研究、(2)人材、(3)データ、(4)基盤ということで、それぞれ記載してございます。
9ページ目に、(5)産学連携・国際連携を記載しており、10ページ目に国際連携・協業の考え方を整理してございます。
11ページ目に、具体的なアクション。ここにつきましても、後ほどの議論を踏まえて記載していくというところになります。
それから、最後の今後の検討事項等についても、残された今後の検討課題を最後に整理したいと思っております。
それから、12ページ目に、終わりに、を記載しております。一番下にありますが、今後5年間を集中的な改革期間と位置づけて、AI for Scienceを前提とした研究基盤、研究プロセス、制度及び人材育成の在り方を抜本的に再構築していく必要があるということを記載してございます。
資料1-1の説明は以上になります。
続きまして、資料1-2を御覧ください。今、御説明しましたAI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針、具体的なアクションについては、これから議論しながら、というところでございますが、具体的な目標例というものをこちらに記載しております。今後5年間を集中改革期間と位置づけ、スピード感をもって推進するための具体的なアクションを設定し、大胆な投資により取組を加速する必要があるのだと記載しておりますが、左下のような、ウエディングケーキのような形になっておりますが、こういった構造がAI for Scienceを見るときにはあるのではないかと考えております。
上から、研究においては、トップを引き上げる部分と、裾野を広げるという点がありますので、2点記載しております。まずマル1としては、トップを引き上げて世界を先導する研究成果を創出するということに対して、トップ10%論文のうち、AI関連論文数を世界3位にするということを記載してございます。ここにつきましては、第7期科学技術・イノベーション基本計画の全体の目標がこういった形になっていることを踏まえて同様の目標としてはどうかということを記載しております。
それからマル2につきましては、裾野の部分になりますが、あらゆる分野でAI for Scienceを波及・振興するという観点で、AI関連論文数の割合を、今、大体、世界10位ぐらいですけど、それを5位にしていくという点と、AI高度研究人材を5年で1,000人増加させるということを掲げております。こちらの10位から5位ということについても第7期基本計画のKPIとして掲げられて、検討されている状況になってございます。
それから基盤の部分、マル3、研究データの基盤システムとして、今、NII RDCがございますが、こちらを2030年までに容量5倍にして、さらにAIに対応できるよう高度化を図っていくという点。
それからマル4、学術情報ネットワークSINET、こちらにつきましては、2028年までに2倍高速化する。こちらにつきましては、SINETが近年、データ流通量が1.3倍から1.4倍ほど増加しているという状況を踏まえて、大体7年(注:正しくは6年)に一度、システムを更新するということで、令和10年に更新時期を迎えるという状況になっておりますので、そこを念頭に記載しているという状況です。
先ほど、1つ上のマル3のNII RDCの容量につきましても、このSINETの情報量、こういったことを踏まえて、最低限ここまで上げないと足りないということで、そういった目標設定をしております。
それからマル5、AI for Scienceの共用計算資源、こちらにつきまして、2030年までに10倍以上にするということで記載してございます。
こういったことを実現することによりまして、一番下になりますけれども、2030年には、全国どこでも誰でも、AIを駆使した高度な研究活動が可能となる社会を実現するという形を目指していきたいということで記載してございます。
それから、最後になりますが、資料1-3を御覧ください。研究データの取扱い等に関する考え方の(案)としてございます。令和3年4月に、内閣府の総合イノベーション戦略推進会議でまとめられました、公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方というものがございます。こちらを踏まえますと、オープン・アンド・クローズ戦略の下で研究データの管理・利活用を推進する。一方で、国の安全保障を確保し、我が国の経済競争力や科学技術・学術上の優位性を確保するためには、重要なデータがこの研究データに含まれているということもありますので、留意して非公開とすることも重要な点だということで、ここ2点挙がっておりますけども、輸出管理や個人情報等、国内法令、ガイドライン等において取扱いの制限があるもの、また企業の秘密性、研究の新規性、研究セキュリティー等の観点から非公開とすべきもの、こういったものが記載されているという状況です。
これに加えまして、AI for Scienceが進展してきている中、状況が変わってきているのだろうと捉えており、そういった中で、日本の持つ研究データがAIの利活用等によりまして、意図せず流出して、日本の持つ優位性が損なわれるおそれがあるのではないかという指摘がございます。このAI技術の進展、それから、研究分野・研究データの特性・状況、こういったことに留意しながら、国益保護の観点からも適切に管理する必要があるのではないかという課題意識を持ってございます。
それに対しまして、下段になりますが、具体策(案)と記載しておりますけれども、適切な管理をしていくために、研究データの国外移転があるのかないのか。学習利用をするのかしないのか。また、物理的なサーバーの場所がどこにあるのかといったことについて、一定程度、国として考え方、指針を明らかにした上で対策を講じていく必要があるのではないかということで、ここではマル1、2として2点書いてございます。
1つ目は、先般の補正予算で措置され、これから新たなファンディング事業として進めていこうとしておりますAI for Scienceによる科学研究革新プログラム、こういったものにつきましては、その実施手順において、データマネジメント、デュー・ディリジェンスに関する対応の徹底を図るということが必要ではないか。また、必要に応じて、追加措置を国から要請する。そういったことを考える必要があるのではないかと。
2点目として、国内で創出される研究データについて、データの流出等により日本の優位性が損なわれることがないように、国全体として、セキュアかつアクセス制御可能な研究データ基盤を構築した上で、保存・管理をしっかりしていくということを目指す必要があるのではないかということを記載してございます。
それから、もう1点、下に括弧書きで書いてございますけれども、昨年12月に、研究セキュリティーの観点で、研究セキュリティーの確保に関する取組のための手順書というものがまとめてられております。全体の大枠がここに書いてございますが、小さい字で恐縮ですけど、その下にコメが一つございます。技術流出防止を努めることは重要である一方、リスクゼロを求め過ぎると国際共同研究等に抑制的になるなど、研究現場に悪影響が生じるおそれがあることを踏まえて、リスクの程度に応じた合理的な対処を求めるということがこちらにも記載されているところで、こういったことも頭に置きながら全体としてバランスをとることが重要ではないかと考えているところでございます。
資料の説明としては以上になります。よろしくお願いいたします。
【川原主査】 ありがとうございます。
ただいまの説明を踏まえて、委員の皆様から様々な意見をいただきたいと思っております。阿部参事官から御説明いただいた、まず基本的な戦略というのがありまして、それから、これに関してもAI for Scienceの重要性がしっかり書かれていて、そのためにどこに対して何をすべきかというのが整理される、極めて重要な文書にこれからなっていくと思います。最後のほうを見るとアクション項目が埋まっていないわけですけれども、それが資料1-2、1-3等を踏まえた形で、今後、詳細化されるものと理解しておりますので、今日、特に資料1-2、1-3等に書かれているような具体的な目標とか、事業の肝となるであろうデータの取扱いに関する考え方、あるいは、まだ見落としがある部分に関して、広く御議論いただけるとよいかなと思っております。
御発言の際は挙手にてお知らせいただき、積極的な発言をよろしくお願いします。
30分の意見交換の後、議事後半75分は非公開での意見交換を予定しておりますので、その際も御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
では、北野委員、よろしくお願いします。
【北野委員】 前回のコメントなども含めて、やはりAI for Scienceはデータ量がかなり勝負になってきますので、そこの見極めが重要だと思っています。それで、パワープレーができる、できないというところがあるのですが、前回のコメントで、パワープレーができる領域として海洋があります。おそらく、海洋生物よりも海洋としてもう少し広く捉えたほうが良いと思っています。それと同時に、パワープレーができるという意味ですけど、海洋関係と食は、日本は潜在的に非常に強いと思うのですが、データとして、非常に大きな蓄積がある状態になっているとは思っていないです。従って、それをきちんとデータ化することのメカニズムを導入することです。要するに、リソースはパワープレーできる時代になるかもしれませんが、現状データがたくさんあるかというと、おそらくそうではないのだと思います。
加えて、食はおそらく、もう少し広めに捉えての食だと思っています。医食同源のようなものであるとか、農業であるとか、そういうところも含めてだと思います。そのようになったときに、強みはあるだろうとは思いますが、現状はデータがたくさんあってパワープレーができるという状態ではないです。
同じようなことがおそらく、創薬、マテリアルでも言えます。日本で創薬やライフサイエンスの強い領域もあるし、整っていないところもあります。マテリアルは非常に強いですが、ただ、データとして見たときに、マテリアルのどの領域が、データも揃い、体制が整っているか。この領域はやらないといけないのだけど、まだそこまで行っていないので何とかしなければいけないということもあると思います。
例えば、この辺りをきちんとした調査をする必要があるのではないかと思っていて、アメリカでは、コンソーシアムでHuman Cell Atlasなどがあります。そこで大量なデータを算出していますし、さらに、AIボードなどがきちんとあるので、全部ワールドモデルのようにして投入するということを意図してやっているところです。アルゴンヌ国立研究所も参画するGENESIS MISSONも、米国エネルギー省(DOE)が主導しているのでマテリアルが入ってくるはずです。そうしたら、どの領域ではどのぐらいのデータ蓄積があり、AIが学習するのに使えるデータがどのくらいあるかという、割と精密な議論をしたほうが良いと思います。
それで、やれるところについて、さらに進めていくべきだとは思うのですが、もう一つは、今、パワープレーできない、データ量で見劣りするのだけど、ここは日本としてはやはり重点化したいというものはデータが取れるような仕組みをまず一旦入れるということも必要になってきます。それと同時に、本当に重要で革新的なことは、重点化していたところではないところから出てくることが多いので、重点化されていないところをどのように目配りして、そこの研究を推進できるようにするかが重要です。おそらく3つぐらいのレイヤーで解像度を上げて、政策をつくっていく必要があるのかと思います。その辺りが結構重要です。
それともう一つは、私はHPCI計画推進委員会の委員も務めていますが、HPCIにおいて今度、「富岳」NEXTをつくります。「富岳」NEXTはAI for Scienceでも活用するスーパーコンピュータですが、フルに回すためには自動的にデータが集約される形にならないといけないので、この委員会で政策を打って、データを積極的に収集するといったところと、「富岳」NEXTが使うデータの連動性をどのように担保していくかです。今までは研究者がデータを取り、ハードディスクに入れたり、自分のクラウドに入れて、そこからデータを選んでアップロードするような形だと思いますが、このくらいのファンドの中では、生成されたデータ、メタデータを全部きちんとキュレーションしながら、自動的に「富岳」NEXTのパブリックドメインで使えるようにすることも必要ではないかと思います。それを望まない研究はリスペクトするにしても、一部に関してはこのようなデータファクトリー的な政策も要るのではないかと思います。多額の予算を投入して「富岳」NEXTをつくるわけだから、そこと連動性がないといけません。コンピューティングリソースとして国内最大のリソースになるとすると、それをどう使うかがAI for Scienceのプログラムとして非常に重要になってきます。つまり、データの算出するところの戦略的な仕分で、どう手を打つかと、「富岳」NEXTの連動性ということは一つのセントラルピラーとして考えていく必要があるかと思いました。
以上です。【川原主査】 ありがとうございます。データをどう各分野で取っていくかという話と、「富岳」を中心としたデータ取得と処理プロセスをどう標準化していくかという話だと理解しました。前者に関して、分野によって結構、誰がデータを取り得るかというのが違うような気もするんですけど、これは研究者なのか、国研なのか、企業なのかでいうと、どういうイメージをお持ちですか。
【北野委員】 そういうところのミッションをやりたいという人がやらないとできないと思います。結局、そこはデータファクトリー化するのであれば、研究であると同時に、割とシステマチックなオペレーションをする必要があるのではないでしょうか。従って、それに適しているチームがあると思います。それは国研かもしれないし、企業かもしれないし、大学かもしれませんが、それは組織というよりも、それをやりたい人とチームの適性によるのではないでしょうか。
今、理研をはじめ色々なところで動きがあるのは理解しています。ただ、その辺りはきちんと小規模でパイロットスタディを行い、きちんとしたクオリティーのデータが取れるようになり、それがどういう取り方をすると何に使えるかというところまできちんと踏み込んでやっていかないといけません。データだけを取っても、使えない場合というのが出てくるというのはよくある話なので、データを使った後のダウンストリームのところまできちんとつくった上で、上流でデータファクトリー化するということが必要になってくると思います。【川原主査】 ありがとうございます。後半の標準化に関しては、泰地さん、何か御存じあるいはお考えの話はありますか。
【泰地委員】 我々のプロジェクトもまさに神戸のほうの今度できるAI for Scienceスパコンあるので、そこに向かってデータを集約するような仕組みはつくっております。つくろうとしておりまして、出たデータをかなり自動的にあそこに流れるような感じにしていきたいなということで作り込みをしていると。例えばマウスの動画は典型例ですけれども、そういうような形で継続的にデータを流し込めるような形を整えようとしているというところですかね。
北野さんがおっしゃった前半の話に全く合意ですけれども、やはり今後は、今どういうデータがあるかというよりも、今後どういうデータが取れるかというほうが重要で、恐らく5年、10年ぐらいたつと、もうAIのほうから、人間がつくったデータなんか要らんと言われる可能性もあるので、何が大量に取れて、結局、やはり今はデータの量があると、それなりに目的と違うような用途でも、それをトランスファーして使えるというようなケースが多々あるので、何が大量に取れるか。データの質も含めて、何が大量に取れるかというところをしっかり検討して、取り組んでいく必要があるかなと思っています。
我々は、我々のプロジェクトを始めるときに、参加している人が言っていたのが、これってやはりゲノムプロジェクトみたいなもので、割と大きなプロジェクトの一つの歯車になって動くような覚悟がないとできないようなプロジェクトかもなという話をしていて、大学、国研とは限らないんですけれども、そういう大きな目標を持って動けるというところがあれば、誰でもできるのかなと思っているところですね。
【川原主査】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。横山委員、お願いします。
【横山委員】 ありがとうございます。大変いろいろ整理していただいて、勉強になっております。新しくいただいた資料1-3のオープン・アンド・クローズド戦略というのは非常に重要だなと思っておりまして、一つ加えていただきたいのは、当たり前のことではあるんですが、時間軸の言葉が入っておいたほうがいいなと思います。基本的にオープン化することが前提であっても、やはり研究者が論文執筆をするとか、ある時期は占有するというのは当然の権利としてあるべきものだと思いますので、それが明示していると安心して預けられる研究者もより増えていくんだと思っています。
基本的にオープン化するというのはもう大前提で進めていくというのがいいと思うんですが、やはり最後にコメントいただいたように、国際共同研究のときにどういう合意を国の間で取っていくのかということがやはり重要になるので、最初から国際的に、この辺のオープン戦略を国際的に連動できるような形で設計していただきたいというのが非常に強く思うところです。
以上です。
【川原主査】 ありがとうございます。
では、津田委員、お願いします。
【津田委員】 同じところですけども、やはりこれはかなり、何というんですかね。こういうふうにチェックが厳しくなってしまうと、研究現場に悪影響が生じるおそれというのは十分にあるのかなと思っているので、できるだけ、もちろんデータ保護の必要性は分かっているつもりですが、できるだけ簡素にしていただくというのが大事かなと思います。
あともう一つは、これは研究データの管理に関する具体策というのがあっても、これはあくまで日本の政府がやっていることなので、日本国内でしか有効ではないんですよね。よくあるのが、日本のデータが海外に流出しましたというときに、海外ではすごく使っているのに、日本だけルールがあるがために使えないんですよ。だから、日本人が日本のデータが使えない。日本人だけが使えない。ほかの国の人はみんな使っているのに、日本人だけが使えないというのは本当によくある話なんですよね。
なので、本当は理想的にはこういう管理は国際的にやるべきですけど、もちろん難しいのでしょうけど。なので、そういうことにだけはならないようにぜひお願いしたいと思っております。
以上です。
【川原主査】 ありがとうございます。
では、合田委員、お願いいたします。
【合田委員】 ありがとうございます。最初の議論に戻ってしまうんですけども、資料1-2でしょうかね。この中で、NII RDCとかSINETを取り上げていただいておりまして、我々としてもしっかりやりたいと思っているんですけども、細かいことで恐縮ですが、SINETのところで、先ほど更新間隔は7年とおっしゃったと思うんですが、正確には6年ごとに我々更新しておりますので、すみません。1件だけコメントさせていただきたいと思います。
もう一つが、これも最初の議論で、いわゆる実験装置からもうデータが自動的に「富岳」に流れる時代が来ると。私もまさにそのとおりだと思っていて、これは既に恐らく幾つかのユースケースがこれからどんどん出てくると思うんですね。ただ、こういった取組をやろうとすると、どうしてもアプリケーションとか計算機とかネットワークとか、それぞれについて非常にエキスパート的な知識を持った一部の研究グループができるような現状だと思うんですが、次のステップとしては、そうでない方々でも、アプリケーションの専門家の方が同じようなことができる世界が理想だと思っています。
恐らくデータを送る先も、「富岳」以外のスパコンかもしれないし、クラウドかもしれないと思います。実はこういったことはもう今生成AIを使うとできるようになりつつあると思っていて、今、実験装置から出てきたデータに対して、そのデータを解析するプログラムを選んでくれて、それがインストールされて動いて、また、メタデータも作ってそのデータのプラットフォームに挿入されることがもうできつつあるので、そういった次のステップも考えながら進めるのがよいかと思っているところです。ありがとうございます。
【川原主査】 ありがとうございます。では、牛久委員、お願いいたします。
【牛久委員】 ありがとうございます。オンラインから失礼いたします。
今の議論のところで結構インフラとか、データというところの議論は重要だなと思って私も拝聴していたんですが、もう1点付け加えるならば、ソフトウエアレイヤーのところがAI for Scienceということで非常に重要なまたもう一つのインフラになるだろうと思っています。
今も例えばさきがけ等の自律駆動科学領域などで若手の研究員の皆さんがそういうふうなAI for ScienceのためのOS的なものを作りましたとか、ロボットと連動するソフトを作りました、AIと連動するソフトを作りましたみたいなところをやられていたりするわけです。一方で、そういったものがどこにどういう学術分野のための何があるのかというのはなかなか見通しが立たない状況というのが非常に問題だなと思っていて、このままだとそれぞれ埋没して消えてしまうのではと思っています。
なので、例えばそういったところをこういったドキュメントとしても強く、是非公開してくださいという情報発信というかメッセージを出すことと、また、そういったものが共有されるような場というのが、データセット、データを共有する場と同じぐらい重要な場として検討した方がいいかなと思っているということです。
またさらに、「富岳」の話も出ていましたけれども、例えばこのAI for Scienceの事業の中でそういったものを開発している人たちは、何か優先的にそういった計算リソースを使う何らかの優遇措置が取られる等の積極的なインセンティブを喚起するような施策が重要かなと思いました。
以上です。
【川原主査】 ありがとうございます。では、松岡委員もお願いします。
【松岡委員】 牛久委員の御意見に少しかぶせというふうになるんですが、ソフトウエアレイヤーは私も大事だと思っています。資料1-2の具体的目標例にやっぱり、活用というか研究力の底上げ的な要素が、それを図るという意味の目標が余り入っていないのが少し気になっています。なので、もちろんコアの技術を開発するという意味で今書いてあるKPI自体は違和感はないんですけれども、それが活用されていってソフトウエアが増えていくとか、ソフトウエアそのものが活用されていくみたいなところがもう少し目標として掲げられているべきではないかなとは思いました。
【川原主査】 ありがとうございます。オンラインで小長谷委員、お願いいたします。
【小長谷委員】 牛久先生にちょっとかぶせる形になるんですけれども、ソフトレイヤーの開発とともに、本当は埋没しているウエットの実験者が既に集めたデータというのはたくさんあると思っていて、ただ、それをAI for Scienceのためにわざわざデポジットするというモチベーションが多分ないところがすごく問題だなと思っています。
ウエットの実験を主にするような人たちがこのAI for Scienceのプロジェクトにどんどん参画してもらうという、すくい上げるという意味でも、計算リソースを代わりにちょっと使えますよみたいな具体的なインセンティブがあるとやりやすいのかなと。多少面倒くさかったとしてもやろうというインセンティブを与えられるので、そういうふうにして、既に埋没しているデータも積極的にアップロードしてもらうプラットフォーム、その先というものを整備する必要があるのかなと聞いて思っていました。
以上です。
【川原主査】 どうもありがとうございます。それでは、たくさん手が挙がっておりますので次々行きたいと思いますが、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。データの収集のことが今、合田先生の方からもありましたけれども、実は、環境等の公共に関するデータ、あるいは公共といいますか、予算が付いたデータであっても海外流出をしていたり、それから出てこないデータというのはかなり分野によっても、課題はあったとしても非常にあるんですね、実際のところ。少なくとも公共データに関しては、特に国研だったり、それから地方公共団体、市町村も含めたところも含めて、やはりデータを、貴重なデータであることもあるので、そういうことを収集できる、インセンティブも含めた何らかの収集できる仕組みがどうしても必要なのではないかと思います。
ここの基盤のところのデータ基盤のところに、基盤のシステムのところだけがここの目標には入っていますけれども、それだけではないデータの価値を上げる、あるいはデータの量を上げるというところに何らかの強力な仕組みを入れられるようなそういった取組がどうしても必要なのではないかと思います。これから取るデータも非常に大事なんですけれども、これまでのデータをいかに生かすかというところも考えていただいて、データの豊富化というか多様化というか、集中あるいは非常に広いところに使っていただくデータというかということも含めて、実際の質と量というところにどれだけの労力が傾けられるかという、もしかしたらここの取組での枠組みだけでは済まないところもあるかもしれませんけれども、是非御検討いただきたいなと思いました。
以上でございます。
【川原主査】 ありがとうございます。では、相澤委員、お願いいたします。
【相澤委員】 相澤です。先ほどのソフトウエアの話に追加という形でのコメントとなりますが、データとソフトウエアは不可分であると考えられますので、データ基盤とタイトに結び付ける形で、データがあればそれを利用するためのツールも必要であるし、ツールはデータなしには動かないという考え方で設計することが必要だと感じております。
その際にもう一つ重要になってくるのが、検証とか品質保証をどうするかという話です。まず、公表された出版物の付属データというのは、一応曲がりなりにも査読を通っていると考えられるわけですけれども、時間が経過すればオブソリートされていったりする可能性もあるので、問題が生じ得ます。通常の枠組みですと、例えばスターとか更新回数等がある種の指標になるわけですけれども、もっと積極的に品質検証についての仕組みを考えて、それが研究者がデータあるいはソフトウエアをアップロードするインセンティブになっていくという循環を考えるのも方向性としてあるのではないかと思いました。
以上です。
【川原主査】 ありがとうございます。では、溝口委員、お願いいたします。
【溝口委員】 ちょっと話を変えさせていただいて、私はやっぱり大学なので、「(2)人材:AI関連人材」というのがやっぱり気になりまして、この文言は基本的には賛成なんですけれども、もう少し解像度上げた方がいいかなというのが1点です。一番下、(2)人材のところで「大学や専修学校等」とあるんですけれども、最近は理研とかNIMSさんとか産総研とかそういった国研が明らかにそういったところを先行している部分もありますので、ここもあえて「国研」というような言葉というのを入れるのがいいんじゃないかなというのが1点です。
あと、これはどちらかというと今の学生さんをベースにした、本当に若い学生さんたちをベースにした何か支援のように思うんですけれども、私、大学にいて常々思うのは、最近ドクターの学生、日本は少ないんですけれども、逆に修士だけ取って企業に入る人が非常に多い。その人たちは非常に優秀なんですね。そういった方々を一定期間大学に戻して博士を取らせる。なので、博士後期課程もそうなんですけれども、ある意味社会人ドクターみたいなことも明記するというようなことですね。
あと、下のリ・スキリング、それはリ・スキリング、リカレント教育になるんですけれども、何となくちょっとふわっとしているので、あえてもう本当に民間企業からのこういったもののリ・スキリング、リカレントというのを少し分解能を上げて記述した方がいいかなというのを感じました。
以上です。
【川原主査】 ありがとうございます。そろそろこの部は時間になってきてしまうんですが、最後に、オブザーバーの井尻さん、よろしければ、御発言を願いできますでしょうか。
【オブザーバー・井尻】 本日は、SB Intuitionsの社長として来ております。よろしくお願いします。
AI for Scienceは、サイエンスがゴールと語られがちなんですけれども、企業中心で考えますと、Science for Innovationという、出先のところも重要になってくると思っております。論文数というだけではなくて、そこで出てきたインパクト、例えば新材料とか、あるいは新薬とか、ほかにもあると思いますけれども、そこが重要と思っています。そこをどういうやり方で増やしていくのか、あるいはインパクトのあるものを出していくのかを考えたときに遡ってくる部分もあると思っている次第です。
ただ、そう言いながら、それは狙ってできるものでもありませんので、数撃てば当たるといいますか、多産多種的な考え方は必要になると思っておりまして、そういう意味で研究を加速させるためのAIが必要になってくる。そして、それを今度遡ってくると、そういうAIをたくさん量産するための研究基盤、計算基盤あるいはデータ基盤になってくると思います。
どれぐらいの量があればいいのかは、例えば弊社の場合ですと、20人ぐらいで1万GPUぐらい使っています。これは本当にスクラッチで学習させるから必要というのもありますが、今ある色々なツールを束ねるようなAIエージェントを立てる、作るときに我々としてはこれぐらいの量が必要と考えている次第です。
これをそのまま例えば1,000人増強するというふうに考えますと、20人で1万GPUというのを100倍すると2,000人100万GPUそれぐらいの量になる。実際、グーグルのDeepMindあるいはOpenAIだとかは、それぐらいの規模感で使っていて、要は、サイエンス領域という本当にフロンティア的なところは失敗に終わるものも多いので、数多くするためにはそれぐらいの量を確保しているんだろうなと思っている次第です。ですので、特定の分野においてリードしようというのであればそれぐらいの量が必要だし、それを官民一体でやっていくことも必要かなと思っています。
そういった中で、企業側も、今後のイノベーションにつながるビジネス、イノベーションにつながるサイエンスを考える中で投資を多くしていくという還流する仕組みというのがなければ、これは1回やってしまって、それで出来たもので残り10年とか30年とか生きていくという自走しない仕組みになってしまいがちですので、そこを何とかしたい危機感はあります。
そういう意味では企業も、今、何かシステムインテグレーションだとか泥臭いところでラストワンマイルとも言っていますけれども、本当に本流でサイエンスオリエンテッドなイノベーションというところでビジネスをしていくべきだと思っていますし、我々としてもそこに投資していきたいと思っている次第です。
【川原主査】 ありがとうございました。無理やり総括をしますと、AI for Scienceは全ての領域に関係があり、日本の勝ち筋を生かせるところもあるけれども、そこには、いろいろなロジスティクスを整理しないといけなくて、それは、つまり、データがあるんだけれども使える形になっていないので、それをどう使える形にしていくか。データを使うというときにはソフトが必要になるわけだが、そのソフトをどうみんなで作りみんなが使えるようになって、そしてメンテナンスされるようになるか。その先にはまたハードウエアがありまして、今、井尻さんからは100万GPUという具体的な数字もいただきましたけれども、人材がどのぐらい増えるのかに連動して、それに必要なリソースも確保しながらやっていく必要があるだろうと。
更に言うと、いろいろな検討が進むと、インセンティブの問題も。まずは広く使ってもらうところから始めるんでしょうけれども、あるときからはクローズドな戦略に移っていかないとインセンティブとしても厳しいので、そこをどう国際的な協調も踏まえながら行っていくか、そういったことが課題として挙げられたのかなと思っています。
なので、基本方針にも、全体観ですかね、登場人物と、その登場人物が何を使ってどうしていくのか、どこに向かっていくのか、そのためにはどういうふうに裏方のインフラ投資等、人材育成方針等含めて進めていくのか、そういった指針が書かれるといいのかなというメッセージだと受け取りました。
ここで一旦区切りを入れるようになっておりますので、議事(2)に移りたいと思います。AI for Scienceによる科学研究革新プログラムにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【阿部参事官】 資料2を御覧ください。これから公募等を進めていくことになりますけれども、お問合せも多く、現状の取組、検討状況について御報告ということで資料をまとめております。
1枚目は、これは全体の予算の枠組みでして、令和7年度補正予算で全体として370億円措置されており、右下にありますとおり、中身は二つ、プロジェクト型が3年間の基金事業として320億円、それからチャレンジ型が50億円で単年度事業という形になってございます。
めくっていただきまして、まず、プロジェクト型、3年間の基金事業の狙いという資料を入れております。こちらは大きく二つの狙いがございます。一つ目が野心的ターゲット達成を目指す取組を進めていこうということ、もう一つが国際トップリーグへの参画を目指す取組、こういったものを進めていこうということで記載してございます。この推進に当たっては、3年間でどういう野心的なターゲットを目指していくのかということをどう例示していくのかというところかと思いますが、中ほどにあるようなことをまず例示としている状況でございます。
それから、3ページ目を御覧ください。チャレンジ型プログラムでございます。こちらは単年度事業、全体50億円ということです。左下にありますとおり、1件当たりの予算規模は500万円程度ですけれども、年間2回公募をして全体として1,000件のプログラム、プロジェクトを日本全体であらゆる分野で進めていこうというものになります。こちらは右上の三角形がありますとおり、トップ層よりやや下の、ここでは3、4と書いてありますが、この辺りの層をターゲットにしているというものになります。
具体的な研究テーマのイメージが4ページ目にございます。これはあらゆる分野ですので、いろいろなものが出てくることを期待しているわけですので、先ほどのターゲットのような例示ではなくて、こちらでは分類という形にしております。今日御議論がありましたようなデータセットの構築ということについても、金額の大きさはいろいろありますけれども、この中でも恐らくテーマとして掲げてくれる方々も一定数いるのではないかと期待しているものでございまして、モデルの適応、AIモデルの開発から様々なテーマをこちらでは採択の候補として考えていきたいと思っております。
それから、5ページ目を御覧ください。チャレンジ型プログラムの予算の執行スキームになります。公募自体は文科省の直執行ですので、文部科学省で公募をして、1,000件採択していくということですが、いろいろ事務がありますので、事務支援事業者と協力してやっていくということになります。それから、予算の執行のお金の流れとして、各大学や研究機関において採択された方々を全体取りまとめていただく予算執行を考えておりますので、この絵のように、公募の申請それから執行管理については各機関で行っていただくことを考えてございます。
その場合に、1点アナウンスも含めてなりますが、次の6ページ目を御覧ください。計算資源をどう確保するのかというのが課題として出てくるだろうと捉えております。こちら、採択が出て、そこからスタートということでは調達等間に合わないところもあると思いますのでこういった形で書いてございます。各所属機関におきましては、コスト、時間、事務手続、それから研究期間が半年程度と言っている中での制約等がありますので、そういったことを踏まえて計算資源の一括契約等について効率的に検討しておいていただく必要があろうかと思っております。
具体的な計算資源の確保の可能性としては、中ほど1、2、3とありますけれども、自前のそれぞれの機関の計算資源、それからHPCI等で共有として提供されている計算資源を使うということもあると思いますし、また、民間企業が様々提供しておりますクラウドサービス等を利用するということも考えられるかと思います。
加えて、マル3のように、企業が販売しているGPU搭載のワークステーション、ボードであったり、デスクトップに置けるようなものも今買うことができますので、そういったものを調達していくということがあるかと思います。特にこのマル3の部分につきましては、今、文科省でも民間企業等と対話を続けておりまして、一定程度、どの程度の規模感になり得るのかということを把握していきたいと考えております。そういったこともございまして、各大学等におかれましては、あらかじめ本事業への申請希望者へのアンケートなどを実施するなどして、どのように迅速に計算資源を確保していくのかということについて検討準備を進めていきたいということで、このような資料を入れているところでございます。
それから、参考資料として7ページ目に、研究データをどこでどういうふうに管理、利活用していくのかということで、各大学にシステムがあるところもあるかと思いますが、今日も御議論ありましたとおり、NIIのRDCというシステムがありますので、是非こういうところを積極的に使って共用管理できるような形になるといいのかと思っているというところでございます。
私からの説明は以上になります。
【川原主査】 ありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様から様々な意見をいただきたいと思います。この時間は5分程度となっております。よろしくお願いします。
どうぞ、泰地委員、お願いします。
【泰地委員】 ちょっと簡単な質問なんですけれども、今の最後の計算資源のところですが、一定の見通しを得たいというのは、マル3で合っていますかね。マル2じゃなくて、マル3の方ですかね。
【阿部参事官】 ここでは、マル3を念頭にしています。マル2につきましては、それぞれ契約すれば恐らく使えるのだろうと思っております。ただ、マル3については、日本国内にあるのかどうかの問題とか、海外から取り寄せなければいけないとか、そういった問題が生じるとも聞いておりまして、そこについて少し事前に確認をしなければならないことがあるので、一定程度、どの程度の規模感になり得るのかということ把握したいと考えているものです。
【泰地委員】 分かりました。
【川原主査】 では、桂委員、お願いいたします。
【桂委員】 チャレンジ型の仕組みで半年間という非常に短い研究期間が設定されているところがちょっと気になるんですけれども、500万を半年間で使い切る方法として、今、計算資源しか想定していないようですが、今回ターゲットになる層は、いきなり500万円で計算資源を使えるような層ではないと思うんですね。
一方で、私としてとても重要だと思っているのが、データセット整備のための人件費なんです。整理に特化した人材がいないからこそ、有用なデータセットがパソコンとかに眠ったままになっていて使えていないということがあるので、それをきれいに掘り出して構造化することができれば、オープンにしなくてもたくさんのイノベーションが生まれる状況だと思うんです。
なので、この予算を、しっかり人件費、人を探して雇って使えるというようにしてほしいなと。例えば、年度繰越し、省内繰越しが可能みたいなそういうものだったら少しやりやすくなるし、研究期間内に何とか使い切らなければというプレッシャーが掛かり過ぎないように検討していただきたいです。
【川原主査】 用途と期間の御質問だと思うんですけれども、文科省さん、今、方針等、言えることはありますか。
【阿部参事官】 今回のチャレンジ型プログラムにつきましては、予算の制約がどうしてもございまして、令和8年度末までに事業を完了する必要があるということで6ページ目の冒頭に記載しております幾つか注意しなければいけない点がございます。繰越しということができないという使い方になってしまっています。
一方で、これは研究費として分配しますので、使い方は計算資源の確保を一定程度皆さんするだろうと思っていますが、必要な出張とか、論文を書く、それに必要な諸経費がいろいろかかると思いますので、その辺は普通の研究費として使えると思います。ただ、人については、雇用期間との関係がいろいろ生じると思うので、現実的には少しハードルが高いものではないかなと捉えております。現時点で申し上げられるのはこういうことになります。
【川原主査】 データセットを作成する会社とかもあるので、そういうものを利用する分には何の問題もないか。
【阿部参事官】 はい。一部の業務を外に出して委託なりそういったことで活用することは可能だと思います。
【川原主査】 では、ほかにいかがでしょうか。相澤委員、お願いします。
【相澤委員】 情報委員会においてもこのチャレンジ型は非常に前向きな意見が多かったので、ちょっと応援演説です。二つの方向性であるトップと底上げの中で、底上げの部分だと思うんですけれども、同じように両輪構造を持っている米国だとNAIRRのプロジェクトが相当していて、そちらとの対比でいえば、日本はHPCIもあり、NIIのRDCもあり、コアファシリティもありということで、NAIRRにあって日本に足りなかった最後のピースがチャレンジ型であるという認識でいます。ここで米国は、より強硬な定常的な運用のためNAIRRのオペレーションセンターの設立を目指しているということを聞いています。
それも踏まえて、チャレンジ型のプログラムに関しても、二つ、現在は1年間だけですけれども、もうちょっと定常化する方向でプログラムを発展していくということと、もう一つは、チャレンジ型とプロジェクト型の差が非常に大きいので、ステップアップしていけるようにミドルクラスの予算を検討するという二つをお願いさせていただきます。
【川原主査】 ありがとうございます。では、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 半年で500万円を使うというのが非常に難しいというか、それが更に人材育成や分野を広げるためにどれほど寄与できるかというところが想像がなかなかできないものですから、この辺りの事例といいますか、それは公募のときにも少しお見せしていただけると随分頭が柔らかくなるのかな、申請される方々、応募を考えている方々は柔らかくなるかなというふうな感じもいたします。そういうことを考えていただきたいのが一つです。
それからもう一つ、理系のことだけを今、多分先生方というか、ここでは考えているかもしれませんけれども、社会科学とか、それから政治も含めた様々な、今までは文系と言われてきたサイエンス、そこのところからも応募をしたいというようなことも少し小耳に挟みます。ですので、そういう意味では、どういった分野で考えられるかということをかなり広く考えるということも裾野を広げるということになると思いますので、その辺まで書き込んでいただけるとよろしいんじゃないかな、1年で使うということであれば、よろしいんじゃないかなというふうな印象を持っております。
以上でございます。
【川原主査】 ありがとうございます。では、大上委員、お願いします。
【大上委員】 東京科学大の大上です。チャレンジ型もそうですし、プロジェクト型にも関係すると思うんですけれども、やはり例えばAIの分野とか、例えばAlphaFoldみたいな話ってコンペティション型のところから生まれているケースが結構あるんですね。例えばKaggleはもちろん有名ですし、タンパクのAlphaFoldもCASPから登場したわけですけれども、そういう何か多くの人たちを巻き込むような国際コンペみたいなものを、チャレンジ型では難しい、参加することしかできないので、例えばプロジェクト型で主催するみたいな話、若しくはそういうものを企図、意図した研究を進めるというのは一つの方向性としてあり得るかなと思います。ただし、それを何か他人任せみたいな形に映らないようにどう実装するのかというのは、まだアイデアはないんですけれども、あるかなと思います。
それから、ちょっと人材育成の話も関連するんですけれども、人材がやっぱりいない。先ほど外注するなどしてという話も対応策としてありましたし、そういう話が進めばよいかなとは思うんですけれども、結局論文がなくてもよい実動部隊みたいな存在がなかなかいないんですね。学生さんはもちろんAIの分野では大活躍されますけれども、彼らは論文を書かないと死んでしまうので。
論文を出さなくても、例えばデータの公開作業をするとか、データベースの整備をするとか、ネガティブだったデータをどうやって使うかみたいなことを考えるとか、そういうことをやってくれる人って余り研究者に合わないですよね。余り言葉を選ばずに言ってしまえば、研究者として幸せになれない人の存在というのはやっぱり許せないとは思うので、アカデミアの常識の中のインセンティブで動かない人たちみたいな、何かそういう話をどこで担保するかというのは結構重要になるかなと思います。
それが一つ対応策として民間企業の外注とかという話になるかもしれないんですけれども、その辺りはプログラムとかソフトウエアの話だけじゃなくて、例えば当たるか分からない化合物を合成して、でも、化学分野では論文が出なかったので、その学生はちょっと行き先がなくなるみたいなことにならないことをちょっと考えないといけないなと思いました。
以上です。
【川原主査】 ありがとうございます。では、コンパクトにお願いします。
【松岡委員】 すみません、質問なんですけれども、これは企業の研究者は対象じゃないという理解でよろしいですか。
【阿部参事官】 科研費と同じように、そこは制限を設けるつもりはございません。
【松岡委員】 ということなんですね。では、企業研究者もこれは応募できると。
【阿部参事官】 はい。
【松岡委員】 ありがとうございます。それがちょっと重要だなと思ったので。
【川原主査】 ありがとうございます。このチャレンジ型は非常に野心的なプログラムだと思っていて、この金額をこの人数に特定分野で配ることは余り見たことがないような気がしています。先ほど来、AI for Scienceはどの分野にも関係するということもあり、いろいろなことをしなければいけないことだけ分かっているという状況なので、すごくよい入り口になるのかなと思っています。
始めたい人にはちゃんと始められるケアが十分されていること、それから、こんな能力を持っている、こんなものを作りましたという人をしっかり発掘できるような仕組みというのもこのプログラムの中で持っておかないといけないなと思います。なので、運営をする事業者も募集しますが、是非、情報集約をして発掘をするとか、働き掛けてこういうのをやりませんかといろいろな人に声を掛けるというのも、是非その機能の中に、調達の中に入れていただけるといいのかなと思っています。
高橋委員が、類型化して示した方がいいのではないかという御意見をいただきましたが、私もこれは重要だと思っています。是非この後の非公開のところで、具体的には我々の分野だとこういうところでこういうコストの使い方でこんな動きができているので、こういうものも例として入れたらどうかとか、具体的な議論ができるといいなと思っております。
それでは、公開での議論はここまでとしたいと思いますので、以降は非公開にて意見交換を行いたいと思っています。事務局にて非公開の準備をお願いいたします。
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以降は、AI for Science推進委員会運営要綱第2条に基づき非公開とした。
―― 了 ――
研究振興局参事官(情報担当)付