「次世代計算基盤に係る調査研究」評価委員会(第2回)

1.日時

令和4年9月16日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 「次世代計算基盤に係る調査研究」の採択結果や実施体制、評価委員会の議事運営につ いて
  2. 「次世代計算基盤に係る調査研究」評価委員会(第1回)審査コメントへの対応状況・ 対応方針について

4.出席者

委員

安浦主査、藤井孝蔵主査代理、相澤委員、井上委員、奥野委員、後藤委員、高野委員、中川委員、中野委員

(説明者・質疑対応者)
塙 東京大学情報基盤センター教授
天野 慶應義塾大学理工学部教授
近藤 理化学研究所計算科学研究センターチームリーダー
牧野 神戸大学理学研究科教授

文部科学省

工藤参事官(情報担当)、河原計算科学技術推進室長

オブザーバー

高田 経済産業省産業技術環境局研究開発課室長
小川 経済産業省ソフトウェア・情報サービス戦略室企画官
石田 気象庁情報基盤部数値予報課長

5.議事要旨

本委員会は、非公開情報を使用する可能性があることから、会議資料は非公開とし、議事要旨は以下のとおり。

議題1:「次世代計算基盤に係る調査研究」の採択結果や実施体制、評価委員会の議事運営について
文部科学省事務局より、「次世代計算基盤に係る調査研究」の採択結果、実施体制、評価委員会の議事運営について説明し、議事運営の案が了承された。

議題2:「次世代計算基盤に係る調査研究」評価委員会(第1回)審査コメントへの対応状況・対応方針について
「次世代計算基盤に係る調査研究」評価委員会(第1回)の委員からの審査コメントを踏まえて、各機関より対応状況・対応方針について説明の上、委員と意見交換を行った。委員からの主な意見は下記の通り。

1.東京大学
・日本の将来のHPC人材育成のために打つべき政策にまで踏み込んだ提言に期待。
・若手育成においては、HPCの研究者のみならず、今後HPCの利用が期待される分野を含めた様々な分野の人が簡単に使えるような運用の仕組みを検討するとよい。
・カーボンニュートラルや省エネへの対応に対して、ユーザーが負担すべきコスト、システムがカバーすべきコスト、施設がどこまで利用環境を担保していくのかが重要になる。 提供される環境がユーザーにとって使いやすいだけでなく、エネルギー事情を考えたときに、各ユーザーに負担すべき可能性があるところまで議論した提言がなされると非常に参考になる。
・ユーザー目線では、「富岳」以外のマシンを利用するときにどのマシンを選ぶべきか迷う。末端のユーザーレベルの現状も調査して、運用上解消されるように考えてほしい。

2.慶應義塾大学
・新計算原理(量子)ではハードウェアに関してはさまざまなベンダーが製造している状況だが、ソフトウェアのレイヤーが共通になるような提言をまとめてほしい。最近では、GPU上でも疑似量子アニーラに近いことができるようになっており、なるべく裾野が広がるような使い方に繋がる提言をいただきたい。
・この事業は調査研究なので、現状量子コンピュータの得意ではない分野でも使える可能性がある、この分野は使えるということも含めて報告いただけるとよい。
・古典計算機と量子計算機ではテクノロジーの進行速度が全く異なり、量子計算機の方は次々と新しいものが出てくると思われる。運用中にシステムが変わっていくような可能性があり得ることを考えると、プログラミング環境やインターフェースの標準化が非常に重要になると思う。
・リアルタイムで大容量通信を行うことを目指す旨の説明があったが、相当技術的に難易度が高いと思われる。例えば量子メモリーのようなものが必要となるなど、今後のシステム設計の上で大変参考になるので、今後のロードマップを提言すると参考になる。
・スパコンと量子計算の結合したシステムを考えたときに、今後もそれぞれを独立して開発し続けてよいのか、あるいはどこかで連携して開発することが必要ではないかは、数十年先を見ると重要になってくると思うので、最終的な連携のありうる方向性を目指して調査研究してほしい。

3.理化学研究所
・ベンチマークの考え方や戦略について、個別の機能要素や実行改善のためのベンチマークからアーキテクチャ全体のベンチマーク、また国内あるいは海外でスタンダードなベンチマークに持っていくなどあると思うが、本調査ではどの程度まで取り組むのか。
回答:各分野の研究者から個別のカーネル部分を抜き出したようなもの(マイクロカーネル)で、ノード、システム、ネットワークも含めたものを評価できるベンチマークの構築を一つの試みとして行っている。 それを更に広げて、ポスト「富岳」の使われ方として、将来Society 5.0に向けて社会とも連携するようなワークフローが実行できることが必要と考えており、ヒアリングを通じて得られた知見をアプリケーションのチーム全体に取り入れ、将来のアプリケーションの発展に向けてどのような取り組みをしなければならないのかを考え、ベンチマークに反映したい。 また、海外の研究機関とも連携して大きなベンチマークセットを構築することも考えている。
・10年後には次のムーブメントが来ていると予想され、今の使い方とは違う形の使い方の想定が必要で、アプリケーションとして何が適切なのか、何が売りになるのかを考えるときに非常に重要になる。その際に一番重要なのは、新しい技術をどう取り込むかというニーズに対してどれだけ柔軟性を持って計算サービスを提供できるかだと思う。
回答:10年後がどのような社会でどのような使われ方が望ましいかは非常に難しいが、様々な方にヒアリングしており、ワークフローへの対応も今のうちから考えておくことが一つかと思っている。ユーザー層の拡大、複雑さの解消の観点からフレームワーク化してサービスを提供することは今のうちから考えていきたい。
・社会とつながるワークフローやリアルタイムデータ処理のようなユースケースを挙げられていたが、計算能力の観点からもデータ容量の観点からも、全てポスト「富岳」に集めるのはなかなか困難かと思う。そのため、HPCIの第二階層も含めた全体のアーキテクチャを考えるのが非常に重要であり、その中でポスト「富岳」をどう位置づけるかというところが重要である。
・国内でどのような技術を残して有望なアーキテクチャをどのように作っていくかは、必ずしも整合するとは限らず、この問題に対して取り組む方法論そのものが、次の世代にも生きてくると思うので、その点も意識しながら取り組むことを期待。
・システム調査研究チームは、理化学研究所のほかに神戸大学も採択しているので、連携をお願いしたい。また、今ある組織や予算の仕組み等にとらわれず、ポスト「富岳」としてあるべき姿を提示するという視点で取り組んでもらいたい。

4.神戸大学
・国産のアクセラレーターを検討することは期待値が大きい一方で、世界的に競争的の激しい領域だと思うが、世界的なトレンドに対して独自技術の方向性を調査研究で提示するのか。
回答:理化学研究所のチームにて海外のアクセラレーターを調査し、本チームの調査と分離することで、国全体としてはすべて集めて評価できるようになることを期待している。
・初年度に検討するフレームワークの特徴やMN-Coreの良さが出せる部分について、理化学研究所のチームで検討するベンチマークと連携して評価することでユーザーから見て適するものが分かるようになるので、ベンチマークの共通化をお願いしたい。
・ポスト「富岳」でも重点領域のようなアプリケーションがいくつかできると思うが、その領域ごとに様々なDSL(ドメイン特化言語: domain-specific language)を用意するようなことを考えているのか。
回答:アプリケーションの領域ごとというよりは、アプリケーションのタイプごとに用意していくことになる。気象のように基本的に規則格子を扱うような差分法での大規模シミュレーションのもの、不規則な格子を扱う有限要素法的なもの、宇宙や分子動力学のように粒子間相互作用を扱うもの、量子化学のように大きな行列の対角化等がメインの計算であるものの4種類に対しDSL的なものを提供していくことにより、かなり広い範囲のアプリケーションをカバーすることができる。その際には、全部DSLで書き換えるというよりは既存のコードベースを活かしてコンパイラーで対応する。

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

Get ADOBE READER

PDF形式のファイルを御覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要な場合があります。
Adobe Acrobat Readerは開発元のWebページにて、無償でダウンロード可能です。

(文部科学省研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)