感染症研究の推進の在り方に関する検討会(第5回) 議事録

1.日時

令和元年5月7日(火曜日)17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室

3.出席者

委員

味戸委員、荒川委員、石井委員、石川委員、岩田委員(主査)、齋藤委員、佐藤委員、俣野委員、山崎委員、横田委員

文部科学省

吉田研究振興戦略官、岩﨑先端医科学研究企画官、田川研究振興戦略官付専門官、野田研究振興戦略官付係長

オブザーバー

井口厚生労働省結核感染症課室長、宮川日本医療研究開発機構感染症研究課長

【発表者】
福永一般社団法人日本臨床検査薬協会常務理事、森栄研化学株式会社生物化学第二研究所長

4.議事録

【岩田主査】  それでは、定刻より少し前でございますけれども、本日、御出席予定の委員の先生方、皆さん、おそろいですので、ただいまから第5回感染症研究の推進の在り方に関する検討会を開会したいと思います。進行は、主査の岩田が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 今日は10連休明けということで、いろいろお仕事をされていた先生方もいらっしゃると思いますし、きっちり休まれた方もいらっしゃると思いますけれども、連休明けの大変お忙しい中、御出席頂きまして、ありがとうございます。
 それでは、議事に先立ちまして、まず、事務局の方から委員の出席状況と配付資料の確認などをお願いしたいと思います。
【野田係長】  では、出席状況ですが、川名委員、脇田委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、本日は日本臨床検査薬協会から福永健一常務理事、栄研化学株式会社から森安義生物化学第二研究所長に御出席頂いております。よろしくお願いします。
 また、AMED感染症研究課から宮川課長、厚生労働省結核感染症課から井口室長にも御出席頂いております。どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に資料の確認をさせていただきます。資料は全てお手元のタブレットに格納しております。会議資料のフォルダーに資料1-1、資料1-2、資料2の計3種類を用意しております。
 それでは、続いて議事に入りますので、事前に御連絡させていただいておりますとおり、これ以降は写真撮影や録音行為は禁止とさせていただきますので、御容赦下さい。
 事務局からは以上です。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、ただいま御紹介がございましたとおり、日本臨床検査薬協会の福永健一常務理事と栄研化学株式会社の森安義生物化学第二研究所長にお越し頂いております。お二人からは、それぞれのお立場から今回のこの文部科学省の感染症事業に対する御意見などを頂ければと思います。具体的にどういったことをコラボしていくのがいいのかとか、そういったことも含めてお話をしていただければと思います。
 それでは、まず、福永理事からよろしくお願いします。
【福永理事】  それでは、資料1-1というところを開けていただければと思います。私ども臨床検査薬協会では、感染症に関するというところにも少し関係するとは思うのですけれども、今現在、海外に向けてアセアン諸国に向けたIVD製品の展開の臨床検査薬協会の取組ということもやっておりますので、これを簡単に。それからあと、今回、文部科学省の方から紹介、資料を少し頂きまして、J-GRIDとJ-PRIDEについて臨床検査薬協会の会員企業の皆さんに投げかけて、このプロジェクトについての意見という形でまとめましたので、これについて報告をさせていただきたいと思います。その後に栄研化学の森さんの方から自社の海外展開ということで、感染症のシステムを使った海外展開で得られた意見というか、要望をまとめていただきましたので、続けて報告できればと思います。
 このスライドの次のスライドを見ていただければと思います。表題にアセアン諸国に向けたIVD製品展開と、それの臨床検査薬協会の取組ということで、私ども臨床検査薬協会は、2014年にIVDと、IVDに関するメディカルデバイス、これをアジアのアセアン地域に展開するということでワーキンググループを作っております。それで、臨床検査薬協会と、それからあと、日本、黒ポツの最初ですけれども、日本臨床検査薬協会と、それから、日本分析機器工業会、それからあとOMETAという海外医療機器技術協力会、この三つの団体でワーキングを立ち上げました。目的としては、アセアン諸国のIVDの市場とか、それからあと規制情報、メーンにはやはり規制情報になると思いますけれども、こういうものの収集が目的です。これは私ども3団体、業界独自の活動という形で2014年からスタートしております。今までタイとインドネシア、それから、マレーシアで調査をさせていただいて、公立、私立の医療施設、それからあと現地の業界団体と情報交換するということで活動してまいりました。
 昨年の3月なのですけれども、内閣官房の方から提案が私どもにございまして、これは医療機器、医療、医薬とか医療機器だけではなく、体外診断薬、そのシステム、IVD業界へ向けて行政が何らかの支援をしてもよいという提案を受けましたので、それを受けて私どもはこのベースになっていたIVD-MDアジアワーキングを更にもう少し発展させる形で会員企業の皆さんを加えてIVD-MDアジアワーキングの拡大会議という形で昨年の6月から活動を更にパワーアップしたという形になります。そこで、昨年末から今年の1月にかけて、経済産業省にはアセアンの諸国で展開希望の優先国を5カ国ほど選定させて紹介させていただきました。今現在、どういうものを具体的に支援してほしいかというものの具体的な項目について、協議中ということでございます。
 併せて、経産省の方からも紹介頂きましたJETROとは共同にやっているのは、市場展開ということで、販路開拓、特に代理店情報とか、あと海外の医療機器等々の展示会等の情報をシェアするという形で一緒に動いております。また、PMDAとは医療機器規制の二国間の協議というのがございますので、こういうところにIVDの意見を反映させていただきたいということで、直近ではタイ、来週からですけれども、タイのバンコクでIVDの要望事項という形で提案をさせていただきたいということで進めてきております。
 次です。文部科学省の感染症研究プロジェクトへの意見。まとめたところでいきますと、主にJ-GRID絡みの意見要望というか、課題ということでまとめられたのではないかなと思います。次のスライドのところの1番目に、ある会員企業さんからの意見ですけれども、迅速キット、感染症の迅速キットの開発でJ-GRIDに参加をしたことがあるということでございました。実際、企業ですので、これを製品化しようという形で承認申請のための、その取得したデータを、特にそれは臨床性能試験に使おうという形で動いておりましたけれども、一緒にやっていた大学の研究の方から、論文化が先ですよということで、その臨床性能試験データについての使用が、ストップがかったというようなことがあったということがあります。
 それからあと、臨床検体とか臨床データは、その展開した国、途上国の、その国の所有権ということもあり、データの使用権についての使用権のフィー、そういうものが要求されるというようなことがあって、出口あたりで迷走することがありましたということなので、意見・要望としては関係者の利益とか、また、成果をどのように所有するのかについてのやはり仕組み作りというものをもう1回確認する必要があるのかなという意見がありました。
 それから、2番目ですけれども、大学の海外拠点が設置される対象国においては、IVDメーカーが開発した製品をメーカーが自ら流通させるのはなかなか難しい。というのは、対象国のそういう絡みの予算が非常に少ないということとか、インフラの整備が不十分というところがあるかと思います。ということで、国が展開対象国において事業の社会実装ということを目指すのであれば、ODAとか、それらの支援が必要になるし、それからあと、企業の参加を募るには最低限の利益確保の仕組み作りが必要なのではないだろうかというところがございました。
 3番目の意見なのですけれども、体外診断薬のメーカーがJ-GRIDに参加して社会貢献する、試薬開発をしていくということは非常によく分かることなのですけれども、それを更に関わりやすくするにはどうするべきなのだろうかということで、意見・要望としては、日本国内で審査承認に少し規制緩和をしていただければと。例えて言うと、審査の期間が短くなるとか、あと症例検討数をちょっと少なくするとか、そういうようなものを優遇措置というのはどうなのだろうかというような意見・要望もございました。あと、4番目として、製品開発フェーズを効率よく進めるためにはということですけれども、やはり現場と密着した基礎研究からの、実際、そこの現地に非常に合うようなニーズの情報が重要ですねということ。それからあと、開発中の技術評価、それから、課題、明確化にはやはり基礎的な臨床研究が重要なので、J-GRIDというのは適していたのかなという御意見もございました。
 これは最後ですけれども、成果の社会還元につなげるにはということで、開発フェーズだけではなくて、やはり普及させないといけないということがあるので、普及フェーズの効率化が必要ですねということになります。小スケールで、意見・要望としては小スケールの実利用で得られた評価エヴィデンスを広く展開するということで、スケールアップが促進されてはじめて社会還元に結びつきますよねというような意見でございます。あと、その下に青で少し入れましたけれども、効果検証研究とか、コスト分析研究のスペシャリストが、済みません、日本国には少ないのではないだろうかというような意見がございました。
 これは現地国、当該国から、出来上がった技術を普及させるためには現地の政府からというか、行政から要求されるような効果検証研究とか、それからあとコスト分析というのが非常に大事なんですということで、裏を返すと、やはり企業が効果検証研究とか、コスト分析研究という、そういう公衆衛生絡みのところも入れたような活動というか、研究というか、そういうところがやっぱり企業にとっては少し不得手な部分なのかなと、そういうところにいろいろとサポートしていただければなというような意見が来ております。
 五つほどまとめて報告をさせていただきました。以上でございます。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 それでは、引き続いて栄研化学の森様の方からよろしくお願いいたします。
【森所長】  それでは、資料1-2というところを少しごらん頂きたいと思います。改めまして、栄研化学の森と申します。臨床検査薬協会に所属する企業の一員として、今回、TB-LAMPという製品の開発から普及に向けて弊社が直面した課題とか、その辺を共有させていただけたらと思います。
 次のページをお願いします。まず、この今日御紹介するTB-LAMPとはというものなのですけれども、弊社ではLAMP法という等温で遺伝子を増幅する試薬、技術を持っておりまして、それを使った結核の診断薬というものを作っております。この左に構成と書いてありますけれども、ここに書いてありますように試薬を使った試薬キットということになっています。状況としましては、国内の体外診断用医薬品が取れているのと欧州の体外診断薬になっていますが、ここがポイントとなるのですけれども、WHOの推奨というのも取れております。この推奨を取って開発して普及するというところを今日は御紹介したいと思います。
 まず、このTB-LAMPというのはどういうときに使うかという使用環境、右側のところなのですけれども、発展途上国に結核は多いので、そういうところの本当の現場で使っていただけるように工夫した製品になります。例えば途中、道が非常に悪かったりしてコールドチェーンが使えないとか、技士としては顕微鏡しかできないような人に、これは分子生物学的な製品なのですけれども、そういう遺伝子検査をしていただけるようにする。環境も当然、エアコンとかもないですし、ここにあるように水道もないような、そういうようなところでも使えるようにと工夫したものです。そのために使い方は三つのステップがあるのですけれども、いずれもマニュアルではありますが、操作が非常に簡単で誰でもなじみ深い方法で、例えば目で見て結果が分かるとか、そういう技術を組み合わせて作った製品です。これを開発して、普及を今させようとしているところなんです。
 次のスライドをお願いします。それを開発するフェーズでどういう課題があったかということと、その次のページで普及に際してどういう課題があったかということに分けて少し御紹介させていただきたいと思います。
 まず、開発に関しましては、まず開発を開始してから、このWHOの推奨を取って途上国に図る。この間のところを今、開発フェーズと定義しているのですけれども、その中で二つ大きくありまして、一つは製品を設計して開発するという段階です。この場合は基礎的な臨床評価が必要ですし、特に要求仕様ということで、簡単だと言うと非常に単純なのですけれども、どの程度、どんなふうに簡単ではないとああいう場面で使えないのかとか、誰がどこでどうやって使うのかというところが、初めに明確になっていないと、こういう製品の開発はなかなか難しいんですね。現在、WHOではTarget Product Profileというようなものを積極的に公開していって、こういうものをWHOは求めているんですというのを表か何かにして開発しているのですけれども、当時はこういうのがなくて、我々、言い忘れましたが、FINDというジュネーブの財団と一緒に開発したのですが、このFINDと一緒に現地を見て、ヒアリングをしながら作っていったというところがあります。
 あとは、開発をするにはやはり実検体での評価というのは欠かせませんので、開発段階においても、その実検体で使ったり、使い勝手に関しても現地の評価からのフィードバックというのは非常に必要でした。あとは、輸出していくことになりますので、これはFSCというものを取るために国内での薬事承認というのは必須になってきますので、仮に国内にあまり患者さんがいらっしゃらないような病気であったとしても、国内の承認を取る必要があるということで、その辺でアカデミアの先生方にお世話になりましたということです。それからあとは、WHOの推奨、今度、それを基にして取るということになります。そのためには非常に時間と労力がかかったのですけれども、実際は17か国とかで5,000例以上の多施設の臨床性能試験を行いました。これをやるにはやっぱりプロトコールを作らなければいけないですし、多施設をマネジメント、統括していくような方も必要ですし、現地にその使い方を教えたり、その試験を常にモニタリングしたり、出来上がったデータを解析したり、こういうところが非常に課題でした。
 これを経て推奨取得ができたのですけれども、その次のスライドに行っていただきまして、この推奨、WHOが推奨しているからといって、では、すぐにパッと広まるかというとそうではなくて、これを普及させていくためにやはりいろいろな課題に直面しておりますというところです。大きく二つありまして、まず、導入してもらって、今度それを拡大させていくという導入と拡大と二つのステップがございます。導入に関しましては、途上国で、WHOの推奨があってもやはり現地での評価というのは、ほぼ必須になってしまいます。ということで、途上国、いろいろな国、たくさんあると思うのですけれども、そういうところに現地の日本の拠点とか、そういうのがあると、そこから関係ができたりとか、そこを中心にそのような評価をやっていただきたい。ここは非常に大切です。
 それから、先ほど少し出ましたけれども、じゃあ、コストとして単純な価格だけではなくて、その試薬を導入したときの医療行政的な費用の効果とか、そういうところの分析も求められまして、これはひょっとしたら経済学部みたいな、そういうようなところの先生方とのコラボレーションも必要なのではないかなと最近少し思っているところです。それから、実際入った後、これを今度、国の中でどんどん広げていく必要があるのですけれども、そのためにはいろいろなファンドが必要で、グローバルファンドとか、JICAとか、そういうところの普及サポートも取得していかなければいけないですし、あとは得られた成果をやっぱりエヴィデンスにして論文や学会として広く発表していくことが、その国に普及させることにも大事ですし、近隣国へ水平展開していく上でもやっぱり大事ですので、この学会での発表とか論文化というところでは、やはりアカデミアの先生とかに是非お願いしたいと思っているところです。
 それから、最後、まとめさせていただきますと、今言いましたようにやっぱり開発フェーズと普及フェーズで両方ありまして、そういうところでいろいろな形で大学の先生方に是非御協力をお願いしたいなと思うことがたくさんありました。開発フェーズでは、やはり技術を開発するということとともに、国際的な認証を取っていくということが必要ですし、普及については適切な現地での臨床研究がやはりできなければいけないですし、それを周りに広めていく、エヴィデンスとして広めていくということで是非御協力を頂きたいと考えております。
 以上でございます。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 今日は診断薬の方からのお話ということで、日本臨床検査薬協会の福永理事と栄研化学の森さんに来ていただきまして、実際、こういった文部科学省の感染症研究プロジェクトの中でやっていく上での意見とか要望、あるいは実際にこれまでに開発を行ってきた、LAMP法で行う結核の診断、こちらについて御苦労なさった点についてお話を伺いました。少しお時間がとれると思うので、もし今の御発表について御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 承認申請していくところで結構いろいろな問題があると伺ったのですけれども、例えばこれ、国際的な開発をしたときに、現地で使用する場合に現地での性能試験が別途必要だということでしたけれども、国際的なグローバルな試験に入っていれば、そこは大丈夫なのではないんですか。入っていないところでは現地での性能試験が別途必要ですということですか。
【森所長】  まず、WHOの承認を取ろうとすると、まず1回、製品を固定するというか、もう決めないといけません。開発して、こういう目的でこうやって使っていただくというところをまずヒアリングなり何なりで決めて、それで開発したものを固定して、それを今度、実際に本当にそれが使えるかどうかを実際の途上国で評価していただいて、それをWHOに審査していただくという形になりますので、まずユーザーの本当の現場の方々の意見を聞くのが開発の時点でまず必要ですということです。できた後のものが本当に使えるかというような評価を今度はWHO側でしていただくということになります。
【岩田主査】  そうですね。開発の段階と、実際その薬事承認のための性能試験の段階と二つあるということですよね。
【森所長】  そうです。はい。
【岩田主査】  どうぞ。
【齋藤委員】  新潟大学の齋藤と申します。森さんにお伺いしたいのは、LAMPはほかにもいろいろあって、例えば百日咳や、マイコプラズマなどです。今日は結核だけをお話しされたのですが、ほかの検査薬はいかがでしょうか。
【森所長】  おっしゃっていただいたとおり、百日咳からマイコプラズマ等で同じ、しかも、同じプラットフォームというんですか、剤型とかも同じにして国内で診断薬として普及をさせていただいています。ただ、海外、特に途上国というところへの普及という意味では、一番進んでいるのが結核でして、それでこれを例として示させていただきました。
【齋藤委員】  百日咳は海外ではどうでしょうか。
【森所長】  今のところ、百日咳でそういう計画はないんですけれども、この結核をやりながら、実はマラリアとかもやっているんですけれども、3大感染症ということでマラリアと、あとHIVがあると思うのですけれども、そこを中心にまず進めながら、現地の方々と、是非、百日をと言われれば、そういうことも考えていきたいと思っています。
【齋藤委員】  実際に私、今、J-GRIDでミャンマーのフィールドで仕事をしていますが、やはり百日咳の診断は非常に難しく、培養が容易でないこともあり、非常に困っているところです。例えばLAMPによる診断などは非常に現地で重宝されると思うんです。
 それからもう一つ、また少し別の観点からなのですが、RSウイルスの迅速診断を、今、ミャンマーで使っています。インフルエンザとRSを一緒に測定できるものを使っているのですが、現地の方々の印象はものすごくよくて、今までRSの診断ができなかったのができるようになり、RSウイルスの診断が、確信を持って言えるようになったと言っています。特に実際のウイルスの臨床の現場でお仕事されている若手の先生とかからは非常に評価が高く、RSウイルス感染症はこういう症状でその臨床像が非常に明確になるといいます。迅速診断が使えることでの臨床の現場での還元というのは、当然、その診断が付くことだけではなく、若手の先生方への教育であるとか、臨床像をより明確にするとか、確実に利点があり、役立つ検査だなというのが実際の臨床の現場で使わせていただいての印象です。
【岩田主査】  森さん、何かありますか、今の点について。
【森所長】  そういう臨床、途上国とかの現場での御意見は是非お伺いしたいと思っておりまして、イムノクロマトでいけばいいのか、LAMPが必要とされているのか、ちょっとなかなか難しいかもしれないですけれども、そういう情報というか、それは是非頂けたらありがたいと思います。
【齋藤委員】  今のRSウイルスの診断キットは、企業から提供していただいたものを使っているのですが、それによって診断が付くことで、もっと使用したいというリクエストが非常に多かったです。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 では、横田委員、お願いします。
【横田委員】  LAMPはいろいろなところで大活躍していると思うのですけれども、例えばこの開発フェーズのところで、先ほどFINDからの予算が導入されたということでしたが、この開発フェーズのところで、J-GRIDの予算とかは全くタッチしていないんですか。
【森所長】  はい。結核はFINDのみでやったと思います。
【横田委員】  自分の会社で何か持ち出しとか、そういうものもなくて、それができる可能性は?
【森所長】  いえ、FINDからのサポートはありますけれども、共同研究開発という形になっていますので、少なくとも半々ぐらいの感じにはなっていると思うのですけれども、弊社での開発とFINDからのサポートという形で進めました。
【横田委員】  将来的にはやっぱり売れなければ、会社としては困るわけですよね。
【森所長】  そうです。はい。設備投資もそれなりにしておりますので。
【岩田主査】  どうぞ。
【佐藤委員】  どうもありがとうございました。感染研の佐藤と申します。教えていただきたいのですけれども、製品の現地導入、それから、普及で実際にJ-GRIDの拠点を活用された例がもしありましたら、教えていただきたいのですけれども。
【森所長】  TB-LAMPでよろしいですかね。
【佐藤委員】  ええ、それで結構です。
【森所長】  多分、今のところないと思うんです。なので、弊社の不勉強で申し訳なかったなと思うのですけれども、直接それはないんじゃないかなと思っていますので、是非考えたいと思っています。普及とかにおいてもやっぱり、先生方のお力をかりないと難しいところもいろいろありますので、特にアジアとか、そういうところでは是非社内で考えてみたいとは思っています。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
【岩田主査】  よろしいですか。ほかには。では、石井委員。
【石井委員】  今のJ-GRIDで結核をやっていたところというのはどこなんですか。
【横田委員】  ザンビアはやっていたような気が。
【宮川課長】  北大と阪大がありますよね。
【横田委員】  ああ、阪大もやっていました。
【森所長】  結構ありますね。
【横田委員】  栄研化学が全然絡んでいないとは知らなかったです。
【森所長】  北大の鈴木先生の御活動には若干絡んではいました。一緒に先生とザンビアも訪問させていただいていますが、開発から普及にかけての、何かうまくタイミング的なところでちょっと合わなかったのがあって、情報交換みたいなことはちょっとさせていただいたのですけれども、具体的にこういうことをこうやってというところまでは行かなかったというところがあります。
【岩田主査】  荒川委員、どうぞ。
【荒川委員】  名古屋大学の荒川ですけれども、この要するに体外診断薬、In-Vitro Diagnostics、特に病原体を対象とした試験法というのは、人体そのものを対象とした試験とはちょっと違うと思うので、やはりその承認審査の段階で、あるいはこの効果というか、評価の段階をもう少し何とか簡略化できるといいかなと思います。ただ、LAMP法の場合はプライマーに用いている場所が微妙に、例えば塩基配列に変異が入ったりすると結果がうまくいかなくなったりするということもあると思うんですよね。
 百日のLAMP法については、私は感染研時代に少し栄研さんと一緒にやらせていただいて、その当時のものが今使われているかどうか知りませんけれども、なかなか微妙で、ただ、いいものができれば本当にいいので、それぞれの国で個別に審査をしなければいけないということは、多分、人種の差とか、人間の方を対象とした試験であれば、そういう問題、重要だと思うのですけれども、菌の場合はもう少しそこら辺を簡略化して、その分を普及に注力できるように工夫することは可能かなと思うんですよね。臨床検体などを対象としたほかの体外診断薬と同じようなグレードで評価をしようと思うとなかなか手間と経費とかいろいろかかって大変なんですね。
 あともう一つは、こういう診断薬の要するに効果検証、検証ですよね。この評価については、確かに手間とお金もかかっていろいろ大変なんですけれども、感染症の診断のためのメディカルデバイスとか、要するに試験、In-Vitroの試験系というのは、その開発に結構コストがかかると思うのですけれども、そのコスト分析というような考えも大事なのだと思うのですけれども、やはりこの感染症対策というのは社会防衛なので、個々の患者さんの診断治療のための試験ではなくて、社会防衛のための検査だと思うんですよ。だから、そういう視点で、もう少し国とか国際的なスキーム、WHOも含めて、そういう支援をもう少し積極的に受けていくようなことが必要かなと。普及のためにですね。
 例えばBCGワクチンなんかは日本で製造してユニセフに供給していますけれども、国内向けの製剤と途上国向けの製剤はコストが同じものであっても、やはり価格がかなり抑えられて供給されていますよね。これについては多分、ユニセフとかWHOの方から補助が出ていると思うのですけれども、だから、それと同じような視点で途上国のそういう感染症対策の診断薬、診断装置については、日本と同じ値段で使おうと思うと絶対難しいと思うので、その差分を政策的な何か、行政的な支援のスキームをうまく使ってやっていくということが必要になってくるのではないか。いいものを作っても使われないと宝の持ち腐れになってしまいますので。
 以上です。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 何か今の点についてはコメントございますか。
【森所長】  まず、各国の評価の簡略化ということに関しましては先生がおっしゃるとおりでして、WHOの推奨を取ったら、もういいのかなと思っていたのですけれども、やはり現地の人は自分たちの手でどうしても確かめたいと言うんですね。その場合に、じゃあ、どう確かめるかというところをできるだけ簡単にやりたくて、結核の場合はゴールドスタンダードが培養なのですけれども、培養が非常に大変で、本当に限られた施設しかできないので、何とか培養ではなくて、例えば顕微鏡検査と、一番簡単なのですけれども、それと比較するだけでちょっとでも有意が出れば、もうそれで大体WHOの言っているとおりだから、それでオーケーですと言っていただくように何か交渉に近いですけれども、なので、それをできれば現地の先生方と一緒にやりたいなというところがあるのが1点ですね。
 それから、コスト分析も、これはやってみて分かったのですけれども、非常によく言われます。スメア顕微鏡のかわりに使ってほしいと言うんですけれども、スメア顕微鏡の検査、とても安いので、じゃあ、これを本当に測る意味があるのかと言われたときに、スメアよりもたくさん患者さん、感度がいいので、たくさん見つけられて、そのためにかかる、他にうつしてしまう患者さんが減らせますとか、国全体としての利益なりをも考えないと駄目で、そういうところをどう表現していくかというところと、それを、あとどうしてもやっぱり価格的なギャップが出てしまうので、それは今一番多いのはグローバルファンドという日本が作ったファンドなのですけれども、これをうまく日本も税金を入れていると思うのですけれども、それをうまく還元させる形で、途上国で少し差分を補助していただいて普及させるというようなことを今トライしているところです。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 ほかには。
【岩﨑企画官】  先ほどJ-GRIDで結核をやっているところはどこかということで、北大のみ例示がありましたけれども、長崎もベトナムのハノイでやっていらっしゃいます。
 以上です。
【岩田主査】  追加、ありがとうございます。
 先生、何かありますか。
【石井委員】  お二方、ありがとうございました。私自身も今この発表と資料を見させていただいて感じたのは、課題と意見・要望等もありましたが、批判されるべきはアカデミアやこちらの方である感覚の方が強くて、基本的にはおっしゃるようにまず論文化優先のためにデータ使用を制限されたということをお話しされましたけれども、逆はよく聞くのですけれども、こういった状況がJ-GRIDで生じていたということがやはり問題視される必要はないのですけれども、今後、こういうことがないような仕組みを作る必要が新しいプログラムでは確実に必要だと感じました。
 一方、流通とかコストに関しては、我々アカデミアの方でも測りかねるところがありまして、そこは逆に言いますとグローバルファンドや国際機関が使っているその文言を上手に使って我々が国民や納税者に訴えるということがやはり非常に重要だと思います。特にコスト分析のところですけれども、これも分子を大きくするのは簡単なのですけれども、要は分母をどう割るかで、その分母を会社が負担するのか、それともグローバルファンドか、それとも我々のような、ここのこの場で議論しているようなJ-GRIDとか、J-PRIDEとか、そういったいわゆるパブリックファンドが本当に分母としてなり得るのかということを社会防衛だと先生はおっしゃっていましたけれども、そういった公衆衛生に準じた形でのコスト計算をするのであれば、その分母を我々が増やさない限りは、いわゆる医療経済学効果としてはやはり問題が生じてしまうのではないかなと感じました。
 以上です。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 あとは、研究のフェーズによっても違うと思うのですけれども、ここは文部科学省の感染症研究プロジェクトの関与ということで考えると、例えば診断薬を開発するところなのか、あるいはそれを普及させるところなのか、性能試験をやるところなのかって分けて考えないといけないような気がいたします。個人的には一番フィットするのは開発のところなのかなとは思うのですけれども、そのあたりのところは福永さん、あるいは森さん、どのようにお考えですか。メーカー側の立場としてどんなふうに考えていらっしゃいますか。
【福永理事】  開発のところはやはりこのJ-GRIDの10施設でしたっけ、9施設でしたか。そういうようなところを十分に活用させていただくのがやはりメーカーというか、そういうところは大変望むところではありますので、是非協力頂きたいですし、協力させていただきたいとは思っております。あと、普及という形になると、今度はもう厚生労働省関係とか、経産省とか、ああいうところの文部科学省の範疇から外れたというわけではないですけれども、実際に延長にはプロダクトを、そういう必要とされる国に展開していかないと企業というのは成り立ちませんので、やっぱりその一番オリジン、スタートのところでこのプロジェクトが大事な立ち位置になるのかなと。
 あとはやはり行政、ほかの行政のところとも、また、さっきの森さんからあったようにいろいろなファンドを使って展開するというのは、やっぱり総合的に考えていく。そこの中心にどの場面でどの部門が中心になっていくかというところを組み上げていかないといけないのだろうなと思います。単なる企業はボランティアだけでは、よっぽど巨大な企業でない限りは、それはあり得ないと思うんですね。やっぱり診断薬の企業というのは、それほどものすごく大きな企業というのは本当に数えるほどしかありませんので、やはりいいものを持っている企業が途上国に展開できるような仕組み作りというのは大事かなと思います。
【岩田主査】  もう一つは先ほど齋藤先生からも御意見がありましたけれども、開発のところが一番大事だと思うのですけれども、例えば齋藤先生たちの研究だといろいろな疫学的な研究もたくさんされているので、そういったところで診断薬メーカーさんの協力を得て実施したりということも当然出てくると思います。その辺のところはいかがでしょうか。
【福永理事】  機会があれば是非お声掛けを頂ければと思いますし、私たちもやはりウォッチングをしておかないといけないのかなと思います。あと、海外拠点の中でメーカーがどういうターゲットに手を付けるかというか、そこがマッチングしない限りは話が進みませんので、そういう企業からの希望というものが、そういう海外拠点の施設に大学、アカデミアとのコラボをしながら、ぴったりマッチングできる可能性があるのかどうか、そのあたりが気になるところではありますね。
【石井委員】  ありがとうございます。今、2014年に三つの会が集まって団体を作られたそうですけれども、そのときにそのような議論が起こったかと思うのですけれども、例えばJ-GRIDも含めてパブリックな基礎開発のチームとのマッチングといいますか、窓口というんですか、こういうどんなシーズがあるのかとか、そういうことを調べるワンストップ窓口みたいなのはあったんでしょうか。それとも実際どこに声をかけられてJ-GRIDの人たちとつき合い始めたのかとか、そういうことを教えていただけますか。
【福永理事】  この課題の1番のところについては、どこにというのは、私は今、その質問をまとめた中では具体的な大学とかタイミングとかいうのは聞いていませんのでお答えはできないです。先ほどの3団体でやったIVDのアジアワーキングも初めに製品ありきで、途上国に自分たちが考えてどういう製品が多分ビジネスマッチングできるかというのを、まずは開発というよりは製品ありきという形で展開していったという記憶はありますけれども。
【石井委員】  そうすると、その団体に初めて入られたような企業の方も、例えば誰もが知っている診断薬のシーズとニーズを知るにはどこに行けばいいかというような窓口が例えばこういうJ-GRIDやJ-PRIDEにあれば非常に役に立つという。
【福永理事】  ということになると思います。はい。
【岩田主査】  はい。どうぞ。
【齋藤委員】  今のことに関してですが、現地に行くと地域や季節によって流行する疾患が違います。例えばミャンマーの拠点ですと、子供が高熱を出して来たときにインフルエンザか、あるいはデング熱かどうかというのを調べて、インフルエンザだと、ああ、よかったね。デング熱だと注意が必要というような、各地域によって必要とされる検査が違うと思うんですね。それが1点。
 もう一つは、いわゆるマルチプレックスの診断薬が非常に広がっていて、値段もどんどん安価になってきていて、一つの検査で例えば20、30の微生物の検査ができるものもかなり普及してきています。ですので、例えばイムノクロマト法を使ったキットであれば、例えばちょっとゼーゼーした子が入院してきたとき、RSウイルスと似た臨床像を呈するヒトメタニューモウイルスのセットのキットであるとか、臨床像に即したものが必要です。RSウイルスは陰性でしただけではなく、その診断が付くような頻度の高い幾つかの重要な病原体が含まれたマルチプレックスのキットは特に途上国においては必要性がかなり高いのではないかと思います。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 今の点はよろしいですか。LAMPでマルチプレックスの診断キットはできないだろうかというご意見ですが。
【森所長】  そういう御要望はいろいろな、国内だけではなくて海外からもいろいろ受けておりまして、是非そういう方向の開発は進めようと思っているところです。あと、例えばタイとかに行っても、結構、地方の病院でもシーケンサーが入っていたりとか、同じ途上国の中でもいろいろレベルもあって、途上国でなくなりそうなところとかは確実に少し、日本とほぼ同じような感じで考えていいのではないかなと思っておりますので、そういう開発も含めて是非御協力頂きたいと思います。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 石川委員、どうぞ。
【石川委員】  日ワ協の石川と申します。TB-LAMPについて興味深く聞かせていただきましたけれども、一応、これ、開発フェーズの段階で、要求仕様、TPPを設定して開発していくのですが、一番はやっぱり臨床性能評価をどうするかというところが一番問題だと思うのですけれども、先ほど荒川先生も述べられましたけれども、やはりこれ、結核の場合、特に公衆衛生との関係で非常にこの臨床評価が難しいと思うのですけれども、J-GRIDの拠点等々でこれを確認するに当たって、J-GRID、まさにそういった流行国で評価できたというような成果といいますか、そういうのはございますか。日本ではなかなかこれ、難しいと思うのですけれども。
【森所長】  済みません、残念ながら今回、J-GRID、9か国の中で具体的なというところはなかったんですね。なので、それは弊社の勉強不足かもしれなくて、そういうところに先生がいらっしゃるということも分かっていなかったところもあると思うんですね。あと一つはFINDという国際機関がほぼ音頭を取ったところもありましたので、そういう意味では、今ある結核のLAMPを広げていく、いろいろな項目に広げていくに当たって是非御協力頂けたらということは考えています。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【荒川委員】  この感染症に絡んだことというのは、やはり当然、産官学が協力してやっていかなければいけないことで、今、国際貢献とか、国際支援とかいうのが非常に重要視されている時代なので、やはり感染症対策、国際支援の一つの柱になり得ると思うんですね。だから、産業界だけではなくて国とかアカデミアもやはり一つのテーブルに付いたような、そういう組織が必要で、例えば文部科学省関係は開発のところ、基礎研究、開発のところまでを支援するとか、実用化に向けては厚生労働省とか、あるいはJICAとかは、普及とか、そういうところが関連してくるとか、そういうスキーム作りはやっぱり非常に重要かなと思うんですね。
 だから、アカデミアだけでもうまくいかないし、企業さんだけでもうまくいかないし、文部科学省の研究でいいものを開発しても、それだけではなかなか普及しないので、やはりそういう国際貢献の一つと位置付けて、日本で開発した、すぐれたそういう診断法とか、診断機器を国際的に普及させていきながら、同時に国際貢献ということで日本の役割をアピールできるような一つの非常に重要な、非常に有効なテーマかなと思いました。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 では、石井委員、どうぞ。
【石井委員】  今、荒川先生がおっしゃられたことは、明らかに文部科学省の範疇を超えていて、以前、AMEDにいたときもJ-GRIDがそういったマルチクリニカルサイトとして、特にCROが入って検証までできる施設になれば、これは非常に有効打になるとは昔から言われていますし、考えてもいます。ただ、そこを超えるには、こう変えさせていただいて、宮川課長、目をつぶっていらっしゃいますけれども、是非、これはまさにAMEDができた理由でもあって、J-GRIDが開発をしている研究者がいる。その検証と、それから、クリニカルなサンプルが来る施設でもある。そこでいわゆる日本のスタンダード、PMDが持っているスタンダードを持ち込んで、各国の了承を得た上で承認まで行かないですけれども、性能試験の認証が得られるような場になれば、これはダブルにもっとマルチフォールドに有効性が増すと思うのですけれども、こっちにマイクを送ってもいいですか、是非一言。
【宮川課長】  いや、まさにおっしゃるとおりで、AMEDのミッションというところに非常に関わるのだと思います。それで、ここから先は多分いろいろ議論があるのだと思うのですが、特に海外に展開していくというのをどういう仕組みでやっていくかというのは、相当、もう今日プレゼンでお示し頂いたように、単純に研究開発とか、その臨床での性能試験というだけではなくて、それ以上のものがあるわけなので、それをAMEDがどのくらいまでやっていけるのかというのは、多分、これから考えないといけないところなのかなと思っています。
【石井委員】  特定臨床研究法案は、これは海外のデータ若しくは海外の研究の範疇に入っているんでしたっけ。
【宮川課長】  済みません、今のはすぐ答えられないですね。
【石井委員】  もし承認申請、通常の承認申請の枠を外れた形でも何らかの参考資料として吸い上げる仕組みができるのであれば、私が今申し上げた特定臨床研究法案が、その海外のデータも、若しくはその研究も包含できるのであれば、これは非常に有効打になると思いますが、いかがでしょうか。
【宮川課長】  一つの例を申し上げると、体外診断薬の例だとAMEDが支援した課題で、ジカ熱の体外診断薬の開発は某社で開発されて、国内での承認を取ったという例がありますね。
【石井委員】  そうですね。
【宮川課長】  私の理解が正しければ海外での臨床研究のデータを使ってやりましたね。ですから、そういうことはやれています。しかも、PMDAは迅速な承認を取っていますので、そういう意味からすると、もう既にやられている部分もたくさんあるとは思います。
【石井委員】  そうすると、J-GRIDが国内というか、インターナルなスタンダードで構わないのですけれども、いわゆるある程度の認証施設というふうにできるのであれば、これは企業側も、それから、我々実験を手伝っている側も非常に更に上のレベルとしてデータを引き上げて、いい施策になるかと思いますが、このあたりはもしどちらかから御意見を頂ければ。
【岩田主査】  いかがですか。
【森所長】  まさにジカの話で、同じくLAMPで診断化ができたというのはあると思います。ただ、あとデータの共通化というのは、これは是非お願いできたらと思います。特に結核は国内でも患者さんがそれなりにいたので大丈夫なのですけれども、なかなか国内に患者さんがいない場合でもやはり承認審査が必要ですので、そこをどうやっていくかというところは課題だと思います。
【岩田主査】  特にJ-GRIDでは、国内であまりない感染症の研究というのが中心になってくるところもあるので、確かにその辺はPMDAも含めてのことになるかもしれないけれども、どういうデータがあればいいのかというところは、もう少しはっきりさせた方がいいのかも分かりませんね。ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。どうぞ。
【山崎委員】  今のお話を伺っていまして、産官学での連携が必要であると。特に海外での展開におきまして、私、インドにJICAの専門家として滞在したことがあるのですけれども、そのときに感じましたのが、アメリカ側などですとアメリカ大使館におられるサイエンスアタッシェの方が結構いろいろな仲介役をされていたんですね。例えば現地から研究の視察であったり、調査に来るとか、あるいは企業の人が来ると、インド側の主たるところを紹介するであるとか、そういったことをやられていましたので、例えば今回の中で、例えば現地の大使館とか、そういったところは利用されていたでしょうか。
 私がインドにいましたときには、残念ながらインド大使館には日本側にはサイエンスアタッシェという形はおられなかったと思うのですが、そういったところも巻き込んで展開できれば、やはりサイエンスな部分はこのJ-GRIDであったり、AMEDであったり、文部科学省のこの予算の中でやっていけると思うのですけれども、先ほど問題視されていたこの承認審査であったり、現地での普及展開というところは、そういったところの巻き込みも必要なのかなと少し感じましたけれども。
【森所長】  このTB-LAMP、一番アフリカで普及が進んでいるのがカメルーンという国でして、これは大使が直接保健大臣の方とかと面談していただいて、こういうものがあるからというふうな感じで、ある意味トップダウンという形で普及が始まって、今、カメルーン全国全体に広めようとしているところなんですね。なので、国際貢献みたいな形で考えていただけると、そういう大使館とか、それから、JICAとか、JICAはフィリピンで少し予算を頂いて、やはり同じような普及をしているところです。なので、普及をさせていくというところに関しては、それなりにいろいろなやり方があるのかなというところはあります。
【岩田主査】  ありがとうございました。
【石井委員】  今のに関連する形ですと、SATREPSというAMEDに相手側の国の要望を受ける形で外務省を介するんでしたっけ、今、ごめんなさい。JICAですね。JICAを介する形で、そのニーズを引き上げるということができるグラントがございます。そういうものが多分、企業側にもう少し周知度が、特に現地にいらっしゃるような企業に周知できるようなことがあれば、多分、AMEDの中ではその担当も近いですし、連携することが可能ではないかと考えます。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 あとは、よろしいですか。そういたしましたら、時間の関係もあるので、次の議題に進みたいと思います。福永理事と森所長には引き続き御出席頂きますので、もちろんこの後の議論にも是非御参加頂いて御意見を賜れればと思います。本日はこれまで先生方に御検討頂いてきた感染症研究の推進の在り方に関する検討会の報告書の取りまとめということで、次の議題としては、たたき台を基に更に論点等について御意見を頂ければと思います。
 それでは、資料2になるかと思いますけれども、事務局の方から御説明をお願いいたします。
【岩﨑企画官】  それでは、資料2を御準備下さい。今ほど岩田先生から御説明がありまたように、今回は骨子案をベースにしてたたき台を作成しております。議論の時間を長く持ちたいので、今回は論点の部分だけ簡単にかいつまんで説明させていただきたいと思います。
 最初にこの構成でございますけれども、最初の1、2、3は事実関係を、大前提として感染症研究の必要性、それから、研究推進の現状、それから、感染症研究における課題ということで記載させていただいております。今回、特に議論していただきたいのは、4からの今後の感染症研究推進の在り方についてでございます。(1)ですが、事業の方向性といたしましては、これまでJ-GRID、J-PRIDEの成果として得られている研究基盤と育成された人材を最大限に生かして、更に研究を推進することが事業の方向性として考えられますので、その次期事業の到達目標を具体的に検討していただきたいと思っております。4ページ目に四角の括弧の中に論点として記載させていただいておりますが、例えばこのようなことが到達目標として考えられるのではないかと事務局としてまとめさせていただいております。
 2点目でございます。(2)の推進すべき具体的研究といたしましては、一つが海外拠点現地で行うべき研究、それから、二つ目が海外拠点で得られる臨床検体等のデータを活用する研究、三つ目としては若手の新規参入を目的とした研究、四つ目はBSL4を中核とした研究を考えてございます。それに加えて、ゲノムデータベースの構築についても御議論頂きたいと思っております。具体的に海外の感染症流行地に常駐して実施する研究につきましては、研究者が流行地に駐在しなければ実施できない研究であることを前提として具体的に取り組むべき研究課題があれば御提案頂きたいと思っております。また、複数拠点での共同研究についても具体的に取り組むべき課題があれば、またそちらも御提案頂きたいと考えております。
 更に、重点疾患の設定でございますが、これまではインフルエンザ、デング熱、薬剤耐性菌、下痢症感染症の4大重点課題について研究を推進してまいりましたが、今後の重点疾患の設定について御検討頂きたいと考えております。四角の括弧囲みの中に重点疾患の考え方と具体例を記載しております。大きな変更点といたしましては、二つ目の蚊媒介性感染症にデング熱とチクングニア、それら全てを含めた形でまとめさせていただいております。それから、小児の重症肺炎、それから、DiseaseX、こちらはWHOのBlueprintにおいて研究開発を加速する必要がある感染症の一つとして、現在のところはまだ人獣共通感染症にはなっていないけれども、国際的に深刻な流行を引き起こす可能性のある病原体によるDiseaseXというのが定義されておりまして、これを一つ挙げさせていただいております。また、J-PRIDE第III期の対象であった結核、エイズについては、②の臨床検体を用いた研究の方で整理したいと考えてございます。
 研究を実施する対象地域の選定でございますが、これはもう当然、実施すべき研究内容や重点疾患を踏まえて考えるべきものでございますので、それらを考えて既存の拠点以外に更に追加すべき拠点があるかどうかということを御検討頂きたいと思っております。
 ②の海外の感染症流行地で得られる臨床検体データ等を活用する研究についてでございますが、こちらは流行地で得られる臨床検体データを利用して、主に国内で実施する診断・治療薬の開発に資する研究については、流行現地で行うべき研究とは分けて考えまして、四角囲みにあるように3年程度の研究期間の設定とし、より多くの新規研究を推進してはどうかと考えております。これについても意見を頂ければと思っております。
 続きまして、3の若手等の新規参入による異分野連携・研究先進国との連携研究でございます。これまでのJ-PRIDEの実績を踏まえますと、1類感染症をはじめとした発症過程等が不明で予防法・治療法のない重症感染症を対象とし、引き続き四角囲みに挙げた内容を重点で置くことでよいでしょうか。そのほかに重点化すべき具体的な研究課題があれば、またこの場で御検討頂ければと思っております。④と⑤につきましては、BSL4施設を中核とした感染症拠点での研究とデータベースの構築の方向性について記載をしておりますけれども、何か特に御意見があればと思っております。
 (3)研究成果の実用化やそのほかの社会還元に向けてでございますけれども、ここでは実用化に向けた研究として企業側がアカデミアに求めることは何か。また、それを実現するためのAMEDに実施してほしい支援は何か。更に感染研と具体的な連携について御意見を頂きたいと考えてございます。
 以上、簡単ではございますが、今回御議論頂きたい論点のみを簡単に説明させていただきました。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 論点に絞って資料の御説明を頂きましたけれども、論点がたくさんあるので、あと1時間で終わるかどうか、あまり自信がないところもございます。早速ですけれども、ご意見をお願いいたします。どうぞ。
【俣野委員】  事務局の方に、まず基本的なことをお尋ねしたいのですけれども、この取りまとめ、おおよそのことは把握しているのですが、取りまとめしたものは、取りまとめの後、事務局から何にどういうふうに反映されていくんですか。どのように取り扱われて、どのように何に反映されるのでしょうか。
【岩﨑企画官】  報告書としてまず取りまとめることになりますけれども、それは今後、J-GRIDの後継の事業であったりとか、そういったものの考え方を示すときに我々の方で使わせていただきたいと思っております。
【俣野委員】  基本的には今おっしゃったJ-GRIDとか、来年度で終わりでしたっけ。J-PRIDEは今年度いっぱいだっけ。
【岩﨑企画官】  J-GRIDが今年度いっぱい。
【俣野委員】  だから、その次の4期目か、4期目ですか、J-GRID。
【岩﨑企画官】  J-GRID、4期目です。はい。
【俣野委員】  J-GRIDでいくとしたら。
【岩﨑企画官】  はい。
【俣野委員】  だから、そういう次のところに行くところにどういうふうに行くかというところに関して文部科学省からの取りまとめとしての考え方の一つとして参照する。それを主目的としてこの検討会はあるということでいいですか。
【岩﨑企画官】  はい。そうです。
【俣野委員】  感染症研究の在り方というタイトルになっているので、その全体というところは、少しは踏まえる、バックグラウンドは知れるかもしれないですけれども、根本的なところはそこに絞るということでよろしいんですね。
【岩﨑企画官】  はい。こちら、J-PRIDEも含めてなのですけれども、感染症研究、文部科学省が担う感染症研究の在り方をここでは議論していただきたいと思っています。しかしながら、当然、出口、臨床応用とか、そちらの方に関しても、それを目指しながら基礎の方はやっていかなければいけないということがありますので、そういう意味では全体を包含した形の報告書にはなり得るとは思うのですけれども、基本的には基礎研究の部分で文部科学省としてどうあるべきかということを御意見頂きたいと思っております。
【俣野委員】  それで、それに関連して一つはJ-GRID、もちろん修正とか、そういうのはあるかもしれないですけれども、4期目として行く、J-GRIDという名前かどうかは別として、そこのところは、この検討会の委員の皆さんとしては、基本的にその方向で、いや、これはもうそれが前提になっている取りまとめの書き方なので、私はそれでいいかとは思っているのですけれども、そういうところからまず確認を取っていかなくてよろしいんですか。
 それから、J-PRIDEに関しても、これ、J-PRIDEという形で次行く――いや、最終的に我々が決めるわけではないのは分かっているのですけれども、委員会の意見としてJ-PRIDE、これの後、次のJ-PRIDEをどうするか。このJ-PRIDEという形でいくかどうかとか、そういうところがある程度合意がないと、これ、何のためにやっているか分からない報告書にきっとなると思うので、そのあたりは皆さん、いかがなのでしょうか。私は、その方向でいいのではないかと思って、あえて言っているのですが。
【岩田主査】  その辺に関しては、最初にこの委員会が立ち上がるときに一応説明があったかと思います。J-GRIDは今、海外拠点を中心としていろいろな研究、現地でしかできないようなことを主にやっていただいているということ、J-PRIDEは若手の育成も含めていろいろな基礎研究に関して、これは国内でも国外でもいいと思うのですけれどもやっていくということで、これらの事業の期限が切れることを踏まえて、あるいはその事業評価を踏まえて、この後どういうふうにしていったらいいのかという、あるいはJ-GRIDに関して言えば、例えば海外拠点は残した方がいいのかどうかとか、そういうことも含めて御検討頂くということだったかと思います。恐らく委員の先生方は、そういう共通認識でいらっしゃると思っていたのですけれども、それでよろしいですよね。
【俣野委員】  はい。
【岩田主査】  ということで、その辺は一応、そういう認識でもってやっていくということでよろしいかと思います。その上でいろいろ御意見を頂ければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、論点に沿って進めていこうと思いますけれども、取りまとめ案の、まずは4ページですか、この事業の方向性としてどうしていくかというところで、論点は中長期的な目標をどのように考えるかということになりますでしょうか。例えば、実用化に向けた他事業や企業等へのシーズ導出、インパクトファクターの高い学術誌への掲載など質の高い研究成果の創出とか、国内の大学等による研究基盤の活用拡大とか、あといろいろな研究ネットワークを拡大するとか、若手研究者や臨床医、異分野の研究者などの新規参入者の拡大とか、研究基盤、これは海外拠点も含めてだと思うのですけれども、そういったものを活用した継続的な人材育成ですとか、一応、いくつか論点を挙げていただいております。その中で、いろいろな研究基盤をもう少しネットワークを作って広く活用するというようなことは、これまでの主にJ-GRIDの研究の中でいろいろ意見が言われてきて、ただ、なかなかその辺はこれまで必ずしも実現していなかったようなところもございます。何かこの辺で御意見があればちょうだいしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【石井委員】  この(1)の論点の文面に関してのテクニカルなところなのですが、実用化に向けた他事業や企業などへのシード導出に加えて、恐らくJ-GRIDなどはニーズの提供ができると思います。決して褒められたことでないのは「インパクトファクターの高い学術誌への掲載」というのは是非消していただいて、インパクトの高い論文を出す若しくは成果発表するという文面に変えていただくということと、あと国際的な研究ネットワークは今現存しているものはたくさんありますので、現存する国際的な研究ネットワークの利活用若しくはそれとの連携を試みるということがやはり、いわゆる予算の規模からするとリーズナブルかなと考えました。三つです。
 以上です。
【岩田主査】  よろしいですか、今の点。
【岩﨑企画官】  大丈夫です。
【岩田主査】  はい。どうぞ。
【俣野委員】  こういうグローバルに展開することも含めて、今、感染症の変動とか、そういうことが問題になっていることに多分、一つはグローバル化という話があると思うのですけれども、グローバル化、グローバル化と言っても実はいろいろな要素があって、少なくとも一つは人の交流が増えること、それによる感染の拡大ということがあると思うのですけれども、もう一つは、その人自身というより文化とか、そういう生活パターンとか、そういうもののいろいろな生活パターンがまた変わっていくとか、交流することもあると思いますよね。
 だから、そういう「グローバル化」って一つの言葉でまとめてしまってもいいけれども、その感染症が変わっていく要素について項目を分かりやすいのを、三つぐらい挙げて、あと地球温暖化の問題とかによる感染症とか、そういう三つぐらい項目を挙げて、それに基づく感染拡大みたいなところをしっかり考えていくみたいなところを私は入れた方がいいのではないか、中長期的な目標として思います。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【齋藤委員】  やはりこの研究を進めていく上に当たり、研究費が途絶えてしまうと全てが終わってしまうのではなくて、現地の方々の人材育成が重要です。記載のある研究基盤を活用した継続的な人材育成、これは非常に重要なところだと思います。この人材とは、現地の方の育成という理解でよろしいでしょうか?
【岩田主査】  国内外含めてですよね。
【岩﨑企画官】  はい。
【齋藤委員】  はい。国内の人もそうですけれども、国外の方々の人材育成、そこで人を育て、その後やはり研究の基盤ができ、それがその国で引き継がれていくというか、それが非常に重要なところだと思います。海外拠点における人材育成というのも非常に重要な目標の一つになるのと思います。
【岩田主査】  これは多分、両方含んでいると思うのですけれども、あえて書くのであれば、例えば国内外における継続的な人材育成とか、そんな感じになりますでしょうか。ありがとうございます。あとは、いかがでしょうか――どうぞ、荒川委員。
【荒川委員】  この論点の大枠はこんな感じで、今御指摘があったあたりも少し手直ししていただくということでいいかなと思うのですけれども、やはり感染症の研究は、その出口としてそれが有効に活用されて普及していくということが大事だと思うんですね。文部科学省あるいは厚生労働省、あるいはAMEDのできる範囲と、そこではできないことが幾つかあると思うので、その辺の切り分けとか、このJ-GRID、文部科学省のプロジェクトでここまではできるけれども、ここからはこの範囲でできないので、ほかの省庁、外務省とか、そういう国際的な機関も含めて、どういうような関係で連携して手分けして、役割分担してやっていくかというのはスキームが見えるような何か簡単な取りまとめがあってもいいかなと思うんですね。
 それからもう一つは、研究は特定の課題を設定して、期間を設定してやるのですけれども、感染症に対しては研究でやるべきことと、やはり事業的に、国の継続的事業として国際貢献とか、海外支援とか、そういうような観点でやるべきこともあるので、どこまでを研究でやって、どこまで達成できたら、これはもう国の事業として切り分けて国際的に展開していくのかということは、少し分かりやすいようなまとめ方をしていただけると、よりこのJ-GRID、J-PRIDE、文部科学省、AMEDの立ち位置とか、守備範囲とか、そういうのははっきりしてまとめやすくなるのではないかなという気はするんですけれども。
【岩田主査】  その辺は先ほどの議論の中でもあったことだとは思うのですけれども、あえてその後というところを書き加えるかということになりますでしょうか。
【岩﨑企画官】  文部科学省の事業に関しての最終到達点は我々で書けるとは思うのですけれども、さすがに他事業までなかなか書くのは難しいです。ただ、この報告書の中でも他事業との連携というのは考えるように書いてありまして、今、説明としては端折ってしまったのですけれど、4の(5)のところに他事業との連携についてもやはり記載はしていこうと。我々からどうつなげていくかということは、そこまでは確実につながるようにはしていきたいとは思います。そこから先は少し、この報告書の範囲から外れてしまうので、記載するのは難しいかなと考えております。
【石井委員】  そこが一番大事な点でして、俣野先生が最初におっしゃったことが多分、ずっと今議論が出ているところで、感染症研究の推進の在り方という大きな題名に出ちゃっているので、そごが生じているリスクがあります。そういう意味では、これまた異論はいろいろ出てくると思うのですけれども、枕詞に「文部科学省の」と付けると、この事業に限定されますので、区分けというかデマケはしやすい文章にはできます。ただ、それは何のために、じゃあ、逆にせっかくほかの省庁との連携を試みるための文章になるのかという、そのジレンマを今、この今の議論から感じておりますので、「文部科学省の」と付けてしまうと、実は今の議論の解決になってしまう気がします。
【俣野委員】  それと関連して、せっかくなのでやっぱり感染症研究の全体的にはこうあるべきだと書いた上で、その上でそれの中のこの部分を、この事業はやりましょうという方が僕はいいと思うんですよね。そうしたら、ほかの部分も必要なのだと思ったら、それはまたほかの事業を立ち上げればいいわけですから、やっぱりそこをまずちゃんとドンと書いて、その上でここをやれというふうにできませんか。
【岩﨑企画官】  今この場で題名のこととかはなかなか難しいですけれども、先生がおっしゃるように確かに感染症研究って基礎研究の話だけしていてもしようがないのは間違いなく、それは先生方も全員総意であると思うので、先生がおっしゃるように全体として感染症研究は、こういったふうにやっているので、こういう部分がある、フェーズがある。その中で文部科学省としてやるべき部分はここだから、その点について報告書としてまとめます、というのを前段に記載するような形にしたいと思います。よろしくお願いします。
【岩田主査】  よろしいですか。どうぞ。
【横田委員】  この中に書かれている言葉はもちろん、当然理解できるのですけれども、パッと見て何が新しいんだろうという印象があって、私もいろいろ報告書とか申請書とか見てきたので思うのですけれども、これは前からずっと理想的なものとして取り上げられてきたものではないか、目新しさがないのではないかなというのが正直な感じです。先ほどのグラントのことも含めてシーズの導出とかいうのも必ず書かれますよね。みんな書かなきゃいけない。その先のことが全く明確になっていかないというのは、やっぱりここでももうちょっとそれを具体化して、その先の発展性のためにこういう各省庁への働きかけだとか、そういうことをやりますよということができないですかね。
【岩田主査】  確かに後へつなげるというのは、とても大事なことだと思うので、そういう気持ちでこういうことをしているというふうに何か表現できるといいのかなと思いますけれども。
 どうぞ。
【吉田戦略官】  あまり答えになっていないのですけれども、実は感染症のところは、例えばがんの研究であれば、文部科学省はある程度基礎研究部分を担当し、厚生労働省と経済産業省が担う実用化部分の研究につなげていくという、ある程度ステップができているのですけれども、感染症は、実はあまりそこが明確ではない。厚生労働省の事業が基本的には基礎研究も含めて感染研で全体的にやっているという、それはもちろん国内対策ということを前提とした意味での研究なのですが、文部科学省が担当している、いわゆる基礎研究の部分の次に引き継ぐ明確な事業というのが、実はあまり設定されていないという問題が多分あるのだと思います。そこが、ある意味課題なのだと思っているのですけれども、ただ、そこはなかなか、我々だけでもなかなか手が出せないので、ゴール設定が難しくなっているという問題は多分あるのだろうと思います。
 ですので、ここでせっかく御議論頂いておりますので、ある程度文部科学省の中でこういう会議の場で感染症研究として、こういうような方向性があるのではないかということをメッセージとして出した上で、文部科学省としてはそのうちのこの部分をきちっとやっていきますよということをはっきり言うことは意味があることだと思うので、できるだけそういうふうに書きたいと思います。今も「はじめに」のところで、私も見ていて、今気づいたのですけれども、重要性は書いてあるのですけれども、必要性があまり書いていないので、何が必要なのかということもしっかり書いた上で、目的をはっきり明示的にしていくというところで次のステップへの課題が何かというところを議論ができるようなものが提示できれば、と思いましたので、そのあたりは少し工夫して書いてみたいと思います。
【岩田主査】  ありがとうございます。
 よろしいですか。
【石井委員】  もし今の議論の中で骨格というんですか、新しくはないですけれども、消せない、捨てられないものとしてBSL4、それから、J-GRIDの拠点、これはガラガラポンしてなくすというわけに今後いかないという前提をやはりどこかに置いておかないと、それが逆にこの二つの事業がマージして新しい事業を起こすときのユニークで、かつオリジナルなポイントになると私は考えます。そういう意味で、今までのことが全然駄目で、全てをスクラップ・アンド・ビルドするものではない事業だということを明確に示す必要があるのではないでしょうか。
 あと、私個人としては、文部科学省は基礎、厚生労働省は臨床という考え方を文部科学省と厚生労働省の方に捨てていただかないと、これはいつまでたってもAMEDが真っ二つに割れたままになるのではないかと危惧します。逆に、いや、これ、どうするんだというアイディアを私自身が考えるのであれば、これ、言葉として新しいのはリバーストランスレーショナルとありまして、基礎から臨床へというトランスレーションがリバースに、臨床から基礎のネタを探して入り口になる。入り口というのは文部科学省が大好きな言葉ですので、そこから何か新しい病原体を見つけたり、基礎の研究のネタを外に探しに行くのだというイメージであれば、これも新しくはないですけれども、言葉としてはリバーストランスレーショナルというのは、多分、AMEDの中で飛び交っていると思うのですけれども、そういったイメージの言葉を散りばめるというのは悪いことではないと思います。
【吉田戦略官】  今のお話で言うと、まさに我々も感染症で基礎研究とか応用研究というような形で予算を取りに行くのはなかなか難しいと思っていまして、むしろ、違った切り口で、J-GRIDはJ-GRIDとしての役割というものをしっかり出していくということの方が、我々もこの事業を今後続けていく意味での発信力になるのだと思っています。
 そういうキーワードを是非この会議でいただければ、我々もそういうことをしっかり発信していけると思っています。今、次期健康医療戦略でも議論していますけれども、その中でも感染症の研究については、国内的なニーズが決して高いわけではないが、国内の政策的にはやらなければならないものだという認識の上で継続してやらなければいけませんよねという認識だと我々も理解しています。そうした中で文部科学省が担う感染症の役割というものを、単純な縦割り的な議論ではなくて、何か違った切り口で発信できた方が、これを継続していく重要性や必要性も主張できると思っていますので、是非そのあたりはお知恵を頂ければと思います。
【岩田主査】  どうぞ。
【俣野委員】  全体像としては、感染症というのは、もう昔から生物と微生物、相互作用しながら進化してきているわけですから、今後に関しては人間社会の進歩とか変化で感染症はまたどういうふうに変わっていくかという問題が生じるんですね。そういう問題の解決というのが一番のこの中心にあって、その中で、そこにはやっぱりグローバルな動きがありますから、そういう海外との連携、要するにグローバルな取組で対応していきながら解決していかないと駄目なことに関して、この事業でやるという書き方がいいと思います。
【岩田主査】  御意見、ありがとうございます。
 よろしいですか。まとめるのが難しそうですけれども、でも、確かに基礎と臨床の考え方に関しては先ほど言ったようなことで、お互いに双方向で関係してくるところなので、確かにあまり縦割りの考えで分けない方がいいのかも知れないですね。ほかには今のところの論点についていかがでしょうか。とりあえずよろしいですかね。
 次は、海外の感染症流行地に常駐して実施する研究、今J-GRIDがやっているようなことになりますでしょうか、この辺はやはりこの事業として外せないところなのだろうなとは思いますけれども、こちらについて今現在行われていることも含めて、あるいはそれ以外に具体的に取り組むべき研究課題等があれば御提案頂きたいと思います。4ページの下のところですね。複数の地域で共同研究をしている、あるいはした方がいいようなものも幾つかあるかと思いますので、その辺も実際に具体的に取り組んだ方がいいような研究課題の案があればご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょう。
【俣野委員】  よろしいですか。
【岩田主査】  はい。どうぞ。
【俣野委員】  これ、いろいろ例えば項目が出てきたときに、違う分類のものが並列しているのは分かりにくいので、単純にスパッと出口のところと、もう少し入り口のところみたいな感じで、機序的なものを三つぐらい挙げて、出口のところを三つ、出口の方は例えば診断検査、ワクチン治療みたいな形にして、入り口のところは動向とか、伝播機序とか、それから病体機序とか、そういう分類に三つずつぐらい挙げてしまうのがいいのではないかと私は思います。
【岩田主査】  大ざっぱに言ってということですね。
【俣野委員】  そうですね。
【岩田主査】  例えば、そこの地域でなくてはできないようなものに研究課題を絞ってやるのがいいのかとか、あるいはいろいろな地域で協力してやった方がいいのかとか、それは課題によって違うと思うのですけれども、その辺に関してはいかがでしょうか。
【石井委員】  よろしいですか。これ、(2)の①の二つ目の丸ということですよね。
【岩田主査】  はい。
【石井委員】  感染症流行地に常駐して実施する研究が、もしそれが成果になって非常に高い評価を得るということを想像しますと、私自身としてはやっぱり一番のホームランはDisease Xを見つけること。世界で初めて新しい病原体若しくは既存の病原体が高い病原性を示して何か問題を起こしたということが、常駐しているところでこそ見つかるべきことですので、それは例えばという、「具体的な」と書いてありますけれども、そういうところにインセンティブを与えるというのも課題名としては非常に分かりやすいのではないかと思いました。
【岩田主査】  この5ページの。
【石井委員】  いや、ただ、常駐して実施する研究の課題として、そのコホートも大事ですし、サンプル集めも常時助けるのも大事なのですけれども、そんなこと事業じゃないのみたいなことを言われるよりは、やはり何か1点物の成果があるとしたら、今の1点、申し上げたようなことかなと。ただ、それだけではもちろんないと思いますけれども。
【岩田主査】  新たな人獣共通感染症病原体の探索とかいうところに入ってくるということですよね。
【石井委員】  そうですね。
【岩田主査】  これはその後の重点疾患の設定のところにも関係してくるので、そちらも含めて御意見を頂ければと思います。現在、インフルエンザ、蚊媒介感染症、薬剤耐性菌感染症、小児の重症肺炎、こういったものが実際には行われているわけですが。
【齋藤委員】  いいですか。
【岩田主査】  はい。どうぞ。
【齋藤委員】  その分類のところで、確かに各病気がばらばらで、例えばなぜか小児だけ小児重症肺炎で、インフルエンザもありますし、蚊の媒介性の感染症もありますし、薬剤耐性菌も小児でありますし、下痢症もありますので、このあたりの分類がもう少しうまく整理できるかと思います。
 小児の重症肺炎ですが、より広い意味で、通常、海外では、severe acute respiratory infection、重症呼吸器感染症と訳されることが多いと思うんです。肺炎だけではなくて呼吸器の感染症で命を落とすことがたくさんあります。肺炎という特に一つに絞ってしまうと、肺炎以外の呼吸器感染症が除かれてしまいます。先ほど出てきた百日咳などもそうですし、肺炎を起こさないでも無呼吸で亡くなることがあります。RSウイルスというのも、これも非常に重要な病気で、肺炎を起こさないで細気管支炎で命を落とすこともありますので、肺炎よりは、むしろ重症呼吸器感染症とした方がもう少し幅広い疾患を含むかなと思います。
 ですから、一つのアイディアとしては、例えば呼吸器感染症で成人、小児、その中にインフルエンザを入れてみるとか、あるいは消化管の感染症で、その中に特にウイルス性の腸炎、臓器別にまとめてみるというのも一つなのかなと思います。
【岩田主査】  どうぞ。
【荒川委員】  この5ページに挙げてあるインフルエンザ、蚊媒介性とか、結局、こういう種類の感染症は途上国等で流行したものが国内に入ってきた場合の、要するに国内における感染症対策に資する研究を、要するにそういう疾患が流行している地域で行うという理解でできるのですけれども、小児重症肺炎については、ほかのものとやっぱりイメージというか、違っていて、どちらかというとこれは途上国で小児のそういう呼吸器感染症などが非常に致命的で重大な問題なので、国内の感染症対策に資するということよりも現地における感染症対策に貢献するようなテーマとしてこれは少し異質かなという気がするんですよね。だから、今、齋藤先生がおっしゃったように、この小児重症肺炎をここに入れた目的が何かということは、もう少し分かりやすく書き込まれていると課題が設定しやすいかなという気がするんですけれども。
【石井委員】  これはもう変えられないんですよね。変えられるの?
【岩田主査】  これ、第2期のときでしたか、その頃から入ってきているんでしたっけ。
【岩﨑企画官】  正式に第何期から入ってきているかは申し上げられないのですけれど、実際に今、小児重症肺炎で研究頂いている拠点がございまして、そこで一定の成果を得ているということもあって、研究の継続性とか、拠点としての現地ニーズに即したものもやはりやっていかなければいけない部分もあるので、そういう意味では、今回、これは入れたのですが、齋藤先生がおっしゃるとおり、この分類の切り口がばらばらで、そういう意味では少し分かりづらいのは確かにそうなので、それが整理できるかなというふうに伺いながらも、やはり難しいなと。
【石井委員】  でも、私の理解だと、1期、2期でかなりダイバーシティな疾患、感染症を扱った反省から、第3期にある程度の絞り込みが行われたという理解です。私自身はやっぱり、それが何か爆発的な成果を生んだかというと、逆にほかの疾患を疎かにしているリスクもあって、私自身は絞るなら本当にもっと絞った方がいいですし、絞らないなら、もうDiseaseXを一番先に置くのであれば、もう絞らないぐらいの方が、これ、グラントを取りに行く研究者の性です。インフルエンザとか、肺炎とか書いてあったら、もう見事にそういう人しか応募しなくなりますし、本当に感染症の流行地の拠点の基盤と、それに対する成果を本当に目標とするのであれば、あまり絞らない方がやはり、これはもう振り子のようにどちらかに振れるしかないと思うのですけれども、私としては絞らない方がいいと思います。そういう意味では、これは変えられるんですかというのが質問です。
【俣野委員】  僕の意見は、別に変えていいんじゃないですか。
【石井委員】  変えていいと思いますけれども。
【俣野委員】  その後どう取り扱われるかは別として。
【岩田主査】  例えば海外拠点でということでしたら、MERSコロナウイルスとか、そういうものも入ってきて良いのではないかということですね。
【石井委員】  だから、僕が最初に発言しましたけれども、エボラもジカもMERSも全部外れたわけですよ、その拠点で。拠点で見つかった病気ではなくなったわけですよね。じゃあ、次、この拠点で新しいDiseaseXを見つけることができるのか、ミスするのかということが成果に直結するのであれば絞らない方が可能性は高まるのではないでしょうか。ただ、国費を投じた研究で国内ニーズに基づいた目的志向というふうに期待されていますので、それであればしっかりしたニーズがもう少し絞られて、臓器別水準にするなり、疾患をもっと絞るなりされた方がいいと思うのですけれども、それはかなりいろいろなコンフリクトを、拠点で全部それが同じ疾患を扱うということをするのかどうかという根本的な問題になります。
【俣野委員】  私自身も重点化には賛成しないのですけれども、問題点がどういう問題点があるかというのをバーッと書くのはいいと思うのですけれども、申請時にそれに縛られるのはおかしいと思うんですよね。だから、幾つか問題点をワーッと文章的に何かどこかに書くのはいいと思います。でも、こうやって対象疾患はこうしますというのは、非常に科学的に低レベルな話になると思いますので、高いレベルの事業をやろうと思えば、逆に縛らない方が新規性ものは出てくると私は思います。
 我々とかはDiseaseXとかというよりは、インビジブルな感染症というか、知らない間に広がるところの方に我々は非常に興味を持っていますし、あと慢性感染症とか、今いろいろなものがどういう病体を起こすか分かっていないのがいっぱいありますので、いろいろなテーマ、全部あると思うんですね。だから、そういうことは、でも、書き出して、それを全部対象疾患にしたら重点疾患にならないので、いろいろな問題点はいろいろ書いていっていいと思うのですけれども、是非対象疾患を絞るというのは、私は反対させていただきたいと思います。
【岩田主査】  それは例えば重症中枢神経感染症とか、そういった形で広くくくるような形でしたら。
【俣野委員】  そうですね。だから、絞るのではなくて分類するというのはいいと思いますけれども、だから、まさしく齋藤先生がおっしゃられた感じで分類するというのはすごくいいと思うんですけれども。
【岩田主査】  確かに前回は大分絞ってしまったので、そういった反省もあるのだとは思うのですけれども、広く疾患を捉えたいというのが研究者の方の思いというところかなと思いますが。
 どうぞ。
【荒川委員】  経緯がよく分からないので教えていただきたいのですけれども、下痢症感染症のところ、これも出ているのはウイルス感染症のみで、実際はコレラとか赤痢とか、そういう細菌性の下痢症感染症、消化管感染症というのも途上国国内でも、特に途上国で流行して大きな問題になったりすることがあるんですけれども、その細菌性の下痢症感染症がここに文面として、例として入っていないのは、もうそれは過去にいろいろやったのでここにはあえて入れていないという、そういう理解でいいんですか。
【岩田主査】  いかがですか。これまではコレラとか、そういった細菌性疾患も入っていたんですね。下痢のところにそういうのが入っていないのはどうしてかということなのですけれども。
【俣野委員】  これ、入っていないわけじゃないですよね。
【岩田主査】  入っていてもいいと思う。
【岩﨑企画官】  多分、意図はしていないと思います。別に今もやっているものなので。
【俣野委員】  例えば。
【岩﨑企画官】  ええ。例えで書いているだけなので、いわゆる下痢症感染症を引き起こす病原体であれば、全て含まれるという理解でいいと思います。ですから、これでは例示として足りないということであれば、もちろんコレラも足しますし、記載の工夫は幾らでもできると思いますが、一方で今、絞るのか、絞らないかという問題が出ているので。
【岩田主査】  ですから、基本的には国内ではあまりデータが集められなくて、拠点を使わないと集めにくいような疾患ということで、例えばこういうのがというようなことで書くのだったらいいけれども、あえてインフルエンザとか、蚊媒介感染症とか、それだけしか駄目というような書き方ではない方がいいのではないかという御意見だと思うんですが。
 ほかの委員の方、いかがですか。あまり絞らない方がいいという意見が主体になっていますけれども。
【山崎委員】  絞らないというか、そういう枠も残しておいた方がいいとは思うのですけれども、一方において、これは今行われているものの継続性も見据えたものですよね。そうすると、やはり幾つかのものは残さざるを得ない。所属的ないい方ですけれども、とも思うんですね。
 それで、ちょっと話がまた逆に行ってしまうかもしれませんけれども、複数地域での共同研究の推進というところですけれども、私自身が過去にデング熱にかかったことがありますもので、デングとか、蚊媒介性感染症には興味を持っているのですが、不思議と思うのは、例えば同じ東南アジアでも国によって、例えば1、2、3、4型がありますけれども、その流行状況が違ったり、しかも、それがまた年が変わっていくと、例えば過去においては1型が流行していたのに2型が流行し、1型が消えていくとか、いろいろそういったことがありますので、例えば蚊媒介性感染症のところなどにおきましては、チクングニアは私あまり詳しい知識を持っていませんが、少なくともデング1、2、3、4があって、その流行状況が地域によって変わってきている。
 そうすると例えば患者さんから取れるタイプで、蚊から取れるタイプが本当に一致しているのか。それがまた遺伝子型で、地域間でどのようなものが流行していて、それが例えば今年、来年、再来年という形でどういうふうに変化していっていることから、どういうふうに伝播が想定されるのかというふうなことを含め考えると、複数地域での共同研究というのは積極的に仕掛けていった方がいいのではないのかなと。そうすると下痢性疾患のところであっても、ウイルスであれ、細菌であれ、遺伝子型が、あるいは薬剤耐性がどういうふうに変化していっているかということは複数の地域で調べていきつつ、情報を共有すれば1足す1が2以上の多分、成果につながっていくのではないかと思いますけれども。
【岩田主査】  実際にはたしか、これ、第3期でしか。
【岩﨑企画官】  はい。
【岩田主査】  第3期のJ-GRIDの中では、そういった媒介蚊や、デング熱などはウイルスが少し違うのだという報告がたしかされていたように記憶していますけれども。
【山崎委員】  報告ではたしか出てきていましたよね。それをもっと積極的に研究段階で関わり合っていくというか、情報交換し合うというか、成果報告会のときには、そういうふうなこともお聞きした。
【岩田主査】  そうですよね。これは単独で、これは全体でというのもなかなか決めるのも難しいかなという気はするのですけれども、ただ、いろいろ地域で連携してやっていただくのは大歓迎かなと思いますが。
【横田委員】  そういう意味で年間の共同研究の場を作ると考えると、重点疾患ではなくて重点拠点みたいなものを考えてはどうか。今までデングとかやっていないところが新しく強制された形でお金を取るために始めた。それなりに成果は出ているところもあるのですけれども、例えば、インフルエンザは重点拠点としてこことここがやりますという形にする。今までの実績があるものは残して、それプラスその拠点の特徴的な疾患だとか、そういうものを新たに加えることを可能とするような方向ってないんですかね。
【岩﨑企画官】  採択されて拠点になる。こういう疾患をする拠点が必要とかというのは言えるかとは思うのですけれども、この拠点を必ず維持しなさいとか、そういう話にはならないです。
【横田委員】  書き方ですよね。
【岩﨑企画官】  書き方に工夫はできるかもしれないですけれども、こういう疾患の拠点、これから疾患に関わる拠点が必要とかというのは、工夫はできるかもしれないです。
【岩田主査】  でも、これは是非やっていただきたいというものある程度はあるわけですよね。
【岩﨑企画官】  それはそうですね。はい。
【岩田主査】  だから、それだけに絞ってしまうとなかなかね。
【岩﨑企画官】  そうですね。
【岩田主査】  ダイバーシティがないので、もう少し大きなくくりで示した方が良いのではないかというのが皆さんの御意見なのかなと、お聞きしていて思うのですけれども。
 どうぞ。
【石川委員】  表現の仕方が、具体的に例えば先ほど議論がありましたけれども、下痢症感染症でウイルス疾患のノロとロタしか出てこないというのに違和感があるのであれば、もう少し幅広く下痢症感染症として、例えばノロもある程度細菌とか包括的な表現にされたら受け取りやすいかなと思います。
 それとあと、これ、蚊媒介性感染症のところで言いますと、やはりデングも書かれていますけれども、チクングニアもそうですけれども、人と蚊の関係だけしか、この文章だけで言うと読めないような気もしますので、むしろ、何ページですか、(2)の推進すべき具体的研究にもありますけれども、海外拠点でなければ分からない病原体のリザーバー探索であるとか、アンプリファイアとか、人獣共通のそういう疫学研究ということを考えるとやはり蚊媒介性感染症の生態の研究というか、生態学ですね。やはり人と蚊だけではなしに、そういったことを包括的に表現されたらいかがかなと思います。
【石井委員】  そうですね。提案者がこれを提案できる状況を作るのが多分一番いいと思いますけどね。
【岩田主査】  後でちょっとまた相談いたしますか。
【石井委員】  これ、ガラガラポンしちゃうと。
【岩田主査】  そうですね。でも、その絞るのか、絞らないかというのは結構基本的なところの話なので、あまりテーマを絞り過ぎない方がいいだろうというのがこの会の委員の先生方の御意見なのかなとは思うのですけれども。
【吉田戦略官】  少し言い方を変えると、今まで継続していた海外での流行地での研究する場をどういうふうに選ぶか、採択するときに基準をどう選ぶかということだと思うんです。実はもう一つ、今回は②で海外の感染症流行地で得られるデータを活用する研究という項目を別にもう一つ立てていまして、こちらはむしろ、今までみたいに重点に絞ったものではなくて、もう少し幅広いものを研究できるような、場を使って研究できるようなメニューを考えていこうと考えています。それはある意味、重点疾患だけには縛られない、少し幅広く拾えるような仕組みを考えたいという構成にしたいと思っているのですが、海外の拠点を採択するときの一つの目安なり基準というものをどう考えるのかというところで、今まではある程度疾患と結び付いた形で拠点を選んでいたということだったと思うのですが、それを今までどおり継続するのか、むしろ、もう少し違った切り口を入れると、例えば違うような場所も入ってくるかもしれないし、今までやっていたところをもう少し見直していくことができるのではないか。1回目の議論でもそういう議論がありましたので、そうしたようなところも少し考えていく上での一つの目安になるのではないかなとは考えているというところです。
【岩田主査】  確かに今までも、ありとあらゆるいろいろな研究を同じ拠点でやっていた施設もあったので、ある程度、その施設ごとに絞ってくださいみたいな意見はあったとは思いますが、、でも、その拠点でこれは外してほしくないというのは言った方がいいのではないかと思います。対象地域に関してはいかがでしょう。これまではアジア、アフリカがメインだったのですけれども、例えば南米とかはいかがでしょうか。ジカウイルス感染症などは実際南米で問題になりましたが、まあ、南米だけではないので、アジア、東南アジアでもできないことはないかなとも思いますけれども、新たに拠点を設ける地域を増やすかどうかですね。今までは特にアジアとかアフリカとかに拠点を絞っていたのでしたっけ。
【吉田戦略官】  今までは……。
【岩田主査】  絞っていない。
【岩﨑企画官】  絞ってます。
【岩田主査】  どうぞ。
【荒川委員】  この対象地域ですけれども、アジア、日本に近いアジアと、あとアフリカはそう近くはないのですけれども、結局、パスツール研などはすごく長い、パスツール研究所は昔フランスが緊密な関係を構築していた熱帯地域の国々にたくさんの研究所を作って、膨大なお金を投入して、今でも各地にパスツール研の支所みたいなものがありますよね。だから、南米などは割とパスツール研が強い地域かなと思うのですけれども、アフリカもそうですけれども、だから、それと競合してもあまりよくない――よくないというか、労多くして益が少ないのかもしれないので、そういうところとうまくすみ分けができたり、連携ができるような課題があれば南米なども視野に入れて対象地域の拡大というのもありかなという気はするんですけれどもね。
【俣野委員】  いいですか。
【岩田主査】  はい。
【俣野委員】  これは拠点の持続性について先に議論した方がいいんじゃないんですか。というか、結局、今ある、建前上は今ある拠点が自動的に次へ全部行くわけではなくて、公募によって応募して審査をして採択するでしょうけれども、あまり建前だけでやっているとお金の、結局、事業の無駄になると思うんですね。今ある事業の持続性ってやっぱり非常に重要ではあるので、ちゃんとこれまで実績を積んできたところは、ちゃんと持続する権利はあるとは思うんです。では、全く評価しないでいいかというわけではないので、最終年度にでもしっかりちゃんと絶対評価などで継続させるかどうかの評価をしてという形に本気でやるのだったら、した方がいいのではないかと思います。
【石井委員】  それ、僕自身は継続性、リーグ戦で入れ替え戦ぐらいあってもいいかもしれないですけれども、全てをそのまま継続させるような前提では緊張感も競争も生みませんし、私自身はそこには反対です。ただ、それを継続性を持たせるということが、この事業の骨格であるならば、拠点が南米とかほかの地域に増えることを想定はしつつも、そこを軸にやはりほかのところを、かなり自由度を高めて競争を促すというのが恐らく課題の設定としては分かりやすいのではないかなと思いますし、そうしますと、時間がないので後ろの方も言っちゃいますけれども、研究期間を3年程度というところが、僕はこれを読んでいるときから気になっていて、そこが少し逆にそこが生まれて、やはり長期、3年で海外に、それも僻地に人を、人件費があったとしてもなかなか送る時間はございません。そういう意味では少し長期のスパンを持った課題設定をお願いしたいと思いました。
 以上です。
【岩田主査】  今の3年というのは若手等の新規参入により異分野連携を即すための……。
【岩﨑企画官】  それと先ほど説明がありましたけれども、②に設定している拠点から持ち帰った検体で開発とか、そういうものをするという、そういう研究はどんどん新規参入を促して新陳代謝を促した方がいいでしょうと。他方、①の拠点でやるやつは、じっくり腰を据えて5年とか、ロングスパンでやってもらって、だからこそ、そこの研究はここで言うニーズのある研究というか、こういう研究ができるところが拠点としてふさわしいと、この報告書の中で挙げていければと考えております。
【荒川委員】  いいですか。
【岩田主査】  はい。
【荒川委員】  拠点について私の誤解があるかもしれませんけれども、海外の拠点、これまで構築した海外の拠点と海外の人たちの運営、人材のネットワークは非常に重要なので、これをやめてしまうというのはまずいと思うのですけれども、国内の場合は、それを担当しておられる先生も定年が来て代わったり、あるいは若い研究者でもほかの大学へ移ったりするので、国内拠点についてはある程度柔軟に入れ替えをしながら、海外拠点をきちっとキープして発展させていくということが重要かなと思うのですけれども、この拠点というのは、ここで書かれている拠点というのは、国内の拠点のことを指しているのか、どういうようなふうに理解したらいいのですか。
【岩﨑企画官】  ここで書いている拠点というのは、まさしく海外拠点を指しています。国内に持ち帰って研究というのは、その海外拠点でもたらされた検体とか、そういったものを広く皆さんで共有して、いろいろな人がいろいろな研究をできるようにしましょうという意味で国内での研究という言い方をしております。ですが、拠点と言ったら海外の拠点のことを指しております。誤解を生むようなところは、表現ぶりは工夫したいと思います。
【岩田主査】  有り難うございます。さて予定していた検討事項が全部終わらないうちに、終了の時間が来てしまいましたが、どういたしましょうか。
【吉田戦略官】  とりあえず今日のデータはまたお送りさせていただくので、また少し、議論は引き続き次回もさせていただきます。今日頂いた御意見を踏まえて、また少し書き直しはしたいと思いますけれども、また引き続きメール等で御意見を頂ければ、それも次回までには反映させていきたいと思います。それを踏まえて次回、議論を、次回からまとめの方の議論に移りますので、また引き続きそこで議論させていただければと思います。
【岩田主査】  すみません。今日は対象を絞るか絞らないかで大分時間を取ってしまったのですけれども、大事なところなので、うまい書きぶりにしていただければと思います。残りの論点については、次回も議論させていただきますけれども、それまでに何か建設的な御意見等ございましたら、是非事務局の方にメールで御連絡頂ければと思います。そうしましたら、一応、今日はこれで時間になりましたので、継続審議ということで次回にまた引き継ぎたいと思います。
 それでは、事務局の方から連絡事項についてお願いいたします。
【野田係長】  本日は貴重な御意見をたくさん頂きまして、どうもありがとうございました。次回の検討会ですが、5月22日の水曜日、17時からを予定しております。次回も少し遅い時間からの開催となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。今御案内させていただきましたとおり、この後、電子媒体でファイルを送らせていただきまして、メールにて御意見を頂ければと思っております。次回も引き続き取りまとめについて御議論頂ければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【岩田主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日は司会の不手際で全部議論が終了せず申し訳ございませんでした。また次回に引き継ぎたいと思いますので、よろしくお願いします。本日の議事については以上でございます。お忙しい中、今日はどうもありがとうございました。

── 了 ──

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