令和7年2月19日(水曜日)10時00分~12時00分
文部科学省 東館17階 局会議室2・・・事務局
Web会議システム・・・委員等
(委員)笹川主査、岡村委員、西條委員、野口委員、野呂委員、平尾委員
(説明者)長崎大学 森内高度感染症研究センター長、安田高度感染症研究センター副センター長、中嶋高度感染症研究センターバイオリスク管理部門長、渡邊高度感染症研究センターリエゾン推進室長
塩見研究振興局長、大月研究振興戦略官、秋野先端医科学研究企画官
【笹川主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第13回の長崎大学の高度安全実験施設に係る監理委員会を開催させていただきます。
委員の先生方、御出席の皆様方におきましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、まず、本日事務局から出席委員数の確認からお願いいたします。よろしくお願いします。
【秋野企画官】 事務局でございます。研究振興戦略官付先端医科学研究企画官の秋野でございます。
本日は、全委員7名のうち、1名遅参の予定ですが、合計6名、委員に御出席いただくことになっており、「長崎大学高度安全実験施設に係る監理委員会」設置要綱第3条の5に基づく会議開催に必要な定足数に達していることを御報告いたします。
また、事務局側に2名、人事異動がございましたので、併せて御紹介させていただきます。
大臣官房審議官として松浦が着任しました。また、先端医科学研究企画官として、秋野が着任しております。
それでは、開会に当たりまして、研究振興局長の塩見より一言御挨拶を申し上げます。
【塩見局長】 おはようございます。文部科学省研究振興局長の塩見でございます。
第13回長崎大学高度安全実験施設に係る監理委員会の開催に当たりまして、委員の皆様にはお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
感染症対策につきましては、感染症危機が起こる前からの平時の備えが極めて重要でありまして、未知の病原体、また病原性の高い病原体を扱うことができる体制の整備が必要となっております。
グローバリゼーションの進展等によりまして国際社会全体での感染症の脅威が広がっている中で、政府としましては平成27年から関係閣僚会議を設置いたしまして一体となって対策を強化してまいりました。その重要な取組の1つといたしまして、長崎大学BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成がございます。
長崎大学BSL4施設につきましては、文部科学省といたしまして、安定的な運営のための維持管理、組織・人員体制の整備など必要な支援を行うとともに、本監理委員会におきまして、長崎大学が実施する安全性の確保と住民の皆様の御理解等に向けた取組について、第三者の立場から御確認をいただいているところでございます。
そのような中、先月、厚生労働省から国立大学法人長崎大学が特定一種病原体等所持者として、また、長崎大学BSL4施設が特定一種病原体等所持施設として指定をされました。委員の皆様には改めてこれまでの御助言、御意見に御礼を申し上げます。
引き続き長崎大学が実施する安全性確保と住民の皆様からの御理解等に向けた取組につきまして、それぞれの御専門の御見地から忌憚のない御意見、また御助言を賜ればと考えております。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
【秋野企画官】 ありがとうございます。
塩見局長は業務の都合上、こちらで退席をさせていただきます。
続きまして、議事に移らせていただきます。議事につきましては、設置要綱第4条の規定によりまして、本委員会は公共の安全性確保に支障を及ぼすおそれがある内容を含む検討を行うため、非公開とさせていただきます。
プレスや一般の傍聴の方はここで退出をお願いいたします。
確認に少しお時間をいただきます。
これより非公開の議事に移りますが、投影資料や説明内容には機微な内容にわたるものがございます。委員及び関係者においても、録画、録音、写真撮影は厳禁とさせていただきます。御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。
今、野呂先生がお入りになったようです。御案内が遅くなりましたが、本委員会の委員に変更がありました。これまでセキュリティ分野の専門家として河本志朗先生に委員をお務めいただきましたが、河本先生より大学を退任されたとのことで本委員会の委員を辞退する旨の申出があり、笹川主査とも御相談させていただき、新しく日本原子力研究開発機構、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター、能力構築国際支援室長の野呂尚子先生に委員として御参画いただくことになりました。
野呂委員より一言御挨拶をいただけましたら幸いです。
【野呂委員】 皆様、おはようございます。原子力機構のISCNという略称のセンターで核セキュリティの人材育成支援をやっております野呂と申します。
原子力施設のセキュリティ、また核物質・放射性物質を扱う施設のセキュリティ対策専門にしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【秋野企画官】 委員の変更については以上となります。
また、本日の欠席委員は神田委員となります。
それでは、笹川主査、議事の進行をお願いいたします。
【笹川主査】 承知いたしました。
それでは、本日の配付資料につきまして、事務局より御確認をお願いいたします。
【秋野企画官】 本日の配付資料ですが、資料1から4までの資料がございます。資料1、「国立大学法人長崎大学及び同BSL4施設の感染症法に基づく厚労大臣指定について」というもの。それから、資料2、「高度感染症研究センター実験棟の対応状況について」、資料3、「安全確保の方策等に関する検討状況について」、資料4、「地域における理解促進に向けた取組について」が資料でございます。
不足等がありましたら、挙手ボタンをお願いします。
事前に委員の皆様にはメールで送付させていただいておりますが、本日は画面でも共有させていただきますので、適宜御参照ください。
【笹川主査】 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入らせていただきます。まず、議題1でございます。国立大学法人長崎大学及びBSL4施設の感染症法に基づく厚生労働大臣指定につきまして、資料1につきまして文科省より説明をお願いいたします。
【秋野企画官】 文部科学省でございます。資料1を御覧ください。国立大学法人長崎大学及び同BSL施設の感染症法に基づく厚生労働大臣指定についてという資料でございます。
経緯につきまして少しおさらいをさせていただきます。BSL4施設とは、エボラウイルスなど、重い病気をもたらす特定一種病原体等を安全に取り扱うことができるよう高度に安全管理された施設のことです。これまで国内で感染症法に基づきまして厚生労働大臣からの指定を受けている施設は国立感染症研究所村山庁舎BSL4施設1か所のみとなっております。
平成28年11月に国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議におきまして、長崎大学BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成を国策として進めることを決定しております。
これまでに国としまして、感染症研究拠点の形成に関する検討委員会、そして本日の委員会でもあります長崎大学高度安全実験施設に係る監理委員会を開催し、長崎大学が実施する安全性の確保の確認等を実施してまいりました。
昨年11月中旬に厚生労働省におきまして、長崎大学の施設が感染症法施行規則等の指定の基準を満たすことが確認されまして、政令改正等の必要な手続を経て、本年1月24日に厚生労働大臣が国立大学法人長崎大学を特定一種病原体等所持者として、また国立大学法人長崎大学内の高度感染症研究センター実験棟を特定一種病原体等所持施設として指定しました。
今後の対応ですけれども、今後、厚生労働省が感染症法に基づく特定一種病原体等所持者への定期的な立入り等を通じて、監督・指導を適切に実施してまいります。
また、特定一種病原体等を輸入または譲り受けるためには、厚生労働大臣の指定または承認が別途必要となります。
文科省からの説明につきましては以上になります。
【笹川主査】 御説明ありがとうございました。
それでは、質疑応答に移りたいと思います。初めに、本日御欠席しておられる神田委員よりコメントをいただいておりますので、事務局より紹介をお願いいたします。
【秋野企画官】 神田委員からは、「1月24日に厚生労働大臣より長崎大学が特定一種病原体等所持者としてBSL4施設が特定一種病原体等所持施設として指定されたとのことで、関係者の先生方の御尽力に敬意を表します」というコメントをいただいております。
【笹川主査】 ありがとうございます。
これまでの御説明等で何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
大変大事な第一歩として、1月24日に厚生労働大臣より指定されたということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
どなたでも結構ですので、御意見をお願いいたします。
【西條委員】 西條です。
【笹川主査】 西條先生、どうぞ。
【西條委員】 私も、今現在は札幌市の保健福祉局で働いておりますけれども、国立感染症研究所において勤めていたときに、BSL4の認可を受け、そして病原体の輸入等についても関わってきました。
それで、新たに長崎大学のBSL4施設が厚生労働大臣からBSL4としての研究施設として指定されたこと、これにつきましては、改めて関係者のこれまでの努力と、それから、市民、また、長崎県、国民も含めてしっかりと説明してきた、こういった活動について本当に敬意を表したいと思います。
改めて自分自身の経験からも、これから病原体の輸入、それからそれを用いた研究、これは地域の方々や、または国民も含めて、理解と、それから逆に支援をしていただくような形での活動が求められると思いますので、それも含めて期待を込めて今回の経過について、私としては改めて敬意を表したいと思っております。
以上です。
【笹川主査】 西條先生、ありがとうございました。西條先生御自身も大変感染研のBSL4でいろんな経験を積まれたということで、大変貴重なコメントをいただきまして、誠にありがとうございます。
それ以外のほかの先生いかがでしょうか。
質問がないようでございますので、それでは、次の議事に入らせていただきます。次は議題2でございます。高度感染症研究センター実験棟の対応状況につきまして、資料2について長崎大学より説明をお願いいたします。
【長崎大学】 おはようございます。センター長の森内です。まずは、この指定を受けることができたことにつきまして、関係の皆様方に心から御礼申し上げます。ありがとうございます。
先ほどの文部科学省秋野企画官からの御説明にかぶるところもございますが、これまでの経緯を改めて簡単にお話しいたします。
資料2の3ページを御覧ください。本学のBSL4施設の設置につきましては、2016年には関係閣僚会議において、この計画を国策として進めるとともに、長崎大学への支援など、国の関与も決定されました。
そして、ステップ1として、2021年に実験棟が竣工し、研究設備・機材を搬入いたしました。
それからステップ2として、実験棟が特定一種病原体等所持施設としての指定を受けるべく、地域への御説明、市・消防・警察との調整、規則・基準・要項等の整備、設備の検証・慣熟運転、そして職員の教育訓練を行ってまいりました。
こうした準備を経て、1月24日、長崎大学高度感染症研究センター実験棟は特定一種病原体等所持施設として厚生労働大臣から指定を受けましたが、その詳細につきましては資料の次の4ページで御説明いたします。
上の段は長崎大学の動き、中段は厚生労働省の御対応、そして下段は地域への対応となります。昨年5月に大学として実験棟の生物災害等防止安全管理規則を施行し、6月には厚生労働省へ関係書類を提出し、施設基準への適合性評価や教育訓練の実施状況、安全管理規則などの整備状況等に関わる書類審査を受け、さらに現地確認も行われました。
その後、厳正な審査の結果、厚生労働省は指定の基準を満たしていると判断し、国立大学法人長崎大学を指定の対象とするための政令改正の手続に入りました。
11月15日から12月14日までパブリックコメントを受け、本年1月21日には政令改正に必要な政府、閣議決定がなされ、1月24日には政令が改正され、公布が行われました。
そして、同日付で本センターの実験棟は特定一種病原体等所持施設として厚生労働大臣から指定を受けました。今後は、国の管理下に置かれ、定期的に査察が行われることになります。
こうした経緯につきましては、その都度、迅速に地域連絡協議会の地域住民代表の方々にもお知らせしてきました。地域における理解促進に向けた取組につきましては後で御説明いたします。
また、先ほどの3ページに戻りますが、現在はステップ3におります。今後は、規則、基準に則って、まずは弱毒性の病原体等を用いた研究を実施し、さらに訓練を続けていきます。
そしてステップ4、つまり、特定一種病原体等を所持するための指定または承認を目指すことになります。
私からは以上です。あと、補足の説明等を中嶋先生のほうからお願いいたします。
【長崎大学】 それでは、補足の説明をさせていただきます。今の3ページ目のところで、一番左側なんですけれども、ステップ1、ステップ2、建設と、建設竣工後、指定に向けた様々なハード的なこと、それからソフト的なことの準備・検証を進めてまいりましたが、この間は大学の管理下ということだけだったんですけれども、指定ということを踏まえて、ステップ3からは国の監督の下の施設ということになります。
ステップ3については、特定一種病原体等が入っていない、いわば空箱のような状況ですが、既に国の監督下に置かれて、半年に1回は必ず国の査察があり、それからその間、必要な記帳書類については、毎月提出していく、そのようなことが求められております。
このような手続を進めながらステップ4を目指していくというのが現状でございます。
それから、次の4ページ目の補足になりますけれども、先ほど森内センター長から説明をさせていただきましたけども、長崎大学、厚生労働省、地域、この3つ、いずれも抜かりないような形で、5月7日以前から1年以上の年月をかけて指定に向けた準備を進めてまいりました。ようやくそれが1月24日に成就したところでございますが、先ほど言わせていただきましたように、今後が一番難しい大事な期間になろうかと思います。
先ほど西條委員からもお話がございましたとおり、指定から病原体搬入というところがまた大きな対応の必要が出てくるところになると我々も理解をしております。
それから5ページ目、参考資料になりますけども、これは、感染症法の政令改正について官報に掲載されたものになります。政令改正では、国立大学法人長崎大学を指定の対象として原則として所持することが許されない病原体を持てるということになり、それから次のページをおめくりいただいて、6ページ目、これは厚生労働省が1月24日に政令改正と同日でプレスリリースしたものなんですけれども、ここの※印のところとして、特定一種病原体等として括弧に入っている5つのウイルスを持てるということを指定されたというところでございます。
それから、これを踏まえて、7ページ目、長崎大学としても、長崎の中のメディア等々に指定がされたということを報道していただいております。
最後に8ページ目、報道等に関しては1月27日辺りまで報道が続いており、新聞、テレビでの報道が長崎の地元でもございました。
以上で補足を終わらせていただきます。
【笹川主査】 森内先生、中嶋先生、ありがとうございました。大変分かりやすい御説明をいただきまして、ステップ3・ステップ4に向けての取組、そして厚生労働大臣から指定がされたということで、プレスリリースもされたということで、今後、5種の第一種ウイルスを用いた研究に向けて準備が整っている、整いつつあるということでございます。
それでは、質疑応答に移らさせていただきますが、委員の先生方、御質問、御意見等を承りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
【平尾委員】 平尾でございます。
【笹川主査】 平尾先生、どうぞ。
【平尾委員】 後ほど地域との対話の関係も御報告いただけるかと思うんですけど、報道の反響と申しましょうか、報道を受けて、地域住民に限らず、何か意見がもたらされたりだとか、そういうものがもしあれば御参考までに教えていただけますでしょうか。
【笹川主査】 ありがとうございます。
いかがでしょうか、森内先生、中嶋先生。
【長崎大学】 リエゾン推進室の渡邊と申します。私のほうからお答えさせていただきます。先ほど説明申し上げたとおり、指定後、大体1週間ぐらいにわたって、主に地元の新聞及びテレビにおいて指定をされたということについて報道いただいてございます。
当面は、この報道を受けて、それに対して、住民の方の直接的な反応というのはまだ特段聞いておりませんけど、住民の方と接触をしたところでは、新聞にも載っていましたねというようなお声はいただいているというところでございます。
それから、後で御説明いたしますけれども、指定がなされた大体数日後ぐらいに臨時の協議会というのをお開きして、地域住民の方々から御意見を頂戴しておりますが、そこでは、指定されたことに対して一定の評価、それから、これで気を緩めずにといった御意見もいただいていますので、それは後で御説明したいと思います。
【長崎大学】 すいません、1点だけ森内から追加をいたしますけれども、報道もおおむね好意的な頑張ってくださいといった内容が多かったかと思います。それから一般の方も新聞に投稿するような形で、こういうのができたことは喜ばしいことで、ぜひ頑張ってくださいと励ましもいただいております。
現状、マスメディア、それから一般の方々からの反応は、これまでと比べて特に悪い方向に行っていることはないと受け止めております。
以上です。
【平尾委員】 了解しました。よく理解できました。ありがとうございます。
【笹川主査】
今平尾先生が御指摘したように、やはりこれから住民等のコミュニケーションが非常に大事だということで、マスコミその他の反応はどうだったかという質問かと思います。今後また引き続きこのような付近の住民との緊密なコミュニケーション、お互いに意見を交換することが大事かなと思いますが、そのほかいかがでしょうか。何かお気づきの点ございましたら御発言いただきたいと思いますが。
よろしいですか。
それでは、続きまして、議題3のほうに移らせていただきます。安全確保方策等に関する検討状況につきまして、資料3につきまして、長崎大学よりまた御説明を引き続きお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【長崎大学】 資料3について長崎大学の中嶋から御説明をさせていただきます。
資料3、「安全確保の方策等に関する検討状況について」。1枚おめくりください。内容として3点。1番目、災害事故発生時の対応策の検討について、2番目、長崎県警察との安全対策の検討について、3番目、長崎大学BSL4施設における特定一種病原体等を用いた研究計画の検討状況(概要と期待される成果)。
この3点について、1番目と2番目は、私、中嶋から、それから3番目は、副センター長の安田から御説明をさせていただきます。
11ページを御覧ください。①災害事故等発生時の対応策の検討について。災害事故発生時の対応計画というものを、市の協力を得ながら進めているというものでございます。特に、昨年の4月には、長崎市防災危機管理室、そして消防局等と打合せを実際にBSL4実験棟で行いました。
写真にその様子を紹介しておりますけれども、このように概要を説明した後、実験棟の中を隈なく御案内して、特に、この右の写真にありますような防災・保安センター、警備員が詰めている、365日24時間詰めている部屋でございますけども、ここの機能などを紹介しました。ここからは、消防、そして警察のほうに直通で連絡が入れられる体制となっており、そして実験棟の中の状況をここで、火災等を把握できるような形になっております。
緊急事態発生時の措置の基本的な考え方を説明して、左上のほうのところ、火災発生時の設備やシステム、防災・保安センターの機能や緊急警報装置等を確認いただいたということになっています。
それから、同じく昨年5月には、坂本キャンパス、BSL4実験棟があるところを所管する長崎市北消防署と実際に相談をいたしました。御案内のとおり、BSL4施設は、フェンスで囲われた環境になっており、坂本キャンパスの中でも特異な一角になっております。ここで、消防署のほうからは、やっぱり対策のための防災体制をこの実験棟として取ってほしいと。そのような形で、自衛消防隊は、中で作る形でお願いしたいと。そしてそことの連絡体制を取ってほしいということで具体的にお話があって、そのような形で対応を進めているところでございます。
12ページ目について昨年の10月には、防災危機管理室、それから感染症対策室と長崎市庁舎で打合せを行いました。
この施設ができるに当たって、地元の地域連絡協議会の委員からも、市の地域防災計画の中にBSL4を踏まえた対応計画を策定していただけないかということがありまして、市のほうがそれを受け入れて、ここの左の3行目にございますような「特定一種病原体等所持施設に係る事故・災害等対策計画」というのが策定されました。指定のタイミングでそれが施行されることになっております。
ここに関係するところとして、長崎大学がBSL4でつくった安全管理規則、基準、そして補完する災害等対応計画を市の協力を得ながら進めております。
1月17日、今年になってからは、市の担当の方と防災計画に基づいた内容で訓練を今年度中にやるべく打合せを進めています。
13ページ目について、長崎大学のセンターで策定しております災害事故等発生時の対応計画になります。
目次としては、災害事故発生時の組織体制、それから、災害事故の種別ごとの、例えば火災、地震、その他災害等々の初動対応。そして3節目では、事故発生時における参集・連絡体制。そして万が一の場合の緊急対策本部。その他、連絡体制、緊急連絡先一覧、このようなものを市の協力を得ながら策定をしています。
これに基づいた実際の訓練を想定しているところであります。
14ページを御覧ください。内容が少しクリアではないところがありますけれども、予防体制図が左側、これが実験棟のフェンスの中で完結できるような形の緊急時の対応そして連絡先、長崎市、警察、病院等も含めた形のものになっております。
15ページ目について、既に昨年の10月にも緊急対応時訓練等をしてございます。火災を想定した初動対応等の確認を行ったところでございます。
資料を少し読まさせていただきますと、「実験棟内の火災を想定した実験棟における対応計画の策定に向けて、森内センター長以下、現場で実際に対応に関わるバイオリスク管理部門の施設管理担当者や委託業者の警備及び設備担当者とともに、消火・通報など火災発生時の初動対応等について確認した。具体的には、防火扉、避難経路、消火栓、消火器及び防災・保安センターにおける火災警報装置等を確認した。」
これは既に昨年度行っておりますけれども、今年度もこの確認を実施し、さらに今度は、市の消防等も含めた形での連絡、訓練を行おうと考えているところであります。
それから、下のほうの写真になりますけれども、実験棟には複数台AEDがございます。一部、職員はAED、既に訓練を受けている者もいるのですけれども、なるべく多くの者がそれに携われるようにということで、長崎大学病院の実習室において、病院看護部、それから大学の保健センターの指導の下、AED講習会というものを開催したということでございます。
16ページ目では、長崎県警察との安全対策の検討についてというところであります。特定病原体等の盗取等の事故への対応策の検討状況というところで、実験棟における特定病原体等の盗取の事故に係る対応マニュアルについて、昨年10月、12月、長崎県警と打合せを行いました。県警とそれから地元の所轄の警察署と大学側で行ったところでございます。
そして、今年の1月には、そのマニュアル策定とともに今年度中に実施を予定しております対応訓練、連絡・通報訓練というのがメインでございますけれども、担当者と打合せを行ったということでございます。
私のほうからの説明は以上でございます。
【長崎大学】 長崎大学高度感染症研究センター、副センター長の安田です。私のほうからは、長崎大学のBSL4施設における特定一種病原体等を用いた研究計画の検討状況の概要について説明させていただきます。17ページを御覧ください。
まず、BSL4施設ですけれども、長崎大学だけが使用するわけではなく、広く国内のアカデミア、それから研究機関等の研究者の方々にも御活用いただくということで、オールジャパン体制下で世界的にも研究が遅れているBSL4病原体に関する感染症研究を飛躍的に進展させるという目的を持っております。
また、我が国のイニシアティブで世界の感染症対策研究をリードして、感染症の制圧に貢献するという大きな目的を持っている施設ですが、この施設の中で実際にどういう研究をするんですかという御質問等を各方面からいただいております。我々としては4つの柱をここに掲げております。
まずは基礎研究としましては、ウイルス増殖・病態発現機構の解明として、細かく4項目を挙げておりますけれども、まずは、宿主とウイルス相互作用に着目した分子・細胞・個体レベルでの感染機構の解明を目指すと。それから、先端機器を活用した独自性の高い研究。さらに、多様な研究分野との独創的な研究の推進。
それから、当施設は、非ヒト霊長類を用いた感染実験も実施できる仕様になっておりますので、非ヒト霊長類を用いた感染病態解析など基礎データの取得を行う基礎研究を予定しております。
この研究によってウイルス感染機構の詳細な解明を目指すとともに、この情報、データに基づいた予防・治療法開発への貢献ということを考えております。
また、基礎研究の情報を基に、3つ目として、治療法の開発。これは非常に重要な、治療法と予防法の開発というのは非常に重要な項目と認識しておりますけれども、治療法に関しましては、ウイルス増殖・病態発現に関わる因子を標的とした化合物や抗体医薬品の探索研究というのを予定しております。
また、動物モデルを用いた、実際に感染実験等による非臨床、前臨床研究というのも予定しております。
多様なモダリティに基づく新規治療法の開発を目指しております。
また、予防法の開発としましては、現在、SCARDAのワクチン拠点プロジェクトの中で、長崎大学はシナジー拠点に選定していただいておりますので、既にエボラウイルス、それからクリミア・コンゴ出血熱等に関するワクチン開発を進めているところではございますが、実際に本施設が本格稼働し始めた際には、感染性のウイルスを使った評価試験というのも実際に行うことができるということで、飛躍的に研究が進むものと考えております。
このワクチンの評価に関しましても、霊長類を用いた非臨床・前臨床研究というのを予定しております。
こういった研究によって日本発の革新的なワクチン開発、それから流行時の迅速なワクチン提供も可能になると考えております。
それから、一つ飛ばしたんですけれども、検査・診断法の開発というのも非常に重要な項目として認識しております。ウイルス遺伝子検出法の開発、それから、中和抗体検出法の開発、さらには、これまでは主に発症後の診断というのがポピュラーだったと思うんですけれども、ウイルス性出血熱等の急性感染症に関しては、発症前に診断して早期に治療にとりかかるということが、患者さんの救命、それから感染拡大を防ぐという意味でも非常に重要になってきますので、超早期診断法、発症前の未病状態での診断というのもできるような検査・診断法の開発というのも目指していきたいと考えております。
診断体制の整備・確立、それから流行の早期制御への貢献というのを目指した検査・診断法の開発というのも検討しております。
ここに4つの柱として書かせていただいたものを中心にBSL4施設での研究を推進していきたいと考えております。
長崎大学からの説明は以上となります。
【笹川主査】 ありがとうございました。大変詳しい説明、中嶋先生、安田先生からいただきました。中嶋先生のほうは、主にシステム関係、災害事故等の対応、それから県警との安全対策の取組方、それから最後の安田先生は、特定一種病原体等を用いた実験計画について御説明をいただきました。
それでは、質疑応答に移りますが、その前に本日御欠席の神田先生のコメントをいただいておりますので、事務局よりそのコメントの紹介をお願いいたします。
【秋野企画官】 神田委員からのコメントでございます。「資料3にて御説明されている県警や消防署との連携による防災体制の整備は極めて重要だと思います。火災や地震への対策は適切に整備されておると思いますが、悪意のある攻撃への備えはいかがでしょうか。物理的な攻撃はもとより、サイバー攻撃によりBSL4施設の管理・監視システムが機能しなくなるようなリスクはないのでしょうか」という御質問をいただいております。
【笹川主査】 ありがとうございます。それでは、これに関しましては、中嶋先生、いかがでしょうか。あるいは安田先生でも結構ですが、あるいはどなたでも結構でございますけど、お願いいたします。
【長崎大学】 中嶋のほうから神田委員のコメントに対して回答させていただきます。このBSL4実験棟、御案内のとおり、坂本キャンパスはどなたも入ってくることが可能な、市民が幾つかの入り口から入ってこれるような立地になっております。まさにBSL4実験棟のすぐ横を、犬を連れたような散歩の方も当然入ってこれるというような立地になっております。
私ども、そういったことから、実際の建物を施工する前から、どのようなセキュリティ対策を取っていったらいいのかということを、地元の県警、警察庁、そういったところとも随分と相談をしてまいりました。その上で、ハード面、ソフト面、それから情報面ということで、セキュリティ対策を講じていこうということになった次第でございます。
その内容については、これまでも霞が関において感染症法を所管する厚生労働省の担当者、そして法律を共管する警察庁の担当者、そして文科省の担当の方と長崎大学でも打合せをさせていただいて、その上でこのような建物になっているところでございます。
ハード面につきましては、まずは、誰でも施設の横を歩けますので、5メートルのフェンスというものでの区画をつくるというのが基本になっております。このことについては随分とこれまでの監理委員会で御説明をさせていただいています。
その上で、機械警備として、監視カメラとか、人感センサーとか、赤外線センサーとか、そういったもので幾重にも侵入防止をしていこうと。そして建物の中でも機械警備を施している。
その上で、立入制限を行うというところで、立入制限については、鍵についても、様々な認証鍵、そして生体認証も含めたもので行うということで対応を構築いたしております。
ハード面、詳しく言うともっといろいろございますが、ソフト面のほうに移らせていただいて、ソフト面については、ポイントとしては2つ。1つは、常駐警備体制でございます。365日24時間、委託をしている警備のほうが常駐をして対応しているということ。
それから立入制限につきましては、職員、それから、いろいろな施設整備、実験機器の点検・保守などを行う者に対して立入制限を課しています。立入制限は、立ち入る区画ごとに、例えば実験棟に入る者にはどういう教育訓練を行うか。そしてBSL4実験室に入る者には、さらに教育訓練に加えて、メンタルヘルスを、それからアルコールチェックを含む健康調査、それから身元調査、そういったものも課すという形で、それについては、原子力等で行っていらっしゃる告示なども参考にさせていただきながらつくっているところでございます。これについては、既に昨年5月に施行した規則に基づいて対応を行っております。
それからあと情報でございますけれども、情報についても、神田委員のお話にもございますように、我々、サイバー攻撃を防ぐために、実験棟の外側と内側を遮断してしまおうということを旨として行っております。外側と中をつなげるものというのは、直接つながらないような形で限定して行う。そのような対応を基本にして、情報セキュリティのほうも、サイバー攻撃に対するものを含めてやっている。
そういったこと全て、電源があって初めて行えるところでございますので、電源についても、通常こういった施設というか、厳重なセキュリティ、それからセーフティーを施すところではいずれも同じだと思うんですけれども、通常電源、例えば2系統の高圧電線でくるものを受配電する。そして無停電電源装置をつける。そしてその上で自家発電装置をつける、それを冗長性をもって行うということでやっております。今まで、これ相当、監理委員会の中でも御説明してまいりましたが、まさに今それを運用しているということでございます。
以上です。
【笹川主査】 中嶋先生、ありがとうございました。
それでは、ほかの先生方から、何か御意見、御質問等ございましたらお受けいたします。
よろしいですか。
【野口委員】 すいません、野口ですが、よろしいですか。
【笹川主査】 どうぞ。
【野口委員】 ありがとうございます。大変御苦労さまです。日本にとって非常に重要な施設だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
私のほうから3点質問をさせていただきます。1点目は、防災計画とBCPの関連、2点目は行政との連携、3点目は、フェイクニュース等への対応という、この3点でございます。
1点目は、防災訓練はすでに行われているという報告がありましたが、今の安全を考える視点でみると、(これからだんだん計画は詰められていくと思っていますけども、)「防災訓練やっているので大丈夫です」という時代でもないので、意見を述べます。実効性のある訓練教育という視点では、実はどんな前提を置いた訓練になっているのかという視点で検討することが大事だと思います。全ての状況対して一遍には全ての訓練できないので、訓練も体系的に考える必要があります。体系的に考えると、必要な訓練を一通り行うだけでも複数年をかけて行う必要がある状況だと思います。例えば水が出ない状況を想定した訓練だとか、電気が来ない状況を想定するとか、訓練を行うべき状況は、実はいろいろあるわけですよね。
それから、訓練方法も目的によって異なってきます。例えば、分かっていることが体現できるかという体を使った実施訓練もあれば、いろいろ対応を考えるための、意思決定や優先順位の選択の訓練とか、実はいろんなものがあります。その前提と訓練目的の組み合わせを考えると、訓練を計画的に数年間の中で行うべきことを整理して中長期計画を立てル必要があります。そこで、私の発言は、その準備はどうでしょうかという質問でもいいですし、お願いしますという意見でも結構なんですけど。
また、今は防災計画とBCPがセットになっていて、例えば、防災計画というのは、ある一定の前提に基づいてこうしますという計画ですが、BCPというのは、さらに、色々な不測の状況が出てきたときでも、重要なものから順番に確実に対応していくための業務継続計画と呼ばれているものですから、それがセットになっているというのが今の常識だと思います。BCPの難しさは、単に地震とか火災とかというような災害以外にも、オールハザードBCPというように、かなりいろんな状況に基づいて対応しなきゃいけないということがありますけど、その準備状況が、もし今日お答えしていただけるのであれば、BCPの対象事象等に関しても教えていただければというのが最初の意見ないし質問です。
【笹川主査】 いかがでしょうか、中嶋先生、その他の方でも結構ですけれども、防災訓練の在り方ですね。これはBCPの対応、具体的な方策はいかがでしょうかということで。
【長崎大学】 御質問と、それから私どもにとって、野口委員のお言葉は、いろんな御教示だったんじゃないかなと受け止めております。まさに野口委員が言われるとおり、これ、1回やったからとか、1年でとか、そういったものでは到底達成できないことを我々これからやっていこうというふうにまさに同じように考えているところでございます。大学の中でもこういったことをやっている施設というのは実は限られているんじゃないのかなと思っております。
そういったことからも、私ども、担当の行政との関係というのは極めて重要で、そういったところからも教えを乞うような形で対応計画そして訓練を進めていかなくちゃいけないんじゃないかなと考えております。
基本といたしまして、私どもの施設、実際に中で扱っているもの、封じ込めが可能なものでございます。封じ込めを、一定時間の間で封じ込めて、実験室を閉じてしまって、中から外に出ていくものがないような形、中に入る者がいない形を取っていくというのが基本と考えております。退室をまずして、そして封じ込めをして閉じてしまうというのが一番の対応じゃないかなと。
その間の電気的なものについては、先ほど言いましたような複数の電源を受配電して、そして電気で一定時間の間に止められるような形にする。自家発電というものも複数系統を用いておりますので、まず我々、それを基に閉じてしまうというのが一番の対応になってくる。
そしてその上で、その施設の警戒を続けて行うと。これが我々、対応の基本という形でこの施設が造られています。
電気は、先ほど言ったような形で水も一定の貯水ということがございます。そういったことで対応しておりそこで働く警備の人間、そして施設の維持管理を行う人間の対応はどうするのかというところ、どういった事象が起きるかで、まさに野口委員が言われるように、通勤ができるのかとか、中にこもらなくちゃいけないのか、などの周囲の状況なんかも踏まえて、いろいろな対応の選択をしなくてはいけなくなってくるのではないかなと。そういったもので、先生が言われるように、体を使う訓練に加えて、頭の体操をしていく訓練というのも、今後我々のような施設、国立感染症研究所にもございますが、日本で2つだけの施設でございますので、考えながら、時には感染研とも連携を取りながらやっていかなくちゃいけないんじゃないかなと考えている次第でございます。
【野口委員】 どうもありがとうございました。この問題は、実は長崎大学だけの問題じゃなくて、いろんなところが今鋭意努力している問題ですので、これから順番に解決していっていただければと思います。
委員としていつも思うのは、こういう報告では、「こういうことやりました」という、実施したことの報告を受けることが多いんですけど、実は安全のために大事な事は、「何を行っていないかということをどう把握するかですよね。「やってないことを報告する」というのは難しいんですけど、できれば、これからは「実施していること」と「実施を計画していること」を整理して、今後の訓練の考え方を説明して頂ければと思います。その枠組みを説明することは馬頭香椎事も承知していますので、少なくとも長崎大学の中で整理していただくことをお願いしておきますというので、1つ目の質問でした。
2つ目は、今日オブザーバーで行政の方も来ていらっしゃいますけども、行政と大学の関係で、ぜひ一緒に力を合わせて、いわゆる「長崎を守る」活動をやっていただきたいというお願いです。なぜこういうことを言っているかというと、実は安全に関しては行政の場合は事業者を指導するという立場も一方であって、ある種の事業者からすると、やっぱり御指導に対してはできていますという構造の返答が一般的にとても多いんですね。ところが危機管理をやろうとすると、どれだけ危ないという情報が行政にちゃんと伝わっているかによって行政の準備状況が違ってくるんです。長崎大学から、「大丈夫です」、「こういうことは起こりません」という情報しか出てこないと行政は対応の準備できないんですね。
そういう意味で、実は行政の立場で難しいことがあるというのは百も承知していますが、本当に地域を守ることを考えると、行政と長崎大学の中でいかに機微情報を共有できるかということがとても大事だと思います。地域を守るために、長崎大学だけじゃなくて、行政のほうも、安全に必要な情報を早く共有する事の重要性を確認して頂きたい。これらの活動も地域安全を考える上で、これも新しい試みになると思います。これも今までなかった施設を運営する地域として重要な観点だと思いますので、よろしく願いします。これに関して何か御意見ございましたらお伺いしておきたいんですが、いかがでしょうか。
【笹川主査】 いかがでしょうか。大変大事な点だと思いますね。今まで長崎県の中ではなかった初めての施設ということで、唯一あるとすれば、感染研、国立感染症研究所の村山庁舎のBSL4、私も地域連絡協議会で毎回オブザーバーとして出ておりますけれども、やはりそういうふうな議論というのは、双方がそれぞれ新しい課題に向けて取り組んでいくと。分からないときには外国の事例その他を参考にしながら進めていくというのが1つのやり方であろうかと思いますが、この点に関しましていかがでしょうか。中嶋先生あるいはほかの方でも結構ですが、大変大事な点を御指摘いただいていると思います。
【長崎大学】 野口先生、非常に難しい視点、お話しいただいてありがとうございます。機微情報の共有というのは、私どもも、対応いただく例えば消防とか警察とどのような関係でやっていったらいいんだろうというところで、これまでも実は悩みながら考えてきたところでございます。
その一助としては、やはり連絡はいつも取れるような形で、そして、日本的な考えかもしれないんですけども、お互いの顔が分かるような形で、やっぱり適宜面会をして、そしていろいろな状況を話させていただいていくというのが、まずは我々、地元の行政当局とできる対応かなということで、先ほど御案内したような、一部の写真でございましたが、回数を重ねているところでございます。
その上で、難しいこと、もう少しこういったことができないのかという、それからこういったことはどうしたらいいんでしょうということを相談できるような体制というのも構築していけたらなと。まさにそれが先生が言われた力を合わせてやっていくということにつながっていくのかなと考えた次第です。ありがとうございます。
【野口委員】 すいません、よろしくお願いします。非常に難しいことは百も承知なんですが、やっぱりこれも含めて、国を挙げての新しい関係づくりだと思いますので、よろしくお願いします。
ちょっと長くなって、すみません。最後になりますが、もう一つ心配しているのは、今の時代は、いろんな情報が発信される状況、例えばフェイクニュースが画像つきで出されるみたいな非常に危ない状況になってきています。こういうときに守り手として非常に難しいのは、「起きていません」とか、「そういうことはありません」ということを証明するのが実は結構難しいことだと思います。「ある」ということは1つの事例があるといいんですけど、ないということを証明するというのは、ある種の悪魔の証明みたいなところがあって、非常に難しいのはご承知の通りです。特に今後、全く長崎大学には瑕疵がなくても、間違った情報が出てくることで地域が不安になるという可能性はあって、この対応というのも、行政の方とよく相談しながら、正しいことで情報で地域の混乱の可能性を抑え込んでいく必要があります。抑え込んでいくというと言葉悪いですかね。正しい情報をちゃんと発信して、変な情報に惑わされないようにする仕組みというのはこれからのSNS社会では非常に重要になってくると思っています。
こういう話はいろんなところで議論始まっていますけど、今までの防災のときにはあんまり議論されてないような話もありますので、よろしくお願いしますというお願いで、私の意見ないし質問は終わらせていただきます。
【笹川主査】 野口先生、ありがとうございました。一番最後の先生の御指摘の点は、これから別にBSL4施設だけではなく、大学そのものとか、いろんな、企業も含めて、SNS社会での正しい情報の担保の仕方、あるいはフェイクニュースに対する対応の仕方、そういうふうなまた新しい情報管理というんでしょうか、あるいはきちんとした倫理に基づく判断、そういうものというのは、これから特に、日本はまだほかの国と比べますと、物理的に海に囲まれていますので、いろんな意味でやらなくても済んだ部分がございますけれども、これからはそういうことを飛び越していろんな情報が入ってまいりますので、先ほど言いましたサイバーセキュリティも、国内だけではなくて、海外からも攻撃されるというようなことがやはり想定されますので、これに関しましては、また先生の御専門の立場から、また御指導、御助言を引き続きお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。
ほかの先生いかがでしょうか、これに関しまして、ほかの視座から御指摘その他をいただければ大変ありがたく存じますが、よろしいでしょうか。
【野呂委員】 すみません、野呂でございます。よろしいでしょうか。
【笹川主査】 どうぞお願いいたします。野呂先生、どうぞ。
【野呂委員】 ありがとうございます。長崎大学の皆様、どうも御説明ありがとうございました。また、神田委員、野口委員の御質問、コメント等にもありましたけれども、セキュリティに関しまして、今現在、ソフト面、またハード面で非常に対策しっかりなさっていて、既に運用も始まっているとお聞きして、大変すばらしいなと思っている次第です。
1点確認させていただきたいんですが、先ほど少し表紙と目次を見せていただきました災害対応計画なんですが、セキュリティ事案への対応というのはここには含まず、別にマニュアルを制定すると、そういうことでございましょうか、ちょっと確認させてください。
【長崎大学】 長崎大学、中嶋のほうから回答させていただきます。セキュリティ事案のところ、今回の警察等の盗取等の事故に関わる対応マニュアルのところでは、感染症法に基づいて、我々、守らなくてはいけないものが実は病原体でございます。病原体のそのものの盗取とか、それから紛失とか、それから病原体に関わる情報の漏えいとか、場所がどこだとか、我々が最も法律に基づいてやらなくてはいけないセキュリティのところになっております。それについてどういう対応をしていこうかということを、体制、それから連絡体制というのが、このマニュアルで、長崎県警と連絡、そして、そのほかの官庁との連絡を書いてあるようなものでございます。
先ほどの情報セキュリティの話等については、特にここで具体的に何か書いているということではなくて、既に設計・施工した図面等でそういった考え方に基づいて施行されているというところで、ちょっと今日御案内のところには含まれていないということで、御了解いただければと思います。
【野呂委員】 ありがとうございます。質問した意図としましては、自然災害ではない事故が起きたときに、それが果たして事故なのか、それとも人為的に悪意を持って起こされたものなのか、初期段階で判断するというのは非常に難しく、事故を装って、陽動して、その隙にセキュリティ事案を起こすというようなもの、ハイブリッド攻撃というようなものも考えられますので、安全対策とセキュリティ対策のインターフェース、関係性の重要性というのは原子力分野でも強く言われております。
ですので、対応計画が複数あるのであれば、それは別に問題ないとは思いますが、合同訓練、セキュリティ事案と安全事案が混在しているようなハイブリッド型の訓練というのを今後やっていかれるのもいいのではと思った次第でございます。もしも既に御計画があるのでしたら失礼いたしました。
私からは以上でございます。
【笹川主査】 ありがとうございました。大変また重要な点を御指摘いただきまして、ハイブリッド型の攻撃ですね、事故なのか、あるいは意図的なものが含まれているのかという、そういう判断というのも非常に大事な場面があるかと思います。むしろ後者のほうが対応は難しいのではないかと私も感じておりますけれども、その辺は、中嶋さん、いかがでしょうか。やはりそれはもう既に感染研のBSL4のときも、私、ちょっと伺っておりますけれども、やっぱりその点は非常に一番懸念されるところだったと思いますけれども、その辺、もし何かお考えございましたら、簡単で結構でございますので、御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか、中嶋先生。
【長崎大学】 野呂先生からの御示唆に対してお答えさせていただきます。ハイブリッド型の攻撃の今後の対応の重要性、御教示いただきまして、ありがとうございます。我々、病原体に対して、先ほど言ったように、病原体を取られない、悪さをされないように守るということとともに、病原体に曝露をしないということはやはり非常に重要で、その両面から、よくバイオリスク管理対策、セキュリティとセーフティーが両面での対応が必要だということ。近年、特に生物テロなんかで起きたあと言われるようになって、我々もバイオリスク管理ということをどういうふうに実現をしていったらいいのかというのを考えているところです。
ただ、委員御指摘の合同訓練をするというふうなところまで、ちょっとまだ考えがいってないというか、まだそこまで準備ができてないので、そういったことはやっていかなくちゃいけないんじゃないかなということは考えている次第です。ありがとうございます。
【笹川主査】 ありがとうございます。
野呂先生、よろしいでしょうか。
【野呂委員】 結構でございます。ありがとうございます。
【笹川主査】 貴重な御意見ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
【西條委員】 西條です。
【笹川主査】 西條先生、どうぞ。
【西條委員】 よろしくお願いします。私のほうからは、BSL4の指定を受けて、これから病原体を所持し、研究が始まっていく、そういった段階になってきているので、確認を含めて3点ほどお聞きしたいと思います。
私自身は病原体を取り扱う上で最も重要なものの1つとして、病原体の取扱いとその管理状況の記録、インベントリだと思っておりまして、こちらについてはどのような形で管理していくのかということを簡単にでも計画を教えていただきたいということと、第2点目は、BSL4の病原体を取り扱う、この密閉された環境での仕事をする研究者においては、たくさん重要なことはあるんですけれども、その1つは、そういった中で仕事をする人の健康管理の在り方、これはBSL4施設で働く方にとって特異的な評価の仕方が必要ではないかと思っておりまして、これについてどのような対策が講じられる予定なのか。
第3点目は、BSL4施設で働く方々は、長崎大学の職員だけではなくて、海外も含めて外の研究機関の方々も働くと思いますけれども、そういった方々のクオリフィケーションですかね、評価、認定、基本的な考え方を教えていただければありがたいと思います。
以上3点、よろしくお願いします。
【笹川主査】 ありがとうございました。これに関してはいかがでしょうか。
【長崎大学】 それでは中嶋の方から 回答させていただきます。
【笹川主査】 中嶋先生どうぞ。
【長崎大学】 西條委員、御質問ありがとうございます。1つ目の病原体の取扱い、記録、その管理というところでございますが、我々、特にアメリカのBSL4実験室などで行われているような、ウイルスを入れるバイアルの単位で一本一本、2次元バーコード、1次元バーコードという形で扱っていくということを考えております。
これを基本にインベントリとして、記録として保管ということをやっていこうと考えています。
あまり日本国内では、ウイルス研究においてそこまでやっているところはもしかしたらないもしくは少ないかもしれないんですが、既に、例えば抗ウイルス薬、抗菌薬の開発などでは、そういった候補物質など、管理、膨大な数になる場合などは、もう既にバーコード、電子番号で管理されておりますので、アメリカもそういった流れの中でウイルスについてもそういった形で導入されておりますので、そのようなことも参考にして、我々、今、システムは構築して、その実用、運用に向けて進めているところでございます。
それから2点目、研究者の健康管理の在り方、ここも非常に重要なポイントだと我々も考えております。我々、大学、センターで作った規則の中で、先ほど少しお話しさせていただきましたけれども、研究者、BSL4実験室に入る者ですが、健康診断、通常の健康診断に加えて、メンタルヘルスチェック、年に、回数をここで申し上げるのはあれなんですが、片手の複数回は行うという形で、これも既に昨年度から始めております。それから、アルコールチェックも含んだ形にしているということで行っております。
あとはまだ病原体が入って扱っているところではないんですけども、出勤体制などでも、無断欠勤があったりとか、そういったことも報告対象にするなどのことも規則の中で盛り込ませていただいているところでございます。
3点目の特に大学職員ではない、外部の研究者の取扱いになりますけれども、そういった方は、客員研究員扱いという形で、特に実験棟の客員研究員という形で特別なステータスを与えて、そして大学の職員と同等の確認、先ほど言いました健康、それからバックグラウンド、それから教育訓練、これを行った者以外の者は中には入ることができないような仕組みを構築しております。最終的には学長、法律上の病原体等所持者になりますが、その者が確認した者ではないと、当然その前にはバイオリスク管理委員会で確認を行うんですけども、入れないというような形で、大学職員と、仮に外部の者を認めるとしても、同等性で評価をしていこうと考えて、既にそういった要項などもつくっているところであります。
【長崎大学】 森内のほうから少しだけ補足をさせていただきます。
【笹川主査】 どうぞ。
【長崎大学】 2点目の研究者の健康管理、非常に重要な御指摘ありがとうございました。先ほど御説明いたしましたことに加えてですけれども、当然健康面、特にメンタルヘルスも含めた健康面というのは非常に重要な、そして個人情報でもありますので、センター長の私のほうで結果を逐一確認させていただき、OKをもらった場合でも、少し気になる点が記載されてあれば、直接担当した保健センターの医師に私自身も面談して、どういう点がちょっと問題になり得るかということとかを確認し、必要に応じて当の本人とも面談をするような形を取るようにさせていただいております。
それから実際に病原体を扱うようになってきた後では、いろんなその他の健康チェックを毎日確実にやっていく必要が出ると思います。ちょうどCOVID-19のパンデミックの間には大学病院職員などは毎日健康チェックとかを入力しないといけなかったということありますけれども、何かそれに準ずるようなシステムを含めて、日々の健康管理ということもきちんとやっていこうかなと思っております。
それから、最後の学外、それからさらには海外の研究者に関することでも、当然これはナショナルセンターとして開かれたものであるということがミッションとなっておりますけれども、同時に、地域の方々がどんどんどんどん次から次に外の人が入って病原体を扱うということについての不安とか懸念も示されておりますので、そこのバランスをきちんと取って、少なくとも当座は、長崎大学にも、クロスアポイントメントであれ、いろんな形で、ここの職員と同じようなトレーニングをしっかり受けて、ここの職員としての肩書がある人として実験を行うというところがスタートになっていくだろうと思っています。
それ以降の経過はまた順次、状況を見ながら、そして地域住民の御理解を得ていきながら進めていきたいと思っております。
以上です。
【笹川主査】 ありがとうございました。
西條先生、よろしいですか。
【西條委員】 ありがとうございます。あともう一つお願いします。
【笹川主査】 手短にお願いいたします。
【西條委員】 ええ。安田先生の研究のところの説明ありがとうございました。まさしくおっしゃるとおり、日本ではBSL4病原体の研究等がなかなかできなかった状況なので、発展させていってほしいと思います。
安田先生自身もアフリカ等でお仕事をされていることも存じ上げているので、アジアも含めて、高病原性病原体の感染症の新規ウイルス感染症の流行とか起こっておりますので、グローバルな視点で研究が進むこと、これも期待しております。
以上です。
【笹川主査】 ありがとうございました。
私のほうからちょっと1つだけ、意見を1つだけ、ちょっと伺いたいんですが、健康管理の在り方で、実は私、東大の医科学研究所に昔おりまして、1980年代、HIVが流行したときに、この研究に携わる人は最初にプレ血清、血清をあらかじめとっておいて、感染、あるいは疑わしい、針刺し事故も含めて、陽性になったときに抗体価を見るというようなことをやっていたことをちょっと今急に思い出したんですが、こういう方法というのは、今はもう全く陳腐化されてあまり意味がないんでしょうかということを1つだけ伺いたいんですが、いかがでしょうか。
【長崎大学】 笹川先生、御質問ありがとうございます。血清保存については、長崎大学の学内の規則で義務づけをしております。
【笹川主査】 ああ、そうですか。
【長崎大学】 国立感染症研究所の安全管理規則なども参考にさせていただきながら、そういったものにも明示されていたりとか、WHOの基準にもあったりとかするので、私どもはそれで今現在既に行っております。
以上でございます。
【笹川主査】 ありがとうございます。よかったです。
ほかの先生いかがでしょうか。何かございますでしょうか。
ないようであれば、次に、最後の課題ですか、4番、地域における理解の促進に向けた取組につきまして、御説明をお願いいたします。資料4でございますね。
【長崎大学】 リエゾン推進室の渡邊より御説明を申し上げます。まず、ページ番号19ページから御説明します。
私どもの地域連絡協議会というもの、これまでも説明してまいりましたと思いますが、開催をしております。
BSL4施設の運用状況について、地域住民の方々の安全・安心の確保のための地域連絡協議会ということで、実際報告している内容として、BSL4施設の運用状況、それから安全対策、それから災害対策等、先ほどの議題で御説明申し上げたような内容ですけれども、それらについて適時に情報共有を行うことで、近隣自治会の自治会長さん等の方々から、それに対して併せて御意見をいただく場として大変重要な会合であると捉えております。
19ページに構成員を列挙させていただいております。先ほど申し上げた近隣自治会の自治会長の方々も含めた地域住民の方のほかに長崎県庁、市役所の関係する部署の方、それから学識経験者、専門家及び長崎大学の私どものセンターの教員から構成されてございます。
1枚おめくりいただきまして、20ページのほうですけれども、非常にビジーな資料で申し訳ございません。これまで多数回、連絡協議会を開催してございますが、それらを履歴として列挙させていただいていますが、詳細については割愛させていただきます。
もう1枚めくっていただきまして、ページ21ページ、令和5年度から既に6回開催しているということで、本日は令和6年度に既に開催している3回分の地域連絡協議会において、議事及び委員とのやり取りをかいつまんで御紹介したいと思います。
既に3回実施しておりますが、3回のうち1回は、先般指定を受けましたことを踏まえ、速やかに地域住民の方々に御報告をするために臨時で開催をしたものでございます。1月28日でございます。今年度はあと1回開催を予定しております。当初、2月5日に最後の会合を開催する予定でございましたが、大雪等の情報がございまして、来場者の安全を考慮いたしまして、これを延期いたしまして、3月の下旬に今年度最後の会合を開催する予定でございます。
それでは、その下の表の部分をかいつまんで御説明させていただきます。6月3日の第4回会合でございます。教育訓練を実施しておりますというような御報告を申し上げたことに対して、例えば、左上カラムの4ポツ目ですね。一時立入者、これ、メンテナンス業者等でございますが、こういう方々は実験棟内でのいろいろな活動について慣れていない可能性があるので、教育訓練がなあなあにならないようにきちんとしてほしいという御意見を頂戴いたしました。
それに対して、教育訓練はしっかり行いますということに併せて、業者が立ち入る際は、大学職員が同行することで、きちっと活動ができるように措置しておりますとお答えしております。
それからその下のカラムですけれども、安全管理基準を制定しました。既にこの会合に先立って安全管理規則を設定してございましたが、この規則の下位規程に相当するより具体的な事項を規定した基準を制定したという報告を申し上げました。
安全管理規則及び基準の制定に当たりましては、まさにこの協議会の場で、地域住民、住民委員の方々から多くの御要望をいただき、それを盛り込む形で修正をした上で制定をしてございます。そういう経緯もございまして、その右側のカラムにありますように、やっとここまでたどり着いた、私たちの要望を盛り込んでいただき感謝したいというようなコメントをいただいたわけですが、それにプラスして、当然のことながら、安全管理はこれで終わりではなく、住民の疑問や不安はまだまだ払拭されてないことを肝に銘じてほしいというようなコメントを頂戴いたしまして、我々としても心持ちを新たにしたところでございます。
一番下のカラムですけれども、実験棟における緊急事態、健康障害ということで、例えば3ポツ目に、実験棟内で研究者が曝露またはけがにより健康障害が生じた場合について記載しております。こういう事態に対して、大学病院と打合せを実施いたしましたという報告を申し上げたところ、右側のカラムにありますように、例えば大学病院では危険な病原体を曝露した者を受け入れることができるような体制になっているのか、そういう病室を準備しているのかという御質問を頂戴いたしました。
それに対しまして、長崎大学病院では、第一種感染症病床がございまして、BSL4施設で万が一曝露したような方が発生した場合でも対応ができるような体制になってございますという回答を申し上げております。
1枚めくっていただきまして、22ページ、一番上のカラムでございますが、長崎市の地域防災計画に、BSL4施設に係る事故・災害対策について、特出し的に追加をいたしますという報告を申し上げました。これ、追加のタイミングとしては、実際には指定を受けたタイミングでということでございますが、これもこの協議会の場で住民委員の方から強い御要望があって実現したという経緯もございまして、何年も要望してきたが、やっと策定されてほっとした等々の評価をいただいたということでございます。
ここまでが第4回で次が10月の第5回会合です。
教育訓練について御報告申し上げたところ、右側のカラムの2ポツ目ですけれども、現在の教育訓練は講師も受講者も長崎大学の者だけであり、他大学の者は入っていないということかという御質問を受けましたけれども、これに対しては、現時点ではそのとおりであるとお答え申し上げています。
それからその下のカラムで、実験棟の運用に向けた対応状況ということで、ステップ1、2、3と順番に進む見込みであると。この時点ではまだステップ3に進んでいませんけれども、ステップ2の段階で、弱毒性の病原体等を用いる予定であるということを申し上げた。
それに対しまして、例えば右側のカラムの1ポツのように、所持しようとしている特定一種病原体等は決まっているのかという指摘があり、これについては、先般指定をいただいたときに明記されております、エボラウイルス、ラッサウイルス等、現時点では5種類の病原体を想定していますというようなことをお答え申し上げました。
また、ステップ2の検証・慣熟運転で不具合等について問われたことに対しましては、まさに慣熟でございますので、計画どおり作動しなかった、動作できなかったという場合もございますが、その場合について、課題等については一つ一つ検証し、解決をしてきたところでございますとお答えを申し上げました。
さらにもう1枚めくっていただきまして、23ページの一番上のカラムでございますが、災害等対応計画の策定に向けた準備を進めていることを報告申し上げました。
それに対して右側のカラムで、例えば長崎の土地柄を考えたときは、台風とか水害が心配ですねと。特に水が来るという場合、電源喪失が怖いのではないかというような意見等をいただきました。
それに対しましては、災害対応計画においては、台風や水害もその他の災害というカテゴリーにちゃんと含まれておりまして、基本的には火災とか地震とある程度同じ対応を取る想定で動くことにしております。
特に電源対策については、実際に冗長性を持たせ、系統を複数持つとか、冗長性を持たせていること等によって取れる対策は既に取っているところですとお答えを申し上げております。
それから、次が1月28日、これはまさに指定がなされた直後に臨時で開催をさせていただいた会合でございまして、これは指定がなされたタイミングで、28日に集まっていただきます、お願いしますと連絡をして、かなり多くの方に集まっていただいたところでございます。
議題としては、指定を受けましたという報告のみでございますので、50分程度の開催時間でございましたけれども、委員の方からはそれぞれコメントをいただいています。
この会合は、冒頭、議長である森内センター長より、指定を受けたことについての所感といいますか、挨拶を述べておりまして、具体的には、これまでの審査等の経緯、それから、大学として栄誉であると受け止めているが、それ以上に責任の重さを痛感しているというような挨拶を申し上げ、そのところまで、その部分までプレスに公開をするという対応を取っております。
ですので、その挨拶を述べている部分が、新聞等の写真に撮られ、テレビ局のビデオに撮られたというようなことが実際にはなされております。次の24ページの真ん中の写真、それがその挨拶の模様でございます。
23ページに戻っていただけますでしょうか。大学のほうから、先ほど申し上げたとおり、指定に至るまでの書類審査、現地確認等、それから政令が改正されたということ等々の指定までの経緯を御報告申し上げました。
これに対して、特に住民委員の方々からはいろいろなある意味感慨のこもったコメントを頂戴いたしました。例えば3ポツ目、いよいよこの日が来たということで、地域住民からのこれまでの5つの要望、安全対策と危機管理、実験情報の開示、事故発生時の住民への伝達手段、軍事的な研究はしない、それから、地域防災計画へ追加するということに対応していただいたことは安心材料であるとコメントいただきました。
ただ、ここでも、その後に書いてある、大学は責任を持って安全に管理すること、住民との約束を守ること、国は厳しく管理することを約束していただきたい。それから次のポツですが、非常に高度な安全を担保し、ディスクロージャーを行い、地域住民が安心して見守れるようにしてほしいとご意見いただきました。
それから、1つめくっていただきまして、24ページの3ポツ目、まさにこれ象徴的なコメントでありますが、大学には兜の緒を締めてほしい。地域住民が声を上げることが大学に気の緩みを生じさせないことになると思うので、もっともっと今後も言いたいことを言っていただきたいというようなコメントもございまして、特に戒めということは重要だと我々として受けとめてございます。
ここまでで地域連絡協議会の説明とさせていただいて、次、25ページ見ていただけますでしょうか。ここからは主にアウトリーチ活動の状況について御説明をいたします。
まず①番ですけれども、刊行物といたしまして、地域広報誌として「感染症ニュース」というのを大体年に3回ぐらいの頻度で発行してございます。
これは、そこに表紙画像を列挙しておりますけれども、表の部分ではセンターの研究者の方の研究活動を紹介するという誌面のつくりになっていますが、これ、内側のページを開きますと、直近の地域連絡協議会における、特に住民委員の方々とのやり取りというのを概略としてまとめてございまして、1つは、地域連絡協議会には、自治会長等、代表者の方が出席されておられるわけですけれども、実際誰でも傍聴はできるのですが、実際来られていない方々の方が多いわけでありますので、そういう方々に協議会での議論の模様をお伝えするところが重要な役割でございます。
ですので、これ、紙媒体で7,000部発行してございますけれども、うち4,000部は隣接する6自治会の地域に戸別に配布をしているところでございます。
また、②番ですが、市民向け公開講座ということで、大体年に2回ぐらいの頻度で講演会を開催してございます。参加形態といたしましては、会場参加として大体30名ぐらいの方を受け入れて、オンラインでさらに200名ぐらいの方が参加ということで、幅広い方に参加いただいているんですが、会場参加の30名というのは、中学生、高校生を優先するというような形にしている場合が多くて、市民向けですが、やや若い方向けの講演会として設定させていただいています。
ですので、講演の内容も、単に研究の内容を述べるだけではなくて、なぜ研究者を目指したのかというような、研究者、講演者のキャリア面の話を盛り込むことによって、若い方が自分の進路を考える上での参考にしてもらおうということを意図してございます。
今年度の2回目、来月ですけれども、当センターの森内センター長が講演をする予定です。
それから、めくっていただきまして、26ページ、そのほかのアウトリーチ活動といたしまして、例えば、長崎大学が熱帯医学研究所と共同でサマースクールを夏休み期間に開催し、当センターとしては、講演を1つ行うとともに、ポスターセッション的なものとして、実際には陽圧防護服の実物等を展示して来場者に御説明をするというような催しでございます。
それから、その下のポツで、9月24日に長崎南高等学校でサイエンス講座という形で、要は出前授業的なものでございます。高校1年生のクラスにお邪魔をいたしまして、講義プラス実習を行うということを実施してございます。
これは講義だけではなくて実習がついているところが重要でありまして、やはりいろいろ物を触って体験するということに非常に強い興味を示していただけますので、その横に4つ並べています写真の右上とかですと、手袋をはめているところなんですけれども、陽圧防護服で実験をする場合には、手袋を3つ重ねてはめた状態で実験をすることになります。それを実物の手袋を実際に三重にはめて、どれぐらい指先が不自由になるかということを体験していただくというようなことをやって、事後の御感想をいただいたときでも、これについては大きな反響がございました。
それから、その下、④ですが、地域の商店街等のイベントに参加をしてお手伝いをするということも行っています。
私からの説明は以上でございます。
【笹川主査】 どうもありがとうございます。大変詳しい説明いただきました。地域連携とアウトリーチ活動、その他ということでございます。
これに関しまして、御質問、御意見等ございましたらお受けいたします。いかがでしょうか。
【野口委員】 野口ですが、よろしゅうございましょうか。
【笹川主査】 どうぞ。
【野口委員】 ありがとうございます。いろんなことやっていただいてすごいなあと思いながら聞いていたんですが、地域理解という言葉があるんですけど、地域理解って2つの意味があって、「地域に理解してもらう」ということと「地域を理解する」という2つのことが必要だと思うんですね。これまで、別に長崎大学に限らず、いろんな事業者がやってきたのは、地域に理解してもらう活動ですが、地域を理解する活動というのが実は意外とできてなかった可能性があるなあと思っています。
リスクというのは影響を与える者と影響を受ける者の相互関係なので、実は影響を受ける者の知識や視点がとっても大事なんですね。これからもし可能であれば、地域理解活動の中に地域を理解する活動を少し増やしていただければというのがお願いです。
昔は安全と安心の視点って仲が悪かったんですよ。安全は、科学技術の視点で客観的事実に基づいて判断しているので、安心というのは、「何となく不安だ」みたいな感じでぶつけられても困るという意見もありました。しかし、最近随分変わってきまして、安全という捉え方の問題が見えてきて、「科学的事実」とか「客観性」とか「専門性」で見るがゆえに見えないものがあるということが分かってきました。実は不安というのはそこを穴埋めしてくれる重要な情報ではないかという議論が今始まっているんですね。
そういう意味で、専門性や、客観的事実とか定量評価をするという過去のデータで見るがゆえに、見落とす視点を不安というのは教えてくれている可能性があるということです。幅広く可能性を追求するという立場から見ると、やっぱり色々な意見を傾聴しながら、検討すべき問題に対して本当に見落としの隙間を埋めてくれる情報ではないのかという視点を持つことが大事なような気がしています。
そういう意味で、地域を理解するという観点もお願いできればというのが私からの意見でございます。
以上です。
【笹川主査】 ありがとうございました。大変重要な点かと思います。地域を理解する、不安が何かということが、実際に住民が知りたいことを訴えているという一つの指標になるのではないかということで、なかなか、ともすればこの視点が抜けてしまうということでございますので、これに関してはいかがでしょうか。大学のほうで、長崎大学のほうで御意見ございましたら伺います。
【長崎大学】 センター長の森内から。地域連絡協議会の議長を務めておりますので、その都度、地域の代表の方々とお話をしていくことになりますが、私たちも、上から目線で、専門家の目線で安全だ、安全だと言っても地域の方は安心感得られないということは重々承知をして、でも、専門家はついつい学術的な面でこれが安全だということを思って説明しがちなので、私たちにはない視点、地域の方々を代表して、そういう視点で、こういったことがやっぱり心配なんだからということを伝えてほしいということをいつも促して、積極的に発言していただくようにしております。
ですので、野口委員がおっしゃることは全くそのとおりだと思いますので、地域を理解するということを今後も今まで以上にしっかりと踏まえていきたいと思っております。ありがとうございました。
【野口委員】 ありがとうございました。
【笹川主査】 大変いいディスカッションができたと思います。野口先生、ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。
よろしいですか。
もしなければ、本日の課題は以上でございますので、最後に事務局のほうから連絡事項の共有をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
秋野さんですか。
【秋野企画官】 事務局、秋野でございます。
次回の開催についてでございます。長崎大学における取組を踏まえまして、主査と相談の上、適宜開催の予定でございます。年に1回から2回程度の頻度での開催になると思われますが、確定次第、御連絡いたしますので、委員の皆様におかれましては引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【笹川主査】 ありがとうございました。
それでは、第13回の長崎大学高度安全実験施設に係る監理委員会を終了させていただきます。
今日、委員の先生方、大変忌憚のない意見をいただきまして、大変ありがとうございます。
また、長崎大学の方々、あるいは関係者の方々にも、資料その他御準備をいただきまして、この委員会を代表しまして心より御礼を申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
研究振興局 研究振興戦略官付