ILCに関する有識者会議(第2期 第4回)議事録

1.日時

令和3年11月29日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

観山座長、横溝座長代理、伊地知委員、大町委員、岡村委員、京藤委員、熊谷委員、小磯委員、神余委員、東嶋委員、徳宿委員、中野委員、森委員、横山委員

文部科学省

池田研究振興局長、坂本大臣官房審議官(研究振興局担当)、渡邉基礎・基盤研究課長、石川素粒子・原子核研究推進室長、林加速器科学専門官、磯科学官

オブザーバー

ILCジャパンスポークスパーソン/高エネルギー物理学研究者会議高エネルギー委員長/東京大学素粒子国際研究センター長 浅井教授、高エネルギー加速器研究機構 山内機構長、東京大学素粒子国際研究センター 森教授、カリフォルニア大学バークレー校 村山教授、高エネルギー加速器研究機構 道園教授、ILC国際推進チーム議長/スイス連邦工科大学 中田名誉教授、高エネルギー加速器研究機構 岡田理事、高エネルギー加速器研究機構 照沼教授、

4.議事録

【観山座長】  それでは、時間となりましたので、ただいまより国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第2期第4回)を開催いたします。
  本日は、新型コロナウイルス感染症拡大のためにオンライン会議による開催としております。
  また、本日もILC関係の提案研究者側の先生方にも御出席いただいておりますので、後ほど紹介いたします。
  それでは、事務局より委員の出欠と配付資料の確認をお願いいたします。

【林加速器科学専門官】  本日は、全委員が御出席の予定となってございます。
  続きまして、配付資料の確認をいたします。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1から4、それから参考資料を配付してございます。もし資料の不足等ございましたらお知らせいただければと思います。
  続きまして、本日のオンライン会議を円滑に行う観点からのお願いでございます。毎回のお願いではございますが、御発言の際は、挙手とお名前をお願いいたします。御発言なさらないときはマイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。  資料を参照して御発言される場合は、ページ番号をお示しいただくようにお願いをいたします。
  それから、本日の傍聴でございますが、事前に申込みのありました133名の方が傍聴されております。
  本日の資料、それから議事録は、後日ホームページで公開されます。
  以上でございます。

【観山座長】  ありがとうございました。
  本日は、前回、前々回の意見交換後の追加質問への回答の説明として、提案研究者側の先生に御出席いただいております。事務局から出席者の紹介をお願いいたします。

【林加速器科学専門官】  本日は、第2回、それから第3回に引き続きまして8名の先生方に御出席をいただいております。
  それでは、お名前を読み上げだけさせていただきますので、よろしくお願いします。ILCジャパンスポークスパーソン、高エネルギー物理学研究者会議高エネルギー委員長、東京大学素粒子国際研究センター、センター長の浅井先生でございます。それから、高エネルギー加速器研究機構の山内機構長でございます。東京大学素粒子国際研究センターの森教授でございます。それから、カリフォルニア大学バークレー校の村山教授でございます。高エネルギー加速器研究機構の道園教授でございます。それから、ILC国際推進チーム議長、スイス連邦工科大学名誉教授の中田先生でございます。それから、高エネルギー加速器研究機構の照沼教授でございます。それから、高エネルギー加速器研究機構の岡田理事でございます。
  以上、8名の先生に御出席いただく予定となってございます。
  以上でございます。

【観山座長】  先生方、お忙しいところ、御出席ありがとうございます。本日、どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、議題に入ります。まず議題1、追加質問についてです。提案研究者側から追加質問への回答について御説明いただき、その後に委員との意見交換を行います。
  まずは提案研究者側から10分程度で御説明をお願いいたします。

【浅井教授】  では、浅井がまとめて説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。たくさんありますので、まとめていきたいと思っております。重要なトピックスについてまとめていきます。
  まず1つ目のトピックスでございますが、ILC本体の意義や予算に関してのそもそも論の部分でございます。対応いたしますのが質問1-1、1-2及び5-1でございます。
  学術的にILCは、真空にひそみますヒッグス場の研究を通しまして、インフレーションなどの宇宙の進化だとか、暗黒物質の発見、解明などといった新現象の発見を目指すものであります。
  これは従来の素粒子の研究の枠組みを超えまして、真空だとか、時空だとか、そういうのを研究する新しいパラダイムシフトに世界に先駆けて進んでいきたいと考えております。
  予算に関してでございますけども、これは従来の科学予算を当て込んでいるものではないということを重ねてこの場で申し上げたいと思っております。CERNとかITERのような国際研究ハブというのを日本に誘致する。その科学技術を核としまして、若い研究科学人材を世界中から集める、そんな環境を日本に作りたいと思っております。それによりまして、老いてゆく日本の活力を取り戻すことの一助になればと思っております。
  そういう観点から、今回、多様性、研究の多様性というのも取り込みました。素粒子だけではなくて、様々な学問に関係した人、そういう人の流れをつくって、日本が核となるようにしていきたいと思っております。最先端の加速器研究者や素粒子研究者やいろいろな分野の研究者が化学反応を起こすことによっていろいろな研究が進展するものと思っております。
  2点目に関してですけども、なぜ今かという質問に対してですけども、ポストコロナというものに向かって新しい秩序の再構成が始まっています。ちょっと新しいのが出てきて、またどうなるか分かりませんけども。日本が科学技術で国際社会のイニシアチブというのを握っていく、そういうことができるようになる、今がチャンスだと思っております。海外との交渉というのは極めてタフなものであろうと思っておりますし、これ、後ほど文科省さんからあるとは思います。これを科学技術外交というのと位置づけて、そういうふうに位置づけていただいて、非常にタフな交渉を繰り返して、日本の科学技術における存在感というものを発信していけたらと思っております。
  本体の建設費というのは、人件費とか検出器の部分を除いた部分というのは5,800億円で、FCC-eeの約半分でございます。そういう意味で非常にアドバンテージがあると同時に、日本はこれまで多くの科学の実績、基礎科学の実績を積んでおりますので、そういう意味で一番現実的であると同時に世界から期待されていることも事実でございます。
  今後、いろいろなアカデミアの方に、共同利用の場としてだけでなく、こういうことをすることによって科学予算全体が増えるとか、国際的な科学交渉のフレームワークというものを提供していけますということを説明して、理解のお願いを今後も続けていきたいと思っております。
  2つ目の重要なポイントでございます。それは技術的成立性、安全性及びコスト見積りの正当性でございます。関係いたしますのは、2全体と3-4と4全体でございます。2と3-4に関係いたしまして、大まかに申し上げまして、技術的なR&Dはほぼ終了している段階でございます。そういう意味で前段階のR&Dはこれまでの資金で進めてまいりました。こういう大型計画というのは、やはりR&Dではなくて、工業レベル、産業レベルでの量産ができて、クオリティーコントロールができて、海外とちゃんと連携できますという詳細な工学、エンジニアリングの設計というのが必要になります。これを今後進めていきたいというのがプレラボの目的でございます。
  2-1に関してでございますけれども、非常にたくさん書いてありますが、かいつまんで申し上げますと、主要な技術のうち、スーパーコンダクティングRFとビーム制御及びダンピングリングです。ビームダンプなどの主要な技術に関しましては、達成度はほぼ90%でございます。90%というのは、先ほど申し上げました詳細な工学設計へ移行できる状態でございます。
  ちょっと遅れているところが、陽電子源の開発でございます。偏極、これがリニアコライダーの非常に大事な点でございますけども、偏極が得られるアンジュレータを用いた陽電子源の開発に関しましては若干遅れております。パルス磁場で出てきたポジトロンをぐっと集める装置や、ターゲットがまだちょっと達成度は7、80%でございます。これにつきましてはまだR&Dが必要な段階であります。
  ただし、これの開発が例えうまくいかなくても、コンベンションナルな電子駆動型の陽電子源も準備してございますので、計画全体が頓挫することはございません。
  もう一つ大事なリスクヘッジとしましては、スーパーコンダクティングRFの歩留りが90%出なくて、ちょっと性能の悪いものが多くなった。そういう場合でも、そういうのを数でカバーできるような、そういうリスクヘッジもなされておりますので、計画全体がそこで止まるということはございません。
  コストに関してでございますが、一番大きなコストを占めておりますのがスーパーコンダクティングRFでございます。これは、European XFELとか、LCLS-Ⅱで十分な実績を積んでおりますので、コストの評価の信頼性というのも十分高いです。
  European XFELの13%のコスト増の原因に関してですけども、これについても調査が終わっております。一番重要な要素としましては、計画のディレイによる人件費の向上とシビルエンジニアリングのコストが市況に依存したのが原因でございます。
  続きまして、安全性の部分でございますけれども、地震、これが極めて大事でございますけれども、土木学会などのエキスパートの方々と協力いたしまして地震の対策を行っておりますし、3.11規模の地震があっても設備が安全であるようにしてあります。
  電力に関しましては、東北電力さんと電力及び需給の件についての研究も既に行っております。
放射線、これも大事なことでございますが、ILCの放射線のレベルというのはKEKがこれまで運転してきました加速器と同程度でございますので、十分な経験を積んでおりますので、安全に運用できると思っております。
  次に大事な点としましては、プレラボというものについてでございます。関係いたしますところというのは、3-1、3-2、3-3及び6-2に関してでございます。プレラボというのは、これは国家間の協定ではなくて、主要研究所間の国際協定であります。これは本体の部分とは違います。研究のワークパッケージ自体は、プレラボが管理するものではなくて、それぞれ参加している主要研究所の責任で行うものでありますので、そういうもの全体を管理するような大きい組織をつくるというものではございません。プレラボは、全体をオーガナイズするための30名程度の本部組織をつくる予定でおります。
  プレラボの最高の意思決定機関というのは、それぞれの参加研究所の代表から成ります運営委員会であります。これが日本の社団法人の社員総会に相当するものでありまして、法律の専門家にチェックしていただいて、一般社団法人としてもつくることができるというお墨つきはいただいております。
  何でこんなものをつくるのかという点に関してでございますけども、一番大事なのは、本体の見通しをよくすることであります。小さなプロトタイプを国際的な枠組みでつくることによってILC自体のリアリティーを高めて、国際的な話合いというものをブーストして、各国間の信頼関係を築いていく、これが一番の目的でございます。それが現段階でプレラボというものをお願いした次第でございます。
  国際的な話合いというのがまだそんな段階に至っていないという御指摘がきっとあると思っております。それもごもっともな御指摘であると思っております。しかし、国際的な加速器の研究の枠組みというのは非常に長い時間をかけて築いてきた国際連携でございます。これを維持発展させていくということが、将来計画のみならず、日本の国際的な研究ステータスを維持していく上でも極めて重要なものであると思っております。
  ですので、プレラボというのが、大臣答弁の関係で、現段階では難しいということになった場合でも、加速器の部分の幾つかのワークパッケージに関してですけども、加速器の共同研究というのを今後も続けていくようなサポートをお願いしたいと思っております。
  これに一体幾らかかるんですか?と言う質問に対してですが、数年で欧米は、おのおの15億円程度でございます。これは基盤技術をつくるためのものでありますので、欧米の研究所としましては準備できると申し上げております。
  日本は、この15億に加えて、検査システムなどのインフラが必要となりますので、数年で合計50億円ぐらいのコストが必要になります。
  こういう国際連携のフレームワークや信用というのは、一旦失われてしまいますと、相当なダメージになりまして、それを直すということはなかなか難しいと思っております。従いまして、プレラボというのが、たとえ時期尚早であったとしても、ILCのためだけじゃなくて、基盤研究を進めていく上でこういうワークパッケージの幾つかというのを進められるように皆様にお願いしたいと思っております。
  ワークパッケージの研究をして無駄になるんじゃないか、ILCができなかったときに無駄になるんじゃないかという御指摘もありますけれども、このワークパッケージというのは加速器の基盤技術でございます。ですので、これはILCばかりでなく、非常に多くの応用が期待できるものでありますので、それを工学設計レベルに載せることによっていろいろなことが実現できると思っております。
  例えば、SRFというのは光源に使いますし、ナノビームというのはナノテクノロジーの重要な要素になります。そういうことなので、これらのことというのは、ワークパッケージへの投資が、たとえILCが現実しなくても、十分応用価値の高いものであると思っておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
  続きまして、多様性の部分とエネルギーアップグレードに関してでございます。これは1-3、5-2及び5-4に対応するものでございます。加速器技術やナノビーム技術は、光源や微細加工、医療だとか核変換など、いろんな広がりを持つような中核的な技術であると我々は思っております。そういう意味で、そもそも論のところで述べましたけども、科学技術の基盤になるものと思っております。
  こういう最先端のILCの加速器が、世界中から最先端の科学者が集まってくる、そういう施設を造ることによって、多様性とか応用も含めまして、今回こういう提案を新たにさせていただきました。
  じゃあ、幾らかかるのですという点に関してでございますけども、実はどんな施設を造るのかということに関しましては、現在、ブレーンストーミングの途中でございます。そういう意味で、まだ決まっておりませんので、何をやって幾らかかるんですかということに関しては、ちょっと後出しじゃんけんのようになってしまって申し訳ないんですけども、今、コストに関しては申し上げることはできないです。まとめて最初にドンと造らなければならないというものではなくて、必要に応じて後から加えていくものでありますので、そこら辺は御理解していただけたらと思っております。
  ただ、最初にやっておくといいのが、トンネルなどのシビルエンジニアリングでございます。これに関しましては、大体100メートル当たり数億円のコストでございますので、予備費の中に収まる範囲でございます。
  エネルギーアップグレード、これもリニアコライダーの一番の売りでございます。ただし、現段階で次にどのエネルギーに行くべきかということは分かってはおりません。これは、やっぱりILC250をやって、真空の場というものをきちっと調べることによって、次のエネルギースケール、新現象がどこにあるんだというエネルギースケールが分かって、それをなおかつ国際的な議論を経て初めて次のエネルギーが決まるものでございます。
  例えば近いエネルギーでしたら、例えば500GeVとか、そういうものでしたら、現在の技術でちょっとだけ伸ばせばできますし、もっともっと高いエネルギーが必要だということになりましたら、プラズマ加速だとか、そういう新しい加速技術というものが必要になります。
  そういう意味で、現段階で次にどこに幾らかかりますかということもまた残念ながら申し上げることができません。250GeVでの運転というのは、実験開始後およそ15年やる予定でおりますので、そこから後のことになりますので、先ほどの話と一緒で、今の段階でということは難しいです。
  最後に国際協力の部分でございます。これは6及び7-2に関してでございます。1つ目、ILCは欧州戦略2020の予備という位置づけであるというよりは、2040年代の研究の柱でございます。ただし、この柱がILCだけになるのか、FCC-eeがなるのか、両方がなるのかというのは、日本の対応次第です。今はILCというのがその柱になっておりますが、日本がいつでも経っても、はっきりしないということになりますと、FCCが中心になってきます。
  いずれの研究も、もう一国ではできるような規模ではございませんので、世界中で分相応の負担をしながら進めていくことになるというふうになっております。
  世界は、ILCの議論を進める上で日本のリーダーシップに期待をしております。やっぱりリーダーシップがない場合には、日本に信頼を置いて進めていくことができないというわけでございます。
  そういうわけで、各国が真剣な交渉を始める前には、お互いの信頼醸成というのが重要になってきます。その信頼醸成等をする上で、プロトタイプというような、こういうリアリティーを増していくということが極めて重要になるので、そういうリアリティーを増していくような今後サポートをしていただけたらと思っております。
  最後になりますけども、各国がどんな働きかけをしておりますかという点でございますが、米国というのは、DOEが主宰しまして、P5という委員会で順列をつけておりまして、その中でILCというのは極めて高い位置にあります。したがって、各研究者が個別に対応はしてはおりません。
  欧州は、CERNの欧州戦略2020というのがその礎にあるものでありまして、その中でILCというのは重要な位置を占めているものであります。そういう意味におきましても、CERNのコミットメントというのは、人でも、お金でも、技術でも、これは不可欠でございますので、CERNにコミットメントしていただきたいと思っております。
  欧州各国は、欧州戦略2020を受けまして、各国政府に対して直接説明を行った働きかけを行っております。そこでやっぱり問題になるのが、日本に前向きな信号を出してもらいたいというのがやはり各国からのアクションの前提となっております。
ちょっと長くなってしまいましたけれども、以上でございます。

【観山座長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明及び資料の2、追加質問への回答に関して御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いします。画面たくさんですので、ミュートを外して発言していただければ指名することができると思いますので、よろしくお願いします。
  どなたか。
  それでは、私のほうから口火を切りましょうか。ありがとうございます。まず、1-1と1-2に関係するんですが。暗黒物質の解明など標準理論を超える新しい素粒子現象を発見することが目標です。それはいいんですが、これだけの予算を使うわけなので、ほかの分野の方にもある程度費用対効果というか、どういうものが見つかる。つまり、これは実験なので、実験してみなきゃ分からないという部分は非常に理解できるんですけども、今までの実験だとか理論から考えて、例えばどういう現象なり、どういう発見があると、素粒子物理に対してどれだけのインパクトがあるのかという筋道は結構つくられているのではないかと思います。第1期のところでもあったとは思うのですけども、どれだけ素粒子の世界を変えていくのかというのが、どういう現象が250GeVの中にあると、どう変わっていくのか、ほかの分野の方も、ああ、なるほど、これだけすごいことが分かってくる可能性があるんだということがもうちょっと具体的に分からないと、この加速器の価値というものがなかなかほかの分野には理解が難しいと思います。標準理論を超える新しい素粒子現象を発見すると言われても分からないのではないかと思うんですけどね。そこら辺は何か準備というか、今日、今、お話しできる部分もあるかもしれませんけども、少し問題を整理されて、このILC250というものの、どれだけの素粒子の世界を変えていく可能性があるのかということを分かりやすく示していただきたいです。研究者はある種のわくわく感というのがないとあまり支持もできないし、一般の方にはなかなか難しいかもしれませんけど、素粒子の世界というのは、今までこれだけの積み上げがあって標準理論というのがあるんだけど、例えばこんな現象が出たら、これを完全に打ち破って新しい世界、新しいパラダイムが出てくるんだというような説明がほしいです。結局やってみたら何かすごいことが出て、すごいことができるんですよという、ある種の山師的な感じになってしまうのかなという気がします。そこはもうちょっと丁寧に説明するようなことはできないのでしょうか。もしもやるとすると、数千億なので、だから、ほかの分野から、いろいろな巨大科学もありますけれども、日本が全く参加したことがないような学術的な装置なので、それは少し教えてもらわないと、賛成しろ、それから反対しろと言っても、よく分からないのではないでしょうか。率直な感想はそういうところがありました。

【浅井教授】  ありがとうございます。本当におっしゃられるとおりでございます。今、新しいスライドを見せられないので、後ほどまたお送りすることにしまして、今回口頭で説明させていただきます。まず、ILCの目的の一番の目的というのは何かというと、真空にヒッグスが隠れているということは分かりました。それを今度調べることによって何が分かるかというと、僕らが2012年に見つけたヒッグスだけが隠れているのか、それ以外があるのかということが、これは精密に調べることによって分かるわけです。これが見つかることによって何が分かるかというと、例えば、兄貴分というのは変ですけど、兄弟分みたいなヒッグスがあるということが分かると、それはある意味超対称性のサジェスチョンでございます。
  超対称性が見つかって何が分かるんですかということに関して言うと、これは一番いい例でございますけども、アインシュタインの言う4次元というのが、これ科学だけじゃなくて、物理学だけじゃなくて、社会全体に大きなインパクトを与えた言葉でございます。それが見て分かるように、次元が幾つあるのかということというのはすごく大事な要素になります。超対称性があるということは実は何を意味しているかというと、僕らが4次元だと思っている世界が、素粒子のレベルでという4次元じゃなくて、実はさらに裏と表があるというような、やっぱり次元の考え方というのを大きく変える大発見になります。これが1つ目の意義でございます。
  ヒッグスを調べることによってもう一つ何が分かるかというと、ヒッグス粒子が、実は素粒子じゃなくて、複合粒子であるんじゃないか?ということも調べられます。その場合は何がすごいかと申しますと、次の新しい階層構造の発見になっているわけです。
  もう一つ、何にも見えなかったら、おまえどういう責任とってくれるんだということに関してでございますけども、実は何にも見えないということは、それは実は結構強いサジェスチョンになっております。それは何かというと、やはりヒッグス粒子の質量がどうやって決まったかということに対して理由がないということになります。それは何を意味しているかというと、この宇宙というのが、ある意味何らかの理由があって生まれたんじゃなくて、幾つもあるパターンの1つにすぎないんだということ。これは多世界宇宙の概念です。そういう意味で、実はヒッグス場を調べることによって、そんな3つのことが分かるというふうに、これは後で資料をお送りいたします。
  もう1個、何かというと、最近WIMP(Weakly Interactive Massive Particle)と呼ばれる重たい暗黒物質ではないんじゃないか。特に軽い暗黒物質という可能性が指摘されております。軽い暗黒物質が見つかることの意義というのは、これ実は南部先生にまで遡ります。南部・ゴールストーン粒子って何かというと、エネルギースケールの逆数に比例したような質量になります。正確なこと言うと擬南部・ゴールドストーン粒子でございますけれども。
  従いまして軽い粒子が見つかるということは、これはものすごい高いエネルギーの物理を示唆することになります。陽子崩壊が探っているような、そんな高いエネルギーの物理というのもそれによって見ることができるようになるかもしれません。そういう意味で、軽い暗黒物質を探すということの学術的な意義というのはそういう点でございます。
  すいません。後で資料をお送りします。

【観山座長】  ただ、よく先生のお話の中に、強い示唆とか、示唆が与えられるという言葉が出てくるんですけども、なおかつ最近、宇宙論だとか、いろんな素粒子実験で、これを実験すれば必ずこうなんだというのはなかなか難しい世界になってきていますよね。例えば2次元のパラメータの中で、ある部分、だんだんだんだん狭められていくという状況になるのではないでしょうか。だから、なかなか説明が難しいんだと思うんですけども、やっぱりほかの分野の方に、だから、8,000億とか、7,000億とか、ランニングコスト入れたら数兆円という規模の計画が、我々の分野にとって、それを超えるようなブレークスルーがどのように出てくるんだろうかということをやっぱり丁寧に説明されること。それがあってこそ、まだILCの計画の意味というのが分かってくるのではないかと思うのですね。
  だから、そこのところはすごく丁寧にされることがやっぱり今後とも非常に重要ではないかと思いますけども。

【浅井教授】  おっしゃられるとおりでございます。では、資料を作りまして、またお送りさせていただきます。

【観山座長】  はい。それは多分非常に基本的な部分だと思いますので、どうぞよろしく。あまり難しく、幾ら説明されても、分からない資料が幾ら送られてもしようがないので、ほかの分野の方、それから一般の方もわくわく感が出るような資料があればよろしいかと思いますけれども。

【村山教授】  少し補足してもよろしいでしょうか。幾つか簡単な例だけです。例えばILCでできる実験として、先月大きなワークショップを開きまして、世界から600人の登録があって、せっかくこれを造るんだからほかにどんなことができるだろうかといういろんな議論をしました。
  その中で出てきた例を2、3個だけ紹介したいんですけども、1つは、ブラックホールの物理を実験室で再現する。ブラックホールの周りでは、ホーキング蒸発といいまして、ブラックホール自身の強い重力で真空が壊れて、いろんな粒子が出てきて、いずれはブラックホールは蒸発するんだというのはホーキング先生が言われたことなんですけれども、そういう強い重力場を実験室でつくることは残念ながらできません。でも、その代わりに強い電場をつくることはできて、ILCのビームとレーザーを組み合わせることで強い電場をつくって実際に真空が壊れるという、ブラックホールのシミュレーションができるということが最近議論されるようになりました。
  それから、これは中野先生が開拓された分野ですけれども、クォークというのが普通3つくっついて我々の体をつくる陽子とか中性子になっているんですが、5つくっついたようなものもあるんだという話がありまして、最近では実際Belle実験などから、もっと重いクォークを含んだ5つの新しい物質の状態というのが見つかってきています。でも、まだ詳しいことは分かっていないので、少なくとも質量は分かっていますから、ILCのビームを使うとそれはつくることができて、その性質を詳しく調べることができるのは間違いないということも分かってきました。
  それから、先ほど出てきました陽電子のビームをつくるためのアンジュレータの装置なんですが、これは実は物すごい強い光を出すものなので、それを使うとダークマターの候補とされているアクシオンという粒子を、今まで探索できなかったことを探索できるということも分かってきました。
  それから、ヒッグス自身ですけれども、ヒッグスを量産することができれば、暗黒物質や、宇宙の物質と反物質の違いを説明するような、そういう物質であったり、そのものにヒッグス粒子が崩壊するという現象を探すことができて、これはLHCでは見えないものを約1万倍の感度まで伸ばして探索することができるようになりますので、先ほど浅井先生が言われたような新しい物理を探すというところで飛躍的に伸びるという、そういう可能性も分かってきました。
  こういう話というのは、実は今まで本当にヒッグスにフォーカスしてきたので、あまり議論されてこなかったんですけども、むしろLHCで新しいものが見えなかったということから、ILCを最大限活用しようというような方向がだんだん強まってきまして、実際に私のやっているワーキンググループとかでさんざん議論した結果、こういうサイエンスの広がりというのが最近すごく見えるようになってきて、それが最終的には、先ほど浅井先生が言われたような、本当に時間と空間の構造を変えるような大発見の可能性も出てくるということです。
  以上です。

【観山座長】  どうもありがとうございました。ぜひ分かりやすく作っていただくことと同時に、やっぱりほかの分野にも分かるというか、費用対効果の部分ですね。それは難しいとは思うんですけどね。つまり、これだけの発見とか、これだけの学術の進展というのが、ほかの分野でも、それは確かにすごいね、数千億円かける価値があるねという感じを結構出してもらわないといけないと思います。
  つまり、ある種の加速器屋さんの中での話ではなくて、ほかの分野だと数千億、我々の分野でやればどれだけのことができるかというのは結構いろいろなテーマをお持ちだとは思うんですけども、そういうことを少し念頭に置きながら考えていただければと思いますが。
  ちょっと私ばっかり質問しましたけど、どうぞ委員の方、御質問をお願いしたいと思いますけども。まず岡村先生、お願いします。

【岡村委員】  ILCの多目的化、それからファシリティー化という言葉は前回聞いたのが初めてのような気がしているんですけれども、ILCというのはいわゆる素粒子物理学の装置なんだという基本的考え方で従来進んでいた計画が、少し違った応用側面も考えるというふうに性格を変えたと理解してもよろしいんでしょうか。これは今後いろいろなことを考える上で非常に重要なポイントだと思っています。それで、これに関しては、国際的なコミュニティーにも全てそういうことが了解されてのことなんでしょうか。
  以上です。

【浅井教授】  では、浅井から答えさせていただきます。岡村先生、ありがとうございます。まさしくそうでございまして、これ、よくよく考えてみますと、KEKもCERNも、やはり中心となる、例えばBファクトリーだとか、CERNはLHCというプロジェクトがあります。ただし、そういう研究所はそれだけをやっているわけじゃなくて、加速器のいろんな附属施設にあって、量子コンピューターまで含めた広い研究をしていますし、KEKには放射光施設もあります。
  そういう意味で、よく考えてみると、やはりILCを核としていろいろな計画をするというのは、やっぱりCERNとかKEKの将来そういう形になっていくというのは自然な考え方かなと思っております。
  今まではそういう意味でILCというメインの議論を中心にさせていただいておりましたが、これ慌ててとってつけたわけではなくて、やはり現実的にKEKの将来像というものを考えるに当たって、ILCが核となって、やはり今までのようにというか、今まで以上にいろいろな分野の方に参加していただいて、機構という形じゃないですけども、そういう形をやっていけるような、そういうものにしていきたいという願いでいろいろなものをしたわけで、慌ててとってつけたわけではないです。
  以上です。

【観山座長】  それでは、まず森先生、それからその次に中野先生、お願いします。森先生、どうぞ。

【森委員】  私、工学系の人間としてちょっとコメントしたいのは、こういう設備ができた後何の役に立つかというのはなかなか事前には分からないということはよく理解できますし、やって、できてみなければ分からないという面があるのは事実かとは思いますが、しかし、これだけのものをつくり上げるためにいろんな技術開発が必要であって、一つ一つがちゃんと成果を出していかないと最終的にたどり着かないわけですよね。
  工学系の人間としては、やはり途中段階でやらねばならない技術開発にどれだけの波及効果があり得るかということは、これはある程度語れるんじゃないかという気がいたしております。これだけの設備が出来た後で、ああいうことができる、こういうことができるというふうな話になってしまいますと、これはやや狭い世界での問題になるんじゃないかというふうに一般に受け止められがちになるかと思います。
  これは、これまで伺った中だけでも、超伝導にしても、材料にしても、非常に波及効果の大きな技術があるのではないかと、そういう予想ができるんですね。これに対しては、例えば原子力関係はあまり波及がこれまでなかったというのが定説でもあるんですよ。大きいからといって必ずしも波及とは限らない。その意味でいきますと、これだけのものをつくるための途中段階でどういう波及があるかについてはもっと説明をしていただいて、ひょっとしたらここから広がるよということがあれば、成果のコストベネフィットではなくて、途中段階の広がりのスタットベネフィットもアピールできるんじゃないかと。
  逆に言いますと、原子力開発とか原発などがいまひとつ広がりを持っていないことによって、これはやはり支持もされにくいということもあるんです。ですから、そういうこともぜひ御検討いただければと思います。以上です。

【浅井教授】  ありがとうございました。おっしゃられるとおりでございます。実際にどういうことができるかということに関しまして、また詳細な資料のほうを作らせていただきたいと思っておりますが、例えば、光、非常に強い光源ができますので、それを使った半導体のパターンをつくったりだとか、焼いたりですね、そういうのも使えますし、医療等への応用について、加速器の部分につきましては、やっぱりいろいろな応用が考えられております。

【観山座長】  村山先生。

【村山教授】  すいません、ちょっと具体的な例をまた幾つか加えたいと思うんですけども、これも先月のワークショップで議論したことなんですが、例えば新しいアイデアとして、最近これからAIを使った例えば自動運転車の開発が必要になってくると。ところが、我々の身の回りでは放射能がそこら中に存在していて、アスファルトとかから中性子がぼんぼん出ているんですね。そういうやつが今の非常にタイトにインテグレートされたチップに当たると、せっかく情報されているビットをひっくり返してしまって、それがシステムのマルファンクションにつながる可能性があると。これは人命に関わることなので、非常にきちんと調べなきゃいけないわけですけれども、そういうシステムを調べるときに、ILCのビームダンプにたくさん出てくるミューオンとか中性子に、実際に車をそこに乗り付けていって具体的にテストするというような議論が行われました。非常に新しいアイデアで面白いと思いました。
それから、今の光ですけれども、ILCに併設して、ヨーロッパのXFELとか、米国のLCLSのような放射光の施設を造ることができて、コストはもちろんILCの1割ぐらいはかかってしまうかもしれませんが、今までにないような短波長の非常に強い光のビームをつくることができる。それをつくると、例えば今の医学で非常に重要なのはたんぱく質の構造解析ですけども、製薬とかに重要なわけですが、今何がネックかというと、たんぱく質をまず結晶化させないと開発実験ができないので構造が分からない。ところが、そういうILCに併設した施設だと、たんぱく質の分子1個でも情報が得られるような非常に強いデータが得られるので、それが製薬とかを助ける可能性がある。
  それから、やっぱりビームダンプでミューオンを使うと、考古学で見つかったような貴重なもので、開けることも怖くてできないようなものをミューオンを使って透視して、具体的に中に何が入っているのか。こういうのが実は怪しい貨物とかの安全・安心にも使う可能性がある。そういういろんな新しいアプリケーションの議論がなされてきました。
  ですから、もうちょっとちゃんと考えると、どうやってILCを最大限生かすか。先ほどサイエンスの話をしましたけども、産業応用から社会応用も含めて、いろんなことを考えられると思います。我々、残念ながら専門家ではないので、むしろ先生方に教えていただきたいんですけれども、ぜひアイデアをいただければ、技術的な可能性について我々は検討しますので、ぜひそういう対話を続けていきたいと思っています。よろしくお願いします。

【森委員】  私はこの分野は本当にそういう広範囲な議論といいますか、いろいろな知恵を集めるということが大きなプロジェクトを進めるための大事な要件になってくるんじゃないかと。まさにこれ、縦割りではやはり資源の限界にすぐぶつかってしまうと思います。その辺の努力をどういうふうにすればいいのか。また、そうやって合意が得られるかどうか、ちょっと私には読みかねますけれども、可能性はちゃんとアピールしていただくような工夫、また、応用ついては、やはり応用したい人はいるわけですから、そういう分野がありますので、そういうところとのコミュニケーションを積極的に御検討いただければと思う次第です。

【村山教授】  全くそのとおりです。細々とやっているんですが、もっと大々的にやるべきだと思っています。ありがとうございます。

【観山座長】  では、中野先生。

【中野委員】  準備研究所について質問です。今回の御説明ではちょっと保守的というか、後ろ向きというか、各国間の信頼感をなくさないために準備研究所が必要というふうにお答えになったのと、それから、計画のリアリティーを高めるために、実機に近いものをつくるのが必要と。その2つを挙げられたと思うのですが、準備研究所というものを立ち上げることによって、推進体制の現状維持であるとか、ハード面でのフィジビリティを上げること以外に、ソフト面での役割、やはり政府間協議が前向きに進むための環境整備のような、本当の意味でのILC実現のための準備が進むというところにも期待したのですけれども、そこのところ、ちょっと御回答はさらっと書いてあるだけで、準備研究所を続けている間に政府間協議が進むことを望むというような立場をお示しになっているだけのように感じます。準備研究所でそういうソフト面での具体的な戦略や目標達成のマイルストーンというものは何かお考えになっていないでしょうか。

【浅井教授】  そこはおっしゃられるとおりでございまして、一番大事なのは何かというと、やはりそういう国際交渉を進めるときに、今ソフトとおっしゃられたように、やはりいろいろな交渉と言ったら変ですけど、進捗状況だとか、各国の状況だとか、そういうことをやっぱり政府に伝えておいて、そうすることによって政府というのが交渉というのをスムーズに前に進めていくことができると思っています。
  やっぱり政府と研究者がデカップルしてこういう議論ができませんし、研究者間というのはやはりそういう意味でこういうプレラボという形で同じ情報を共有し、どこが問題になっていて、どこがコストがオーバーランしそうになりそうなのはやっぱり防がなきゃいけない。やっぱり政府にとってコストのオーバーランというのは非常に大きな問題でございますので、やっぱりそういうのを全部防いでいくという意味においても、プレラボというので先ほど申しました、小型版ハードをつくるということが、コストのオーバーランというのをきちっと評価する上でも重要になってきますし、どこが問題かということもやはり共通できますし、どの国がどういう興味を持っているのかということもプレラボというので共有できることになって、それを各国政府に上げるという、今中野先生がおっしゃられたように、そこがやっぱり僕はソフト面だと思っております。
  それと同時に、共同でみんなが何かをつくる、目の前のプロトタイプをつくるということの、高揚感という言葉を使っていいのかどうかちょっとよく分かりませんが、そういうものというのがやはりソフトという観点で重要な要素になってくるんだろうと思っております。物という意味じゃなくて、つくるということに、国際協力でつくるという行為による効果というのが非常に大きいのではないかと私は思っております。

【観山座長】  どうぞ、中田先生。

【中田名誉教授】  ありがとうございます。IDTで特に議論をしたときに、やっぱり基本として、IDTなり、あるいはプレラボなんかがやるのは、本来の使命は、技術的、工学的なものの準備を進めると。それに並行して政府間の間で交渉が始まらないといけない。というのは、プレラボ自身で、「誰が何をやって、どのぐらい出して」というのは、根本的には話し合うところではなくて、それはやっぱり政府間交渉で決められなければならないことであります。
  ただ、政府間交渉がちゃんと進むためには、いろいろな技術的な問題、それから誰が何をできるかという、浅井先生もおっしゃいましたけど、そういうことがちゃんと分かってなければやっぱり政府間の話合いがちゃんと進まないで、それこそ技術的にできないようなことをやり出して何かという、そういうことが政府間で話合いにならないようにするためには、やっぱりプレラボができ上がった、いろいろそういう技術的な問題、それから専門的な問題などをちゃんと政府に上げていって、政府間の間の話合いでちゃんとそれが使えるようにするというのがソフト面で重要だと思います。
  それからもう一つ、信頼関係ということなんですけれども、もちろん素粒子物理では、そういう本当にずっと国際協力を実験のほうではやっていますので、信頼関係自身は当然あると思うんです。ただ、今度はその上のレベルの政府間の話合いになりますと、これはまた別の段階で、政府間の話合いの中でもやっぱりお互い同士、何ができていて、こういうことを考えているかということが進むというのも必要だと思うんですね。それはプレラボ自身ではできませんけども、プレラボと並行して、プレラボが進んでいることが政府間の間でも見えてくることによって、こういうプレラボみたいな形の共同研究をすることによって、ILC加速器までできる可能性があるんだという、そういう信頼感とか安心感というのができ上がってくるんじゃないかと、IDTでは考えています。そういう意味での国際関係での話合いの信頼関係がプレラボの間のそういう実際に研究をしていることで進歩していることを見せることによって進むのではないか。それがソフトの1つじゃないかと考えています。
  以上です。

【観山座長】  ちょっと先ほど浅井さんのお話の中で、プレラボに触れられて、欧米では15億円程度で、日本は数年間で50億円とかとおっしゃっていて、以前の資料では、3-3の質問にもありますけども、230億程度の費用とかというのと、その関係はどうなっているんですか。

【浅井教授】  この15億及び53億ですけども、これは何かというと、今一番重要な部分であります超伝導RFのワークパッケージを進めるための額でございます。
  先ほどの230億円というのは、それ以外のワークパッケージ、額的にも小さいものもありますし、あと、先ほど述べました本部機能の部分も入っております。
  ですので、プレラボ全体というのを進めるに当たってはそれぐらいのコストが必要になります。ただし、もしプレラボというのが難しいということになりましたら、その一部、特に重要な超伝導RFについてのワークパッケージを切り離して進められないかという話があった場合のコストがそのくらいというわけでございます。
  これは各国のレベルでは十分研究所で対応できるようなレベルであります。日本の場合は、そういう意味で、検査システムの分の余計なコストがかかってしまう関係でちょっと大きくなってしまうので、これは経費計算の内部努力ではどうにもならない額というわけです。なので、やはりこれについてはぜひ文科省の皆様のサポートをお願いしたいという次第でございます。

【観山座長】  スーパーコンダクティブRFというのは基本的な部分で、これのフィジビリティが工学的にもエンジニアリング的にも確立するということが非常に重要だと思いますけども、もしもそうだとすると、数年間というのが何年間か知りませんけども、KEK並びに大型科研費を獲得してやっていくという部分はないわけじゃないですよね。まあ、分かりました。どういう意味かというのは分かりました。
  ほかに御質問いかがでしょうか。

【中野委員】  今の質問で、やっぱりSRFのフィジビリティ、リアリティーを上げるということが、この計画のとき、どの程度重要で、それが確立すると、例えば政府間協議、どれだけやりやすくなるのかというのはまだ実感としてつかめていません。僕、ちょっと勘違いしていて、その辺のR&Dはもう既にほとんど終わっていて、お金がぽんと下りれば造れるものだと思っておりましたので、そうではないということだったら、そのそうではないということも含めて、今回の準備研究所のゴールですね、これを示すことによって、やっとここが始まるとか、もうほとんど始まっているんだけど、クリアできなかったこの部分がクリアできるとか、そういうことを分かりやすく挙げていただければ非常に助かります。
  以上です。

【浅井教授】  資料の8ページを御覧になっていただければと思います。2-1のところの最後のほうでございます。今中野先生がおっしゃられるとおり、そこ重要なポイントでございまして、何をするかというと、やはり各国で、そういう意味でつくる技術というのは持っております。ただし、それを、先ほど申しましたけども、エンジニアのレベルでつくって、かつ、世界中、ある意味、別々につくるわけです。英国は英国、日本は日本、米国は米国でつくって、それを持ってきてつなげようと思うとやはりいろんな問題が起こります。
  そういうのをやっていくというのと同時にもう一つ大事なのは何かというと、表面処理です。表面処理の仕方一つとってもいろんな国で違います。表面処理をよくしていくことによって、もっともっと勾配を上げること、勾配だけじゃなくて、Q値を上げることも研究も行っていますので、最低限の今の35メガボルト/メーターというのはもう既に技術的には得られておりますが、それを世界共通で同じようなクオリティーでつくって、それをちゃんと集めてきてつくるということが1つ目の目的でありますし、そのときに表面処理というのを、各国ばらばら、ばらばらと言ったら変ですけども、例えばもっともっと研究していくことによって、より高い勾配を得られたり、より高いQ値を得られることになって、そうすると全体のコストダウンにつながったり、Q値を大きくできることによって電力を削減することができるようになったりします。そういうR&Dと工学的に一緒のものをつくってつないでちゃんと動かせられますよという、そういう2軸の研究を進めていくというわけでございます。

【中野委員】  分かりました。だから、まだそこの辺りは、ILCを進めていらっしゃる皆さんの中にも確信があるわけじゃなくて、そこのところはクリアしないと、各国の政府に対しても本気で計画をお勧めできないというか、自信を持ってお金出してくださいということは言えない、そういう認識でよろしいですか。

【道園教授】  道園ですけど、補足いいですか。超伝導の高周波加速器については、TDR以降に2017年ぐらいから、日米、日欧でコスト削減のための研究開発というのを実施しております。
  TDRのときから10年ぐらいたっておりますので、新しい技術もございます。いわゆる数として、例えば10台とか、それぐらいのレベルではいろいろやっているんですけれども、実際に9,000台のプールをつくるということになりますと、世界の3領域である程度の性能を保証できるようなことを確認する必要があるということです。
  ですので、実験室レベルからむしろ量産を見据えた形で性能が保証できるかというのを確認するのが次の段階ではないかと考えております。
  以上です。

【横山委員】  横山です。御説明ありがとうございます。ちょっと私から感想を1点と御質問を1つお願いしたいと思うんですけど、先ほど岡村先生からスタートしたマルチパーパスというんでしょうかね、複数の目的にかなう研究機構ができるんじゃないかというお話はちょっと違和感がございました。やはりそれに加えて何千億追加しないとまた新たな施設というのはできないわけでありますし、やはり究極の目的は、素粒子から宇宙を理解するということがこの計画の長く議論してきた筋でありますと思うので、マルチパーパスになりますと、ほかの分野の方もぜひ来てくださいというときには、さらに巨額な予算が追加するということが前提になりますので、そこは割と自制的にお話しされたほうが結果的にこの分野の信頼が保たれるのではないかなという印象を持っております。
  例えばスパコンが1,000億強で、地震にも使えるし、物質材料にも使えるしというものとILCは相当違いますし、J-PARCであっても、やはり基本は原子核、素粒子の分野であって、製薬に使えるとはいえ、中性子の部分だけが製薬にどうぞというふうに言っても、やっぱり本来の目的というのは素粒子実験ですので、そこはあまり広げないほうがよろしいのかなというふうな印象を持ちました。感想です。
  もう一つは、私の疑問は、これだけ大きな施設というのは、各国と競争して競り合うようなものではなくて、やはり世界で1つなのではないかという印象は持っております。つまり、FCC計画がどうなるかというのを見極めて、合流するようなことがあってもよいのではないかという印象を持つんですけれども、それにしても基本的な技術設計は十分にできていて、それをエンジニアリングに落としていくためのラボが必要であるという説明は非常に筋が通っていると思うんですが、FCCが、幾つか御説明がありました、技術的には非常に難しいし、さらなる巨額の予算、しかも円形だから、放射光が物すごい出るというような状況において、議論がちょっと落ち着いて、こっちに合流してもいいかなというような話合いができるタイミングというのはどれくらい先になるであろうかというのがお伺いしたい点です。よろしくお願いします。

【浅井教授】  横山先生、ありがとうございます。1点目に関しましては、そこのバランスというのは極めて重要でありまして、本体を見失ってしまっては元も子もございません。我々としましては、やはりやりたいことというのは、素粒子、特にヒッグスの研究でございます。
  ただし、先ほども申しましたけど、世界中からいろんな人が来るんだから、それをやっぱり生かすということも考えましょうというのが趣旨でございます。そこについては、本当に横山先生がおっしゃられるとおりで、バランスを持って進めていきたいと思っております。
  FCCの観点でございますけども、FCCが、フィジビリティチェックのリポートを出すのが2025年になります。2025年の段階でシビルエンジニアリングが相当難しいとか、電力の観点でとかという、いろんな問題が出てきたときに、それを受けて、次に、じゃあ、どうしましょうかというのが、議論が始まって、最終的には2027年のヨーロピアンストラテジーのさらなるアップデートで、ヨーロッパが次期計画としてどうするのかということが決まります。
  そのときまでにある意味ILCというのは、プレラボがちゃんと立ち上がって実質的になっていたら、ヨーロッパの人は、じゃあ、やっぱりこういうFCCのような巨額なコストを出すよりは、日本を信頼してILCという形で将来計画をやろうとなります。自分たちは、次世代、さらにその次の次の超高エネルギーの加速器を造るための超伝導磁石の開発とILCとを主軸に据えましょうという答申が、どういうものになるのかというのは今の段階では何も言えませんけども、そういうことになってくるだろうと思います。
一方、一番困ったシナリオというのは、そういう意味で、FCCもなかなか難しい。しかし、ILCも何となくはっきりしない。こういう状態に2025年の段階でなっていたりすると、やはりそういう意味でこのコミュニティーというのが将来が見えなくなってしまうというおそれがあります。
  そういう意味で、やっぱり2025年までにはこのプレラボというのをしっかり立ち上げて、もちろん最終的なお金の合意というのはもっと先になってしまうかもしれませんが、やはりそういうある意味コストの最後の詰めができているような、そういうレベルになっているということが大事なのではないかと思っております。

【横山委員】  ありがとうございます。タイムスケールが、2025年でフィジビリティスタディーが出て、2027年のヨーロピアンストラテジーに載るかどうかという、これくらいのスケールで動いているときに、ILCがプレラボ、名称はちょっとどうであれ、エンジニアリングに落とすところをきちんと進められるというのは私自身は大変よいのではないかなという印象を持つんですけれども、その際にも、サイトによらないというんでしょうかね、どこに造るかはちょっとさておき、世界で1つの大型加速器。私、多分その時期になると今よりもずっとグリーンの話が厳しくなると思うんです。だから、これだけの巨大電力を使う実験というサステナビリティーを考えると、やっぱりそこの点がヨーロッパですごく批判が強くなるんじゃないかと懸念するんですね。
  なので、やっぱり2つあるということはちょっと考えにくいのかなといったときに、でもCERNなどの基盤も使いながら、この分野が継続して発展できるような道を模索していただきたいなと感じておりまして、ぜひFCCの周辺の議論ともマージしながら進んでいただけるとありがたいなと思った次第です。
  以上です。ありがとうございます。

【観山座長】  横溝先生。

【横溝座長代理】  横溝です。ちょっと準備研究所の話に戻るんですけども、このプロジェクトで準備研究所をスタートするというのは、政府間合意を行うことで、ゴーに向かって動き出すような印象を持っていたのですけども、先ほど浅井先生の説明だと、大きなR&Dは国のサポートがないとできないけど、国のサポートなくても小さい研究に関しては、もともとこれ、研究機関の間での取決めでやるので、一部分やっていくような、そういう説明があったと思っています。その研究内容は準備研究所としての活動に当たるのではないでしょうか。準備研究所を設立しなくても、かなりの部分は、準備研究所でやるべき研究開発が進められるのか。その場合には、政府の決断がなくても準備研究所という活動が実質的にはやっていけちゃうのかどうかということがちょっと気になったのですけども、いかがでしょうか。

【浅井教授】  御指摘ありがとうございます。2つありまして、2つというか、3つぐらい要素がありまして、準備研究所でやることというのは、1つは、加速器をさっき言った工学設計へ持っていくという作業でございます。そこに関しましては、そういう意味で、準備研究所という形か、形でないかは別としまして、政府の強い決定がなくても進んでいくことはできます。
  ただし、残り2つの要素がありまして、1つは、コストを最終的に決定する上で、やはりサイトという問題は、不可欠でございます。このサイトというものを、ある程度日本でやりましょうかということを前提として調査するということをやっぱりしなければならないので、そういう意味で、ある程度、日本に建設するということを前提として、しかもサイトもある程度、最終的にそこで造るかどうかというのは別問題として、ある程度サイトを絞って土木の研究もしなきゃなりませんし、最後そういう加速器を集めてつないだりとか、そういう作業をするときも、やはりある意味最後はサイトまで決まってないといけないので、そういう作業をする上では、やはり日本に誘致するということを、最終的決断までいかなくても、ある程度腹ずもりをしないとそのステップには行けないと思っております。
  もう1個の役割としまして、やはり政府間の交渉という話のときに、どこに造るか、全く前提がないままお話をしようと思っても、これはやる気のないお話になってしまうので、やはりある程度日本がイニシアチブ、もちろん最終的に造るかどうかは分からないけれども、日本が前向きですよということは前提としなければならないと思っております。
  そういう意味でプレラボのタスクというのの3つのうちの1つ、加速器の工学設計の部分だけはある程度はデカップルできますが、残りの部分については、やはりそれなりに日本が誘致に前向きであるということが大きな前提になっております。

【横溝座長代理】  ありがとうございました。

【横山委員】  横山です。今の回答に私のさっきのコメントと加えたいと思うんですけれども、サイトを前提に、じゃあ、プレラボよろしくと言われたら、やはりそれは何度もここで議論が難しかったように、前になかなか進まないと思うんですね。なので、サイトの研究は後回しにして、加速器周りのことから先に進めるというほうが現実的だとは思うんですけれども、それは横溝先生の御懸念にも対応するようなことかと思うんですが、全部同時にスタートさせてください、だから日本がサイトですということではプレラボの議論というのはなかなか進まないと思いますけども、この点いかがでしょうか。

【浅井教授】  そこはおっしゃられるとおりでございまして、サイトまで決めてしまってということになっちゃうと、やはりゴーになってしまうという懸念が委員の皆様の間で非常に強いというのは前回、前々回を通じまして私も感じております。
  その点に関しましては、横山先生がおっしゃられるとおりでございまして、もしやっぱりそこが、大臣答弁もあるし、大きな判断が今の段階でやはりできないということになりましたら、3つのうちの加速器の部分だけ切り離して、本体はちょっとさておいてというか、プレラボ自体は少し保留してでも、一部を切り離して前に進めさせていただくということが、これは国際的にも重要なことかなと思っております。

【横山委員】  ありがとうございます。

【神余委員】  すみません、神余です。今お話聞いていまして、ちょっと何か迫力、気迫がないなという感じがします。恐らく日本がぐいぐい引っ張っていって、覚悟してやるという腹を示さないとなかなかついてこない部分が多いんだろうと思うのです。ヨーロッパも決めかねているし、アメリカもリップサービスはしているようですけれども。ですから、日本が本気になって、サイトも含めて、あるいはプレラボも含めて、自分が大半を引き受けてやるのだということを示すぐらいの気持ちがないと、恐らくヨーロッパ勢もついてこないと思います。これから、プレラボをつくってみて、それで交渉に役立てるという、やってみないと分からないみたいな、やればもう少し説得力が出てくるかもしれないというような感じでやっていると、国際交渉も気迫が全く感じられないわけです。
  ですから、これは採算度外視しても、素粒子科学の発展にとって本当に大事なことだから、日本が率先してやらない限りできないというぐらいの気迫と気構えがないと引っ張っていくことはできないのではないでしょうか。
  それを230億円とかでプレラボをやってみて、うまくいけばそれでまた説得力が出てきます、ということを言っているような段階ではいかがなものでしょうか。今、日本国内において、日本学術会議においては、ILCのプライオリティーはないということになっていると聞いています。
  ですから、それをひっくり返そうという話になると、そんなことを今ここで議論しているような状況ではとてもひっくり返すことはできないだろうし、ましてや政府がぐいぐい引っ張っていくということにはどう考えてもならないと思うのです。
  ですから、皆さんのやっていることは大変重要なことだし、極めて大事なことだと思いますが、予算のところでもそうですけども、新しい科学技術予算の獲得を前提としてやるんだということを言っていますけれど、ではどうやってそれを獲得するのかというと、誰かがやってくれる、そういう感じに聞こえてくるわけです。
  ですから、予算も取ってくるということも含めて、研究者コミュニティーがもっと迫力を出さないとなかなか難しいのではないでしょうか。まだこんな段階かという感じはします。

【浅井教授】  どうも本当にお叱り、ごもっともでございます。どうもすいません。そこは本当にそう思っております。我々がやっぱ強く進めていかなければならないと思うこともございます。
  ただし、やはり非常に大きなプロジェクトであるということも確かですし、ちょっと言葉は悪いですけども、一か八かで勝負しましょうということをやることもやっぱり非常に危険でございます。
  だから研究者としましては、やはりこれぜひ造りたいと思っておりますし、こういう予算というのを獲得していって、全体を増やしていこうというふうには思っておりますし、そういう働きかけというのをいろんなところにしていることも確かでございます。と同時に、やはり、かといって0か1かということだけをしておりますと、現段階で長い間進まなかったということも現実問題としてあるわけで、進めるということが今大事でありますので、そういう意味で、ちょっとこういう話になったのは、それである。ただしプレラボというのは、これはどういう大きいプロジェクトを進める上でも不可欠でございます。ITERを例にとりましても、ITERもちゃんとこういうものをつくって、いわゆるR&Dから詳細工学設計へ持っていくという、こういうフェーズを経ております。だから、我々としましては、正しい手順に則って、今回プレラボというのを提案しております。そのプレラボの中で、最終的なコストの合意というのを目指すというのが今回の我々のもともとの目的でございます。
  それに比べて少しトーンダウンした1つの理由というのは、3月の文科大臣の答弁というのもございまして、やはり現段階でプレラボというのを認めることはできないというような大臣答弁が出たということもこれ事実でございます。
  ですので、プレラボだけという戦略で臨むというのも、我々としては、気持ちはいいですけども、それは国際コミュニティーに対する無責任な行動であるというふうに私は思って、今回、1つ、こういう可能性もあるのではないかということのお願いも含めてしております。不退転の決意で臨むということに関しましては、そのつもりでおります。
  以上でございます。

【観山座長】  ちょっと時間が来ましたので、まだまだ質問とかコメントはあると思いますけれども、事務局にまた追加の質問とか委員のほうからありましたら、出していただいて、答えていただくという形にしたいと思います。
  今日はどうもありがとうございました。時間の限りがありますので、追加質問については、直接の意見交換はこれで終了いたしたいと思います。提案研究者の先生の方、どうもありがとうございました。御退室ください。
  最後の点、ITERに関しては、プレラボ的なものが造られたと思いますが、これは政府間協定に基づいた状況だったと思いますので、ちょっと今回の状況とは、今回は組織間で協定してというので、ちょっと状況は違うと思います。
  それでは、議題2、欧米の最新の動向について、文科省に説明をお願いしたいと思います。

【坂本大臣官房審議官】  審議官の坂本です。右下の通し番号32ページの資料2を御覧ください。欧米の政府の最新の動向について御説明いたします。
  欧州は、フランス、ドイツ、イギリスですけれども、米国、日本を加えた5か国でILC計画に関する意見交換を10月に行いました。さらに、その後、各国等とコミュニケーションを行いまして、各国政府のILCに関するスタンスを整理いたしました。
合意された整理の結果というのは、参考2の参考資料、右下の通し番号の33、34、35ページの英語のサマリーがこの結果でございますが、ポイントを32ページの資料2で御説明をいたします。
  まず、ヨーロッパでございます。フランスは、現在国内のロードマップを改訂中で、2022年に公表予定でございます。
また、欧州研究インフラ戦略フォーラム、ヨーロピアン・ストラテジー・フォーラム・オン・リサーチ・インフラストラクチャーズ(ESFRI)については、ロードマップも改訂中で、これは今年末に公表される予定ということでございます。これらについてILC計画が含まれることはないということはフランス政府から伝えられております。
  財政面については、様々既に走っている国際的なプロジェクトへの対応により非常に厳しい状況であると。このため、現時点においてILCへの投資は全く考えていないということが伝えられております。
  そして、CERNのフューチャー・サーキュラー・コライダーについても慎重に見ていると。複数提案されているヒッグスファクトリー、この中にILCも含まれると思いますが、についての国際的な議論が必要だという問題意識も伝えられております。
  さらに、これに関連しまして、今のフランスのFCCについても慎重ということ、あるいは、先ほどの提案研究者の方々の追加質問に対する回答、資料1にございましたが、右下の通し番号16の2つ目のポツを御覧いただきますと、FCC-eeを建設する場合というパラグラフが回答の2つ目のポツにございます。ここで、CERNの現状予算ではトンネルなどの土木関連資金はないと。トンネル建設費は現在6,000億円、あるいはそれ以上と見積もられているということ、これらの記述に関連する動向として御説明をいたします。
  フランス政府においては、あるいは議会において、FCCのコスト問題については、2019年にフランス政府の会計検査院がフランス議会上院の財政委員会で大規模な研究インフラの計画に関する報告書を提出しております。その中で、将来の加速器計画についても検討状況が言及されてございます。会計検査院が提出した報告書によれば、FCCの費用は約200億から300億ユーロになると考えられていると。フランス政府高等教育・研究・イノベーション省、MESRIは、フランスの負担率をこのうちの12~15%程度と見積もっており、支援は困難であると思われると会計検査院の報告書には書かれております。
  さらに、現在のCERNの財政枠組みの中で大まかに計算をすると、建設段階においてフランスの貢献率が3倍から5倍に増加する可能性があると。MESRIはこのコスト増を受け入れることは困難であるということが記述されているということでございますので、申し添えます。
  以上がフランスの状況でございます。
次、ドイツでございます。ドイツは、ILC計画の科学的可能性は認めると。しかしながら、さらにILC計画を議論するためにはコスト面のより明確な情報が必要であるとしております。国内の財政余力はほとんどないということでございます。
  国内のロードマップの改訂が来年開始されるということで、2024年に公表予定だということでございます。ドイツに相当の負担が期待されるのであれば、ロードマップに組み込まれることが必要であるということでございます。
  ホスト国によるILC計画への優先順位づけがない中で、現状ではILC計画をドイツ国内で優先することは難しいということがございます。
  ドイツについても補足説明をさせていただきます。財政的余力がほとんどないという状況に関してでございますけれども、ドイツでは現在、ヘルムホルツ研究所の重イオン研究所、GSIにおいて、反陽子イオン研究施設、FAIRという加速器施設が造られております。これは2017年から建設を開始し、2025年から運転開始を予定されておりました。ドイツ、ロシア、フランスなど9か国が参加しておりますが、2015年当時、当初の予算見積り、コストキャップは12.6億ユーロで、このうち、ドイツが69%、ロシアが17%、その他の国々が0.5~3.5%負担という状況でしたけれども、GSI、重イオン研究所のホームページによれば、現在の総額は31億ユーロとされています。かなりの費用の増加が発生しているとの情報がございます。
  また、完成予定は2027年と2年の遅れが生じているという状況、こういったこともあるということも申し添えたいと考えます。
  次、イギリスでございます。イギリスにおいても、最新の欧州の素粒子戦略に基づく既存プロジェクトが優先されていると。また、他国と同様に、英国の財政事情もコロナ対策により逼迫しているという状況でございます。
  本年の11月、まさに今月ですけれども、予算審査プロセスがあり、今後3年の政府予算が決定されると。日本がILCを進める意思を明示することは英国にとって役立つだろうということでございます。
  国内ロードマップは現在改訂中だということでございますが、ILCは将来参加するかもしれないものだということですが、現状ではILCを議論することは大変難しいということが伝えられております。
  最後にアメリカでございます。アメリカについては、日本の誘致表明を前提に準備研究所段階に進むことを引き続き支持するという従来と同じポジションを表明しております。準備研究所期間中に国際費用分担などの課題が議論されるべきだと。
アメリカの貢献度のより詳細な検討、あるいはアメリカ国内の予算プロセスのためにも、ホスト国がリードして、国際協力の下での準備研究所のプロセスの開始が必要だと。
  政府間協議を進める枠組みとして、IDTの提案書に示された枠組み、あるいは政府と関係機関で構成される暫定会議などをつくることが考えられるということが伝えられております。
  文科省からの説明は以上です。

【観山座長】  どうもありがとうございました。今の各国の状況についていかがでしょうか。
  要するに、欧州は、フランスをはじめ、資金的な状況、FCCでさえも全然話にならないというか、厳しいという状況で、ちょっとILCを考えるのがなかなか難しいということです。米国は以前と同じように、日本がとにかくやるというような状況があればサポートしたいというような状況ですよね。
  何か御質問ありますでしょうか。

【神余委員】  神余です。御説明ありがとうございます。今観山先生がおっしゃったような状況で、私もこれ見て随分現実的には厳しいなという感じを受けています。特に、フランスはそうですけども、本来引っ張っていくドイツでもそのような状況で、まして今回の政権交代が効いてくるわけです。今まではメルケル首相が、自ら物理学者ということで、こういった科学プロジェクトには大変大きな関心を示して、科学技術というのは予算の重点配分の1つの対象になっていたわけですね。しかし、これが今度は緑の党も入ったSPDを中心とする連立政権になります。そうすると、おのずと大きなプライオリティーの変化がこれまで以上に起こってくると思います。ましてコロナからの経済回復ということを考えると、恐らくヨーロッパ諸国はおしなべてここ2、3年は、恐らく新しい大型のプロジェクトをする余裕がないのではないのかと思わざるを得ません。
  ですから、CERNのFCC-eeを、何とか実現させることに主眼点を置いていかざるを得ないと思われます。しかし、それすら分からないという状況ですから、ILCもFCC-eeもどっちもできないという可能性がひょっとしたら高いのではないかという感すらしております。そういう意味で、もしILCをどうしてもやっていくという話であれば、ヨーロッパ等に頼ることではなくて、さっきのドイツのプロジェクトの話ではないですけれども、日本が6割、7割ぐらい負担する覚悟をしない限り、かなり難しい状況にあるのではないかと思います。
  それでお伺いしたいのですが、アメリカは一体何を考えているのかよく分からないのです。日本にやれと言ってみたり、かといって自分が大きな財政負担をするというコミットもできないし、要するにリップサービスをしているというだけなのではないかという気がするのですが、その辺はどうですか。

【坂本大臣官房審議官】  ありがとうございます。ちょっとここはなかなか、アメリカのこれまでの立場はずっと一貫しておりますので、一貫している基盤にある事情がどういうことなのかということについてははっきりとは分かりません。スノーマスプロセスの話もございますけれども、非常に関心を持たれている研究者の方々は、コミュニティーはそれなりに存在して、DOEもそことインタラックションをしているということは分かるかと思います。以上です。

【観山座長】  米国では非常に著名な研究者が随分サポートをしていますが、私の印象では、日本というよりは、アメリカの政府にもっとはっきりと具体的に貢献策を出せと言っていただければ、すごいサポートになるのに、日本にやれ、やれと言ったって、それは難しいですよねという感じなんですけどね。
  ほかにいかがでしょうか。徳宿さん。

【徳宿委員】  情報ありがとうございます。どこの国も非常に財政は厳しいのであるということはまず実感しました。
  1つまずコメントとしては、フランスのFCCのお金に対して、非常に巨額であって難しいと言ったのは、先ほどおっしゃったように、2019年の報告ということで、これは多分、この前のヨーロピアンストラテジーのアップデートの前のときにFCCをそこでどのぐらい議論させるかということのお互いの引っ張り合いとかというのもあって、決して甘くないぞというメッセージを出したんだと思います。
  その数字は多分その時点では正しいと思いますが、浅井さんとかが言ったように、2025年に向けてのコストエスティメーションというのはこれからまた変わっていくんだろうと私は思っています。ただ、おっしゃるように、非常に巨額なお金であるというのも確かで、つくるのが非常に難しいというのも確かだと思います。
  あと一つ、もう一つ忘れてはいけないのは、これやっぱりヨーロッパだけではできないので、FCCに移るとしても、やっぱり全世界に貢献を求められるということになりまして、そういう意味ではFCCをやる場合でも、たしか今回の当事者側からの説明にもありましたように、日本にも強く貢献を求められることになるだろうということはあると思います。
  もう一つは、英語の議事録で見ますと、確かにどの国も余力はないというのは分かって、書かれていますけれども、僕が2つ大事なこと、それぞれ言っているなと思ったのがありまして、1つはやっぱり、ホストがイニシアチブをとってほしいというのは、アメリカだけではなくて、全ての国が言っている。つまり、ホストが何かやるよというより私たちが先に言うことはないよというメッセージを出しているんだと思います。
  だから、文科省のほうで今回、今の環境で交渉に当たるというのは非常に大変だったとは思いますけども、やはりこちらから何か出していくということをやった交渉じゃないと難しいんだろうなということが一つ私の感想です。
  もう一つの感想は、それぞれの国がやっぱりこれから大きなお金に対してロードマップを作って動くので、タイミングが大事ですよと、そんなに長く議論を延ばせませんよというようなメッセージが各国のメモにあるような気がします。
まとめますと、やっぱり日本からきちんとしたコメントを早めに出してほしいということを言っているのではないかというような気がしました。
  それで彼らがイエスと言うかどうかというのはまた別な問題ですけれども、そのメッセージは多分非常に重要に取らなくてはいけないんだと思います。
  それで、もう一つは、前の有識者会議の分科会だったとは思いますけれども、ほかの国際協力がどうなっているかというので、E-XFELですね、ドイツでやったやつとか、始めるときにどうしたかというのをもう1回思い出しますと、あのときには、やはりドイツがやる、ホストする、と表明した上で、最初に準備協議をみんなでやるから参加してくれと。プロジェクトに参加してくれじゃなくて準備協議に参加してくれという形で始めたんですね。
  それからアクションが始まったというところがある。やっぱりホスト側から何か言わなくちゃいけないというのは神余先生の言うとおりだとも思いますので。ただ、今回、ILCの場合には非常にお金が膨大なので、最初からE-XFELと同じようには言えないとは思いますね。
  ただ、これ、僕の感じだと、ILCの準備のためのやつをやるのに、協議をしよう。だから、まず準備段階、それがプレラボというものかどうか分からないんだけども、それに対して協議するので協議しましょうと言って、協議期間の間にILCについてどうするか決めましょう。そういうような2段階でやるという形で日本がイニシアチブを取ってやれば、各国の言うこともちょっと変わるのではないかというのが僕がちょっと考えた印象です。もしかするとナイーブかもしれませんけど。
  以上です。

【観山座長】  国際協力というのは、どこかが確実にやると言わないとなかなか進まないというのは事実で、そういう面で、ILCに関しては、日本が相当なコントリビューションを研究者組織としてはしたいというのはよく分かるんですが、ただ、では、日本がこれをやるというふうに言えるかどうかというと、日本の現状を考えたときに、これは数億でできるような話だったら違いますが、やっぱり1兆円近い話だとすると、日本が今抱えている問題のプライオリティーというものがどういうものかということを考える必要あると思うんですよね。やっぱり今の状況では、このパンデミックだとか、少子化とか、地球温暖化だとか、SDGsだとか、研究力低下だとか、そういう問題がある中で、これが、本当に日本が将来を託すような大きな課題なのかという部分は説明される必要もあると思います。そういう社会的な動きを動かしていかないと、なかなか政府としてもこれをやりますというふうな形には言えないんだと思いますけどね。研究者として、どこかとにかく早く具体的に手を挙げてほしいというのはよく分かります。
  ちょっとまた時間が押してきましたので、議題2についてはこれぐらいにして、これについてもいろいろ質問が出てきましたら、文科省のほうに、事務局のほうに出していただければと思います。
  議題3として、全体を通じた議論です。これまでの提案研究者側の意見交換や欧米の動向などを踏まえて委員間で議論いたしたいと思いますけれども、まず事務局より議論のポイントについて説明をお願いできますでしょうか。

【石川素粒子・原子核研究推進室長】  そうしましたら、事務局のほうから資料3と資料4について簡単に御説明させていただきます。
  資料3につきましては、この後の議題3の全体を通じた議論の参考、参照いただくように、第1回から第3回までの主な意見ということで、委員の先生方からいただいておりますコメントですとか質問などを大きくある程度分類してまとめさせていただいております。
  今も議論が出ておりますけど、1つ目が、国際的な研究協力及び費用分担の見通しに関連した御意見、2つ目が、学術的意義や国民及び科学コミュニティーの理解に関連した御意見、3つ目として、技術的成立性及びコスト見積りの妥当性に関連した御意見、あとその他ということで、人材確保・育成に関する御意見ですとか、ILC準備研究所に関する御意見、また、今後の進め方に関連する御意見ということで、これまでいただいてきた御意見をまとめさせていただいておりますので、この後の議論の際にも参照いただければと思います。
  続きまして、資料4でございますけれども、本日御議論いただきたいポイントということで1枚用意させていただいております。この有識者会議を再開するに当たって、準備研究所の提案書ですとか、国内の研究者から提出されましたこれまでの主な課題に対する対応状況に関する報告が公表されてございますので、それを踏まえて、大きくポイントとして3つ挙げさせていただいております。
  1つ目は、ILC計画に関してこれまで議論されてきた論点ということで、先ほども資料3で申し上げましたが、①として国際的な研究協力、費用分担の見通し、②として学術的意義や国民及び科学コミュニティーの理解、③として技術的成立性の明確化及びコスト見積りの妥当性、④としてその他について、大きく1つ目のポイントとして、進捗、進展が認められるかどうかというところ、2つ目として、準備研究所の提案書に対する考え方として、サイト誘致との関係ですとか国際協力の見通し、関係各国内の検討状況などを踏まえて、準備研究所の提案書に示されたILC計画の進め方が妥当なものと考えられるかどうかといった論点、そして、最後全体を通して、前回の報告書からの約3年間のILC計画の進捗をどう評価するかというところと、また国内外の素粒子物理戦略、大規模学術研究プロジェクトとILC計画との関係についてはどのように考えていくべきかと。こういった論点について御議論いただければと思っております。
  簡単ですが、資料の説明は以上でございます。

【観山座長】  あと20分になって、10分か15分ぐらい、どうしても延びるのではないかと思いますが、予定がある方は申し訳ありません。5時15分ぐらいまではかかるのではないかと思います。
  まず資料4に従って、いかがでしょうか、まず1番、ILC計画に関してこれまで議論されている論点、これは国際性とか、学術的意義とか、技術的な成立性がありますけども、どうでしょうか、3年間で、進捗とか、どうですかね。何かあまり変わってないような気がするんですけどね。もちろん学術的な意義はもうちょっと分かりやすく資料をお願いしたいと思いますけども、国際的な研究状況とか費用の分担に関しては、この前もそうでしたけども、日本がはっきりしたコメントを出さない限りは、各国とも、協力者側が先に言うことはないということとか、特にヨーロッパは、本当に厳しい状況がより鮮明になったという状況ですよね。何か御発言とか、御意見とか、質問とか。熊谷先生。

【熊谷委員】  熊谷です。ILC計画で、ヨーロッパ、それから米国、アジアといって日本という3極になっているわけですが、加速器に関して言うと、例えば先ほどGSIの話でもロシアが協力しているという話がありましたし、中国もFCCと同じような計画を考えているということもあるようになっていて、いいか悪いかは別として、グローバル、世界で唯一のたった1つの加速器、大きな大規模な加速器を造るのであれば、中国とか、ロシアとか、ここに入ってない枠組みというのは考える必要はないのかな、考えたほうがいいのかなという感じもするんですが、これは難しい話なんですかね、政府間の間でというと。

【観山座長】  文科省は何かそういうところからの情報というのは今までに得られているんでしょうか。

【坂本大臣官房審議官】  今まで、国際的な研究者のコミュニティーの中で議論されている協力関係、あるいは進められている協力関係をベースに意見交換をしておりますので、新しい国を入れるということが、政府間の意見交換、あるいは、それぞれの政府内の考え方にどのような影響を及ぼすかというのはちょっと分からない状況です。
以上です。

【横山委員】  横山です。今の熊谷先生の御質問にちょっと関連するかなと思うんですけど、中国に関しては、やっぱり国際協働をやりたくないみたいですね。素粒子関係のほかの実験に関しても、単独で今は自分たちの技術を確立したい時期みたいで、そもそも国際コラボレーションに組むということ自体を、逆に黒船に乗り入れられるみたいな感触で、嫌がっているというようなことです。ほかの実験でも聞いたことがあります。全体的にそういうことなんでしょうかね。徳宿先生の方がお詳しいかもしれませんが。

【観山座長】  徳宿先生、どうぞ。

【徳宿委員】  まず最初に、加速器の研究者レベルでは、ロシアの研究者や中国の研究者ともみんな一緒にやっております。いろんな協力関係というのがあるというのがまず1点です。
  その中でやっぱりプロジェクトとして議論するときに、国際協働をやっていくときにまず鍵になる国ということで、多分この4か国から始まっているんだと私は理解しています。当然ここに限ったわけではなくて、その後拡張していくということが念頭にあるのではないかと私は思っています。以上です。

【熊谷委員】  これは実際に中国でCEPCの周長100キロぐらいのマシーンを実際にどこに造るかという計画まで進んでいますよね。それにいろんな外国の研究者も関与、協力しているという枠組みがあるわけですから、確かに中国は宇宙も自分のところで全部抱えてというのはありますけども、どうなんですかね。本当にこういう純粋科学のところで、やっぱり自分のところで、国威発揚ではないのかもしれないけど、そういう面が大きいと思う。自分のところで全部を造りたいということなのかどうかというのは、多少余地はあるのかなという感じはしないでもないですが。

【観山座長】  天文学の分野では、一応アメリカ、日本、中国、インド、カナダかな、でつくろうという計画、ちょっとそれはほかのことで頓挫していますけども、一応、中国は仲間に入ってきますが、分野によってはやっぱり、スペースなんかは、完全に中国だけでやると云う感じですかね。そのスタンスはちょっと分かりませんね。

【徳宿委員】  先ほども言いましたように、研究という意味では、国際的に中国のメンバーも入っていますし、ロシアのメンバーも入っているということだけは伝えておきます。

【観山座長】  ほかに1番目の、学術的意義や科学コミュニティーへの理解というのは、これはあまり進んでないというか、学術会議での意見もあったりしますが、ほかの分野にどれだけの説明がされているのかというのはよく分からないですね。

【岡村委員】  ちょっといいですか。今、私、そこを発言しようと思っていました。僕は観山さんとはちょっと違った印象かもしれませんけど、意義については、以前の第1期のときからこの3年間で説明の仕方は割と意義が分かるような説明にはなりつつあると思っています。でも、明確であるかどうかと言われれば、それはそうでない。それは人によって明確さが違うのかもしれません。
でも、2番目の科学コミュニティーの理解、国民の広い理解・支持と、これは確かに全く進展がないと思っていて、私が何度か発言している、いわゆるファシリティー化とか、新しい技術イノベーションの種にもなるというような発言は、これが唯一もしかしたら今後何か国民の理解・支持を少し広めるきっかけになることかなという気がしています。
  もちろん横山委員が言われるように、本末転倒したら意味はないんですが、やはりこれだけの規模のお金がかかる計画を、素粒子物理1点だけでやっていこうというふうにしたら、今後も国民の理解は十分得られない気がして、いわゆる科学全般、それから文系も含めた文化的な価値とか、そういうものまで含めた議論を展開しなければ、国民の理解が進歩する手がかりがないような気がしています。そこのところはやっぱりこれから少し変わるのではないか、あるいは変わるように我々がサジェスチョンをすることはできないかと考えたらいいんじゃないかと私は思っています。以上です。

【観山座長】  ありがとうございました。いろんなビームを出すとか何とかというのは、多分コストは2倍ぐらいになるのではないかと思いますけど。

【岡村委員】  まさにそのとおりです。コストとの兼ね合いでもありますが、それはこれからデザインするというふうになっていて、基本的に、当面のコストは僅かと書いてありますが、それは分かりません。ですから、本当にそういうことを考えているんだったら、プレラボじゃないですけども、こうこうこういうふうにできるんだという具体的なイメージとコスト増とか、順次展開していく将来性の展望だとかを、分かりやすく書面化するというアクティビティーをまず始めるということはとても重要じゃないかなという気がしています。

【観山座長】  ほかに。伊地知先生。

【伊地知委員】  伊地知です。よろしいでしょうか。多少これまでの御発言と重なるところもあろうかと思うのですが。科学コミュニティーの理解、それから、国民の広い理解・支持についての進展ということで、ほかの委員の先生方が観察されているところと同様かと思いますけれども、この技術が持っているところの周辺に関わるところでの参画等に関しては言及がされているとは思うのです。ただ、この想定される予算の規模ということを考えた場合に、御説明では、他の分野には影響を予算面では及ぼさないはずであろうと、そういった形ではお話をされていると思うのですけども、しかし、今や日本の政策の体系の中でいうと、人文学、社会科学も入ってきているという中で、人文学、あるいは社会科学も含めて、このことについてどれだけ理解されているのか。決して全てというわけではないとは思うのですけれども、例えば、本当に一例で、例えば国文学であるとか、あるいは社会学だとかという、そういった研究者の100人に1人でも、例えばILCのことについて知っている方が出てくるだろうか。あるいは国民についても、議論されているようなサイトとかと全くかけ離れているところの100人に1人でもこのことについて御存じだろうかというようなところ、あるいはそこにリーチしていくような取組というのがあるのだろうかというように、伺いながら、資料を拝見したりしていたところです。そこはまだまだなのかなと見ているところです。

【観山座長】  ありがとうございます。では、ちょっと次の課題で、プレラボの提案書に対する考え方はいかがですか。
ITERの場合には政府間の協定がしっかりあって、それでまず大型プロジェクトなので、こういう仕組みを、プレラボみたいな仕組みをつくってやっていくという、要するに政府間協定がある上での今後のエネルギーの問題に対して各国が進めていくのに対して、私も手を挙げなきゃという感じだったわけですが、230億のR&D研究所というのは、今の日本のシステムで、悪く言えば、R&Dをやって駄目だったというときに230億は無駄になるんですかとか、そこら辺はどうですかね。これだけのプロジェクトなので、こういうシステムをしっかりやるために研究をしなきゃいけないということは重々分かりますけども、日本の仕組みの中で可能なのかどうかという感じがしますよね。徳宿先生。

【徳宿委員】  観山さんがおっしゃる最後のところ、やっぱりこれ、非常に大きなプロジェクトなので、これを進める前にワンステップあるというのは多分非常に大事なんだと思うんですよね。そういう意味で、全体が6,000億とかのものに対して、最初にこういうものをやって始めるというのは、私はやっぱり重要なんだと思います。多分それをやるときに、やっぱり国際的な話合いをするということで、ILCの実際の国際的な議論をする1つのステップになるという意味でも多分重要なんだと思います。
無駄になるかというのに対しては、多分浅井先生がおっしゃっていたように、加速器技術に関してはほかにも応用できるというのがメッセージなんだとは思います。それをどう評価するかというのはもちろん我々の議論だとは思いますが。

【観山座長】  だから、230億というお金は、高エネルギー分野としてはそんなに大きくないのかもしれませんけども、ほかの分野から考えると、巨大な研究所を1つ造る。大きなプロジェクトでそれを進めるという額ですよね。科研費の大型で10億円ぐらい取って、それで技術開発をするとかいうのは許されるとしても、準備研究所では、獲得する目標が、それだけですばらしくいい獲得、技術的、学術的にするものがないと説明つかないのではないでしょうか。我々の分野でいくとすばる望遠鏡1個造るぐらいのお金ですからね。こういうやり方ができるんだったら大型科学の推進のためには非常にいいとは思いますけど、難しいような気はしますがね。
  徳宿先生、どうぞ。

【徳宿委員】  何度もすみません。今回の資料の全体での13ページ、回答のところの12ページのところに書いてあるように、科研費とかでやれないかというのの回答に対して、多分技術的なことを科研費とかでやるレベルというのはもう既にできているというのが多分回答なんだと思うんですね。ここからやるのはやっぱり工学レベルに高めるところというので、それは科研費のネタには逆に言えばなかなかならないところで、そういうところを多分何千億のプロジェクトをやるときに、最初にやるかどうかの前に投資しなくちゃいけないのがこのぐらいのコストなんだろうとは思います。
  ただ、今回の議論の中で、230億が本当に要るかというのは精査すべきだし、場合によっては、サイトとか切り離したところだけやるというオプションがもしかすると大事かもしれないですけれども、何らかやっぱり科研費とかでできない額のところをやらないと次に行けないんだというところはあるんだと私は理解しています。

【観山座長】  まあ、そうでしょうね。

【神余委員】  すみません、神余です。恐らくこれはそういう科研費とか、既存の予算を何とかやり繰りしてやっていこうという発想では全くないんだろうと思います。15ページにもありますけれども、要するに、従来の学術予算は前提としておりませんと、あくまでエキストラでやってほしいのですということをはっきり言っているわけです。そうしないと、従来の予算でやれば、当然ほかの分野を侵食していくわけです。ですから、他の科学コミュニティーの反感を買いたくないということははっきり研究者の方々はおっしゃっているわけです。
  そうすると、エキストラに予算を取ってくるしかないという状況の中で、プレラボも含めてやっていくことが本当にできるのかということですけれども、ワクチンも、やってみないと分からない部分があって、失敗したり、予算をつぎ込んだけれども結局駄目だったというのは、これはあるわけですね。ですから、そのこと自体については、こういう大規模な計画でも、見通しが分からないから難しいということには必ずしもならない。規模はものすごく大きいですが、結局今の日本の置かれている立場と、日本国民の置かれた状況、あるいは安全保障、そういったことも含め、これは本当に今やらないと駄目なのかというプライオリティーの問題になると思います。その観点からは、かなりプライオリティーが下がってくるということになるのではないでしょうか。結局そこの問題なんですね。ですから、エキストラに予算を取ってくるというのが突破できないと思うのです。そこのジレンマに当然これは逢着しますので、そこのところが恐らく一番難しい点だと思います。

【観山座長】  ありがとうございました。だから、他の研究を圧迫する予算にならないというのが、どういうめどが立っているのかというのが、追加で聞きたいところです。めどが本当にあるかというのは、さっき言ったように、日本の今のプライオリティーが、どういう政策的に考えているかですよね。ワクチン、多額の経費が必要だったという話ですけれども、それだと国民は十分納得するわけですよね。それは我々の生命を守るということでいうことですから。ほかに例えば温暖化だとか、少子化だとか、SDGsだとか、そういう問題が提起されていて、そのような議題がある中で、別の予算というのが本当に可能性があるのかというのは、今言われたとおり、なかなか難しい状況ではないかと思います。それはやりたい人には、別予算のめどがあるんだというふうに言うかもしれないけども、結構厳しい状況ではないかと思います。特に今のパンデミックとか、そういうのが始まった状況の中で、これが最優先ですかということは、研究者側は非常にしっかりと説明できなければならないことだと思います。
  2番目の観点について何かありますでしょうか。時間が来たんですが、もう10分か15分。小磯さん、どうぞ。

【小磯委員】  すいません、小磯です。今問いかけられている準備研究所に関する問題というのは、提案者の皆様が上げてきた研究計画そのものが妥当であって、それをゴーするか、ゴーしないかという形で問われているんでしょうか。もし計画の妥当性を問われているのだとすると、なかなかそれは判断が難しくて、例えば作業部会などできちんと議論しなければその先に行けないもののような気もするんですが、いかがでしょうか。

【観山座長】  そうですね。何かこれに関して御意見ありますか。

【小磯委員】  少なくとも、私は加速器研究者の1人ではありますが、これでいいですかと言われて、オーケーですと自信を持って言えるかというと、そうではありません。

【観山座長】  中野先生、何かあります?

【中野委員】  手を挙げたような、頭を抱えたような。小磯先生がそう言われると、何かますます僕は自信がなくなって、前回は準備研究所を造ればと軽く言っちゃったんですけれど、今日のプレゼンテーションと今小磯先生おっしゃったことを聞くと、もう少し準備研究所の中身自体を明確化して、目的も明確化してほしいなというのを改めて感じました。
  だから、延命のためというか、現時点で諸外国に愛想をつかされないために必要だということは分かったんですけど、それ以上の効果というか、準備研究所を設置するポイントがどこにあるのかというのはまだちょっとよく分からないというところはあります。

【小磯委員】  すいません、私自身専門がハードウェアよりもむしろビーム運転などに近いほうですので、特にはっきりした判断をしかねるという面もあると思うんですが、やはりもう少し内容については、専門家の方を含めて議論する機会があったほうがいいのではないかと思う次第です。

【観山座長】  伊地知先生。

【伊地知委員】  ありがとうございます。伊地知です。今の準備研究所の話は、④かと思いましたけれども、私も発言させていただきたいと思います。今日御説明を伺って実はよく分からなくなったことがあります。それは想定される準備研究所で3つのことをされたいとおっしゃっていたことの2つ、サイトの決定、それから政府間交渉を進めると。法的に日本の中の一般社団法人という形で設立をするものの、関係する機関、外国のCERN等を想定されていると思うのですが、そういったところも社員に入る形で設立されるというように推察をしていたのですが。つまり、法的には日本につくられるのだけれども、国際機関として振る舞うというように思っていたものが、想定される活動は、これは日本の機関として活動するというようにも見えて、ここの関係がどうなっているのかというのが、今日、お話を伺っていてよく分からなくなったところです。
ここについては、実はお伺いできればと思ったのですが、時間切れだったもので。これが明確になっていただけるとありがたいというところがあります。

【観山座長】  ぜひそれはメールか何かで事務局に出していただいて、すぐに回答が出るかどうか分かりませんけども、追加の質問ということで対応できるのではないかと思います。
岡村先生。

【岡村委員】  今のお話を聞いていて思ったんですけども、結局3年前からやってきて、今回もやっているんですけれども、結局、我々この委員会は最終的にまとめるというのは、何について、どういう形でのまとめを出すべきなのか、何を期待されているのかということを、今日じゃなくてもいいんですけども、そろそろ考えておかないと、議論すべきことはものすごくたくさんあって、本当にどのようなことをどういうふうに有識者会議として示すべきなのかということが私もだんだん分からなくなってきました。

【観山座長】  文科省、何かその点の方向性について御意見ありますか。

【坂本大臣官房審議官】  ありがとうございます。坂本です。
  確かにILC計画は、学術的な切り口、あるいは国際協力、外交の切り口、非常に複雑なプロジェクトですので、今岡村委員がおっしゃったように、課題というものはたくさんあるということはございますが、ILC計画についてIDTのほうで報告書をまとめられましたので、それについて何らかの見解というか、そういったものはないと、いずれにしても提案だけが宙に浮くというふうな状況になりますので、やはり論点の2つ目に書かれているような、例えばIDTに示されたILC計画の進め方、アプローチというものは、どういう意味、あるいは課題があるのかというところを一つ一つ整理をしていただく必要があるかと思っています。そこは焦点を絞っていく議論というのは、我々も事務局として作業で進めさせていただきたいと思います。先生方の御指導、御議論をお願いしたいと思います。

【観山座長】  資料4の(1)で1、2、3、4とありますけども、これについて、それぞれ、いろんなお話、まだ聞かなきゃいけない部分、質問しなきゃいけない部分がありますけども、進展が認められるか。例えば1番だったら、全然進展認められてないというか、大きな課題が残っていると言うしかないですよね。それはどういう仕組みが一番いいかというのは我々は言えないですけども。森先生。

【森委員】  やはりサイエンスとしてのプライオリティーがどの程度のものなのかという大前提をまずちゃんとこの中で話し合う必要があるんじゃないでしょうか。協力体制の前に、恐らく2019年から今までの間にいろんなことが世の中で起きてしまったために、やはりプライオリティー位置づけが不変のものではなくなっていると思うんですよ。そこはやっぱり大前提として、有識者会議としては、一通り、1つの合意を出しておく必要があるかと思うんですね。それを進めるかどうかということはその次の段階の話だと思います。

【観山座長】  そうですね、資料が送られてくると思いますけど、私の最初の質問にあったように、これだけの費用をかけて解決してきて、その結果が我々の学術的な面にどれだけのインパクトがあるかということはよく押さえておく必要がありますよね。

【横溝座長代理】  横溝ですけど。準備研究所に対する考え方ですけども、言っていることの中身は全然おかしくなくて、当然サイトのこともやらないといけないし、政府間交渉のことも誰かがサポートしてやらないといけないし、技術開発も継続しないといけないというのは間違ってないので、この提案書自身が間違っていますか、どうですかという議論をしてもしようがないという気もしています。
  今一番重要なのは、日本政府が認知した形でこれを進めるのですかということが問われているわけで、進められればやればいいし、今の状況でやれないのなら、やれないということを言うしかないのかなと思うのですけど。

【観山座長】  大臣ははっきりと今年の初め頃に今はその時期に到底ないというふうにおっしゃった。

【横溝座長代理】  大臣が言っているので、大臣のそういう談話も含めて、今の日本はそういう状況じゃありませんと。もうちょっと言うと、準備研究所でやろうと思っていることは、民間レベルで、研究所間のレベルでやっていってくださいと。政府間の交渉が必要になったら、それぞれのところでサポートしながら政府間交渉をしたらいいのではないですかというふうに具体的には進んでいくのだと思います。あんまりそれをまた明確に表現するというのは差し障れるので、適当な表現を考えていかないといけないですけども、準備研究所の提案内容自体を否定するということはなかなか難しいような気がしています。

【観山座長】  まあ、そうですね。中身を否定することはちょっとできませんね。

【横溝座長代理】  以上です。

【観山座長】  ありがとうございます。

【神余委員】  神余です。先ほどのILC準備研究所の性格がよく分からないという点ですけれども、研究者の方々に聞くときに、もう少し我々としても事実を踏まえて聞かないといけないと思います。実は、ILCに関するIDTの準備研究所設立計画というのは、52ページにありますように、既に研究者から我々に示されているわけです。これはどういうことかというと、共同宣言でやりましょうと。各国研究所が共同宣言に加盟といいますか、参加して、それでつくると。日本に設置して、本部の設置形態は一般社団法人だと。そこに、物納ですね、イン・カインドでやるか、あるいはその他の形態でやるかということなので、しかもアメリカ、アジア、欧州の3地域でほぼ均等に分担すると書いているのです。そこまでちゃんと説明はされているわけです。
  ですから、そのことを踏まえた上で聞かないと、我々グループはちゃんと資料を読んでないという話になりますので、これに加えてさらにどういう質問があるのかということを我々としてはもう少し詰めないといけないという気がします。

【観山座長】  今のところは非常に重要で、プレラボに関して均等にするということが書かれているんですけども、それがどう裏打ちされているのかというのがちょっとよく分からないところなんですね。つまり、各研究所がIDTでそうあるべきだというふうに書かれているけども、それがどれだけ裏打ちされているのかというのがちょっと分からないところなんですね。質問しなきゃいけないところだと思います。
  それでは、すいません、3番目、全体を通して、もう全体を通しての話になっていますけれども、何かありますでしょうか。
では、様々な質問が結構出てきたと思いますので、申し訳ありませんけども、事務局のほうにさらに質問を投げかけていただいて、今のプレラボのこともそうですけれども、いただきました意見は、まとめて整理して、今日あった意見もまとめていただいて、次回は意見をまとめたものを踏まえて取りまとめに向けて引き続き議論を行いたいと思います。御意見あった、どういうふうな取りまとめをするのかということも根本的に次回議論をさせていただきたいと思います。
  すいません、時間延びましたけども、以上で本日の議題は終わりとしますけれども、委員の皆様から最後に何か一言でもありましたら受けたいと思いますが、よろしいですか。
  それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

【林加速器科学専門官】  本日の議事録につきましては、冒頭申し上げましたとおり、後日、出席委員の皆様にメールにて内容の確認をお願いいたしまして、その後、ホームページで公表するという形になります。
それから、次回の会議の開催につきましては、また日程が決まり次第御連絡をさせていただきたいと思います。
  以上でございます。

【観山座長】  今日はちょっと時間が延びるんじゃないかと心配しておったんですが、きっちりそのとおりになりまして、申し訳ありませんが、15分延長させていただきました。
  次回も、どのような形で議論するのかってなかなか難しいところでございますが、どうぞ御協力いただければと思います。
  本日はどうもありがとうございました。


―― 了 ――