マテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合(第2回)議事録

1.日時

令和2年5月15日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

開催方法:オンライン会議

3.議題

  1. 新型コロナウイルス感染症の発生・拡大を踏まえたマテリアル革新力強化の在り方について
  2. データを基軸としたプラットフォームを活用した研究開発の進め方について
  3. 戦略準備会合取りまとめ(案)について
  4. その他

4.出席者

委員

(外部有識者)
仲川氏(稲垣委員代理)、榎委員、大野座長、本間氏(小野山委員代理)、片岡委員、川合委員、川﨑委員、関谷委員、中村委員、橋本座長代理、松岡委員、三島座長代理、村山委員、山岸委員

(文部科学省/経済産業省)
村田研究振興局長(文科省)、飯田産業技術環境局長(経産省)、髙田製造産業局長(経産省)

 

5.議事要旨

【大野座長】 それでは、ただいまより、第2回マテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合を開始いたします。

皆様、お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。今回はオンライン会議となっており、この会議の様子はYouTubeにてリアルタイム中継しております。

まずは、今回の会議の進め方、配付資料について、事務局の文科省、黒澤参事官より御説明をお願いいたします。

【黒澤参事官】 黒澤でございます。皆様、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局から配付資料を確認させていただきます。まず資料1から資料3。特に資料3につきましては、2種類ございまして、資料3-2が第1次取りまとめからの主な変更点のハイライト版となっております。

また、参考資料といたしまして、「本戦略準備会合の設置について」をはじめとして、参考資料1から7まで。更に委員の皆様には、机上資料として、本日のオンライン会議の進め方をはじめとして、机上配付資料1から4までを配付してございます。

次に、報告事項でございます。参考資料1の別紙に最新の委員名簿がございます。

このたび、日立金属、佐藤委員には、御本人からの申出により、本戦略準備会合委員を辞任されております。

また、本日、十倉委員および小池委員は御欠席でございます。

なお、小野山委員は代理で本間様、稲垣委員は代理で仲川様に御出席いただいております。

それでは、大野座長、議事の進行をお願いいたします。

【大野座長】 ありがとうございました。

議題に入る前に、本日の戦略準備会合の位置付けについて、改めて私から簡単に御説明を申し上げます。

今年の2月に、文部科学省、経済産業省の下に非公式会合が設置され、今日お集まりの皆様とともに、主にデータ基盤の取組や、重要技術領域を中心とした議論を進め、3月に参考資料2として配付しています「1次とりまとめ」を策定いたしました。

その後、4月27日に改めてこの戦略準備会合を設置し、「1次とりまとめ」では検討が十分ではなかった点を中心に御審議いただきました。前回第1回は書面審議となりましたが、ユーザー企業やベンチャー、あるいは研究機器メーカーからの御意見、また、イノベーションエコシステムや人材育成に係る産学あるいはオブザーバー府省からの取組紹介をいただき、意見交換をさせていただいたところです。

本日は、最後の議題3といたしまして、戦略準備会合としての取りまとめの文書を御審議いただく予定にしております。その前に、議題1といたしまして、昨今の新型コロナウイルス感染症の発生・拡大の状況を踏まえ、マテリアル戦略がどうあるべきか、また、議題2として、データ基軸型のプラットフォームを活用し、これからの研究開発をどのように進めていくべきかという、その2点について、先に御議論いただいた後、取りまとめ本文に関する審議に入りたいと思います。

本会合が一つのターゲットといたしますのは、統合イノベーション戦略でございまして、それに向けては、本日が最後の会合となります。そういう意味で、時間は限られておりますけれども、活発な御議論をよろしくお願いいたします。

それでは、早速議題に入りたいと思います。議題1の新型コロナウイルス感染症の発生・拡大を踏まえたマテリアル革新力強化の在り方について、事務局の経産省、河野室長補佐、文科省、竹上専門官から資料1の御説明をお願いいたします。

【河野室長補佐、竹上専門官】 (資料1について説明)

【大野座長】 ありがとうございました。皆様に議論していただく前に、まず、オブザーバー参加の農林水産省からご発言がありますので、先に一言お願いしたいと思います。どうぞ。

【松室研究開発官】 農林水産省の松室と申します。今回は発言の機会を頂きまして、どうもありがとうございます。

農林水産省におきましては、皆様、なじみがないかと思いますけれども、遺伝子組換えカイコというものを用い、様々な機能を有するたんぱく質やペプチド、化合物などを組み込んだ製品、機能性物質を簡単に結合させて、後付けで機能を付与できるようなシルク素材などの製造、開発を進めてまいりました。

こうした技術を使って開発したシルク素材の中には、抗菌性を持つ化合物や、金属ナノ粒子などをあらかじめ付与したシルク素材に、抗菌性や抗ウイルス性を持たせた素材を作ったり、実際にウイルスになる病原体の受容体、や抗体を組み込んで、ウイルスの吸着除去を可能としたシルク素材などを開発してまいりました。こういったものは、例えばウイルスの吸着除去フィルタなど簡易な検出技術にも活用可能だと考えております。

また、レアアース結合ペプチドを組み込んで、排水等から直接そのレアアースを吸着・回収できるような素材も、大手の企業様と協力して、開発したりしてまいりました。

こうしたシルク素材は、先ほど経産省、文科省から説明のあった素材と同様に、今回の新型コロナをはじめとした感染症対策等にハード部分で貢献できると思っておりますので、この場で紹介をさせていただきました。

以上です。

【大野座長】 松室さん、どうもありがとうございました。重要な御発言だったと思います。

それでは、ただいまの御説明を踏まえて、約10分間、意見交換を実施したいと思います。御発言あるいは御質問でも構いません。ございますでしょうか。

分子研の川合先生、お願いいたします。

【川合委員】 先ほど経産省と文科省からこのコロナプロブレムに付随して出てきた問題について整理いただきました。ありがとうございます。

私どもも研究所にいまして、やはり在宅するなど対処はできるのですが、実際に研究開発をする立場からしますと、これを機にやっぱりリモートシステムを研究の最前線のところにもっと積極的に入れていく必要があることを痛感してございます。

製造分野に対しても同じようなデマンドがあると思いますので、マテリアルの革新力を強化する中で、製造をするというプロセスについても、ここで新たな点が出てきたことは大変ありがたいことだと思っています。

先ほどの御説明、3ページ目の一番上のところのフレームワークでございますが、まさに、ここにオートメートしたシステムを早急に入れていくと。共同利用の研究所であるとか、大きなNIMSのような研究所、材料の拠点のところを中心に、全国展開できるような施策がまさにここに入ってくるべき時期を迎えていると思います。是非取り入れていただければと思います。よろしくお願いします。

【大野座長】 ありがとうございます。

続きまして、本間委員からお願いいたします。

【小野山委員代理(本間)】 本間でございます。このたびは大変重要な議題を頂きまして、大変ありがとうございます。

マテリアルは世界中どこでもございますので、これだけ大きな世界的な課題を解決するにはマテリアルが身近なところで人々のお役に立つことが大変重要と思っております。

今日、有望な技術も御紹介いただきましたが、その中でできたものが即座に世界何億人の方々に一気に使っていただけるような状態に持っていけるかについて社会から大きな期待が寄せられていると思います。

先ほど産総研の方から、マスクの中に銀をマイクロウェーブで染み込ませて、抗菌性の高いマスクを作ると発表がありましたが、このマスクを例えば10億個作るのにどれぐらいの設備が必要かというと、気の遠くなるような話になります。

しかしながら、例えば、今、各世界中で持っているマスクに、あるものをパッと塗り付けて、電子レンジに掛けたらば、立ちどころに抗菌性の高いマスクになると言えば、あっという間に世界中に広まると思います。一つ一つのマテリアルの要素だけではなくて、それをどのようにプロセス化し、どのように世界中に振るのかが非常に重要になるかと思っております。

それから、先ほど農水省からシルクというお話がございました。シルクは、世界中、どこにでもある物質だと思います。こういったものをもう一度見直して、世界中の人たちが即座に使えるマテリアルは何かということを、もう一度、私たちのマテリアルの知見を使って、世界に発信できていけたらと思っております。

以上でございます。

【大野座長】 どうもありがとうございました。世界ですぐに実装するにはどうしたらいいかという観点も重要だと、そのとおりだと思います。

続いて、三島座長代理、御発言お願いいたします。

【三島座長代理】 三島でございます。

今のコロナ対策に関するマテリアルの貢献というのは非常に大きいかと思います。今、AMEDにおりまして、COVID-19に対して政府からいろいろな補正予算が付いており、それによってワクチンや治療薬など薬のプロジェクトも物すごい勢いで立ち上がっております。いかにコロナに感染したかしないかをいち早く見つけられる検査キットや、感染した場合の人工心肺については6時間ぐらいでしか使えないものを、いかに寿命を長くするかということが本当に重要です。今、公募をして2か月後ぐらいからすぐ研究が始まるぐらいのスピードで行われておりますので、是非そちらの方の情報も御覧いただいて、マテリアルの提言に、インパクトのある部分として入れたいと思うところでございます。

以上でございます。

【大野座長】 どうもありがとうございました。やはり総合力で立ち向かっていかなければいけないということで、非常に重要な点を御指摘頂きました。

ほかにも御発言があるかと思いますけれども、時間の都合で先に進ませていただきます。後でまた戻って御発言を頂いても結構だと思います。

それでは、次の議題に入ってまいりたいと思います。議題2の「データを基軸としたプラットフォームを活用した研究開発を進め方について」、事務局の河野補佐、竹上専門官から資料2の説明をお願いいたします。

【河野室長補佐、竹上専門官】 (資料2について説明)

【大野座長】 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明を踏まえて、この件、10分ほど、また意見交換をさせていただきたいと思います。御発言がある方はお願いいたします。まずは橋本座長代理、御発言お願いいたします。

【橋本座長代理】 よろしいですか。では、2点あります。

1点目は、1ページ目の新たに付け加えた「計測・分析機器の共通データフォーマット」のところですが、前回の資料で、島津さんの発表を私は見させていただいて、そこで意見を述べていますが、ここに書かれているように、共通フォーマットの開発というのは大変重要な視点だと思っています。ですので、こういうことを進め、旗印を掲げることは大変よいと思いますが、現実問題として、こういう装置は各社から出され、また各社の戦略の中で行われるので、これを国が主導してみんなそろえましょうと言ってもなかなか難しいという実態はあると思います。

ですので、こういう旗頭を掲げることはいいのですけれども、それだけに頼ると非常に難しい。よしんば、国内の企業がそういうふうにデータフォーマットをそろえてくれたとしても、御案内のように、計測機器というのは非常に国際的にいろんな国からのものが出ているわけでして、それら全部のデータフォーマットをそろえるというのは現実的ではないと思います。

ですので、共通フォーマットというか、共通にデータを使えるようなシステムが重要なのですが、それが必ずしも共通フォーマットを作ることだけを旗に立てていくと現実的ではなくなるので、その辺の書きぶりは少し注意していただいた方がいいかなと思います。

これが1点目です。

2点目は、3ページ目のところでして、今、御説明の中の最後のほうに、産学官が一体となって、全体構想を共有しながらやるということを言われた。これも大変重要な視点だと思っております。これは前回、私は発言させていただいていると思いますが、私たちがずっとこういうことをやってきて感じていることは、総論としては、皆さん賛成してくれるんですけども、各論になると、急に状況は変わって、産業界の方はいいものを作ってくださいと。それを使わせてもらいますというようなことになるのがほとんどです。

これは最終的にはどう考えても、産学官がみんな一体として使えるデータベースがあって、そこに秘密のデータのところは秘密のデータを自分たちが確保して、そこに自分たちが秘密で付け加えて開発するというのは大切だと思うのですが、その共通のところはできるだけ広くしなければいけないというような意識を、総論ではオーケーでも、各論では、ほとんどの場合、うまくいきません。ですから、いいことだけで話は進まないので、そういう現実を踏まえた上で、こういう研究開発の進め方がよいということを、しっかりと検討することが必要だと思います。

以上です。失礼いたしました。

【大野座長】 どちらも非常に重要な視点を指摘いただきまして、どうもありがとうございます。デファクトスタンダードが取れれば一番よいですけれども、そういうものを目指しつつ、データの共通化を見据えていくことになると思っております。ありがとうございました。

続きまして、村山委員から御発言お願いいたします。

【村山委員】 産総研の村山です。よろしくお願いします。私からは、2ページ目のマテリアル・プロセスイノベーションについて、一言申し上げたいと思います。

従来、これまでの会合の議論を踏まえて、やはりMIによる材料探索と同時に、日本の素材メーカーの強みはプロセスにあるということが多くの委員の皆様方から御発言があったと思います。それを踏まえて、新たにプロセスイノベーション拠点という構想が出されたことは大変心強く思っております。

経産省の方々から御説明がありましたが、特に今回、中小企業あるいはベンチャーの支援という観点から、公設試、各都道府県の公立試験場を総称して公設試という言い方しておりますが、これまで例えば大学、そして、国研を入れた議論に加えて、今回、公設試を含めて、地域の中小企業、ベンチャー支援という構想が出たことは時機にかなった構想ではないかと思っております。

以上です。

【大野座長】 ありがとうございます。

それでは、続きまして、松岡委員、お願いいたします。

【松岡委員】 TDKの松岡でございます。1点、御提案をさせていただければなと思っております。特に2ページ目のところの話、先ほど村山委員からもお話ございましたが、これはデータの量が肝になると思います。是非お願いしたいのは、実は日本の企業の場合、工場の稼働率が落ちているところがあろうかと思います。しかも、すばらしいノウハウを持っている人材がたくさんいて、データとして吸い上げることも可能になろうかと思います。

日本の国内の工場の稼働率も上がりますし、ノウハウもデータとして吸い上げられる可能性がございますので、是非、拠点、A、B、C、D、Eとありますが、そこにうまくつなげた形で、その地域、地域の企業の持っているリソースをお使いいただけるとよろしいかと思います。

私から以上です。

【大野座長】 ありがとうございます。企業をきちんとこのネットワークに組み込んでいくことが重要だという御発言でございました。

ありがとうございます。

時間でございますので、先へ進ませていただきます。

【大野座長】それでは、続いて、戦略準備会合取りまとめについての議論をさせていただきたいと思います。議題3の戦略準備会合取りまとめ(案)について、まずは事務局の竹上専門官から資料3-2を用いた説明をお願いいたします。

【竹上専門官】 (資料3-2について説明)

【大野座長】 ありがとうございます。

それでは、あと45分程度、2時45分までを目途に意見交換を実施させていただければと思います。どのパートからでも構いませんので、御発言をお願いいたします。

榎先生、お願いいたします。

【榎委員】 東大の榎です。ありがとうございます。3-2の資料で、全体の構造として、3の目指すべき将来像というのと、4の今後の取組の方向性というのが非常に重要かと思います。

ただ、それが分かりやすく記述された模式図がなく、また、今日お示しいただいた資料2の図3枚が対応しておらず読みづらいんですが、この3-2の資料に基づいた模式図や全体の構造を表すような図を作成するような予定はあるのでしょうか。

【大野座長】 竹上専門官、お願いします。

【竹上専門官】 御指摘ありがとうございます。おっしゃるように、構造が分かるようにすることは非常に大事ですので、今後、概要資料等を作るタイミングでしっかり検討させていただければと思っております。

【大野座長】 ありがとうございました。

それでは、関谷委員、お願いいたします。

【関谷委員】 竹上専門官をはじめ、事務局の皆様がお取りまとめくださいました内容、私には大変分かりやすく拝見させていただきました。その中で2ページ目なんですけれど、デジタル化、それから、リモート化、あと、スマート化という形で書かれておられるかと思いますが、例えばオンデマンド化というような言葉をあえて明示するというのも一つの案と思いました。

これはなぜかといいますと、まさに、例えばコロナ感染症の影響で、大きな自動車メーカーが、例えば人工心肺機能の装置を作ったりとか、電機メーカーがマスクを作ったりしています。もちろん非常に重要な取組なのですが、やはりタイムリーに必要なときに必要な量を作るとなると、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。そのときにデジタル化社会は非常に優れており、必要なタイミングで必要な量を、例えばインクジェットプリンターがまさにデジタルパブリケーションと呼ばれていますが、必要な量を必要な場所に必要な材料だけ落としています。そのような製造のオンデマンド化や、デジタル社会だからこそできる製造のオンデマンド制など、こういうことをコンセプトにひとつ掲げて、例えば必要なときに、タイムリーに大量に作る、すぐにでも世界に展開できるといった機能について、このたびの感染症の拡大の影響を受けて、改めてオンデマンドという言葉を入れることも一つの案と思いました。

以上です。

【大野座長】 ありがとうございます。先ほどの本間委員、あるいは三島座長代理の御発言とも関係する重要な御指摘だと思います。最終版をどうするかというところに是非検討させていただければと思います。ありがとうございます。

それでは、続きまして、中村委員、お願いいたします。

【中村委員】 まず、資料を非常によくまとめていただいてありがとうございました。意見としては2つありまして、1つはコロナについてなのですが、今回、マスクの問題がいろいろ起こりましたが、本質的には不織紙のサプライチェーンの問題だと考えています。

したがって、マテリアルの場合も、いざというときのサプライチェーンをしっかり確保するということを、どこかに書いていただきたいと思います。

それからもう1つは、イノベーションエコシステムのところで、ベンチャーの活用はかなりうたわれていて、非常にいいことですが、この場合のベンチャーの幅を広げていただいて、デザインなどもう少し社会実装に近いところを含め、材料開発の本当のベンチャーと、そういうところと結び付けるような場を作ることを是非やっていただきたいと思います。

あと一つ、これは自分の関係しているところですが、重要な技術領域に高度循環技術を入れて頂きたいと思っております。材料開発の最先端のところと情報交換をうまくやれるようなシステムがあるとより効果的だと思います。

【大野座長】 いずれも重要な御指摘ありがとうございます。

竹上専門官、何か御発言ありますか。

【竹上専門官】 是非参考にさせていただきたいと思います。

【大野座長】 それでは、続いて、村山委員から御発言をお願いいたします。

【村山委員】 私から、10ページ目のマテリアルデータの中核拠点・ネットワークの形成の項目で意見を述べたいと思います。拝見すると、今回初めてNIMSとNIIの機関名と、それぞれの役職、役割が記載されておりますが、私ども産総研、AISTが記載されておりません。

振り返ってみますと、参考資料6にもありますように、これまで非公式の会合を含めて、超々プロジェクトの紹介や産総研のポジショニングの説明をする機会をいただき、皆さんに御理解いただけたところだと思っておりますので、是非、産総研も含めた修正案を出させていただきたいと思いますので、御検討をいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

【大野座長】 ありがとうございます。NIMS等ということにはなっておりますけれども、やはり主要なプレーヤーはここに名前が挙がるというような方向で考えていくべきだと思います。ありがとうございます。

【村山委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

【大野座長】 続きまして、本間委員お願いいたします。

【小野山委員代理(本間)】 本間でございます。3点申し上げたいと思います。

1点目、まず今回の修正で、提言書の中身が大変具体的になって、分かりやすくなったと思い感謝しております。その中で一つ、データのオープン、クローズに加えて、クローズドシェアデータというものをカテゴライズいただきました。高品質なシェアクローズドデータを蓄えることが大変重要であるということですね。これは私も同感いたします。先ほど橋本座長代理から、総論は賛成だけども、企業は各論は反対だという御指摘がございましたが、まさにこのクローズドシェアデータの階層が十分満足できていないために企業が逃げていくのではないかと思います。

その中で、これもまだ提言の段階で、もう少し具体的に何か書いたらいいのではないかと思っております。SPring-8は、あのような大きな施設を、アカデミアや企業も含めたたくさんの研究者が同時に使いながら、データはSPring-8のデータサーバに蓄えられ、全てのデータがクローズになったり、オープンになったり、クローズドシェアになったり、大変きめ細かくカテゴライズされております。私たちは、アカデミアの中でもこのような高品質なシェアクローズドデータをきちんとマネージする、システムを持っています。

SPring-8では、更にこれからSPring-8-2に向けてレベルアップしていくと、データの量が莫大に増えてきて、スパコン「富岳」と連携しないと立ち行かないという状況になってきて、「富岳」のデータサーバ化も考えているわけですが、ますますここでクローズドシェアデータが重要となります。既に我々が持っている先行事例を基に、もう少し具体的な書き込みを検討いただきたいと思っております。

以上が1点目でございます。

2点目はベンチャーでございます。先ほど中村委員からも御指摘がありましたが、ベンチャーは大変重要な役割を担っていますが、ベンチャーに対する投資が大変苦しい状態になってきております。私どももベンチャーに投資をする体力がどんどんそがれております。私どもが取りこぼす社会のきめ細かなニーズを拾い集める役目もできなくなってきていることに、危機感を持っており、公的な支援も是非検討いただきたいと思います。そのときに、ただ単にシーズアップのベンチャーではなく、広い社会からのニーズをきめ細かく、かつ迅速に、これまででは考えられない物すごい速度で拾い集めてくることを、是非念頭に置いていただきたいと思います。

3点目、人材について2つほど申し上げます。1点目、やはりデジタルマテリアルというのは私どもも産業界として大変重要ですが、マテリアルの人間にデジタルを学ばせることと、デジタルの人間にマテリアルを学ばせることのどちらが効率的かは、企業であればどこでも頭を悩ませるところです。それぞれに特徴があって、どちらもうまく働いてくれれば有効ですが、マテリアルとデジタルの間に散らばる、幾つかのレベルの異なった人材をうまく配備する組織や、体制が必要だと思います。

最後に、これは細かいことになりますが。海外の人材を招聘し、定着するという言葉の表現が、今の時代にはかなり社会的に抵抗感があるのではないかと思います。現実問題として、今、海外の方々を日本に呼ぶことはできませんし、私たちも海外の方々と、海外に行って対応することはできません。この状態は、非常事態宣言が解除されたとしても、しばらくは続くものと思われます。

私たちが欲しいのは、人間というものではなくて、人が持つ知であり、その知識であり、頭脳です。デジタルコミュニケーションを活用した海外での人材確保、人材交流を、是非とも一言添えていただいた方が、今の社会状況に似合うと思います。更に言えば、私どもは、海外からの人材だけではなくて、海外のデータを日本に持ってこられるような人材活動も考えていきたいと思っております。

長くなりました。以上でございます。

【大野座長】 ありがとうございました。これはいずれも重要な御指摘です。SPring-8がアップグレードするときに非常に大きなデータが出るということ、そして、既にそこでクローズドオープン戦略に取り組まれていることなどは、私どもも関係しております2023年に稼働予定の次世代放射光、でも非常に大きなテーマとして、この取りまとめの方向性を十分に反映した形でデータをきちんと扱っていくことになっています。

是非、先ほどの橋本座長代理の御発言にもありましたが、総論賛成、各論反対にならないようにするには、日本製鉄としてはどうしたらいいのかということをお話いただいて、ここに反映できるようにしたらすばらしいと思います。

2点目、ベンチャーの投資、そして、3点目の人材、マテリアルとAI、どのように人材を育てていくかは大変大きなポイントですので、きちんとここに反映され、実行されていくようにしていきたいと考えております。

ほかに御発言ございましたら、是非よろしくお願いいたします。榎先生、お願いいたします。

【榎委員】 榎です。最後の人材育成のところについて、大学院の教育ということで、メインに書かれているかと思うのですが、日本の大学のシステムを考えると、大学院に来ていただく前には、大学にマテリアルで入っていただかないといけません。そういう意味では、今、地方大学で学科の再編が進んでおり、マテリアル関係の学生の数も減る傾向にありますので、学部レベルでも人材を充実させるような取組について書いていただきたいと思います。

以上です。

【大野座長】 ありがとうございます。やはりマテリアルを学ぶことはかっこいいことだというふうに、高校生レベルの人たちにリーチできるようになっていると、私もとてもいいと思います。ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

私からは特に、今日、三島座長代理や本間委員から御発言がありましたように、やはり「いざ鎌倉」というときに、我々マテリアルのコミュニティーが、しっかり対応できるということを示すことが重要です。コロナ対応は長引きそうですが、その中でグッドプラクティスが幾つも出てくるような形にして、統合イノベーション戦略の中にも反映し、かつ、第6期にもそういった面が出ていくとよいと思います。

特に、今までは縦割りが多かったのですが、現在、三島座長代理が、AMEDの理事長ですから、そのようなところからいろいろなブリッジができて、日本のマテリアルも含めた総合力が上がっていくのが望ましい方向性と考えております。

本間委員、どうぞ御発言ください。

【小野山委員代理(本間)】 今、大野座長からご発言のあった日本製鉄の考えについて一言だけ申し上げます。

SPring-8には公開データに2つの部類があります。無償データの使い方と産業利用があります。既にSPring-8の中にはJASRIという組織が、複数のメニューを揃えていて、非常に重要なデータはお金を払う代わりに、誰にも渡さない、一方、無償で公開して、学術の発展にも貢献できるデータはどんどんオープンでやっていくものもあります。

もう1点、今、榎委員から、マテリアルは、地方大学の方でなかなか教育が難しいという話がございました。日本鉄鋼協会では、この数年間、地方大学に対して、中央の大学がリモートで講義をできないかという議論をしております。西山記念講座という大変大きな講座がありますが、これをリモートで、地方大学の学生が講義の一環として聞けないか検討しています。

以前、NIMSの構造材料拠点の実験装置を地方の大学生が修論のために使わせてもらえないかという話がありましたが、つくばに1週間宿泊する施設がないので難しいということがありました。こういったこともデジタル化すれば、大変大きな効果があると思います。既に潜在ニーズはたくさんございますので、このような枠組みの中でも意見として吸い上げていただきたいと思っております。

【大野座長】 ありがとうございます。本学も全ての授業を今、オンラインで進めており、オンライン授業に関しては相当ハードルが下がり、また、有効活用の機運も出てきたと思います。そういう意味で、今、本間委員がおっしゃられたことは非常に重要なところでございますので、どのように入れていくのかを考えたいと思います。ありがとうございます。

続きまして、松岡委員、お願いいたします。

【松岡委員】 TDKの松岡でございます。橋本座長代理からもお話がありました、総論賛成、各論反対の部分について企業の意見をということで、先ほど本間委員から話があった内容に、少し弊社のTDKの状況も付け加えさせていただきたいと思います。

基本的に、現在、日本の会社は垂直統合から水平分業の方向にどんどん動いております。特にマテリアルを実際に社会に実装するときの途中のプロセスは各企業がノウハウとして持っているので、そういう部分が見えるのは嫌だという話もあります。今もそういう部分がないとは申し上げませんが、大分状況は変わってきております。

先ほどもお話ししたとおり、各企業で持っている工場の設備の稼働率も大分下がってきています。こういったものを企業の枠を超えて活用しようと動きもあります。投資をできるだけしないような形にしつつ、物を作るときの人材も下手に動かさず、効率よく、マテリアルを本当に社会に実装できる形に素早く持っていくことがだんだんできるようになってきています。総論賛成、各論反対の部分の各論反対の動きが少なくなってきており、この提言をすることによって、更にハードルが下がっていくと見ております。

以上です。

【大野座長】 ありがとうございます。やはりトレンドを先導すると。そこで、創業者利益というわけではありませんけれども、新たな世界を築いていくというのがとても重要だということが御発言の背景であろうかと思います。

橋本座長代理、お願いいたします。

【橋本座長代理】 少し誤解があるみたいなので、そこだけは解いておきたいと思います。

本間委員が、NIMSに修士の学生を受け入れてほしいといったら、泊まるところがないから駄目と言われたとおっしゃいましたが宿泊施設もあって、1週間でも、1か月でも、1年でも泊まれるような状況になっており、修士も受け入れています。それから、そのために運営費交付金1億円を用意して、全国の大学あるいは高専の学生さんなど若手の研究者をNIMSのお金で呼んで、研究してもらえるような体制もできています。今日の話題には関係ありませんけれども、そうなっています。

それで、今、TDK、日本製鉄の両方から、総論賛成、各論反対について大分変わってきているという発言がありました。実際に私が今いろいろやっている中で、そんなことはないという方が会社にたくさんいらっしゃる印象でしたが、現実はそうではないのですね。改めて今日もこう言ってくださっているわけですから、そのような声が産業界にもあることは確実ですので、それをこういう報告書等々、あるいは国の取組を通じて、水平展開していけるとよいと思います。

また、もちろんSPring-8でオープンクローズの部分をわけているというのはありますが、このデータ戦略でやっていく話はもっと複雑なものです。ですので、こういう戦略の中でしっかりと位置付けて、国として進めていくことが重要だと思います。

以上です。

【大野座長】 どうもありがとうございました。

それでは、川合委員からお願いいたします。

【川合委員】 4ポツのところ、今後の取組の方向性を4つにまとめており、非常にいいレポートになっているがゆえに少し気になりましたが、(2)の重要なマテリアル技術・実装領域の戦略的推進の項目は、NEDOやJST、文部科学省など具体的な推進母体の名前が出てくるので、読んでいて、どの辺がその基軸を作るところかというのですが、それ以外のところは、具体的な組織の名前がほとんど出てこないので、どこが担当するのかがデラティビティとして気になるところですが、何か意図があって、こういう書き方をされたのかどうかをお聞きしたいと思います。

【大野座長】 ありがとうございます。

竹上専門官、いかがでしょうか。

【竹上専門官】 御指摘ありがとうございます。村山委員及び川合委員から御指摘いただいた点につきましては、改めて文科省及び経産省で議論させていただきまして、しっかりと具体化できるところは記載していきたいと思います。

【川合委員】 ありがとうございます。もう一点、今後に向けてのところで、出口イメージの論文数のところだけ、妙に細かく括弧書きで書いてあって、違和感を覚えたのですが、もう少し大づかみのお話を書かれた方がよいと思います。感想でございます。

【竹上専門官】 はい。そちらも検討したいと思います。ありがとうございます。

【大野座長】 ありがとうございます。ほかに御発言ございませんでしょうか。

今日はこういう形ではございますけれども、橋本座長代理からの総論賛成、各論反対という面もあるという指摘あるいはご発言に対して、民間のお二人からはそうでもないということもお話を頂いて、全体として非常にいい形で進んだのではないかと思います。これらも含めまして、今日頂いた様々なことを反映したいと思います。取りまとめ案の修正については座長一任とさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

はい。異議なしということで、座長一任とさせていただきます。

また、今日、御議論いただきましたけれども、更に御意見がある方に関しましては、5月19日火曜日までに、事務局に具体的な修正意見の形で送付いただければ幸いです。

皆様、どうもありがとうございました。

それでは、今回最後ですので、政府戦略に向けた取りまとめを行い、戦略準備会合としての大きな一つの区切りということになります。これまで御出席いただきました文部科学省あるいは経済産業省、両省の局長の皆様から御挨拶をお願いしたいと思います。

それでは、文部科学省、村田局長、よろしくお願いいたします。

【村田局長】 文部科学省研究振興局長の村田でございます。ありがとうございます。
本日は感染症の拡大防止のためのオンライン会議ということにさせていただいておりますが、委員の先生方におかれましては、大変御多忙のところ、このように御参加を賜り、また、熱心な御議論いただきましたこと、心から御礼を申し上げます。

本年2月、文部科学省、経済産業省、両省の事務局の下で、マテリアル革新力の強化に向けた検討を開始させていただきました。今後、策定が予定されております統合イノベーション戦略2020に間に合わせるため、委員の先生方には、3か月という非常に短い期間ではございましたけれども、大変濃密な御議論を交わしていただきました。

途中、新型コロナウイルス感染症の拡大という状況もあり、書面で御審議をいただくこともございましたけれども、先生方の御尽力のおかげで、本日、一つの方向性をまとめていただいたこと、大変ありがたく思ってございます。また、本日頂いた貴重な御意見も踏まえた形で、最終的な案を、座長の御指導頂きながら調整をさせていただきたいと思ってございます。

この取りまとめで御提言を頂きました、マテリアルデータを基軸としたプラットフォームの整備、重要領域の研究開発、イノベーションエコシステムの構築、人材育成と、いずれも大切な取組でございます。今後、文部科学省としては、御提言頂いた取組について、経産省ともしっかり協議しながら、検討、着手していきたいと思っております。

また、内閣をはじめとする関係府省との協力の下、本取りまとめの内容を統合イノベーション戦略2020にまずは位置付けをしていただき、その後もマテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた検討を更に継続、深化させていきたいと考えてございます。

マテリアルの重要性がますます拡大しております。また、本日、座長をはじめ、先生方からも、いざ鎌倉の今だからこそというお話もございました。戦略に向けた準備会合は本日が最後となりますけれども、先生方におかれましては、引き続き御指導、御支援をよろしくお願いを申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

【大野座長】 どうもありがとうございました。

次に、経済産業省から、飯田局長、御挨拶を頂けますでしょうか。

【飯田局長】 経産省の飯田でございます。聞こえておりますでしょうか。

前回は書面、今回はウェブ会議と、非常にイレギュラーな形になりましたけれども、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。こうした形になりましたのも新型コロナウイルスの影響でございます。経産省では中小企業対策や、医療関係の物資の確保に取り組んでおり、私の産業技術環境局という部署では、本来、技術政策や環境、標準政策を担当しておりますが、数十人単位で、本業を離れてコロナウイルス対策に従事しております。

私も実は医療用ガウン確保の担当をしております、医療用ガウンは平時にはほぼ中国から全量輸入ですけれども、輸入品の確保が難しくなったということで、国内の化学メーカーの繊維メーカーの方にお願いしたら、あっと言う間に国産体制を構築して納入していただいております。先ほど、国内での材料供給体制の構築をという話がありましたが、現にそういう、すばらしい動きをやっていただいておりまして、非常に感謝をしているところでございます。

新型コロナウイルスは、世界の社会経済、生活に大きな影響を与え、アフターコロナは、コロナの前に戻るとは言い難いのではないかという指摘もあり、マテリアルを含めた我が国の産業の在り方そのものが変わっていく中で、どう対応するかが課題と思っております。

また、先ほどベンチャーの話もございましたが、リーマンショックのときには、実は我が国、民間の研究開発投資やベンチャー投資が大幅に減少しました。欧米を含めて減少したわけですが、我が国は欧米に比べて回復が遅れ、これが現在の研究力、イノベーション力の低迷につながっている面もあり、今回は同じことを決して繰り返してはいけないと私どもは考えております。

それから、世界的に企業収益も悪化しておりますが、これを全部、財テクで賄えるかというと、それは非常に難しいわけでございます。大変厳しい状況にならざるを得ないと思っておりますけれども、だからといって、縮み思考で、全体として縮小傾向になってはいけない。むしろこういう厳しいときだからこそ、これまではそこまでやらなくてもといったようなことまで進んで取り組む必要があります。いろいろお話ありますけれども、連携するとか、共通基盤を作るとか、より効率化を進めるですとか、横並び意識を廃止するといった、競争力を強化につながるような改革を大胆に進められる面も私はあるのではないかなと思っております。まさに産学官金、総力戦で危機感を共有し、ピンチをチャンスに変えていくような取組をすべきときなのかなと思っております。

マテリアルは、言うまでもなく、我が国が強みを持つ大変重要な分野で、アフターコロナで、一層この競争力を強化したいと思っております。

今回御意見頂いて、まとめていただきました戦略は、全て重要なものでございます。プラットフォームを整備するとか、重要領域を戦略的に進めますとか、イノベーションエコシステムを作るとか、人材育成など、どれも重要で、これまでも指摘されていたものもございますが、大事なことは、先ほど主語がないという御指摘ございましたけれども、誰がどうやって早く確実にこれらを実行、実現していくかということであると思っております。

分野を特定しながら、今後の具体化に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと思っています。特に産総研の村山さんからお話ありましたけど、マテリアル・プロセスイノベーション拠点の構築につきましては、地域の産業、大学の力を引き出して結集する、非常に望ましい取組だと思っておりまして、私どもしっかり取り組んでまいりたいと思っています。

また、アフターコロナを視野に、デジタル化ですとか、脱炭素化とか循環経済を実現するといったことを進めるに当たりまして、恐らく我が国の産業構造の変化ということも今後進んでいくと思いますので、そうした点も視野に入れて、今回お示しいただいた基本的考え方を踏まえて、具体的な戦略策定に向けた検討を進めてまいりたいと思っております。

非常にイレギュラーな形で検討を行うことになりましたけれども、すばらしい御提言頂きまして、ありがとうございました。実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

【大野座長】 ありがとうございました。それでは、最後に、経済産業省の髙田局長、よろしくお願いいたします。

【髙田局長】 経産省製造産業局長の髙田です。私のポジションはこういう研究開発戦略全体について発言する立場でないので、私の立場からのポイントを申し上げます。

まず、本日もマテリアル革新力という、我が国にとって大事な素材産業のベースになる革新力について、有識者の皆さんのお時間頂いて議論いただきまして、本当にありがとうございます。この分野の開発競争の在り方が本当に変わってきています。データを用いた研究開発の重要性を私も日々実感しているところですけども、こういった話に沿った議論をしていただいたものと思っております。

この中で、総論というよりかは具体的な話として2つ。1つは、9ページの本文4のところに、データを基軸としたマテリアル研究開発というところで、特許情報のデータベース化の取組とか、マテリアルズ・インフォマティクスに関する事業に取り組んでいくということが入っていますが、まさにここは、産業界と一緒にやっていきたいと考えていまして、NIMS、文科省、産総研、それと関係者の方たちと引き続き、是非強力に取り組んでいきたいと思っています。

また、14ページの新素材の開発のところで、「重要なマテリアル技術・実装領域の戦略的推進」とあります。これは先ほど飯田局長からありましたけども、このコロナウイルスの中でサプライチェーンの話は非常に重要になってきています。また、資源制約の議論の中で、かつて尖閣諸島の補給艦議論に関係したレアアースの輸出禁止ということで、いろんなものが経済的に影響を受けた過去もあったりするわけですけども、やはりレアアースをどう代替していくか、磁石のような戦略的物資に関わるようなところの技術開発、これは既に一次補正でも予算を確保して取り組み始めておりますけれども、こうした分野でのデータ活用を含めて進めていきたいと思っています。

こういったマテリアル革新力に沿った話を、産官学とやっていくときに、とりわけ私どもの部局は産業界とインターフェースがあると思っていますので、潤滑油的にも努力していきたいと思っています。

今日の議論でも、企業のデータ共有に関して総論賛成、各論反対のお話ありました。こういうところに出てきてくださる産業界の有識者の方は、大体いろんなデータを共有し合える方向ですが、橋本理事長と一緒に苦労しているのは、まさに細部に悪魔が宿るといいますか、案外、現場の中に保守的な層もあり、こういうところを一緒にほぐしていくということをやって、皆様と一緒に、マテリアル競争力が高まることに努めていきたいと思っています。本当にありがとうございました。

【大野座長】 どうもありがとうございました。

私からも一言御挨拶をさせていただきます。非常に短期間に濃密な議論をさせていただきました。どうもありがとうございます。

委員の皆様の様々なインプットを頂いたおかげで、ある形でまとまったと思います。特に今は、お話にありましたけれども、新型コロナウイルス感染症が世界中で大きな変化を引き起こしていると考えています。我々は今、社会あるいは国際社会も含めた大きな変曲点に立っていると思います。

御挨拶の中にもありましたけれども、アフターコロナ、あるいはポストコロナの社会を見据えて、今、我々がきちんとした手を打つべき時であるわけです。その中で、確かに投資が落ち込む、あるいは非常に大きな不況がやってくるという中でも、研究開発をいかに続けられるか。いかに続けられるかだけではなくて、更に発展させられるかということを、我々はマテリアルを中心に考えてきたわけです。そういう意味で、今回まとめた方向性というのは非常に重要なものになっていると思います。

アフターコロナ、ポストコロナの社会を見据えて、ウィズコロナのときに何をやっていくかというのが次の我々の見る世界、あるいは見る景色を変えると思っていますので、まとまったから終わりというわけではなく、是非、委員の皆様とともにマテリアルを中心に、更にそれを広げた形で、社会、そして世界に貢献していきたいと改めて強く思います。

短い間でしたが、委員をお務めいただきまして、どうもありがとうございました。

それでは、今後のスケジュールについては、黒澤参事官から御説明を頂くことになっております。黒澤参事官、お願いいたします。

【黒澤参事官】 (黒澤参事官よりご説明)

【大野座長】 ありがとうございます。それでは、これにて、本日のマテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合を閉会とさせていただきます。御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

 

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研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)