産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会(第4回)議事録

1.日時

令和3年6月16日(水曜日)14時00分~15時13分

2.場所

文部科学省17階 研究振興局会議室(オンライン会議)

3.出席者

委員

妙中主査、近藤副主査、安西委員、上村委員、扇田委員、大菊委員、長我部委員、菅野委員、谷岡委員

文部科学省

塩崎審議官、武田課長、高木戦略官、岩﨑企画官、根橋課長補佐、飯塚専門官、池田専門職、建部専門官、赤坂調査員

オブザーバー

千葉勉 (日本医療研究開発機構(AMED) 産学連携医療イノベーション創出プログラム PS/関西電力株式会社 関西電力病院 病院長)
中西洋一(日本医療研究開発機構(AMED) 橋渡し研究戦略的推進プログラム PS/北九州市立病院機構 理事長)
塩見篤史(日本医療研究開発機構(AMED) 実用化推進部長)
竹上嗣郎(日本医療研究開発機構(AMED) 医療機器・ヘルスケア事業部長)
宮川昭二(日本医療研究開発機構(AMED) シーズ開発・研究基盤事業部長)

4.議題

(1)医薬品・医療機器等の研究開発における今後の支援の在り方
(2)その他

5.議事録

【根橋課長補佐】 定刻となりましたので、ただいまより、産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会、第4回を開会いたします。
 本日の進行を務めさせていただきます、ライフサイエンス課の根橋でございます。よろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点より、本日もウェブ会議にて開催させていただく運びとなりました。委員の先生及びオブザーバーの皆様におかれましては、御配慮、御協力いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事は全て公開でございます。会議資料及び議事録を弊省「ライフサイエンスの広場」のホームページで公開いたします。
 なお、ウェブ会議システムで御参加いただいております、委員、オブザーバーの皆様にお願いしたいことがございます。マイクはミュートにしていただき、御発言の際だけオンにしてくださいますよう、よろしくお願いいたします。もし、映像や音声が乱れるなどの不具合が生じた場合は、ビデオをオフにすると音声が改善する場合がございます。システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いでございます。
 続きまして、一般傍聴者の皆様にお願いしたいことがございます。会議に入りましたら、マイクはミュートにしていただき、ビデオをオフにするよう、お願いいたします。また、会議中、主査及び主査の命を受けた事務局職員の指示に従っていただきますよう、お願いいたします。
 本日は、委員の皆様の御欠席・遅参の御連絡はございません。現在、9名の委員にオンラインで御出席いただいており、本検討会の定員は9名ですので、定足数を達していることを御報告いたします。
 また、オブザーバーとしまして、出席者名簿の方々に御出席いただいております。
 出席者の御紹介は、以上になります。
 以降の議事進行は、主査である妙中先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【妙中主査】 それでは、以降、私が議事の進行をさせていただきます。
 まず、事務局から、本日の議事及び配付資料について、確認をお願いいたします。
【根橋課長補佐】 本日の議事及び配付資料については、お手元の議事次第のとおりでございます。本日は、前回の御議論を踏まえて修正した報告書の案を基に、御議論いただきたいと考えております。
 また、今回、オンライン会議を実施しております。資料は全て事前に事務局より送付してございますので、そちらを御覧いただければと思います。不備等がありましたら、事務局にお申しつけください。
【妙中主査】 ありがとうございました。議事次第、資料等、皆さん、そろっておりますでしょうか。
 それでは、これより議事に入ります。なお、委員、オブザーバーの方の御発言は、私が御発言をお願いしてから行うように、お願いいたします。
 では、議題(1)に入ります。初めに、医薬品・医療機器等の研究開発における今後の支援の在り方となります。資料は1です。事務局より説明をお願いします。
【根橋課長補佐】 事務局でございます。資料1を御覧ください。今回御議論いただく報告書の案となっております。資料2の見え消し版、前回からの修正点が分かるものの方が分かりやすいと思いますので、それに基づいて説明をしていきたいと考えております。資料2を御覧いただければと思います。
 1ページ目を御覧いただきたいと思います。「投資回収期間の短期化」ということが追加されておりますけれども、AMEDから最近の社会情勢として記載すべきという御意見がございまして、追記をさせていただいております。
 続いて、2ページ目を御覧いただきたいと思います。先端計測分析技術・機器開発プログラムの概要に関してでございますけれども、文章が分かりづらいところがございましたので、分かりやすいように修正をさせていただいております。
 続きまして、4ページ目でございますけれども、ここに関しても、ほかの箇所と記載ぶりを合わせるために、修正をしております。
 続きまして、5ページ目を御覧いただきたいと思います。3ポツの「事業の改善の方向性」に関しての記載箇所でございます。最初の丸でございますけれども、前段は文言の適正化のみの修正でございますが、その後ろの部分について、実用化していく仕組みづくりが重要だということが明確に分かるように文言の修正をしております。
 続きまして、マル1番、「研究開発の早期から成果の実用化に向けた支援を充実させることが必要」という箇所の一つ目のひし形のところでございます。ここについても、かなり修正はしているのですけれども、少し言葉足らずのところとかがございまして文章が読みづらいというのがございましたので、内容はほぼ変えていないのですが、文章を少し修正しております。
 その次のひし形についても、基本的には同様の理由から、分かりやすくする観点から修正をさせていただいております。
 6ページ目から7ページ目にかけて、少し文章の修正等をしておりますけど、文言の適正化ですとか、略称の追加とかですので、内容等の変更はございません。
 続いて、少し飛びますけれども、9ページ目を御覧いただければと思います。9ページ目の一番上のマル5番のところでございます。最初のひし形については、実用化に向けた仕組みづくりが重要だというようなところで、「仕組み作り」という言葉を入れさせていただいております。
 次のひし形についてですけれども、非臨床を対象にする事業の仕組みの導入というよりも、基礎段階を中心に行っている文部科学省の事業についても、他省庁の事業を中心にした実用化フェーズに近い事業の仕組みを参考にして実用化につなげていくべきではないかとの御意見を先生方からいただいていたと思います。その御意見の趣旨に合わせまして、文言等の修正をさせていただいております。
 また、ここに関連しまして、各事業がどのフェーズをターゲットにしているのか分かる資料があれば提示したほうがいいのではないかとの意見を先生からいただいております。そのことを踏まえまして、後で御覧いただきたいのですけれども、参考資料3を配付させていただいております。そこでは、六つのプロジェクトごとに、どこの省庁はどういうフェーズをやっているかが分かる資料になっています。例えば、「医療機器・ヘルスケアプロジェクト」に関して文科省の事業と他省庁の事業が、基礎段階、応用段階、非臨床、臨床研究・治験、実用化というところでどういう関係性になっているかが分かる資料として、提示をさせていただいた次第でございます。
 資料2に戻っていただければと思います。同じページのところですけれども、4ポツの「今後の産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方」、今回の提言の本体のところでございますが、そこについての修正を御説明させていただきます。まず、一番初めの「事業プログラムの統合について」という見出しのところでございますけれども、内容について、プログラムの統合だけではなくて、全体の考え方の整理もしておりますので、「整理」という言葉を追加しております。
 その見出しの一つ目のひし形と二つ目のひし形については、文言を適正化するための修正のみを行っているものでございます。
 その次のひし形でございますけれども、丸々、挿入をさせていただいております。前回の会議で、特に実用化に向けた文脈ですけれども、他省庁事業との連携を強めていくべきという御指摘を多くいただいたところでございます。事業全体の考え方の整理の箇所についても、その旨を記載させていただいております。
 続いて、9ページ目の一番下のひし形でございます。研究成果最適展開支援プログラム等に関する記載でございますけれども、プログラム終了の理由である、「その役割を終えた」という内容について、言葉足らずのところがあるので、説明の追加等を行っております。
 続いて、10ページ目を御覧いただきたいと思います。個別の事業プログラムの改善に関する方向を記載している箇所でございます。
 まず、橋渡し研究プログラムでございます。その中で三つ目のひし形でございますけれども、ここは、修正はしていないのですが、御意見をいただいていたので、少し補足をさせていただきたいと思います。「企業の規模に応じた企業リソースの提供」という内容について、「企業規模に応じた」というのは要らないのではないかとの御意見等もいただいておりました。しかし、ベンチャー企業と大手企業で提供する資源等が異なることも考えられるので、ここの記載については、御意見いただいておりましたけれども、そのままとさせていただいております。
 橋渡し研究プログラムの五つ目のひし形でございます。前回の会議で、産業技術総合研究所などの大学以外から出てくるシーズについてもしっかり支援すべきだという御意見がございました。実際にこれまで橋渡しの支援事業についても大学以外の機関を支援した実績はございますし、いただいた御意見は重要なところであると考えておりますので、御意見を踏まえまして、「研究機関」と言葉を追記させていただいております。また、拠点外シーズの支援強化の重要性に関して、多数の御意見をいただいたところでございます。より積極的に対応していくことを表すために、「橋渡し研究支援拠点であるか否かを問わず、幅広くかつ柔軟にシーズを拾い上げていく」という文言を追加しております。また、具体策としてどのようなことがあるかとの御意見がございました。「拠点外の機関に対する広報の強化」という内容を、まずは第一歩として記載をさせていただいております。我々としては、ここの箇所について、広報にとどまらず、何ができるかを考えていく必要があると思っております。そこについては、AMEDと今後相談をしながら、仕組みをつくっていきたいと考えております。今回の報告書ではこのような記載とさせていただきたいと考えております。
 続きまして、11ページ目を御覧いただきたいと思います。11ページ目の最初のひし形でございます。AMEDの知的財産担当者は実用化を担っている一部なので、それ以外の実用化関連の支援はどうなのかとの御意見。PMDA関連の相談ですとか、マーケティングの出口の対応とか、マッチング機能とか、そういうものも重要なのではないかとの御意見をいただいておりました。事務局の意図としましては、知的財産担当者はあくまでも例示として挙げさせていただいていたつもりですが、文章上、それがあまり明らかになっていなかったと思いますので、明示的にAMEDの実用化機能全体になるような修正をしております。
 続きまして、その下のひし形でございます。実用化に向けた支援の強化は重要との御指摘も、数多くいただいております。一方で、橋渡しの拠点について、人的なものも含めてコストの問題もあるとの御意見もいただいております。そのほかにも、実用化に向けて省庁間連携が大事だとの御意見も多くいただいたところでございます。我々の基本的な考え方としましては、新たに設けました橋渡し認定制度で一定の機能を橋渡し拠点に持ってもらうことは当然だろうと考えております。しかし、こういった機能を拠点に整備することは難しいということもございますので、その点に関しては、他省庁様の事業と連携して、優れたシーズを持っている研究者に充実した支援が行われるようにしていきたいと考えているところでございます。そのような基本的な考え方を踏まえまして、具体的な報告書の記載を修正しております。まず、省庁横断的な支援について医薬品分野でも行うべきではないかとの御意見がございましたので、もともとの記載は「医療機器分野に関しては」となっていましたが、医療機器に特化した記載を落として、全体にかかるような記載に変更しております。また、他省庁事業の連携に関して具体的にどのようなことをしていくのかとの御意見を前回の会議ではいただきました。御意見を踏まえまして、まずは、このひし形の中に連携する他省庁の事業に関して明示をさせていただいております。また、他省庁事業との連携について、伴走コンサルに限らないので、伴走コンサルの記載は不要ではないかと御意見をいただきましたので、その記載を削除しております。
 その次のひし形に関係するところでございますけれども、ベンチャー支援に関して他省庁との連携を強化していくべきだとの御意見も、複数の委員の先生方からいただいたところでございます。これらの意見を踏まえまして、ひし形を追加したところでございます。今申し上げました他省庁との連携については、御意見をいろいろいただきましたので、先日、関係する省庁とウェブで会議をしまして、我々の事業の概要とか検討の状況を話すとともに、連携を進めていきたいという話をさせていただいたところでございます。それに加えて、各事業の担当者と、どのような連携ができるか相談をしました。その結果として、連携を進めていく事業名については、記載をさせていただいております。具体的にどういう連携をしていくかも打合せの場では少し話をしましたけれども、詰め切れていないというところがあるので、今回はそれに関して記載はできていません。検討会が終わった後も引き続き関係省庁と協力して具体化していきたいと考えているところでございます。
 続いて、報告書の内容に戻りたいと思うのですけれども、同じページのマル2番、「先端計測分析技術・機器開発プログラムを土台とした後継事業」というところでございます。最初のひし形でございますけれども、本プログラムの狙うフェーズを明らかにするために、追記をしております。同じひし形の最後の修正に関しては、文言の適正化という観点から修正をしております。
 次のひし形でございますけれども、コンサルティングの実施というところにつきまして、コンサルを提供する人材等の質を言っているのか、コンサルの中身の内容を意味しているのか、そこが分かりづらいのではないかとの御意見ですとか、コンサルについては、内容が、どういうことを支援するかが重要だという御意見がございました。これらの御意見を踏まえまして、文言を修正させていただいております。
 事務局から、報告書(案)の修正のところについて、御説明をさしあげました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【妙中主査】 ありがとうございました。これまでの検討を踏まえて、各省庁、AMED等とも打合せをしていただいて、その結果、こういう案になっております。
 ただいまの説明内容について、御質問、御意見はありますでしょうか。御意見のある方、挙手をお願いしたいのですが、谷岡さん、手が挙がっておりますか。
【谷岡委員】 はい。ありがとうございます。1点だけ、何か意図があればなんですが、今回、7ページの上のところでSaMDを追記されているのですけれども、この書き方ですとソフトウエアやデータを活用したポータブル診断機器のことをSaMDと言うように読めるので、位置を変えるなりということが必要かなと思います。SaMD自体は、Software as a Medical Deviceなのでプログラム医療機器のことだと思いますので、確認していただければと思います。よろしくお願いします。
【根橋課長補佐】 事務局でございます。おっしゃるとおりだと思います。記載を修正したいと思います。
【妙中主査】 診断機器だけではないので、お願いします。
 ほかにありますでしょうか。
【扇田委員】 滋賀医大の扇田ですけど、よろしいでしょうか。
【妙中主査】 扇田先生、よろしくお願いします。
【扇田委員】 この資料の9ページ目ですが、マル5の二つ目のひし形のところに「他事業との連携を強化することにより、より着実な実用化が見込まれる」ということで、巻末に参考資料をつけていただいたと思うのですが、その資料によるいろいろな事業と今回のこの事業との関連は、どのような形になっているのでしょうか。
【妙中主査】 事務局、いかがでしょうか。
【根橋課長補佐】 参考資料3の6ページを御覧いただきたいと思うのですけれども、例えば、橋渡し研究プログラムについてですが、ほかのプロジェクトの研究へ展開・連携という形で、もともとそういうことを想定されています。少し戻っていただいて、参考資料3の2ページ目を御覧いただきたいのですけれども、今回議論をしている、例えば、先端計測分析技術・機器開発プログラムが一番上にございます。そこから導出という形で、他省庁の事業、例えば、経済産業省の事業、医工連携の事業などとの連携、つないでいくということは、プロジェクトをつくられたときから求められているところでございます。今回、それがさらに実現していくように方策を検討したところでございます。
 説明としては、以上でございます。
【扇田委員】 ありがとうございます。そうしたら、図が出ていますけれども、これの導出から産学連携による実用化辺りを今回の在り方としては強化していくという形でよろしいでしょうか。
【根橋課長補佐】 基本的に、そのような考え方です。特に、つないでいくに当たっても、初めから実用化を考えていかなければいけないというところで、より実用化段階に近いフェーズの仕組み等の導入をしていくことを考えているところでございます。
【扇田委員】 ありがとうございました。
【妙中主査】 私からも、少し補足をさせていただきたいと思います。事務局が説明したとおりなのですが、この医療機器・ヘルスケアプロジェクトの中での他事業との連携というだけではなくて、先ほども説明がありました、一番後のページのシーズ開発・研究基盤プロジェクト、これはプロジェクトをまたいでの橋渡し研究であったりとか、もう一つは、今回は特に触れていませんけど、その上の革新的先端研究開発支援事業、それなんかもスキームとしたら、医療機器・ヘルスケアプロジェクト、それをまたいで連携していくということになるように思っております。これに関しては、事務局もプロジェクト間をまたいだようなということで御説明していただいておりますし、実際には、シーズ開発・研究基盤プロジェクトの清水PDと、私、医療機器・ヘルスケアプロジェクトのプログラムディレクターとして打合せをさせていただいて、同じように、その会の中では、今日もオブザーバーで出席していただいております中西PSとか、それから、楠岡PS、金倉PSも参加していただいて、プロジェクト間をまたいだような連携もしていこうということで進めております。それに関しては、先ほどもお話ありましたように、AMEDの中の実用化推進をやっている部門、そこなんかも一緒になって活動していこうというようなことで進めていこうと考えております。
 以上です。
【扇田委員】 ありがとうございます。
【妙中主査】 ほかに、御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないようですので、先ほど谷岡委員が御指摘になったSaMDのところは修正するということで、それ以外に御意見がないようでしたら、それらの意見を踏まえて、最終的に事務局と私で修正内容を調整し、その内容で決定しようと思いますが、よろしいでしょうか。
 皆さん、御意見がないようですので、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、議題(2)に移りたいと思います。今回は最後の会議ですので、これまでの会議を振り返っての所感や、報告書を超えて、今後、文部科学省で取り組んでほしいことなどについて、各委員から御意見をいただきたいと考えております。委員名簿の順番でお願いしたいと思います。私は最後にお話をさせていただきます。
 まずは、名簿順で、安西委員、お願いいたします。
【安西委員】 ありがとうございます。今回、検討会に参加させていただいて、各プロジェクトで素晴らしい、日本発の成果が出ているということで、非常に勇気づけられたところです。特に、今後、新規のモダリティ創出や技術融合がキーワードになってくるという先生方のお話もありましたが、海外なども、特に新規モダリティについては囲い込みが、資本市場を巻き込む形で進んでおります。メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの開発をしたモデルナを創設したFlagship Pioneeringというベンチャーキャピタルがありますが、つい先日3.4billionドル(約3,600億円)規模のファンドを立ち上げたニュースが出ており、今までの単に大学から企業へという流れだけではなくて、金融市場の力も借りながら、リスクを分散させて事業化を図っていくという流れがどんどん出てきていると感じています。熾烈な開発競争の中で、個別のシーズの育成もそうですし、出口を意識したより高度な事業化支援が求められていくと思っておりまして、実用化に向け、我々ベンチャーキャピタルもその支援機能の一翼を担えればと考えている次第です。
 最後に文部科学省に何か、ということもありましたが、イノベーションを創出するときにはいろいろなステークホルダー間の連携も大事で、いわゆるエコシステムの重要性がますます高まってきていると感じます。今後は、大学の橋渡し拠点なども中心にして、拠点内に閉じるだけではなくて、拠点外の研究シーズもそうですし、周りの産業界や金融機能も含め、どのように巻き込みながら実用化に向けたインベストメントチェーンをつないでいくかという視点が大事になってくるのかなと思います。シーズの育成に必要な要素として、ヒト・モノ・カネとよく言いますが、モノの育成という視点だけではなくて、事業化を先導する経営人材の育成ですとか、資金がなくては開発が止まりますので、民間の金融機能とどう連動させていくかという視点でも今後も検討いただければと思います。大学発ベンチャーの推進施策や大学のベンチャーキャピタルの利活用ですとか、資金運用を目的とした大学ファンドの新設など、文部科学省内にも関連性の高いトピックもあろうかと思いますので、包括的なエコシステムの制度設計についても継続的に御検討いただければと思います。
 以上です。
【妙中主査】 ありがとうございました。
 続きまして、上村委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【上村委員】 私自身は地方でいろいろな研究の案件とかを、私自身もいろんなことをやっていますけれども、どちらかというと、支援をしたりとか、そういったことも仕事の大きな柱になっています。そういった中で、地方だと様々なハンディキャップを背負っている部分もあるのかなと思う日々なのですが、少し話がずれるかもしれませんけど、この一、二年の間、コロナでこういう状況になりまして、今までは様々ことが、東京中心だったりとか、あるいは大きな都会を中心にしていて、例えば、拠点化をするにしても、どうしても大きな大学が中心にならざるを得なくて、そうすると私どもは出向いていったりとかするのでなかなか大変だったのですけど、こういう形で、今日の会議もそうですが、遠隔で様々なことができるように急激に変わってきたというのは、地方の視点で見ると、我々にとっては少し追い風になっているのかなと思っています。
 と申しますのは、様々な橋渡しの事業にしても、最終的に例えば事業化を目指すといったときには、これまでの古典的なアカデミアのアプローチでは多分できなくて、様々な専門家が実はいろいろなところにいます。これは必ずしも国内だけではないかもしれないし、場合によっては海外にいたりとか、いろいろな人がいらっしゃるので、そういう人たちと連携をしながら進めていくという、そういうスタイルになります。そうすると、一つの大学で完結するというよりも、複数の施設であるとか、様々な研究者がそういったプロジェクトに関わる、いわゆるプロジェクト型の研究というのがメインになると思います。そうすると、そこに関わる人というのは、必ずしもいわゆるPIを中心とした一つの講座単位ということではなくて、共同で研究している人であるとか、拠点あるいは拠点以外の研究を支援している人とか、それから、将来的にパートナーシップを得るとしても、そういった企業さんとか、それを支援するためのベンチャーキャピタルであるとか、いろんな人たちが関わることになると思います。そうすると、共通の価値観として、例えば出口一つを考えたときに、我々が今までアカデミアの中で考えていたような出口とは違う切り口をせざるを得ない。今までだと、例えば、論文発表しましたとかいうのがアカデミアの中での一つの評価の基準になっていたわけですけれども、こういった橋渡しの事業、あるいは、そのほかの研究開発型の事業というのは、出口はそこではないかもしれないわけで、そうすると、アカデミアの中の仕事の仕方が少し違う方向というか、違う切り口で評価しないといけない時代がもう既に来ているのだと思います。そういったところも、今後、文部科学省の中では、大学の中での仕事の在り方であるとか、評価の仕方であるとか、考えていく必要があるのかなと。それをしないと、アカデミアの中で実用化に向けていろいろやってくださいといっても、大きなドライバーがそこに存在しないわけです。ですので、そういった制度設計というのは、単に何か、お金を出す、様々なアドバイスをするということだけではなくて、こういった事業に関わることによってアカデミアの中で成長していけるような仕組み、それから、やったことに対して評価されるような仕組み、そういったところも同時に、将来的にはしっかり考えていく必要があるのかなと感じました。
 感想になりますけど、私からは以上です。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。大変重要な、文部科学省が今後目指してほしい方向を御提示いただいたと思います。ありがとうございました。
 続きまして、扇田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【扇田委員】 よろしくお願いいたします。最初に、今回、この検討会に参加させていただきまして、文部科学省の方々とも少しお話しさせていただいて、本当に文部科学省の方には真摯に私どもの打合せ等に取り組んでいただきまして、非常に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 それと、これは私の個人的な感想になるのですけれども、実用化を目指した、社会実装を目指した、こういう研究のためには、いわゆるシーズがないといけないのではないか、できるだけ多くのシーズがなければいけないのではないかなと思います。これまで日本の研究というのは、シーズがあっても、それを実際に実用化するのがあまり上手ではなかったという面もあったかもしれないのですけれども、最近はシーズ自体も少しずつ枯れてきているのではないかなと思っています。それはどうしてかということですが、私は地方大学におりますけれども、先ほどの上村先生と一緒かもしれないのですが、以前、大きな大学にいたときもあるのですが、大きな大学と小さな大学では、設備、人的な面、それから、お金の面も、かなり隔たりがある気がします。それと、シーズというのは、何かを狙いに行ってそれができるというわけではなくて、いろんなセレンディピティとか、そういうものがありますので、思わぬところから生まれる場合もあるのではないかなと思います。そういう意味で、可能な限りですけれども、幅広く研究へのサポートをしていただけたら非常にありがたいと思います。現在、資金というのは競争的資金が非常に増えてきて、ベースの資金というのがかなり枯渇している。運営費交付金もかなり絞られてきていて、その中でも財務省等からは競争的資金にするように等の要請もあるようですけれども、競争的資金になるとなかなか、何かアイデアをパイロット的にやりたいといったときに、資金不足でそれがやれない。そうするとシーズがなくなってくるのではないかと思っていますので、今までの流れからするとなかなか難しいかもしれないのですけれども、できる限りベースの研究費というものを200万でも300万でもつけていただけたら非常にありがたいと思います。
 あともう一つ、私が日頃感じていますのは、大学にいるというところもあるのですけれども、人材育成が非常に大事ではないかと思っています。最近、文部科学省のプログラム等で、若手研究者に対する優遇措置とか、若手研究者をエンカレッジするような資金のプログラムも出てきているようですが、ただ、その若手もいつかはシニアになって、我々のように50代になってという形になってきます。そういったときに資金不足になると、やはり苦しくなる。こういう例を出していいかどうか分からないのですけれども、以前、ポスドク1万人計画というのもありましたが、結局、若い人を優遇しても、その後の施策がないと若いときに優遇された人々が次に行くところがなくなってしまうというところもありますので、その後の出口も含めた全体としてのパッケージを、今後、可能であれば考えていただけたらと思います。アカデミアだけが道ではなくて、それ以外の道もたくさんあると思うのですけれども、そういったところの方向性というのは、ある時期、若者が優遇されて、それだけで終わってしまうということではなくて、長い目の施策があればいいのではないかと思います。これは希望的観測ですけれども。
 ということで、少し取り留めのない話になってしまったのですけれども、一つは、資金面でどうしても、大きい大学、小さい大学、かなり格差があるような気がするということと、もう一つは、長い目・スパンでの人材育成が必要ではないかという点でございます。ありがとうございました。
【妙中主査】 ありがとうございました。本当に、若い人たちが今後も残って活動していただく、残ってというか、進歩して活動していただくことは、とても重要だと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、大菊委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【大菊委員】 よろしくお願いいたします。私は京都大学の橋渡し拠点の担当者ということで、そういった視点から意見と感想を述べさせていただきたいと思います。
 今回の検討会の中で一番の大きな収穫は、AMEDの各種事業間の連携、あるいは省庁超えた連携をしっかりとっていきましょうということが、皆さんの間で議論されたことではないかと思います。ぜひ、この点を文部科学省は受けて力強く進めていただければありがたいなと思います。
 その上で、私、最近感じているのは、様々な事業、結局は橋渡し拠点がサポートして進めていくことが多くなってきていると思っていまして、今、次期橋渡しの認定拠点の申請期間になっていますけれども、認定拠点において研究者と企業が連携して進める事業というのは非常に効率がいいものになっていのではないかと思います。そういう意味で、認定拠点との関係性を念頭に事業設計を考えていくということを進めていただけたらいいのではないかと思います。その場合に、報告書にもありますとおり、拠点と拠点でない各大学間の連携をこれまで以上に進めるというのは非常に重要だと思います。この点にも御配慮いただけたらと思います。
 それから、AMED事業の多くは、表立って産学連携をうたっていなくても、最終的には社会実装を目指すことが多くて、そこを目指すのなら企業との連携は極めて重要で、可能な限り早期の連携が望ましいと思います。ぜひ、そうした方向に誘導していっていただきたいと思います。
 それから、今日も少し出ていましたけど、企業の負担という意味では、GAPFREEなんかでもありましたが、ある程度負担を求めて企業の本気度を確認し、負担いただいた資金、リソースでプロジェクトを加速化するといったことはこれからも拡大していっていいのではないかなと思いました。
 視点を変えて、継続的かつ革新的な医療シーズを創出していく観点からは、現行の異分野融合型研究事業のような、シーズをつくる支援をする事業も重要だと思います。事業の中で企業とのマッチングや医工連携から医療機器開発に結びついていますので、後継事業もしっかりと考えていっていただければと思っております。
 それから、扇田先生からもお話ありました人材育成についても、私は非常に重要だと思っています。現在、妙中先生が牽引されている次世代医療機器連携拠点整備等事業においても、医療機器を看板にしてはいますけれども、医療機器開発人材の育成を進める事業で、医療開発人材の裾野を広げて間接的に医療に関する産学連携や開発の促進に貢献する重要な役割を果たしていると思っております。無論、直接的にも産学連携に資するもので、我々は複数の効果的な産学連携を実施しているところではありますが、いろいろな事業においてこうした人材育成の視点も取り入れて事業設計をしていっていただければと思います。御検討いただければ幸いです。
 以上になります。
【妙中主査】 ありがとうございました。橋渡し研究支援拠点と次世代医療機器連携拠点、その両方を担当しておられる立場から、貴重な御意見をいただいたと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、長我部委員、どうぞよろしくお願いします。
【長我部委員】 ありがとうございます。日立製作所の長我部でございます。私から、3点ほどございます。
 まず1点目は、今回、私自身としては勉強になったということで、皆様方に御礼を述べたいと思います。こういった制度設計側に今までなってこなかったのですが、妙中先生をはじめ、これまで様々な工夫をされてイノベーションが起こるように制度設計をされたのだなということを改めて知ることができました。AMEDを設立し、省庁が連携して仕事ができるようにしたということは、前から比べると随分進歩したように、私から見ると思いました。その点で大変勉強になりました。
 それから、私たち企業の視点から見たときに、製薬とデバイス側、それぞれに感想があります。製薬のほうは、冒頭に安西先生もおっしゃっていましたけど、金融の人たちが相当入ってきています。最近IPOしたRoivantという会社は、金融の人たちがつくって、製薬の種の開発を中止したパイプラインを買ってきて、そこにSilicon Therapeuticsというインシリコ創薬の会社を買って効率化して、パイプラインをバンドル化して製薬会社に売るというモデルをつくって、日本では大日本住友製薬さんなんかがお客さんでついていたりするということで、かなりダイナミックにお金を入れて加速するというモデルもできてきています。そういうところも競合としているのだということで、ぜひ、各省庁には資金面とかエコシステムの構築をお願いしたいと思います。それから、私自身はデバイスで随分やってきましたが、デバイスは苦戦しています。ファースト・オブ・ザ・カインドで上市しても、その後、薬事を取って保険点数には収載されたのですけど普及しなかったというような事があって、マーケットの読みが、医療現場の受入れ度合いであるとか、あるいは正確さをどこまで追求すればいいのか、その辺が企画段階と随分ずれがあったように思います。初期段階で後ろを見通すことは難しいのですが、そこをやる努力をしていかないとイノベーションは加速しないと思いますので、ぜひその辺、こういったプログラムの中で省庁連携してやるということが重要になると思いますが、お願いしたいと思います。特にデバイスでも、医療費全体は抑制圧力がかかると思いますので、今はpay for serviceで保険支払いを受けますけど、pay for valueになっていくと、臨床価値を実証して医療現場に届けないといけないということが起こると思いますので、そういうことも見据えて文部科学省がやるようなアーリーフェーズから全体を設計していただければと思います。
 それから、3点目ですけど、この分野の重要性でございます。今、特に自分の国とか域内で重要な産業があることの重要さがすごく叫ばれていると思います。典型的には半導体ですけど、供給不足になると、アメリカはインテルに投資をして半導体を自分でつくる、ヨーロッパも韓国と台湾から輸入するだけでは駄目だということになって日本にも拠点をつくるというようなことで、国の存亡に関わるような大事な産業は、ここしばらく、それぞれの国でしっかりしたエコシステムをつくることが大事になるのではないかと、個人的には思っております。そういう意味で、この産業、非常に大事ですので、文部科学省のサイエンスの起点からスタートして社会実装するまで、注力してやっていただければと思います。
 以上です。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。企業の立場から今回の会議に貢献していただいて、ありがとうございました。今も述べられましたけれども、これまで企業というと、医療機器に関しては、経済産業省、厚生労働省、その辺りが関係深かったと思うのですが、基礎段階から、文部科学省の基礎をやっている段階から企業の考え方というのが絶対入っていかないといけないと思うので、今回もそういうディスカッションを結構させていただいたと思います。その方策をぜひ生かしていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 続きまして、近藤委員、お願いできますでしょうか。
【近藤副主査】 ありがとうございます。私は、製薬企業の立場という形で、今回、検討会に参加させていただきました。まず、この検討会に参加させていただきまして、誠にありがとうございました。非常に私自身も勉強になりましたし、まだまだ改善していかないといけないことがあるなと再認識させていただいた次第です。
 感想になってしまうのですけれども、最近では、再生医療ですとか、プログラム医療ですとか、コンビネーション医療ですとか、様々なモダリティが出てきまして、モダリティも変わってきていますし、開発のやり方、手法ですとか、そういったところも物すごい勢いで変化してきているという状況にあるかと思います。そういう状況に私どもは柔軟に対応していかないといけないわけですけれども、そのために、今回のような検討会、産学連携というところは非常に重要な位置づけになってくるかと思います。当然ながら、アカデミア、企業、それぞれが考えていることを相互に理解しまして、その内容を、歩み寄ると言ったらあれなのですけれども、情報を共有する、考え方を共有するのは、非常に重要なことかと思います。共有をしながら、連携をしながら進めていくためには、当然ながら、何かしらの後押し、バックアップが必要になってくるかと思いますので、今回の検討会で、そのバックアップ、後押しというところまで、御議論いただけたのではないかなと考えております。特に省庁間の連携はそのバックアップのためには非常に重要なことになってくるかと思いますので、そこの部分を盛り込んでいただいたのは非常に大きなことかなと考えています。
 最終的に、出口を見据えていきますと、当然ながら、患者さんですとか、市民の視点というのが必要になってきます。今回の議論の中では、まだまだ産学連携というところにフォーカスしていましたので、患者・市民の参画というところも今後考えて枠組みをつくって、産官学と患者さん、もう一つの患といったようなところも入っていただいて連携体制をつくれるようになれば、ますますいいものになってくるのではないかなと、個人的に考えております。
 以上です。ありがとうございました。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。Patient-Centered Medicineという、すごく重要なポイントをお話しいただけたと思います。今回は産業界とアカデミアの連携のところにフォーカスされましたけれども、そこの観点もすごく重要で、私たち医療機器をやっている人間としては、いつもそこは考えているところなので、今後、そういうところを生かさせていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、菅野委員、お願いできますでしょうか。
【菅野委員】 どうもお世話になりました。今日、出来上がったということで、取り留めもない感想を述べさせていただきたいと思います。
 私は今、先端計測分析技術・機器開発プログラムのPSをやっておりまして、実は臨床の現場に使える機器をつくるみたいなのをターゲットにして研究のお世話をするのは初めてだったので、それまでのアカデミアのスタンスと随分違うので戸惑いもあったのですけど、例えば木村先生は、新幹線は走りながらレーダーを発射していてトンネルのありさまをリアルタイムにモニターしながら走っているのですが、それの原理を乳がんのディテクションに使うというアイデアで応募されてきて、何だろうという感じだったのですけど、委員の方々が採択するということで採択されて、実際、痛くないですね。今のマンモグラフィは痛いのですけど、レーダーで乳がんを見つけられれば痛くないということで、2年半ぐらいすると本当にできてきまして、図が出たときは、私もわーっと思って感動しました。実際、その後、クリニックにそれを持ち込んで、私も立ち会わせていただいたのですけど、患者さんをそれでサーチして、痛いですかみたいなところまでやったわけですが、これはすごく面白いと思って、正直言って、これは実に楽しいプロジェクトだと思いました。ただ、こういう例はすごく少ないのです。シーズとニーズがぴったりマッチしたようなケミストリーが起こることはなくて、そこのところは、妙中先生に伴走コンサルで随分お世話になりましたが、我々側がかなり努力しないとなかなか。でも、すごくそれはやりがいがあると思っております。
 ついこの間、聖路加の前病院長の福井先生とお話ししたのですけど、「菅野君、死ぬ前にたんを取る除たんの機械があるんだけど、あれはすごく痛いんだよね」と。1億人が1億人、死ぬ前にたんを取られるのですけど、鼻からやっても痛い。「あれ、何とかならないのか」と。あと、「老人になってディセイブルになるのはこけるからで、あれも何とかならないのか」と。例えば、そういうのをターゲットにして先端機器で募集して、重点エリアにしても、なかなかシーズがないのではないかというのが、今考えていることです。ロボコンではないですけど、こういうニーズが本当にあるのですよと。アカデミアの先生、手を挙げてチャレンジしてみませんかと。非常に難しいのですね。材料科学で柔らかいものを使えば本当に痛くないのかなんて、実験した人は誰もいないので、そういうところから医者と工学者を合わせてやっていかなきゃいけないので、アカデミア的に見ると意外と難しい課題かと思うのですけど、そういうようなのに向かって少しやる機運をつくる、何か仕掛けが要るかもしれない。そういうときに、上村委員がおっしゃっていましたが、大学側の評価の体制は、『Nature』『Science』にペーパーを書くと教授になれるけど、たんを取るのに痛くないのをつくったからって教授になれるかどうか分からないという、その評価の問題がありまして、この検討会、課が違うと思うのですけど、文部科学省全体として評価をどうしていくかというのは大学にいる我々が考えなければいけないことではないかとは思うのですが、文部科学省でこういうところも評価しなさいと言うと、そのときはぶーぶー言いますけど、5年10年たつと、意外と大学の先生たちは従順ですので、そういう意味では文部科学省の指導も大切かと思っております。
 少し取り留めのない話になってしまいましたが、こういうことをこれからも工夫しながらいろいろやってみないといけないかと。ただ、それは随分リワーディングな楽しい仕事だと、正直思っております。
 以上です。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。ぜひ、文部科学省に考えていただけたらと思います。菅野先生がお話になった、異業種の、異分野の先端技術をこういうところに入れていくというのはAMEDとしてもすごく意識しているところがありまして、文部科学省はそれをやる非常にいい場になるのではないかと、私は今でも思っています。私たちも、様々な技術、ほかの分野で使われていたものを、私は人工臓器が専門ですけど、そういうところに使わせていただいて、何でこんな会社が人工臓器に関係しているのだということもよく言われましたけれども、ぜひともそういう観点でも文部科学省に考えていただけたらと。考えていただいていると思いますけど、そういうのを出口に持っていく作戦も今回ある程度立ってきたのかという気はしますが、御意見としていただいて、どうもありがとうございました。
 続きまして、谷岡委員、お願いいたします。
【谷岡委員】 ありがとうございます。今回、私は医療機器の業界から参加させていただきました。妙中先生が主査ということもありましたので、医療機器の開発関係に関してもいろいろと御議論いただきまして、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
 また、文部科学省の皆様には、取りまとめをはじめ、特にこの報告書では省庁の連携というところについて多く明記いただいたと思っておりまして、ぜひ、今後、実現に向けて、よろしくお願いいたします。
 医療機器は、皆様御存じのとおり、メス、ピンセットから人工心臓まで非常に多種多様で、最近は、プログラム単体の医療機器ですとか、ウエアラブルの製品とかが、どんどん出てきました。一方で、医療機器は輸出入で赤字です。1兆円超えというデータもありまして、グローバルな時代ではあるのですけれども、つい最近、医療インフラとしての国内の医療機器の弱さというところを痛感したところでもあります。こんな状況ですので、今後さらに異業種参入も含めて開発を推進するためにはどうしたらいいかということで、医療機器に関しての狭い視点からですけれども、私たちができることも含めて、2点ほど、コメントさせてください。
 まず1点目は、私、前からずっとコンサルのことについていろいろと質問等をさせていただいたりしたのですけれども、この件です。絡んでいます。実は、コンサルの件に関しては、これまで自分たちの経験や近い企業の方々からのお話から問題意識として感じているものだったのですけれども、今回、ここに参加させていただいて複数の先生方のお話を伺って、コンサルテーションというのが、こういう機器開発は特にかもしれませんけれども、異業種から入ってくるという意味でいくと特にそうかもしれないのですが、非常に重要な役割を果たしているということを再認識しました。だからこそ、コンサルの在り方については今後も引き続き検討していく必要があるのではないかとを思っている次第です。背景として、医療機器を取り巻く環境ですが、この前、薬機法を改正されましたけれども、この中でも新たな制度ができたり、規制改革会議でプログラム医療機器に関する検討がされて急ピッチで審査の環境が整備されたり、また、今、保険償還の在り方とかの議論も始まり出しています。本当に、とても目まぐるしく変化をしています。ですから、今後は、こういう最新の情報とか現状を踏まえて適切な助言が行われているかとか、状況によっては方向転換を進言するというような、適切な助言がますます重要になるだろうと思いますので、とても難しいのですけど、そういうことが必要だなと思っています。この件は恐らくこれまであまり表立って議論されることはなかったのかもしれないと思っているのですが、この報告書に書いていただいたこともきっかけにして、継続的に質の高いコンサルが可能となる状況とか環境の整備ということの方向へ進めていただければということをお願いしたいと思います。恐らくこれは、文部科学省だけではなくて、省庁連携、それから、人材育成、人材交流というのが非常にキーワードになってくるのだろうと思います。また、一方で助言を受ける企業側のレベルアップは非常に大事になりますので、その件も含めて、今後、業界としても一緒に考えさせていただきたいなと思っています。
 2点目ですが、今回、直接的に議論されたわけではないのですけど、開発の終盤に直面する治験とか臨床研究とか、臨床データの関係です。医療機器の治験というのは医薬品とは大きく違った部分がありまして、フェーズがないとか、治験を要しないものが大半だということがあります。これは医療機器が多種多様だということに起因しているのだと思いますが、一方で規制はどうしても一律規制になってしまいます。当然、医薬品がお手本で基となる規制ですので仕方のないところもあるのですけど、何とか開発を推進するためにも多種多様な状況を反映することができないかというところが、我々の考えているところです。例えば、今、臨床研究法の見直しがされていますけれども、私たちは臨床研究部会で一律規制を見直してほしいという要望も出させていただいたりしております。一方で、あるシンポジウムの中で医療機器の治験をもっと効率化すべきだと議論がされたりというのもあります。治験は高過ぎるとか、時間がかかり過ぎるというような点です。今後は、プログラム医療機器など、サイクルの非常に短い製品も出てくるので、医療機器としての臨床データの取得とか、治験の在り方とか、まだまだ考えていく必要があるのだと思っているところです。この辺りは主として厚生労働省側の規制の話になってくるのだと思うのですけれども、ただ、アカデミアや医療機関の先生方とはとても深く関わるお話になると思いますので、今後、ぜひ助けていただければと考えています。今後ともいろいろ積極的に取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 以上です。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。今お話しされたこともとても重要な話で、これは、終始一貫、文部科学省ともお話しさせていただいていることで、最初から一番後の出口のところを意識して、精緻化はなかなか難しいにしても、あと何があるのだということは常に分かっておいて政策を立てていくということはとても大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私、最後になりましたけれども、委員として、感想というか、述べさせていただきたいと思います。私、これを主査として引き受けさせていただいたときに、これまでもAMEDを中心に基礎研究から実用化までの様々な事業に関わらせていただいているので、まず、その現状を文部科学省の方々にどうやって分かってもらうかというところに腐心しました。そこで、マインドをある程度変えてもらわないと動かないのだろうということで文部科学省の方々には結構きついことも言わせていただいたと思うのですが、よく取り入れていただいたと思います。その結果、皆さん異口同音におっしゃっていたように、省庁間連携が深まったのではないかと思います。文部科学省も、経済産業省、厚生労働省とのディスカッションをこれまでにも増して深いところでしていただけたのではないかと思います。それとともに、実用化を担当している研究開発法人のAMED、あの活動にもかなり理解を深めていただいた、各部局とのやり取りもあったのではないかなと思っております。そういうことも含めて、今回、報告書としてまとまるようになるわけですけれども、これを実行していただくことはとても重要だと思います。今日説明していただいた中でも、今のところはこういう文言になっておりますけれども、今後、AMEDの部局、あるいは各省庁との話合い等を深めて、もう少し、どのように運用していくかを考えていきたいというお言葉をいただいているので、私はそれに大変期待しておりますので、報告書ができたからそれで終わりではなくて、これがスタートだという気持ちでおりますので、そのことをぜひ生かしていっていただけたらと思います。文部科学省だけではなくて、文部科学省はこういう取組をしているのだから、ほかの省庁もこういうふうに変わる、AMEDもこういうふうに変わるということ、あるいは、参加いただいている大学の先生方、企業の皆さん、それが一緒になって、新しい医療技術、医療機器とか医薬品も含めて、日本が外国に勝っていけるような、それから、こういうところに参加した方々が成功していただくと若手が偉くなるということもありますし、既にエスタブリッシュしている方々がさらによくなるということ、そこはとても大事なことだと思うので、そういう方向で進んでいただけたらと思います。
 私の意見は、以上です。
 御意見、ありがとうございました。本日予定しておりました議事は以上ですが、ほかに、御意見、御質問とか、ございますか。ありましたら、お願いいたします。
 よろしいですか。特にないようですので、進行を事務局にお返しいたします。よろしくお願いします。
【根橋課長補佐】 ありがとうございます。本日も含め、これまで大変有益な御議論いただきまして、誠にありがとうございました。事務局より、御礼申し上げます。
 今回最終回ですので、これまでの会議の運営に御尽力いただきました妙中主査から、御挨拶のほうを賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【妙中主査】 今回の検討会の結果とか、文部科学省に対するお願いといいますか、意見は先ほど述べさせていただいたとおりです。私としては、この主査を引き受けさせていただいて、最初はとても大変だと思ったのですが、参加いただいた委員の皆様のおかげで、先ほどもお話ししましたように、ベンチャーキャピタリストの立場、大学の研究者、開発者、企業の立場から、本当に忌憚のない適切な御意見をいただいて、何かいい方向に動くのではないかというものができた気がします。先ほど言ったことの繰り返しになりますけど、これがスタートですので、今後も、文部科学省、あるいは、経済産業省、厚生労働省、AMEDには、ぜひ頑張っていただきたいなと思っております。
 以上です。どうもありがとうございました。
【根橋課長補佐】 妙中主査、ありがとうございました。
 事務局を代表しまして、ライフサイエンス課長の武田より、御挨拶させていただきます。
【武田課長】 文部科学省ライフサイエンス課の武田でございます。閉会に当たりまして、一言、御挨拶を申し上げたいと思います。
 先生方におかれましては、重ね重ね、御多忙の中、本検討会に本日を含めて4回の会合に御出席をいただいて活発な御議論いただきましたこと、改めて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 本検討会、文部科学省は基礎研究を所管しているわけですけれども、医薬品・医療機器等の研究開発において産学連携施策はどうあるべきかという、古くて新しいというか、長い間議論されているのだけれども、なかなか進まないというような、こういう非常に難しい課題について、御議論いただきました。まさに、最後の弊省への御意見なども含めて、非常に本質的な御意見を数々いただいたと思います。例えば、実用化に向けたアカデミアと企業との認識のギャップですとか、開発経験を有する企業にどうやって参画していただくのかと。また、他省庁事業との連携というのは口が酸っぱくなるほど皆さんに言っていただいていますけれども、こういう点について多くの御意見をいただきましたこと、本当にありがとうございます。我々としては、今回御議論いただきました方向性を踏まえまして、ACT-M、ACT-MSの強みである産学連携の仕組みを橋渡しのプログラムのほうに導入していったり、他省庁との連携をより一層どうやって高めていくのかということを考えつつ評価をしていきたいと思いますし、先端計測分析技術・機器開発プログラムについては、これを土台にして産学連携をより強化した後継事業を立ち上げていくことも検討していきたいと思っております。
 最後になりますが、妙中主査をはじめ、各委員の先生方には、大変お忙しい中、御参画いただきましたこと、重ね重ね御礼を申し上げるともに、先ほど妙中主査からもおっしゃっていただいたように、これは終わりではなくてスタートだということだと思いますので、引き続き、御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、簡単ではありますが、私からの挨拶にしたいと思います。本当にありがとうございました。
【根橋課長補佐】 最後に、事務連絡をさせていただきます。本日の資料につきましては、会議終了後、ホームページに掲載し、議事録については、事務局にて案を作成して、皆様にお諮りした上で、ホームページに掲載いたします。
 これにて本検討会は閉めさせていただきます。これまでありがとうございました。
【妙中主査】 ありがとうございました。
―― 了 ――

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