国立研究開発法人科学技術振興機構の助成資金の運用手法の在り方に関する検討会議(第2回)

1.日時

令和4年12月27日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. JSTの助成資金運用に係る基本的な枠組みについて(内閣府)
  2. 委員ご指摘事項への回答について(科学技術振興機構)
  3. 報告書(案)について(文部科学省)
  4. その他

4.出席者

委員

(座長)川北英隆委員
(委員)加藤康之委員、津金眞理子委員、徳島勝幸委員

5.議事録

【鈴木室長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回国立研究開発法人科学技術振興機構の助成資金の運用手法の在り方に関する検討会議を開催いたします。
 本日は、御多忙の中、御参加いただき、ありがとうございます。会議の冒頭は、事務局が進行させていただきます。本会議は第1回と同様、オンラインでの開催となっております。音声などに不都合がある場合は、随時事務局まで御連絡をお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認でございます。本日は、議事次第に記載のとおり、資料1から資料3別紙、参考資料1から4を配付しておりますので、御確認をよろしくお願いいたします。
 それでは、今後の議事については、川北座長から進行をよろしくお願いいたします。

【川北座長】  座長の川北です。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、私が進行を務めさせていただくわけですけれども、まず、議題1を内閣府、議題2を科学技術振興機構、議題3を文部科学省から続けて説明をいただき、後半にまとめて質疑応答及び意見交換の時間を設けたいと思っています。また、会議の公開・非公開については前回と同様、検討の円滑な実施に影響が生じるものとして、会議全体及び配付資料のうち、資料3の報告書案と別紙は非公開とし、後日、議事録及び報告書の最終版を公開するという形で進めたいと思っています。
 それでは、議事に入りたいと思います。最初に議題1としてJSTの助成資金運用に係る基本的な枠組みについて、内閣府より説明をお願いいたします。

【寺田上席調査員】  内閣府でございます。では、資料1につきまして御説明を差し上げます。前回御議論いただいた中で、個別商品について特にどうということよりも、全体感として、JSTでの運用の具体的な状況が分からないと、どういうふうに今後デリバティブを使っていくのか想定が難しいといった御指摘があったものと認識をしております。特に今回の大学ファンドにおきましては、基本的に固定でのアセットアロケーションでの管理と根本で異なっている部分がございまして、それがレファレンス・ポートフォリオという管理手法であり、その下での運用主体である組織、すなわちJSTに与えられた自由度ということになりますけれども、この点につきまして、この資料を用いまして制度設計を少しおさらいさせていただくということでございます。
 では、資料2ページへ行っていただきまして、このポンチ絵を御覧いただきながら御説明させていただければと存じますけれども、左側にございますのがレファレンス・ポートフォリオ、グローバル株式65に対し、グローバル債券が35という配分ですけれども、これは資産配分の指定ということではございませんで、この配分のポートフォリオの持つリスク量、今、年次ベースの標準偏差で言いますと、大体年率16.8%程度となりますが、これが大学ファンドの運用において許容されるリスク量の上限に当たるという管理になってございます。
 政府といたしましては、大学ファンドは、この許容されるリスク量の範囲であれば、アセットアロケーションを含めてJSTが自由に行ってよく、同じレベルのリスク量であれば、より高い収益率を達成し得るポートフォリオを構築してほしいということで、これはいわば意識的にJSTに裁量を設定している形になります。むしろ、JSTの専門家の能力を過度に縛りつけることなく、能力を十分発揮してもらいたいというのが大学ファンド運用に関する所与の枠組みとなっております。
 では、この表の真ん中の基本ポートフォリオとは何かということですが、これは左側のレファレンス・ポートフォリオの許容リスク量を制約として、その範囲内で、長い目で見てオルタナティブ資産も含めて、あり得べきポートフォリオのアセットミックスを検討した結果として、JSTが自ら設定したもの、これがこの基本ポートフォリオということになります。
 以上が枠組みについての御説明でございますが、デリバティブに話を戻しますと、政府が定めるレファレンス・ポートフォリオとJSTが定める基本ポートフォリオの双方によって許容されるリスク量の上限が設けられておりますので、今後、デリバティブが活用される場合にも何かこれ以上にリスクを高める形、すなわち、レバレッジを掛けたり、オフバランスで何かポジションテイクをするというような利用法は想定されませんで、そうではなく、主には許容リスクの範囲内に収まるようなポートフォリオのリスクコントロールにデリバティブが用いられることになると考えております。
 このページについては以上でございまして、続きまして、その次の3ページについて御説明をさせていただきます。前回の御議論でJSTの基本ポートフォリオについて、内容をどこまで開示するのかという論点があったかと存じますが、その際、JSTから、スタートから10年間の立ち上げ期間において、基本ポートフォリオは非公開という御説明がございました。こちらがJSTの判断で非公開ということではありませんで、政府として昨年決定した大学ファンドに係る基本的な考え方で規定したものでして、実務的にも所管大臣が定めた大学ファンドの指針において当面非公開とすることが明記されております。
 こうした判断の背景について御説明させていただきますと、当面、大学ファンドは政策目的であるペイアウト、大学への資金拠出もさることながら、運用の安定化といいますか、毎年の運用益から損失のバッファーとなる資本の積み立てを行って、中期的にリスクテイク余力をまずは確保していく。そのための最初の10年度というところが現実としてございます。
 こうした状況にもかかわらず、基本ポートフォリオを公表してしまうと、様々な方面で認識をミスリードしかねないというのが制度設計を行った当時の判断の根拠でございました。それと同時に、大学ファンドのような大きな投資家がポートフォリオの立ち上げ期に、その最終目的地をさらしてしまうようなことをした場合、主要参加者に対して大学ファンドのポートフォリオ構築の方向性を先回りするような行動を惹起しかねない。こうした市場への悪影響を避けるべきという観点もございました。他方、重要な情報開示という観点からは、基本ポートフォリオではなく、実際の運用ポートフォリオの状況について、毎年度のJSTの決算において年度末の姿が公表されることとなっております。
 以上、枠組みについて内閣府からの説明は以上でございます。後ほどコメントや御質問等をいただけますとありがたく存じます。以上、どうぞよろしくお願いいたします。

【川北座長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて議題2、委員の御指摘事項に対する回答について、JSTより説明をお願いいたします。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。資料2につきまして、JST、科学技術振興機構の杉本より御説明申し上げます。前回、デリバティブの各商品についての細かい御説明を申し上げましたけれども、そのほかガバナンスや投資の意思決定のプロセス、それから、リスク管理体制については、御説明が薄くなってしまった部分もありますので、今日は、そちらを重点的に御説明させていただければと思っております。
 その前に、まず改めて運用資産の状況について振り返りをさせていただければと思います。次のページをお願いいたします。この上側のバーですけれども、運用は今年の3月、令和4年度の3月に運用を開始しておりまして、その時点では約5兆1,000億円からスタートしております。その下のバーですけれども、令和4年度、今年度中に10兆円の元本になっていくというような予定になっております。
 前回、デリバティブのところを細かく御説明させていただいたというところで、本日はガバナンス、投資の意思決定、リスク管理体制のところを運用リスク管理部より御説明をさせていただきます。

【黒川リスク管理課長】  JST運用リスク管理部の黒川でございます。私からデリバティブを取り扱うに当たってのリスク管理体制について御説明させていただきます。
 まず、リスク管理の全体像についてお示ししているのが3ページの図になります。リスク管理部門では、デリバティブを含む実際のポートフォリオのリスクを計測いたしまして、それが右側の国から与えられたリスク量の上限である許容リスク及びそのリスク量以下になるよう設計した基本ポートフォリオのリスク量、この範囲に収まっているということを確認いたします。それから、私どもではデリバティブをリスクコントロールの手段と位置づけておりますので、そのデリバティブの利用が目的に沿ったものになっているかといったこともモニタリングしてまいります。今申し上げたことを確実に実施していくために、どのようなガバナンスを行うかということですけれども、一言で申しますと、デリバティブ取引につきましても所定のガバナンスの下で取り扱うということでございます。
 このガバナンスにつきまして、主に3つの観点から御説明させていただきたいと思います。4ページ目を御覧ください。まず、1つ目が意思決定のプロセスです。JSTでは許容リスクのリスク量の範囲内で基本ポートフォリオを定め、その基本ポートフォリオを踏まえて年次の資産配分方針を投資委員会で審議、さらに、その資産配分方針の範囲内で具体的な投資内容、こちらにデリバティブも含まれますけれども、週次の投資委員会で審議を行います。そして、その審議内容に基づいて実際に投資を行います。リスク管理部門でも、このデリバティブを含むポートフォリオのリスク量が所定の定められたリスクの範囲内に収まっているかということに加えまして、投資委員会で審議された方針どおりに取引が行われているかといったことも確認してまいります。
 次のページにお進みください。こちらは2点目のガバナンスの体制でございます。下の図にございますとおり、JSTでは、いわゆる3線防衛体制、左側の第1線というところ、資金運用本部で運用方針の策定、実施を行いまして、委員会としては投資委員会がございます。それから、中ほどにございますリスク管理部門、こちらが2線に当たりますけれども、日々の投資内容をモニタリングいたしまして、週次の運用リスク管理委員会というところでモニタリング結果の報告をしております。そして、その全体のプロセスを検証するのが3線の監査部門となります。私どものこの3線防衛の特徴といたしましては、最上位の機関として文部科学大臣が任命する外部の有識者で構成される運用・監視委員会というものがございます。こちらで基本ポートフォリオ等の重要事項を審議するとともに、投資委員会、運用リスク管理委員会の運営状況を報告して、この3線防衛体制を強化しております。
 次のページにお進みください。こちらは主に規定の面から御説明したものとなります。国の定める法律、政省令に基づきましてJSTでは業務方針というものを定めております。この業務方針の中でデリバティブの利用目的ですとか、利用額の制限を定めております。一方で、牽制するリスク管理部門において、ポートフォリオリスク管理規準というものを定めておりまして、そこでモニタリングの項目や、また、下位の規定も含めまして報告の方法等を定めて牽制をしてまいります。
 次のページにお進みください。ここまではガバナンスの体制につきまして、デリバティブにつきましても例外なく所与のガバナンスを適用していく、こういった観点で御説明をしてまいりました。ここからはデリバティブ固有の課題と申しましょうか、今後、我々が気をつけていかなければならないと考えているポイントについて御説明いたします。
 1点目は、リスク計測の課題でございます。私どもではリスク計測のツールは業界で標準的に使われているBarraOneというシステムを使っておりまして、伝統的な資産ですとか上場商品につきましては、その銘柄の属性が自動的に備わっておりますけれども、今回、御検討いただくような相対のデリバティブ商品につきましては、必ずしも自動的にその商品属性が備わっているわけではございません。このような情報が取れないとリスクが計測できない、結果的にその基本ポートフォリオや許容リスクの範囲内にデリバティブを含む実際のポートフォリオが収まっているかどうかを確認できない、といったことになってしまいます。具体的にどのような情報が必要かというのが左の四角で囲ったところにございます。その商品、売りなのか買いなのか、あるいは原資産がどういったものか、利率が幾らで権利行使価格が幾らで、こういった情報を登録する必要がございます。
 こういった属性が取れないものを排除するためにどういった手段を用意しているかというのが次のページでございます。主に赤字で書いた部分でございますけれども、私ども新しい商品を取り扱うときには、投資委員会で審議をして決定をいたしますけれども、その投資委員会の審議に先立って運用リスク管理部が承認をするということをプロセスとして定めております。私ども運用リスク管理部が、その新しい商品を承認する際に、先ほど申し上げたような商品の属性が取れるか、そしてリスクが適切に計測できるかといったことを確認することを条件としておりますので、リスクが計測できないような商品については取り扱わないということになります。
 次のページにお進みください。9ページ目がリスク管理部門のモニタリングやレポーティングの内容でございます。リスク量を計測して許容リスク、基本ポートフォリオのリスク量の範囲内に収まっているといったことを確認するのは当然といたしまして、利用目的や投資方針に沿ったものとなっているかといったことを私どものほうで確認してまいります。商品ごとの、どういった項目を確認していくかといった事務手続につきましては、今後、整備・拡充していく方針でございます。
 次のページにお進みください。私からは以上となります。

【川北座長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて議題3です。報告書の案について文部科学省より説明をお願いいたします。

【鈴木室長】  それでは、文科省から報告書案に関して簡単に御説明をさせていただきます。まず、1の概論でございます。本制度の目的は、長期的な観点から適切なリスク管理を行いつつ、助成資金運用を効率的に行うこととしております。本制度には元本に財政融資資金を含む助成資金を運用するとともに、その運用益を財源とし、大学に対し助成を行うという特徴がございます。このため、独立行政法人制度や独立行政法人会計基準における利益、いわゆる目的積立金だけを助成可能な原資とし、元本を直接費用として支出できないという仕組みとし、財政融資資金の償還確実性を確保することとしております。
 機構が行うことができる運用方法は、過度に投機的なものや機構が行うにはなじまないもの等は避けることとされており、特に先物やオプションなどのデリバティブ取引については、投機的な利用はリスクが大きく、公的資金の運用に際して慎重であるべきと考えられることから、運用に係る損失の危険の管理を目的として行うものに限るものとされております。デリバティブは現物資産を売買して市況への影響を与えることなく、迅速かつ低コストの取引執行によりリスクヘッジを行うことが可能となる重要なリスク管理ツールであり、デリバティブを用いてリスク管理を行うことは有用でございます。本報告書は、機構が大学ファンドの助成資金運用を適切に実施するに当たり、専門的な見地から特に速やかな手当が必要と考えられるデリバティブを特定するとともに、その追加に当たって事前に整えておくべきと考えられるリスク管理体制等について検討した結果について取りまとめたものでございます。
 次に2.の経緯でございますけれども、こちらは本制度の成り立ちを記載しております。今般、運用開始1年を迎えるに当たり、大学ファンドの運用に関わる現状や取り巻く環境を確認するとともに、今後、大学ファンドの運用におけるリスクをより適切に管理していく観点から、現行法令で認められているデリバティブ取引に限定することなく、必要となる運用方法について検討を行うこととしたものでございます。
 次に3.の検討内容でございますが、検討に際しては、大学ファンドの主な特徴を踏まえつつ、投資規律の遵守、市場変動への適切な対応等のためのより高度な管理を実現するために、各種デリバティブの追加の要否について検討を行ったとしております。ポイントとしては4点あります。助成業務の財源として毎年一定額の支出が期待されること。運用上生じるリスクをレファレンス・ポートフォリオから算出される標準偏差の範囲の許容幅に収めること。財政融資資金を運用原資とするため、償還確実性の観点からも実現損失が資本金を超えないこと。最後に資産評価額を適時適切に把握することでございます。
 まず、現状として機構法では、デリバティブ取引は「運用に係る損失の危険の管理」目的(いわゆるヘッジ目的)に限定した上で、ごく限られた一部の商品のみ取扱い可能となっております。基本ポートフォリオの構築を進める運用初期段階においては、特に慎重にポートフォリオ全体の変動幅を抑制しつつ、内部留保の蓄積に努める必要がございます。こうした中、目標とするポートフォリオ構築に向け、ポートフォリオ全体のリスクを機動的に管理する手段を確保することが重要となっております。論点といたしまして、前回の会議でも御議論いただきましたとおり、実際の運用に際しては自家運用部分とともに、外部委託部分も含めたポートフォリオ全体での管理の視点での活用も想定しております。例えば外部委託は為替オープンで行っているものの、自家運用部分と合わせて為替ヘッジを行う、いわゆる為替オーバーレイのような利用も考えられます。
 なお、機構は、外部の有識者から成る運用・監視委員会で承認された許容乖離幅の範囲内でポートフォリオを管理することとなっており、デリバティブ取引は、相場観に基づく短期的な収益獲得を目的とする利用ではなく、市場急変時等に備えポートフォリオ全体を俯瞰した長期的なリスク管理における利用が想定されております。
 今回、拡充することが望ましいデリバティブ商品としては、ポートフォリオ運営上とるべき主なリスクを適切に管理する。いわゆる有効性の視点。想定するポートフォリオ構築に向けて影響が大きい、いわゆる影響度の視点。市場流動性が高く、管理面でも的確な情報把握が容易な一般的ツール、いわゆる活用可能性の視点。当面の運用方針に照らし、最低限必要なもの、いわゆる緊急度の視点の観点から、図表4に既に認められているデリバティブは黒字で、今回追加を検討するものは赤字で記載をしております。
 リスクは収益の源泉でもありますので、過度なリスクヘッジは収益に影響を与える可能性があり、リスクテイク・ヘッジのバランスが肝要でございます。資産配分によって収益を獲得することがあくまでも基本であり、デリバティブの利用に際しては、与えられた収益目標と照らし合わせた適切な利用が望まれております。なお、レファレンス・ポートフォリオから算出される複合ベンチマークは、為替オープンであることも留意すべきとしております。
 最後に4.でございますが、管理態勢の充実に関して記載をしております。デリバティブ商品を取り扱うに当たっては、目的に沿った使用であることを確認するリスク管理態勢の構築と適切な運用が必要でございます。いわゆるガバナンスとしては、許容リスクの範囲内で運用・監視委員会の審議を経て基本ポートフォリオを定め、基本ポートフォリオを踏まえ、年次の資産配分を投資委員会で審議を行い、年次の資産配分の範囲内で具体的な投資内容を投資委員会で審議を行い、運用業務担当理事は、投資委員会の運営状況を運用・監視委員会に報告を行うとしております。さらに運用リスク管理部は、ポートフォリオ全体の状況についてモニタリングを行うとなっております。
 また、定量的なリスクに加え、取引相手の格付や個別取引上限、あるいは担保差入等による相手先リスクの管理も重要であることに留意する必要がございます。損益に関しては、デリバティブ取引単体で評価するのではなく、あくまでもヘッジ対象の現物と一体で評価すべきでございます。デリバティブ取引に対する一般的なイメージに鑑みれば、将来的にデリバティブ取引で損失が発生した際に説明責任をしっかりと果たしていく必要があります。デリバティブ取引を利用しても損失の発生をすべて防げるわけではございません。また、本来の目的から外れ、過度に頻繁な売買をしてしまうことがないよう、しっかりとしたルールを内規で規定した上で、これを引き継いでいくことが望ましいと言えます。
 なお、例示として、個別商品に関して現状、課題及び活用例を記載しております。
 以上、報告書に関して簡単に御説明をさせていただきました。

【川北座長】  ありがとうございました。
 それでは、質疑、意見交換の時間に移りたいと思います。ここまでの説明に関して御意見、御質問等、よろしくお願いいたします。
 では、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】  いろいろ御説明、ありがとうございました。大変参考になりました。基本的なことをお伺いしたい。基本ポートフォリオが設定されるわけですが、この見直しは、どのぐらいの頻度で行われるのかということ。それから、基本ポートフォリオで、多分、例えば為替のヘッジ比率なども決められるのだろうと思います。その為替のヘッジ比率のベンチマークも決められるのだろうと思いますが、その見直しも基本ポートフォリオの見直しと同じタイミングで、同じ頻度で行われるのか。基本的な事項ですが、教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【川北座長】  では、これはJSTさんですかね。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。JST、杉本より御回答いたします。
 基本ポートフォリオ及び為替のヘッジ比率の見直しの頻度でございますけれども、基本ポートフォリオは原則として1年に一度見直しを行います。これは見直しを行うというところでありまして、必ずしも変更を伴うというわけではありませんが、1年に一度は見直しを行っております。ただ、実際の投資に向けてのプロセスといたしましては、基本ポートフォリオで定めたものに対して立ち上げ期については、基本ポートフォリオが完成するまでの移行計画というのを年度ごとに、すなわち年次で定めております。今年度末にどのような資産配分、今年度末にどのような資産配分ということで、10年間かけて基本ポートフォリオに向けてどのような配分で移行していくかということを定めております。
 この直近の年度末に向けて資産配分方針というものを定めておりまして、こちらは投資委員会で議論し、運用・監視委員会で報告をしておりますけれども、こちらは基本ポートフォリオよりも、もう少し細かい資産クラスについて中心的な目標値と、それから、乖離幅といったものを設定しておりますが、この中で為替のヘッジ比率についても規定がされております。これに基づいて月次で投資方針を定めておりまして、それに基づいて運用しているというものが大枠の投資の意思決定のプロセスになっております。

【川北座長】  加藤委員、よろしいですか。

【加藤委員】  ありがとうございました。その基本ポートフォリオで為替のヘッジ比率はベンチマークを決めた上で、日々のオペレーションで、その御担当者の判断で上げたり下げたりというオペレーションをやっていく。このような理解でよろしいでしょうか。

【杉本副本部長】  はい。年度の資産配分方針は投資委員会で決定されますけれども、これを月次の投資方針という形で、こちらも投資委員会で審議をしておりますので、担当者だけでこのヘッジ比率を過度に上下するというよりも、しっかりと投資委員会の意思決定として資産配分方針に基づいた月次の投資方針という形で審議をしておりまして、これを週次で見直しをしております。投資委員会は毎週行っておりますけれども、こちらで毎週、投資委員会の中でヘッジ比率についても審議、議論をしておりまして、それに基づいて日々のオペレーションが行われております。

【加藤委員】  ありがとうございました。

【川北座長】  この点、為替のヘッジにおいてデリバティブ、どういうふうに使うのかというのは重要なマターだと私は思っていまして、多分、大量に使えるのはここだろうと。ほかの部分というのは、もちろん使えないわけではないのですけれども、でも、為替が一番、大量の売買をしやすいと思っています。そういう意味では基本に運用・監視委員会の場で、今の使い方からすると、ヘッジをするときにはヘッジをするという意思決定がなされると思うのですけれども、まずこの点を確認したいと思います。もう一つは、為替のヘッジ比率をどうするのかも含めて、これは運用・監視委員会のところで決められるという説明だったと思うのですけれども、四半期に1回とか、ヘッジ比率の上下の幅というのですか、その大枠を決めておかないと、最高意思決定機関での議論を抜きにして資産配分が結果として行われるということになります。この辺りをどうされるのか、少し説明いただければなと思うのですけれども。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。こちらについても御回答させていただきます。まず、長期的な目で見たときに為替がフルオープンではなくて、ヘッジをするときにはするのかという御質問ですけれども、こちらは御認識のとおり、ヘッジを必要なときには必要に応じてかけます。ですので、長期的に見て為替をフルオープンだけにするということではなく、やはり為替についても株や債券と同じようにリスクの要因ですので、これはポートフォリオ全体のバランスを見てコントロールしていくということを想定しております。
 2つ目の上下の幅についてですけれども、基本ポートフォリオの移行計画にも乖離許容幅という、これは資産配分の観点ですけれども、設定をしておりまして、同様に資産配分方針の中でも中心線と乖離許容幅というものをあらかじめ議論して設定をしております。ですので、この中で運用が行われるという枠組みにはなっておりまして、これは年度の資産配分方針に限らず、月次の投資方針についてもしっかりと上下の幅といったものを設定しておりまして、これを大きく超えていくようなことというのはないような仕組みとして、しっかりと上下の幅というのは投資委員会で決めております。

【川北座長】  そのときに、伝統的には基本ポートフォリオというんですか、年金などが特にそうなのですけれども、その基本ポートフォリオを決めるときに為替のポジションというものはほとんど議論されないんですよね。もちろん資料などに為替の状況は出てくるのですけれども、今後の為替をどうするのかという議論がほとんどない。長期的な運用をするのであれば、なおさら為替のポジションをどうするのかが重要だと考えます。
 ですから、基本ポートフォリオにおいて、株式とか債券の比率を決めるのが今の状況だと思うのですけれども、さらに為替をどうするのかということも決めておかないと、今回のような急速に円安が進むときとか、そういうときに混乱してしまうような気がします。この辺りの議論というのは、JSTさんの中でされているのかどうか、そこも確認したい。されていないのであれば、できれば基本ポートフォリオの中に為替のポジションをどうするのかを入れてほしいと思います。そうすると、オーバーレイ的なヘッジをするにも迅速にというんですか、的確に対応できると思いますので、この点について少し教えていただければなと思うのですけれども。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。基本ポートフォリオの中で為替の設定をするかという点でございますけれども、中長期的にはやはりそこは重要な課題であると認識しております。今、足元、資金が入って、まさに運用が始まったところということで、ポートフォリオとしては非常にシンプルな構成にしております。ですので、今後、運用の高度化といったものを進めていくに当たって、その基本ポートフォリオ、長期的に目指すべき資産配分の中で、為替をどのような考え方で行っていくのかということは重要な課題だというふうには認識しておりまして、ここについては随時議論をして検討していきたいと考えております。

【川北座長】  分かりました。ありがとうございます。すみません、座長が発言してしまって申し訳ありません。他に御意見ありましたら、よろしくお願いします。
 徳島委員、お願いします。

【徳島委員】  御説明、ありがとうございました。報告書の形になったので、随分ストーリーがきれいになって分かりやすくなったと思います。私からは4点ほど御質問をしたいと思います。
 まず、1点目です。今回、デリバティブの利用に関しては、原則としてヘッジを中心として取組まれるということですが、一方で、レバレッジをかけないという方針と伺いました。少し実例で考えてみますと、例えば現物に対して先物とかデリバティブでショートを振るのはリスクを減らす方向で、ヘッジ目的であるから方針に合致しているという説明は可能であると思いますが、一方で、現物に対してロングのデリバティブのポジションをとるのは、ポジションのリスクを積み増すという形でレバレッジであると言ってしまうことが可能です。つまり、一般に買いヘッジと言われるものは、実はレバレッジではないかという批判が可能だと思いますが、どのようにお考えかというのが1点目です。
 2点目は、リスク管理の論点になるのですが、いわゆるデリバティブの取引やポジションに関してロスカットルールの取扱いはないのでしょうか。これまでの御説明ですと、例えばトータルリスクの16.8とか全体の枠組みはあるとしても、そういった数字に向かって現物を持ち、かつ、関連するデリバティブを利用するということなのですが、個別のデリバティブポジションに対してロスカットルールは採用されないのでしょうかというのが2点目です。
 3点目ですが、今申し上げました全体で想定されている、リスク量は、今後、例えば損失が発生してバッファーであります出資金の1兆円強を食い潰した場合には、当然、リスク量を見直されるものだと思いますが、そういう認識でよろしいでしょうかというのが3点目です。
 4点目です。リスク管理部門が委託運用部門も含めたポジションを日次で把握されて、リスクコントロールをされるといった方針ですが、委託先と全く逆のポジションをJSTのほうで、デリバティブでとるということが生じ得ると思います。そういった場合に利益相反的な現象が発生しないかどうか。ポジションの把握やコントロールがリスク管理部門と委託運用のフロント、JSTの自家運用のフロントとの間で適切に調整ができるのかどうか、体制についてご説明いただきたいと思います。
 以上4点です。

【川北座長】  では、これはまたJSTさんからお願いします。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。4点いただきました。まず1つ目ですけれども、ヘッジを中心とした利用ということで、レバレッジをかけないという中で、ショートについては現物が特定されているので、その範囲内であるが、買いヘッジについてはどのように考えるのかという御質問でしたけれども、買いヘッジにつきましては、まず、その現物を買うということを想定いたしますと、当然、現金が必要になってまいります。ですので、デリバティブをロングの方向で使う場合には、現金同等物の範囲内という制約を用いておりまして、これをもってレバレッジになっていない、すなわち、現物を買うものと同じ経済効果を得るという考え方を持っておりますので、買いヘッジもレバレッジではないというふうな理解でおります。
 2つ目でございますけれども、個別のデリバティブについてキャップを設定するのかどうかという御質問をいただきました。こちらにつきましては、デリバティブに特定するというよりも、ほかの資産も同様だと考えております。例えば株を持っている中で、株価が大きく下落したときにどのような判断をするかというのは、デリバティブでというよりも、やはりその資産もしくは株式の状況をどのようにコントロールするのかというところと同じかと考えておりますので、特にデリバティブだからロスカットを設定するということではなくて、これも投資の意思決定の中、例えば月次の投資方針であったり、週次の見直しの際に市場の急変を受けてどのようにコントロールするのか、こういった議論をしていくという枠組みでございます。
 3つ目につきまして、リスク量が規定のものを超えた場合に見直しを行っていくのかというところでございますけれども、ポートフォリオについては当然、見直しは行っていきますけれども、この制度的なものについては、これは内閣府さんか文科省さんからお答えいただいたほうがいいですかね。

【川北座長】  お願いします。

【寺田上席調査員】  では、内閣府から御説明いたします。今の16.8%といいますのは、レファレンス・ポートフォリオの設定次第によって決定されるものでございます。これにつきましては、昨年の8月に設定いたしました大学ファンドに係る基本的な考え方の下で、市場環境等を踏まえて、少なくとも5年に一度見直しの検討を行うことになってございまして、必要があればその変更を講じていくという枠組みとなってございます。
 私からは以上です。

【奥野課長】  文部科学省から補足、よろしいでしょうか。

【川北座長】  はい。お願いします。

【奥野課長】  今の質問の点ですが、許容リスク量という観点だけではなくて、こちらで内閣府が示している中に様々なモニタリング指標がございます。当然、御質問があったような形で元本が毀損に至るような事象が発生すれば、報告事象に入りまして、文部科学大臣がそもそも運用の見直し等をJSTに求めたり、指針等を変更できますので、ただいまの御質問に関しては、毀損する範囲が大幅に超えた場合には、文部科学大臣は現行の運用の枠組み、仕組みを見直すことになる、なり得ると御理解いただければと存じます。

【川北座長】  ありがとうございます。

【杉本副本部長】  最後、4点目の御質問で、運用委託のポジションと反対のポジションをとった場合に利益相反になり得るのではないかという点でございますけれども、こちらについては、運用委託の観点と、そのポートフォリオ全体の観点というのは、異なる観点なのかなとは考えております。
 具体的に申し上げますと、どの運用受託機関に幾らの資産を配分するのかということは、JSTで決定をいたしますので、まさにこの資産の配分についてはJSTが決定する。これはリスクについても同様な観点だと考えられますけれども、このリスク量、例えば株式ベータをどれぐらい、そのマネージャーに預けるのかということはJSTが決定いたしますけれども、そのベータの中でどの銘柄に投資をするのか、どのスタイルに投資をしていくのか、こういったところについては運用受託機関のほうで決定をしていくということになろうかと思っております。ですので、個別の銘柄に対してJSTがオーバーレイをかけるということは想定しておりませんで、この全体のリスク量のところでコントロールをしていくということになりますので、こちらについては反対のポジションという概念には当たらないのかなとは考えております。

【川北座長】  この点、例えばオーバーレイ的にポジションをJSTさんがとったときに、為替のポジションならたとえば先物のポジションをとったときに、その情報というのは委託先には流れない、もしくは委託先と常時接触している職員には流れない、そういうファイアウォール的な措置がとられているという、そういう理解でよろしいのでしょうか。

【杉本副本部長】  はい。委託先に対しましては、委託をする場合にガイドラインを設定いたします。為替のヘッジをするかしないのか、どのベンチマークに対して運用を行うのか。格付の制約はどういうふうになっているのか、こういった運用のガイドラインの範囲内で運用の委託をしておりますので、ポートフォリオ全体のコントロールというものを運用受託機関に通知をするということはいたしません。

【川北座長】  組織としてはそういう体制だと思うのですけれども、個々の職員という意味では、その辺り周知しておく必要性があるのではないのかなと私は思うのですけれどもね。

【杉本副本部長】  はい。御認識のとおりでございます。ただ、ここは職員に周知徹底をして防いでいきたいと思っております。

【徳島委員】  追加の質問ですが、よろしいでしょうか。

【川北座長】  はい。

【徳島委員】  今の件に関して、もう1点懸念しているのは、委託先が店頭デリバティブを利用した際に、それと全く逆のポジションをJSTが自家運用で使うといったことは適切でないと思います。その辺りの様々なポジションのコントロールを的確に、基本はリアルタイムで可能なようにしていただきたいと思います。今、座長からご指摘があったことにつながることなのですが、複数の部署で逆方向のポジションを取っていると、まるでカウンターパーティーを利しているようにしか見えないということが発生し得ます。そういった状況にならないよう、ポジションの管理だけでなく、排除できるようなルールを考えていただけたらと思います。
 以上です。

【川北座長】  この辺りはJSTさん内部での規定の整備の問題だろうと思いますので、そういう組織的な対応をお願いできればなと思います。

【喜田理事】  喜田でございます。今日は、ありがとうございます。先ほどの委託先とのコンフリクトに関して補足いたしますと、委託先は、基本的には我々ガイドラインで9割以上現物、あるいはリスク資産に投資しなさいという、預けた金額は基本的にロングサイドで投資をしていきます。そこでキャッシュ比率が3割になったり、そういうことはしませんので、基本は投資先も含めたロングポジションに対して、どれだけショートを、リスクを抑えるかというのをJST側でやるというのが基本線になります。その際におっしゃるとおり、デリバティブの活用方向が反対に出ることはあり得ると思いますが、あくまでベータコントロールでございますので、そこのところは、必要な措置はしたいと思いますけれども、そういう管理というのを考えております。

【川北座長】  はい。分かりました。ありがとうございます。
 徳島委員、よろしいでしょうか。

【徳島委員】  はい。結構です。ありがとうございました。

【川北座長】  では、津金委員、お願いします。

【津金委員】  津金です。皆様、御説明、どうもありがとうございました。前回、それから、今回ということで説明をいただきまして、理解が大分進みまして、基本的には今回リストアップされているデリバティブ等について異論はなく賛成でございます。ただ、今回いろいろ議論をさせていただいて分かったことといたしまして、私は年金に関わってきたことが多いのですが、その年金さんと比較してやはりJSTさんの運用というのは非常に裁量が大きいと理解をいたしました。ですので、そこの裁量が大きいところは別に悪いということではなく、その裁量の中でしっかりとやっていかなくてはいけないという御使命を与えられて非常に大変なことと思っております。
 その裁量が大きい分、やはり懸念しているのがリスク管理の部分でございます。先ほどロスカットルールとか内部規定というところもございましたけれども、2つあります。1つはやはり3線防衛体制ということで先ほど御説明をいただきました。それも理解いたしまし、非常にきれいにルールができてはおりますが、ルールの整備のときにやはりその運用者が、悪意で何かをしてしまう、これは日次管理になっていますが、極端なことを言いますと、例えば日々の日中の間にトレードをしてしまって、少し益を出しましたとか、いろいろなケースが考えられると思いますので、善意というのではなく悪意という前提でのルール整備というものをお願いしたいと思います。それが1点目。
 それから、2点目としては、基本ポートフォリオの話がありましたけれども、これは全体のリスク量をレファレンス・ポートフォリオよりも抑えます。基本ポートフォリオと書いていますが、全体のリスク量を定め、目標とするリスク量を定め、その中での、いわゆるリスクアロケーション的なものを定められるというふうに理解をしたのですが、それでよろしいのでしょうかというのが2点目です。
 あともう一つ、すみません、細かいことで非常に恐縮なのですけれども、資料3の参考資料ですが、表の2ページ目のオプションの利用のところに「利益を積極的に取りに行くときには」という表記があります。上のほう、そうですね。その辺です。これについて御説明をいただければと思います。
 以上です。

【川北座長】  では、これはまずJSTさんですか。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。いただいた質問、3点ございます。まず1つ目、コメントも含まれていらっしゃったかと思いますけれども、3線防衛でルール整備のときに悪意で何かをしてしまうといったところにつきましては、コメントをいただきましてありがとうございます。ルール整備の際には善意を前提にすることなく、悪意、可能性としてどういったことが起こるかという想定を十分に巡らせながらルール整備を行っていきたいと思っておりますし、これは日々見直しをしていきたいと思っております。定性的に運用していく中で、不備が見つかった際にはヒヤリハットの事例等を蓄積していくですとか、そういった形でルールについても随時見直し、改善をしていきたいと思っております。
 2つ目につきましては、基本ポートフォリオのアロケーションはリスクアロケーションなのかという御質問でございますけれども、今はポートフォリオがまだ資金をいただきながら、10兆円になっていない状態の中でポートフォリオを構築しておりますので、非常にシンプルな状態であります。この中では、資産配分とリスクアロケーションというのがほぼ同じような形で意思決定されておりますけれども、御指摘のとおり、やはりリスクアロケーションというものは、今後重要なポイントになってまいりますので、そのリスクアロケーションの観点も枠組みとして管理をしていきたいとは思っております。
 3点目の積極的なリスクというところですが、すみません、もう1回画面に……。

【津金委員】  「積極的な利益」ですね。利益を積極的に取りに行くという文言がございます。

【黒川リスク管理課長】  リスク管理の黒川でございます。先ほどの利益を積極的に取りに行くという話ですけれども、オプションを使って積極的に利益を取るということではなくて、こちらは現物で利益を犠牲にしないという意味でございます。現物に対して先物を売り建ててしまうとリスクが完全にそこの部分、オフセットされてしまいますけれども、オプションの買いであれば、ダウンサイドのみをヘッジして、アップサイドのほうは現物から取れる。そういった意味で記載をしております。

【津金委員】  なるほど。分かりました。では、この辺も活用する可能性があるというふうに現在のところ考えていらっしゃるという理解でよろしいのでしょうか。

【黒川リスク管理課長】  おっしゃるとおりでございます。

【津金委員】  そうですか。

【杉本副本部長】  少し補足をさせていただきますと、先物や、いわゆるデルタ1だけの商品ですと完全にリスクが消えてしまって、その分リターンが完全に取れない状態になってしまいますけれども、オプションの場合には下落サイドと上昇サイドで非対称な形になりますので、どちらか片方だけを押さえに行きたい。そうではない局面においては、しっかりと利益が残るような形での運用を行いたいといった場合に取っていきたいというような趣旨でございます。

【津金委員】  はい。分かりました。金融機関が期末に益出しというか、益調整のようなオペレーションをやることがあるかと思うのですが、そういうものもオプションとかを使って想定をされているという理解でよろしいでしょうか。それは想定されていらっしゃらないのでしょうか。

【杉本副本部長】  そうですね、基本的にはトータルリターンを上げていくことが運用の目的にはなっておりますので、こちらで書いております利益というのが、そういった、いわゆる会計的なところというよりも、下落と上昇で非対称なものを取り込めるというような意図でございます。

【津金委員】  分かりました。それでは、キャッシュフロー調整とか、そういうものについてのデリバティブ利用は考えてなく、本当にリスク管理に限定ということで、主な目的ということではなく、限定という理解でよろしいわけですね。

【杉本副本部長】  キャッシュフローの管理となりますと、例えばオルタナティブの投資に際しましては、キャピタルコール等でキャッシュを出さなければいけない。もしくは助成をしていくに当たってキャッシュを作らなければいけないという状況もありますので、そこのキャッシュフローも含めたこの損失なりの管理といったものは行っておりますので、そこも含めた管理ということでございます。

【津金委員】  はい。理解いたしました。ありがとうございます。

【奥野課長】  文科省でございます。よろしいでしょうか。今の箇所、先ほどの御議論もありましたので、JSTと御相談して、多義的に取り得ると思いますので、より具体的な表現を工夫させていただければと存じます。

【川北座長】  そうですね。この点はマーケットの専門家でもなかなか読めない部分なので、ここは工夫をお願いできればなと思います。
 ほかに。加藤委員、お願いします。

【加藤委員】  ありがとうございます。まず基本的に私も今回のデリバティブの取引対象を増やすということについては、特に異議はありません。使える道具は準備しておいたほうがいいと思いますので、それに関しては異議ありません。もちろん使う方法のルールはしっかりしているということが前提だと思います。
 まず、最初にとてもシンプルな質問ですが、例えば株式のマーケットリスクをヘッジするといったことはあり得るのでしょうか。つまり、マーケットのボラティリティが高まってどうも危ないなと思ったときに、先物でショートする。マーケットの先物、例えばトピックスをショートしてマーケットリスクを抑えてしまうといったようなオペレーションはあり得るのかどうかというのが1つ。
 それから、報告書の最後のところに次のような3行の文があります。「本来の目的から外れ、過度に頻繁な売買をしてしまうことがないよう、しっかりとしたルールを内規で規定した上で、これを引き継いでいくことが望ましい。」この「しっかりとしたルール」というところが大変重要になるだろうと思うのですが、このしっかりとしたルールというのは、どういった類いのルールになるのでしょうか。例えば取引の回数であるとか、あるいはそのヘッジをするときのタイミングを測る方法論であるとか。どういったルールになるのか、これについて教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【川北座長】  では、JSTさんからお願いします。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。まず、1つ目の御質問で、例えば株のマーケットリスクをヘッジするということはあり得るのかという御質問ですけれども、これはあり得ると考えております。全ての株のエクスポージャーをコントロールしている、投資をしているというわけではありませんで、当然、投資一任にお預けしている部分もありますけれども、投資一任の株の量というのは、当然、一度投資一任でお預けする形になりますので、そんなに頻繁に機動的に投資額を調整することができませんが、それよりも早くやはり市場の急変というものは起こる可能性もありますので、こういった場合には株のマーケットリスクをヘッジするということはあり得るというふうに想定しております。
 2つ目の御質問ですけれども、しっかりとしたルールの内規での規定というところですけれども、こちらは運用リスク管理部より御回答させていただきます。

【黒川リスク管理課長】  こちらのルールを内規で定めていくということでございますけれども、先生がおっしゃったような取引の回数ですとかタイミングについての制限といったものにつきましては、投資判断の一部かと思いますので、ここはルールといいますよりも、運用部門の中で議論して決めていくことかなと考えております。どちからと言いますと、我々、リスク管理部門のほうでリスクをコントロールしていくモニタリングの内容について詳細に定めていくということを念頭に置いています。具体的には、そのヘッジの目的が適切であるか、あるいはリスクを削減しているか、あと、先ほど申し上げた投資委員会で議論された投資方針に沿ったものになっているか、こういったことを確実に見ていくための詳細な確認手段というものを整備していくということでございます。

【川北座長】  加藤委員、よろしいですか。

【加藤委員】  はい。ありがとうございます。最初のほうの質問なのですが、マーケットリスクのヘッジはあり得るというご回答でした。例えば相場の急変のときに、というお話があったのですが、その判断はどうやってされるんでしょうか。それは、ちょっと危険だからマーケットのエクスポージャーを下げよう、というようなことを御担当者の判断で決められるのかという質問です。よろしくお願いします。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。こちらも大きな投資の枠組みは変わっておりませんで、基本ポートフォリオがあり、資産配分方針があり、月次の投資方針があり、それを週次で見直している、この枠組みの変わりはありませんので、これらは投資委員会で決定をされます。その担当者が一任でやるというよりも、しっかりと投資委員会で議論していくということになります。投資委員会は、週に1回でございますが、市場の急変時には臨時開催もできるような仕組みになっておりますので、ここは週に1回に限らず必要に応じて投資委員会を開催するということを想定しております。

【川北座長】  よろしいでしょうか。

【加藤委員】  分かりました。ただ、マーケットリスクのヘッジはなかなか難しいと思います。為替でもよくありますが、円高になったのでヘッジしに行ったら、また戻ってしまった。それでヘッジを外したらまた円高になったとか、いわゆる往復ビンタを食らったということをよく聞く話です。マーケットリスクのヘッジについては、定められた量のリスクを超えたのでヘッジするといった議論であればいいと思うのですが、相場の変動に対してヘッジをしに行くというのは非常に危険なので、十分注意されて行っていただきたいと思います。
 以上です。

【川北座長】  前半の加藤さんの質問に関して言いますと、相場の状況を見て、もしくはマーケットのムードを見てというのはJSTさんの使命である長期投資の観点からは、私は外れていると思うのですよね。むしろ、もう少し客観的な調査、分析と調査に基づいて、今はどうもマーケットの状況がおかしいとか、日本株と海外の株式の相対的な位置づけが変化しつつあるとか、そういう分析に基づいてもらいたい。長期的な分析と、その分析に基づくとどういう位置づけに現状あるのかという、何かそういう客観的な判断に基づいてもらわないといけないと思います。そうでないと、今、加藤さんが懸念されているような、逆に行動してしまうという可能性がありますので、その辺りも少し体制を整えていただければなと思います。
 それと、もう一つの質問であるルールのところなのですけれども、モニタリングの対象としては、目的とか、リスクの削減をしているのかとか、投資方針に沿っているとか、そういうことだと思います。ただ、津金委員の先ほどの質問にも関係するのですけれども、頻繁に売買しているということもやはりチェックしておいてもらわないと、悪意による逸脱的な先物、オプションの売買というのが出てきかねないと思います。それぞれの担当者がどういう行動をしているのかも、やはりこれも常にチェックしておいてもらわないといけないのかなと個人的には思いました。私からのコメントは以上なのですけれども。どうぞ。

【杉本副本部長】  御指摘、ありがとうございます。長期投資に基づくというところで、分析に基づくべきというのは、まさにおっしゃるとおりだと思っておりまして、相場の分析に当たっては、当然、経済の状況、それから、市場の状況というものを踏まえ、データであったり、事実に基づいた議論を行って投資の判断を行っていくということを考えております。
 それから、長期投資がベースにあるというのは、まさに基本ポートフォリオを定めて、そこに向かっていく過程の中で少し身をかがめるのか、少しリスクをとっていくのかという、この長期の中での、あくまで乖離の部分であって、ベースはやはり長期投資に向かってしっかりと基本ポートフォリオに基づいた運用を行っていく。立ち上げ期は、当然、立ち上げていく移行計画に基づきますけれども、安定期に入った後には基本ポートフォリオがベースになるというのは、大きな考え方としてありますので、そこを、基本ポートフォリオを大きく逸脱して、ごく短期的なものに基づいてポートフォリオが大きく崩れてしまうようなことは想定しておりません。
 2つ目のところにつきましても、御指摘、ありがとうございます。そういった悪意があるかもしれないという前提の下での規定づくりといったところは留意をして、規定等作成していきたいと思っております。

【川北座長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見。徳島委員、お願いします。

【徳島委員】  先ほど津金委員から御指摘のあった個所については修文されるということですが、オプションに関して利益を積極的に取りに行くような表現があると、オプションを積極的にアンダーライトするよう取られてしまいかねないので、御注意いただけたらと思います。特に、ターゲットバイイングみたいな形の取引は予定されていると思いますが、それが本当に、買いヘッジとして効果があるのかどうか、目指す水準を超えてどんどんオプションを売ることによってプレミアムを稼ぎに行くようなことに取られないよう表現の修正をお願いしたいと思います。
 以上です。

【杉本副本部長】  御指摘、ありがとうございます。その辺りも踏まえて文科省さん、内閣府さんと検討して、ここの書きぶりについては検討させていただければと思います。
 あと、買いヘッジ、オプションを過度に売っていかないほうがいいという御指摘は、ありがとうございます。まさに現物を売買するという観点でターゲットバイイング、すなわち、指値のオーダーとターゲットバイイングというのは同じような効果を持つというふうに考えておりますけれども、それを超えてこのオプションのプレミアムだけを稼ぎに行くような運用となりますと、やはりそれは長期投資にそぐわないといったところは認識をしておりますので、そういった中で使い方についてもしっかりと十分に留意をして規定をしていきたいと思っております。

【川北座長】  ほかに御意見、御質問がありましたら、お願いします。

【加藤委員】  加藤です。

【川北座長】  はい。加藤委員、お願いします。

【加藤委員】  これも基本的な御質問なのですが、大学ファンドは何回も御説明されていますように、借りてきたお金で運用するということもあって、そのダウンサイドリスクに非常に気をつけていらっしゃるわけです。今回のデリバティブの利用もヘッジということが非常に前面に出ていて、ダウンサイドリスクのヘッジ、ダウンサイドリスクに留意された運用をやっていくのだと。
 しかも、ある程度、短期的なリスクもヘッジしなくてはいけないということだろうと思います。リスク量の見方が、今、標準差で16.8%というものだと思います。これは、正規分布を仮定して両サイドのリスクを見ているわけですが、それよりはよりダウンサイドに着目したリスク量。それから、正規分布ではなくて、もう少しファットテールなリスク分布を検討する。実際は為替などもよく言われていますけれども、ファットテールなリスクになっているわけです。そのダウンサイドで、なおかつファットテールな分布を想定したリスク量などをより取り入れてみるということが重要なのではないかと考えますが、その辺は、いかがでしょうか。

【川北座長】  では、JSTさんからお願いします。

【杉本副本部長】  ありがとうございます。まさに御指摘のとおりだと考えております。現在、まだポートフォリオ、10兆円になっていない段階で、これからキャッシュをどのように投資をしていくかという段階でありますので、ポートフォリオは非常にシンプルな形になっております。
 これが今後、運用の多様化に向けていくに当たって御指摘のとおり、正規分布では捉えられないようなテイルのリスクといったものは、管理をしていかないといけないとは考えておりまして、これをどのような分布を仮定していくのか、もしくは分布を仮定しないでリスク管理をしていくのか。指標としてもバリュー・アット・リスクだけではなくて、いわゆるCVaRであったり、それがダウンサイドリスクの指標に対してどのような指標が適切なのか、こういったところも研究を通じて、もしくはその外部の関係者との意見交換を通じて、よりこの大学ファンドに適したファットテールの部分についてもリスク管理を高度化していきたいと考えています。

【川北座長】  加藤委員、よろしいでしょうか。

【加藤委員】  ありがとうございました。ぜひその方向で御検討いただければと思います。

【川北座長】  ほかに御意見、御質問がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、まだ十分に時間はあるのですけれども、この辺りで議論を打ち切りたいと思います。それで、今日、幾つか御指摘いただきましたので、それに対して報告書案について少し修正しないといけない部分があると思うのですけれども、全体を通じてまだまだ議論が足りない、もっと議論して報告書というか、デリバティブの使い方自身をもっと直していかないといけないとか、何かその辺りに関して特に御意見はありませんでしょうか。よろしいですか。
 私自身も大きな枠組みをもう少しきちんと整えていただくとか、今日いろいろな議論があったような整備を図っていただくとか、これらが備わっていれば、デリバティブ自身をJSTさんが扱って、もしくはデリバティブの対象を広げてリスク管理をしていこうということに関しては異議はありませんし、委員の皆様方にも御異議はないと思います。どうしましょうか、全体について、報告書案の修正を含めてどうするのかは、座長としての私に一任をいただき、文科省さん、内閣府さんをはじめとして議論をさせていただいた上で修正をし、修正したものをもう一度委員の皆様に確認をしていただくという、そういうプロセスを経て今回の検討会議の結論にしたいと思っているのですが、そういうプロセスでよろしいでしょうか。

【加藤委員】  加藤ですけれども、すみません、1つよろしいでしょうか。

【川北座長】  はい。

【加藤委員】  これ、どこかに、報告書に記載されているのかもしれないのですが、評価のようなものはどうお考えなんですしょうか。デリバティブを利用した結果はどうだったかという評価です。それはどのようにお考えになっているのか。報告書にもしあるのであれば、どの辺にあるのか教えていただければと思います。

【川北座長】  評価は特になかったというか、これは一番トップである運用・監視委員会で見るのと、それを文科省さんがチェックするという、そういうことなのかなと思うのですけれども、この辺りいかがでしょうか。JSTさん、文科省さん、何かありましたらお願いします。

【杉本副本部長】  こちらにつきましても運用・監視委員会のほうで、運用の状況については御報告をしておりますので、そこでの評価になろうかなとは思っております。文科省さん、いかがですか。

【奥野課長】  文部科学省でございます。まず、評価に関しては、直接的な記載はございませんが、最後の12ページのデータとリスク計測の欄のところに一部ございます。文科省から見ている部分につきましては、デリバティブ単体だけで評価するというのが、全体像というのが見えてこないような点がありますので、そういった意味では文科省自身の評価というのは、全体の、恐らく運用実績及びその中で特に文科省として、別の箇所でも指摘がございましたけれども、デリバティブそのものが各ファンドの運用の支援に係る運用益に関してコスト要因でどの程度効いてくるのかと、あとは運用全体のモニタリングプロセスの中に収まっているのかという観点が2点目。
 あと、3点目として、これ、前回御説明申し上げましたが、デリバティブの運用に関しては法政策的に一応、危険の管理以外で使ってはいけないという、これは文科省も覊束する法令でございますので、その点、一部委員の先生からも御指摘がございましたが、悪意でもってそういった取引が行われていないのかというのをガバナンスとして見ていくという3点、文科省のレベルでは、その全体を見る。さらには、今言った法令違反等がないかというのをJSTのガバナンスを通して見る。
 そして、個別ではございますが、損益計算の中でコストとして出てきた部分というのが大学ファンドの運用益の確保にどのような影響を見ているかという観点で見るという立場に立ってございまして、個別の恐らくデリバティブを個々に見ていくというと、若干、所管省庁から見れば木を見て森を見ずにならないように全体像のモニタリングの中で捉えていく、そういったことを今時点では考えてございます。
 以上です。

【川北座長】  加藤委員、よろしいでしょうか。

【喜田理事】  喜田でございます。少し補足させていただいてよろしいでしょうか。

【川北座長】  はい。お願いします。

【喜田理事】  今回、こういうふうに有識者会議ということで御議論いただいた内容につきましては、次回、運用・監視委員会は、基本的に四半期の状況報告を含めて年4回から6回ということで、次、1月の開催を想定しています。その際には、このいただいた議論について報告するとともに、その内容について御評価いただくような枠組みというのは考えていきたいと思います。

【川北座長】  ありがとうございます。
 加藤委員、よろしいでしょうか。

【加藤委員】  はい。了解しました。ぜひ議論していただければと思います。

【川北座長】  津金委員、お願いします。

【津金委員】  1点、その評価のところなのですが、今回、そのデリバティブ導入というのがリスクコントロールであるということは、ここにいらっしゃる皆様、非常に理解をされているかと思います。ただ、今後いろいろ運用していく中でデリバティブを使わなかったほうが利益としてはよかったのだというケースも多々出てくるかと思います。そのときによくある議論だと思うのですが、何でやったんだみたいな、あくまでもリスクコントロールということでリターンに関してはプラスもマイナスもあるのだということを周知徹底していただいて、御理解をいただくということが、混乱がないスムーズな運用になるのかなと思いますので、評価のところもそういう観点も入れてされるとよろしいのではないかと思いました。
 以上になります。

【川北座長】  ありがとうございます。
 結局、利益が上がるときは上がるんだけれども、下がるときは下がってしまうという、デリバティブがなければボラタイルになった利益構造が、そこが平準化されるという、まあ、そういう理解かなと私は思っているんですけれども、この点を運用・監視委員会などで示していただければいいのかなと思いますけれども。
 徳島委員、お願いします。

【徳島委員】  今回の御報告書に関しては、内容に関して特に大きな異論はありませんが、この後、JSTの運用でデリバティブの利用範囲を拡大するといった方針が外に出ていく際に、その出し方、説明といったところをきっちりと考えていただきたいと思います。津金委員からも御指摘のあったとおり、リスクを取りに行くのではないのだという趣旨を明確にすべきです。デリバティブ取引ですから、それでも、損失が生じることもあるといった、基本的なことをきっちりメディアとか、対外的な説明に際して少し意を砕いていただきたいと思います。
 以上です。

【川北座長】  そうなんですよね。デリバティブは危険だという人が結構いるので、そこは当然留意されると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

【喜田理事】  喜田でございます。ありがとうございます。まず、この有識者会議の議論の内容というのが開示されるということ。もう1点は、このデリバティブの活用の仕方というのは、新たに組むものだけではなくて、既往のものも共通してやはりお示しする必要がありますので、機会としては年一度の業務報告というのをGPIFさん同様に今年度の結果報告というのを来年度想定しております。その中で丁寧に説明していくということも加えてやらせていただきたいと思っています。

【川北座長】  よろしくお願いします。
 ほかに御意見、御質問がありましたら。よろしいでしょうか。大きな異論はないと思いますので、皆様の御承諾をいただけるのであれば、メールで皆さんの御意見を伺うこともあろうかと思いますけれども、私に一任をしていただいて、最終版の取りまとめを行いたいと思っていますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【川北座長】  では、そういうふうに取り扱わせていただきます。それで、最終的な報告書の取りまとめについては、これは皆様に一度、最終案をお送りさせていただいて、確認をしていただいた上で最終版として取りまとめていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日予定していた議題は以上となります。その他、皆様方に何かございましたらよろしくお願いいたします。特によろしいでしょうか。それでは、本日の検討会議は、これで閉会とさせていただきたいと思いますが、最後に事務局からお願いいたします。

【鈴木室長】  参考資料4として第1回の議事録をお配りしております。委員の皆様方におかれましては、短い期間で御確認いただき、ありがとうございました。追加の修正等ございましたら、事務局まで御連絡をお願いできればと思います。
 本日の議事録につきましても、事務局にて議事録案を作成し、委員の皆様に御確認をいただく予定としております。報告書案については、先ほど川北座長からもありましたとおり、本日の御議論を反映した上で委員の皆様にメールで御連絡させていただく予定ですので、御承知おきください。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【川北座長】  それでは、第2回検討会議をこれで終了いたします。年末の御多用の中、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――