産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会(第1回)議事録

1.日時

令和3年3月11日(木曜日)13時01分~14時58分

2.場所

文部科学省17階 研究振興局会議室(オンライン会議)

3.出席者

委員

妙中主査、近藤副主査、安西委員、上村委員、扇田委員、大菊委員、菅野委員、谷岡委員

文部科学省

杉野局長、武田課長、高木戦略官、岩﨑企画官、佐藤課長補佐、藤澤専門官、池田専門職、上野係長、赤坂調査員

発表者

島津博基(科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)ライフサイエンス・臨床医学ユニット ユニットリーダー)

オブザーバー

千葉 勉(関西電力株式会社 関西電力病院 病院長/産学連携医療イノベーション創出プログラム プログラムスーパーバイザー)
中西洋一(北九州市立病院機構 理事長/橋渡し研究戦略的推進プログラム プログラムスーパーバイザー)
淺野美奈(日本医療研究開発機構(AMED) 実用化推進部長)
竹上嗣郎(日本医療研究開発機構(AMED) 医療機器・ヘルスケア事業部長)
水野 優(日本医療研究開発機構(AMED) シーズ開発・研究基盤事業部拠点研究事業課長(AMED シーズ開発・研究基盤事業部長代理))

4.議題

(1)本検討会について
(2)有識者からの情報提供
  産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の現状、課題について
  「医薬品・医療機器等 産学連携の国際ベンチマーク」
    発表者 島津博基 科学技術振興機構(JST) 研究開発戦略センター(CRDS)ライフサイエンス・臨床医学ユニット ユニットリーダー
(3)医療分野研究成果展開事業の概要について
(4)総合討論
(5)その他

5.議事録

【佐藤課長補佐】  定刻になりましたので、1名遅れている先生がいらっしゃるいますけれども、皆様お集まりでございますので、ただいまより、産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会を開会いたします。
 私はライフサイエンス課課長補佐の佐藤悠樹と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点より、本日ウェブ会議にて開催させていただく運びとなりました。委員の先生、御発表いただく先生、オブザーバーの皆様におかれましては、御配慮、御協力いただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事は全て公開でございます。会議資料及び議事録は文科省のライフサイエンスの広場のホームページで後ほど公開をさせていただきます。
 ウェブ会議で御参加いただいております委員、オブザーバーの皆様にお願いしたいことがございます。まず、マイクにつきましては、大変恐縮でございますが、御発言をいただくとき以外はミュートにしていただき、御発言の際だけオンにしていただくようにお願いいたします。また、現在非常にスムーズに接続をしていただけていると思いますけれども、もし音声や映像に乱れがある際にはビデオをオフにすると改善する場合がございますので、適宜御協力をお願いできればと存じます。
 また、一般傍聴者の皆様には、大変恐縮ですけれども、マイクはミュート、ビデオはオフでお願いできればと思います。
 なお、システムの不備等ございましたら、随時お知らせいただければと思います。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いです。
 本日、委員の出欠状況について申し上げます。長我部委員が御欠席との連絡を頂いているほか、全員御出席と伺っておりますけれども、谷岡委員が遅れて入られるということかと存じます。
 既に7名の先生に現在御出席を頂いており、定足数に達しているところを御報告させていただきます。
 また、本日、3月11日ということで、2時46分に黙祷の時間を設けさせていただければと考えてございます。ちょうど総合討論のお時間の中ということになりますが、その時間になりましたら御配慮いただけましたら幸いでございます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日御出席の委員の御紹介をさせていただきます。お名前順に御紹介をさせていただきますので、よろしければお一言ずつ頂戴できれば幸いです。
 まず、安西智宏委員でございます。
【安西委員】  安西でございます。どうぞよろしくお願いいたします。現在、ファストトラックイニシアティブという大学発ベンチャーを中心に設立支援を行うベンチャーキャピタルの経営に携わっております。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。続きまして、上村尚人委員でございます。
【上村委員】  どうぞよろしくお願いいたします。上村と申します。大分大学で臨床薬理学を教えております。同時に、附属病院の臨床薬理センターというところで、特に早期の医薬品の開発に携わっております。専門としては臨床薬理学をずっとやっております。職種としては医師です。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。続きまして、扇田久和委員でございます。
【扇田委員】  扇田でございます。滋賀医科大学から参加させていただいております。私は生化学を教えておりますが、もともと医師で循環器内科をしていた関係で、心臓病、心血管病、あるいは生活習慣病について基礎から、できれば応用に向けた研究を行いたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。続きまして、大菊鋼委員でございます。
【大菊委員】  大菊でございます。京都大学の附属病院の中にあります先端医療研究開発機構というところで、橋渡し事業をはじめ、AMEDの各種の事業を担当しております。前職は製薬会社の研究本部にいた者でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。続きまして、近藤充弘委員でございます。
【近藤委員】  ありがとうございます。近藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は、製薬協の医薬品評価委員会で副委員長を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。続きまして、菅野純夫委員でございます。
【菅野委員】  千葉大の菅野純夫でございます。専門はゲノム医学ということですが、AMEDの医療機器開発事業にもPSとして携わってまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。続きまして、妙中義之委員でございます。
【妙中委員】  国立循環器病研究センターの名誉所員、それから大阪大学の国際医工情報センターの特任教授をさせていただいております妙中です。もともとは心臓血管外科が専門なのですが、人工心臓や人工肺のハイリスクな医療機器の研究と製品化、実用化をやらせていただいておりました。現在は、AMEDの医療機器・ヘルスケア統合プロジェクトのプログラムディレクターと、複数のプログラムスーパーバイザーをさせていただいております。どうぞよろしくお願いします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございました。続きまして、谷岡寛子委員でございます。
【谷岡委員】  谷岡と申します。よろしくお願いします。私は医療機器の団体であります医療機器産業連合会の臨床評価委員会で副委員長をしております。よろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。また、本日は御欠席ですが、長我部信行委員にも委員に御就任をいただいております。
 また、本日、発表者といたしまして、科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センターライフサイエンス・臨床医学ユニット、ユニットリーダー、島津博基先生にもお越しいただいております。
 また、オブザーバーにつきましても、出席者一覧のとおり、本日御出席いただいております。
 出席者の紹介は以上でございます。
 続きまして、研究振興局長の杉野より、会議に先立ちまして御挨拶をさせていただきます。
【杉野局長】  杉野でございます。先生方におかれましては、御多忙のところ、本検討会に御参画いただきまして、誠にありがとうございます。
 この検討会では、基礎研究を所掌する文部科学省として、医薬品・医療機器等の研究開発における産学連携施策をどのように進めるべきかというテーマについて御議論をいただきたいと考えております。
 これまで文部科学省では、大学等で行われる基礎研究と企業等で行われる実践的な開発をつなぎまして、イノベーションが期待されるシーズの実用化を目指してまいりました。例えば、産学連携医療イノベーション創出プログラム、あるいは先端計測分析技術・機器開発プログラム等の事業を実施してきたわけでございます。おかげさまで、これらの事業につきましては、関係の皆様方の御尽力によりまして、大変優れた成果を残すことができたと考えております。ただ、その一方で、我が国全体で見渡しますと、医薬品等について依然として、アカデミアと企業とのギャップを埋める仕組みが課題として残っているというふうに考えております。
 今般、文部科学省におけます複数の関連事業が同時に終了するということなどを見据えまして、今後の関連事業の在り方、さらには、健康・医療分野におけます産学連携の在り方を大胆に見直していきたいと考えているところでございます。先生方におかれましては、我が国におけます健康・医療分野の産学連携はどうあるべきか、そして、文部科学省として、どのような支援が求められているのかなどにつきまして、忌憚のない御議論をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】  事務局といたしましては、ほかにライフサイエンス課長の武田、研究振興戦略官の高木などが出席いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本検討会の主査・副主査について御報告いたします。本検討会の主査は、資料1-1にもございます設置要綱4.(1)に基づき、妙中義之委員を指名させていただき、御快諾をいただいているところでございます。また、副主査につきましては、同じく(5)に規定のとおり、妙中主査から近藤充弘委員に御指名をいただいており、こちらも御快諾をいただいているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これ以降の進行につきましては、妙中主査にお願いをできればと考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【妙中主査】  主査に御指名いただきました妙中です。どうぞよろしくお願いいたします。
  先ほどの挨拶の中でもお話をしたのですが、私は医療機器が専門の領域で、研究開発だけではなくて、異業種の企業の方々の技術を一緒に研究開発して、医療機器メーカーとつないで、医療機器、人工心臓や人工肺、それから最近よく出ているECMOの製品化、それから保険適用を受けるようなところまで広めさせていただいておりました。
 この事業に関して言いますと、A-STEP、ACT-M、ACT-MSの評価委員もさせていただいておりましたので、どういうようなことが起こっているかというのも、比較的理解しているつもりです。
 さらに、AMEDの他の事業で医工連携事業化推進事業、これは発足以来から支援させていただいて、医療現場のニーズに基づいて、ものづくり力を使って出口まで実用化まで持っていくというプログラムのプログラムスーパーバイザーをさせていただいておりました。
 また、全国の14拠点の次世代医療機器連携拠点整備等事業のPSも一昨年からさせていただいております。
 また、AMEDの6本の統合プロジェクトのうちの1本である医療機器・ヘルスケアプロジェクトのプログラムディレクターをさせていただいておりまして、この事業も含めてAMEDの他の事業との連携も含めて、基礎研究から出口に持っていくところまでどうやって支援するかということも、いろいろ考えておるところです。この委員会での皆さん方の御意見をいかに参考にして、これまでの振り返りもそうですが、これからどうするかというところをメインに、方向づけを皆さんと一緒にさせていただけたらというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、近藤副主査からも一言お願いできますでしょうか。どうぞよろしくお願いします。
【近藤副主査】  ありがとうございます。副主査を務めさせていただくよう御指名いただきました近藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほども自己紹介させていただきましたけれども、私自身は製薬協の医薬品評価委員会で副委員長を務めております。医薬品評価委員会と申しますのは、どちらかといったら、医薬品業界の中でも開発部門が中心となってくるような委員会という形になります。ですので、私自身は、医薬品企業側の目線での発言が多くなってしまうかとは存じますけれども、何とぞよろしくお願いいたします。
 私もAMED事業で、拠点の支援事業のプログラムオフィサー等も務めさせていただいております。また、いろいろな先生方と意見を交わしながら、いろいろとディスカッションをさせていただければと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。以上です。
【妙中主査】  どうもありがとうございました。それでは以降、私の方で議事の進行をさせていただきます。
 まず、事務局から本日の議事及び配付資料について確認をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。それでは、本日の議事について御説明をいたします。議事次第を御覧ください。
 こちら、2.議事にありますように、本日、大きく4点でございます。(1)本検討会については、事務局より本会の位置づけ等について簡単に御説明をさせていただきます。(2)有識者からの情報提供として、先ほど申し上げました島津リーダーより、「産学連携の国際ベンチマーク」と題して、大変幅広い視点からのプレゼンテーションをいただきます。(3)医療分野研究成果展開事業の概要については、文部科学省での産学連携施策の現状や成果について事務局から御説明をさせていただきます。(4)総合討論では、冒頭、事務局より、問題意識や論点の例を簡単に御説明させていただいた後、本日は初回ということもございますので、委員の皆様による自由な討議を行っていただければと考えてございます。
 配付資料につきましては、次第に記載のとおりでございます。事前に送付させていただいておりますので、お手元のものを御覧いただいても結構ですし、プレゼンテーションの際には画面共有をさせていただきます。
 不備等ございましたら、事務局に御連絡ください。以上でございます。
【妙中主査】  ありがとうございました。どうですか。皆さん、資料等、不足ございませんか。
 それでは、これより議事に入りたいと思います。
 では議題1に移ります。本日は初回の検討会ですので、まず、事務局から本検討会の位置づけについて説明をお願いします。
【佐藤課長補佐】  主査、ありがとうございます。事務局でございます。
 資料1-1から御覧ください。産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会でございますが、設置の目的として、アカデミア発のシーズを活用した産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発について、これまで実施している医療分野研究成果展開事業の評価を行うとともに、同研究開発の現状と今後の課題を整理し、令和4年度以降の推進の在り方を検討するためとさせていただいております。
 具体的には、2.にありますように、次回以降ですが、各種事業の事後評価を行っていただきますとともに、令和4年度以降の新たな推進の在り方について御検討いただくことをお願いしたいと考えてございます。
 続きまして、資料1-2を用いて今後のスケジュールを御説明させていただきます。
 本日3月11日にキックオフをさせていただきまして、次回、4月の回では、各種事業の事後評価及び今後の政策の在り方を引き続き御議論いただきます。その後、5月の第3回、6月の第4回を通じて、今後の産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発推進の在り方について、お取りまとめいただければと考えてございます。
 事務局からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【妙中主査】  ありがとうございました。ただいまの説明内容について御質問等ございますか。もしあるようでしたらよろしくお願いします。
 よろしいですか。それでは、議題2に移ります。
 産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の現状、それから課題について御発表を予定しております。本日は、科学技術振興機構研究開発戦略センターライフサイエンス・臨床医学ユニットのユニットリーダーであります島津博基先生に御発表いただきます。資料2です。
 それでは、島津先生、15分で御発表をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
【島津ユニットリーダー】  JSTの中でシンクタンク的な部門を担っております。広く国内外の研究開発動向を調査した上で、文科省さんや内閣府さんに情報提供ですとか提言をしている組織になります。今日はこのようなタイトルで4つのパートに分けてお話しさせていただきたいと思います。
 まず初めに、近年、バイオテクノロジー・創薬分野への投資が非常に増加しているという状況がいろんなデータから見て取れます。それは、産業界もそうですし、ベンチャーキャピタルもそうだということが見て取れます。
 それは、ひとえに技術の進展が非常に早くなって多様化していると。特に2010年以降の医薬モダリティーの多様化ですとかデジタルトランスフォーメーション、AIといったものの登場によって、新しい取組に対して自社で解決できることはもう多くないという時代になってきており、アメリカでは、スタートアップベンチャーを活用してその壁を超える、欧州では、従来産学官のコンソーシアムをつくってそういうところを超えていくというような取組がありますが、日本はイノベーションエコシステムが未成熟なのではないかという問題があります。産学連携は、イノベーションエコシステムの中で考えていかないと大変効率が悪いのではないかという時代になってきているのではないかと思います。
 ライフサイエンスの世界の3大クラスター、ボストン、ベイエリア、サンディエゴと言われています。やはり、ここからたくさんのイノベーションが出てくるわけですけれども、非常にたくさんの大学の集積、また企業群の集積、さらに病院の集積、そういったものが見られます。なかなか日本がここまですぐ持っていくのは難しいのですけれども、参考になることはたくさんあるのではないかと思います。
 世界最先端の研究所の一つである、Broad研究所。MITとハーバードの合同の出資でつくられた研究所ですけれども、ここでは最先端のゲノムですとかイメージング技術、そういったものを産業界に提供するという形での産学連携が近年盛んになっております。一例としてイメージング等のビッグデータプラットフォームを産学連携に活用するという形が最先端の形になっているのではないかということです。
 創薬・医薬品に入らせていただきますけれども、産学連携の形態の一つとして、製薬大手によるベンチャー企業の買収と、M&Aということが、近年盛んに見られるようになってきております。2018年以降の事例だけでも、これだけたくさんのものがあるということです。
 日本の企業を見てみましても、やはり近年また、こういったM&Aが盛んになってきていると。我々も今回この資料を作って改めて驚いたことですけれども、買収される側の企業が設立10年以内の非常に若い企業である。新しい創薬モダリティーを手がける企業ということで、こういったモダリティーの多様化に対応して、企業はもう買収という形が一番効率がいいという状況になっている。一方で、こういった買収される企業に、日本のベンチャー企業がまだ見受けられる状態にはなっていないということでございます。
 近年の新しい研究活動の動向としまして、やはりデジタルトランスフォーメーションとかAIといったものによって、創薬プロセスのデジタルトランスフォーメーションが進んでおります。そういったことから、大きな製薬企業は皆さん、AI企業と提携をしているわけですけれども、こういった企業も、多くは設立から10年以内のベンチャー企業でありますよということが見て取れます。
 また、別の新しい動向としまして、デジタル治療というものがございます。こちらもやはり、近年出てきた事例を見ると、ベンチャー企業がリードしているということで、大手の製薬・医療機器企業がこういったベンチャー企業と協業しながら進んでいくということが盛んになっております。
 産学連携の形態の2つ目ですけれども、英国のケンブリッジですとかロンドンを見てみると、やはり、包括提携ということが盛んになっているのではないかと。ケンブリッジはキャンパス内にアストラゼネカの大きな研究所がありますけれども、それ以外にも、ケンブリッジ大学を中心とした創薬のコンソーシアムができていますよと。日本からも大塚とか塩野義といった製薬企業が参加しております。
 Francis Crick研究所を見てみましても、研究所内にGSKとかAstraZenecaの研究者が滞在して、非常に基礎的な領域の研究を一緒に進めていくという形が進んでおります。
 ということで、いずれも知の集積拠点に対して基礎研究段階から大手企業がオンキャンパスで参画するという形が見られます。これは日本の企業も同じでして、日本の企業と大学の包括連携の事例を我々のほうでまとめてみました。比較的最近始まったものがたくさんありますということで、このような、その一番大きな事例が大阪大学と中外製薬の事例ですけれども、10年間で総額100億円ということであります。日本も、個別の産学連携とは別に、中長期視点の包括提携というものが主流になってきているなということが見られます。
 また、産学連携の形態の3つ目としましては、国内製薬企業が研究公募を行うという事例がたくさん出てきていますということも挙げられます。
 また、個別の医薬品の開発動向を幾つか近年の事例を拾ってみましたけれども、このCAR-T細胞のキムリアの例ですとか、ステミラックの例のように、必ずしも全てがベンチャー主導でイノベーションが進んでいるというわけではないということも見られますし、山口大学のベンチャーの例ですとか東京農工大のベンチャーの例のように、日本の大学発ベンチャーも国内外の企業との提携が進んでいるということも見受けられます。
 御参考までに、これまで日本のシーズが医薬品のイノベーションにつながった事例をまとめております。
 続きまして、医療機器に移りますけれども、医療機器のほうも同じように海外医療機器メジャーがM&Aをするという事例がやはり近年、たくさん見受けられます。従来、医療機器メーカーがターゲットとしてきた、診断治療以外の買収も見受けられますし、技術的な中身を見ていきますと、やはり比較的新しいAIですとか、情報システム、あるいはロボットといったようなところに、M&Aが集中しているのではないかなと見られます。
 日本の医療機器会社のほうを見てみますと、やはり増えてきているなというのは見られるのですけれども、どちらかというと既存事業の規模拡大ですとか、足場固めを目的としたM&Aが多いのではないかというふうに見ております。
 一方で、日本の大学発のスタートアップベンチャーによる医療機器開発の事例も着実に増えてきているなというところを見ております。
 新しい研究開発の動向としまして、やはり2010年代に入ってAI医療機器が展開してきたと。2012年にディープラーニングの一種である、畳み込みニューラルネットワークが出てきまして、これが医療機器に使えるということで、2018年にアメリカで初めて、AIを用いた自動診断システムが社会実装されました。
 日本のメーカーも、トプコンですとかオリンパスさんが間髪を入れず、こういったところに進出して承認を受けていますよということで、米国ではこの分野で既にもう60種類以上の承認が出ている状態です。
 この分野の注目動向の一つとして、今月発表されておりましたけれども、欧州のIMIという製薬業界のコンソーシアムの中で「BIGPICTURE」プロジェクトというものが始まりまして、こういった分野は学習用に膨大なデータが必要になるということで、病理画像データベースを構築する新しいコンソーシアムを設立しますということで、産官学でこういうところに取り組むということが出てきております。こういう形での産学官連携というのも非常に重要になってくるのではないというふうに考えております。
 もう一つは、ウェアラブルとか埋め込み、あるいは環境計測のデバイスですね。Appleの血中酸素濃度を計るアプリの話題も出ておりますけれども、そういったような日常生活の中で生理データを連続的にモニタリングして、デジタルバイオマーカーとして活用するというトレンドが、今後盛んになっていくのではないかと見ております。
 また、こうしたウェアラブルデバイスやスマートフォンを用いて、医療機関内外で収集したデータを解析することで、疾患等々との相関を見ていくという研究活動、論文も着実に出始めております。
 その延長として、BMI、Brain-Machine Intrefaceが、今、精神神経疾患の治療に使われ始めているところですけれども、さらに将来的には、こういったものがデジタルバイオマーカーの機器の一つとして使われていくのではないかというような見方もされております。
 こちらも、産学連携の具体例を見てみましたけれども、例えば富士フイルムさんと理研のAIPのように、企業としては臨床のニーズですとか臨床現場のデータ、あるいはAI技術の獲得を包括的な産学連携に求める傾向があるのではないかということが、海外の事例を見ても見て取れます。
 また、個別のトピックスを見てみますと、どちらかというと日本のメーカーはやはりハードウエア中心に大学と協業をしているというところがあると思います。医学部大学病院を介したニーズの取り込みや技術的な評価ということが医工連携で行われているのではないか。一方で、海外を見てみると、大学側にソフトウェアの開発を指導してもらうというような事例が散見されるということです。こういう違った特徴はあるのではないかと見ております。
 日系企業は、診断機器分野では、一定の存在感を発揮しておりますけれども、治療機器分野では、少し後塵を拝しているところであります。今後この分野、医療機器のデジタルトランスフォーメーションですとか、新興技術に基づくサービスといったようなところがメインになってくると思いますので、そこに向けて、日本の企業はどのような戦略を取っていくかというところを考えていかなければいけないのではないかと考えております。
 最後に、従来の創薬とか医療機器といった枠組みに収まらない医療とかヘルスケアのサービスといったようなものが出てきているのではないかということで、そちらを紹介させていただきます。ヘルスケアのデジタルトランスフォーメーション、医療現場で得られる情報とリアルタイムで得られる生理計測データを合わせることによって、生活支援ですとか健康促進、最適治療、負担軽減といったことが行われる世の中になっていくだろう。
 繰り返しになりますけれども、日常生活での生理・行動・環境データ、デジタルバイオマーカーと、病院等々で得られる分子・細胞等のデータを統合して考えていく時代になってきているのではないか。
 こういったものを牽引しているのは、大きな技術の3つの方向があると思っていまして、AIとクラウドとウェアラブルデバイスとか、医療機器もここに含まれると思いますけれども、そういったものの統合的な利用によるサービスによって新たな価値がもたらされていくのではないかというふうに言われております。
 医療、ヘルスケアの企業、市場は巨大であるのですが、一方で非効率的なところもたくさん見受けられるということで、ビッグテックのターゲットとなっているということで、Google、Microsoft、Appleといったメーカーが非常に大規模な投資を行っていると。その分野を見てみると、データマネジメント・解析、ウェルネス、ゲノミクス、事務ツール、診断、リモートモニタリング、遠隔医療等々のように、従来の治療・創薬というメジャーな投資分野とは違うところへの投資も非常に増えてきているということが見て取れます。
 その一つの分野として、ゲノム医療、がん遺伝子のパネル検査というものがありますけれども、従来コンパニオン診断という使われ方していましたけれども、今、包括的ゲノムプロファイリングが可能になってきていて、がんの分野では非常に盛んになっております。ただ、このプレーヤーを見てみますと、Guardant HealthとかFoundation Medicineのような、やはりベンチャー企業がこういった新しい分野を牽引しているということが見て取れます。
 ロッシュがこの分野のプラットフォーマーとなるべく、いろんな企業を買収し、23&meのような遺伝子検査ビジネス会社も非常にデータをたくさん集めることによって、それを大企業に提供する形での共同研究というものが進んでいます。あとはイギリスのUK Biobankのようにゲノムのデータを集めるのに、国の予算では到底足りないので産業界が大規模投資をするといったようなことが見受けられる。それでゲノムのようなビッグデータビジネスはプラットフォーム型のビジネスモデルが成立してしまうという一面がありますし、なかなかそういったことが難しい日本や欧州では、官民の協力が進めていかなければいけないのではないか。
 リキッドバイオプシーも同じです。やはり、ゲノムとかオミックスといったバイオマーカーは、従来の1遺伝子、あるいは1分子1表現型から、血液等々の含まれる分子の特徴を、機械学習を用いてパターンで識別する方向に流れている。こういったものが、がん以外の疾患へも拡大していくだろう。
 投資が非常に近年拡大している分野でありますけれども、中身を見てみると、やはりほとんどスタートアップとかベンチャーといったところがプレーヤーとなっているというところであります。日本も、東レさんとか東芝さん等が取り組んでおられます。マイクロナノデバイスを中心に強みを有するので、今後の展開が期待されます。
 さらに、膨大な電子カルテ等のデータと、AI、自然言語処理によって、お医者さんの意思決定をAIがサポートするといった取組が中国で先行しております。中国は人口が多くて医師不足で個人情報の活用の障壁が高くないということで、いち早く実施をしましたけれども、英国のBabylon Healthのように、国と協業体制を築きながらこういったものを構築していると、既にもう社会実装されているというところもありますので、こういったところもきちんと見ておかなければいけないだろう。
 産学連携の形態としまして、日本ですけれども、NTTと京大とか、東芝と東北大のように、こういったところでの協業が進んでいます。さらに、弘前大のCOIですとか、京大とNTTの例、あるいは東大さんの例のように、日本でもデータを起点とした包括的な産学連携が近年相次いでいます。
 最後まとめになりますけれども、新しい技術に基づくイノベーションはどの分野もやはりベンチャーが牽引しているということが見て取れます。ということで、短中期にはベンチャーを活用する、あるいは、中長期視点では包括的な提携を行っていくということが大きなトレンドではないかなと見ております。さらに創薬・医療機器に加えて、データに基づく新サービスといったものが大きな市場を占めつつあるというところで、その分野の産学連携が増えているのではないか。
 示唆としては、この4つのようにまとめさせていただきましたけれども、異分野連携による新しい科学技術を生み出すための大学等における知の集積、あるいは産学連携・橋渡し機能の抜本的強化。あるいはMDとPhDの連携を促すような、大学病院を中心としてのプラッ- 15 - トフォームの構築。3つ目は今申し上げたようなこと。4つ目が、スタートアップとかベンチャーを設立しやすい環境構築ですとかアーリーステージへの研究開発支援というものが重要になってくるのではないかということでまとめさせていただいております。
 駆け足でしたが、以上となります。
【妙中主査】  どうもありがとうございました。
 今御説明いただいた内容について、御意見とか御質問とかございますでしょうか。よろしいですか。
 では、私から一つお願いします。米国も英国もそうですけど、海外のクラスターは、やっぱりエコシステムを意識した活動をされていると思うのですが、この中で、国が果たしている役割みたいなものはどのぐらいあるのでしょうか。もちろん民間の中でこういう活動が起こっているのではないかと思います。私も医療機器に関して幾つかのクラスターを見せていただいているのですが、国の関与ではなくてもうエコシステムが自立的に回っているという印象があるのですが、どうでしょうか。
【島津ユニットリーダー】  先生がおっしゃるとおり、一度ここのエコシステムができてしまうと、自立的に回るというふうなところがあると思うのですが、やはり冒頭はこの右肩のほうにも少し書かせていただいておりますが、最初はボストン市がクラスターを目指したイニシアチブとか、法律の整備ということを行っていたということで、この辺りは今日本も、経産省さん、厚労省さん等々、    文科省さんを含め、環境整備には非常に充実したものができてきているのではないかと思っております。
【妙中主査】  私も、医療機器が中心ですけど、このAMEDが立つ前ぐらいからの五、六年間、国の支援としてそのエコシステムというのをつくっていこうとして、かなり努力はしてきたのですが、それを自立的に回していくことがやっぱりすごく重要で、そこのところが、今後5年間、もうこれまでの5年間でかなり整備はできてきているのですが、よりそれを実装していくことが大事ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
【島津ユニットリーダー】  全く同感でございます。ただやはり、1つ成功例が出てきて、そこに投資家が集まってくるということを、1つでも2つでも出していかないと、なかなか息切れしてしまう部分もありますので、その法的な機関の支援と、その成功事例をつくっていくというところを同時に進めていかなければいけないのではないかと思います。
【妙中主査】  最初は求心力としての知の集積アカデア、また、文部科学省のやっておられる事業というのはその辺りが一番メインになると思うのですが、そこの時点からやっぱり出口を目指すロードマップを意識しながら、こういうことをやっていく。
 しかも、そのロードマップを支援するための活動というのも、この事業の中だけでとどまるのではなくて、AMED全体として取り組む、あるいは国全体として取り組んでいくという必要があるように、私自身は考えています。
 ほかに御意見ございますか。よろしいですか。
【近藤副主査】  申し訳ございません。近藤です。
【妙中主査】  よろしくお願いします。
【近藤副主査】  どうもありがとうございました。1点教えていただきたいのですが、コンソーシアムみたいな、産産で連携して学学で連携していくというような形というのも非常に重要なポイントになってくるかと思うのですが、そちらについてはどういうような状況になっているかというのを、御存じの範囲内で教えていただければと思うのですが。
【島津ユニットリーダー】  今の先生のは、産産のコンソーシアムということですか。
【近藤副主査】  そうですね。産産もありますし、学学で、それで産産学学というように、どんどん大きくしていくというような仕組みづくりというのをどんどん進めていかないといけないとは思うのですが。
【島津ユニットリーダー】  なかなか、産業界は競合になってしまうと同じコンソーシアムに入るというのが難しいようになってしまうというのが一般論としてあると思います。どうしても水平分業で進むようになっていると思いますので、産産のコンソーシアムというのは、ここで、例えばBroadで挙げたように、どうしてもやはり学が新しいサイエンスとか新しい技術を提供する形で、皆さん産業界がそれを活用するといったようなところになってしまうのではないかなということで、余りこの産産の連携は我々も調べられてはいない状況であります。
【近藤副主査】  ありがとうございました。現状が分かっただけでも非常に勉強になりました。どうもありがとうございます。
【妙中主査】  今の産産の連携ということ、私も興味があって、産産の中でもそれぞれ役割を果たす部分が違う産と産の連携ってあると思うのです。そういう意味では、結構産産連携も動いているのではないかと思います。特に、今のウェアラブルやIoTとかということになると、そういうプラットフォームをやっておられる方とものづくりをやっておられる方が協力するというような連携というのは、お互いにウィン・ウィンになっていく、それは医業界さんも含めてだと思うんですけど、そういうことって僕はあるのでは、もう動き始めているのではないかと思うのですが、どうですか。
【島津ユニットリーダー】  1つ紹介させていただいているのは、情報系企業との連携です。AIと情報系の企業は顕著なところかとは認識しております。
【妙中主査】  これに関しても、もう一つだけ、私、ちょっとお話聞きたかったのですが、最初にお話しされたヘルスケアと医療、医療の中とヘルスケアが一緒になって動いているお話をされたと思います。ここは今後、こういう産学連携、医工連携を考えていく上で、その医療の中と医療の外、ヘルスケアがシームレスにつながっていく世の中になっていっていると思っていて、特にGAFAとかの動きを見ていると、GAFAが保険者さん、日本は国民皆保険になっていますけども、それ以外のプライベートのインシュアランス、アメリカなんか特にそうだと思うのですが、そこと組んで、ヘルスケアの外と医療の中で、両方で動いていっている感じがするのですが、どうでしょうか。
【島津ユニットリーダー】  まずはGAFAも、特にApple、Googleは病院と組んで、病院から膨大な電子カルテ等の情報を使うとか、それでいかによい医療を提供できるかというところが主眼で進んでいるのではないかと思います。今後そのスマートウォッチですとかスマホがもっと使えるというのが分かってくると、そういうシームレスというか、ファジーな部分が増えてくるといったときに、どういう社会制度との在り方がいいのかとか、そういったところが議論になってくるのではないかと認識しております。
【妙中主査】  どうもありがとうございます。ほかに御質問ございませんか。なければ先に進めさせていただいて、後の総合討論の中でも、今日御発表いただいた内容も含めて、是非御質問、討議等できればというふうに思います。
 ありがとうございました。
【島津ユニットリーダー】  ありがとうございました。失礼します。
【妙中主査】  それでは続きまして、議題3に移ります。医療分野研究成果展開事業の概要についてに入ります。
 まず、事務局より説明をお願いします。
【上野係長】  それでは、医療分野研究成果展開事業の概要について説明いたします。
 まずは、資料3の冒頭の産学連携医療イノベーション創出プログラムについて説明いたします。以降、先端計測分析技術・機器開発プログラムについて御説明いたします。なお、時間の都合上、研究成果最適展開支援プログラム、戦略的イノベーション創出推進プログラム、産学共創基礎基盤研究プログラムについては、この場での説明は割愛させていただき、お手元の資料より  概要を御確認いただけますと幸いです。
 まずは、右下番号の2ページ目を御覧ください。産学連携医療イノベーション創出プログラム、通称ACT-Mですが、現在、健康・医療戦略に基づく統合プロジェクトにおいて、医薬品プロジェクトと医療機器・ヘルスケアプロジェクトの中で実施しております。
 また、右下番号の4ページ目になりますが、文科省での産学連携政策として橋渡し研究支援事業がございますが、こちらはシーズ開発研究基盤プロジェクトの中で実施しております。
 右下番号の5ページ目を御覧ください。まず、本プログラムの目的ですが、大学と企業が連携を構築し、アカデミア発の技術シーズを産業界に円滑かつ効果的に実用化プロセスに乗せるための産学連携による研究開発を支援することです。
 本プログラムですが、基本スキームであるACT-Mと、ACT-Mより早期のセットアップスキームACT-MSで構成されております。プログラムの特徴といたしましては、公募の際に、企業とどのような連携を取っているのかを重点的に評価しているところでございます。
 例えば、ACT-Mでは、スライドの真ん中で記載しておりますが、大学と企業の共同提案を必須としまして、大学と企業の役割を明確化し、研究開発段階に応じた企業からのリソースを提供することを求めております。
 一方ACT-MSでは、ACT-Mより対象とする開発フェーズが早期になりますので、特許構築への支援と、自ら実施するビジネスプラン作成を行うための活動計画が明確になっていることを評価することとしております。
 また、ACT-Mでの応募課題・採択課題の疾患モダリティーについては、多岐にわたることも特徴として挙げられるかと思います。時間の都合上、詳細の説明は割愛させていただきますが、参考資料1に、今年度の応募課題・採択課題を疾患別モダリティー別にまとめておりますので、御確認いただけると幸いです。
 続きまして、右下番号の6ページ目を御覧ください。ACT-Mにおける課題管理体制について説明いたします。この中の体制についてはスライドの上の図にてお示ししておりますが、ACT-MとACT-MSともに、全課題について、POとAMED課題担当者によるサイトビジットを実施しております。
 また、ACT-Mでは、各課題に応じた推進アドバイザーをサイトビジットの際に同行し、課題に適したトップレベルの専門家の御助言を得つつ課題を推進しており、大変手厚い支援となっているところでございます。
 次のスライドに移りまして、プログラム開始時からの採択数と採択率をまとめております。採択率については、毎年度10%前後となっておりまして、非常にコンペティティブな数値となっております。
 右側に主な事業変遷を示しております。大きな変わり目といたしまして、まず、平成28年度にACT-MSが調整費で開始したこと。令和元年度に、前年度の中間評価を踏まえまして、先ほど御紹介しました推進アドバイザーを配置したこと。令和2年度に、ベンチャー企業に配慮した評価指標を設けたことが挙げられるかと思います。ほかに、毎年、PS、POの指導の下、評価体制や評価方法の見直しを行っております。参考資料2において、評価委員の体制につきまして載せておりますので、後ほど御確認いただけますと幸いです。
 ちょっとページを飛ばしまして、右下の番号12ページを御覧ください。ACT-Mの成果概要について説明させていただきます。左上の円グラフを見ていただければと思いますが、約6年間に支援し終了した23課題のうち、19課題がAMEDのCiCLEや経産省事業への移行を含め、企業主導の研究開発に移行しております。
 また、スライドの上部に開発段階ごとの件数をまとめておりますが、次のスライドで記載の通り、プロジェクションマッピングの1課題が上市に至っております。
 ほかに、企業リソースについてもまとめております。ACT-MではAMEDが支援した研究費とほぼ同等の額を企業リソースとして企業が負担しておりまして、実用化に向けた研究開発を実施しているところです。
 次に、ACT-MSでは終了課題31課題のうち、ACT-Mに申請し採択された課題が12課題、企業の資金で開発する課題が5課題、CiCLE等のAMED事業にて採択された課題が2課題ございまして、産学共同での研究開発が継続されているところでございます。
 ほかの成果といたしましては、スライドの下部で記載しておりますが、臨床試験・治験が開始されたものが5件、特許申請・登録等に至った研究開発が174件といったものが挙げられます。
 ページを飛ばしまして、右下番号15ページ目を御覧ください。成果のまとめですが、先ほど御説明いたしました成果以外にも、PS、POを中心に、AMED職員も参加するサイトビジットを全課題に対して1回以上実施し、進捗状況等に合わせて計画の見直しを行ったこと。また、課題に応じた推進アドバイザーを配置し、一部課題においては伴走コンサルティングも活用し、必要に応じて計画の見直しを行うことで、その課題の事後評価の結果を向上させたことなども成果として挙げられるかと思います。
 続きまして、右下番号16ページ目を御覧ください。後ほど資料4においても事務局より説明いたしますが、産学連携による医薬品・医療機器 等の研究開発の推進の在り方に向けた問題意識といたしまして、文科省の施策の中で、ACT-Mと先端計測分析技術・機器開発プログラム、橋渡し研究事業が走っている状況であることから、事業をより効果的に実施するため、文科省といたしましては、今後の事業の展開の在り方を検討する必要があると考えているところでございます。
 次のスライドに移りまして、右下番号の17ページ目を御覧ください。例えば、医薬品については、昨年の12月に開催された医薬品開発協議会の資料を抜粋しておりますが、こちらの医薬品開発協議会において、アカデミアと企業のギャップを埋める仕組みが論点として掲示されているなど、文科省といたしましては、我が国全体としても未だ課題のある分野であると認識しているところでございます。
 文科省で考えております検討の方向性といたしまして、下部に示しておりますが、ACT-Mの強みである産学連携の仕組みを橋渡し研究事業へ応用していくべきではないかということを、こちらの会議の場で提案させていただいており、検討の方向性について前向きに検討を進めるべきとの御意見を頂戴したところでございます。
 右下の18ページ目を御覧ください。医薬品開発協議会での御意見を踏まえ、現時点で橋渡し研究事業とACT-Mでどのような関連があるのかを例示として説明させていただければと思います。
 今回、事例といたしましては、iACTによる取組事例を御紹介させていただければと思います。iACTでは、橋渡し研究支援拠点として、ACT-Mについて研究者に対して応募時の申請支援をはじめ、採択後の開発支援も行っております。
 例えば、シーズ公募のところではAMEDと協力して個別相談会を実施しているほか、ACT-Mの採択後も研究者と支援契約を結び、PMDA相談や治験実施支援等を実施している事例がございます。
 また、ACT-Mで採択してきた課題のうち、iACTにおいてどのような支援を行っていたのかを、右下の表にてまとめております。URAと共同しながらACT-Mへの申請支援をしたものが4件、真ん中の事例1、2のように、ACT-Mの支援期間中を含む支援を実施していたものが6件、ACT-M支援期間終了後に移行して支援をしているものが3件ございました。
 このように、橋渡し研究支援拠点の支援と実用化を目指す産学連携事業であるACT-Mというものは、結びつきやすいもの、相入れられるものであると考えているところでございます。
 ACT-Mの説明については、以上となります。
【赤坂調査員】  よろしくお願いいたします。では、先端計測分析技術・機器開発プログラムの概要について御説明いたします。
 早速37ページを御覧ください。これは医療機器・ヘルスケアプロジェクトの図になります。本プログラムを含みます医療分野研究成果展開事業は、この左上の赤で囲った部分にございますとおり、このプロジェクトの最も初期フェーズのところから始まる事業でございます。そうした中でのプログラムとして、革新的な医療機器につながる成果を安定的かつ継続的に創出する役目を担っているプログラムでございます。
 次、38ページをお願いいたします。こちら、医療機器の研究開発フェーズの中での、本プログラムの位置づけを示した図でございます。左の赤枠で囲った部分になりますが、本プログラムは、要素技術開発と機器開発の2つの研究開発タイプを御用意してございます。
 その中でもより初期フェーズの要素技術開発では、要素技術の原理を検証しまして、開発する医療機器システムのコンセプト及び性能を決定することを目標としております。機器開発では、原理検証機から出発しまして、試作、検証を繰り返しながらプロトタイプ機を作製して、次の開発機につながる最初の要求仕様を決定するところまで行います。
 次、お願いします。こちらは、本プログラムの事業概要を御紹介したものになります。このプログラムは、大学と企業との連携を通じまして、研究者が持つ独創的な技術シーズを活用する。それによって革新的な医療機器・システム開発につなげることを目的としております。
 プロトタイプ機を作製しまして、そこで有効性がある程度確認できますと、本プログラムは卒業ということになりまして、AMEDの他事業とか、右側の矢印になりますが、企業等へ導出いたしまして、実用化に向けて更に開発を進めていただくというふうな流れになっております。
 左下のチェックで打ってある文書の辺りを御覧ください。この医療機器の開発におきましては、医療現場のニーズというものが非常に大事でございますので、企業と技術シーズを持つ研究者に加えまして、このプログラムでは、臨床医の参画を必須としております。
 そして、この下、KPIの指標としましては、アウトプットが非臨床POCの取得件数、アウトカムは研究開発課題の他事業や企業等への導出件数となっております。このプログラム全体にわたりまして、右にお示ししたプログラムスーパーバイザー、プログラムオフィサーの3名の先生方を中心に、課題評価委員の先生方とか、あとAMEDの担当の方々を含めて、進捗管理、御指導、それから支援する体制をしいております。
 次、40ページをお願いいたします。こちらは事業変遷をお示ししたものでございます。まず、下側の文章のところを御覧ください。かいつまんで御紹介いたしますが、このプログラムは、平成16年度にJSTにおいて、まず、「世界のオンリーワン」とか、最先端の計測分析技術、それから計測分析技術・システムの開発を支援することを目的として推進されてきました。田中耕一先生のノーベル化学賞の受賞も契機になって発足したと伺っております。
 少し先に進みますけれども、平成27年度にAMEDが設立されまして、医療分野での活用が期待される研究開発課題をJSTからAMEDに移管しまして、「オールジャパンでの医療機器開発プロジェクト」の一環として、日本発の国際競争力が高い革新的医療機器の実用化の鍵となるニーズを踏まえた研究開発を推進するということとなりました。
 それから、後ほども御紹介しますけれども、平成29年度からは、導出に向けて研究開発の方向づけを強化するために、経済産業省の事業における伴走コンサルティング、AMEDの知財支援制度等を活用させていただいております。
 令和2年度になりまして、統合プロジェクトが再編されて、「医療機器・ヘルスケアプロジェクト」に編入されて、現在に至っております。
 上側の表ですけれども、これは、予算、応募件数、採択件数、それから採択率の推移を年度ごとにお示ししたものでございます。この中で、一番右の合計の欄を御覧ください。応募件数は、平成27年度から令和2年度までの6年間でございますが、合計で705件。そのうち要素技術が446、機器開発が259となっております。採択件数は、同じ6年間で合計57件でございます。そのうち要素技術40、機器開発が17、採択率は例年10%前後で推移しているというところでございます。
 次、41ページをお願いいたします。こちらは、このプログラムの実績を経年、年度ごとの実績で表したものでございます。表の上半分が要素技術開発タイプ、下のほうが機器開発タイプの実績の数値を並べてございます。
 平成27年度から今度は令和元年度までの5年間の実績として、AMED他事業への導出件数は、合計欄の上から2つ目に記載しておりますけども、要素技術開発タイプが4件、合計の黄色で示したところでございますが、機器開発タイプが1件となっております。
 その中で、星印がついております、要素技術タイプの令和元年の上から2つ目、2件と書いてあるところの肩ですが、ここのところは、令和元年度終了、この年に終了した要素技術開発タイプの中で、さらに1件が令和3年度に「医工連携・人工知能実装研究事業」に採択されております。
 それから、要素技術開発タイプのところでございますが、38ページで御紹介しましたように、このプログラムにおきましても、一番初期のフェーズの研究開発タイプでございまして、そこから通常はなかなか導出には至りにくいという段階なのでございますが、平成30年度、令和元年度にそれぞれ他事業へ2件導出したという成果が出ております。
 機器開発タイプにつきましては、他事業及び企業等への合計9件の導出を行いました。
 それから、下の赤で書いてある3行になりますけれども、平成29年度からは、経産省事業における伴走コンサルティング、それからAMEDの知財支援制度等を活用しております。そして、サイトビジット等の回数も増やして、御覧いただけるように数が増えておりますが、こういった形できめ細かい支援を実施することによりまして、平成30年度と令和元年度、導出実績がそれぞれ合計で5件ずつと向上しております。
 次、42ページをお願いいたします。導出以外の成果として御紹介しているものでございます。本プログラムで支援した研究課題が、平成29年度から令和元年度にかけて3年連続で、日本医療研究開発大賞のうちのAMED理事長賞を受賞しております。
 一番左にあるのは、先ほど島津様からも御紹介ありました、木村先生の研究開発課題でございます。こちらは、微弱な電波で高精度に被験者様に負担をかけずに乳がんを検出できるような新しいマンモグラフィーの実用化を目指したものでございます。これは、平成31年4月に先駆け審査指定制度に指定されまして、現在、臨床試験が行われている段階でございます。令和元年度には、医工連携事業化推進事業に採択されてもおります。
 真ん中にお示ししてございますのは、心筋梗塞後に壊死をして心不全が発症するわけですが、その予防を目的にしたものです。心臓のそばの迷走神経を刺激してやると、心不全の発症を予防できるということで、そのカテーテルの開発を進めておられます。
 一番右になりますけども、こちらは網膜静脈分枝閉塞症の治療機器でございます。現在は治療薬で、高額な輸入薬を対症療法として使われておりますけれども、それに代わる根本治療として、血管にちょっと気泡で刺激を与えて血流を改善させるというような装置でございます。
 次、43ページをお願いいたします。今までの御紹介した成果をまとめたものでございます。平成27年度から現在までの約6年間、支援を続けてまいりまして、それで終了した56課題のうち、結果として他事業へ5課題、企業等へ9課題導出し、合わせて14課題ですが、それらのうち3課題が上市に至りました。
 導出に至った14課題のうち9課題では、参画企業が第一種又は第二種の医療機器製造販売業許可を有しておりました。ということで、こういった導出に当たっては、薬事に詳しい企業が参画する重要性というのが示唆されるのかと考えております。
 研究開発の方向づけを強化するために、PS、POやAMED担当者によるサイトビジット、それから会議も含めてですが増やしまして、平成30年度からの2年間でそれらを400回実施いたしました。数をかなり増やしました。また、その平成29年度からの3年間で、伴走コンサルティングを98回実施し、知財支援制度を5課題が活用いたしました。これらの支援が始まった前後で導出実績を比較しますと、平成27年度から平成29年度まで、支援が活発に始まる前の3年間では、年平均1.3件でございましたが、平成30年度から令和元年度の2年間では5件に向上しております。
 コンサルテーションは重要ということで、更に充実を図っているところでございます。令和2年度から、伴走コンサルティングの発展系と言ってよろしいのでしょうか、アクセラレーションプログラムというものを導入しまして、現在3課題に実施しているところでございます。
 本課題で支援した研究課題が日本医療研究開発大賞のAMED理事長賞を受賞しましたということを、先ほど御紹介いたしました。
 今回データではお示ししてございませんでしたが、課題評価委員会についても重要な支援をされておりますので、これについても多少触れておきますと、専門分野、アカデミア・企業・臨床医のバランス、女性比率も考慮した多様な委員構成としまして、必要な医療機器分野に応じて対応できるように増員いたしました。様々な視点からこういった研究課題をきめ細かく評価することによりまして、革新的な医療機器の創出につながる多様な技術シーズを幅広く採択していくように努め、採択してまいりました。
 44ページは、経産省からお借りした資料でございまして、伴走コンサルティングの御説明になります。伴走コンサルティングは、医療機器開発の初期段階から事業化まで一連のプロセス、切れ目なく、右にお示ししております1から11の様々な分野の御専門家の方々によってコンサルティングをいただくことが可能でございます。そのプログラムで、本プログラムをお世話になっていくというところでございます。
 45ページ以降は、各年度の本プログラムの採択課題を一覧にしてございますので、後ほど御参考いただければと存じます。
 私から以上でございます。ありがとうございます。
【妙中主査】  ありがとうございました。今の事務局の御説明で、これまでの事業についての御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。あまり時間がないので、総合討論の中でまたディスカッションさせていただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、総合討論に行きたいと思います。事務局から発表いただいた意見を踏まえて、本日の討議に移りたいと思います。
 まずは、検討事項について事務局から説明をお願いします。よろしくお願いします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。資料4を御覧ください。中段の図を用いながら問題意識を御説明させていただきます。
 中段の図は、先ほどからの各種事業の説明の中でも用いられておりました、フェーズルーラーと呼んでいる、政策の見取図のようなものですけれども、そこから関連施策だけを抜き出したものでございます。この図のとおり、文科省における健康・医療分野の産学連携関連施策は、モダリティやフェーズに応じて幅広く実施されているところです。今般各事業の在り方検討に当たっては、関連事業及び他省庁事業との連携強化、また、より効率的・効果的な実施体制の構築、そういった観点を踏まえた検討を行うことが必要ではないかという問題意識の下、今回の検討会の議論をお願いしたところでございます。具体的な検討事項の例といたしましては、僣越ながら下のほうに6点例示をさせていただいております。
 上から順に、研究フェーズ、橋渡し研究との連携、企業との関わり方、臨床医との関わり方、他省庁事業との連携、そして最後は実用化に向けた支援の在り方でございます。もちろんこれに限定される必要は全くございませんので、自由に討論いただければと思っておりますけれども、例として御参照いただければ幸いです。
 また、資料4の2枚目以降には、次回の会議で御議論いただく事後評価の様式を参考で添付させていただきました。何枚もあってちょっと申し訳ないのですが、一つポイントだけ申し上げますと、こちらの5ページに、3つの観点ということが記載してございます。すなわち、必要性、有効性、効率性、この3つに基づいて事後評価が行われるということでございますので、今後の事業の在り方を検討する際にも重要な観点かと思いますので、御参照いただければ幸いです。
 なお、本日はACT-Mの千葉PS、橋渡し事業の中西PSにも、オブザーバーとして御出席をいただいております。また、AMEDの皆様にも御出席をいただいております。総合討論の中で、これまでの事業運営の御経験等からお気づきの点とかがございましたらば、発言いただければと考えてございます。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
【妙中主査】  ありがとうございました。今、事務局からも御説明ありましたけれども、本日は第1回ですので、資料4にあった先ほどの6つの検討事項の例も参考にしていただきつつ、幅広く自由に御意見をおっしゃっていただければと思います。
 最初に、私からお願いですが、先端計測事業を担当しておられた菅野先生、先ほど先端計測事業について御説明がありましたけども、どうでしょうか。何か付け加えられるようなこととか、ここがよかったとか、この辺が課題だったとか、今後どうしたらいいかといった御意見をいただけたらと思うのですが、よろしくお願いします。
【菅野委員】  ありがとうございます。先端計測機器のPSをしております菅野でございます。妙中先生、どうも御配慮いただきましてありがとうございます。
 御説明にもありましたとおり、このプログラムは、JSTのほうで、先端計測機器として、同じような名前ですが、アカデミア用のオンリーワン、ナンバーワンの計測機器を作るという形でできておりました。それで、それの計測対象はバイオ系のものをAMEDができるときにこちらのプログラムに移させていただいたという経緯がございます。
 最初のうちは、そういう経緯がございましたので、やはり医療機器という観点からは若干厳しめのものが多くて、なかなか実用化には至らなかったのですが、AMEDの御協力も賜りまして、それからいろいろ関係の先生方ともお話をして、先ほど来お話が出ていましたように、オンリーワン、ナンバーワンになりますと、どうしてもシーズプッシュ型になるので、そこをきっちりとニーズを把握するために臨床医を入れて、ニーズプルの部分をもう少ししっかり出すと。
 それから、どうしても計測機器ですと知財みたいなことについて考え方が甘くなるのですけども、そういうところもきちっとやっていこうということで、許認可のところを伴走コンサル、それから知材のサポート等を充実させることで、後半、かなり他事業にも導出されるものも出てまいりましたし、AMED理事長賞を取るような結果も得られてきたというふうに考えております。
 ただ、やっぱりまだまだちょっと不満なところがございまして、先ほどの説明にも出てまいりましたが、一緒に走ってくれる企業の体力や経験によって、結果がうんと変わってくるということをかなり経験しておりますので、こういうあたりを採択時にどういう形で反映していくのか。それとも、間口は広く、野心的なプログラムを取って、取ってからそういういい企業とマッチングをしたりしなければいけないのかと、そういう制度的なことも少し考えていかないといけないのかなというふうなことで、AMEDの担当者の方とかと少しお話をしたりしております。現状はこういう形でございます。
【妙中主査】  菅野先生、大変ありがとうございました。
 今日はオブザーバーで参加していただいております千葉先生。千葉先生はACT-M、ACT-MSのPSをしていただいておるのですが、千葉先生、何か今日の事務局の説明に付け加えるようなこととか、ここがよかった、ここはもうちょっと何とかしたかったとか、今後どうしたらいいかみたいな御意見ございますでしょうか。
【千葉PS】  ありがとうございます。
【妙中主査】  ちょっとハウリングをしているようですが。
【千葉PS】  そうですね。
【妙中主査】  ちょっと聞きにくいですけども。
【千葉PS】  5年やってきて、発展途上というか、まだ完成されてないという印象はございます。
【妙中主査】  ちょっと難しいですかね、音声。後でということにさせていただいてよろしいでしょうか。すみません。もし回復するようであれば、手を挙げていただく等お願いできますでしょうか。よろしくお願いします。
【菅野委員】  電話経由というのもできるのではないかと思うのですが。
【妙中主査】  そうですね。ちょっと事務局のほうで対応してあげてもらえますか。よろしくお願いします。
【佐藤課長補佐】  承知いたしました。
【妙中主査】  後でまたつながれば、千葉先生には御意見いただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 今、菅野先生からもお話しいただいたことに、私、ちょっとだけ付け加えたいことがあります。資料3の37ページを見ていただいたら、AMEDの医療機器・ヘルケスアプロジェクトの全体像が出ているのがあるのです。先端計測やACT-Mから、経産事業や厚労事業に導出するというところの図が、フローがあるのですが、その一番下に、実はこのプロジェクト全体の基盤を支えるというのを一応配置させていただいていて、これが医工連携イノベーション推進事業の中のコンサルティング事業なのです。これを平成30年度、31年度、令和元年あたりから、先端計測のほうにもやらせていただいているし、ACT-Mに関してもそうさせていただいて、それを発展させるアクセラレーションプログラムなんかも、それから知財支援もここに入っていて、これAMED全体としてこういうふうに支援をしてきているという、だからこそ、その外に出ていっているということがあるのです。
 先端計測やACT-Mから、経産事業、私がPSやらせていただいているところに導出されたのもそこを通ってきているというのはすごく多くて、そういう意味では、今後もこういう活動というのはすごく重要なのではないかと私は思っております。
 菅野先生、御意見どうぞ。
【菅野委員】  本当にそのとおりでして、先端計測機器のときは、いわゆる医療機器としての規制だとか、どういうふうな治験をしてベッドサイドに渡すかとか、そういう知識を、開発する人も、一緒にやっている企業もほとんど持ってない状況がしばしば起こるのです。それで、伴走コンサルでは本当にきめ細かく、順番はこういうふうに研究開発しなさいと。それで、こことこことここでちゃんとステージゲートで、これをクリアしないと先には進めないよというようなところまで御指導いただいて、それで研究計画を組み直すと、やっぱり見違えるほどの結果が出てまいります。
 本当に今、先端機器では、全例コンサルに行けと、そういういう形で指導させていただいておりまして、これは非常に助かっています。
【妙中主査】  どうもありがとうございます。
 それともう一つ、この基盤の図で、ピンク色になっている、厚労事業になるのですが、次世代医療機器連携拠点整備等事業というの、これ全国14拠点を支援しているのです。先ほどACT-Mの説明の中で京大の大菊先生が所属されているiACTの話が出てきて、iACTがやはり、採択されたやつの支援とかもされていて、うちに持っていくというような役割をしていただいていたというお話を聞いたのですが、その拠点の事業などは、この基盤だと私は思っているので、その辺で、大菊先生、何か御経験とかございましたら、御意見とかございましたらお願いいたします。
【大菊委員】  大菊です。ACT-M事業に関しましては、我々、橋渡し事業と平行しまして、シーズの発掘、育成をやらせていただいていました。特に、ACT-Mから選ばれてくる、そのシーズというのが、企業との連携がもう始まっている、あるいはもうしっかりできているといったところが一つポイントになっていまして、橋渡し事業ではその産学マッチングというのは後からやることもあるのですけれど、そこが結構ネックになったりもします。逆に、既にそういったところができている、このACT-Mの事業というのは、企業が開発しますよという本気度が見えるというところがいいのではないかと思っています。
 また、選ばれてくるそのシーズに関して、医療ニーズがはっきりしていると。これは多分、千葉先生がいろいろ、MDの方を採用されての結果かと思いますけども、そういったところが表われているのではないかと思います。
 この結果として、我々としては、ACT-Mから選ばれてくるシーズというのは、橋渡しよりも非常に早く先に進む、特に医薬品であれば、非臨床の動態、安全性といったところのデータを取るために結構お金がかかりますけれども、それを企業にも負担していただいたりするところもあって、よかったのではないかと思います。
 普通に橋渡しだけやっていくと、いろんなAMEDの事業でお金を取りながらということで、ステップバイステップで非常に時間がかかるというところがありますけども、ACT-Mの場合はそこが非常にスピーディーにいけるのではないかというところで期待をしておりました。
【妙中主査】  京都大学のiACTの活動も私は拠点事業で見させていただいているのですけども、やっぱりその中でも先ほどの事業化に向けての支援ですよね。それが、結構できていらっしゃるのではないかというふうに思って見させていただいているのです。ほかの拠点でも結構、そういうところがあるので、どうでしょうか。
【大菊委員】  出口というのはやっぱり我々は一番大切にしていまして、先に行くために専門家なりコメントをたくさんいただいて、それを参考にさせていただくと同時に、内部の体制整備というのをやらせていただいて、考えてはいるのですが、よその拠点に比べて早いか遅いかというと、ちょっと比較できないのですが、鋭意努力していますというところでしょうか。
【妙中主査】  ありがとうございました。そういう意味では、今お話しした基盤の2つの事業ですよね、それが日本のエコシステム、米国や英国に遅れているところを、何とか国として、技術的に回るための後押しをするみたいな感じかというふうに思っています。
 安西さん、ちょっとコメントをいただきたいのですが、VCの立場もおありだと思うのですが、こういう今までやってきた事業、それから世界の動向なども踏まえて、今後、日本が、この事業も含めてどういうふうに行ったらいいかというような御意見等ございますか。
【安西委員】  私どもは医薬分野が中心なのですけれど、大学発ベンチャーの設立や育成に取り組んでおりまして、先ほどACT-Mの応募の中でもベンチャーが多くなっているというお話がございましたけど、私たちも助成金やVCのリスクマネーをうまくマッチングして、いわゆる「死の谷」をどのように橋渡しができるかを、常日頃、現場で悩んでおります。
 先ほどCRDS島津先生のお話もありましたとおり、世界では米国を中心に、ベンチャーが事業化や実用化の担い手になっていますし、圧倒的な資金量で一気に医薬品の臨床開発をしていくという流れができております。例えば、COVID-19のメッセンジャーRNAワクチンの実用化もモデルナやビオンテックといったベンチャーが主導してきたという事実もあります。当社も2019年からボストンに拠点を置いて、現地のエコシステムとも連携しながらベンチャー主導の事業化を図っています。
 それで、本事業を改めて拝見させていただいて、私たち投資家の視点から見ても、適切なタイミングで支援されているのかなと感じました。それは2点ありまして、1つはまさしく事業化の際に、大企業やVC投資家による投資の呼び水になるようなポイントで助成金による支援ができているかは非常に重要でありまして、それは医薬品でいえば非臨床の動物モデルでのPOCや、臨床入りをするタイミングでもあります。また医療機器や計測器の分野では機器としてのPOCを取ったり、プロトタイピングをする段階がそれに当たります。多くの開発資金が必要な一方、一気に価値が高まるポイントでリスクテイクをして、大企業や投資家に橋渡しするような機能というのは、産業界のニーズに沿った制度設計がされているのかなと感じるところです。
 もう1点は、事業化を図る中では、先ほども議論がありました、出口、社会実装から逆算する視点で制度設計や支援がされているかという点です。委員の皆様からお聞きしたところでも非常に手厚い、きめの細かい支援があったからこそ、これだけの実用化の成果が出てきたということは理解させていただきました。私たちの投資をする際も、評価のポイントになるのは社会実装で不可欠となる特許や製造・CMCや薬事といったところになります。伴走コンサルティングのお話もありましたが、ユーザーであるベンチャーが世界から資金を集める呼び水となるためには、高いレベルで、どのような支援機能を拡充していけば良いのか、というような視点や視座も今後加味していただければと感じたところです。
【妙中主査】  どうもありがとうございました。今、何人かの先生に御発言いただきましたけども、やっぱりAMED事業全体の中で、この事業をどう捉えるかという捉え方も大事で、AMEDの支援の中の一環としてこれが更にアクティブに働くということが大事だと思うので、是非各省庁だけではなくてAMEDとの連携というのを、委員会としてもしっかりやっていってもらえたらなというふうには私は思います。
 では谷岡さん、医療機器メーカーの立場で何か、今日のお話を聞いていて感じられたこととかはございますか。
【谷岡委員】  妙中先生、ありがとうございます。先ほどからお話をお伺いしていまして、妙中先生のお話と、あと菅野先生のお話からでも、やはり伴走コンサルの役割がすごく大きいのかなというふうに感じました。やはり日本の企業は資金的にも余り多くないですし、資金は少なく、時間も短くという、効率的な開発をするためには、元に戻らないということはものすごく大事なのですね。私たち、10年、20年開発をやってきている中で、やっぱり初期の頃って、また元に戻ってしまうということでものすごく時間を使ってしまっているということが実際にありました。なので、そこを経験されているコンサルの方にアドバイスしてもらうのはすごく大事だと思っているので。
 以前にも何度か妙中先生に御相談したことがあるのですが、コンサルテーションをする人をどういうふうに選んでくるかということもすごく重要だなと思っていまして、何かそういう工夫を今されていることがあるのかを妙中先生に教えていただきたいです。あともう1点、さっき1から9ぐらいですか、コンサルの内容が出ていましたけれども、これを全てできる人って多分いないと思うのです。ということは、一つのテーマに対して複数のコンサルの方が入ってくると思いますので、それについて、やはりコンサル同士の横の連携もしないと、企業としては例えば、幾らいいものができても保険の点数がつかなかったら商売できませんので、取り組めないとかいろいろ出てきます。そういうその横の連携もされているのかどうか、ごめんなさい、妙中先生への御質問になってしまうのですが、いいですか。ちょっと教えてください。
【妙中主査】  私がここで答えるのもあれですけど、医療機関支援ネットワーク及び伴走コンサルティング、現在は事業化コンサルティングと呼んでいますけども、医工連携事業の中で。その方々が先端計測やACT-Mのコンサルにも回っていっていただいているのですが、どういう人を選ぶかとか、それから、どの項目に対して誰に話してもらうかというのは非常に慎重にというか、広範に見させていただいております。私だけではなくて、AMEDの事務局も含めて、しっかり充実させていっていると。だから今後も、そういうことはしていこうとは思っております。これでよろしいでしょうか、谷岡さん。
【谷岡委員】  ありがとうございます。このテーマといいますか、これを発展させていくためにも、そこにも何かこう、ちょっといろんな検討を持っていくというのもあってもいいのかと思いましたので、ありがとうございました。
【妙中主査】  ありがとうございました。ちょっと医療機器によっていますけど、製薬のほうで御質問とか御意見とかございますか。近藤副主査はどうですか。
【近藤副主査】  ありがとうございます。近藤です。話を伺っておりまして、ACT-Mの強みというのを橋渡しのほうに生かしていくような形で、AMED全体で事業というのを整理していくという発想は非常にいいことだと思っております。
 いいことだと思っている一つとして、先ほど、ACT-Mの採択率ですとかそういうのは10%ちょっとで、やはり採択率が低い部分というのはあったかと思いますので、それをある程度門戸を広げることによって、企業にとりましても、そういうところにある程度アプローチがかけやすくなってくるのではないかという期待はあります。
 それとともに、1点、これは希望的なところが入るのですけれども、企業の視点からしてみると、やはり一つ一つの費用ですとか、そういうスケールがある程度大きいと魅力というのをものすごく感じてくるのではないかなと。その魅力を感じるとしたら、当然ながら、そういう事業が行われているというのが、企業のほうも認知していれば、アカデミア側と一緒になって、何か取り組んでいこうという、正のスパイラルが働いていくのではないかなというふうに感じて、聞いておりました。
 当然ながらあれだけの応募数がありますので、ある程度の認知というのはあると思うのですが、どこまで企業のほうに知れ渡っているのかというのも一つの課題としてあるのではないかと、そういうところを、ちょっと前向きに取り組んでいってもいいのではないかというふうに感じております。以上でございます。
【妙中主査】  ありがとうございました。あと、アカデミアの立場で上村先生、扇田先生、順番に御意見いただけますでしょうか。まず、上村先生、お願いいたします。
【上村委員】  ありがとうございます。いろんな、今のお話を伺って、そのACT-Mと、例えば橋渡しの関係性みたいなのも少しはっきりしたのかなと思いました。逆に言うと、私、ずっと疑問に思っていたというか、なかなか制度というか、このファンドのつけ方とかというところが非常に複雑になっていて、研究者の立場からすると、非常にいろんなプログラムがあるので、一体どこにお願いすれば何ができるのかということは結構分かりにくいといつも思っております。
 実際に私自身も、新しい薬とかうちの大学でもやっていますけれども、基本的にはやっぱりステージゲートがあって、そのゲートごとでのディシジョンというのが非常に重要になってくると思うのです。そこにはやっぱりそのファティングのオポチュニティーというのがしっかりあって、そこに目がけていくというスキームが一番簡単で分かりやすいのかなといつも思っています。
 そうするとやっぱり、一つの時間の流れというか、開発のステージで医薬品に関して言えば、やっぱりシーズA、B、Cというような分け方というのはすごく分かりやすかったと思うのです。橋渡しの分け方というのは、実はすごく独特なのですが、その考え方としては、とっても製薬企業の考え方だったと思います。
 実際に、個人的にはもう少し分け方を変えてもいいのかと思っている部分もあるのですが、ちょっとそこは今回の議論ではないので置いておきますけれども、少なくともそういうステージごとのファンディングというのがあって、それはそれでやっぱりしっかりと継続していくべきかなと思っています。
 あともう一つは、いろんなファンクションがあると思うのです。その一つには例えばその事業化といったところで、産学連携を進めていくというところも確かにあるわけで、そこに多分ACT-Mみたいなものがしっかりと組み込まれていて、全体の研究組織、これはアカデミアと産業界の連携だったりするわけですけれども、そういったところを支援していくというところです。
 もう一つは、もう少しアカデミックなファンクションというのも多分あると思っていて、例えば統計とか、いろんなデータマネジメントとか、プロジェクトマネジメントとか、やっぱりそのプロジェクトなので、単にそのサイエンスだけでは動かない部分があると思うのですね。そこはやっぱり企業とかであれば、そういった機能というのはかなりしっかりとしたものを持っているか、あるいは外注をしてアウトソーシングする中で、いろんな機能はお金で解決するということをやっていたりするわけです。アカデミアの場合、なかなかそこが弱く、ファンドがついてないとそういったこともお金で買えないみたいなところがあるので、すごく困っているのかと思います。
 なので、今、少しヒントを得たのは、先ほどの伴走コンサルという話ですね。プログラムを進めていく中で必須の機能ではないかと思いました。例えば事業化するにしても、ファンドを動かしていくにしても、プロジェクトをマネージするにしても、毒性のことを考えてもらうにしても、やっぱりそこにはプロが入っていかないとなかなかうまくいかないと思うのです。
 我々のところみたいに、大分大学はすごく小さな地方の大学ですので、例えばそういう医薬品の開発を支援してくれるような企業ってほとんどないので、とても困っています。なのでどうしているかというと、私たちのところはやっぱり外部の先生方との連携というのをやろうということで、いろんな外部との連携ということで、必ずしも我々のところでいろんな指導してくれる人というのは、大分にいる人たちはほとんどいなくて、ほとんど東京とか大阪とか、そういったところにいる人たちがやるのです。
 ただ、これは我々もすごく小さなところでやっている話なのですけれども、少し拡張していただけているのであれば、国全体としてそういった機能を持っていて、そこにしっかり相談する窓口があって、実際こうファンドがついて採択されているようなものについては、優先的若しくは場合によっては半強制的にそういったところとも連携していただくようなシステムをつくると、もっと加速していくのではないかなと思いました。以上です。
【妙中主査】  ありがとうございました。続いて、扇田先生、御意見いただけますでしょうか。
【扇田委員】  妙中先生、ありがとうございます。多くの先生方のお話を聞かせていただいて、私も本当にそのとおりだなという点が多々ありました。
 まず一つ、私、今、滋賀医科大学という小さい大学で基礎をやっていまして、やはり今のお話に関わりますけれども、基礎から応用へ行く道筋というのが、小さい大学だとなかなか見えにくいというところがあります。
 そこで、先ほど事業の間口というところの話が出てきましたけども、数%から10%という採択率で、やはり、有望な課題が多く見逃されているのではないかと思います。私もや応募したことがありましたが、恥ずかしながらなかなか採択に至らないということもあって、もう少しやはり資金の援助、それから外国でよくやられているベンチャーキャピタルの援助があれば非常に有り難いと思っています。
 もう一つ、私が幾つかの研究、ささやかですけれども成果を上げて、それから次に目指そうと思ったときに、本当に企業、製薬会社を中心とした企業の方々がどういうニーズがあって、どういうふうなことを望まれているかというそのコミュニケーションを取る方策があんまりないのです。
 実際に臨床の医師をやっているようなときは、製薬会社との関わりもあって、次こんな薬が欲しいとか、こんな薬が出てくるとかいう情報もたくさんあったのですけれども、今、こちらが開発するときに、製薬会社にどういうニーズがあって、それからどういうものを欲しいと思っておられるのかというところは、ちょっと分かりにくいということです。
 もう一つ、さっき企業とのコミュニケーションというお話があったのですけども、私どももちょっと手前みそになりますけども、サルモデルを使った研究というのを滋賀医科大学多く行っております。それを一つの大学の売りにしているのですけども、それを売り込む先というのがちょっとなかったりもしたりして、是非、こういう場というか、いろんなチャネルで、製薬会社さんとのコミュニケーション、あるいはいろんな方々とのコミュニケーションを図っていけたらと考えております。
 私から以上です。
【妙中主査】  ありがとうございました。千葉先生、つながりますかね。難しいですか。お願いします。
【千葉PS】  すみません。ACT-M、MSについては、5年間走ってきて、正直まだ発展途上かなと思っています。改善されてきたことは結構たくさんあって、やっぱり一番の売りは、MSにしてもMにしても、最初から企業とアカデミアが一緒になってやるというスタンスがあるというのが、非常に強みかなと思っていました。
 その中で、実は、御承知と思いますが、ACT-Mには、薬剤開発と医療開発の2つがあるのです。特に医療開発が持ってきたのは、様々な課題がありますものですから、その採択から事後評価、更にその中間過程の事業推進、これに対するサジェスチョンといったようなものが、様々な課題があるものですから、非常に難しいというのを実感していました。
 一方では薬はある程度簡単なのですけれども、医療機器がありますし、機器にしても放射線、超音波、それからリハビリ機器とか、本当に様々あって、それぞれがそれぞれの専門家でないと評価できないということがありました。
 例えば、ちょっと話がそれますけれども、私は何といっても、シーズとニーズが全てだと。だからそれがよくないと、途中で幾ら医療開発に向けて、レギュラトリーサイエンスとかいろんなことで頑張ったところで、シーズがしようもなかったら全然駄目だし、ニーズが駄目だったら、やっても意味がない。そこの見分けが極めて重要で、私、やっていながら、今になってこんな言い方は悪いですけども、こんなん最初から駄目やと分かっとったやないかというようなことはいっぱいあるわけです。
 その場合、そのニーズを分かる専門家が1人いたらそれで解決できたはずなのですよ。そういう意味で、最初の採択のときから最後の評価までも含めて、最初のシーズとニーズというものが、これも最初からシーズ、ニーズを考えてやらないといけない。出口もそうだというところで、ニーズはもう基本的にMDですよね。シーズはどなたでもいいと。その中に、医療機器開発の方とか、製品化の問題とか、レギュラトリーサイエンスの問題とかいわれる方が入ってやるというところで、そこの採択、更に推進、評価の組合せというのを、AMEDがそういう様々なところをどのように、どこでアプロプリエイトにサポートするのがいいのかと。これは非常に大事だと思います。
 だから、単にMDだけ取ってみても、耳鼻科のことを眼科の人が評価することは絶対できないのですよ。だから、眼科のそのものについては、必ず眼科のMDがそのニーズの評価をしないといけない。そうすると、もうかなりたくさんの人たちが割って入らないと、プールして、適材適所、それぞれの課題に対応する人をあてがうといいますか、そういったシステムが非常に重要で、私はそれかなり気をつけてやってきたつもりなんですけど、まだまだ道半ばというふうに感じています。そこは非常に大事だと思っています。
【妙中主査】  ありがとうございました。
 議論も尽きないところですけれども、時間になりましたので、続きは次回とさせていただきます。
 本日御議論いただいた内容については、事務局のほうで一度整理をしていただいて、次の検討会ではより具体的な内容を検討していくことができればと考えております。
 本日予定しておりました議事は以上ですが、ほかに御意見とか御質問ございますか。よろしいですか。
 それでは、事務局から連絡事項等ございましたらよろしくお願いします。
【佐藤課長補佐】  ありがとうございます。本日は長時間にわたり大変有益な御議論いただき、誠にありがとうございます。事務局を代表してお礼申し上げます。
 今、妙中主査からおっしゃっていただきましたとおり、次回に向けて、本日の議論の論点を事務局にて整理をさせていただければと考えてございます。
 本日の資料につきましては、冒頭も申し上げましたが、会議終了後、ホームページにアップをさせていただきます。
 また、議事録につきましては、事務局にて案を作成し、皆様にお諮りをした上で、最終的にはホームページで公開をさせていただければと考えてございます。
 次回、第2回は令和3年4月14日水曜日に予定をしておりますので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【妙中主査】  活発な御討論ありがとうございました。それでは、本日の検討会はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――

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