令和7年3月31日(月曜日)14時00分~15時30分
ハイブリッド開催(文部科学省東館17階研究振興局会議室とオンライン会議の併用開催)
安浦主査、藤井孝蔵主査代理、相澤委員、井上委員、上田委員、後藤委員、高野委員、常行委員、中川委員、中野委員、藤井啓祐委員
(PD)
小林PD、田浦PD、朴PD
(説明・質疑対応者)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 内山コンサルタント、角井シニアマネージャー、松本パートナー
塩見研究振興局長、松浦審議官、国分参事官(情報担当)、栗原計算科学技術推進室長、福野参事官補佐、長澤係長
議題1:「次世代計算基盤に係る調査研究」における取組の振り返りについて
資料1について、運営管理機関のEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 内山氏から説明があった。質疑は以下のとおり。
【高野委員】 29ページ目のところで、EYさんがNDAを締結できずっていう話がありましたけれども、これは何か本質的な問題があったのか、それとも次回こういう機会があった場合にはスムーズな移行になるとか、そのあたりはどのような見解をお持ちでしょうか。
【内山氏】 ここは会社としての制約がありますので、次回同じようなことがあった時にできるかというのは、イエスとは言えない状況なのかなと思っております。
【安浦主査】 それは、EYさんが監査法人とグループをつくっているということに起因する構造的な問題と考えてよろしいですか。
【角井氏】 ご認識のとおりです。
【安浦主査】 この辺は、発注元の文部科学省も今後注意していただきたいというふうに思います。
【安浦主査】 私のほうから1つ、28ページの、この3つポイントまとめていただいている1番目の意味がよく分からないのですが、これはどういう意味で書かれたんですか。
【内山氏】 こちらにつきましては、31ページ目の左上にサブ業務の負担ということを書かせていただいております。こういったところで打ち合わせをスムーズに進められるように、会議資料の準備でしたり、そういったところに時間が割かれて、調査研究そのものに時間をあまりかけることができなかったといったご意見もいただいておりますので、資料作成でしたりサブの業務をもう少し効率化していって、研究者としては研究に集中していただく、研究により多くの時間を割いていただくような仕組み構築が重要かなというふうに思い、書かせていただきました。
【安浦主査】 ということは、これは各研究チームの中で、そういう技術がある程度分かって資料作成ができるような人をきちっと持っておくのが一つのソリューションになるという、そういう意味ですか。
【内山氏】 それも一つのソリューションだと思いますし、資料のフォーマット作りですとか、そういったところは、最初は時間がかかると思うんですけれども、年を重ねるごとに確立できていって効率化できるのかなというふうに思っております。
【安浦主査】 ありがとうございます。
【藤井(孝)主査代理】 午前中の会議でもコメントさせていただきましたし、そのように思っているのですが、私は今回のFSは基本的にうまく進められたと思っています。効果があったなと。で、アンケートですが、今回51名回答ということでした。これは、全体の母数からいうとパーセントでどれくらいなのでしょうか。
【内山氏】 母数を最も広く取ると、業務参加者、協力者リストに書かれていて、本当に1週間だけ参加した方とかも含めることになってしまうと思っていますが、そういった方まで含めると、20%程度の回答率にはなってしまっています。
【藤井(孝)主査代理】 深く絡んだ人たちが回答しがちなので、その辺を考慮しながら結果を眺めないといけないところがありますよね。
【安浦主査】 ありがとうございます。それでは、ずっと深く関わってこられたPDの3人の先生方、こういう振り返りで、3年間のまとめとしてこの内容でよいか、それぞれのお立場でご意見いただきたいと思います。この現場におられる朴先生からお願いいたします。
【朴PD】 まず、FS全体の進み方が、私、前回のポスト「京」の時のFSにも参加したのでだいぶ違っていたんですが、恐らく今回のほうが全体としてはうまく進んでいたかなと。つまり、前回は全く違う、今回も全く違うアーキテクチャ提案ではあるんですけれども、最終的にどういうふうな形に持っていくっていう議論が、特に最後の1年間はいろいろされていたので、単なる提案ではなくて、もう少し踏み込んだ話とか、特にアプリケーションに関しても、かなり出来上がるものを見据えたやつ。実は2チームに関して結構濃淡はあるんですけれども、それにしてもそういうところが見えて。ですから、それは実際に実装とか基本設計始めるところでうまくつながって、文科省のほうもそれを受ける枠組みもまた用意されているという話になっているのでよかったかなと思います。
ロジスティクスに関しては、EYさんはじめ皆さんかなりちゃんとやっていただいたんですけれども、1つだけ愚痴を言うと、日程調整をもうちょっと早くやっていただきたかった。当然忙しい人が山のようにいるので大変なのは分かるんですけれども、膨大な日程の枠で、いつまでたっても確定にならないのは、私なんかもスケジュール山のようにあって、しかもポスト「富岳」に関係するものですら決まらないっていう、これとこれ一緒にできるわけないじゃんっていうようなところが全部残ってたりするので、その辺の、運営の母体が違うのでやむを得ないと思いますけれども、忙しい人にとってはスケジュールが決まらないっていうのが一番厳しかった。
何度も言われていますけれども、コロナ時代を経てオンライン会議というのは非常にうまくできるようになってきたので、そこはツールの進歩で、コロナが残した唯一よかった点はオンライン会議がスムーズにできるようになったということだったと思います。ロジスティクスに関してはそんなところです。
コンテンツに関しては、先ほども言ったように、より現実的なものをつくるっていうところを見ながら一生懸命皆さんやってくれて。ただ、これはアンケートにも書いたんですけれども、システムの形、特にノードアーキテクチャーにものすごく議論の時間、多分8割ぐらいの議論が割かれたんじゃないかなと。ネットワークに関して相当おざなりで、それでも一応やって、アプリケーションも本当はもう少し踏み込んで、各アプリのサブ担当の人ぐらいまでが少なくとも一回ぐらいはしゃべってもらって、どういう考えでこのような評価予想になっているとか、このようなアプリケーションを重点的にもっとやるべきとかという突っ込んだ議論ができなかったのが少し残念でしたが、それは今後の課題というか、今後真剣に、どういうものができそうだっていうのが、あと1~2カ月ぐらいで理研からも骨格が見えてくるので、それを踏まえてからより深い議論ができればなと思います。
前回、別の会議で言ったことと重複するので、最後に1点だけ。今回のFSで運営をやったのは非常によかったです。つまり、運用チームですね。東大の塙チームがやった、これはフラッグシップだけじゃなくてNISっていういわゆる第2階層のところにもものすごく重要な示唆がいっぱい含まれたので、むしろ明日から役に立つことをやってくれたのがそこだったなというので非常によかったなと思いました。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。小林先生、何かございますか。
【小林PD】 大変よくまとまった取り組みだったと思います。特に理研の近藤チームは、マルチベンダーで巨大なグループ構成でしたけど、適切に内部での評価を進めていただいて、いい形に技術をまとめ上げたのかなと思っておりました。
ただ、もう一つ逆の視点で言えば、多分大学とか研究機関、多くの優れた研究者が参加していたと思うんですけど、その人たちの取り組みがちょっと見えにくいというか、どうしてもベンダーの取り組み中心で報告がなされているところもありますので、それぞれの研究者がどのような成果を生み出したのかっていうところは見えにくかったので、今後はそれを生かして、次もこんなような事業が進むと思いますので、そこで新たなファンディングを得て、その成果をさらに磨きをかけてHPCIに貢献するような形になればいいなというふうに思っておりました。
朴先生もおっしゃっていましたけど、運用はまさに今欲しい技術がたくさんまとめられたと思いますので、そこを今後も引き続き研究開発を進めていただいて、すぐにでも基盤センターなり、あるいはその他のスパコンセンターで取り入れられるようなモデルケースが東大チームの中から出てくるといいなというふうに思っております。
あとは、とにかく会議が多かったので、PDは毎週会議という形で非常に大変な役割だったなと自分なりには思っているところですが。
朴先生はオンラインで効率よく進められたということをおっしゃってましたけど、全部オンラインではなくて、たまには定期的にフェイス・トゥ・フェイスで空気を共有しながら、もう少し膝を突き合わせて議論するような委員会、報告会があってもいいのかなというふうには思ってはおりました。
【安浦主査】 どうもありがとうございました。それでは、田浦先生、お願いします。
【田浦PD】 まず、私は前回のFSのことはあまりよく知らないんですけれども、前回は恐らく今回の言葉で言うとシステム調査研究ですかね、ああいうので3通りぐらい別なアーキテクチャー提案というのが出てきてという形だったと思うんですけど、今回はチームごとに役割が違うというか、システム研究は2チームで、それ以外に新計算原理っていう量子計算のところと、あとは朴先生、小林先生もおっしゃっていた運用に関するところ、そういうふうに幅を広げたチーム構成にできたというのはよかったと思います。
それで、当初は運営会議、要するに全体の全てのチームとPDが議論するという会議しかなかったんですけれども、なかなか突っ込んだ話がNDAの関係でできなかったところをチーム別っていうことにしていただいて、あのおかげで会議は増えたんですけれども、その分、こちらとしても非常に真剣な踏み込んだ議論がそれぞれのチームとできてよかったなというふうに思っています。
小林先生、朴先生も言及されていた運用のチームですね、あの成果。運用技術というよりは、ユーザーから見た時にどういう環境に見えるのかというところですね。そこが、アーキテクチャが決まっただけでは決まらなくて、ユーザーから見た時の使い勝手に非常に影響するところだと思うので、そこをこのFSの終わりとともに検討が終わってしまわないように、次のポスト「富岳」ができるまで、そしてそれ以前からも基盤センターを初めとしたいろいろなところに展開するというような、そういう事業に何とか引き継いでいけるといいなというふうに思いました。
【安浦主査】 どうもありがとうございました。このEYさんから出されました3年間の振り返りという資料、これと、今、委員の先生方、あるいはPDの先生方から出たご意見、こういったものを今後の後継のプロジェクトが起こる時にぜひ参考にして文部科学省のほうではお進めいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
議題2:「次世代計算基盤に係る調査研究」における検討結果について
資料2について、事務局より修正案の説明があった。意見交換の内容は以下のとおり。
【安浦主査】 ありがとうございました。それでは、事前の照会でも大きな修正意見はありませんでしたが、今、一部修正されている点を含めてご意見ございませんでしょうか。
本委員会の中では、約10年おきに新しいシステムを、フラッグシップとしてつくっていくというやり方を慣例化してしまうのはいかがなものかという議論も当初からあったと思います。そういったものも踏まえまして、非常に変化の激しい時代に入っている認識でした。これはハードも、それからアプリケーション側も急激に変わる、そういう時期に入っているということで、計算資源の需要や計算機に用いられる技術が非連続的に変化することに対応するために、単発的な調査研究にとどまることなく継続的かつ機動的な支援事業が必須であるということでした。この評価委員会としては10年置きに考えておけばいいっていう話ではないでしょうという認識を共有したと思います。
できれば、継続的に議論しながら、その時々、次はこういうタイプの計算システムを国として措置すべきだというような話で、フラッグシップはその中の一つとして考えるのか、あるいは常にフラッグシップに向けたFSを走らせ続けるのか、これはまた今後の関連する委員会等で議論することになる問題かと思いますけど、とにかくこの委員会としては継続的にそういうことを考える、そういうチームが国としては必要であるという認識を共有しました。それをどういう形で実現していくかということについて、また文科省さんのほうで考えていただければということで最後のコメントにつながっている次第でございます。
これは、当初の頃に議論した5~6年ごとにシステムとして新しいものを計画して作っていくという話のほうがいいのではないかという議論も1年目の議論であったかと思いますけど、そういうことを少し抽象的に書いたものとご理解いただければと思います。
もちろん、第2階層とフラッグシップの間の関係性の問題も、この関連で議論していかないといけませんし、AI用のマシンの話と従来型のHPCの在り方、これらを融合して考えるのか別物として考えるのかという議論もあるかと思います。そういうことも含めての、この委員会としての国に対する要望という形でまとめております。
委員の先生方から何か、この検討結果についてという案に対してご意見ございますか。
【高野委員】 安浦先生のおっしゃることはもっともだと思いますし、委員会の総意だという形で、この最後のところをボールドで書いていただいてほしいという。
【安浦主査】 どの辺りをボールドで書けるか、事務局で検討いただけますか。
【長澤係長】 非常に重要な点だと思いますので、ぜひ強調して最終的に確定版とさせていただければと思います。
【栗原室長】 ご指摘いただいた点はとても重要な部分でございます。4ページ目の一番下の特に2つのぽつの部分、ボールドが今ないわけでございますけれども、こちらの継続的に進めるべきであるという点や特に一番最後、「非連続的な変化に対応するためには、単発的な調査研究にとどまることなく、継続的かつ機動的な支援事業が必須である」という非常に力強い、このような今後期待される取り組みとしての検討結果をご審議いただきましたので、そういった点、文部科学省として心して今後の事業にも取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
【安浦主査】 よろしくお願いいたします。これは、全ての科学技術分野で使われる、そういう計算基盤として国が何を用意するかという国家の科学技術の基盤をどういうふうに持っていくかという意味で、全科学技術分野に対するメッセージでもあるので、ぜひ重く受け取っていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
その他何かコメントございますか。
なければ、今、高野委員からのご指摘があった、特に最後の4ぽつ、5ぽつのところで大事なポイントはボールドでするという、そういう変更を加えるということでこの案をお認めいただけますでしょうか。
特にご反対ないようですので、それではこのとおりに決定したいと思います。
事務局は取りまとめ内容を開発主体に伝達するとともに、本資料の内容を踏まえまして今後の事業、あるいは予算措置に対する対応を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
【栗原室長】 そのように取り組ませていただきます。ありがとうございます。
委員会開催が最終回となるにあたり、委員及びPDよりポスト「富岳」の開発・整備に向けた期待、政府への要望等についてコメントがあった。また、塩見研究振興局長より挨拶を行った。内容は以下のとおり。
【相澤委員】 3年にわたりまして、大して貢献はできませんでしたけれども、さまざま勉強させていただきました。計算基盤を作るというのは大変お金がかかる話で、これまで10年刻みぐらいで、1,000億とか相当なお金が情報分野から費やされてきている状況です。これまでの計算基盤の在り方をみると、その構築した基盤の上に、情報以外の分野のプロジェクトのためのアプリケーションが開発されるのが主であったと思います。今後、さらに広く利用できるものが計画されているわけで、それに対して情報分野ですべてのリソースを捻出して、開発運用するのではなく、幅広い分野からリソースを求めて、プロジェクトを進めていくべきだろうと思っている次第でもあります。アプリケーション寄りの自分から見ての希望でもあります。どうもありがとうございました。
【井上委員】 長きにわたり、いろいろと私も勉強させていただきまして、ありがとうございました。前回のFSの時、私、ただの末端の研究者で、あまり深く責任もなくやっていたんですけれども、今回、PDの先生方とか代表を取りまとめられている先生方がすごく努力されて調整されているのを見て、非常に重い仕事なんだなというのを改めて実感しました。
先ほど安浦先生のコメントの中でも非連続というのがあったと思うんですけど、本当にそうだと思ってまして、特に今回私が参加させていただいた中で一番記憶に残っているのは、理研チームが出していただいた、いわゆるソフトウエアエコシステムといいますか、プログラミングモデルも含めた上での、そこのソフトウエアスタックのところの話でした。
このハードウエア側が非連続性を持った時に、じゃあその上のソフトウエアスタックをどうするのか。逆にソフトウエアスタックを考えると、ハードウエアの非連続性をどこまでわれわれは許容するべきかというのは、これから非常に重要なポイントになると思いますので、そういったところも継続して議論できたらいいんじゃないかなと思います。
それと、もう一点ですけれども、スパコンを持たない国に日本がなるっていうのは、まず想像できないんだと思います。そう考えた時に、日本の中でHPC産業というのを今後どう国として考えていくのかっていうのを一応真剣に議論して、それに応じた施策を取るということも必要なんじゃないかなというふうに思っていますので、そういったところにも期待したいと思います。いろいろと今までありがとうございました。
【上田委員】 上田でございます。私はハードウエアの専門家ではないので、この委員になったのもAIといいますか、そちらの役目ということだったのですけれども、今までの話にありましたように、昨今のいわゆるAIの進化というのはLLMに代表されるように目覚ましいのですけれども、そういった時代感でHPCIというのをハードウエアという言い方をしていいものか。いわゆるCUDAのようなソフトウエア基盤というのが一体にならないといけなくて、ただ、じゃあNVIDIAにおんぶに抱っこかということでは決してなくて、もちろんケース・バイ・ケースでNVIDIA GPUの援用も考えないといけないかもしれませんけれども。例えばAuroraプロジェクトを進めていますインテルは、オープンAIを提供しているわけですよね、CUDAに代わる。もちろん、CUDAからの乗り換えも容易になるような、そういうツールもつくっているわけですね。
ですから、AI for Scienceなど、その辺りを意識した計算基盤ということを構築するには、ソフトウエアをそういう意味で、アプリという意味ではなくて、そういう計算基盤のためのソフトウエアというのを一体として考えないと、場合によっては無用の長物になってしまうかもしれないというような心配もあります。少しそういうところは、今後、ネクスト「富岳」においてはかなり重要視して考えていかないといけないのではと実感しています。これはAI研究者からの切実なる要望ということでありますので、最後に付け加えさせていただきます。どうもこれまでご議論ありがとうございました。
【後藤委員】 このFSは目的を達成したと思います。その上で、最後に安浦先生に加えていただいた今後の取り組みのところは大変重要なポイントですので、そこについて少しお話ししたいと思います。
私も元々はノードアーキテクチャ辺りが大好きな人間でして、以前はその技術にこだわっていたんですが、今それだけでは機能し切れない状況になってきていると思います。私自身は最近、サイバーセキュリティや経済安全保障の取り組みが多くなっているのですが、その立場から、スーパーコンピュータ、ポスト「富岳」への経済安全保障上の期待は非常に高いと思います。これが今後の日本の産業競争力を支えるものであると。残念ながらクラウドについてはGAFAMには追い付けない状況でございますので、今、わが国の持っている非常に大きな武器がこのHPCI。もちろんハードだけではなくて、今、上田先生もおっしゃったように、HPCI上のソフトウエア、アプリケーションも含めたものですけれども、そこを強化することは非常に大事であろうと。
であれば、そのための調査研究はどうあるべきなのかと、ぜひ検討の間口を広げていただきたいと考えます。例えば、企業活動における 事業継続性 Business Continuityという概念がありますけど、大学などだけでなく、通常の産業にとっても今の「富岳」が止まったら大変なことになる、ポスト「富岳」になると、その日本の産業界の依存度がさらに高くなる。つまり、ポスト「富岳」を含め日本のHPCIの取り組みがもし止まってしまうと、日本の産業への大きなネガティブインパクトになりかねない。そういう認識を持った時に、どんなリスクがあるかに関して追いかけ続けるような取り組みが必要と思います。例えば、経済安全保障上のサプライチェーンリスクに対応できるような広い意味のアーキテクチャはどうあるべきなのか、ですね。
もうひとつは、今、このポスト「富岳」においても、いろいろな国と、データを共有して共同研究が進んでいるわけですが、そこにおける安全保障上の考え方、データ共有を安全にしながら、しっかり研究を進める、または企業と共同の事業を進めていくということに関する在り方はどうなのか。そこに目を光らせながら今後のポスト「富岳」の開発を進めていただきたいと思います。
以上の二つの意味で、継続的に、の部分が大事だと思っています。ぜひ継続的に議論をなさる時は、要素技術の技術変化に加え、グローバルな経済動向、経済上の変化に関しても見張りながら進めていただけるとうれしいと思います。今後の取り組みを期待しております。ありがとうございました。
【高野委員】 このような委員会に参画するのは私は初めてだったので、至らないところはたくさんあっただろうと思いますけれども、私自身非常に勉強になりましたし、この会自体、成功に終わったんじゃないかなと思っております。
テクノロジーのドライバーがいわゆるAIに大きくシフトしていく中で、ナショナルフラッグシップとして先進性と現実性っていうのはどういうふうに両立させるかっていうのは非常に難しい課題だったと思うんですけれども、そこをうまくひととおりの解を出していただいたのではないかなと思っています。
今後ということでは、既に井上先生や後藤先生からも指摘がございましたけれども、狭い意味でのHPCに限るのじゃなくて、もうちょっと広い領域、例えばAIであるとか、量子であるとか、そういったところと連携しつつ、わが国としての計算基盤はどうあるべきかといったところをしっかり考えていくっていうところが非常に重要だと思いますし、まだまだ私も若いと思っているので貢献できればなと思っています。以上です。ありがとうございました。
【常行委員】 まずは、今回の調査研究事業でポスト「富岳」の方向性が明確になって、いよいよ開発フェーズに向けて動き始めたっていうことは、いち研究者として非常にわくわくしながら見ています。ポスト「富岳」がサイエンスの研究を新しいフェーズに導いてくれるということを確信した次第です。ご尽力いただいた皆さまにはお礼を申し上げたいです。
それから、HPCIはハードだけではないというご意見が先ほどありましたけれども、私としては、ハードだけではないし、システムソフトだけでもないし、アプリがあって利用者が何らかの結果を出せる環境が整備されると、そこまでがHPCIだというのが個人的な意見です。ですから、できるだけ多くのアプリ側の研究者がポスト「富岳」向けアプリ開発に今後参画できて、必要とされるアプリがきちんと性能の出せるようにコーティングされて、サイエンスとか、あるいは産業界で成果が最大化できるように、そういうふうに文科省さんにはぜひご支援をお願いしたいっていうのが希望でございます。
【中川委員】 FSの委員会に3年間ですか、関わらせていただきまして、私自身もHPCをつくる側から使う側に移行していますので、つくる側の最先端っていうのは非常に競争が以前より激しくなっているなと実感していた次第です。特にこの3年間はジェネレーティブAIの勢いっていうのが急に増して、データセンターを日本国内にもたくさんつくらなきゃいけないとか、GPを買いたいんだけど買えないとか、いろんなそういうふうなインフラ、データインフラ含めて整備していかないと、それこそ日本の産業競争力っていうものが維持できないという状況になってきている中で、今回のようなFSは非常に有効であったかなというふうに思います。
システムのほうは、結局、結論が出てないなという感じではありますけれども、開発主体が理研になって「富岳」ネクスト、具体的な計画が今後進めるというふうになったということは大きな成果と思うと同時に、塙先生の運用チームの働きっていうのは、すぐ、セキュリティーも含めてですけれど、運用に供すべきものが多くて、それが次につながっていくっていう意味で非常に意味があったかなというふうに思っております。
先ほどHPC産業という話が出ましたけど、日本のHPC産業って、今、非常に弱体化しているなというのが。日立も一応GPUが付いたストレージとかを商品化したりしてはいるんですけれども、結局、どこまで国産の技術で頑張っていると言えるのかっていうのは若干疑問なところもあるわけで。そういう意味でこういうアクティビティというのは、もちろんアカデミアの方が中心になるとは思いますけれども、産業界のニーズも見つつ進めていただければ、継続、持続的に活動していただければなというふうに思います。
あと、ちょっと思ったのが、だんだんHPCとAIっていうのは必ず双子のセットのようなワードで語られるようになっているにもかかわらず、スーパーコンピューティング産業応用協議会っていうのは、ずっとスーパーコンピューティング産応協のままだなとちょっと思っていて、あの辺も名前を変えたほうがいいのかもしれないですねっていうのは委員会を通じて意見を出していきたいなっていうふうに思っております。
【中野委員】 3年間、フィージビリティスタディの委員会、大変お世話になりました。私はデータベースでコンテンツ側の人間なので、アプリケーションの立場から参加させていただいたわけなんですけれども、ハードなアーキテクチャとか何十年ぶりに丁寧にお話を伺って、自分の勉強にはとてつもなくなったというのを、まず御礼申し上げたいと思います。
一方で、フィージビリティスタディでメインとなっている先生方が、割と私が20年前ぐらいから少しのぞかせていただいた時とあまり変わらない雰囲気がありまして、つまりこういう最先端の技術を常に、情報の場合には恐らく、このスパコンをつくるっていうことに対して若手の技術者を育てたりするところがすごく重要になるかと思うんですけれども、継続性と、それから人材育成という意味で、ぜひ今後、理研さんがこのたびつくる方向で動かれることになったんですけれども、うまい形で、これからのこの分野の人材育成っていうのも少し見える化していただけると。
つまり、多分、中でHPCIの委員の方たちは、皆さんこの人が引っ張っていくっていうようなことは見えていると思うんですけど、なかなか外部の人間にとってはその辺りが見えておりませんので、見えるような世界っていうのを一つ人材育成っていう観点からやっていただけると、日本の、先ほど中川委員もおっしゃっていましたように、企業も割と今、どこがスパコンで強いかなどということはなかなか語れない時代になってきていた時に、人を生み出すっていうことがこの文科省の大きなスパコンそのものをつくるっていうことの一つのミッションではないかなと思っていまして、その辺りを今後期待したいと思っております。
また、コンテンツ屋からいいますと、すごいコンテンツと、それからAIと、それから今の計算資源のリソースっていうのはいずれも、オープンなところはともかくとして、基本持っているものがたくさん持ってて、たくさん使うことで成果を上げるような、今、すごい物量作戦の時代に入っていて、その物量作戦の時代において一番重要なのは運用面であると。ものすごい大きなデータを持ってて、ものすごい計算機リソースが必要な時にうまく回すっていうのはどういうことなのかっていうことは、やはり運用として考えていくべきであろうということで、そういう意味で今回のフィージビリティスタディにおいて運用面が取り上げられたのはすごく大きな観点だと思います。
一方で、先ほどどなたかが、相澤先生がおっしゃっていたと思うんですけれども、計算機屋さんが計算機としてスパコンつくるっていう価値の世界から、今、巨大なサイエンスを支援するっていう立場になった時に、私も医療の方たちと一緒にやっていたりすると、どうしても対等ではなくてお手伝いするみたいな形に情報系がなりかねないのが日本の今の現状で。
そういう意味で、これから今後大きくどこかでシンギュラリティが起きるっていうやつですね。生成AI、LLMの開発とかも含めてポイントが、がくって変わった時に、そのキーパーとなる方たちとうまくきちんと話せるっていう人材をつくって運用、あるいは先の5年後を見るっていうところは継続的に行うのはすごく必要ではないかと感じております。
そういう意味で、先ほど太線の付いてない、ボールドになってなかった部分の特に継続性とか持続性っていうところに関しては何らかの形で文科省の中で持っていただくことで、より人材育成も含めた広がり、あるいは他のサイエンスに向けての情報としての価値みたいなところを見せられるのではないかと思っております。
いずれにしろ大変勉強になって、特に運用面とか、ストレージとか、私のやっているコンテンツをいかにうまく使うかっていうことに関しては大きな今後の課題だと思っておりますので、その辺りも含めて継続的にお願いできればと思います。
【藤井(啓)委員】 私は、HPCの専門家というよりは量子コンピュータの専門家として、主に新計算原理に関して関わることが多かったかなと思っておりますが、新計算原理のフィージビリティスタディにつきましても、天野先生ですね、計算機の専門家の観点から、この分野は非常に日進月歩で進展の早い分野で、恐らくこのFSが始まった頃にはNISQという今ある量子コンピュータをアプリケーションつなげようという方向性がメインだったところが、この数年で量子コンピュータもFTQCというより大規模なエラー訂正機能が付いた方向に転換するという非常に変化が速い中、そういうものを取り込みつつうまくまとめていただいたかなというふうに思っております。
皆さんご存じのとおり、量子コンピュータ、まだ計算基盤としてはひよっこの段階ですけれども、今回、こういった委員会に参加させていただきまして、非常に計算基盤とはどうあるべきかであったりとか、計算基盤をつくり上げていくプロセスというのを見ることができまして非常に勉強になりました。特に量子コンピュータに関しましては、クラウドで提供が始まったりとか、「富岳」とHPCと接続されて一体的に使っていくなどの取り組みが始まっていったりしていまして、こういう計算基盤を作り上げていくというところ、こういったところは非常に今後参考になるところかなと大変勉強させていただきました。
いち研究者として、まだまだ量子コンピュータ、そんなに計算基盤の一角を担うことができるほどのものではありませんが、いつになるか分からないですけれども、この計算基盤を少しでも担うことができるように研究者として精進していければいいかなと思っております。大変ありがとうございました。
【藤井(孝)主査代理】 私は、前回のフィージビリティスタディの際にも委員に入っていて評価に関わったのですが、3年弱の今回の調査研究がスタートする時は非常に心配しました。どうしてかというと、システム関係の研究グループが組織も分野も横断する形で構成されていて、これでまとまるのだろうか、一定の結論が出るのだろうかっていうことを心配しました。ところが、結果としてはちゃんとまとまりましたし、逆にそのことによって、それぞれの分野に関連するコミュニティが広がったみたいなところがあり、むしろ、前回よりもかえってよかったと思っています。
ただ、私もできる限りシステム関係の集まりは傍聴させていただいたのですが、会議が大変多くて、特にPDの先生方は大変だなと思いながら聞いておりました。
システムそのものについては、皆さんがおっしゃったとおりで、委員の皆さんの意見に私は全く異論がありません。一点短期的なことを言うと、方程式ベースのシミュレーションがAIに押されて忘れがちな状況もあって、単にデータを提供するための道具みたいに思われることもあるのですけど、私は決してそれだけではないと思っていて、方程式ベースのシミュレーション自体の重要性は今後もずっと残ると思っています。その点を忘れないように文科省のほうで進めていただけたらなと思います。
【安浦主査】 どうもありがとうございました。各委員の先生方からのコメントをいただきました。
先ほども前半でご意見いただきましたPDの先生方、本当に3年間ありがとうございました。さらに何か付け加えることがあれば、お願いしたいと思います。
【小林PD】 特にこれ以上はございませんが、われわれが大変だったというのはそのとおりですし、ただそれぞれのチームの皆さんも大変だっただろうなというふうには思っております。結果的には、それがいい形でまとまっていったんだろうというふうに思っております。どうもありがとうございました。
【田浦PD】 しゃべれと言われればしゃべりますけれども、よろしいのではないかと思います。どうもありがとうございました。
【朴PD】 しゃべらないほうがいいのかなと思ったんですけど、少しだけ。PDの中でいつも名簿で一番最後で、最後にしゃべるんですけれども。まず、先ほど言ったことは繰り返しませんので、それでよろしいかと思います。個人的にこのフィージビリティスタディでよかったと思う点が、体制に関していうと、先ほどどなたかおっしゃった、藤井先生がおっしゃったと思いますけど、いろんな組織の人が特に理研のシステム検討チームに入っていたことは、日本のHPCIの人たちを結び付けるっていう意味でネットワーキングがものすごく発展したんじゃないかなと。いずれも次の世代、やる人も含めて、中堅どころの人たちが非常に活躍されたので、それで、オールジャパンってよく言葉だけは言いますけれども、それに近いようなものは今後どんどんできていくのかなと。決して理研だけがつくるわけではなくて、特にアプリケーションのほうとかに関しては皆さんが頑張ってもらえるのかなと、そういう礎になったんじゃないかと思います。
システムに関しては、これは個人的な意見ですけれども、HPCとAIをやる、さらにAI for Scienceをやるっていう意味でどうしてもGPUは不可欠なわけで、理研からも、今、基本設計をやるための資料の策定が進んでますけど、実情はGPUでいくっていう話になるんだと。その時に、非常に私自身はアクセラレータ大好きなので、何が重要かっていうと、今まで「京」と「富岳」っていうのは国産技術、純国産でやるということでユニークネスっていう旗印はあったんですけど、欧米のGPU中心で進んでいくっていうところに対しての違いというのがどうしても出てしまって、実は2007年ごろにアメリカはMPPに突き進んだのに、日本はベクトルキーをつくっていたと、地球シミュレータを。地球シミュレータのよかった点はいっぱいあるんですけれども、そこでの乖離というのが追い付くのに時間がかかったなと。
今回も、「富岳」、自分も「富岳」のチームに入っていましたから全然いいマシンだとは思いますけれども、そこのところに対して演算加速器、GPU、AIは絶対にやらなければいけないし、藤井先生の言葉もあったように、HPCの従来の計算っていうのはますます重要になりますので、そこをつかさどる上で演算加速器をちゃんとやるっていう方向になったのは個人的にはすごくよかったと思います。
というのは、そこで特にアプリケーションの相互利用っていうのが、今後、欧米、日本で相当活発に進んでいけるだろうし、向こうのソフトも使えるし、こっちのソフトも使ってもらえるという土壌の共通化っていうのがこれで加速されるという意味では、システムをやっている人間としては、アプリケーションのほうにそういった非常に重層的なことが起こるんじゃないかなというのに期待したいと思います。
あと、最後に1点だけ、もう一つ、計画の中で文科省のほうが重層的な開発っていうことも真剣に考えていただいていると伺ってますので、10年に1個つくればおしまいっていう話から、どんどんどんどん欧米と切磋琢磨するためには、そういった重層的ですね、うまくパイプラインしながら、つくって壊して、また次やり直しっていう話から、もうちょっと継続的ないろんなシステム開発、アプリケーション開発が進むという体制になっていただければ本当にいいんじゃないかなと思います。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。では最後に、私から一言ごあいさつさせていただきたいと思います。
このFSの事業、システムは2チーム選んで、かなり温度差はありましたけれども、いわゆる現実路線で進めるという理研のチームと、国産っていうものにどこまでこだわれるかっていうことを狙った神戸大学チーム、この2つを走らせたこと自身は決して悪いことじゃなかったというふうに思っております。先ほどから井上先生はじめ何人かの方がおっしゃいましたように、ハードウエアだけではなくて、システムソフトウエア、さらにはその上のアプリケーション、ここまでを一体的に議論をするということについては、十分な時間があったとは言えないかもしれませんけど、そういう幅広い議論が進められたということはかなり大きかったのではなかったかというふうに感じております。私もいろいろ勉強させていただきました。
それから、量子コンピュータに関しては、いわゆる量子コンピュータを中心テーマでやっている先生ではなくて、天野先生という従来型のコンピュータサイエンティストが、その目で今の量子分野および量子コンピュータの現状をコンピュータサイエンスの立場から見るという、これは画期的なまとめをしていただいたということだったと思います。先ほど藤井先生がおっしゃったように、日進月歩で変わってはいますけど、この切り口においてどういうふうにコンピュータサイエンス側から量子コンピュータが見えるのかということが、量子コンピュータを実際にやられている側にも伝わったのではないかと思っております。
この成果は、ひとつのこのFSの成果として、今後、量子コンピュータがひょっとしたら5年後のプロジェクトの時にはメインテーマになっているかもしれませんけど、そういう場面で物を考えていく上では非常に大きな成果が得られたんではないかと思います。
それから、東大の運用チームに関しては、先ほど朴先生からもありましたように、本当に今の計算センターはじめ、いろいろな大型システムを運用している人たちが欲しい技術に対するサマリー、あるいは提案というものをまとめていただいたということで、こちらもFSとしての意味は非常に大きかったのではないかと思います。
そういうことを併せて最後に、今回の事業、3年間の事業を通して、ますますHPC、あるいはAI用のマシン、そういったものが全ての科学分野の基盤であって、わが国の科学技術を支えるためには必ずこれが必要であるということをいろいろな形でわれわれも、それからそれぞれのチームの研究成果としてもはっきり世の中に打ち出せたのではないかというふうに感じております。
さらに、先ほど後藤先生がおっしゃいましたように、今後はそれが国家の存続にも関わりかねないような、今は経済安全保障というちょっと軟らかい言葉で言われていますけど、そんな軟らかい言葉で済まない時代に突入するかもしれない。そういう時代観の中で、社会として、あるいは経済として、こういう技術をどういうふうに日本は国として持っておくべきかという、これは文科省の話じゃなくて経産省の話でしょうと言われるかもしれませんけど、そんなことを言っている場合ではないと思います。経産省で本気でこういう計算基盤のことを考えている部署は多分ないと思いますので、これは文科省の責任として、国家に対する責任としてぜひ社会科学的な、あるいは経済的な意義も含めてしっかりと見ていく、そういうウォッチングのチーム、あるいは検討の部会のようなものも持っていただくことも重要かというふうに思います。ですから、単に科学技術だけの話ではないという、そういう視点でぜひお考えいただければというふうに感じた次第でございます。
委員の先生方、それからPDの先生方、3年間大変ご苦労さまでした。そして、事務局の皆さま方もスケジュール管理、あるいはこういう会議のセッティング、非常にご苦労が多かったと思いますけれども、お礼を申し上げまして、私からのあいさつに代えさせていただきます。
【安浦主査】 では、最後に、文部科学省、塩見研究振興局長のほうからごあいさつをお願いします。
【塩見局長】 ありがとうございます。研究振興局長の塩見でございます。本日は本当にお忙しい中、この会議にご出席をいただきまして、また次世代計算基盤に係る調査研究における検討結果、これをお取りまとめいただきまして本当にありがとうございました。
本事業、先ほど来お話ありますように、令和4年の8月に開始というふうに承っておりますけれど、同年秋ごろから生成AIに係る技術革新というものが極めて急速に進展してきたということもありまして、当初想定されていたものより調査研究の対象、内容に広がりが生まれることになったというふうに承知をしております。こうした大きな情勢の変化の中で、各調査研究のチームの皆さまには、将来の開発・整備に活用可能な成果をおまとめいただきました。深く感謝を申し上げます。委員の皆さま、プログラム・ディレクター(PD)の皆さまにおかれましては、本当にお忙しい中、精力的にご検討いただきましてありがとうございました。
いただきました今回の結果と、それから、今、お一人一人から頂戴しました大変貴重なご助言について、われわれしっかり受け止めて、これからに向けて取り組んでいきたいというふうに思っております。
特に本評価委員会において、令和5年度までにお取りまとめいただいた内容につきましては、昨年6月にHPCI研究推進委員会の取りまとめ、次世代計算基盤に関する報告書、最終取りまとめの中にも反映をさせていただきまして、その後の検討についてフラッグシップシステムの開発主体である理化学研究所におきまして適切にこれを引き継いでいただき、現在、理研におきまして基本設計に向けたプロセスが進められております。
これまでの調査研究の結果を踏まえて、AI性能をはじめとしまして、あらゆる分野で世界最高水準となる計算能力を持つ新しいフラッグシップシステムの開発・整備が今後進んでいくということになってまいると思っております。
また、現在政府におきまして、第7期の科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた検討も進めております。その中でもポスト「富岳」、さらにその次世代も見据えながら、必要な計算資源に容易にアクセスすることができる研究環境の整備、また計算科学技術の一層の振興というものにわれわれとしてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
本委員会、本日をもちまして一つの区切りではございますけれども、ぜひ皆さま方には今後もフラッグシップシステムの開発・整備、またわが国の研究力を支える情報基盤の在り方などにつきましてぜひご助言を賜ればと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。本当にどうもありがとうございました。
その後、事務局より事務連絡を行い、安浦主査により閉会。
研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室