平成28年4月26日(火曜日)16時00分~18時00分
文部科学省 3階 3F2特別会議室
(委員) 髙井主査,伊藤委員,工藤委員,田中委員,辻委員,西島委員,福山委員,藤井委員,山田委員,横山委員,吉田委員 (説明者) 理化学研究所計算科学研究機構(AICS) 平尾機構長,庄司運用部門長,岡谷企画調整室長 高度情報科学技術研究機構(RIST) 関理事長,平山センター長 HPCI戦略プログラム推進委員会 土居プログラムマネージャー HPCI戦略プログラム 木寺分野1副統括責任者,常行分野2統括責任者,斉藤分野3課題責任者,加藤分野4統括責任者,橋本分野5副拠点長
工藤計算科学技術推進室長,阿部参事官補佐,渡邉係長
(1)現地調査の報告
事務局より資料1に基づき説明。
(2)「京」の運営について
理化学研究所より資料2-1に基づき説明。続いてRISTより資料2-2に基づき説明。質疑応答は以下の通り。
【西島委員】 一番最初の方から。人事評価というのはなかなか難しいと思うんですけど,この分野というのは,論文とか,査読付き論文とか,それから,特許というのは比較的出やすい分野というふうにお考えなんでしょうか。それとも,どちらかというと,そういうところは出にくいという分野なんでしょうかね。まあ,分野毎に違うと思うんですけど,一般論としてご回答ください。
【平尾機構長】 私ども大きく計算機科学と計算科学,両分野がございます。計算機科学の方は計算機の開発等に資する分野でございます。それから,計算機科学の方はスパコンを使って,個々のサイエンスを発展させるという方で,計算科学の方はその意味では普通の物理とか科学とか生物といったところの分野と,その辺に大きな違いはないと思います。出やすいか,出にくいかというのはなかなかその分野によっても随分違うと思います。ただ,計算機科学の方は,皆さんやっぱりあんまりもともとこの分野というのは,いわゆる論文よりは国際学会のプロシーディングと言うんでしょうか。これが主なんですね。国際学会も非常にピンからキリまであって,非常に採択率の低いというか,非常に厳しいような,そういう意味では非常に高い評価があるカンファレンスに投稿して,そして,採択される。そして,プレゼンをするというふうなものが一番一般的なようでございまして,そういう意味では論文数は少し,この分野は少ないですね。
【西島委員】 そうです。要するに,定量的なものになると,どうしても査読付き論文数とか,インパクトファクターが生きるんですが,そういう分野で目指す分野もあるんですけれども,こちらはどちらかというと,産業界との連携の中においては,科学技術の発展への貢献とか,先ほどの,今,国際シンポジウムとかその辺のところをうまく評価してあげないといけないんじゃないかなと思うし。
【平尾機構長】 そうですね。はい。
【西島委員】 特に若い人の本分野への魅力という点では,そういうところをうまく評価するというシステムが必要で,一般論とすると,文部科学省の場合は,最後はもう論文のインパクトファクターで何個というふうなことが,数字だけが残ってしまうんですが,そうならないようにうまくその辺の項目を出してあげた方がいいかなと思っています。
【平尾機構長】 ありがとうございます。機構の方,ちょうど設立されて6年がたとうとしておりますので,ちょうど今,5年が終わったときの中間評価を個々の研究者とともにやっておりますが,そうした分野による違いと言うんでしょうか。それも十分,我々わきまえているつもりでございますので,そうした基準で評価をさせていただいているというところでございます。
【西島委員】 もう一点,後半の方なんですけれども,このニーズとシーズというのが分かったようで,なかなか分かりづらいんですけれども,どうなんでしょう。産業界から見ると,まだまだ使っているところが,このRISTというものが,例えばの意見でお伺いしたいんですけど,SPring-8のJASRIとかああいうところに比べると,RISTというものが,何と言ったらいいんでしょうね。もう一つ見えづらいという印象を私は業界の立場から思うんですが,実際その産業界との使われ方ということに対しての特に,こういう出てしまえばそうですが,業種によって違うというその一言ではなくて,例えば一番,国民がこういう先端分野で何を望むかというと,前にも御紹介しましたけど,6割,7割が医療とか創薬とか,そういうライフサイエンスという分野,こういうシーズ,ニーズというものに対して,RISTさんとすると,ここ1年,今後どういうふうなもので活用を図っていきたいという,何か具体的なところがもう少しあればいいと思うんですけど,どうでしょう。
【平山センター長】 RISTは登録機関といたしましては,一般利用課題についての,いわゆる利用者選定を受け持っております。そういう意味で,一般利用課題の対象が多様な研究者のニーズに応えるということが私どものミッションとして与えられております。ですから,そういう意味で,特別の分野に特化して何か課題を選定するということは,今のところはしておりません。
ただし,結果としては,先ほどの課題,ダウンロードされた課題と選択されている課題数,そういったものがきれいに一つの相関を示しているということは,少なくともそのとき,そのときのニーズに対して,課題としてのシーズが適切に選ばれてきているのではないかというふうに考えております。ただし,選んでいるのはピアレビューですから,それぞれの分野の方々の御判断に依存しております。
【西島委員】 ちょっと思うのは,これだけ産業というものに対応はしていますが,何かやっぱりそのときそのときに打って出るような,少しRISTさんのお考え,立場は違いますけれども,例えばSPring-8のJASRIというのは,産業界に対して相当アクセスがあって,積極的な意見交換をやっていて,最初,全然知名度がなかったんですけれども,物すごく知名度が上がっていって,いいか悪いかは別ですけれども,恐らくそのJASRIの相当な動きによって,我々はSPring-8に専用のビームラインまで作ったと言う成果に帰結しています。正直言いまして,私は業界の中ではRISTという名前はほとんど聞いたことないですね。私でさえも,こういう場以外では余り接する機会はないので,待つということも重要ですし,ピアレビューという公平性も必要ですけれども,やっぱり置かれている状況によっては,こういう分野について積極的にその産業界を利用して,RISTはこういうことを重点化するみたいなものをどこかで考えておかないといけないんじゃないかなと,ちょっと思ったんです。
【平山センター長】 はい。産業界に対するアプローチといたしましては,産業界が特にお使いになるアプリケーションについていろいろな講習会を開催するということをやっております。御存じのとおり,「京」のような大規模なコンピュータを使う上では,アプリケーションを市販ソフトだけに依存いたしますと,非常にコストがかさばります。そのために多くの企業の皆様は,オープンソースソフトウェアの御利用を希望されるわけですが,これはなかなか利用という意味で,いま一つソフト自体の出来が,手を入れないとなかなか性能も出ないという状況がございます。
そういったところを見まして,私どもとしては,大きく2つのアプローチをとっておりまして,1つは流体の関係のコード,もう1つは物性関係のコード,この2つのOSSのソフトウェアに対して特別な講習会を開催してきております。そこにお集まりいただく企業は,参加者のほぼ7割の方は企業からの御参加を頂くということで,適切に企業の方のニーズを捉えているというふうに考えています。
また,そこにお集まりいただく企業の方々とは,個別に相談会といったようなものも別途開催する。あるいは終わった後に改めて企業訪問をさせていただくというようなことをして,新たな顧客の開拓といったことにもつなげております。
あともう一つは,特に実験,SPring-8とかJ-PARC,そういったところとの「京」コンピュータの連携利用ということもかなり力を入れておりまして,そういった大型実験施設とスーパーコンピュータの連携利用ということで,それぞれのいろんな集まりを,開催を他の登録機関あるいはCMSIの皆様と協力して開催しております。そこにもやはり非常に多くの企業の方がお集まりいただいているという,今こういう状況でございます。
【髙井主査】 私からもちょっと御質問させていただきたいんですが,最初の方で,研究者の採用に当たって,任期制をとられているということで,任期の期間は多分5年ぐらいかなと想像するんですけれども,それで,こういう任期制を設けるのは,研究者の流動性とか,あるいは人材育成という意味で重要だと思うんですが,もし差し支えなければで結構なんですが,この任期を終えた方々がどのような分野に進まれて,キャリアを積まれているかと,もし情報をお持ちでしたらと。
【平尾機構長】 こういう任期制度というのは決してAICSだけでなくて,理研全体がそういう制度になっているわけですね。ただ,余りにも定年制が少なくて,ほとんどが,言ってみれば任期制の職員というか,研究員と。これが本当にいいんだろうかという議論が新たな理事長が来られてから問題提起があって,今少し雇用制度も見直しが掛かりつつあります。これまでのところ,AICSの方で来られて,大学の教授で転出されたり,あるいは准教授というか,アカデミアに随分たくさんの方が行っておられます。それから,ポスドクの方も全員ではありませんが,ポスドクもまた次の海外でポスドクをするというような方もいらっしゃいますけれども,そういう意味では非常に流動性は高いものでございます。
資料2-3の39ページでしょうか。下段のところに転出先に,今分かっているだけでどういう人が,どういうふうなところに行っているかというのが出ておりますけれども,そこにありますように,例えば教授では既に5人の方が教授として出ていまして,准教授も5人,准教授として転出しております。助教が5人ぐらいでしょうか。それから,特任教授が1人,特任准教授,特任助手がそれぞれ1人と。そういう意味では,非常にAICSで成果を上げていただいて,ほかのところの分野でまた活躍するという方が非常に多うございます。若干,企業に行く方が余り多くないもので,これからそちらにちょっと力を入れてやりたいというふうに考えています。
以上です。
【髙井主査】 どうもありがとうございました。民間企業の方にどのぐらい人材が回っているのかなというのはちょっと気になったところですが,私からもう一点だけ。後半の方で,ニーズ,シーズの整合性ということでRISTから御紹介があって,グラフを見ると相関がとれているように見えるんですが,これは利用報告書というのはダウンロードしないと読めないんですね。つまり,ダウンロードしてみないからにはなかなか分からないから,とりあえず上がっているものを全部ダウンロードしてしまうと。そうすれば,当然,課題数と一致するのは当然なんですが,その辺はどうなんでしょう。
【平山センター長】 ダウンロードしないと見れない状況にはなっております。
【髙井主査】 ということであれば,ですから,それをもって整合性がとれているという主張をされるのはちょっと難しいかなというふうに思いました。これはコメントといいますか,意見です。
【平山センター長】 ただ,今現在で2万件を超えるダウンロード数になっておりますので,相関の意味はあると考えております。
【山田委員】 研究者の個人評価をやっていらっしゃるということなんですが,論文数とか国際会議の発表はいいと思うんですが,今,大学で,特に理工系で非常に要求されている外部資金の獲得ということについて,ちょっと触れられなかったようにも思ったんですが,今現状,どんな感じになっていますでしょうか。
【平尾機構長】 外部資金の獲得数と言いましょうか,どれぐらい,どういうものを外部資金を得ているかということももちろん評価の対象としております。現在,昨年度で10億弱ぐらい,外部資金が入っております。そういう意味ではかなりの金額だろうと,比率を占めているというふうに思っております。
【山田委員】 その外部資金というのは,計算機科学ではどういうふうな形で使われるものなんでしょう。私,ちょっと余り詳しくないのでして。
【平尾機構長】 実は計算科学研究機構というのは,例えば「京」の運用で,百数億,保守費とか,それから,光熱水費があるんです。それから,研究機関ですので,研究者の集団が研究部門があって,その人たちの人件費であるとか研究費もその中に入っていますが,その金額はそんなに多くはございません。基本的には,共用法の下,補助金でございますので,目的が決められてあるんですね。研究者もこういう研究をしなさいと。皆さん,ユーザに役に立つように「京」の高度化とか,そういうのに資する研究をやってくださいねということを言われて,補助金を頂いているということで,もちろん個々の研究者,新しいアルゴリズムを開発するとか,新しいソフトウェアを開発して,こういうところに新しい成果を出しますよということはもちろんやっているんですが,なかなかやっぱり共用法,補助金の世界では難しいところがあります。それで外部資金を取ってきて,外部資金を取ってくれば,自分がやりたい研究をある程度できるわけですので,それでサイエンスの成果を上げているというのが実情でございます。
我々,ちょっともう少し,補助金の使い方に柔軟性があればいいなというふうにいつも思っているんですが,今のところはそういう形で外部資金を積極的に取っていって,そして,個々の研究者が本当にやりたい研究をやると。
もちろん最初に言われました基盤研究であるとか高度研究,これをやることはもう当然のことでございまして,それはやりますが,プラスアルファのところですね。そういう外部資金を獲得してやっているというのが現状でございます。
【横山委員】 雇用のことに関して,2点質問させていただきます。ひとつめは計算機科学と計算科学のうち、計算科学の方はいろんな分野にまたがっているというのは分かるんですが,計算機科学の就職先というのは,ほかと比べると非常に小さいものなのか否かというところが気になって,その情報がございましたらお伺いできたらと思いました。
あと,こうした「京」のようなスパコンを持っている世界の研究所の雇用というのは,例えば任期なしと任期ありがどれぐらいの割合かとか,そうした情報はお持ちでしょうか。その2点確認できればと思いました。
【平尾機構長】 2つともなかなか答えがないんですが,計算機科学と計算科学の,機構にいた方が出ていくときにどういう分野があるかということですが,計算機科学の方々もやはり企業に行ったり,それから,大学なんかに行く,研究所に行くということがやっぱり多くて,それほど大きな違いはないのではないか。計算機科学の方とそれほど大きな違いはないのではないかなという気がしております。
それから,もちろん世界にはこうした「京」と同じような規模の大きなスパコンを持っている研究所等がございますが,ちょっと雇用形態がどうなっているかというのは,私はちょっと申し上げられません。よく分かりません。
【横山委員】 ありがとうございます。後者の方ですが,分野が違いますが,CERNという素粒子のヨーロッパの研究所では,半分の研究者を任期なしにしています。半分という数字は研究者側には非常に限られた厳しい状況ですが、研究所運営の側からは、半分は安定的に雇用しないと,マシンが継続的に運用して開発できないという判断がされています。やはり10年というのは長いようで,そんなに長くなくて,就職活動しながらだと落ち着きませんし,加速器のような,あるいは計算機のような,マシンを開発しながら研究するというところは任期なし雇用が一定の割合は必要ではないかと思います。
【平尾機構長】 実は今その制度を,人事制度を変えようということで,実はこの4月から少しずつ変わりつつあります。現在は多分9割ぐらいが,これまでは9割ぐらいが任期制の方々でございました。無期転換ができたとしても10年ですね。10年というのが一つの基準だったんですが,やはりこれは問題が多いということで,少なくとも6割,7割は定年制ではありませんが,10年という任期ではなくて,更にそれを伸ばして,これをできるような形に変えましょうということで,これは多分人件費の問題とかいろんな問題が入って,順番に,少し長い年月を掛けてやっていかないといけないと思うんですが,そういう方向に一歩踏み出しておりますので,機構の方もそういう形で同じような人事制度が多分適用されていくだろうと思って,いい方向に行っているのじゃないかと私どもは考えております。
コミュニティからの意見について,資料2-4に基づきHPCIコンソーシアム理事長の藤井委員より説明。スーパーコンピューティング技術産業応用協議会及び製薬会社からの意見について,資料2-5,2-6に基づき,事務局から説明。「コミュニティ連携と更なるコミュニティの拡大・サイエンスの発展に向けて」について,資料2-7に基づき,理化学研究所,岡谷フラッグシップ2020プロジェクト企画調整室長より説明。質疑応答は以下の通り。
【西島委員】 資料2-5と2-6,大変いい調査を行って,的確な資料なんだろうなというふうに思います。資料2-7なんですけれども,これは大変重要だと思うんですけれども,今使っている人とか現場の人に対しての調査ということですが,調査対象をどこに持ってきて,どういう波及効果を期待するかということなんですけど,やっぱり企業がこれから本格的に使おうと思ったときには,やっぱりそれなりの予算とか計上する必要があります。要するに,会社のボードメンバーとか所長とか,そういう現場の人たちからうまく情報を上げられる,その辺の理解を含むような波及効果とか,何を求めているかとか,海外ではどういう調査結果が出ているというのをうまく押し込みながら,その人たちに知識を与えながらニーズを捉えてやるというものを意識しておかないと,使えるものは使えればいいというのはもちろん現場の人は思っていますよ。
私はいつも業界の中では,こういうコンピュータを利用している研究者は会社の中ではかなり限られたメンバーです。その人たちは使えることに対して自らの利用意義は感じていますが,それが会社にとって本当に貢献するという判断になると,もう一つ次元を超えて上層部を説得する必要がある。先ほどのRISTの方にもそのJASRIさんが成功したのは,かなり上層部と交渉なり,業界との接点というのを持っていて,現場の部分と違う,そういうホップ・ステップ・ジャンプがうまく進んだという印象を持っていますので,その辺も意識しておかないといけない。現場は使えるけれども,いざお金を出すのは上層部ですから,そういうのを十分意識したような調査をやっていただきたいなと思います。方向としては大変,私はいいんじゃないかと思っています。
【岡谷企画調整室長】 ありがとうございます。おっしゃっていただいたことを心にとめて調査をさせていただきたいと思います。当然,海外の事例というのもやっぱり同じような轍を踏んでいますので,そういう前提を私たちも踏まえながらアプローチしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
【西島委員】 そうですね。その前例は大変助かっております。
【吉田委員】 今のコンソーシアムとコミュニティの議論の中で,質問というか,意見なんですが,基本的に今の日本だけじゃないんですが,科学技術研究の分野において,いつも一般的に危惧されているのは,いわゆるコミュニティ,コンソーシアムのムラ化というものですよね。そこには,先ほどIDCの話が出ましたけれども,問題は外的評価をシステマティックにコミュニティなり,コンソーシアムの中にどう入れ込むかと。そのシステムとして組み込むことが非常に重要だと思っているんですね。コンソーシアムは,理研やRISTの方から見れば当然,外的な評価をする機関でもあるんですが,コンソーシアムそのもの,それから,各コミュニティそのものもやはり一番怖いのはムラ化だろうと。そこに対してやはりコンソーシアムの方でも,今,会員名簿を見ていますけれども,若干やっぱりまだ広がりは少ないだろうと。その辺で外部評価をどうシステムとして組み込むのかということをもし今,御検討中であれば教えていただきたいと。
【藤井委員】 私,ちょっとだけ答えさせていただいてよろしいですか。おっしゃることは全くそのとおりで,2つ課題がありまして,一つは代表で出てくる方から下のコミュニティへの広がりがまだ弱いということで,それは例えば意見交換会の場で私の方からお願いして,是非展開してくださいと。情報を展開して,逆に情報を集めるという機能を是非会員の方は持っていただきたいというのをひとつお願いしています。
それから,アソシエト会員というのは,実は個人でも入れるので,積極的にこれを今後活用していこうという議論をやらせていただいていて,そうすると,いろんな意見が出てきますから,十分とは言えませんが,そういうことで少しずつよくしようと思っております。
【吉田委員】 これは要望に近いのかもしれないんですが,海外の事例では結構我々見聞きするんですが,実は今回,計算機科学と計算科学の世界なんですが,それに産業界,利用する側として入っている。もう一つはやはりマネジメントとか,それから,財務,税務,それから,会計。それから,もう一つは評価ですよね。インパクト評価の方の専門家とかですね。他分野の,どちらかというと文系に近いところだとは思うんですが,そういった方々との交流もシステムとして組み込んでみてはどうかというふうには思っています。
特になかなか一般の方に理解して,この成果を定量的に評価してもらうというのは難しい分野ではあるので,その辺を逆にフォローしてもらうという意味では,是非そういうものも変わったコミュニティとして入れ込んでいただけないかなと思っています。
【藤井委員】 そういう方に来ていただいてシンポジウムみたいなのをやるとか,そんなのがまずはいいですかね。
【吉田委員】 そうですね。
【岡谷企画調整室長】 今まさしく資料2-7の4ページを見ていただきましたとおり,新しい価値は何なのかということを抽出していくという作業にそういう方々に入っていただいて,それがどんな新しい価値を生むのかということ,これは是非HPCIのメンバーの方々にも参加していただいて,こういうところで価値をどうやって広めていくのか。何が本当の価値,私たちが新しいコミュニティに提供できるものなのかというのを探索したいと思っています。
【吉田委員】 そうですね。その場合,当然,開発の部分に関しては問題は多いのですが,もう既に運用している部分については,国内の専門家に限らず,海外からも幅広く,できれば一流どころの方にも入ってもらって,そういった価値の評価,それから,価値の創造というところをしっかりフォローアップしてもらえればと思います。
【福山委員】 今の御意見とつながるんですけど,コンソーシアムがより具体的な体制を作って活動する。そのこととその資料,更に資料2-4,資料2-7でコミュニティの連携,更にコミュニティ拡大,サイエンスを発展と,このことに関して概念としてまさにそういう方向で進んでいくのは適切だと思うんですけど,その際に身近にベストとは言わないですけど,いいエグザンプルがある。JASRI,SPring-8,実際,JASRIは見事に1万人のユーザを集めたスプラックというのを作って,そこで研究テーマの開拓も進めている。それはまさにコミュニティを連携させて,そこからサイエンスの発展に向けてのアクションを具体的にそこでもうとられている。それが同じ理研の設置したSPring-8で既に行われている。せっかく同じ理研の中でそういうことが行われているということを,この「京」の,スパコンのこのアクティビティの中でも参照されるのは無駄ではないと思うんですけど,そこを理研の中で,そこの関係は今までどうなっているんでしょうか。
【平尾機構長】 余りSPring-8あるいは最近できたSACLAとの間で,SACLAのデータをどういうふうに作るかというので,共同研究はもちろんやっていますし,いろんな連携はやっておりますが,例えばJASRIとの関係をどういうふうにSPring-8,JASRIとの関係はどうあるべきかとかね。
【福山委員】 私が申したのはそうじゃなくて,JASRIでやっている大型施設の運用,活用の仕方のそのマネジメントパターンのことです。スパコンと放射光がもちろん違うのは当然。ですから,同じように行くとは思わないですけど,大きな施設をベースに,すごい多様なユーザがいる。それをいかに有効に,その知恵を活用するか。その問題は共通だと思います。放射光,SPring-8,それから,中性子,J-PARC,「京」。
【西島委員】 いや,恐らく福山先生と私はSPring-8の中間評価を5年ごとにやっていますから,そういう進捗を見ていますから感じますよね。私も先ほどRISTに注文したのも,その全く同じような印象を持って,これを是非生かしてほしいなと思いますよね。
【福山委員】 うん。同じ理研の中です。それで,吉田委員からもコメントあった観点,国際的な視点でどういうこと,どういう位置付けになっているかということを日常的に理解するということ。これも決してそういう意味ではない。JASRIでは国際評価委員会をずっとやっています。最初,国内,それから,もう国際的にも。その意見はやっぱり貴重。少し手間とお金は掛かるかもしれない。大した金額じゃないですね。そういうパターンが既に身近なところでできている。それを活用しないというのはもったいないんじゃないかなと。今まで伺っていて,今,西島さんからも伺っていて,ずっとこの委員会を3回目聞いてて,どうしてわきにあるエグザンプルからいいところをピックアップしないのかなというのはちょっと思っておりました。きょう,特にそれが具体的なテーマになったので,やはり是非それを御検討なさる価値があるんじゃないかなと思いますね。
【関理事長】 RISTの関でございます。御指摘ありがとうございました。私どもは登録機関,3登録機関が集まって,比較的頻繁にいろいろ情報交換したり,教わったり,我々が一番末弟ですので,JASRIさんを始め,CROSSさんにもいろいろ教えてもらっています。残念ながらちょっと我々,そこまではまだ今のところ設立して,もう5年になるんですけれども,ちょっと力が及んでいないところがありますが,今,先生おっしゃったような方向でいろいろこれからやっていきたいと思います。また,国際的には欧州の方とも協定を結んでやっておりますので,欧州の意見を参考にしたり,また,欧州の先生方に御意見を頂いたりする機会もありますけれども,それをもう少し目に見える形で国内に反映できる,そのよりよい仕組みを,作られた仕組みの中で我々は力を尽くしていきたいというふうには思っています。ありがとうございました。
【土居プログラムマネージャー】 まだ登録機関が決まる前にJASRIの理事長にも加わっていただいて,作業部会をやりまして,どのようなことを考えたらいいかということは,当時は検討してはいるんですが,ただ,登録機関というか,共用法そのものをいじったのに対して,JASRIも困られたようでして,JASRIとしては,何か扱いにくい法律ができちゃったというようなことまでおっしゃられたんですが,それはそれで性格が違うものを一つの法律でやるものですから,何とも悩ましいところがあるんですけど,それでいろいろ御意見いただいて,進めていこうというのはそもそものところからはあったんです。
以上です。
【福山委員】 今のことよろしいですか。私,JASRIの最初,運用委員会とか言っていたかな。その共用法適用のところの,その場で関わっていた,確かにJASRIも随分困った。ですけど,そのときに同時にJASRIの理事長,理事が必死で,うまく利用する工夫をされたんですよね。あの努力はやはりすばらしいもので,その結果で今がある。やっぱりそれはグッドレッスンなので,いいところ,「京」に全て,JASRIにああいうやり方が適用できるとは決して思いませんけれども,適用できるいいファクターがかなりある。それをピックアップされると随分,少ない労力で無理を少なくして,効果が期待できるんじゃないかと期待しているところなんですけど。
【平尾機構長】 今,福山先生からおっしゃられたこと,もちろんそのとおりで,我々もそういう学ぶべきところがあれば学びたいとは思っているんですが,この「京」のプロジェクトがスタートして,さっき土居先生がおっしゃられたんですが,最初はもう少しコミュニティが前面に出て,いろんなことをやろうとしていたんですが,それが一つの法律の下でどうしてもやらざるを得ないということで,随分,最初,我々が考えていたこととは違う方向に来たことも事実なんです。それで,私自身も現在の在り方がこれでいいのかというのは非常に疑問に思っていまして,例えば我が国のHPCIと言いましょうか。こういう計算科学技術の在り方,これをどういう方向に持っていくかということをきちっと議論するような場がそんなに明確にあるわけじゃないんですよ。
それから,さっきも少し議論ございましたように,西島先生でしたか。スパコンの利用に関してももう少し戦略的にやるべきだと。もちろん,今,国が戦略分野というのを決め,それから,残りを一般利用というボトムアップでやろうとしているんですが,私はもうちょっと全体的に戦略性を入れてやるべきではないかなというふうに来ております。そういう意味ではリソースの配分においてももう少し科学的な判断とか長期的な判断が必要だろうと思っていますが,現在はなかなかそうは行っていない。なっていないんですね。
私は計算科学,本当に様々な分野を統合できる,そうした特徴を持っていますので,先導的な研究をすることによって,そういう様々な分野を統合できますし,本当に実験とか理論の方にもいろんなインパクトを与え得る分野ですので,そういうところの連携をもっと広げて,本当の意味の裾野を広げないといけないだろうと私は思っています。もちろん人材育成も非常に重要です。
そういう意味では,私は今,AICSの中には非常に優れた,本当に世界の先頭を走っているような研究者がたくさん集まってきてくれて,非常に成果も出てきています。私たちは,本当はもっともっと,本当のサイエンスを展開して,そして,計算科学技術の核になって,日本のこの分野だけでなくて,世界のこの分野を牽引したいというふうに思っているわけですが,残念ながら今の制度の体制の中では,我々のリーダーシップをなかなか発揮できない,そういう状況があることも事実なんです。これはやっぱりちょっと,せっかくこういう中間評価をしていただくのですので,いろんなことを少し,もう改善すべきところは変えていただきたいなと思っているんですね。
私は正直言って,この5年間,「京」のプロジェクトをやってきて,いろんな意味で,やっぱり成果は上がったと思うんですよ。非常に大きな成果が上がった。それで,それぞれがいろんな意味で貢献をなしていると思うんですが,やっぱりまだまだ改善すべき点もあるんじゃないかと思っています。そういう意味は是非ここで御議論いただいて,改めるところというか,改善できるところは是非改善していただきたいなというような気がしております。
【福山委員】 よろしいですか。このテーマは,この評価委員会の核心テーマと理解します。その際,このことはどこかの段階でどういう形かは別として議論しなきゃいけないと思ったことなんですけれども,スパコンのこの計算機科学をベースに計算科学を発展させる仕組みとして,今ある,この理研にある,設置者である理研にある機構がリーダーシップをとるべきかどうかというのは,これは議論のテーマだと思います。エグザンプルはSPring-8を見るといいです。SPring-8は,理研は設置者です。設置者であって,研究の主体ではないです。研究活動の。研究活動はユーザです。そこが「京」においては,そこの基本が違うようにずっと見えていて,そこをどう理解,位置付けしていいのか,非常にためらいがあるところ。つまり,この問題は,AICS,RIST,それから,やっぱり,きょう御紹介あったコンソーシアムの位置付けと関わってきているんだと思います。
きょうお話伺っていて,やっぱりサイエンスがどういうふうに発展するか,その可能性を意識しながら,現状のベストを尽くすというときにやっぱり,ユーザ,コンソーシアムのより実態からの方が将来の発展性があるかもしれない。少なくとも放射光はそうなっています。放射光の研究の中核が理研というわけではないです。そこはスパコンと放射光は違うところがあって,どっちがいいかということは,私も意見があるわけじゃないです。ですけど,そこは放射光は違うということだけは認識しておいて。
【平尾機構長】 はい。それは多分違うんだろうと思いますね。もともと,例えば機構が設置された一番大きなものは,我が国の例えば計算科学と計算機科学という2つの分野があって,この融合もなかなかできてなかった。正直言って,我が国にはそうした世界一流のそういう分野の研究所もなかったです。それをきちっと作って,そしてまず分野を発展させませんかということがあったわけです。そして,機構ができたわけです。
もちろんコミュニティ,これは重要ですし,コミュニティが主役です。ですが,それを一緒になって先導する核というのがやっぱり必要になるわけです。それを機構が担おうとしているわけです。ところが,残念ながら,今の体制の下では非常にそれが力を発揮し難いというか,しにくい状況になっているということも事実なんです。ここを何とか突破しないと,それこそ本当の意味のこの分野の発展というのはなかなか望めないというのが私の個人的な見解です。
【福山委員】 今の点はユーザと設置者と登録機関という,その三位一体が共用機関のコンセプトであるんですけれども,「京」においては,それがちょっと違う形になっている。それが機構というものの位置付けが格別になって,その機構の活動の,ある意味で一部分のところにユーザ代表の5分野の戦略機関が入っているような,そういう仕組みに見える。戦略機関というのは,コンピュータを使って研究成果を出すユーザという位置付けも現実的にはできる。ただし,皆さんが言われたように,この研究,計算機科学,計算科学を日本で仕組みを急いでいいものを作るというときにはやはり機構というものを作って,国全体で,そこに研究テーマまでピックアップした5つを入れちゃう方が素早く迅速にいいものができるだろうという判断で,こういう仕組みになったんだろうと想像するんですよ。
【平尾機構長】 いえ,戦略分野というのは全く機構とは,機構の中に入っているわけじゃなくて,これはもう……。
【福山委員】 だけれども,研究連携推進会議という,その機構長が議長のところに特別5つの戦略機関が入っています。これが違和感があったんですよ。抵抗があったんですよ。それはユーザですもの。設置者じゃない。登録機関でもない。だけど,特別のユーザ扱いですよね。マシンのシェアリングタイムだって,そこを。これは放射光じゃ考えられないことが起こっている。だけど,それはいい悪いじゃなくて,そうなっている。それはやっぱり戦略的な,国としての戦略,コミュニティもそれを受け入れてやっているんだろうと,それは理解する。だけど,そういう違いがあるということはお互い認識していただいて。
【平尾機構長】 はい。違いがあるということはそのとおりだと思うんですが,先ほど言った連携推進会議でしょうか。これは飽くまで本当に連携推進を図るという意味で,コミュニティと戦略分野の方々,それから,設置者である理研と,そして,登録機関がいつも連携をとってやりましょうという形で出来上がってきたものなんですね。
【福山委員】 だから,コンソーシアムの中に5分野はどうなっているんですか。
【平尾機構長】 コンソーシアムの代表の方は,戦略分野の中にはもちろん主要なメンバーとして,コンソーシアムの中に入っていますよね。
【福山委員】 コンソーシアムという方がユーザの核であって,そのジャスト・ワン・オブ・ゼムが戦略機関という,そういう位置付けもあり得ますよね。
【平尾機構長】 そうですね。
【福山委員】 だけど,そうはなっていないということを申し上げたい。現状は。
【平尾機構長】 ちょっとそれは,私と福山さんの議論になって。
【工藤計算科学技術推進室長】 ちょっと議論がずれてきてしまっているようなので,すみません,少しだけ整理させていただくと,共用法のシステムは,多分,福山先生にイラストレートしていただいたように,ユーザがいて,それに対して施設側が運用し,かつ,登録機関が利用促進を行うという形で機能しています。これに対して,理研,AICSという存在がどれぐらいの位置を占めているかというと,それは恐らく共用法システムに入り切らない部分もAICSの機能の中にはあってしかるべきだと思います。
ただ,現状で評価対象になっている話だけ申し上げると,基本的にはこの共用法の運用システムの予算を我々は管理していて,それらに含めて計算科学についても当然議論はしているんですけれども,議論の枠組みとしては,基本的にはそこをまず評価して,更にそこから理研,AICSがどうあるかというのはちょっと別の議論かなと思いますので,この場はすみませんけれども,共用法のシステムとしてとりあえず機能とする範囲の中で足りない点はどこかとか,先ほどの議論に若干違和感あったのは,共用法で計算機構というか,特定計算機を入れたのは,実はHPCIコンソができるはるか前,3年前に法律改正されていますし,全てのシステムをデザインしたのも,議論をずっとやったので,そこが後から入ってきて,違いましたとかできませんでしたと聞くのは,若干違和感があって,やはり法律があるのを前提に組んでもらうのが当然だったとは思うんですけれども,その中でもできていないところがあるということであれば,それはやっぱり機能していただくように直すべき部分はあるし,よいところは伸ばしていただくし,不備になっていないかなと,これが評価の目的なのではないかなというふうに思います。
【福山委員】 全くアグリーします。まさにそうだと思います。現状を踏まえ。もうベストの道と。ただし,そういう状況だということを曖昧にしてはいけなくて,そうだということを認識した上でベストの道を。バウンダリー・コンディション。境界条件の下で,工藤さん,御苦労なさって,そういうバウンダリー・コンディションの下の中で将来に向けてベストの道をどうしたらいいかと,それをここで議論する。だけど,そのときに……。
【平尾機構長】 いや,それは……。
【髙井主査】 ちょっと時間も。この論点は非常に重要だということは十分承知しますけれども,時間の限りもありますので,その評価の対象範囲を逸脱する懸念もありますので,非常に重要な論点であります。ただ,共用法というその縛りの中で,RIST,それから,理研が最大のパフォーマンスをこれだけまで発揮されてきたということは,我々もよく認識しております。ただ,まだ大型研究設備の共同利用ということを俯瞰するような研究のガバナンスとか管理という観点で見たときに,じゃ,全体をコントロールしているような組織というのはどこにあるんだろうかというところを見たときにはちょっと分かりづらいところもある。実際はそのHPCIコンソーシアムというのがあって,その中で大きな方向性を,ユーザの声を拾い上げながら位置付けていて,そのコンソーシアムの中にはRIST,理研のメンバーも加わっている形で,いわばバーチャルなサイエンスボードのようなものがここで機能しているんだというふうに理解しています。
ただ,それが組織図を書いたときには目に見えないものですから,そこが一番分かりづらいところではないかなというふうに理解します。
(3)HPCI戦略プログラムについて
戦略各機関より資料3-1,3-2に基づき説明。質疑応答は以下の通り。
【田中委員】 前から聞きたいなと思っていたことなんですけれども,今の御発表とあんまり関係ないかもしれないですけど,むしろ福山先生の質問の方に近いかもしれないんですが,この戦略プログラム,これは「京」の計算機配分資源の中で大体50%使っているんですよね。この50%の配分なんですけれども,5つの分野があって,それぞれがどれだけの計算機の資源を使うかというのは,どのようなメカニズムで,どのように決められているのでしょうかというのが1点。
もう1つは似たような質問ですが,その分野の中で5つないしは7つぐらいの研究開発の課題がありますね。この研究開発の課題のそれぞれの課題が使う計算資源はどのように割り当てて,どのようにお決めになったかと,そのメカニズムと考え方を教えていただけますか。
【土居プログラムマネージャー】 それはまだ,今までのところではお話ししていない?
【工藤計算科学技術推進室長】 そうですね。
【土居プログラムマネージャー】 ああ,そうなんですか。
【工藤計算科学技術推進室長】 分野内の要計算資源配分の方法ということで。
【土居プログラムマネージャー】 はい。半分は,これはやはり国としてやるべきこと,それで,やっておいた方がいいと思われることとして戦略プログラムを選んだわけですね。それに対して,やはり戦略ですから,戦略性を持たせて5割,それで,ボトムアップのものを5割というようなことをやったわけですが,その中で,今度は分野ごとにどの程度いるかというようなことを全部出していただき,そして,分野内でも,要するに,その優先度を付けていただき,それで配分としてはやってきておりますのと,それにプラス……。
【田中委員】 すみません。その配分なんですけれども,それは推進会議ですか。推進委員会でしたっけ。そこでお決めになっているんですか。それともコンソーシアムの中でやるんですか。
【土居プログラムマネージャー】 いえいえ。こちらで決めております。
【田中委員】 そちらでお決めになっているんですか。
【土居プログラムマネージャー】 はい。
【田中委員】 その中にお決めになっているメンバーですね。そのメンバーの中に利用者となる,実際に課題を実行する方々というのはお入りになっているんでしょうか。
【土居プログラムマネージャー】 それはなかなか悩ましいんですが,各分野に対するあれは何て言うのかな。アドバイザーといいますか,それぞれいらっしゃるんですが,その方々プラスその平尾機構長と,それとあとは2人ぐらいが戦略プログラムに関する資源配分に関してはいらっしゃいまして,それで,そこで各分野からの御要望等々,これはヒアリングまで全部我々がやった上で決めていくというようなことをやってまいりました。
それと,加速しなきゃいけないと判断したものに対しては,その加速分をまた改めて前期・後期に割ってみたり,年間でやってみたりというようなことで,分野の性格にもよって決めてきております。
【田中委員】 それでは,研究開発の課題の資源配分に関しては,各分野の中でなされているという理解でよろしいですか。
【土居プログラムマネージャー】 大枠はこちらで。
【田中委員】 大枠はそちら。
【土居プログラムマネージャー】 はい。これは戦略ですから,その意味で戦略プログラムを決めた側が主体となって決めております。
【田中委員】 はい。
【西島委員】 ただ,その戦略プログラムについては,客観的な要素が入るという意味で,委員会は立ち上がっていますよね。
【土居プログラムマネージャー】 はい。立ち上がっております。それぞれ,それぞれがまた委員会を持っております。
【西島委員】 はい。報告の方に私も入っていると思いますので,あえて。客観的にやられていますので。
【伊藤委員】 お願いなんですけれども,分野5に関しましては,是非,子供向けの話もこの前ありました。それから,一般向けの話もされているようなんですが,スーパーサイエンスハイスクールだとか,あるいは高大連携だとか,こういったところでの何か具体的な動きを示されると,まあ,次の担い手を発掘するという意味では非常にいいんじゃないかなと思うんですが。
以上です。
【土居プログラムマネージャー】 特段何かありますか。
【橋本副拠点長】 私も全くそのとおりだと思っております。これから重点課題9というところにつなげていきますが,できる範囲内でやっていきたいと思います。
【平尾機構長】 よろしいでしょうか。特に高校生が最近,「京」の方によく見学と言うんですか,来られます。何か修学旅行の一つのコースになっていましてですね。特にスーパーサイエンススクールの生徒さんたちは非常にやっぱりサイエンスに対して興味があって,あそこを見学された後,是非講義をしてほしいということがあって,随分何人かが出前講義に出掛けたりしております。今も幾つか舞い込んでおりますけれども,できる限り成果が上がってきている戦略分野の方々とも一緒になって,そうしたことをこなしていきたいと思っております。
(4)「京」の総合的な中間検証について
資料4-1,4-2に基づき,事務局から説明。
全体を通した質疑応答は以下の通り。
【西島委員】 きょうの資料3-1,大変よくできていると思いました。ただ,これは読むとやっぱり分野の分かっている方はなお分かるんですが,分野ごとによって少し書きぶりが違うんですね。それで,別にこれはそろえる必要はないんですが,報告書を書いた場合には,こんなにできるんだぞという部分も必要ですが,ここまでしかできないというようなニュアンスがあって,じゃ,どこまで,つまり,そのフラッグシップ2020というものが必要だというものをどこかに漂わせて,このままスパコン「京」を使っても,論文は稼げるんだけど,5年後にはこういう形だと。そこで,エクサという言葉を使っていいかどうか分かりませんけど,必要だというような部分の書きぶりが,その風呂敷を広げる必要はないんですが,やはりサイエンスという部分では,何でもできるぞというときは,大体何もできないことが多いので,できること,できないことが見えているということは,実は自分の立ち位置が分かっているというので,ネガティブなことではないんですけれども,ここまでできる。そういう意味では,きょう,加藤先生の部分の風車の話なんかは,非常にこういう,書いてあることじゃなくて,こういう切り口というので,そこで今こういう部分なので,2020にフラッグは必要だというふうに持っていくと,多分,私たちも読みやすいし,一般の方にも分かりやすいと,そういう部分で少し整理があってもいいかなと思ったりしました。この部分は大変よくできていると思って,勉強になりますけれども。
【土居プログラムマネージャー】 ありがとうございました。つなげるといった意味では,貴重な御意見を頂戴しておりますし,我々もそう思っておりますので,これから努力をさせてもらいます。ありがとうございました。
(5)その他
今後のスケジュール等について,事務局より説明。
髙井主査より閉会を宣言。
電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp