特定高速電子計算機施設(スーパーコンピュータ「京」)に係る評価委員会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成28年6月28日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 5階 5F3会議室

3.出席者

委員

(委員)
髙井主査,伊藤委員,工藤委員,田中委員,福山委員,藤井委員,山田委員,横山委員,吉田委員
(説明者)
高度情報科学技術研究機構(RIST) 関理事長,平山センター長

文部科学省

小松振興局長,板倉審議官,榎本参事官,工藤計算科学技術推進室長,阿部参事官補佐

オブザーバー

理化学研究所計算科学研究機構(AICS) 宇川副機構長
HPCI戦略プログラム推進委員会 土居プログラムマネージャー

4.議事要旨

(1)「京」の総合的な中間検証について
高度情報科学技術研究機構より資料1-1,1-2に基づき説明。質疑応答は以下の通り。


【髙井主査】  私からちょっと質問させていただきたいんですけれども,新規の利用者の数のデータというのはよく分かったんですけれども,新規の利用者層と,それから,旧来の利用者層の間の関係といいましょうか,つまり,同じ研究室あるいは小さなコミュニティの中で世代交代が進んでいるとか,そういうような分析はまだ多分されていないと思うんですけれども,そういうものも分かると面白いかなと思ったんですが,いかがですか。
【平山センター長】  全てのデータはそろっておりますので,そういう視点で分析することはもちろん可能でございます。ただ,200課題で200名程度の新規利用者ということですから,多くても1課題当たり2名あるいは3名というような新規の方の参加というレベルでございますので,なかなか系統的なところまで言えるかどうかはちょっと分かりません。

「京」の総合的な中間検証(中間報告案)について,資料1-3に基づき事務局から説明。質疑応答は以下の通り。


【工藤委員】  前回出席できなかったので,いきなりコメントさせていただいて恐縮なんですけれども,これを拝見して,素人のというか,あんまりこういう専門ではない方が読んだというつもりになって見た場合に1つ分かりにくい点として,シミュレーションという言葉と,計算あるいは数値計算という言葉と,アプリケーションという言葉の関係が余りきちんと定義されておらず,何を指しているのかよく分からないのではないかという危惧をちょっと抱きました。同時に,アプリケーションという言葉が,アプリケーションプログラム,アルゴリズム,ソフトウェアといったようなものを全て代表する言葉として使われているように感じます。
アプリケーションという言葉をそのまま訳すと応用ということになるはずなのに,プログラムのことを指してアプリケーションと呼んでいるものがかなり多いのではないかと。特にちょっと危険だと思ったのは,4ページの「はじめに」という部分の3つ目のポチのところで,「このようなスーパーコンピュータの能力・構成を用いた大規模計算を実行できるアプリケーションが無いことも予見されていた」というふうに書くと,応用がないことが予見されていたのではないかというふうに読めてしまうということで,ちょっと危険なのではないかと思いました。以上です。
【工藤計算科学技術推進室長】  ありがとうございます。
【髙井主査】  確かにそのとおりだと思います。
【工藤計算科学技術推進室長】  確かにそうですね。余り疑問を持ってないまま書いてしまっている。
【髙井主査】  確かにこういう言葉は専門家だとふっと理解してしまうんですけれども,こういう文書が広く一般に回っていくと,やはり意味の解釈の捉え方が基本違ってくると思うので,これ,用語集というような形で後ろに付けることは可能なんでしょうか。
【工藤計算科学技術推進室長】  ちょっと整理させていただきたいと思います。
【山田委員】  ちょっと読ませていただいて分かりづらいところを指摘させていただきたいんです。6ページのマル1のところ,これを読んでいくと,私にはなかなかすんなりと入っていかない。「流体力学,基礎物理,海洋地球科学等といった,それまでのスーパーコンピュータがターゲットとしてきた数値計算の対象分野が,ライフサイエンス,ナノテクノロジー等に拡大しており,広範な利用ニーズと計算資源量の需要増に応えることが必要」という,これは結局は何を言っているんでしょうかというのが,私の知識が乏しいためによく分からなかったんですが。
【工藤計算科学技術推進室長】  これは,間口としての分野の種類が増えているということと,それから,計算できる計算量,それを資源としてこれだけの資源量が必要という自体が,それも伸びていたと。分野も増えるし,必要とする計算量も増えていると,この2つを合わせて表現させていただいているところです。
【山田委員】  皆さんがそう理解されるのであれば,それで結構ですが,何となく……。
【工藤計算科学技術推進室長】  ちょっと考えます。
【山田委員】  やっぱりこういうようなものに慣れていない人が読むと,何となくうーんという感じが。
【藤井委員】  文章の話で恐縮なんですけれども,頭のところを中に持っていって,当初スーパーコンピュータがターゲットとしてきたこれこれの分野からこういうところに拡大しておりとやったら,もっと素直に読める気がするんですけれども,どうでしょうか。
【工藤計算科学技術推進室長】  やっぱり量と分野という2つの概念が2つ入っているので,そこが難しいかもしれないという。
【藤井委員】  そうなんでしょうね,多分。分野が広がったので,それだけじゃなくて量も必要になると,そういうことを言いたいんですね。
【山田委員】  スーパーコンピュータの意義のシミュレーションについて書かれているというのは,私,非常にいいと思ったんですが,ここの10ページのシミュレーションについてというところを見て,「シミュレーションは,対象となる現象で働く法則を測定・抽出し,その現象を模倣するモデルをコンピュータ上に構築することで」云々と書かれているんですが,この「対象となる現象で働く法則を測定・抽出」というのは,何が測定・抽出するんでしょうかという。
【工藤計算科学技術推進室長】  何が……,済みません,そちら自体は,これまでのサイエンスの実績ですね。
【山田委員】  実験とかそういうものが測定・抽出したものをということですよね。
【工藤計算科学技術推進室長】  そうです,はい。抽出したものを使っているという。
【山田委員】  使ってということですよね。だから,これはどういうものがこれを測定し,抽出するかということが書かれていないので……。
【工藤計算科学技術推進室長】  実験等ですかね。
【山田委員】  これ,実験科学とかその辺のところが入っていないと,シミュレーションが何かこういうものをやるようにもとられてしまう可能性はないのかなと,そういうふうに感じました。
【工藤計算科学技術推進室長】  文章として,それまでの実験科学がとか,そういう表現になるのかなと。
【髙井主査】  そうですね。主語を入れましょう。
【山田委員】  それからもう1点よろしいですか。ちょっと予習してきたので大分あるんですが,11ページのポスト「京」の科学への貢献というところで,「京」だと,「精度」と「サイズ・時間」という2つの軸を設定したということなんですが,ポスト「京」として,もう1つの軸として「統計上の精度向上・探索範囲の拡大(アンサンブル(複数同時並行計算)及びパラメータ(変数)の増加)」を加えてというふうに書かれているんですが,これもこういうものに余りなじみの薄い人は,第3番目の軸の内容がよく分からないんじゃないかと思いました。
【髙井主査】  私も同じところにちょっと疑問を感じていて,軸というと,何か直交していると思うんです。2つの軸が既に直交して,それと3次元方向に別の直交軸が新たにというふうに普通は理系の人間はそう考えるんですが,そうすると,精度とサイズが,これは直交するとして,それにもう1つの軸の統計上の精度向上って軸として直交するのかなというのがちょっとよく分からなくて。言葉のあやだとは思うんですが,何か別の,2つの軸,もう1つの軸じゃない表現の方がいいのかなというか,私,答えを持っていないんですけれども,何かいい表現があってもいいかなと思いました。
【工藤計算科学技術推進室長】  分かりました。そうですね,ちょっと難しい。中に書いてあること自体が分かりづらいというのは少し何か工夫したいと思うんですけれども,直交している概念ではないんですけれども,ほかの概念を援用して持ち込んできても,それぞれがやっぱり違う定義のものが重なっていってしまう。特に前2つについてはまだいいんですけれども,3つ目は,むしろモダリティーの違いがあるので,そこをやっぱり合わせると全く違う話が出てきてしまうので,表現はできれば軸ぐらいにしていただいた方が,X,Y,Z軸的なイメージを持っていただいた方が早いのかなとは思います。
基になっている絵がありまして,見て頂けると結構分かりやすいのが,「京」の段階のときはやっぱり精度,アキュラシーの軸と,他方,時間と,サイズとしてのレゾリューション,軸があって,それがやっぱり昨今としては拡大してきていると。その次に求められていくのは,ある種の統計処理的な,同時並行的に走らせた次の状態の中から一番あるべきものを見つけていくアンサンブルの軸じゃないかというのは話としてはずっとありますので,それを表現していくときにどこまで分かりやすくできるのかというのは当然,少し見直させていただければと思います。
【髙井主査】  座標軸のX,Y,Zの直交ではなくて,方向性ということだと思うんですね。
【工藤計算科学技術推進室長】  方向性,指向性の話なので。
【髙井主査】  指向性とかそういう方向だと思うんですけどね。
それでよろしいですか,山田委員。
【山田委員】  はい。
【吉田委員】  4ページ,先ほど説明していただいたのですけれども,説明の中にあったように,全体の背景と経過と,それから,成果が混じり合った文章になっているように思います。そう感じるのは私だけかもしれないんですけれども。この前の議論から期待していたのは,最初の4行で終わってしまっているバックグラウンドのところなんです。世界的視野から見て計算科学技術というのは今どんな現状にあって,その中で日本の立ち位置,位置付けがどうなっていて,だから,我々はこのプロジェクトをこう位置付けてやっているといった,プロジェクトの意義みたいなものをもう少し書き込んでいただきたい。そこから後は全部これ,経過説明ですよね。参考表でも良いくらいだと思います。。
先程申し上げたことについてもうちょっとボリュームを増やし書き込んでもらうと,僕のような素人が,ああ,なるほど,「京」,それから,HPCIに関しては,国際的な視野,それから,科学技術の時間軸,それから,分野軸,社会貢献度の中で,こういう位置付けでこういう課題を背負っている中で始まったプロジェクトなんだというのが非常に分かりやすくなり,その後の成果についても,なるほど,こういう成果を出しているのだと分かりやすくなるのではにかと思います。経過のところがちょっと長過ぎ,しかも最後に成果に関する記述も入ってしまっているので,もう少しこのプロジェクト全体の位置付けとか意義のところをしっかり書き込まれてはどうかというのが前回の議論から期待していたところです。
それから,全体的に,箇所を言い出すとちょっと切りがないのですが。個々の文章が長過ぎる。我々レポートを書くとき,無理やりでも,句読点でとにかく短く文を終わらせその上で、接続詞等で文をつなげていけと言われます。その点は工夫の余地があるんじゃないかと思います。
それからもう一つ,「期待されている」という言葉を使うことはまずありません。主語が絶対必要なんですね。我々が期待しているのか,誰かが期待しているのか。普通,期待するという言葉は,最初の評価に関する説明のところで使うときもあるのかもしれないけれども,普通はあまり使われないですね。書くときは主語を明確に,誰が何をどう期待しているのかということを明確に書かれた方がこういう文章としては良いのではないかと思います。
【髙井主査】  ありがとうございました。全体的にわたっての御意見かと思います。
【工藤計算科学技術推進室長】  最初の世界的な位置付けのところに若干説明しづらいところがあるとすれば,この途中で,「京」の計画時において,「京」以前のシステムとは全く断絶しているんです。したがって,「京」の話を書くときは,その時点でなかったものが出現するという前提でストーリーが書かれている。
【吉田委員】  「京」を特別なものとして説明したいというのは,すごく気持的には分かるんです。今言った「断絶している」という点についても具体的に分かるように書けば,良いのではないですか。
【工藤計算科学技術推進室長】  分かりました。そういう意味だと,シミュレーションのほかのところに幾つか書かせていただいているのを少し持ってくれば,同じような,それまで「京」以前でやったシミュレーションがこの程度だったというのは書けます。
【吉田委員】  多分その当時の意識とか課題意識は日本だけじゃないですよね。世界各国の研究者なり政府が持った意識なので,その辺も書き込んでいただければと。
【髙井主査】  ほかよろしいでしょうか。
私からなんですが,30ページの最後のところですかね,「日本のスーパーコンピュータの開発は」というところから始まって書かれている。ここだけは太字なのは分かるんですが,文体として,何々しています,いますという書き方になっているんですが,これは意図的にそのようにされている?
【工藤計算科学技術推進室長】  これはあくまでもポスト「京」につながる部分として,我々が政策的意図としてこういう形でポスト「京」計画を進めていますというところを分かりやすく書き下した文体にしていますので,それまでの文体とはあえて変えて書いています。
【髙井主査】  なるほど。
【山田委員】  ポスト「京」に関わるところで,私が余り知ってなかったんじゃないかと思うんですが,5ページの施設の概要等の一番最後のところに,2020年頃をダーゲット――「タ」ですよね,ターゲットに,「ポスト「京」の開発し」というのは「ポスト「京」を開発し」,運用を開始することを達成目標としていると書かれているんですが,この表現からすると,2020年頃にポスト「京」が開発し運用されなければ,目標が達成できなかったというふうにとられることはないんでしょうか。これ,知らない人がそのまま読むと,何か「京」の目標として,ポスト「京」の運用開始が2020年頃ということが書かれているというふうに理解されるのではないかと思ったんですが。
【工藤計算科学技術推進室長】  そうですね,御指摘踏まえると,「更に」以下が必ずしもこの段階で必要かというと,多分話としてちょっと違うので,できれば削除させていただければと思います。
【吉田委員】  24ページの今後の留意事項の丸ポツで2つ目なんですけれども,ここの2行目から3行目にかけて,「研究者にとって魅力のある研究環境の構築と世界的な競争の場であることを意識して,組織運営を図って行く」,この世界的な競争の場というのはどう受け止めて良いのかなと。それは開発・運用の話なのか,人材の育成とか確保のことなのか,どちらを意識して書かれているのですか。
【工藤計算科学技術推進室長】  「京」自体は,法律に基づく共用施設ですので,利用者について特に国籍とか世界的に制限があるわけではなくて,むしろ世界的な利用者に来ていただいて,成果を競ってほしいと。そういうものを我々,政策としては標榜しております。その側からすると,日本語で書いていますので,日本の研究者に対する,あくまでもそういうメッセージになってしまうのかもしれないんですけれども,国際的な研究者との間で何らかの競争環境にあって競っていただければと,そういうことを言っています。
【吉田委員】  だから,それ,意識とか姿勢の問題なんです。
【工藤計算科学技術推進室長】  はい,意識して。
【吉田委員】  全体の人材のところで,これ,僕の思い違いなのかもしれないけれども,やはり研究者を育てる,それから,それを持続的に確保していく,しかも技術知識を継承しながら、という点は非常に重要だと現場ではいろいろお聞きしているんですけれども,その辺がそこはかとなくは漂っているんですが,明確に書かれているところがない。人材に関しても競争ですよね,育成と確保に関しても。その点にかかる問題意識が何となくにじみ出ている感じはするんですけれども,明確に書く必要はないのだろうかと思いました。
【工藤計算科学技術推進室長】  また御指摘を踏まえて,補足させていただきたいと思います。
【横山委員】  お疲れさまでございます。すごく充実した文書だというふうに拝見しています。
細かい点ですが,6ページ目のマル1,マル2,マル1,マル2と続いておりまして,下の方のマル2の1ポツのところの冒頭に,共用法に基づく「京」の共用及びその中核というふうに出ております。この報告書の中で共用法が出てきたのはここが初めてなのかなという。もうちょっと前に出ておりましたでしょうか。
【工藤計算科学技術推進室長】  その前のページの5ページの中段に「共用法」で縮めています。
【横山委員】  失礼しました。5ページ目の中間に説明は既に出ておられると了解しました。
やはり共用法が掛かっている特殊な中で頑張っておられるということがあると思いますので,共用法との関わりは丁寧に書いていただくと,ほかの大型分野にとっても分かりやすい,理解が進むかなと思った次第です。
あともう1つ思いましたのは,これもちょっと広い話ですが,目次の3ページのところに,意義及び価値というふうに,概要のところですね。ここはこれから埋めていただくようなページになっておるんでしょうか。
【阿部参事官補佐】  最終的に中間報告がまとまる段階で,中身が確定した段階で概要という形で1枚程度にまとめられればということで,今はブランクにしているところでございます。
【横山委員】  ありがとうございます。意義は文章で書きやすいと思うんですが,価値というのはなかなか,どちらかというと文系研究において使われる言葉で非常に書きぶりが難しいのかなというふうには感じております。書かれる段階になったら,また拝見させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【髙井主査】  ほかに何かお気付きの点ございますでしょうか。
【工藤委員】  まず,19ページの一番下の行の「(Kを待ちわびての開発)」というのが何か浮いているかと。
【髙井主査】  これ,たしかアプリケーションの名前ですよね。「Kを待ちわびて」という。
【阿部参事官補佐】  そういう名前のアプリケーションです。ジョブの待ち時間が今どうなっているのかと利用者に提供するそういったものでございます。
【工藤委員】  なるほど。それは,でも,読んだ人には分からない。
【阿部参事官補佐】  補足させていただきます。
【髙井主査】  括弧付きにすればいいんじゃないですか。
【工藤委員】  それで分かるかな。
あと,21ページの自己収入の努力及び有償利用の在り方のところです。まず現状の検証の最初のポツで,これは一体,だから何なのかというのがよく分からないのかなと。外部資金が増加していて,利用料収入がこうだということによって何を主張したいのかというのが分からないかなと。要するに,これで十分たくさんとってきているんだからいいんですよということなのか何なのかという気がちょっといたしました。
それから,この現状の検証の中に,「ついては」という表現が非常にたくさん出てきて,非常に読みづらいと。2つ目の文が非常に長くて,これ,ロジックがやっぱり分からないという気がしました。
それから,最初に戻るんですけれども,最初に申し上げたお話と関係するんですが,一番最初の4ページの最初の行で「シミュレーション(計算科学)」と書いてあって,つまり,シミュレーション,イコール計算科学という理解で全体は正しいのかというところです。これはもうどういう解釈なのかということなんだと思うんですけれども,こういうふうに書くと,シミュレーション,イコール計算科学であるというふうに見えるということになると思うんです。
あとは,「京」のアプリケーションは全てシミュレーションであって,計算科学であるという位置付けで全体が書かれているのか,あるいはそれ以外のアプリケーションもあるという立場で書かれているのかという辺りがちょっとどうなのかなと思いました。以上です。
【工藤計算科学技術推進室長】  御指摘ありがとうございます。多分,最初の文章のところは,ちょっと分かりづらいんですが,スーパーコンピュータを用いたシミュレーションで括弧を開いて計算科学なので,シミュレーションだけが計算科学ではないのは,下段にフットノートでシミュレーションについての定義を引いているので,そうではないという意味ではあります。
それに,先ほど御意見頂いたように,アプリケーションを全部シミュレーション,「京」に使われている何らかのプログラムが全部シミュレーションかどうかというお話だと,それ以外の部分もあるんですけれども,全体の文脈からすると,基本はシミュレーションであるというふうなトーンにはしています。当然,OSとか幾つかのいろいろなものはあるとは理解しているんですけれども。
【工藤委員】  最初のところは,「スーパーコンピュータを用いたシミュレーション等の計算科学は」というような表現にすれば,普通に問題なくなるんじゃないかなと思います。
【工藤計算科学技術推進室長】  そうしましょう。
【山田委員】  日本語でまた申し訳ないんですが,24ページの今後の留意事項等の下から2番目のポツのところなんですが,まず日本語がかなり長いということなんです。「また,産業界で現在使われているスーパーコンピュータは,トップレベルの例えば,約1/10程度の性能であり,「京」の利用により将来を先取りして,先端スーパーコンピュータの活用とこれを使いこなせる人材の育成を進めることができることから基盤的な人材育成機関としても期待されており,人材育成においても,産業界との連携が重要である」というこの文章なんですが,基盤的な人材育成機関としても期待されているのは何が期待され,その人材育成機関というのはこの場合には何なんでしょうかという。産業界なんでしょうか。これ,人材育成機関ということ?
【工藤計算科学技術推進室長】  そういう意味だと,この評価対象になっているのが,基本的には理化学研究所の計算科学技術機構なので……。
【山田委員】  あー,そういう意味なんですか。
【工藤計算科学技術推進室長】  それと,あとはRISTもありますので,もしここを名指しをするとすれば,理研AICSがというのを補うと……。
【山田委員】  何かこの文章だけを読むと非常に分かりにくいという印象を持ちました。
【工藤計算科学技術推進室長】  理研AICSがというと,もうちょっと整理し直します。失礼いたしました。
【工藤委員】  トップレベルのというのは,「京」のという意味ですね。「京」のと書いてしまってはいけないのでしょうか? 「京」の大体10分の1程度というように,「京」と書いた方が分かりやすいと思います。
【工藤計算科学技術推進室長】  その時々で今ちょっと変わってきているのを考えると,なかなか「京」と名指ししていけるかというのは難しいところだと。
【伊藤委員】  「京」について書いているのであれば,これで構わないと思うんですが,スーパーコンピューティング技術産業応用協議会の方からも少しリクエストを出させていただいたのは,「例えば」という言葉を使うということなんです。産業界がいつも10分の1のものを持っているかというとそうでもないですし,それだと非常に限られた企業になってしまいますので,あえて「例えば」という言葉をここでは入れさせていただきました。
【工藤計算科学技術推進室長】  その時代のトップレベルのということですよね,どちらかというと,文章からすると。
【伊藤委員】  この文章はそういうふうに見えますよね。
【土居プログラムマネージャー】  先ほどの計算科学なんですが,これ,皆さん御存じだと思うんですが,日本は計算物理学とか計算化学とか計算生物学だとか,要するに,コンピュテーショナル何とかというのが付いて,それの総称をコンピュテーショナルサイエンスといっているわけで,そこで用いられている技法あるいは手法がシミュレーションであり,これ,必ずしもスーパーコンピュータではなく,要するに,PCクラスタであってもいいわけです。ですから,そういうようなことを書くのがいいのか,書かなくてもいいのかというのはあるわけですが,ここでこういう形,あるいは先ほど出たようなことで「スーパーコンピュータを用いたシミュレーション」と限定されると,やはり学問分野として少々具合が悪いんじゃないかと思いました。
【髙井主査】  おっしゃるとおりですね。その辺,最初にもありましたけれども,言葉の整理をきちんとした方がいいと思いますので,用語集のような形でシミュレーションという言葉,それから,計算科学とか,スーパーコンピュータ,そういったところ,基本的な用語をきちっとした方がいいと思います。
それでは,田中委員。
【田中委員】  それでは,全体的に気になるのは,さっきの吉田委員の「期待されている」という表現というのがあったんですけれども,やっぱりこれ,受け身形で文章をまとめているところがいろいろなところに散見されるんです。「期待されている」もそうですけれども,「求められている」というのもあって,その主体が一体どこにあるのかなというのが,これだと分からないんです。
つまり,期待されているものがある,求められているものがあるということは,そこにニーズがあるんじゃないかなと感じるんです。それをきちっと書いてあると,そういう具体的なニーズがあってこういうことをやっているんだというところにぴたっと結び付いてくるので,できるだけ受け身形で文章を終わらせないで,もうちょっと読んでいてはっきりとその部分がイメージできるような文章でまとめていただいたらいいような気がします。いろいろなところにあります。
【福山委員】  今の田中委員のコメントとちょっと似たところがあるんですけれども,「期待されている」というその言葉は,確かに全体を見ていると,読解するのに大変時間がかかってなかなか付いていけないところがあるんですけれども,期待されるということと並行して,印象的な終わり方として,5ページの最初のポツ,「認識している」というのがあります。非常に強い印象が残るんですけれども,この主語は,文章を読むと,コンソーシアムが認識していると。このコンソーシアムの位置付けが結局,「京」及びポスト「京」まで含めて日本の計算科学を推進する際に重要な役割をする1つの中核組織のはず。ということは,日本の全体のこれからの計算科学に関して,このコンソーシアムがおっしゃること,あるいは認識しているということは,将来にとって非常に重要な意味を持つであろうと。
その観点から,ここに書いてあることをずっと,それぞれ分かるんですけれども,ここでも何回か議論の対象になった,計算科学,計算科学研究を推進する際の日本全体を考えたときの公正なる推進体制,それはなかなか明確なのが見えないというのが,少なくとも私個人的に気になっていていろいろ御質問を今までさせていただいたんですけれども,そのことがここにはコンソーシアムとして認識されて記述されているんでしょうか。あるいは,この報告書としてこういうふうに認識しているということですね。印象的な終わり方をしていることをここで入れるというのは,この委員会としても認識しているということにつながる。そのときに今の項目はどういう位置付けになるんでしょうか。研究推進体制全体ですかね。
【工藤計算科学技術推進室長】  福山先生の御指摘に直接お答えできているかどうかというのは置いておきますけれども,まず最初に「はじめに」のところで書いたのは,吉田先生から先ほど御意見あったとおり,本来であれば,確かに国際的な位置付けとか,そういうことももう少し入った上で書かれている方がいいんだとは思うんですけれども,現状のこの文章だけを見ていただくと,今はこういうことができていて,コミュニティを含めてこういう考え方を持っているということを少なくとも御紹介しているという位置付けに,入り方になっています,ここについては。
他方,大分先に行くんですけれども,全体的に計算科学,少なくとも理研AICSとRISTさんが行われていることでかなりいろいろなことができていて,それは評価されている現状と,更に今後の留意事項の中で,直していった方がいいんではないかというのをコメントされている構成になっていまして,最終的に,今後何をやっていったらいいのかということについては,30ページ,前回も御提示させていただいてはいるんですけれども,今後の重点課題の中にまず4点述べさせていただいています。
やっていくべきことは,やっぱり理研AICSとRISTの両者のより一層の緊密な連携の下,「京」の利用歴の傾向分析や戦略プログラムの成果を踏まえた新たな科学的課題の検討が1つ。
それから,HPCIコンソーシアム,これは今,先生から御指摘あったとおりなんですけれども,アプリケーション開発主体等,これが何を指しているのかが難しかったんだと思うんです。これは戦略プログラムでアプリケーションを開発していただいていた研究機関の方々ということを書いています,その関係機関との連携体制の下,新規利用者の拡大への取り組み。
そして,「京」を超えるシステムが複数,今後日本の中に現れてくることを踏まえた運用方針を考えなければいけないということ。
最後は,マネジメント全体を効率化していこうという話になるんですけれども,少なくともコミュニティがここで認識していることを踏まえて今後やっていかなければいけないということについては,こちら最後のところで述べさせていただいているという構成をとっています。
【福山委員】  全体の構成,分かりました。
【吉田委員】  これは,我々評価委員会の作成する報告書ですよね。「期待されている」じゃなくて,我々が主語なので,我々が認めれば,「期待している」と書きたいところですよね。「求められている」という言葉だったら,それは研究者からなのか,例えば理研さんからのニーズもあるのだとか、主語をはっきり書いた方がいい。それは我々としてはというか,ここにいる委員が全員としてそれを認識しているという意味で書かないと。事務局が書いたか,誰が書いたかよく分からない文章になっていることが混乱の原因だと思います。
それから,やっぱり現状の検証と今後の留意事項という項目立てなので,現状のところは,検証じゃなくて現状でいいと思うんです。この委員の皆さんがいろいろ質問して,皆さんがちゃんと答えてくれて,きょうも冒頭にありましたけれども,ああいうデータまで作って分析してくれたので,その辺を重点的に,委員が質問して,現状はこうだったというのをぴっちり書けば良いのだと思います。参考資料も山ほどいいものが出ているので。その上で,それをどう評価したかと。なるほど,そうですねと我々が納得した部分は評価できたと書けばいいんですよね。最後,残った課題とかというのはこうですよね,こう認識していますという書き方になるんですね。その点については何回言っても,この項目立てが変わらない。それが、非常にわかりづらい原因の一つかなとは思っています。
それから,もう一つは,さっきの長い文章の問題なのですけれども,文章の途中に「例えば」という例示説明などを入れないで,一旦,結論をこうであると書いて,その後に別の文で、「例えば」という例示説明をつける書き方にするとか,工夫の仕方はいろいろあると思います。こういう報告書は,最初に結論だけ簡潔な文章で書いていただく。いっぱい書きたいことは山ほどあると思うのですが、それは一旦分を終わらせてから、その後に続けて書くというかたちにしてもらえると有り難いです。
【工藤計算科学技術推進室長】  決して頑固で変えないと言っているつもりは全然ないんですけれども,真ん中の構成の部分のところ,評価のところと最終的な結論,例えば構成として,一番最初に,こんな現状になっているということは基本的に客観的にこういうものが与えられたということを書いています。
真ん中の部分の構成のところは,これまで各機関から御説明いただいたことに対して委員の先生方から御質問を受け,それを受けたことを書いて,それが指摘事項になり,最終的にその指摘事項がまとまったところで,じゃ,今後何していったらいいのかというのを,優先順位だけ最後に書いたというのがここの作りになっています。それを前の方にした方がいいかどうかというと,多分……,そうですね。
【吉田委員】  というか,先ほど言ったのは,全体の構成じゃなくて,各白丸の中の三角括弧のところの構成についてです。
【工藤計算科学技術推進室長】  そうですね,現状のこの順番とかはそうかもしれないですね。ポツの作りの中で,これ,オーダーを変えた方がいいなという部分は幾つか確かにございますので,そこはやらせていただきます。
【横山委員】  またちょっと細かいことで恐縮なんですが,16ページでしょうか,下半分のところ,報告書を読んだときに印象に残る成果の具体例を3つぐらいずつは入れておいていただくと有り難いかなと思います。やはり読む方たちが,特にサイエンス成果を目的としたスパコンであるということで,あの成果はこのスパコンによるものだったのだなと,すぐに思える代表的成果を入れるとよいと思います。
【藤井委員】  さっき議論があった21ページの自己収入の努力と有償利用の在り方なんですが,文章は,これ,とても読めないというところは直していただくとして,現状がこうであると。今後の留意事項等のところに行って,これまで以上に外部資金の獲得を強化していくことが必要であると。その次に,次のポチのところで,現在の成果利用のお金の回収方式は妥当であると。これまで以上に外部資金を獲得しなければいけないと言って,今のやり方は妥当であると言って,次のページに行って,産業利用は大幅な増加が期待できないと。これらを結び付けると,産業利用以外から何とかしろと言っているように読めてしまうんです。
結論はこれで多分,今これからちゃんといろいろなことを議論しなければいけないよというのはその後の最後の文章はそういうふうに書いてあると思うので,それが必要であるということは全然否定しないんですが,書きぶりを少し工夫していただかないと何か奇妙に読めてしまうということを危惧しました。言いぶりを変えれば,多分読んでもらえるんだと思うんです。書いてあることは一つ一つは間違いではないので。
【工藤計算科学技術推進室長】  そうですね,表現ぶりもありますけれども,やっぱり先ほど吉田先生からも御指摘あったように順番ですかね。
【藤井委員】  その問題もありますね。ついでに言ってしまうと,22ページの一番上のパラグラフ,「今後,大幅な増加は期待できない」の主語が分からないというのもあります。産業利用枠なのか,収入のお金の話なのか,その辺もちょっとはっきりしないのでよくないかなと思いました。ここ全体に,自己収入のところをどう考えるだというのをもうちょっと明確に決めて,その上で文章を書いていただくといいかなと思いました。
【工藤委員】  それに関連して,外部資金の,要するに,科研費とかJST等について,やはりなぜそれを増やすべきなのかというのがこれをぱっと見ても分からないと思うんです。文科省の外側から見ると,これ,全部文科省のお金じゃない? それがどこから持ってくるかの違いにすぎないじゃないかというふうに見えてしまう。だから,1つ,これを持ってくる意義というのはどういうことなのかということの説明がどこかにないといけないのではないかなと。
【工藤計算科学技術推進室長】  分かりました。多分そこが,最初の共用法の部分との兼ね合いがやっぱり大きくて,この評価の対象になっている理研AICSとRISTの活動は,全て共用法による共用のために必要な資金として提供されて,今回もこの報告書のタイトルが,この委員会のタイトル自体が,共用法の施設の名前にしているんです。「京」といきなり名指してしているわけではなくて,特定高速電子計算機施設と共用法上の名前にさせていただいているのはまさにそういう趣旨で,そこで書いてあるのは,共用法だけの資金だけではなかなかサイエンスなり課題なりをやっていくのに足りない部分があるだろうというので,ここをもう少し増やしていくと,恐らく共用施策についてもシナジーが見込めるだろうという部分があるんですけれども,ちょっとそこは抜けてしまっているという御指摘だと理解しましたので,そこは補足させていただければと思います。
【工藤委員】  お願いします。それともう1つ,章立てのタイトルで「について」が付いているところが非常に多い印象があるんですけれども,これ要るかどうかというのはちょっと御検討いただいた方がいいのかなと。
【工藤計算科学技術推進室長】  分かりました。
【工藤委員】  あと,すごく細かいことで申し訳ないんですけれども,27ページのスーパーコンピュータの意義・価値等の必要性・有効性・効率性の2つ目のポツのところで,「実験の代替や未来や未知の状態を予測・発見するものであり,他に代替のきかない極めて有効なものである」というのは,文章だけ読むと,じゃ,実験やればいいんじゃない? 代替きかなくはないじゃないかというふうに読めてしまうので,ちょっと表現だけ考えていただいた方がいいのかなと思いました。
【宇川副機構長】  私自身は御意見を受け取る側なので,意見を申し上げるということではないんですけれども,先ほどの自己収入のところ,21ページのところですけれども,ここはやっぱり2つのことが書かれていて,1つは,研究開発をしていく上での自己研究資金の獲得という面です。それからもう1つは,それとは必ずしもつながらないと思うんですけれども,利用収入の問題。その2つのことが一緒に書かれているので,いわば誰が何をどこに求めているのか,それはなぜなのかというところが私どもAICSにとっても余り明確ではないので,そこはできれば整理していただくといいのではないかなと思って。そこは実は先ほど福山先生もおっしゃった,計算科学を推進する上で,全体像は何であって,その上で自己資金の獲得をどう位置付けるかというところにも絡んでくると思いますので,意見を申し上げているわけではないんですけれども,よろしくお願いします。
【髙井主査】  ありがとうございます。
大体予定しておりました時間が来たのですけれども,最後にちょっと私から。16ページの真ん中辺の今後の留意事項等,「中立・公正に実施し透明性を確保することが引き続き必要である」という文章のくだりがあって,最後のところに「どのような実施方法があるのか検討することを期待する」ということで,これも主語の問題なんですが,検討するのはどの組織なのかなというのが明確になっていないような気がするので……。
【工藤計算科学技術推進室長】  RISTに期待する……。
【髙井主査】  RISTに期待しているということなんですかね。その辺をちょっとはっきりした方がよろしいかなと思いました。
それでは,大体時間が来てしまいました。非常にたくさんの御意見を頂いております。文書全体の書きぶりに関するものもありますし,かなり本質的なところもございましたので,1度事務局サイドの方で以上頂いた御意見を踏まえて修文していただいて,それをメール審議の形か何かで委員に流していただいて,再度チェックしというような手順になろうかと思いますけれども,いいですかね。
【工藤計算科学技術推進室長】  はい,そのような形でよろしくお願いいたします。

(2)HPCI戦略プログラムに係る事後評価について
資料2-1に基づき事務局より説明。質疑応答は以下の通り。

【伊藤委員】  1点だけ修正お願いできますか。委員会委員の最初のリストなんですけれども,私どもスーパーコンピューティング技術産業応用協議会なので。スーパーコンピュータではなくてですね。
【工藤計算科学技術推進室長】  すみません。失礼いたしました。
【吉田委員】  語尾の問題で申し訳ないですけれども,3ページから後のところが,「実現した」とか「可能となってきた」とか「推進した」というので文が終わっているんです。これ,主語はそっち側になってしまっているんですけれども,これはやっぱり評価する側ですよね。1ページ,2ページまでは,「課題である」という表現は,「開発していくことが求められる」とか,「必要である」とか,「評価できる」というのは,評価する側の文章としてはいいと思うんですが,3ページ以降になると,事業主体側が主語になっている文章が急激に増えるので,ここは多分,事実関係を入れようということでたくさん盛り込んだためにそういう表現になってしまったのかなと思うんですけれども,評価側の文章としては、,語尾がおかしい。,混乱を避けるために、例えば小さな字にして,ワンポイント落として関連事実を列記するといったかたちもあるのではないかと思います。
【阿部参事官補佐】  工夫させていただきます。例えば委員の先生方から許していただけるのであれば,「可能となってきたと言える」とか「評価される」とか,そういった形で書きぶりを修正させていただければと思います。
【吉田委員】  事実関係は評価じゃないので。
【阿部参事官補佐】  はい。
【吉田委員】  そこら辺はちょっとしっかり。
【阿部参事官補佐】  はい,御指摘を踏まえて修正いたします。
【吉田委員】  評価するんだったら,すばらしいと書かなければいけないので。
【髙井主査】  何か御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
全体にわたって非常に具体的に記載がされていて,それから,数値で書けるところは数値も用いて客観的に書かれて,非常に好感を持って私は見ていたんですけれども,御指摘の……。
【阿部参事官補佐】  事務局から少し補足させていただきますと,本日の資料2-2の方に,この評価書の補足資料ということで,この委員会でも今まで提出された資料を中心に全体が分かるような形でまとめた資料を添付させていただきました。非常に大きなプログラムの事業でしたので,この評価書だけでは書き切れないところが多々ありますので,その辺りについては,こちらの補足説明資料の方を参照することで全体が見えるような形になればということを考えております。
資料2-2の全体の構成としましては,最初にこの事業は何かということが分かるように,本事業の政策的な位置付けから始まって,この社会といいますか世界といいますか,そういった中で何を対象としてこのプログラムが行われてきたことかというのを3ページにビジュアル的に記載しております。
それから,今日少し議論がありましたけれども,4ページには,そもそもシミュレーションとは何かといったことについての補足説明資料。
5ページからは,このプログラムの全体の経緯とか評価プロセスの推進体制,こういった推進体制の中でやってきたというのを5ページ,67,8,9ページ辺りまで入れております。
10ページが,このプログラムは5分野で行ってきましたけれども,更にその各分野の中にはそれぞれ研究開発目標がありまして,全体で25の研究開発目標がございました。それが一覧として入っております。
11ページにはこれまでの予算の推移, 12ページには,「京」の計算資源の約半分を使ったプログラムでしたけれども,それが各分野でどう使われたのかというもの。
13ページは,ここから話が少し変わりますけれども,学術成果等の発表,メディア等でどれだけ世の中に示してこられたのかといったことの資料を,14ページ,15,16,17,18ページまで各分野それぞれ入れております。
それから,19ページから21ページには,科学技術の全体的なイメージでございますけれども,それぞれの分野における科学技術の現状と,この戦略プログラムによってどういう成果が得られたのか,そして,それは将来どういうふうにつながっていくのかといったところのイメージを入れております。
続いて,22ページ以降から少し細かい資料になりますけれども,25の課題それぞれについて科学的成果や実用的成果がどういったものだったのかという少し詳し目の資料を入れているのが,23ページから47ページまで,25課題についてそれぞれ,細かい話ですけれども入れております。
それから,48ページ以降が,それぞれこれは目標があって,その目標に対してどういう達成状況だったのかとについて一覧表を入れております。これが非常に多いのですが,64ページまで25課題それぞれの目標達成状況等について記載の一覧表がございます。
それから,65ページからは,前回の会議資料で提出されたものですけれども,ターゲットとなるマーケットがどういったところだったのかといったことに関して一覧として入れております。当然,宇宙などの分野においては,マーケット等記載がないところもございます。
それから,74ページ以降は,この委員会の前に戦略プログラムの推進委員会における点検が行われておりまして,その点検結果の報告書のポイントが参考として入れられております。
最後に,参考として,82ページ以降,ポスト「京」につながるということもありますので,ポスト「京」に関する補足説明資料が入れられております。この中で,87ページ以降のところに細かく,ポスト「京」で重点課題マル1からマル9までございますけれども,そこで,「京」ではできなかったところから,更にポスト「京」ではこんなことをやっていくんだといったことが分かるような資料を補足として入れさせていただいております。
補足説明資料全体としては,このような資料が入っているという状況でございます。
【髙井主査】  どうもありがとうございました。
それでは,戦略プログラムの事後評価結果(案)につきまして,何か御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,先ほど吉田委員の方から,評価票の成果のところの文末の書き方,評価委員会が主体で評価しているというその結果,その文書でありますので,それを反映するような文末の書きぶりは統一的に修文させていただくということで修正させていただきたいと思います。では,最終的な事後評価(案)としましては,そういった修正を加えて,あとは主査一任という形で取り扱っていきたいと思いますけれども,それでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【髙井主査】  ありがとうございます。では,そのようにさせていただきます。
それでは,その修正を施した案を情報科学技術委員会にて審議していただくということにいたします。ありがとうございました。

(3)その他
今後のスケジュール等について,事務局より説明。質疑応答は以下の通り。

【吉田委員】  9月以降の予定のところなんですけれども,海外の動向調査時に,できるかできないか分からないのですが,海外のそれぞれの「京」及びポスト「京」に匹敵する拠点施設,システム,それから,組織において,同じように評価システムがどうなっているか,それから,評価基準,ベンチマークが,特に科学技術のところをどう評価して対外的にアピールするかというのはまだ残っている課題だと思うので,その辺が海外で何か行われているのか,行われていないのか,それから,それがどういうベンチマークで,どういうシステムでやっているのか,その辺も同時にヒアリング,インタビュー等をしてきていただければと思います。

髙井主査より閉会を宣言。


お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)