個体特定(遺骨の一体化)に係る基本的な考え方

平成29年3月23日
大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた手続き等に関する検討会


 アイヌの人々による尊厳ある慰霊の実現を希求し、現在、大学において保管されている個体特定がなされていない遺骨について、専門的知見を活用し、積極的に遺骨の一体化に向けた努力を行う必要がある。
その際、誤った遺骨の一体化や遺骨の一部損傷を伴うDNA鑑定技術の活用を事前の十分な検討や確認なしに行うことは遺骨の尊厳を損ねてしまうということに十分留意する必要がある。
このような方針の下、遺骨の一体化については、以下のように進めることを基本とする。


【一体化の対象】
○ 個体が特定されていない遺骨について、記録上、具体的な出土地、帰属年代、性別等(以下、「出土地等」という。)により、同一の個体である可能性がある 遺骨群を特定し、一体化の確認対象とする。

○ 同一個体の遺骨が異なる大学に保管されている可能性も否定できないことから、他大学の遺骨についても、記録上、同一の個体である可能性の有無を検討する。


【一体化のプロセス】
○ 遺骨をできる限り保全するため、まず、骨学的に同一の個体のものであるかどうかを優先して確認する。

○ この結果、骨学的には同一の個体のものであるかどうかを必ずしも判定しきれない遺骨に関し、DNA鑑定技術を活用することを検討する。
※ その際、対象となる遺骨の保存状態(時間の経過によるDNAの損壊や遺骨が小片等によりDNA抽出が困難なものがある等)により、結果として判定できないこと がありうることを考慮に入れて検討を行う。


【一体化の実施スケジュール・体制】
○ 一体化作業を進めるにあたり、各大学間の密接な連携を確保するため、関係大学間の情報交換の場において速やかに協議を開始し、一体化作業の前提となるデータ整理の着手とともに、作業の過程の検討を行うことが強く望まれる。

○ 一体化作業については、関係大学間での統一性を確保するため、アイヌの遺骨の骨学的一体化作業に知見を有する大学及び知見を有する専門家の協力の下に、当該大学で行われた作業と同様の作業を統一的に行うものとする。

○ アイヌ政策推進会議の方針において、慰霊施設の完成が平成31年度とされていることを踏まえ、それまでの期間を活用して、原則として各大学において一体化作業を行い、慰霊施設に集約するまでに一体化作業を終えるものとする。


【一体化の進捗管理】
○ 各大学における一体化作業の進捗状況については、適時文部科学省において各大学から報告を求めるものとする。

○ 特定遺骨の返還と同様に、実際に一体化作業を進めていくにあたり、本検討会において想定していなかった事態や課題が生じた際等は、文部科学省において適切な検討を行う。

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