平成31年3月27日(水曜日)14時00分~16時00分
東海大学校友会館
(ポスト「京」の利活用促進・成果創出加速に関するワーキンググループ) 合田委員,伊藤委員,宇川委員,臼井委員,梅谷委員,加藤委員,栗原委員,住委員, 田浦委員,高田委員,原田委員,藤井委員,安浦主査
文部科学省 磯谷局長,千原審議官,原参事官,渡辺課長,坂下室長,根津参事官補佐
【オブザーバー】 (理化学研究所)岡谷副理事,松岡センター長 (高度情報科学技術研究機構)関理事長,高津センター長 【説明者】 (スーパーコンピューティング技術産業応用協議会)企画委員会副委員長 近藤 宏二 (スーパーコンピューティング技術産業応用協議会)企画委員会委員 松岡 右典 (理化学研究所)副理事 岡谷 重雄 (プラナスソリューションズ株式会社)代表取締役社長 臼井 宏樹 (高度情報科学技術研究機構)サイエンスアドバイザ 小柳 義夫 (高度情報科学技術研究機構)神戸センター副センター長 奥田 基 (兵庫県) 企画県民部科学情報局長 落合 正晴 (神戸市) 医療・新産業本部医療産業都市部科学技術担当部長 相原 佑康 (公益財団法人 計算科学振興財団)専務理事 安井 宏
議題1 産業界からの期待(建設分野の事例紹介)
資料1についてスーパーコンピューティング技術産業応用協議会の近藤企画委員会副委員長より説明
質疑応答については以下の通り
【安浦主査】 今の時点では、このような風洞実験の場合もあるでしょうけど、大きな建物を建てるときに必ずこういう実験をやらないといけないという法律的な縛りというのはあるのでしょうか。
【近藤企画委員会副委員長】 全ての建物に必要なわけではなく建築基準法に基づいて設計することのできる建物もございますが、例えば超高層建物のように、風荷重が非常に大きな問題となるような場合は、性能評価という手順がございますので、そこに諮って審査をいただくという流れが大体主流となっております。
【安浦主査】 そのときにもう風洞実験ではなくて、シミュレーションでも問題ないという形に法律上はなっているんですか。
【近藤企画委員会副委員長】 はい。そこが一つポイントでございまして、今は建築基準法に決められた値か風洞実験によることというのが、実は法律で書かれております。そうすると、数値流体計算が使えないので、それに対しては日本建築学会で建築物荷重指針というのがございまして、その中で使えるという規定を一旦作りまして、その成果を受けて、国土交通省の建築指導課と一緒に、どういうふうな格子を使って、どういう計算をすれば、妥当な結果が得られるかというガイドラインを作っております。それを受けて、国としては、性能評価を受ければ使っていいよという、まずはそういうところから始めようということで、今その準備をしているところでございます。というのは、それをやらないと、これはソフトを買ってきて走らせれば、誰でも実は答えが出せるんですけど、とんでもない答えが出ることがあり得るので、それをやはり我々としても防ぎたいということが趣旨でございます。
【安浦主査】 ありがとうございます。ほかにご質問ありますか。住委員、どうぞ。
【住委員】 2km掛ける7kmというのは広域の例なんですけど、バウンダリーコンディションというのはどういうように与えられたんですか。
【近藤企画委員会副委員長】 特に重要なのは流入境界条件かと思うんですが、基本的に建築物荷重指針の中で、風上側の市街地の建物の密度、そういった外の状況に応じて地表面粗度区分というのが決まっておりまして、平均風速の分布と乱れの強さの分布が規定されております。それに合うように流入変動風という、時々刻々、空間で変動する風速を作る手法がございまして、それを境界条件として与えた計算としております。その条件でやって、実際の観測結果と比較すると、結構よい値を示しておりましたので、設計体系としてはこういう方向で進められるかなというふうに今考えております。
ただ、これはかなりチャレンジングなものでございまして、ここまでやって設計した事例はないので、これからそれをチャレンジするところでございます。
【安浦主査】 ほかにありますか。
もう一点、私から伺いたいんですけど、今、東京は特に建築ラッシュで、次々に建物が建っていきますよね。そういった大きな建物が次々に建つときに、周りにもう既に設計が終わっている、あるいはもう建っているものがあります。それらのデータというのはお互いにオープンにするものなんでしょうか。
【近藤企画委員会副委員長】 建物形状に関しましては、地図屋さんとかそういったところから販売されておりますので、基本はそれを使うということと、あとは、近場の建物については、ある程度やはり詳細に形状を再現しないといけないので、その場合は自分らで可能な限り入手いたしますが、今はまだ民間の間で建物の形状のCADデータを例えば共有するとか、そういう枠組みはできておりません。ただ、それも本当はそういうチャレンジをするべきかなとは思っております。
議題2 計算資源の新たな利用形態
資料2-1について岡谷副理事から説明
資料2-2について臼井委員から説明
質疑応答については以下の通り
【合田主査代理】 2人にそれぞれ意見と質問があるんですけど、1つ目のコメントは、岡谷副理事のお話については、HPCサービスプロバイダの話をお聞きして、確かにそのとおりというように思うところがありまして、実はこれはクラウドの世界では割と出てきていて、いわゆるサーバを動かすIaaS業者からサーバを借りて、その上にユーザーが使う環境を載せて売るというビジネスが結構海外では普及していますので、それがそこにあるというのは確かにそのとおりでありまして、ユーザーの裾野を広げるという意味では非常に有効かと思いました。
従来は、バッチの口が用意されていて、そこで流せばよかったんですけど、例えば私のところで運用しているマシンなんかを見ても、AIのプロセスを走らせる人というのは、もうバッチとか使わずに、自分のところでコンテナを作って、それを持ち込んで実行するとか、そういった使い方が出てきています。あとは分野によって、デファクトになっているようなインターフェースがあって、それを載せて使うというのがかなり増えてきていますので、そういった部分に対応する必要があると前々から思っていました。ただ、それを、いわゆる計算機を提供する側、1人で全部用意するのは無理があるので、そこで民間のプロバイダを挟むというのは非常にいいアイデアではないかと思った次第でございます。
2つ目は、臼井委員に質問なんですけど、クラウドを使うときに予算の形態が変わるので、というのは非常に私も苦労しているというか、NIIでクラウドを普及する仕事をしている上で、もうあちこちから言われることで、クラウドを使いデータ載せたが、予算が消えるとともにデータが消えどうしてくれるのか、と言われることがよくあります。そのときに、質問なんですけど、いわゆる予算が消えたとか使えなくなったときに、そのサービス自体を事業者が引き取るとおっしゃっていたかと思うんですが、よろしければ、その内容をもう少し詳しくお聞かせいただければ有り難いですが。
【臼井委員】 すみません。予算の関係と多分データの受け渡しと別の話にはなるかと思うんですが、事業者さんによって形態が全く違うので、さくらインターネット、プラナスの事例としてお話しさせていただきますと、アカデミックな方とかで、年額の予算が何万円と決まっていますという方に関しましては、あらかじめその額を言っていただきたいというお願いをしています。
その額に、例えばしきい値を超える、何かの設定値を超えるまで使われた場合に、アラートを出しますとかそういう形もしていますし、あと、定額というサービスもありまして、これも事業者ごとに違うんですが、転送料が掛かる、掛からないという問題がやっぱりあるんですね。私どもは、転送料課金をインクルードした形で全てやっていますので、どれだけ入りも出も出してもらっても、同じ値段で月額やれますというのを一つの売り方としています。ただ、従量課金で、使ったら使った分だけ青天井で行っちゃうような事業者さんというのもありますので、その部分はクラウド選定のときにやはり見極めが必要なんじゃないかなというところをさせていただいています。
予算が終わっちゃって、サーバ台数を減らさなきゃいけないとか、データを残さなきゃいけないというときの話なんですけれども、これも事業者さんごとによって違うんですが、さくらインターネットの場合は、特に何十万台というサーバを保有している事業者でありまして、資料の後ろの方に書いてあるんですけれども、ホスティングもやっていますし、クラウドサービスも、VPSも、レンタル側サーバサービスも、複数のサーバドメインのサービスをやっているがゆえに、このプロジェクトで買ったIaaSサーバが、例えば100台余っちゃう、終わっちゃうということになったとしても、減価償却期間中であれば、それを、じゃあ、ほかのVPSのサービスに回しますとか、クラウドのサービスの補強分に回しますということができるので、そういうことができるという話になります。
専業でやっていらっしゃる事業者さんですと、やっぱりそのプロジェクトが終わっちゃうということになると、大変なことになりますので、その辺が今、プラナスを含めて事業がHPC領域で伸びているポイントの一つなのかなと私自身は思っています。
【安浦主査】 加藤委員、どうぞ。
【加藤委員】 今まで、「京」の産業利用はあったんですが、いわゆる個別利用というのは余り実は進展してなくて、感覚的には(運用経費の)10分の1ぐらいがそういうやり方で回収されること自体は賛成です。ただし、確認をしておきたいのが、実は「今後のHPCIの計画推進の在り方に関する検討ワーキング」のサブワーキングで、プロダクションランをしていいかどうかという議論があって、そのときは、結果的にはいいとなりました。ただ、その理由は、それに(「京」のようなフラッグシップ計算機に)代わるものがないからということだったんです。
それから、先週、産総研の人とある会合で会ったときに、産総研という組織自体は、研究開発組織なので、(ABCIで)クラウド事業はできないと言われていました。何をやるかということと、どうやるかは別な話です。まず、産業利用でプロダクションランもいいと僕も思うんですが、ただ、何をもってしていいとするかということを明確にする必要があると思います。それから、今度はどうやるかというときに民間の力をかりること自体は賛成なんですが、多分実質的には、ポスト「京」を作ったときの開発費を入れないと、事業上は絶対有利になるんですよね。つまり、その事業者は、普通に(ポスト「京」で)クラウド事業をやると、他社よりも圧倒的に有利になるという事実があって、それを考えると、じゃあ、今度は入札条件を具体的にどうしていくかということを考える必要があります。だから、総論は賛成なんですが、各論のところで、そこをどういうふうに考えるかということと、総論に賛成する条件として、皆さんがこの場で、プロダクション認めるべきだと、それによって産業のトップエンドも裾野も広がる。だから、プロダクションランもやるべきだという合意を形成した上でこの議論は先に進めるべきだと思っています。
【安浦主査】 梅谷委員、どうぞ。
【梅谷委員】 プロダクションランを許すのか、許さないのか、多分こういう会議でずっと議論になっていることだと思います。やっぱり使う立場として、プロダクションランをする立場として、やっぱり国のコンピュータ、いわゆる税金で作ったコンピュータを企業のプロダクションランに使っていいとはやっぱりどうしても思えなくて。
やっぱりそこの意味付けというのは非常に重要。何のために国のコンピュータでプロダクションランをするのかという議論は、やはり十分にした上でその結論を、やっぱり議論した上で結論付けることなんじゃないかなというふうに感じています。
【安浦主査】 岡谷副理事、どうぞ。
【岡谷副理事】 プロダクションランのお話は基本的にまさしく加藤先生が理事長をされているHPCIコンソーシアムで是非やるべきだというふうに言われいてるのを踏まえて、ここの資料の中にも、実施可能にというふうに書かさせていただいている次第であります。それで、値段の話、入札の話、これは今後、やはり競争入札でするわけですけれども、今のように、オペレーションフィー、オペックスだけで価格設定するというのはあり得ないかなというふうには思っています。ただ、幾らがいいかという部分については、まだ今後議論する必要はあると思います。
【加藤委員】 個人的には、プロダクションはもう認めるべきだという立場なので、梅谷さんとは全く逆なんです。ただし、条件があって、その目的ですね。目的が単なる事業、ビジネスではなくて、きちっと裾野を展開するとか、トップエンドを展開する、実用化を進める。それがためにプロダクションランが必要であれば、それも認めるという、私自身はそういう立場なんです。
だから、そのときに条件付けが重要になるんじゃないですかと申し上げています。普通に競争させたら、多分非常に有利になってしまうので。ただ、梅谷さんは真反対だから、その辺をこういうところできちっと合意してからじゃないと、個別に誰がどうやるという議論をしても余り意味がないですねということを申し上げています。
決して考えが変わっているわけではなくて、皆さんがどう思っていますかという、そういう話です。
【安浦主査】 ここでの報告書の中に、今のお2人の御意見を、しっかり書き込むことで、必要であれば、プロダクションランに関する議論を集中してやる。そういう場をきちっと作るという、そういう考え方はきちっと持っていく必要があると思います。
【安浦主査】 宇川委員、どうぞ。
【宇川委員】 産業利用のところに関する論点というのは、もう今、十分出尽くしたので、それについてコメントするつもりはないんですけど、もう一つ大きな点は、従来はポスト「京」の計算資源というのは、全てその登録機関の共用に提供されていて、したがって、その共用促進法の枠組みの中で利用者の選定も行われるし、サービスも行われる。だから、その意味では、RCCSは、運用はしますけども、直接そのサービスのところには関与しないという立場だったわけです。だけど、8ページ目かの図というのは、資源のうちの一部は直接RCCSがサービスオリエンテッドな運用するというところなので、そこは非常に大きな考え方の、新しい考え方を入れようとしているんだと思うんです。
そうなると、そういうことを理研RCCSがやるということは、そもそもどういう意味付けでやるのかということと、あとは有償に限るということなんですけども、産業利用に限らず、研究開発に対しても有償のサービスをするということですので、もともとは、研究開発に関しては、国として無償のサービス提供ということが基本の考え方だったと思うので、そこの有償に関する考え方もやっぱり整理しないといけないんじゃないか。
ですから、このことを報告書の中に一つの考え方として書くのは、それはそれで私も特に反対ではないんですけども、やはりかなりもう少し議論する必要があるのではないかというふうに思います。
【伊藤委員】 すみません。よろしいですか。まず第1点は、まず民業圧迫の話をすると、これはWTOに引っ掛からないかどうかというのは非常に厳しいところなんじゃないかと思います。世界で有数のコンピュータをそういったことに使うというのはよほど慎重でなければならないと思います。
それからもう一つは、これは岡谷副理事に質問なんですが、5ページ目の例えば図4の共用開始からの累積利用者124名というのは、これは多分、代表者の数だと思っていて、少しミスリードがされやすい表現ではないかなと思います。実際にこれに携わっている人はもっとたくさんいるので。
【岡谷副理事】 すみません。これは累積課題代表者のことです。これが1点と、あと、WTOにつきましては、価格の設定をどうするかということに尽きるのだと思いますね。ダンピングになるかならないかという問題、そういう問題があると思います。ちなみに、海外の先端のマシン、例えばDOEのマシンなんかも使っていますので、先端のマシンだからだめだという話は全くないというのが世界の常識です。
【伊藤委員】 それで、それに関係して8ページの話なんですが、既存ユーザーと書いてあるところの、もちろん有償利用のところにアカデミアの方も入ってくると。これはむべなるかなという感じなんですが、その上に書いてあるところに、既に産業界としても入っていて、例えばコンソーシアムとしての利用というのがあるわけですね。それは根本的に言うと、その前のページの産業競争力向上というのを一体どう考えているかということなんですよ。個社がすごい特許を取れば、それで産業競争力が向上するのかということではなくて、例えばコンソーシアムが業界団体として、ある一定のオープンな情報として公開すると。そうすると、Tier1とかTier2とか、それを見ていて、全体のレベルが向上して、産業競争力の向上につながるという場合もあるので、必ずしも有償利用で独占するからいいというものではないです。
【岡谷副理事】 おっしゃるとおりだと思います。産業競争利用というのは、おっしゃるような無償の形で、コンソーシアムや、あるいはトライアルユースが存在するというのは十分ある話であると思っています。ただし、「京」の経験で分かったことは、無償から有償へ遷移していくのがそんなになかったということですね。それは事実なのです。なので、我々はやはり有償利用について、また新たな別の枠組みを設けることによって、新たな産業ユーザーを増やしたいらどうかと言っているわけであって、決して今までの無償利用を否定しているわけではございません。
【安浦主査】 高田委員、お願いします。
【高田委員】 今の有償利用に関する話です。たしか2回目のときに、加藤委員と梅谷委員、私が意見を申し上げたと思います。その時には、基本的にはプロダクションランというのはよくないということがこれまでの認識だったと思っているんです。ただ、臼井委員のお話を伺って、改めてきちんと議論する時期かなと思いました。「京」を立ち上げたときに加藤委員と話をしていたのは、アプリケーションを、第1・第2・第3階層というか、シームレスに使えるようにしましょうということで、リソースまでシームレスに使うという話はなかったのです。今、世の中を見ると、クラウドの利用なんて当たり前になっています。だから、今お話になられた臼井さんの話でHPCクラウドを利用していく話は、これからますます増えてくると思います。そう思うと、プロダクションランという考え方も、ポスト「京」の中で閉じている話ではなくて、ある期間「ポスト」京で使ったものを第2・第3階層に落として利用いていくという流れの中で考えていく必要があります。
だから、有償・無償とか、そういう考え方もシームレスな全体の流れの中で壁の無い利用を考えていく必要があります。これからの新しい、もう少し広い運用の仕方の姿を含めて考えていく時期だと思います。だから、そういう面でプロダクションランについてもう一度考え直してみたらいいかなと思います。「京」のときに、よくないなと思ったんですけど、今の時点で考え直すと、新しい運用のもっといい方法が出てくるかもしれないかなと思いました。
【安浦主査】 田浦委員、どうぞ。
【田浦委員】 プロダクションランというのがキーワードになっているんですけど、この民間にやっていただくという話は、一般にそこでの利用申請に相当するもの、たくさん書類を書かせないという方向に大いに賛成なんですけども、そこを迅速にするということは、やっぱり普通とは異なる基準で、はっきり言えば、もう少し緩い基準で審査して、迅速にやっていくということだと思うので、プロダクションランに限らず、要するに、そこの利用資格的なものをどうやって迅速にやりつつ、かつ、これは許せないというところに引っ掛からないようにするかと、プロダクションランだけではなくて、そういう問題設定で議論する必要があるのかなと思います。
全体として、私はこれは少しこう、やっぱり緩和する方向に持っていって、いろんな人を大いに、多く引き込んでいかないといけないと思うので、それで、そこで余り道を踏み外さないためには、やっぱり10分の1までとかそういう量的なところで、ある程度担保していけばいい話だと思いますし、それの出口として、やっぱりプロセスは作って、でも、1世代限りで終わる、この国の専用スパコンを作って終わるというんじゃなくて、それが民間に、本当にクラウド業者によって、例えばプロセッサ自身も商用バージョンとかがどんどん作られて、自立していくと。それが一つの成果であって、やる意義だという視点を少し取り入れれば、余りこう、神経質にこういう利用は良くないというふうに言わなくてもいいんじゃないかなというのは個人的に思っているところです。
【安浦主査】 加藤委員、どうぞ。
【加藤委員】 おっしゃることは分かるんですが、やっぱり一番重要なポイントは、直接的な利益を追求するような計算をやっていいかどうかということと、それから、宇川委員もおっしゃった、今までの運用とは全く違うんですね。登録機関という、あらかじめ登録しているところが課題選定をやるという、基本的にはそういう運用をしていたのが、それが10%であっても違う運用をするという点が重要です。(HPCI)コンソーシアムの理事長という立場ではなくあくまで個人的には賛成だけど、やはりそこのところを、繰り返しになりますが、皆さんがこういう理由だからこれでいんだというコンセンサスがない限りは、これは次の議論をしてもあんまり意味がないような気がしています。
【安浦主査】 梅谷委員、どうぞ。
【梅谷委員】 すごく違和感があるのは、やっぱりクラウド利用、スーパーコンピュータのクラウド利用というのはやっぱり当たり前になっていて、先ほど岡谷副理事がおっしゃられたように、使ってない会社なんてないじゃんというのはおっしゃるとおりなんですよ。日本の企業はもうほぼみんなクラウド利用をしている。だったら、そういう当たり前の事業として成り立っているものに対して、国がわざわざ手を出すことなんてないじゃないというふうに思うんです。だから、やっぱりそういうところも含めて議論していただきたいなというふうに思います。
【安浦主査】 住委員、お願いします。
【住委員】 やっぱりポスト「京」の開発目標は何なのかというのをもう一度考えた方がいいと思うんですね。僕が一番気になるのは、クラウドがメイン、Armのクラスタと別になって、何でもできちゃうんじゃないかというのは、何でわざわざ、こんなポスト「京」のような巨大なものを作ってまでやっていく必要があるかというところに来ると思うんですよ。だから、どうせ行き掛けの駄賃で作ったものはどう使おうと関係ないという、従来のナショナルプロジェクト型でやれば何でも。だけど、どうしても、何でもごちゃ混ぜにすると、結果はどうということなく、だめになると僕は思いますけどね。
だから、一番の欠点は、ポスト「京」をやるときに、第1階層から第3階層全体をどうするという視点がないまま、やっぱり先頭のフラッグシップででかい金を取ってくるんだというふうに、そういうふうに位置付けたりすると、やっぱり僕は大型計算とか物すごい、そういうところにやるということしか。まあ、脇が余った時間にこっちも使って、いろんなポテンシャルがありますよということはいいんだけど、やっぱりクラウド、クラウドと言い過ぎるのは何となく、じゃあ、それをやればいいというのは一般の感じになるような気がするんですけど。
【安浦主査】 岡谷副理事、どうぞ。
【岡谷副理事】 10ページの絵を見ていただいのですが、ここで私は何回も強調したいことは、ポスト「京」はずっとクラウドの資源を提供するということを考えてないということです。すなわち、私たちが有償利用するときに、最初の先鞭をなすことができるだろうと、そういう役割は果たせるのではないかということを言っているのであって、クラウドでポスト「京」の全部を利用して、本来のポスト京の目的を失ってしまうことを考えているわけではないということです。
ただ、こういうことを通じて、クラウドに提供することを通じて、更に大きな広がりがあるのであれば、それがやっぱり国家基幹技術としての意味があると思います。
【住委員】 この絵を見ると、面積でいくと、ほとんどクラウドがメインで、赤いところはちょっとあるぐらいというふうに大体は見ると思います。
【岡谷副理事】 すみません、絵の描き方が下手だったかと思います。
【安浦主査】 岡谷副理事にちょっともう一点確認しておきたいのが、5ページの先ほどの円グラフのところの、このオレンジとブルーのラインで利用率が違うという。有償と無償での。ここで何をおっしゃりたかったかというのを言っておいていただきたいと思います。
【岡谷副理事】 あんまり大きな声で言うのはちょっとはばかるのですが、やはりお金を払って使っても、後払いになっているので、今の制度だと、使い切らなくてもペナルティーが掛からないわけなんです。ところが、それを例えば契約制だとか、先払い課金制みたいな形にして、ユーザーにある程度資源を使い切るインセンティブが掛かるという形にしていただくと、もっと利用率が上げられて、有効に計算資源を活用し切れることになるんじゃないかと。
そういう意味では、無償の場合はただですから、使った方が得に決まっているわけですから、どんどん皆さん使われるわけですね。有償は、そういう仕組みに今のところはなっていないので、こういうことになっているのではないかというのが今の見方です。
【安浦主査】 松岡センター長、どうぞ。
【松岡センター長】 クラウドといっても千差万別でございまして、やはり我々のミッションというのは常にそのクラウド事業者、我々から見ればクラウド事業者は大きいんですけども、技術的には、我々の研究はどうしてもダウンストリームなんですね。例えば、今は現実的にクラウドに行って、1万ノードの系列計算をやりたいと言っても、それは絶対できないわけですよね。まず100%動きません。それは保証してもいいです。「京」だと動きます。現状でもやっぱりそれは技術の違いなんですね。それはクラウド事業者みずからがおっしゃっていますから。それは本当にそうです。例えば私と同じような理由で、TSUBAMEで民間利用をやったり、ABCIというマシンを作ったりしていますけども、それはやはり、なぜそうであるかと言うと、それは民間のクラウド業者の方々に対しては、2歩、3歩、先の技術をちゃんと研究開発をやって、それが将来、クラウドに入っていくということを大きく目指してやっているわけですね。
例えば一番大きな事例としては、最近、SONYが、今まさにイメージネットの100万イメージの学習で、SONYがgoogleともうプライドを掛けて戦っています。googleは当然ながら大きい、会社だけじゃなくて、いっぱいリソースを持っていて、例えばディープマインドとかいっぱい、AIの巨大な部隊を持っています。持っているので、当然彼らが世界トップを取って当たり前なんですが、SONYが今、ABCIを使って、googleともう本当に僅差の勝負をしているわけですね。
じゃあ、SONYは、クラウド業者に言って同じことができたかというと、それは絶対できなかったです。4,000GPUを使った学習。それはABCIがあるからできた。ポスト「京」もやっぱり同じようなビジョンで、確かに、何か小さいクラウドでやってできるような計算を、ポスト「京」の何でもやるというのはあんまり、加藤先生がおっしゃるように、私個人としては、あんまりできない、あんまり意味がないなと思いますが、あんまりクラウドを過大評価して、何でもどんな計算でもクラウドができるから、したがって、ポスト「京」でやるべきじゃないというのは技術的に間違っていると思います。
【安浦主査】 まだこの話は続ければいろいろあると思いますが、今頂いた御意見を中心に、このワーキングとしてのまとめの中にいろんな考え方を整理させていただきまして、その考え方を併記する形で、どういうふうに整理していくべきか。やはり最終的にはディシジョンメイキングをどこかでやらないといけないわけですが、幾つか重要な問題点が明確になりましたので、それをこのワーキングの報告書の中に書き込んでいきたいというふうに思います。
議題3 アプリケーションソフトウェアの利用促進について
資料3について小柳サイエンスアドバイザより説明
質疑応答については以下の通り
【安浦主査】 小柳先生、ありがとうございました。
何か御質問等ございますか。はい、どうぞ。
【加藤委員】 恐らくおっしゃりたいことは、研究開発ではなくて、アプリケーションの研究開発なんだから、きちっとしたアプリを開発して、その普及もきちっとできていれば支援するということかと思います。そういう目で開発しないと多分だめなんだということをおっしゃったと思うんですが。
【小柳サイエンスアドバイザ】 そういうものもちゃんと提示して、明確に提示して、組織すべきであるということで。 【加藤委員】 それはそのとおりだと思いますし、賛成なんですが、タイムラインの感覚が少し違います。僕の今までの経験から言うと、アプリケーションそのもの研究開発に5年ぐらい掛かって、実証研究にまた5年ぐらい掛かって、それをまた実用化するのに5年ぐらい掛かるので、とても一つのタームのプロジェクトで、研究開発から始まって、つまり、アプリケーションの開発のものから始まって、実用化までにはこぎ着かないと思います。その辺はどうお考え、あるいはどういう御議論だったのかなということを教えていただけないでしょうか。
【小柳サイエンスアドバイザ】 おっしゃることは大変重要なポイントだと思います。ただ、基本的な研究開発から実証ぐらいまではまだ、そのまま従来の研究開発のプロジェクトの中で行われていくべきですし、実際に行われてきたと思いますね。その後それをアプリソフトとして普及するという、そのフェーズを特に問題にしているわけでございます。
【加藤委員】 ポストフェーズを重要視した御提案ということですね。
【小柳サイエンスアドバイザ】 ええ。特に加藤さんのグループは随分いろんなことをやってらっしゃって、それをモデルに考えております。
【加藤委員】 要するに、みんな前の方しか議論しないから、もうちょっと後ろも考えたということですね。
【小柳サイエンスアドバイザ】 出口ですね。
【加藤委員】 そういう話だとすると、まあ、(必要な年数は)3年から5年くらいかと思います。
【小柳サイエンスアドバイザ】 ゼロから始めるということじゃなくて、従来の成果も含めて、こういう枠組みを一つ作れば、こういうアプリのソフトの整備に大変役に立つのではないかということでございます。
【加藤委員】 分かりました。
【安浦主査】 だから、具体的には、例えば今走っている重点課題の中で、一般的に使えそうなものをきちっとサポートしていくというようなところから始めるというようなことも含んでの御提案ですね。
【小柳サイエンスアドバイザ】 それも大きな部分ではないかと思いますし、もちろん重点課題に限ったものではございませんから。
【安浦主査】 田浦委員、どうぞ。
【田浦委員】 私も非常に趣旨は賛成で、要するに、研究としての新規性とかそういうことばかりではなくて、できたものをちゃんと普及させるとか、きっちりするというところにもちゃんとお金を付けてという話だと思うんですけど、それを担う人材というのはどういうイメージされているかということを少しお聞きしたいんですけど。
【小柳サイエンスアドバイザ】 これも大変難しい問題で、提言の中に人材育成という項目がございまして、これにそれに関するものを議論してございます。問題点は何かというと、アプリの普及とか、あるいはポストフリープロセッシングの開発とかいうあたりは、普通のアカデミアの評価基準では必ずしも評価されないと。それをやっぱり解決することが必要であるということが指摘されておりまして、確かに人材の問題は大変重要で。その中では、例えばそういう人材をキャリアパスとして、例えば産業界にも受け入れてほしいというようなことが提言には書いてございます。
【安浦主査】 ありがとうございます。
例えば、きょうの最初の近藤さんのお話で、建築のシミュレーションで法改正がされて、必ずこういうシミュレーションまでやれというようなことになれば、当然それにきちっと対応したソフトというのは、建築業界の標準ソフトになるわけですよね。そういうところまで持っていく、これは一つの例ですけど、そういう努力をやはりこの仕事の中の延長としてやるべきであるという考え方として捉えてよろしいんですか。
【小柳サイエンスアドバイザ】 それは大変重要な指摘で、そういう点は一つの重要なポイントだと思います。具体的に例えば、今から言うのはあれなんですが、初期の原子力関係では結構そういう努力がなされていたと思いますので、形としては、そういうようなものも考えられると思います。
【安浦主査】 ありがとうございます。
栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】 アプリケーションの普及ということですと、今それぞれがポスト「京」のアプリケーションを開発していても、それがそのまま今後のいろいろな普及の中で使えるだけではなくて、もう少し工夫するといった視点も出てくると思います。だから、そこもきちんと使っていくときには何かしらサポートするのか、誰がどうサポートするのか分からないというようなところはありますけれども、そういう視点は考慮していかないと、これで完全に完成したということにしてしまって、必ずしもいいのかということと、それから、より良くするという視点があれば、開発者がそういうものを研究していくという、共同研究かもしれないですけれども、そういうのもあるのではないかと思います。
【小柳サイエンスアドバイザ】 今、工夫とおっしゃったのは、どういう点の工夫。つまり、利用の仕方の工夫なのか、それとも手法の改良とかそういうことなのか。
【栗原委員】 いろいろな視点があると思いますが、例えば研究として評価ということで言えば、未知の領域に入っていくような研究だったら、支援者も当然共同研究者で、そういう評価をされるべきだというところは非常にシンプルなところだと思います。
それから、もし産業利用ということで言えば、産業側がどう負担して、そういう活動を支援していただけるかというようなこともあるかもしれないと思います。
【小柳サイエンスアドバイザ】 どうもありがとうございます。
【安浦主査】 宇川委員、どうぞ。
【宇川委員】 趣旨は私も大賛成なんですけども、やはりアプリの開発、維持、普及ということになると、個人あるいは少人数のグループがそれを受けて、一定の年限だけやってというのでは限界があると思うんですよね。だから、やっぱりこのプロジェクト自身を受けるのが何らかの組織であって、プロジェクト自身は有限の年限しかないかもしれませんけども、組織としてアプリを維持し、普及するという、そういう形態を作っていかないといけないんじゃないかと思います。
【小柳サイエンスアドバイザ】 それもおっしゃるとおりだと思います。今の戦略や重点プロジェクトの流れでは、もちろん加藤さんの生産研は、ある意味で生産研が担当していますし、あと、物性材料関係では、物性研とか附置研とかそういうところが。そういうのは大変力強いサポートになると思います。
【安浦主査】 小柳先生、どうもありがとうございました。
議題4 地元自治体からポスト「京」への期待
資料4について兵庫県企画県民部の落合科学情報局長より説明
【安浦主査】 それでは、何か御質問、御意見ございますでしょうか。
地元の方としても随分期待をされているということで。「京」からポスト「京」に移るときに、FOCUSスパコンもリプレイスされるのでしょうか。
【安井専務理事】 計算科学振興財団の安井です。FOCUSスパコンというのは、単一システムではなくて、9つほどのシステムが複合しているシステムなので、順次ニーズに応じて増強しているような状況です。現時点では、ポスト「京」までの間に企業さんのニーズが増えたとしても受け入れが可能なような形になっておりますので、それを使って、できるだけステップアップをしていただけるような環境を、講習会とか技術支援も含めて用意していこうという考え方です。
【安浦主査】 ありがとうございます。
加藤委員、どうぞ。
【加藤委員】 個々の御提案に対してではなくて、兵庫県がいらっしゃって、神戸市がいて、フロントエンドとしてFOCUSがあって、バックエンド的に「京」あるいはポスト「京」があるという状況です。今までもいろいろ連携はされていると思うんですが、これからも更に連携を進めて、いろんな事業、例えば、フロントエンドは、産業の新しい分野とか裾野を展開し、それをトップエンドまで持っていけたらと、そういう取組をされたらいいのではないかなと思います。一般論として申し上げました。
議題5 中間とりまとめ骨子案について
資料5-1、資料5-2について事務局より説明
【安浦主査】 是非ここで、この報告書の中にこういう視点は絶対入れておいてほしいとか、ここの方向性だけは出しておいた方がいいというような御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。
藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】 リストの中に載っているので、後で見ていただければいいと思うのですが、2点あります。資料5-1、5ページに、重点課題、一般利用枠、産業利用枠、政策対応枠という枠が書いてある表があります。重点課題という言葉は、時としていろんな意味に使われています。重点課題と萌芽的課題を併せて使う場合もありますし、これからは多分、AIとかデータサイエンスも入ってくる。ここで重点課題という言葉を不用意に使ってしまうと、今の重点課題のことだけを指しているようにも見えるので、注意が必要です。例えば計画推進委員会でも利用割合の議論では研究開発課題という言い方をしています。いずれにしても、重点課題という言い方に関しては、少し言葉を丁寧に使っていただく工夫が要るんじゃないかなということが1点です。
【安浦主査】 ありがとうございます。
【藤井委員】 それから、もう一点。今の重点課題や萌芽の成果を今後も活用する点については全く異論はないのですが、一方で、利用者の固定化というのがちょっと心配です。同じような競争の仕方で募集すると、もうコデザインをやっているわけですから、当然のことながら同じような方が選ばれてしまう。一方で、例えば、一般利用課題の中でもいい成果もあります。そういう新しい方々が入れる仕組みを是非どこかに書いていただきたいと、これが2点目になります。
あとの点は、5-2の資料で書いたことを見ていただければ結構です。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。特に重点課題という言葉は本当にいろんな意味で使われてしまっている面がありますので、そこを注意して、用語の統一はしていきたいと思います。どうもありがとうございます。
ほかに。加藤委員、どうぞ。
【加藤委員】 個別のことに対しては余り言及するつもりないんですが、全体的な書きぶりとして、中間報告書なので、例えば、今の藤井委員の御意見にも関連するんですが、先ほどの第2章のところのマル1ですかね。重点課題の成果創出フェーズを2020年から当初計画どおり実施すべきというふうに書いちゃうと、これは絶対このプロジェクトでこういうのをやるべきと普通は読んじゃうんですね。ところが、一方、今の藤井委員の御発言のように、新しい人が入れる仕組みとか、それから、宇川委員の御意見を拝見すると、枠組みそのものを考え直した方がいいとか、それから、先ほど小柳先生からはアプリの普及という観点でのプロジェクトも考えるべきだとご提案がありました。いろんな意見があるので、先ほどのプロダクションランの議論のように、委員同士で極端に意見が食い違ったら、もうそこは併記するしかないんですが、極端に食い違わなくても、結構温度差があるところがまだあって、そこに関しては余り断定的なことを書かないで、一方、こういう意見もあるというような書き方をされた方が、少なくとも中間報告としては適切ではないかと感じております。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。そこはまだまだ私も温度差を感じております。そこが読む人に分かるように少し工夫させていただきたいと思います。
【加藤委員】 温度差があるところはあるなりに書いた方が良いと思います。
【安浦主査】 宇川委員、どうぞ。
【宇川委員】 今の点に関係するんですけども、そうはいっても、もう来年度で、重点、萌芽は終わるわけで、やっぱりその次をどうするかということに関しては、ある程度明確なステートメントをしておかないと、結局、何をどうするのか。次に議論しましょうということになってしまうと思うんですよね。だから、その点で、私、大事だと思うのは、やっぱり重点、萌芽をやってきて、その成果創出に向けて、次のプロジェクトはちゃんと2020年度から始めるんだということは当然書くべきで、それと同時に、藤井委員がおっしゃっていたユーザーの固定化というようなところは、それは避けなければいけないですし、そうしないと成果自身も出てこないと思うので、その意味で、私としては、その仕組み自身ももう少し変えた方がいいのではないかという意見を書いたわけで、そういったところもできれば書いていただけるといいのではないかなと思いますけど。
【加藤委員】 次の実証研究のフェーズをやることが決まっていないという意味で申し上げたのではなくて、ただ、やり方はまだいろいろ議論されているので、その含みを残した方がいいんじゃないですかという、そういう発言です。
【安浦主査】 ですから、プロジェクトとしてきちっとスタートを掛けるというのは、これは多分、皆さん、ここで合意されていることだということで、ただ、そのコンテンツをどうするかという問題、あるいは新しい課題のセレクションの仕掛けをどうするか。さらには、利用の中に、先ほどのような産業界のプロダクションランを入れるかどうかというような、これはもうかなり、ちょっとホットな話題として書かざるを得ないんですけど、そういったものを少し濃淡を付けて書かせていただくと。そういうやり方で整理させていただきたいと思います。
【加藤委員】 そうですね。その方が分かりやすいと思います。
【安浦主査】 ほかに何か御意見ございますか。梅谷委員、どうぞ。
【梅谷委員】 利用としては、やっぱり産業界の、先ほど近藤さんからの報告、発表がありましたけど、コンソーシアム型の課題推進というのが拡大できないかというふうに考えています。やはり産業界、あるいは、裾野に成果を広げていこうとすると、なるべく個社に閉じる形ではなくて、広く産業界に進展するような枠組みを推進するような仕組みというのが作れればいいんじゃないかなというふうに思っています。
【安浦主査】 ありがとうございます。それはある意味で、例えば産業界、同じ分野での標準とか法規制に関わるような問題を一緒に作ってしまうという、そういうベースとしてこれを使うということも含むという考えでよろしいですか。
【梅谷委員】 そういうところにも含めてもいいですし、いわゆる基本的には競合なんですよね。なかなかやっぱり、先ほどのプロダクトランにまた戻っちゃうところもあるんですけど、収益にすぐつながるようなところではなくて、みんなで協調してちょっと先の技術開発をできるような枠組みが推進できれば、実際に産業界が変わっても、製品が変わっても、似たようなところがあって、展開される場合もありますし、なるべくその成果が広く広がるような仕組み作りというのができればいいなというふうに考えています。
【安浦主査】 非競争領域ですね。
ほかに何か御発言ございますでしょうか。
伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】 今のコンソーシアム型の話はまさに、これは産学連携の在り方としてやっているところが多くて、企業グループだけじゃなくて、先生方とどういうふうにコミュニケーションを取りながらやるという非常に重要な話なんですね。ですから、先ほどから一般課題の中で、こういうことを今でもやっているし、それはやはり無償で公開するということを例えば原則としてやっていくというのは、それは堅持したい。産業界で使うんだから、いきなり有償を考えなさいというんじゃなくてということを言いたいです。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。これはアカデミアサイドとしても非常に有り難い話です。
【栗原委員】 ですが、今、例えば東北では、産業界の支援する放射光を作るというような話もあるので、無償か有償かについては現代的にはいろいろ課題のあるところだと思うので、思い込みをせずに、なるだけいろんな形を、有効な形を考えるということは大事ではないかと思います。全部ということではないと思いますけど、幅広くいろんな可能性を、いい形で成果が出て、オープン性もなるだけ広くできるということはすごく大事だと思います。
安浦主査より閉会
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