産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会(第2回)議事録

1.日時

令和3年4月14日(水曜日)14時02分~16時01分

2.場所

文部科学省17階 研究振興局会議室(オンライン会議)

3.出席者

委員

妙中主査、近藤副主査、安西委員、上村委員、大菊委員、長我部委員、菅野委員、谷岡委員

文部科学省

武田課長、高木戦略官、岩﨑企画官、根橋課長補佐、飯塚専門官、齊藤課長補佐、建部専門官、赤坂調査員

発表者

岩﨑 甫(日本医療研究開発機構(AMED) 医薬品プロジェクト PD/山梨大学 副学長)

オブザーバー

千葉 勉(日本医療研究開発機構(AMED) 産学連携医療イノベーション創出プログラム PS/関西電力株式会社 関西電力病院 病院長)
中西洋一(日本医療研究開発機構(AMED) 橋渡し研究戦略的推進プログラム PS/北九州市立病院機構 理事長)
塩見篤史(日本医療研究開発機構(AMED) 実用化推進部長)
竹上嗣郎(日本医療研究開発機構(AMED) 医療機器・ヘルスケア事業部長)
宮川昭二(日本医療研究開発機構(AMED) シーズ開発・研究基盤事業部長)

4.議題

(1)有識者からの情報提供
   産学連携による医薬品の研究開発の在り方について
   発表者 岩﨑 甫 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 医薬品プロジェクト プログラムディレクター

   産学連携による医薬機器等の研究開発の在り方について
   発表者 妙中義之 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 医療機器・ヘルスケアプロジェクト プログラムディレクター
   発表者 竹上嗣郎 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 医療機器・ヘルスケア事業部長
(2)医療分野研究成果展開事業 事後評価
(3)医薬品・医療機器等の研究開発における今後の支援の在り方
(4)その他

5.議事録

【根橋課長補佐】 定刻を少し過ぎてしまいました。申し訳ございません。ただいまより、産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会を開会いたします。
 ライフサイエンス課の根橋と申します。4月1日にライフサイエンス課に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点より、本日、ウェブ会議にて開催させていただく運びとなりました。委員の先生、御発表いただく先生及びオブザーバーの皆様におかれましては、御配慮、御協力いただき誠にありがとうございます。
 本日の議事は、全て公開でございます。会議資料及び議事録を、弊省「ライフサイエンスの広場」のホームページで公開いたします。
 なお、ウェブ会議システムで御参加いただいております委員、オブザーバーの皆様にお願いしたいことが2点ございます。マイクはミュートにしていただき、御発言の際だけオンにしていただくようお願いいたします。映像や音声が乱れる等の不具合が生じた場合、ビデオをオフにすると、音声が改善する場合がございます。
 続きまして、一般傍聴者の皆様にお願いしたいことがございます。会議に入りましたら、マイクはミュートにしていただき、ビデオをオフにするようお願いいたします。また、会議中、主査及び主査の命を受けた事務局職員の指示に従っていただきますよう、お願いいたします。また、システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただきますと幸いでございます。
 本日は扇田委員が御欠席との連絡をいただいているほか、御欠席、遅参の御連絡はございません。現在、8名の委員に御出席いただいており、本検討会の定員は9名ですので、定足数に達していることを御報告いたします。全ての委員には、ウェブ会議システムにて御参加いただいております。よろしくお願いします。
 また、発表者として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 医薬品プロジェクト プログラムディレクターの岩﨑甫先生にお越しいただいております。また、オブザーバーとして、AMEDや経済産業省などの方々に御出席いただいております。出席者の御紹介は以上になります。
 以降の議事進行は、主査である妙中先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 
【妙中主査】 妙中です。よろしくお願いします。以降、私が議事の進行をさせていただきます。
 まず、事務局から、本日の議事及び配付資料について確認をお願いします。
【根橋課長補佐】 議事次第を御覧いただきたいと思います。本日の議事及び配付資料については、お手元の議事次第のとおりでございます。本日は、事業に深く関わられてきた方からお話をお伺いし、今後の施策の方向性を中心に、御議論いただきたいと考えております。また、今回オンライン会議を実施しており、資料は全て事前に事務局より送付してございますので、そちらを御覧ください。
 不備等がございましたら事務局にお申しつけください。以上でございます。
【妙中主査】 不備等ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、これより議事に入ります。なお、委員、発表者、オブザーバーの方の御発言は、私が御発言をお願いしてから行うようにお願いいたします。
 では、議題1、有識者からの情報提供に入ります。まず初めに、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 医薬品プロジェクト プログラムディレクターの岩﨑甫先生に御発表いただきます。資料は1-1です。
 それでは、岩﨑先生、15分で御発表をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
【岩﨑PD】 妙中先生、御紹介ありがとうございました。AMEDの医薬品プロジェクトのPDを務めております岩﨑でございます。では、資料をまず共有させていただきます。
 それでは、この資料に基づいて発表させていただきます。本日は15分ほどで、医薬品に関します産学連携について発表させていただきます。一応表題は、「産学連携による日本オリジンの新薬創出を如何に加速するか!」ということで発表させていただきます。次、お願いいたします。
 これは最近数年、非常に革新的な医療技術の開発が続いたことは、先生方よく御承知のことだと思います。悪性腫瘍に対するキムリア、CAR-T、それから核酸医薬、遺伝子治療、この右に載っている「SCIENCE」というのは、遺伝子治療が一番初めに「SCIENCE」に取り上げた72年だと思いますけれども、いろいろと紆余曲折ありましたけれども、最近は遺伝子治療も出てきた。
 それから、こういう新規の革新的な技術というのは、海外だけではございません。日本でもステミラック、これは再生医療でございますが、それから、遺伝子治療に属すると思いますがコラテジェン、それから核酸医薬のビルトラルセン、こういうものも出ておりますし、今年はmRNAのワクチンで、非常に優れた効果が示してあることが言えると思います。これらの多くは、御承知のように、もともとの起源はアカデミアの先生方が研究開発したものを、実社会、臨床に提供しているということがございます。次のスライドをお願いできますでしょうか。
 このように、新薬、新規医療技術の創出は、もう既に製薬企業の中央研究所で行う、いわゆるクローズドなイノベーションではなくて、それぞれの得意分野に従って、それぞれの関係するアカデミアの方々、CROの方々と協力しながら行う、オープンイノベーションといいましょうか、エコシステムといいましょうか、こういうものになるというのは、2000年ぐらいに、ロシュのCEO、Juergen Drewsが将来こういうふうになると言っておりまして、現実、実際こうなっております。新規の医療技術、医薬品も含めてですけれども、この創出にはアカデミアが非常に大きな役割を果たしていることが言えると思います。次のスライドをお願いいたします。
 これはFDAから毎年出ております、Novel Drug Approvalsという資料に基づきまして、うちの教室の者が、どこから出てきたのかと、そのオリジンを可能な限り追求した結果です。このオレンジ色がアカデミア、またはバイオベンチャー由来の新薬で、その割合が非常に高くなっている。いわゆるメガファーマーからもともと出たものは、その占める割合が低くなっていることが分かります。
 このように、アカデミアの研究は、実用化に向かって大きな役割を果たして、それが産学連携に基づいて医療現場に提供するということが、欧米では一般的になってきております。次のスライドをお願いいたします。
 日本でも、このようにアカデミアの創薬を推進しようという試み、取組は、既にかなり前から始まっておりまして、その1つの代表的な取組が、橋渡し研究支援の橋渡し研究に関するプログラムです。これはもともとは2004年のがんのトランスレーショナルリサーチ事業から始まったものですけれども、第1期、第2期、現在第3期ということで進んでおりまして、2015年に文部科学省橋渡し研究、それから、厚生労働省の類似の事業を統合いたしまして、革新的な医療技術の創出拠点事業が発足いたしました。2015年には統合して、日本医療研究開発機構(AMED)が創出されたのは御承知のとおりでございます。次のスライドをお願いできますでしょうか。
 この橋渡し研究戦略的推進プログラムは、先生方御承知のことだと思いますが、アカデミアの研究の実用化を目指したものに対してそれを支援しようというもので、シーズA、B、Cという大きな3つの大くくりでアカデミアの先生方の研究を分類して、それぞれにAMEDから支援をする仕組みになっております。シーズAは、まだ探索的な段階でありますけれども、特許、知財を獲得する。実用化に当たっては、知財、特許の獲得は非常に重要な要素でございますので、研究が研究だけに終わらないように、知財、特許を取得していただいて、さらなる研究の基盤を固めていただく。そういうものがシーズAに分類されております。
 シーズAの次には、実用化を目指して非臨床のPoC(Proof of Concept)、薬効について、非臨床でそれを確認していただく。そういう時期になりますと、シーズBというカテゴリーに入る。それが臨床開発の段階、臨床でのPoCを確立する段階の課題に関してはシーズCで、それぞれ支援を行いながら、これを育てていく。
 この支援に当たっては、橋渡し研究支援拠点が定まっておりまして、この橋渡し研究支援拠点における支援の組織、これは各大学の先生方が非常に御苦労されてそういうものをつくっていただいて、今、支援事業を行っておりますが、日本全国に現在ある橋渡し研究拠点、それから、厚生労働省の臨床研究中核病院も併せて、革新的医療技術創出拠点が、今形成されておりまして、そういう拠点の先生方、拠点のシステムの支援の下に、実用化を目指した研究を進めていただく事業が実施されて、これが進んでおります。次のスライドをお願いいたします。
 これは少し古くなりますが、どのようなシーズがそこから生み出されてきたかを、概略、疾患別、領域別に示したものですが、1,500以上、今では1,700幾つだと思いますけれども、生み出されてきている。次のスライドをお願いいたします。
 こういうものが、実際実用化を目指して、医師主導治験と、それから企業へのライセンスアウト等を進めていただいて産学連携を進めることで、非常に研究者の先生方にとっては、力強い支援事業になっているのではないかと思いますし、こういう成果が年々蓄積されてきていることが言えると思います。次のスライドをお願いいたします。
 このようなアカデミアにおける橋渡し研究支援事業の成果を私なりに考えてみますと、この事業を通じまして、アカデミアでの研究を臨床現場に提供する意義、こういうものが研究者の先生方、非常に高い理解を持って進めていただいているのではないか。こういう意識を、理解を進めるのに、この橋渡し研究事業は大きな役割を果たしているのではないかと思います。それから、アカデミアの基礎研究の実用化を目指すプロセス、これがやはり研究は研究ということだけではなく、先ほど申し上げましたように知財を取得する必要性とか、トランスレーショナルリサーチを進めていく方法、こういうものを、プロセスに対する理解も、アカデミアの先生方に深まってきているのではないかと思いますし、それから、何よりも患者さんに届けるためには薬事承認を目指す、これが必要だということの理解も進んできたと思います。医師主導治験、これは革新的医療技術創出拠点プロジェクトで、第1期にそちらを担当させていただいたときに、アカデミアの先生に、ぜひこの方法で薬事承認を目指していただきたいということをお願いしてきた経緯もありますが、こういうことを通じまして、こういうことに対する必要性が高まってきた。
 それから、これを支援する支援組織の構築の必要性。それから、それを支える人材の育成、こういうものも必要だと理解されてきて、それが進められている。これはなかなか簡単ではありませんが、各拠点の先生方、大変御苦労されまして、こういうものが進んできたのではないかと思います。次をお願いいたします。
 この橋渡し研究の成果だけではございませんけれども、アカデミア研究の、日本における新薬、新規の医薬品を創出するに当たっての貢献度を、これが先駆け審査指定制度、これは一種の特別な審査制度で、PMDAが導入しておるものでございますけれども、それぞれの分野において、最初に承認を得たものは、全てアカデミアの先生が、そのオリジンを担っていらっしゃった。それぞれAMEDのほうからの橋渡し研究だけではありませんが、様々な支援をさせていただいて、その成果が現れた例と言えると思います。次のスライドをお願いいたします。
 ただ一方、別な視点から見ますと、橋渡し研究におけるシーズA、B、Cの企業との連携がどうなっているかを見ますと、Aは探索段階ですので、なかなかその段階で企業との連携が進んでいることは少ないと思いますけれども、シーズCは、もう臨床開発を始める段階ですので、その先にはやはり製薬企業の方々によって承認申請をしていただくことが視野に入っているべきだろうと思いますけれども、このデータでは、それがまだ半数程度にとどまっているということで、十分に現在のところ、橋渡し研究においても企業連携、産学連携が十分に行われていないのではないかと懸念も生じるデータでございます。次のスライドをお願いいたします。
 この橋渡し研究事業は、そのようなことでアカデミアの先生方が実用化を目指す志を持って事に当たるときに、非常に有意義な研究支援事業と思いますが、これも産学連携をさらに強化するためにはどのような方策が必要か、私なりに考えてきたものがこのスライドに示してあります。いずれにしても各ステージ、A、探索的な段階、それから、もう少し進んだ段階、臨床に入るという段階、各ステージにおいて、バイオベンチャー、日本ではこれはなかなか難しいと言われていますけど、こういうものを含めまして、 企業との関係構築を推進することが必要であろうと。
 具体的には、この1に書いてありますが、シーズA、探索的な段階から企業との対話を始めていく。こういうことに関しては、この仕組みをつくることが、今AMEDの創薬事業部でも進んでおりますので、開発経験者からのアドバイスをいただく検討会、こういうものも非常に有用ではないかと思っております。
 それから、もう少し開発の進んだ段階においては、企業との具体的な連携を推進する。これを橋渡し研究に関して、義務化をしたらどうか。例えば、シーズB、非臨床のPoCを目指す段階ですが、この段階で企業との関係構築を始めることをしていただく。シーズCに至っての段階では、これは採択する場合に、企業連携がなされていることを原則的な条件にすることはどうかと思っております。これは既に、橋渡し研究の公募要領に、ここの下に書いてありますが、企業導出が非常に重要なので、そういうことを進められていることが望まれるという文言が既に入っておりますが、こういうようなことで、もう少しこれを強めてもよろしいのではないか。
 それから、企業からのコミットメント、一緒にやりましょう、私たちがやりますよというはっきりした意思表示があるものに関しましては、これを支援するシーズ枠、A、B、Cというところ以外のシーズ枠をこの橋渡し研究に設定してもよろしいのではないか。こういうことによって、産学連携をより推進して実用化を目指すスピードを上げていく。それが研究者の先生に対する支援になると、こう思っておりまして、私としては、こういうものを検討したらいかがだろうかと思っている次第であります。
 最後のスライド、次は、これは一般的なものですので、新規の医療技術の創出の推進のためには、産官学それぞれの立場から、お互いのことを理解しながら、協働体制を構築する。これが日本のよいポテンシャルを生かして臨床の現場に届ける。それから、日本だけでなく世界の患者さんに日本の成果を届ける、こういうことが必要ではないかと思いますので、アカデミアオリジンの画期的なもの、産学連携によって進める方策、これが幾つかの具体的な方策を伴いまして、進むことを願っております。
 私からの今日の発表は以上です。どうも御清聴ありがとうございました。
【妙中主査】 岩﨑先生、どうもありがとうございました。
 ただいまの説明などについて、御質問等がありましたらお願いします。手を挙げていただくか、画面出していただくか。よろしいですか。
 では私から1つ、岩﨑先生へ質問させていただきます。12枚目、最後から3枚目、各ステージにおけるバイオベンチャーを含む企業との関係構築の推進、シーズAから始める開発早期の段階からの企業との対話というスライドですが、これは私、医療機器に関してもすごく同じようなことを考えていまして、基礎研究、医療機器の場合は、臨床研究、治験なしで成果、製品になるやつも出てくるので、そういう意味からすると、シーズAなりシーズBの初期、プレBというのに当たるのでしょうか。この辺りから、既に企業との対話はもちろんですけど、どのような戦略で事業化していくか、各種のコンサルティングも、この段階で入っておいていかないといけないのではないかなと強く思っているのですが、医薬品とは少し違うと思うのですが、その辺りいかがでしょうか。
【岩﨑PD】 先生、ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、医療機器と医薬品は多少異なる面もあろうかと思いますけど、基本的なところは同じで、やはりアカデミアの先生の研究を実用化するためには、どこかの時点で企業に橋渡しをする。引き受けていただいて、薬事承認につなげることが必要ですし、それに当たっては、アカデミアの研究者の先生方の考えていること、それから、企業の方々が実用化に関して必要なこと、このずれというものをできるだけ少なくするという仕組みが必要だろうと思います。
 アカデミア先生方、やはり自分で創出されたいいシーズに関して、何とか実用化したい。私がやっているのは、これはすばらしいと思っていらっしゃる方が多いわけですけれども、それはそれで大事ですが、それだけではやはり薬事承認といいますか実用化、患者さんに提供するにはまだまだ不十分な部分もあろうかと。こういうところは企業の経験者の方々とともに意見交換をしながら、ともに歩むということが必要だろうと思いますし、それはできれば早く始めたほうがよろしいと私は思っております。この辺は、実際に対話の場をつくることによって、具体的な方策を互いに語り合う、そういう機会、こういうものから始めたらいかがかと思っている次第です。
【妙中主査】 ありがとうございました。医療機器の場合は、特に異業種からの参入も多くて、それなので、今まで一度も医療機器の製品化をしたことがない。そういうものもありますし、それから医療機器メーカー、製造販売業を持っておられるところも、必ずしも大きな企業だけではなくて、その辺の薬事戦略であったりとか保険戦略、非常にプリミティブなところも多いので、薬よりももっとそこのところは大事かなと思っております。
 ほかに御質問ございませんか。
【上村委員】 すみません、大分大学の上村ですけど。
【妙中主査】 どうぞ、上村先生、よろしくお願いします。
【上村委員】 岩﨑先生、非常に分かりやすいプレゼンテーションありがとうございました。幾つか、もし分かれば御教示いただきたいのですが、特にシーズA、B、Cと進んでいく中で、企業連携、少しずつできているケースが多くなってくる。それはよく分かるのですが、シーズCの中でも、企業との連携ができてないというケースが結構な数があると思います。そこの特徴といいますか、どうして企業が一緒にやりたがらないのか、もしくはアカデミア側の何か取組が悪くてできないのか、それとも産業界側のニーズと合ってないのか、どういう特徴があって、そういった連携が進まないということが起こっているのでしょうか。
【岩﨑PD】 上村先生、質問どうもありがとうございます。先生もよくよく御承知のことだと思いますけれども、アカデミアの先生方から生み出されるシーズは、やはり医療現場から、この患者さんを治したいというようなところから出てくるものが多いような気がいたします。そうしますと、今の段階でも治療が難しい、それから、治療法がなかなか開発されていない難病とか、それから、1つの疾患でも非常に重症な患者さんに対する治療法というようなことが多い傾向があろうかと思います。そうしますと、どうしても技術そのものが非常に革新的で、企業の方にとってはなかなかなじみが薄い。それから、患者さんの数とかビジネス的なニーズが、企業にとってはなかなか採算を考えますと、着手ができないというようなこと。そういう様々な要素があって、必ずしもアカデミアの先生方の研究が、企業の方にとってジャストフィットというところはそれほど多くないのではないかなと思っておりますし、それが現実だろうと思います。
 ただ一方で、先生も御承知のように、最近の世界の趨勢を見ますと、希少疾患であろうが、患者さんが少ない状況であろうが、医療品、医薬品の開発に非常にセオリティカルなアプローチが可能であるものに関しては、開発のスピード、それから開発の方法も非常に効率的な方法があって、それで承認に至る例も多く見られるわけで、小さく産んで大きく育てるみたいな、そういう戦略も欧米ではもう珍しくなくなっている。日本の企業の方々も、そういうところのチャレンジをしていただくと、より産学連携が進むのではないかなと感じております。
【妙中主査】 よろしいでしょうか。
【上村委員】 ありがとうございます。
【妙中主査】 ほかによろしいですか。
 それでは、岩﨑先生、どうもありがとうございました。
【岩﨑PD】 どうもありがとうございました。
【妙中主査】 続きまして、私から発表させていただきたいと思います。資料1-2です。共有をさせていただきたいと思います。しばらくお待ちください。スライドショーにさせていただきます。見えておりますでしょうか。
 私は、AMEDの医療機器・ヘルスケアプロジェクトの方向性ということで、基礎研究を実用化に結びつけるための考察ということでお話をさせていただきたいと思います。
 第2期目のAMEDのフェーズに入りまして、医療機器・ヘルスケアプロジェクトの推進方針を出しておりますけれども、重要なところは、医療機器・ヘルスケアプロジェクトの統合的な運営ということを考えております。PDがPS、POと共に事業運営を省庁事業横断的に見ていく。各省庁から予算の出所はあるのですが、それらを連携させながら、AMEDとして事業運営をしていくことを考えております。
 もう一つは、医療機器開発のエコシステム体制の整備で、これは次のスライドでもお話をさせていただきますが、ベンチャー支援の強化であったりとか、それから異分野連携の推進。これは三島理事長がいつも言っておられるのですが、医療ではない分野から、様々なところからの運営も考えております。
 これが大体の概要ですが、様々な技術を用いて、診断治療の高度化、あるいは医療現場ニーズの大きい医療機器や予防、QOLの向上を目指して、医療機器・ヘルスケアに関して研究開発を行っております。
 基礎研究に関しては、先端計測分析技術であったり、ACT-Mであったりとか、そういうもののより早期の基礎研究、あるいは応用研究、非臨床試験のあたりの支援をさせていただいていますけど、これを支えるに当たって、全体の基盤として、医工連携イノベーション推進事業、これは私、PSをさせていただいておりますが、こういうふうに補助金を出すだけではなくて、こういうコンソーシアムに関して事業化コンサルティングをやることで、医療機関支援ネットワークと呼んでおりますけれども、それを通じた事業化支援をやるということが1つ。
 もう一つの基盤整備としては、次世代医療機器連携拠点整備事業、これも私、PSをさせていただいておりますけれども、14の全国の医療機関で、ニーズの発見から研修プログラムの支援、あるいは、臨床現場に企業の人が参加してもらうことも含めて、事業化支援をやらしていただいている。こういうような流れで、AMED一体となって事業を推進しております。
 これが事業全体の流れですが、基礎研究、応用研究、非臨床、この辺りのところからより広い、後の実用化を目指して出ていくのための導出であったりとか、そういうことについてお話をさせていただきたいと思います。
 幾つかのものが、こういう研究開発の基礎のところから、次の事業に導出されておりますが、少し厳し目に見ると、必ずしも十分な数が導出されてないのかなと少し感じております。私がPSをさせていただいております医工連携イノベーション推進事業、臨床ニーズから始まって、中小企業とかベンチャー、あるいは、医療機器メーカーと連携をさせて事業化をしていくことで、結構たくさんの数の製品を出すことができています。この1つの理由は、後でお話をしますが、事業化コンサルティングの支援。先ほども少しお話をしましたが、それがすごく有効だったのではないかなと思っています。
 事業化コンサルティングを、より広い範囲の皆さんにも使ってもらうことで、再掲になっていますけれども、ここに書かれています基盤を使って、医療機器支援に関するネットワークを支援することで、ここから結構いい案件が導出されてきつつあるというのが、現状だと考えております。ただ、医師主導の治験、先ほど橋渡し研究のお話もありましたけれども、そこのフェーズに来ているものでも、あまりたくさんのものが実用化に至ってない。あるいは、もう一度開発のフェーズを逆戻りするような支援に移ることもあって、この辺りもどうしたらいいのかなと。この辺りに関しても、事業化コンサル等の支援というのがすごく必要になってくるのではないかなとも感じています。
 先端計測、最も基礎研究に近いところから、私たちがやっている事業化推進事業に移ってきた例があります。これはAMEDの理事長賞をもらった案件ですけれども、先端計測でやっている時代から、研究開発支援ネットワークの支援を受けて、この事業を出口に持っていくための作戦の大筋をブラッシュアップさせていただきました。その後、この事業に採択された後、さらに事業化コンサルでブラッシュアップすることで、薬機法対応を戦略化して、現在、企業治験を開始して、世界で初めてのマイクロ波マンモグラフィーの開発が行われつつあります。
 この事業は、少しお話させていただくと、もともとは高速道路のトンネルなんかの亀裂を検出するような技術だったわけですけど、それを乳がんの検出に用いたということで、薬機法対応をしっかりやったことと、QMS体制の支援をやることで、企業治験まで至っています。
 さらに、これは迷走神経を刺激することで、心筋梗塞の予後をよくしようというもともとの発想のものです。だけどこれも最初は、これはベンチャー企業ですけれども、この企業のサイズでは、心筋梗塞の予後を改善するような治験はとても組めないというようなことで、そこのところでこれも医療機器開発支援ネットワークの支援を受けて、そこの作戦として、心筋梗塞の予後というのではなくて、むしろもう少し手前の、心臓の脈拍をゆっくりさせるようなデバイス、そういう効果で製造承認を取る作戦に来て、それをさらに事業化コンサルを入れてブラッシュアップして、医師主導の治験の準備に入って、これもこのサイズの企業だから、企業治験では最初からやるのはなかなか難しい。それなので医師主導治験を使って出口に持っていくという、こういう支援をさせていただいていて、こういう事業化コンサルティングの機能で基礎研究を、より後のフェーズに持っていくことがだんだん実現しつつあります。
 参加企業も、結構ありがたいことに様々な医工連携事業に関して、異業種であったりとか、製造販売業にもたくさん参加してきていただいているのですが、これは少し厳しめに見ると、なかなかここから本当に事業化に行くのは行きにくい。私が結構厳しめに見ているので、企業資金による研究開発が継続しているシーズもあるけれども、それについては、なお精査が必要であると考えています。
 これは先ほどお話しした95製品が事業化されたもので、全部で180ぐらいのプロジェクトを支援したのですが、そのうち半分ぐらいの製品が出ているというようなことで、割と成功してきているものではないか。これを使って、医療機器の開発支援をやっていこうというようなエコシステムの考えを持ちつつあります。
 具体的に言うと事業化コンサルティング、それから、現在は医療機器開発支援ネットワークになっていますけれども、当初はこの事業に採択された課題が対象で、こういうような幾つかの非常に重要なポイントに対して、事業化を加速するために事業開始当初から、薬事申請、知財、保険償還等あらゆる分野でのコンサルティングを行う。これを、3か月に1回ぐらいずっとやらしていただいて、こういうことによって、結構たくさんの製品化が出てきました。これを誰でもが利用可能なサービスとして創設して、先端計測やら、あるいはACT-Mのものに対しても支援をする展開になってきております。
 これは採択された課題ではないもので、全国から相談があったもので、相談したもののうち34%ぐらい、3分の1ぐらいが進捗をして、医療機器、あるいは非医療機器として製品化に、今、かなりのものが成功してきています。
 もう一つ大事なことは、撤退もすごく大事で、これって事業にならないとか、あるいは製造承認を取るために物すごく大きなハードルがあるということで撤退したものもありますし、ほかの製品との比較とかがあって、No・Goを決めるのも、効率を上げる意味では、すごく重要なポイントだったのではないかなと思っております。
 医療機器開発のためのエコシステムということで、これはAMED以外のものも含めて、私たちが研究開発をやっていた時点で考えていたものですが、医療機器に関しては、従来はほとんどいきなりここからやる。ある先生のアイデアがあったら、それを企業と一緒に連携してやると試作を始める。日本の企業の方々はものづくりの技術がすごくあるので、試作をする。それの試作をある程度繰り返す。動物実験やりながら、もう少しよくしよう、もう少しよくしようというふうにやる。ある程度動物実験に成功すると、そろそろ臨床にいこうかというような段階になってくるのですが、その時点で、PMDAとかに相談に行くと、まだ薬事戦略等が十分にできてないので、なかなかこちらに行かないというようなことがあって、ここで止まって、試作品止まりになることがすごく多かったわけです。
 そういう意味で、私たちがすごく重要だと考えているのは、ここの初期の試作はいいとして、それより前の段階、ニーズ発掘、これは医療従事者とか患者さんからもニーズを取ってくる、より広いニーズを取るということ。この段階で、施策よりも前に、市場調査や知財調査、薬事調査、保険関係、それからコンセプト立案、ビジネスモデルをしっかりつくっておくことが大事で、それを基に施策をつくり込んでいくと、ここから先にスムーズにより大きな予算、例えばAMEDの支援からもあるかもしれませんけど、ベンチャー企業であれば、VCからの可能性も出てくるというようなことがあります。
 この時点で、橋渡し拠点等での活動、私たちはこれをつくった当時は、早期探索的臨床研究拠点整備事業というのがありましたけれども、ここの活動もあるわけですけれども、ここにいくに当たっても、ここをしっかりやっておくと非常にいいプロトコールがつくれて、あるいは事業化戦略ができてきてこっちに行くというようなことがあります。ここから、もう一度ここに戻るのはすごい効率の悪い話で、ここのところをしっかりやっておくと、いわゆるこの辺り、魔の川と言われるようなところ、それから死の谷と言われるようなところ、あるいは販売とかにいくダーウィンの海というものを乗り越えていきやすいということで、ここがすごく重要だと私たちは思っております。
 これを落とし込んだのが医療機器開発マネジメントのAMEDのステージゲートです。これを見ていただくと、ニーズ・シーズ発掘から始まって、コンセプトの決定のあたりで既に事業化戦略を考えておかないといけない。知財、薬事、法規制、それからリスク分析、QMS、保険収載、あるいは学会との連携等も考えておかないといけないということがとても重要で、各段階それぞれのステージゲートを越えるに当たっても、こういうものをより精緻化していくことがすごく重要な作業だと思っております。
 もう一つのインフラとして、次世代の医療機器連携拠点整備事業、先ほど14拠点のお話をしましたけれども、臨床現場に立ち入っていただくというようなこと。専門家による講義とか、あるいはディスカッション、こういうような開発支援も含めて、人材育成が主なものでありますけれども、こういうところを含めて、さらに支援の枠組みを広げていく必要があると考えております。
 これは橋渡し拠点と臨床研究中核拠点と、この事業との関係を見てみたのですが、14拠点のうち7拠点だけがここのところに入っていて、これは橋渡し拠点の研究内容、提案内容を見ますと、自らの拠点だけではなくて、周りの拠点への支援もというようなことも書かれているので、こういう14拠点との連携も、とても大事な今後の医療機器開発に関してのエコシステムの一つになるのではないかなと思っています。
 医工連携の推進に関しては、これまでは医工連携は医学と工学の連携と考えてやっていて、大学や研究機関内の活動が中心で、企業はお手伝いみたいなところが多少あったのかなと思っていて、試作品止まりで終わっているものが多かったわけです。今後は、医工連携は医療と工業、あるいは商業の連携で、やはり社会での実践事業としての収益がとても大事で、注意するポイントとしては、できるだけ普遍的なニーズをやること。それから、プロジェクト参加者間のパワーバランスをしっかりとること。それから、ものづくり企業の試作の繰り返しはできるだけ避けること。初期にしっかりした目標を立てることがとても大事だと考えております。何よりもビジネスとして成り立つことが極めて重要で、これが今、AMEDで支援しておりますけれども、自律的に回る仕組みづくりに結びついていく必要があるのではないかなと思っています。
 研究開発の段階での現状と今後の課題ですけど、現状としては、医療機器メーカーを含む企業が入っている場合でも、基礎研究から次の段階への導出がまだやや少ない。いいものが出てきているのは事実です。だけど、やや少ないのかなと。臨床研究、特に医師主導の治験が研究のための治験にとどまっていて、事業化にも期待したほどつながってないのかな。最近は革新的医療技術の創出拠点などで、医師主導の治験をやったり臨床研究をやっているところから、もう一度実用化のための私たちの事業に入ってきているのもあるので、この段階に入るときには、常に実用化を考えておかないといけないと思います。
 それから、事業化コンサルティングが非常によく機能したと思っております。
 それから、AMEDのいろいろなACT-M/MSなんかでの面接審査のコメント情報などが充実していて、評価委員会での審査はよく議論できた。これも非常に大きなAMEDの成果ではないかなと思っています。
 今後の課題としては、基礎研究フェーズから、先ほどお話したような各観点の医療機器開発支援ネットワークの積極的な活用やアクセラレーションプログラムを行うこと。それから、臨床研究医師主導の拠点の事業なども含めて、あるいは橋渡し研究もそうかもしれません。全てのAMED事業に参加する大学や企業のそれぞれの組織の中に実用化担当者を配置する。企業だけではなくて、大学にもこういう者を配置して、あるいは、企業出身の事業化の視点で助言できるアドバイザーも活用すべきではないかなと思っております。さらに医機連などとの一層の協力も大事かなと思っております。
 期待する研究開発としては、重点領域、重点機器の決定の更新プロセスの構築が必要で、どこにそれを置くのかも考える必要があります。
 それから、基礎研究段階では重点領域を意識しつつも、革新的・独創的なものの出現も期待しております。
 それから、今後はニーズ主体だけではなくて、バリューベースドヘルスケア、各ステークホルダーがみんな価値を共有できるような、そういうような観点が必要ではないかなと思います。
 当然、データを使用するようなビジネスであったり、データプラットフォーム、それからウェアラブルデバイス、デジタルヘルスなどもすごく重要なポイントになりますし、医療とボーダーレスになりつつあるヘルスケア領域についてどう考えるかも重要かと考えております。以上です。
 続きまして、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の医療機器・ヘルスケア事業部長の竹上嗣郎部長に御説明いただきます。資料は1-3です。それでは、竹上部長、5分程度でお願いできますでしょうか。
【竹上オブザーバー】 妙中座長、このような機会をいただきましてありがとうございます。
 AMEDとしましても、令和4年度の予算要求に向けて、このように文部科学省と事前に意見交換ができること、今回の発表の資料の中でも執行経験踏まえたと書かせていただいておりますけれども、我々が思うところを発表させていただく機会があること、本当にありがたく思っております。今から申し上げますことは、幾つかの提案でございますので、これで反映してくれということではないのですが、先ほど妙中座長からご発言もありましたし、私自身も医療機器開発事業で妙中PDとずっと一緒にやらせていただいた中で思うところはいろいろあります。そういう中で、幾つかの提案を、この事業を、今回、令和4年度に向けて予算要求を 検討する中で考えていただくべきポイントかなということを、少しお話ししたいと思います。次、お願いします。
 この検討に当たって、特に先端計測事業を私は念頭に置いておりますけれども、先端計測事業の事業目的として重要なポイントは、AI・IoT技術、計測技術、ロボティクス技術の融合的な活用、医療現場のニーズが大きい医療機器開発、予防・高齢者のQOLの向上などのヘルスケアも含めた医療機器開発を行うことなのではないか。特にAMEDの側の立場からしますと、これは経済産業省事業、これは文部科学省事業、これは厚生労働省事業ということではなくて、省庁間の事業の一定のシームレスな展開、連携が重要になってくると思います。そういった観点から、医工連携事業と似たような議論をしている部分があるのかもしれませんけど、それはそれでやはり重要ではないかなと。どちらが上とかどちらが下とかということでもないと思います。
 その上で対象分野、ここはなかなか議論があるところですけれども、私がFAの立場から申し上げますと、どのような分野でも、幅広く受け付けるのではなくて、重点分野を示すべきでないか。特に、公募結果が出たところ勝負になること、要は応募案件次第で採択案件の分野が偏ったり、ということになる危険性が常にあります。そういう中で、まずどういう部分をやっていくかということを、重点分野なり重点的な考え方を示すべきではないか。そうでないと、政策効果は限定的ではないかなと考えます。
 他方で、アカデミア発のアイデアを実用化に結びつける基礎的な研究は、どの分野が重点ってなかなか言いにくいところもありますので、重点分野に限定するものでないとしても、重点分野をやはり意識すべきではないかと思います。少し字が小さいですけれども、経済産業省医工連携イノベーション推進事業では、8つの意識すべき重点分野を示して、これを公募時に明示をして、結果的に、ほぼ重点分野のうち半分以上、採択される見込みになるということです。次、お願いします。
 そうしますと、目標の在り方ということですと、やはり先ほどの妙中PDのお話にありましたように、開発する医療機器の要求仕様を決定して、製品開発ステージの他事業への、あるいは企業の事業化への導出を行うということが、1つ目標として考えられるのではないかと思います。
 研究実施期間、長い短い、あると思いますけれども、3年ぐらいはやはり必要かと思っております。原理検証が2年、要求仕様決定ステージで1年。今の先端計測が約3年ですので、同じようなイメージで考えるのが、文部科学省事業の中ではいいのかなと思っております。特にAI・IoT技術みたいなものを意識するものですと、3年でも少し長いと言われるぐらい技術の進歩が早いわけですから、そういうのも意識して考えていくと、物によっては3年より短いものもあるかとも思ったりします。
 あと評価のところ、採択した案件は、もちろん責任を持って採択したわけですから、最後まで走り切ってほしいわけですけれども、最後まで評価、支援し続けることは前提とせずと、少し厳しく書いていますけれども、ステージゲートをしっかり行うことも重要だと思います。こういうことは、別に競争環境をつくり出すことだけを意識しているつもりはもちろんなくて、継続的に参加研究機関、企業も含めた本気度を確認していく、そういう意図で、何か振り落とす、ふるいをかけるということを矢鱈にやるつもりじゃなくて、本気度を確認することが重要ではないかなと思っております。次、お願いします。
 その上でやるべき実施体制としては、様々なやり方があるのかもしれませんが、先端計測事業などの経験から踏まえると、やはり産学連携で、医師が参画した開発チームを、とか要件などを幾つか書いております。とともに3つ目のポツ、これは特に重要だと思っていますが、産と学両方において実用化担当者を配置するということが重要です。実用化を目指すといって、全体に求めるわけですけれども、やはり担当者がいて、自分の責任だ、自分の仕事だと意識づけすることが大事ではないかなと思っております。次、お願いします。
 これで最後ですけれども、開始した後、研究をどんどんやってくださいというだけではなくて、並行して様々な支援をやっていく必要があるのではないか。許認可とか保険償還に関わる指導、アドバイスを行うアクセラレーションプログラムといったものを実施するというのはあるでしょうし、あとAMEDは、実用化推進部という知財の専門部署を持っていますので、そういったリエゾン活用制度によって、知財の活用に向けたアドバイスを行うことができるでしょうし、あとは最終的に企業を見つけて実用化していくためには、マッチングイベントなども重要ではないかなと思います。こういった機会をつくるのも、やっぱりAMEDの仕事かなと思っています。その上で、必要に応じた四半期ごとの伴走的なコンサルティングというのも実施をしていかないと、やりました、できました、進捗状況はどうですか、とお尻を叩くだけではなくて、こっちの方向に進むべきでないかとか、そういったコンサルティングも重要ではないかと思います。
 すみません、いろいろ申し上げましたけれども、こういった観点が重要ではないか。これらを全て網羅するということではないのですが、こういったところが事業推進に当たって重要だなと思って、今回お話をさせていただきました。機会をいただきましてありがとうございます。以上でございます。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。
 ただいまの私と、それから竹上部長の説明内容について、御質問、御意見等ございますでしょうか。
 谷岡さん、よろしくお願いします。
【谷岡委員】 谷岡です。妙中先生、竹上部長、ありがとうございました。
 企業のほうで、開発の初期から薬事戦略から保険の申請までやっている者としてなのですが、本当にそのとおりだなということを御発表いただいて、特に妙中先生の11ページの図と、開発の初期から遠くを、最後を見通した上で進めるというところは本当にそのとおりなので、その方向でぜひ強力に推し進めていただくと、ありがたいなと思って拝聴しておりました。
 お二人の先生ともおっしゃっていた、コンサルティングに関して少しお伺いしたいのですが、コンサルをやるのも人間ですので、その質の担保ですとか、どういう人を選択してくるのかとか、あとこれを継続的に行っていくためにはどうすればよいかという点、恐らくコンサルも複数人のグループで進められているのだと思うのですが、質の担保と継続性はどのように戦略的にお考えになられているのか教えていただけるとありがたいと思って質問させていただきます。よろしくお願いします。
【妙中主査】 妙中です。答えさせていただきます。
 現在は、これをやり始めてからもう10年ぐらいやっています。そうすると、AMED事務局を中心に、どのコンサルの方が非常にいい意見、建設的に出口に持っていくような意見を言っていただくか、あるいは知識がどのぐらいあるかというのがだんだん分かってきて、そういう方々を私たちは選定させていただいております。もちろんコンサルティングを受けた方々の意見、それも事務局を通して伺って、その中で本当に役に立ったのはどんなのだというような観点でやらしていただいております。
 私、最後のスライドでも出させていただきましたけれども、まさに谷岡さんたちが属しておられる医機連であったりとか、そういうところからそういうものに対する支援の人材とか、そういうものを出していただく。あるいは、そこで選定していただいて推薦していただくとか、そういうようなことも含めてやっていけたらなと思います。企業との間になるので、COIの問題とか出てくるかもしれませんけど、そこは医機連などの組織として推薦していただくというようなやり方でも、そういう人材を出していただく。
 あるいは、そういう方々が本当は独立していただいて、個別にコンサルティングやるというようなことも、米国的ではありますけれどもすごくあるので、そういうのが充実化を目指すようなプロセスになってくるのでなないかなと思っています。これでよろしいでしょうか。
【谷岡委員】 よく分かりました。ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
【妙中主査】 はい。ほかに意見等ございますか。
【近藤副主査】 近藤でございますが、先ほど手を挙げさせていただいていたのですが、谷岡先生の質問と被るというか同じような内容でしたので、企業の連携というのが、岩﨑先生の御発表でもあったのですが、意外と相通ずるところがあるかと思っておりまして、企業側の連携が事業コンサルティングにどの程度関与しているのかを少しお聞きしたくて、手を挙げさせていただいておりました。
【妙中主査】 では、先ほどの説明でよろしいでしょうか。
【近藤副主査】 はい、ありがとうございます。
【妙中主査】 ほかにございますか。
【岩﨑PD】 岩﨑ですが、よろしいでしょうか。妙中先生、発表ありがとうございました。
 医療機器の機器メーカーが、医療機器を1つの事業の拡大として取り組むときに、必ずしも医療機器の創出に慣れていらっしゃらない企業の方もいらっしゃって、技術はあるけれどもと。そうすると、アカデミア先生方とこういうのをつくってほしいみたいなところで、つくりましょうかと話があったときに、企業の方は、医薬品と少し私が違うように感じているのは、最初のところはコラボレーションがつくりやすいのですが、いざ終盤に差しかかってくると、薬事承認の問題のみならず、例えばPL法の問題等々があって、企業が最後の段階で手を引いてしまう事例も幾つか経験したことがありまして、産学連携の在り方について、そういうものをできるだけ避けるのもなかなか難しいと思いますけれども、そういうことをできるだけ少なくして最後のところまでたどり着く。特に業許可を取ってないような、今まで医療機器に参画されてこなかったものづくりの会社の方々が広く参画していただけるためにはどのような方策をとればよろしいのか、その辺を先生のお考えを教えていただけますでしょうか。
【妙中主査】 それはとても大事なことで、まず繰り返しにはなりますけれども、一番初期の段階で、本当に出口にいくのだという道筋を、ある程度、大筋を決めておくことが大事で、それ決めるためには、一番初めの初期のところでしっかりとコンサルティングをしていただくことがとても大事だと思っております。それは薬機法対応だけではなくて、それ以外の保険であったりとか、ビジネスであったりとか、それからPLの問題もそうです。どこからきちんと部品を供給していただけるかとか、あるいは自社がどういう契約で、こういう事業に参加したらいいかというようなことも初期にしっかりと立てておくことが大事です。
 それともう一つ、とても大事なことだと思っているのは、私、参加者間のパワーバランスというお話をさせていただきました。どうしてもアカデミアの先生、特にNDAが入った場合に、その先生との結構親密な関係があって、それで頼まれたら断りにくいようなこともあって参加される。だけど、事業勢に関してはきちんと後で考えようかみたいなところもある場合も多いので、そこのところで事業を導出していく際に、事業化コンサルティングを通して、これはどこを目指してやっているのか共有意識みたいなものをつくっていくことで方向転換できた例も結構あるので、そういうような支援が、とても重要ではないかなと思っております。以上です。
【岩﨑PD】 企業に対するコンサルテーションでは、そのような点が重要になると思うのですが、一方のアカデミアの先生方のそういうものに対する重要度というのか、理解といのか、その辺のいい理解もいただかないと、なかなかいいペアリングで、いいマッチングで進むことが難しいのではないかなという気もするのですが、アカデミアの先生方に対しての働きかけは、同様に考えてよろしいのか。また、少し特別な方策が必要なのか、その辺を教えていただけますか。
【妙中主査】 私は同様ではないかなと思っていて、そういう意味で私、実用化担当はアカデミアにも置いてほしいというお話もさせていただいたと思うのです。それに関して言いますと、基礎研究のフェーズのアカデミアで推される方は、教授の方が多いのですが、やはり研究費も結構多くて。そうすると、その先生方はどうしても研究開発、教育とかそういうようなところがすごく、研究をするということがとても大事なお仕事、教室を運営するというようなこともあって。そんな中で、やはり実用化を担当する方が、もう少し若い方が、主任研究者は教授でも結構なのですが、その下にそういう方を置いていただいて、そういう方々とのディスカッションであったりとか、そういう方々に対する支援をやっていくのも、とても大事なことだと思っています。以上です。
【岩﨑PD】 どうもありがとうございました。
【竹上オブザーバー】 妙中座長、よろしいですか。
【妙中主査】 竹上部長、どうぞよろしくお願いします。
【竹上オブザーバー】 すみません、今の妙中座長のコメントに追加してなのですが、私のスライドにも書かせていただきましたけど、ステージゲートというよりは、本気度を常に確認していくことが、アカデミアにとっても企業の方にとってもやはり重要だと思います。
 その上で、ほかの事業でもよくあるのですが、アイデアはすごくいいということが前提で、既存の医療機器を全部これに置き換えますとか、そういう前提でマーケットを変えてみます、とかの提案がよくありがちです。そういうものは、実際には現場の先生の行動、指示を全部変えることになるので、非現実的ということについて、なかなか判断が、あるいは意見が、同一研究チームの中だと議論を誰もストップしないものですから、いいねいいねと言って否定しないまま最後にいって、よくよく企業が考えてみたら、こんなの無理じゃないかという話になる。なので、本気度と併せてその辺のマーケティングのところをしっかり見る先生が、やはりコンサルティングの中で重要だと思います。
【妙中主査】 ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。
 それでは、議題2に移ります。ここでは医療分野研究成果展開事業 事後評価に入ります。まず、事務局より説明をお願いいたします。
【根橋課長補佐】 事務局から御説明させていただきます。資料2を御覧いただきたいと思います。医療分野研究成果展開事業の事後評価票(たたき台)について御議論いただきたいと思っております。
 具体的なプログラムとしては、先端計測分析技術・機器開発プログラム、産学連携医療イノベーション創出プログラム、研究成果最適展開支援プログラム、戦略的イノベーション創出推進プログラム、産学共創基礎基盤研究プログラムについての評価になります。
 評価そのものにつきましては、科学技術・学術審議会のライフサイエンス委員会や分科会で評価をしていくことになります。この会議では、そこで事務局案として提出させていただくものにつきまして、御議論いただきたいと考えております。このフォーマットについては、ほかの研究開発課題でもほぼ同様のものになっております。
 早速ですけれども、評価結果について、簡単に御説明をさせていただきます。まず、1ページ目から3ページ目の初めのところまで、各プログラムで、これまでどういう成果が上がってきたかにつきまして記載をさせていただいております。
 例えば2ページ目の先端計測分析技術・機器開発プログラムにつきましては、2段落目の2文目からになりますけれども、平成27年度及び平成28年度終了課題の3件はということで上市に至った例とか、そういうようなことを記載しております。
 また、産学連携医療イノベーション創出プログラムについては、2段落目でございますけれども、6年間に支援し、終了した23課題のうち、19課題が企業主導の研究開発に移行したというような成果を記載しております。
 3ページ目以降に、必要性、有効性、効率性ということで評価をしております。これはほかの研究開発課題でも、同じ項目で評価をしているものでございます。必要性については、評価項目としまして、科学的・学術的意義、社会的・経済的意義、国費を用いた研究開発としての意義というものを満たしているかどうかというところになります。
 評価結果としましては、3ページ目から4ページ目でございますけれども、健康・医療戦略におきまして、医薬品プロジェクトですとか、医療機器・ヘルスケアプロジェクトがございます。これらの事業は、その一角を担っております。そういうようなことから、本事業は必要性は高かったと評価できるのではないかと考えまして、記載をさせていただいております。
 続きまして、有効性でございますが、評価項目としては、新しい知の創出への貢献、研究開発の質の向上への貢献というところでございます。
 評価結果として4ページ目の(評価)の最初の段落でございますが、各研究開発課題が着実に進捗しており、新しい知の創出への貢献も大きいと考えられるというふうに、全体的な評価として考えております。
 5ページ目以降が、それぞれ個別のプログラムにつきまして評価を記載しておりまして、例えば先端計測ですと、最後の文ですけれども、企業、技術シーズを持つ研究者に加えて臨床医の参画を必須とし、医療現場におけるニーズに基づいた研究開発を推進したと。ACT-Mにつきましては、開発フェーズに応じた段階的な支援を可能とした制度設計による研究開発を推進してきたというようなことを記載しております。
 6ページ目の上のところでございますが、全体として有効性は高かったと評価できるのではないかということで記載をしております。
 続きまして、効率性でございます。効率性という項目名なのですが、評価項目そのものは、計画・実施体制の妥当性、目標・達成管理の向上方策の妥当性というところになっております。
 評価結果として、例えば先端計測ですと、3段落目ですけれども、伴走コンサルティングを、平成29年から計130回実施してきた。これにより企業及び他事業への導出件数は、平成27年度3件、平成28年度1件、平成29年度0件だったところから、平成30年度5件、令和元年度5件と着実に増加し、成果の向上に結びついたと記載させていただいております。
 ACT-Mについて、6ページ目から7ページ目に記載させていただいておりますけれども、例えば7ページ目の一番上のところですけれども、臨床医の評価委員を強化し、また、評価の質を向上させるため、段階的な書面評価を実施するなど、評価体制・方法の改善を行ってきたというような内容を記載しております。全体として、本事業の効率性は高かったと評価できるとまとめております。
 7ページ目の(3)のところでございます。必要性、有効性、効率性につきまして評価が高かったと考えておりますので、その点も含めまして、革新的な医薬品・医療機器等の創出に資する研究開発を着実に実施するという観点で貢献したと総合評価の記載をさせていただいております。
 7ページ目の一番後の行から8ページ目が、今後の展望でございます。今後の展望として、例えば一番上の丸でございますけれども、本事業を通じて蓄積した産学連携に関する経験やノウハウが、今後のAMED事業や大学等にて共有・活用されることが望まれるということ。上から4つ目の丸でございますが、3文目でございます。「さらに」の後で、創出された研究開発成果をできるだけ早期に患者に届けられるよう、薬事・臨床面での支援が可能な専門家や組織との連携を図ることへの検討も望まれるというようなことなどについて、今後の展望で記載させていただいております。
 すみません、かなりざっくり説明してしまいましたけれども、事務局からの説明は以上になります。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。最後に説明のあった今後の展望については、次の今後の支援の在り方との関係が深いので、その部分だけは説明の後で一緒に議論できればと考えています。
 それ以外の内容で、ただいまの説明内容について御質問、御意見などがありましたらお願いできますでしょうか。よろしいですか。
 では、私から1つよろしいですか。先端計測のところで、効率化のところで、医療機関支援ネットワークの支援を受けて、いいものが導出されていったというところがありましたけれども、私はACT-Mも、そういう案件結構あったような気もするので、そういうところの記述も入れられたらどうかなと思いますが、どうでしょうか。
【根橋課長補佐】 ありがとうございます。記載のほうを少しこちらで検討させていただいて、盛り込める内容については盛り込みたいと考えております。
【妙中主査】 結構ACT-Mの中でもまれてきたやつで、例えば手のリハビリ用のやつなども、実は医工連携イノベーションに来ていただいているのですが、当初は、治験をやって製造承認を取るというような戦略で来られたのですが、事業コンサルトを通じて、支援ネットワークとのディスカッションを通じて、今は治験なしで認証でいけるというような戦略に変更して、うまく出口に来ているのもありますし、それから、シルクエラスチンの事業も、あれもイノベーションに来ていただいているのですが、その段階で治験の症例とか、あるいは保険償還をどういう作戦でやるかみたいなものはすごくよくなって、治験症例を減らして、間もなくこれも治験が始まると思うので、そういう支援もやってきていると思うので、そういうことも含めておいていただけたら、より効率的になったのではないかなというような評価になるのではないかなと思います。以上です。
【根橋課長補佐】 ありがとうございます。今、御指摘いただいた点について内部で検討しまして、再度先生に御相談させていただきたいと思います。
【妙中主査】 よろしくお願いします。
 ほかに御意見等ございますでしょうか。
 では次の議題に移りたいと思います。医薬品・医療機器等の研究開発における今後の支援の在り方、先ほどの後半のところと関係ありますけれども、それに入ります。まずは事務局より説明をお願いいたします。
【根橋課長補佐】 資料3を御覧ください。今後の産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方についてというペーパーでございます。
 今後、この検討会議で報告書をまとめていきますけれども、報告書の骨子的な位置づけというふうに少し考えております。また、先ほどの事後評価は、橋渡し研究プログラムについては対象ではありませんでしたけれども、今後の産学連携の施策を考える上では重要ですので、その点も含めて記載させていただいております。
 内容として1.これまでの成果と課題でございます。まず、これまでの事業の成果について記載しております。
 2つ目の丸でございます。2つ目の丸については、これまで事務局で把握してきたデータですとか、委員の皆様方の御意見、本日の発表のプレゼン資料も事前にいただいておりましたので、そのようなところを事務局で整理をいたしまして、課題と考えられる点について4点ほど記載させていただいております。
 まず、1つ目でございますが、開発経験を有する企業の参画が成果の展開には重要であるということ。米印のところでございますけれども、先端計測のプログラムでは、支援期間が終了した10件のうち、企業での事業化や、他事業への導出に至ったものが6件、それらのうち4件では、第一種または第二種医療機器製造販売業許可を有する企業が参画しているが、一方で導出に至らなかった4件は、いずれもそのような企業は参画していない状況にあったというところでございます。
 2つ目でございますが、研究開発の早期から、成果の実用化に向けた支援を充実させることが必要だということです。2ページ目の一番上でございますが、橋渡し研究事業におきまして、平成29年度、30年度に採択したシーズBとかの事業のうち、申請時において企業連携がなされていない研究課題について、次の研究開発段階へ進むことがあまりできていない現状が見えております。
 3番でございます。特に医療機器に関してのところでございますけれども、近年では在宅医療の推進等による小型軽量化や、体内に埋め込むタイプのニーズの高まり等の新たな研究開発動向が認められることから、今後ますます多様化する医療機器の開発ニーズに対応することが必要ではないかというところでございます。
 4でございますけれども、関連事業とフェーズ等が一部重なっており、早期の実用化に向けて関連事業との役割分担と連携の仕方を見直す余地があるというようなことで、課題を4つ挙げさせていただいております。
 2ポツで今後の対応策ということで記載をさせていただいておりまして、まず全般的な方針として、閣議決定の内容等について記載をしております。
 上から3つ目の丸でございますが、プロジェクトの再編に伴って、革新的医療技術創出拠点を構成する文部科学省、厚生労働省の各事業について、研究費については文部科学省の事業、事業費については厚生労働省の事業として、それぞれに集約していく方針で進めることとして、令和4年度より新事業体制を開始するというような方針となっておりますので、これに関しては踏まえて検討する必要があるかなと思っております。
 また、3ページ目の一番上の丸でございますが、3月29日に行われました医薬品開発協議会におきまして、ACT-Mの強みである産学連携の仕組みを橋渡し研究事業に応用する形で、より多くの基礎研究の成果が実用化されるよう検討を進めるとされております。これについても踏まえて対応していく必要があるかなと考えております。
 これらの全体方針を踏まえまして、事業に関する方針について、点線囲みの内容でどうかということで、本日御議論いただきたいと考えております。
 1つ目のひし形でございます。産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発について、事業をより効果的に実施するため、支援プログラムを重点化するということでございます。例えばでございますけれども、ACT-Mと橋渡し研究プログラムの関係等についても検討等必要かなと考えております。
 2つ目のひし形でございます。橋渡し研究プログラムについては、ACT-Mの仕組みを踏まえて、開発早期段階から、実用化に向けた戦略の明確化をプログラムとして求め、企業との情報交換の場の設定等により、企業との議論を開始するようにする。実用化の加速を目指し、開発の進んだ段階における企業との連携推進を義務化することで、各シーズの研究開発体制を強化するというところでございます。
 先端計測のプログラムについてでございますけれども、1つ目のポツで、医療現場のニーズを知る臨床医の参画に加えて、臨床試験経験を有する企業の参画をさらに推進する。2つ目のポツですが、研究開発フェーズの全てにわたって事業戦略、知財戦略、規制対応、販売戦略などの実用化に必要なコンサルティングをきめ細かく実施する体制を整備する。3つ目のポツですが、今後ますます多様化していく医療機器の新たなニーズに対応できるよう、多様な技術シーズを採択できる仕組みや課題評価体制を整備する。4つ目のポツとして、経済産業省事業など、AMEDの他事業との連携等により、早期の社会実装を目指すというようなことがあるかなと考えております。
 本日は、特に我々が課題だと考えている点、また、今後の事業の方針につきまして、御意見等賜れれば幸いでございます。事務局からの説明は以上でございます。
【妙中主査】 どうもありがとうございました。ただいまの説明内容について、御質問、御意見などがありましたらお願いいたします。ありますでしょうか。
 近藤先生、よろしくお願いします。
【近藤副主査】 ありがとうございます、近藤です。まず、質問というか教えていただきたいのですが、資料3の2ページ目の一番上になってくるかと思うのですが、平成29年と30年度に採択したシーズB、Cの研究課題で、次のフェーズに進むことができていないと記載いただいているかと思うのですが、これは全ての研究課題が次のフェーズに進むことができていないという意味でしょうか。それとも、頻度的にというか、割合的に少なかったという、どの程度なのかを教えていただければと思いまして、よろしくお願いいたします。
【根橋課長補佐】 ありがとうございます。次の開発段階をどのように位置づけるかというのは少しあるかなとは思うのですが、実際問題として、企業連携をしていなかったものについては、基本的に企業の導出にはつながっていないという形で、アカデミアのみでの開発か、もしくは開発を中止しているというような結果となっております。
【近藤副主査】 ありがとうございます。そうしましたら、アカデミアのみでの開発が進められているケースも、もしかしたらあるかもしれないと理解させていただきました。
 こちらは私の意見なのですが、橋渡しの部分というのを、ACT-Mの考え方を取り入れていくという、今回御提案いただいている内容は非常に賛成の部分が強いです。こういうふうに意識して、認知していただきながら進めるということは重要なことだろうなと考えております。ただ、こちらにありますように、企業との連携推進を義務化することを完全にマストという形にしてしまいますと、やはり自由度も少なくなってくる可能性がありますので、連携体制の程度ですとか、あとは企業と連携している場合には、ある程度の優先権やインセンティブを与えるというような考え方ですとか、いろいろな方策があるかと思いますので、そういうところは検討したほうがいいのではないかなと考えるとともに、当然ながら、企業が理解というのも必要になってくるかと思いますので、企業側に対するアプローチも、今後必要になってくるのではないかなと考えます。以上でございます。
【妙中主査】 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。今のところは、文部科学省の事務局は意見ありますでしょうか。
【根橋課長補佐】 ありがとうございます。企業連携といった場合に、どの程度の連携が必要なのかというところもあろうかと思っております。例えば、資金を半分程度拠出しているとか、そのようなレベルから、会議をやって意見交換しているようなレベルまでいろいろあるかなと思っております。
 どういう要件等をつけていくかについては、今後詰めていく必要があるかなと考えているところでございます。以上でございます。
【妙中主査】 ありがとうございました。
 では谷岡さん、お願いします。
【谷岡委員】 ありがとうございます。3ページ目の先端計測分析技術の四角のところの一番初めのポチのところで、開発経験を有する企業の参画をさらに推進するという形で記載していただいていまして、これはもともと、必須とするということも考えられていたと聞いているのですが、ここの辺りについて、さらに推進するということは、今の時点では十分ではないとお考えなのでしょうか。経験を有する企業のほうが多いが足りないのか、もしくは経験を有しない企業のほうが多いためということを表しているのかというのが1つの質問と、あとはこのように書いていただいたということは、先ほど竹上部長がおっしゃったような、マイルストーンごとの評価とか、企業の本気度とかを見ながら総合的に判断していきますよということだと考えてよろしいでしょうか。2点お願いします。
【妙中主査】 事務局のほうで御回答いただけますか。
【赤坂調査員】 事務局でございます。谷岡先生、御質問ありがとうございます。
 まず1つ目ですが、企業の参画、もともと先端計測は、公募要領の1つに、要件として企業の参画を必須としています。その中で、臨床経験があるなしという条件はつけておりませんという形で、企業は入っているのですが、開発力があるなしというところまでは問うていなかった。これまでのプログラムの経験の中で、開発を出口まで進めていくためには、やはりそこら辺の臨床試験、事業化している経験のある企業がついてないとなかなかうまくいかないというのが実績としてありますので、それで今回は、企業がついていなければもちろん開発は進められないのですが、その中でも特に、開発ができる企業の参画を早期からより進めて、入っていただこうという流れで考えております。
 今まで臨床経験のある企業がどのくらいあったかというのは、今数字では、把握しておらず申し訳ないのですが、ただ、条件として、企業というところまでしか限っておりませんので、臨床経験のない企業も多々おられたという認識でございます。
【AMED(才川)】 妙中先生、AMEDですけどよろしいですか。
【妙中主査】 才川さん、どうぞ。
【AMED(才川)】 AMED、才川でございます。今、赤坂さんが言われたところ、臨床医の参画は100%参画、臨床試験経験を有する企業の参画は、残念ながら二、三割にとどまっておりまして、ここは全員じゃないといったところが課題でございまして、やはりゴールを逆算してやっていくためにも、臨床試験の経験を有する企業にしっかり参画してもらうという意味で入れております。以上です。
【妙中主査】 ありがとうございました。
 どうぞ、谷岡さん。
【谷岡委員】 ありがとうございます。今のお答えなのですが、開発経験という開発は、臨床開発のことを意味されていますか。私はもっと広い意味の開発経験なのかと思っていたのですが。
【AMED(才川)】 広い意味ではありますが、我々望んでいるのは、実は治験経験を有する人と考えているところです。
【谷岡委員】 そうですか。分かりました。ありがとうございます。
【妙中主査】 その辺は少し議論のあるところかなと思いますので、今後も考えないといけないかなと思います。
 私から少しよろしいでしょうか。この先端計測のところの、一番後のページの2ポツの必要なコンサルティングをきめ細かく実施する体制を整備するという、今もやり始めていて成果が出てきているのであれですが、同じことが私は、上のひし形、橋渡し研究プログラム、ACT-Mの仕組みを踏まえてというところにも、やはり同じような実用化に必要なコンサルティングをきめ細かく実施する体制を入れてもらえたらなと思います。それが1点。
 もう一つは、橋渡し研究プログラムにACT-Mの仕組みを入れてやるというのはいいことだとは思うのですが、ここのところで、私は最後のほうのスライドで少しお話しした、橋渡し研究拠点と次世代医療機器開発支援連携拠点事業です。あれとの関係のスライドを出したと思うのですが、あれと同じように、この説明の中でも述べさせてもらいましたけれども、橋渡し拠点は、自拠点だけではなくて、それ以外の拠点との支援もすると書かれているので、どちらかというと、重要拠点に属しているうち、自拠点はいいと思うのですが、それ以外のところから出てくる案件も、橋渡し拠点の支援事業、支援案件として連携していただかないといけないと思うのですが、そのようなことはできないのでしょうか。
 というのは、橋渡し研究拠点から毎年採択されてきている案件を見ると、ほとんどが拠点からだけです。それ以外のところから出てくるような、特に医療機器に関してはそのようなところ、必ずしも橋渡し研究支援拠点が医療機器に関してすごく強いかといったらそうではない場合もあるので、そんなことも今後少し考えていただくと、このプロジェクトの枠を超えたシーズ開発基盤事業。それと医療機器・ヘルスケアプロジェクトの連携も図れていくのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。その2点、お願いします。
【根橋課長補佐】 橋渡しの支援拠点は、拠点外にも支援ができる形になっておりまして、我々としては、そこはかなり進めていきたいと考えているところでございます。今回、ここの論点には具体的に書いておりませんが、そこも結構重要な論点になってくるのかなと考えているところでございます。
【妙中主査】 それから、ACT-Mに関しても、橋渡し拠点事業に関しても、コンサルティング等の支援ができる仕組み、そういうものをやっぱり残しておいていただくほうがいいのかなと、先端計測とともにと思うのですが。
【根橋課長補佐】 そこの事業の組み方をどうするかというのは、内部で少し考えさせていただきまして、一応ACT-Mの仕組みを踏まえて橋渡し研究プログラムを改善していくというところなので、そこをどうやっていくかはこれから考えていきたいと思っております。
【妙中主査】 どうぞよろしくお願いします。
 ほかに御意見はありますでしょうか。
【大菊委員】 京大の大菊です。
【妙中主査】 大菊先生、どうぞ。拠点やっておられるので、どうぞよろしくお願いします。
【大菊委員】 拠点の視点から考えると、既に医薬品化学部会か、医薬品部会かで出ているACT-Mの強みである産学連携の仕組みを橋渡し研究に応用する形で進めていくというのは非常に合理的だと思っています。今、先生のお話の中にあったACT-Mも、拠点外も拠点で支援できないかというお話、非常にもっともな点かなと思いました。今、我々の拠点では、橋渡しシーズに関しては拠点外、支援できていますけれども、ACT-Mに関してはもちろんできていません。ただ、実際にACT-Mのシーズを将来的に社会実装しようとすると、やはり拠点の支援があるほうが効率的だと考えられますので、そういう制度設計の中で、ぜひこれも拠点が支援するような形で進められるように考えていただけたらいいなと私も思います。
【妙中主査】 そうですね、京都大学は両方の医療機器開発、医療機器に関しても拠点になっていますけれども、例えば京都大学が橋渡し拠点になってない神戸大学の案件であったりとか、大阪医療センターの案件であったりとか、あるいは信州大学の案件なんかも本当は支援していけたらなと思います。何か仕組みをうまくつくると、そのようなこともできるのかなと思いました。大菊先生、ありがとうございました。
【妙中主査】 ほかにございますか、何か御意見は。
【上村委員】 すみません、大分大学の上村です。
【妙中主査】 どうぞ、よろしくお願いします。
【上村委員】 企業との連携のところに戻って申し訳ないのですが、先ほどの岩﨑先生からのお話の中でも、必ずしもシーズの例えばCみたいなところに来た人たちが、企業との連携ができていないわけではなくて、その理由は様々な理由があるということで、1つにはやはり難しい問題、病気であったり、テクノロジー自体が非常に革新的なものだったりすると、マーケットのマーケッタビリティーというところで、恐らく企業がなかなか手を出せないとか、そういう話になると思うのですが、そうすると、義務化というとこまで行くと、そういったものが次のステップに行けなくなるので、少しどうなのかなと個人的に思っています。
 それと、やはり企業との連携はあったほうがいいとは思うのですが、企業にもよるかなと思っています。様々な企業があるので、これはやはりしっかりアカデミアと企業との間のパートナーシップを構築するというところは大事なのですが、パートナー探しは、例えて言えば結構相手を探すようなもので、相手の方がどういう方なのかというところは非常に重要だと思います。そこは例えば、価値観の問題であったりとか、一緒に同じ方向へ向かって開発案件を進めていくわけですから、場合によっては、そこの価値観が全然合わないとかという話になると、せっかく一緒にやろうとしていても物事が進まないとか、そういったことが出てくる可能性はあると思います。
 それでやはり企業と連携することでプログラムが進むその背景としては、当然企業の中には、開発経験が豊富な方がいらして、そういった人たちが全体を引っ張ってくれると前に進みやすい。それはよく分かるのですが、逆に言うと、そういった方々は必ずしも企業にいなくてもいいわけで、例えば、企業連携ができていなくても、ある特定のファンクションを補塡するような形でのコンサルティングであるとか、アドバイザーをきちんと入れるとか、そういったことをやれば、今、10年前、20年前と違って、少なくても医薬品に関して言うと、必ずしも企業が前面に出なくても、例えばCROとかをしっかりとベンダーコントロールをきちんとしていけば、ある程度のことは実はできるようなビジネスがもう育ってきています。したがいまして、要は企業連携というところの、できない人たちに対して、やはり別の方法で支援するようなことも、同時に考えていく必要があるのかなと感じています。
【妙中主査】 ありがとうございました。事務局から何かございますか。よろしいですか。
【武田課長】 事務局でございますが、上村先生ありがとうございます。御指摘ごもっともな部分もあると思っておりますし、そういう企業との連携ができないと、全部もうサドンデスだということもなかなか難しいのだろうというのはおっしゃるとおりだと思っています。
 一方で、橋渡し事業でございますので、まさに出口にしっかり向かっていただくのが大事だと思っておりますので、そういう意味では、やはり企業側がついている、出口に近づいているものについてしっかり支援するというのも大事なことだろうと思っておりますので、そのバランスを見ながら、ぜひ今後の制度の検討は進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。以上です。
【妙中主査】 ありがとうございました。
【岩﨑PD】 今の点、少しよろしいでしょうか。
【妙中主査】 どうぞ、岩﨑先生。
【岩﨑PD】 今、上村先生おっしゃった点は非常に大事な点で、私も報告では義務化という言葉を使っていますけれども、近藤先生も少し懸念を示したように、なかなか橋渡し研究段階で、企業が連携をするということをコミットメントみたいな形で出すというのはかなり難しいのではないかなと。アメリカ等であっても、その中間を補うものとしてバイオベンチャーというものが向こうでは多いわけですけど、日本はまだそこが育ってないということはありますけれども。企業というのは、今、上村先生もおっしゃっておられましたけれども、既存の製薬企業というふうに狭い意味で捉えないほうがよろしいと。広い意味での企業と言ってしまうのか、ほかのネーミングがないので少し戸惑うのですが、創薬を目指すCROとか様々な業種が今出てきておりますので、そういう方々との話合い、連携をすることも含めて、広く、あまり狭く取らないようにする必要があろうかと思います。
 欧米でも、バイオベンチャーがやっても、企業が本当にそれを導出といいますか、引き受ける段階というのは、最近はあまり早期というよりは、薬事承認取ったものを買ったほうが早いみたいな、そういうこともありますので、その辺はなかなか難しい。また、このプログラムの範疇の外になると思いますけれども、日本の医薬品の場合は、特に革新的なものに対するインセンティブの強化、これをぜひ考えていただかないと、一番手っ取り早いのは薬価ですけれども、そこまで踏み込むとこれは少し大変なことになると思うので、革新イノベーションに報いるようなインセンティブの仕組みを考えるということがないと、企業の方々はなかなかアカデミアの研究に連携しましょうということは難しいのではないか。
 この辺は少し難しいので、ここにどのぐらい入れるかどうかは分かりませんけど、とにかくあまり狭い意味の企業との連携ということにこだわらないほうがよろしいのではないかと。その辺が伝わるような表現にしていただくとありがたいなと思います。以上です。
【妙中主査】 ありがとうございました。事務局、どうですか。
【千葉オブザーバー】 千葉ですけれども。
【妙中主査】 千葉先生、どうぞ。
【千葉オブザーバー】 今の議論ですけれども、私はACT-M/MSのPDをしていた者ですけれども、基本的には岩﨑先生言われたことに賛成です。私はACT-Mのいいところ、企業にできるだけ早期に関与してもらうというのは賛成ですけれども、様々な関与の仕方があると思います。ただ、今までの我々の経験では、やっぱり早期から物にしていくときに、それこそ物になるのかという観点とか、それから様々な協力の仕方、企業側からの協力の仕方があって、例えば検査試薬とか検査の開発なに関係する場合は、早期から検体、血清サンプルを企業が持ってて、それを使って企業でもチェックしてもらうみたいなことでうまくいった例があります。
 したがって、関与の仕方は様々だと思うし、義務化するのは岩﨑先生言われているように問題だと私も思いますけれども、やはり製品化を視野に入れて、例えば、橋渡しのAでも実際にそういうことを視野に入れているわけですから、何らかの形で関与することは重要かなと思います。
 ついでに言いますと、その中で私はM/MSで応募してきた課題を見ていつも思うのですが、妙中先生も言われたパワーバランスです。これ、なんちゃって企業みたいな関与の仕方は結構あったのです。ですから、より実質的な企業の関与の仕方。場合によってはB、Cに行くにしたがって、これは難しいかもしれませんけれども、違う企業にバトンタッチをある意味してもいいわけです。ですから、それぐらいのフレキシビリティーを持ちながら、そこのところはちょっとポイントとしては入れていただくというのが重要かなと思いました。
【妙中主査】 千葉先生、貴重な御意見ありがとうございました。事務局、何かございますか。
【武田課長】 事務局でございます。御指摘いろいろありがとうございます。岩﨑先生ほか皆さんおっしゃっていただいているように、CROとかいろいろ、従来の製薬企業に限る必要は全くないとは思います。そこは我々としても異論はないところでございますので、ぜひそういう目で見ていただければと思いますが、一方で、最後に千葉先生から御指摘あったように、これまでも妙中先生や竹上部長からあったように、企業の本気度を見るというのも1つの指標であろうと思いますし、やはり出口に最後持っていってくれるのは企業だというようなところもありますので、繰り返しになりますが、全てそれじゃないと駄目だと、義務化ということではないと思いますけれども、そういう視点も持ってしっかり制度としては考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
【妙中主査】 ありがとうございます。
 ほかに御意見。VCの立場から、安西さん、どうでしょうか。何か御意見ございますか。
【安西委員】 今、御議論をいただいたポイントに少し重なる部分があるのですが、私もベンチャーの支援を手がけておりますが、創薬もさまざまな主体が出てきているというお話もございました。大学そのものも、今大学VCを整備したりして、アカデミックスタートアップがどんどん出てきておりますし、例えば最近のベンチャー企業は、医薬品や医療機器の会社の開発経験者もかなり多く参画をしております。
 また、臨床医が強いイニシアチブを取ってスタートするベンチャーもかなり増えてきている状況もあります。ACT-M、ACT-MSでも、かなり多くのベンチャー企業が既に参画をしている実態もあります。今後、医薬品で言えば、例えば新規のモダリティもそうですし、希少疾患に関する開発の担い手にもなりますし、医療機器の場合も、非常に多様な分野を束ねて研究開発をしていく際、ベンチャーは今後重要な事業主体となりえます。開発のかなりアーリーな段階からも関与でき、大企業とは違うリスクテイクの仕方ができるというようなこともありますので、橋渡し先として、もちろん開発経験が豊富な大企業が、早期からコミットすることが重要なことは論を待たないのですが、よりユーザーとして、連携先としてのベンチャー企業も想定されたような制度設計についても議論の中に取り入れていただくといいのかなと思いました。
【妙中主査】 ありがとうございます。菅野先生、手が挙がっておりますが、よろしくお願いします。
【菅野委員】 2点ございまして、1つはやはり医療機器の場合は、機械をつくって出すというところがありまして、そこのところがどれだけきちんとできているかというところで、結構先端機器では苦労しました。だから、今、お話のあったベンチャーもいいのですが、本当にベンチャーが物をつくって出せるのかどうかみたいなところが、ベンチャーがついているけれども、物をつくって出した経験がなくて、全てそのために何をしなければいけないか、そのベンチャーが別の企業を新しく探さなければいけないみたいな、そういう二度手間、三度手間になることがしばしばあるので、そこら辺はやはりかなりしっかりとした企業の選択が必要かなという気がしております。
 もう一つ、少しこれはセンシティブな問題で、こういう場で話していいのかどうか分からないのですが、やっぱり海外の企業でやる気があって、しかも実力のあるところが増えてきておりますので、日本企業だけではなくて、企業といったときに海外の企業を視野に入れるというのも1つかなと思っているのですが、やはり国費を使って開発する以上は、利益のかなりの部分が日本の国のためになるというところがあるべきかなという気もしておりますので、その辺り、知財戦略とかそういうことも含めて、戦略的な対応が必要になってくるのではないだろうかと考えております。以上です。
【妙中主査】 貴重な御意見ありがとうございました。大分時間もなくなってきたのですが、後でまた、事務局まとめて回答していただけたらと思うのですが、長我部先生、よろしくお願いします。
【長我部委員】 ありがとうございます。私たちはデバイスの分野で製販業をやっているのですが、やはりコンサルティングとか、初期のコーディネーションを相当分厚くしないといけないのかな思います。さきほどの製薬企業と異なり、CROやCDMOなどバリューチェーンの機能を請け負うエコシステムが整っていないので、今、菅野先生が言われたように、ベンチャーだけだとものづくりができないといったときに、ではどこかの企業をコーディネートして絡ませて、そこに試作させてベンチャーがその効能を試すとか、企業間をつないでやっていくようなことを考えないと、多くのシーズの技術が市場につながらないのかなと思います。
 それからデバイスは、一番初めの段階でゴールの定義が難しいと思います。医薬品は、アンメットニーズで治療薬がないところに新薬を投入できれば、年間グローバルに数十人しか患者さんがいない希少疾患薬でも事業継続できるようになる薬価のつけ方が確立していると思います。ここのところのデバイスとファーマーでの違いを踏まえて、どのようにサポートするのかが難しいところだと思います。
 多くの場合、デバイスは薬事承認を受けただけでは事業としてはなかなか成立しなくて、保険収載されて、さらに臨床例が増えて、それが診療ガイドラインに載り普及するようなところまでいかなければなりません。こうしたゴールを、初期の段階でどこまで見抜けてロードマップが書けるか、そこが市場の読みとか事業性にも関わるところで、この辺まで知見を持っているようなコーディネーター、コンサルティングをデバイスに関しては充実していくべきだろうと思います。また、デバイスも一口で言っても様々な特性がありますので、その中に体外診断であるとか、イメージングであるとか、リモートセンシングであるとか、手術の補助器具、材料、それぞれに特性が違いますので、そういうことにも対応できるような本当のきめ細かいコンサルティングが、まさに書いてあるのですが、重要だと思いました。以上です。
【妙中主査】 ありがとうございました。
 時間がそろそろ来ているので、事務局、今、何人か御意見ございましたけれども、何かございますか。
【武田課長】 それでは、まず菅野先生からありました知財のところですが、非常に大事な御指摘ありがとうございます。海外企業の定義自体がだんだん難しくなってきているというようなこともあろうかと思いますし、まさに海外の企業が、日本支社をつくってというような状況がたくさんある中で、どうやるかというのは非常に難しいと思っております。ただ御指摘のように、国費を使ってやる研究の成果が外に逃げていくというようなことを、それだけでいいですというようなことはもちろんないということだと思いますので、少しどういうことができるかというのは、今後考えていきたいと思います。どうも御指摘ありがとうございました。
【妙中主査】 ありがとうございました。議論も尽きないところですけれども、そろそろ時間となりましたので、続きは次回とさせていただきます。
 本日御議論いただいた内容については、事務局のほうで一度整理をしていただいて、次回の検討会では、より具体的な内容を検討していくこととできればと考えております。
 本日予定しておりました議事は以上ですが、ほかに御意見や御質問がございましたらお願いします。よろしいですか。
では、事務局から連絡事項等はございますか。
【根橋課長補佐】 事務局でございます。本日は長時間にわたり、大変有益な御議論をいただき誠にありがとうございます。事務局の進め方に不手際があり、時間を多少超過してしまいました。申し訳ございません。
 次回の会議では、事務局にて今後の支援の在り方に関する具体の内容をまとめたものをお示しして御議論いただきたいと考えております。
 本日の資料につきましては、会議終了後、ホームページに掲載いたします。また、本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、議事録を皆様にお諮りした上で、ホームページにて公開いたします。
 また、御発言できなかった事項等ございましたら、1週間後ぐらいを目途に、事務局までメールかお電話等いただけますと、我々として大変助かります。
 次回、第3回目につきましては、令和3年5月19日水曜日を予定しておりますので、よろしくお願いします。事務局からは以上でございます。
【妙中主査】 ありがとうございました。それでは、本日の検討会はこれにて閉会とさせていただきます。長時間にわたり、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
 

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