競争的研究費改革に関する検討会(第8回) 議事録

1.日時

平成27年6月10日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

霞が関コモンゲート西館37階 霞山会館「霞山の間」

3.議題

  1. 中間とりまとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

濵口主査、大垣主査代理、上山委員、甲斐委員、小安委員、佐藤委員、竹山委員、知野委員、橋本委員、藤巻委員、若山委員

文部科学省

安藤大臣官房審議官(研究振興局担当)、義本大臣官房審議官(高等教育局担当)、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官、松尾振興企画課長、柿田科学技術・学術政策局人材政策課長、牛尾学術機関課長、鈴木学術研究助成課長、唐沢科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室長、中野振興企画課学術企画室長、髙山振興企画課競争的資金調整室長、岩渕基礎研究振興課基礎研究推進室長、前澤学術研究助成課企画室長

オブザーバー

奈良科学技術・学術政策研究所所長

5.議事録

【濵口主査】
 それでは、お時間となりましたので、競争的研究費改革に関する検討会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、御多用中、御出席いただきましてありがとうございます。
 きょうは、検討会の中間取りまとめに関する議論を行うことと予定しております。本日、議事次第のほかには資料は1つだけでございますので、配付資料の確認は省略させていただきたいと思います。
 早速、中身に入りますが、きょうも中間取りまとめ(案)について、幾つかの章ごとに区切って御議論いただきたいと思います。前回少しさっと通しましたが、改めて前回の骨子(案)をベースに、今回、フルベースの案を作っていただきましたので、今回の中間取りまとめ(案)にある1.科学技術イノベーションを巡る状況認識、2.改革の方向性、ここは前回の1番のところを2つに分けていただいたということです。それから3.改革の具体的な方策のうち、(1)間接経費のところまでは概ねコンセンサスをいただいたと思います。そこで、少し長いですから、最初から間接経費のところまでにつきまして、骨子(案)からの修正案を中心に事務局から説明いただき、再度御確認をいただければと思います。
 では、中間取りまとめの全体構成と間接経費までのところの説明をお願いいたします。

【松尾振興企画課長】
 資料1の報告書、中間取り扱い(案)を1ページおめくりいただきますと、目次がございます。ここの全体構成を御覧いただければと思うんですが、今、濵口先生からお話がございましたとおり、前回、骨子(案)では改革の必要性という項目でまとめておりました内容を、ここでは1.の科技イノベを巡る状況認識と、そして2.の改革の方向性というのに分けさせていただいております。後で申し上げますけど、流れ自体は大きく変えているものではございません。3.に改革の具体的方策ということで、前回、骨子(案)を御議論いただいたときには1から6まであったんですが、最後の5と6のところをシームレスな連携というものと個別のファンディングシステムの改革の話を1つにまとめて、今回、研究力強化に向けた研究費改革の加速という表題でまとめさせていただいております。したがって、6つが5つの柱になっているということでございます。最後、4.が今後の対応、これが全体構成でございます。
 早速、中身でございますが、さらに1枚おめくりいただきまして、1ページ目、科技イノベを巡る状況認識というところですが、まず最初に、骨子のときにはなかった柱書きを書かせていただきまして、総合政策特別委員会等において示された状況認識について、この検討会での観点から改めてまとめれば、以下のとおりであるという柱書きを加えさせていただいております。
 最初から4つまでの丸は、基本的に趣旨として前回の骨子(案)と変えておりませんので、省略いたしますけども、最後、一番下の5つ目の白丸のところを加えさせていただいております。これが人材に関する認識というものを、前回の御議論を基に加えてさせていただいております。基本的には、総合政策特別委員会から持ってきてまとめているものですけども、ここについて御説明しますと、他方、科技イノベの鍵である人材というものについては、いわゆる「流動性の世代間格差」とも言うべき状況があることとか、民間企業において博士号保持者の割合が依然低いままであるという状況などを背景にして、キャリアパスを見通せない若手研究者が増加し、大学院博士課程に優秀な人材が進学せず、ひいては将来の我が国の人材の質の低下につながるのではないかという懸念があるという状況認識を書かせていただいております。
 次の2ページ目にまいりまして、今度は改革の方向性ということで、しつこいですが、前回、改革の必要性という中に入り込んでいたものについて、4つの方向性を改革の方向性ということで1つの項目にまとめてみました。ここも柱書きが書いてございますが、先ほどのような状況認識に立って、今後、競争的研究費が社会における役割をちゃんと果たしていくためには、この4つの方向性での改革が必須であるということを、まず柱書きで述べさせていただいて、方向性の1つ目が、繰り返しになりますのでここは省きますけれども、学術分科会から御提言いただいている4つの現代的要請の対応が必要だよねと。科研費だけではなくて、それぞれの性格に応じてですけども、全ての競争的研究費において、この観点が促進される必要がありますよねということが方向性の1であります。
 2番目が産学連携の本格化の話でして、ここも前回と基本的に骨子のときと同じ内容を繰り返させていただいております。「てにをは」は適正に修正をさせていただいておりますけれども、2つ目の丸に書いてありますとおり、本格的な産学連携を促進していくには、産業界からの研究資金の投入によって大学等の研究活動の幅を広げていくことが重要であるということと、それと、大学等における研究活動が拡大していくことに伴って追加的に必要となる人的・物的な研究基盤の整備というものが相まって、この競争的研究費改革で後押しをしていかなければならないのではないかという方向性であります。
 方向性の3つ目が、研究基盤の持続性の話でして、基本的には前回の趣旨と変えてないんですけれども、最初にデュアルサポートシステムのことを述べさせていただいていますが、大学の標準的な教育研究活動に係る基盤は基盤的経費で、産業界等からの研究プロジェクトは外部研究費でというふうに対応することは基本であって、その際、特定のプロジェクトごとに発生経費を同定できない大学等の組織的取組については、間接経費で賄えることが適当であるが、これまでは運交金等の基盤的経費で支えられている状況があったということで、その基盤的経費が減少しつつある中で、特に間接経費が十分に措置されていない競争的研究費については、これがあることによって、これが研究環境の悪化を招く原因ともなっているということであります。なので、外部研究費の受け入れに当たっては、間接経費の適切な措置により大学等の研究基盤が適切に整備される必要があるのが、その研究の実施期間の終了後の研究基盤にもそのことは影響を与える可能性があることに留意する必要があって、むしろ人材を継続的に確保できることであるとか、スパコンを含めた設備・機器、そして研究情報に係る基盤等が継続的に活用されることとなれば、より優れた研究成果を持続的に確保していけるということになるであろうと。これは広く行政や産業界など、社会全体にとっても大学等の研究成果を一層質の高い形で持続的に活用できるようになるという好循環を生み出すのではないか、こういう趣旨を書かせていただいております。
 次の白丸が、ここを新しく起こさせていただいております。人材の話ですけども、特に若手人材を巡る状況は大きな課題であることから、特別研究員といったフェローシップの取組に加えまして、民間企業への就職をはじめとする若手研究人材の多様なキャリアパスを支援するための取組でありますとか、アカデミーの中でのテニュアトラック制の一層の導入拡大などが図られる必要があるのではないかということを書かせていただきました。
 方向性の4つ目が、研究者がより有効に研究を進められるようなといいますか、研究者側の立場に立った研究費の使い勝手の改善などでございまして、最初の丸が、ここは前回の研究時間の確保などの研究環境の向上という表題であったんですけども、内容自体はそんなに大きく変わっていないんですけども、表題を変えさせていただいております。
 1つ目の白丸が、研究者の研究時間をいかに確保するか、確保することは大事ですよねということと、丸の2つ目が、その際、大学等が組織として制度的、政策的に対応すべき課題も拡大しているということなので、そういった組織的取組み強化について、学内運営の効率化、組織的取組を学内で強化していくにあたっての改善というものと、それから研究費の使い勝手の改善というのを併せてやっていく必要があるだろうという趣旨を書かせていただいております。
 次のページが改革の具体的方策、そのうちの1つ目の間接経費まで御説明申し上げたいと思いますけれども、4ページ目が改革の具体的方策ということで、ここにも柱書きを書かせていただいておりまして、先ほど申し上げた4つの方向性というのを実現するためには、これまでの個々の研究者による研究活動に加えて、組織的取組の抜本的強化というものと、それから前回御意見ございましたこともあって、現場の創意工夫を活かす制度面での改善が特に重要であることに留意して、具体的には以下の改革を行うべきではないかというふうに書かせていただいております。
 1つ目が間接経費の話でして、最初の経費のところは、何度かここで御議論いただくにあたって間接経費の経緯のことも既に資料で御説明申し上げましたが、その資料をコンパクトにまとめて引っ張ってきているところですので、繰り返しになりますので、今は省略いたしますが、過去の経緯を書いてございます。
 一番下に例の間接経費をめぐるいろんな、この検討会での用語の整理といいますか、それの図をここにももう一回付けさせていただいております。
 5ページ目が間接経費の特長ということで、間接経費の特長というのを改めて現時点で整理すれば、以下のとおりであろうということで、これも骨子のときに書いてございましたけれども、3つに整理をしております。
 1つ目が、比較的、使徒の制限が少ないということから、大学等がそれぞれの特長に応じて独自の取組を行うことが比較的容易であろうということ。それから2つ目が、現場において大学改革の取組の一層の推進にも資することができるであろうと。3つ目が、この間接経費というものがある意味、競争的に奪い合われるといいますか、組織的に措置をされていくということを通じて、大学等が組織的取組をする上で競争制ある好循環を大学等に生まれさせることができるであろう。それに伴って、研究機関、大学等と所属の研究者の協働の面でも好循環を生じさせることができるのではないかという、そういう特長を3つでまとめさせていただきました。
 間接経費の適切な措置という小見出しを付けまして、今申し上げた3つのような特長はもとより、ここでヒアリングした具体的な事例でありますとか、「また」と書いてありますけど、そもそも競争的資金とそれ以外の競争的研究費との間で間接経費の役割に本質的な差があるとは考えにくいということなど併せて考えれば、間接経費の適切な措置が不可欠であろうという認識を書かせていただいておりまして、次の白丸で、文科省においては、全ての競争的研究費に30%の間接経費を措置することを原則といたしましょうということと、それから、他府省と民間についてはCSTIのイニシアティブに期待したいということであります。その際ということで、文科省は、大学等における、特に産学連携のところの間接的な経費に関して、より詳細な状況把握を行っていくことも必要であろうということを併せて書いております。
 お金の付け方の話ですが、これも繰り返しになりますけども、なお、海外比較なども考えてみますと、3行目の終わりぐらいからですけど、一定の枠内でのやり繰りではなくて、総額自体を伸ばしていくということが必要であろうという考え方を示させていただいた上で、その上でいろんな考え方があるんだけれども、全体的に外付けでぼんと一気に28年度からいくぞというのもあれば、新規のところから付けていくという考え方もあって、そこはいろんな行政的観点からよく詰めろというようにまとめさせていただいております。
 6ページの上のところに間接経費に係る説明責任という小見出しを付けてまとめてさせていただきました。趣旨は今までも出ていたところですけれども、1つ目の丸に、間接経費の措置にあたって、大学等が説明責任を果たすことが不可欠であるという基本認識を述べさせていただいた上で、2つ目の丸で、したがって、大学等における間接経費により行う取組の実施方針や実績について、過大な負担にならないよう留意しつつ公表することが適切と考えられるということです。このため、文科省は内閣府と相談しながら、共通指針を見直しながら様式の適切化ということも必要かなということであります。
 「なお」というふうに書いてありますけれども、従来からの繰り返しでございますが、間接経費に限らない大学等における研究活動の全般について、取組の方針を間接経費に係る情報の公表とともに積極的に大学等が公表していただけることが望ましいというのを付け加えて書いてあります。
 最後、小見出し、システム改革経費ということで、これについては、どう措置をしていくのかについては、別途検討が必要であろうということをまとめさせていただいております。
 間接経費のところまでは以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。
 以上のところまで御意見頂ければと思いますが、20分ほどお時間頂いて、できれば、これは最後の確認、しっかりお願いします。はい、どうぞ、若山さん。

【若山委員】
 幾分テクニカルなことになるかもしれませんが、まず最初の1ページ目の、今回付け加えていただいたところですけれども、間違ったことが書いてあるわけじゃないんですけども、若手研究者の流動性が高い一方でシニア研究者の流動性が低いという世代間格差、このまま読みますと、シニア研究者の流動性が低いことも問題であるというふうに読みかねないので、やっぱり若手もシニアになりますので、少し文言を変えていただけないかなと思います。私のように数学ですと、放浪の数学者というのがおりまして、家庭を顧みなければ全くどこにいてもいいんですけども、普通、大きな実験をされる方はある程度安定しているということが、若い人たちにとっても将来の夢だと思います。
 それに関係しているんですけれども、3ページ目のやはり人材のところで、これは本当に言葉づかいだけですが、民間企業への就職と書いてあります。多くは研究・開発職ということなんでしょうけれども、私の少し個人的な経験からいいますと、誰々は大学に残って研究者となった、誰々は就職したというふうな言い方がございまして、つまり、もっと人の還流を進めていこうと思うと、民間企業で研究開発に従事する方も研究者だというふうになるべく言っていくようにした方がいいんじゃないかと、そういうふうに思います。
 それから、最後ですけれども、間接経費の30%というのは、もちろん私、大賛成なんですけれども、米国などですと、間接経費100%もあるというふうなことも御紹介ございましたように、30%という数字が確定するというところまでうまくいったけども、それ以上は、必要なのにどうにもならないということがないように、天井は高いかもしれないということが分かるような表現を一部入れておいていただけるといいかなと。

【濵口主査】
 「少なくとも」ですか。

【若山委員】
 「少なくとも」とか。この中間まとめのこの本文で入れていただければ、概要をまた別途お作りになると思うんですが、概要にまでそこまで詳しく入れる必要はないと思いますけど、上も実際あるというふうなことを付け加えていただければと思います。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 3点ですが、流動性の世代間格差、これがエビデンスでいくと、60歳以上の方々の固定のポストはむしろ増えているというデータが出ていまして、それがあって世代間格差。従来のレベルで60歳以上の人口がそれほど変わっていないならば、若手だけの流動性ということになって、増えているというワンウェイなんですけども、今のデータを見ていますと、60歳以上がむしろ固定ポストの数は増えていて、35歳以下は承継ポストはすごく減った上で年俸制の量が増えている。やっぱりこれは両方が問題かもしれないですね。従来と変わらないのならば、若手だけの問題というふうには言えると思うんですが、そこはどう思われますか。

【若山委員】
 恐らく私のシニアという感覚がちょっと違っているのかもしれません。標準的なとらえ方ではないかもしれないですが、45ぐらいになると、私にとっては十分シニアだという、そういう意識が強いんですね。昔だと、40だってもうシニアだと思っておりましたので、数学はそういうところがちょっとございまして、そういう意味で申し上げました。

【濵口主査】
 分かりました。
 民間への就職、もちろんこれは民間の研究者ということ、どういうふうに入れていったらよろしいでしょうね、3ページのところは。

【若山委員】
 少なくとも、民間の企業における研究開発職というふうな一言が入るだけでも違うんじゃないかと思いますけれども。

【濵口主査】
 少しここら辺、検討させていただきたいと思います。
 あと30%、これはナイーブな議論になると思うんですけど、今のターゲットは、とにかく全てに間接経費を付けていただきたい、いわゆる研究費に当たるものだけではなく、競争的資金、教育的な要素があるところも含めてです。ここをずっと私心配していますのは、パーセントの議論まで含めてやってくると、きちっと間接経費を付けるという論点がぼけるリスクがあるんですね。どちらを選ぶかということになると思うんですけども、今の最大の目標は、間接経費を30%きちっと付けていただくと、競争的な教育分野の資金も含めて、まず文部科学省全体がそれを認識していただく、それから他省庁の資金、民間の資金に関しても間接経費を付けるという認識をまずしていただく。そのときにゴールが、パーセントが曖昧になりますと、5%でもいいんじゃないかとか、10%でもいいんじゃないか、30%の根拠がないではないかと、ここが崩れるのが非常に難しい論点になってくると思うのです。如何ですか。

【若山委員】
 私は、それは先生のおっしゃることに従いますし、今御説明になったとおりに、私も認識しています。できればというふうなことでした。

【濵口主査】
 戦略的には、その次のステップとしてあり得るとは思います。
 ほかはいかがでしょうか。はい、知野さん。

【知野委員】
 6ページの説明責任のところですが、2つ目の丸の2行目の終わりから3行目にかけて、過大な負担にならないように留意しつつとありますが、ここは要らないのではないかと思います。言わずもがななことである上に、自分たちのところは努力せずみたいな、そういう印象も与えるのではないか、ということが1点。
 それから、その後で、共通指針の見直しを内閣府と文科省で連携して行うとありますので、ここの場で考えるということにすればよろしいんではないかなと思います。

【濵口主査】
 はい、分かりました。
 ほか、いかがでしょうか。藤巻先生、どうぞ。

【藤巻委員】
 実は、前回の案と比べると、前回は間接経費の使い方に対して、今の公開のところですが、総額としてというのをあえて入れたというお話があったと思うんですけれども、そのニュアンスが消えてしまっている感があるんですが、使いやすさというか、自由度を大きくするという意味では、前回のやつだと、各研究機関における間接経費の総額としての主要方針や主要実績について公開することというふうになっていた、そのニュアンスがちょっと見えなくなってきたんですが、これは何か意図があったのか、それとも何か表現の問題なのか、教えていただければと思います。

【濵口主査】
 これは、他意はないですね。

【松尾振興企画課長】
 全体にコンパクトにしたかったというだけで、そこも言わずもがなかなというふうに思って外したというだけで、もし必要であれば、全体としてとか、総額としてという趣旨を入れるのは全然構いません。

【藤巻委員】
 要するに、いろんな形として、前の5ページに書いてあったんですけれども、大学の改革に使うですとか、いろんな形で大学全体として使うという方向のことが書いてございますので、その公開の仕方も、例えば1つのプロジェクトに予算が付いて、その間接経費が30%で、その内訳を全部細かく示しなさいというわけではないということが何となく分かるようにしていただければという気がいたします。

【松尾振興企画課長】
 了解しました。

【濵口主査】
 お願いします。
 ほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ、小安先生。

【小安委員】
 先ほどのシニア研究者という表現のことに関してなのですが、若山先生の意図は分かりました。この格差というのは結構感じている人が多いと思います。分科会でまとめた学術研究の総合的な推進方策の中でも、後身の育成とか学術に関して責任を果たしていないようシニア研究者に対して非常に厳しく当たるべきだというようなことが言われていますので、ここはこの形で残しておいた方がいいのではないかと思いました。

【濵口主査】
 ありがとうございます。若山先生、よろしいでしょうか。

【若山委員】
 はい。教育に特化した教員という文言もどこかにございましたよね。専任というふうな、私の勘違いかもしれませんけれども、そういうふうないろいろと評価の話、研究の方は落ちてきても、すごく教育の方でアクティビティーを高めておられる人たちというふうなこともありますので、そういうものの全体の評価の中でじゃないかというふうに考えておりましたので、これも従います。

【濵口主査】
 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。間接経費のところまで、大体御理解、同意点に到達しているかなというふうに思いますが、よろしければ、若干の手直しをさせていただいた上で最終案にさせていただくということで、ここまでとさせていただきます。
 それでは、次の項目です。(2)若手研究者等への支援の在り方の改善につきまして、事務局から説明をいただきます。

【松尾振興企画課長】
 6ページの(2)の御説明を申し上げたいと思います。前回、人材問題に対する対応ということで御議論いただいたことを踏まえて、ここに案として盛り込ませていただいているということであります。
 まず、2つに内容が分かれますが、1つ目が競争的研究費における若手研究者雇用に係るルールの整備ということでございまして、これも前回の繰り返しになって、飛ばしながらいきますけれども、文科省の公募事業においては、博士研究員に対する多様なキャリアパスを支援する活動計画、ここではキャリア支援活動計画と呼びますけれども、そういったものを提出して、審査の際に確認するということになっておるということであります。
 2つ目の白丸ですけれども、3行目の最後の方ですが、そういったキャリア支援活動計画というものに大学等が組織として本格的に取り組むことを奨励する必要があるだろうということで、間接経費に係る情報公表の一環として、その計画の内容と実際競争的研究費で雇用した若手研究者のその後の状況について、フォローして公表することが適切と考えられるのではないかということであります。
 7ページ目の一番上の丸で、また、研究機関における自主的な取組として、競争的研究費での研究実施期間終了後1、2年程度を基盤的経費とか間接経費等で延長雇用するということが考えられるわけでして、これには一定の意義があるというふうに考えられますので、こういった取組を実施した大学等におかれては、好事例を普及するという観点から、先ほどの公表というものの中で積極的に発信することがいいのではないかという趣旨を書かせていただいております。
 2つ目の白丸、7ページ目の上から2つ目の白丸の「なお」というところですけれども、実際、多数の任期付研究員というものを雇用されている大学等におかれては、間接経費が多く措置されているということの可能性が多いわけですので、その間接経費を活用することなどによって若手研究者のキャリアパスの改善のために先導的に取り組むことが望まれるという趣旨を書かせていただきました。
 2つ目の内容が、御議論がございました直接経費からの研究代表者の人件費の支出でございまして、1つ目の白丸、研究者が研究に充てる時間を増やすことは重要なことだと考えられる。特に大型の研究プロジェクトを主催されているPIの方におかれては、研究プロジェクトの運営実施という、マネジメントに相当な時間を割く必要が生じるということもあって、そういったPIを中心にして、後で3つ申し上げますけれども、以下の条件を満たすもので、かつ自ら希望される方については、その人件費の一部を直接経費から支出することを可能とすることが適切なのではないかということであります。
 その以下の条件という3つを申し上げると、1つ目が、前回の繰り返しですけれども、その支出に相当する分だけ学務等の業務が免除されるということがルールとして定められている。2つ目が、エフォートの適切な設定とそれに基づく給与というものの仕組みがちゃんとルールとして定められている。3つ目が、年俸制等によって、その方の業績が適切に評価・反映される給与体系というものがちゃんと定められているという、あくまでも例示ですけれども、こういった条件が必要なのではないかということであります。
 2つ目の白丸が、その際、大学等において、その当該のPIのエフォートのうち、どの程度の割合を外部資金による研究に充てることができるのかという、大学等から見た一定の制限のことと、それから、今度は競争的研究費のプログラム側から見て、もちろん少額のものであっても本末転倒になりますので、一定金額以上のプログラムにおいてやるべきであるということを原則するということだと思いますけれども、その上で、直接経費のうちのどの程度の割合までを人件費として出せるようにするかということ、その両面からの一定の制約については、それぞれで検討して設定しておく必要があるだろうということです。
 この前の御議論を受けて、3つ目の白丸を書かせていただいたわけなんですが、「そもそもこの仕組みは」ということで、上記の3つの条件、これも例示ではありますけれども、上記の3つの条件というものが、大学改革における組織改革・新陳代謝促進というものの取組と整合して設定されることで、人事・給与システムにおける流動性、安定性の両立でありますとか、これは総政特の言葉でありますけれども、それを通じた産学官の全ての世代の人材が適材適所で活躍できる体系ということを構築することに貢献できると。先ほどの3つの条件が大学における改革の取組と整合して初めてそういった全体のものに貢献し得るということであることから、大学改革の検討等の進捗を踏まえて、8ページ目の上にいきますが、その1つのツールとして最適に機能するように詳細設計をしなさいという趣旨を書かせていただきました。
 この整理でいいかどうか、きょうお諮り申し上げたいと思います。
 以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 この部分は、前回に大分議論が多かった部分だと思いますが、前回の議論の記憶を呼び起こしていただきながら、今の説明に基づいて御意見、御指摘を頂きたいと思いますが、いかがですか。はい、どうぞ、甲斐先生。

【甲斐委員】
 やはり財務省の考え方が気になるところではあるんですけれども、条件として3つの条件が大学改革においてという以下ですね。つまり、大学がこういう制度を整備して、こういうルールを整備していたら積極的に行いなさいということですよね。そうなると、大型の研究費をとっている研究者を多く抱えている大学では、是非積極的にルールを整備して、是非積極的に給料を競争的資金から減らさせなさいという圧力は次第に掛かってくるんじゃないかと、今までの経験から思います。そうすると、その分は財務当局の方から、それだけ稼げるんだったら運営費交付金を下げてもいいよねと。それを行うことを大学の努力を目標にされるような心配があります。そうすると、今まで1%減らされてこれだけ苦しくなったのに、さらに減らされる可能性をにおわせてしまうような感じがしますので、非常に慎重にここの制度を書かないと苦しくなると思うんです。運営費交付金を絶対下げないことなんてどこにも書いてありませんし、もっと伸ばすことという表現もどこにもないんですね。そういう状況下で、この減らす方の提案だけをするというのが、もっと競争的資金以外のところに影響してしまうのではないかと懸念いたします。

【濵口主査】
 松尾さん、いかがですか。

【松尾振興企画課長】
 甲斐先生の御心配、御意見、前回お聞きして全くごもっともだと思ったということもあって、書き方が足りないのかもしれませんが、まさに3つ目の白丸というのがそこを受けて、まさにそういうことをトータルとして、文科省全体として検討した上でこいつがビルトインされなければならない、この制度だけで走ってはいかんのですということを申し上げたつもりです。

【甲斐委員】
 もし書くのであれば、これをもって運営費交付金を減らしてはならないという1行を加えたらいかがでしょうか。それを書かない限り、これは外から見れば、大学が自助努力を頑張っていけば、給与の方の運営費交付金は下げられるというふうに読み替えられない可能性は残っていると思うんですけど、いかがでしょうか。

【松尾振興企画課長】
 私が運交金のところをここで述べるわけにはなかなかいかないので、どうしますかね……。

【甲斐委員】
 運交金の方の議論、存じ上げないんですけれども、そちらではそういうことを防ぐような文言があればいいんですけれど、こちら側としては、それと一体としてというふうに、何も知らない状況で競争的資金だけについて書きますよね。向こう側はそんなことは考えていないとすると、外側から見れば、大学の自助努力によって運営費交付金を下げることは可能だというふうに読み取れるようには思いますけど、いかがですか。

【松尾振興企画課長】
 運交金を減らすように読み取れるのであれば、それは全く本旨ではないといいますか、そういうつもりで書いているところでは全くないので、そこはそうでないようにしないといけないと思います。運交金を減らさないという前提でという言葉として書けるかどうか何とも言えないんですけれども、甲斐先生がこの文書を見て、そういうことだという御意見であれば、そうでないふうに読めるような文章にしなければならないとは思います。

【甲斐委員】
 大変申し訳ありません。杞憂ならいいんですけど、1%ずつが10年続いたことによって大学は本当に苦しんでいるんですね、ボディーブローのように。運交金が減らされるような可能性を残すことは、大学にとっては危機なんですよ。もうあと何年かぐらいしかもたないんじゃないかという危機感を持っている大学は、結構多いと思うんですね。さらに自助努力で、大型の経費を持っている先生がきて、こういう文言があると、暗黙のプレッシャーは掛かると思うんですね。給与返納しろと。給与返納すると運交金が楽になる。大学はそれでいいと思うでしょうけど、財務省から見ると、その分、取ってもいいよねとなりかねないんですよ。だから、その経費が大学の自由に絶対になるというふうにでも担保してくれればいいんですけど、そんな担保がどこにも書かれていないので、ここの閉じた議論だけではなくて、外の財務省も、全体の財政も考えたような、俯瞰的に見ないと危険な文章になってくるんじゃないかなと懸念いたしました。

【松尾振興企画課長】
 そうしますと、この文言のままでは駄目だと思うんですが、少なくとも最初の白丸で、例示ですけど、こういう条件がある中でこういう措置をすることは適切と考えられるというふうになっているんですが、この段落のところにもっと、こういう趣旨の全体設計があった上で、それがあればこれがあり得ると。

【濵口主査】
 この3つ目を一番最初に持ってくるという考えもあります。一体改革と併せてこの問題は検討すべきであるということと、それから、甲斐先生言っておられる趣旨はある程度私も感じるんですけど、いろいろ枷をはめて、余り暴走しないようにというのでディテールを書いたんですけど、逆にそれが見方を変えると、こういう道筋でステップを踏んでいけば可能なんだなというようなサジェスチョンにも見えるようになってしまったのかなと。難しいですね、ここ。
 幾つかチョイスがあると思うんですけど、1つは、3番目の丸の趣旨のところをまず冒頭に持ってくることはどうでしょうか。

【松尾振興企画課長】
 もうちょっと強くして、まず最初に持ってきて、その前提、環境があった上で、こういうことが……。

【濵口主査】
 セカンドチョイスは、この下のディテールを外すという判断もあり得ると思うんですね。これは、この検討会でここまで踏み込んで条件設定をするにしては過大すぎるというところもありますから。

【松尾振興企画課長】
 おっしゃるとおりです。こちら側から見て、この辺が必要なのではないかなと思っているという、確かにそういう程度ですので。確かにこのディテールをいっちゃうと、これさえクリアすればというイメージに確かになりますので。

【濵口主査】
 文部科学省全体としては、例えば3割ルールをやりましょうという合意を設定したときに、それと併せてこの条件であればできますよという合意に到達しているように響くと、ちょっとまずいかもしれません。

【松尾振興企画課長】
 おっしゃるとおりです。ディテール、ちょっと書きすぎて、その意味で、書いたから方からすると誤解なんですけども、そういうふうに思われてしまうといけませんので、そこは余りディテールを書かずに、前提がまず上にあって、その中でビルトインできることを。

【濵口主査】
 しっかりした制度設計をすべきである程度に止めるかどうかということですね。

【松尾振興企画課長】
 そうですね。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【知野委員】
 その関連ですが、今、ディテールを外されるとおっしゃっているのは、この1番目の丸のことですか。

【濵口主査】
 1番目の丸の3つの黒ポツですね。

【松尾振興企画課長】
 黒ポツ3つです。

【濵口主査】
 黒ポツ3つですね。

【知野委員】
 今までに委員会に出てご説明を聞いていましたから、例えば12か月の給料を10か月にしてこのように変革するなどの仕組みが分かっていましたが、それなしに、これを最初に読むと、お給料はそのまま、プラス付け足すという、むしろそういう要素が強く出てしまうように感じます。つまり、研究費の中からPIに対してお金を出せるということと、あと、支出に相当する分だけ学務等の業務が免除されるということは定められ、原資との区分を可能にする仕組みが必要であると。でも、その分、直接大学から支払われるお給料を、例えば2か月分減らすというような部分がないので、むしろこのままだと混在したまま増えていくような印象を与えますので、誤解を招かないような工夫が必要だと思いました。

【濵口主査】
 この問題だけでかなり検討会が必要な感じがするんですけども、私個人としては。相当いろんな要素を考えると、今ちょっとそういうことを感じ始めています。
 小安先生、どうぞ。

【小安委員】
 この3つ目の丸の部分、よく読むと分かりにくいですね。1つの文でなっているんですね。よく読むと、流動性と安定性の両立を実現し、一見矛盾することをどういうふうに受け取るかというのに悩んでおります。とにかく長い文なので、どこにどれが係るのか、結構読み解くのが大変なんですね。最後の行で、大学改革の検討等の進捗を踏まえて云々と書いてあって、大学改革等の7のところに、またぞろ卓越研究員が出ていますが、何でこれだけをここに大学改革の例として挙げているのか、理解に苦しみます。この前から私は何遍も言っていることですが、これを何で7で入れているのか、全く要らないというのが私の意見です。それから、この文を2つに分けるとか、もう少し読みやすくしていただきたいというのが正直なところです。

【松尾振興企画課長】
 分かりました。確かにいろんなことを考えて、いろんなことを盛り込んで、この前のいろんな方向の御議論を1つのところで解決しようというふうに思ってしまったので、複雑怪奇になってしまっているんですが、すっきりさせたいと思いますし、大学改革の検討は、例示として卓越研究員のところだけ出ているというのは確かに変ですので、すみません、指摘されて全くそのとおりだと思いましたけど、そもそも大学の経営力強化の検討が今進んでいたり、大学改革全体が進んでいる、そっちの人事・給与システムの方が本筋なので、そちらの方がないまま卓越研究員だけあるというのは、確かに変だと。全くおっしゃるとおりだと思います。適切に直させていただきたいと思います。

【濵口主査】
 どうぞ、お願いします。

【橋本委員】
 今の御議論の方向で良いと思うのですが、ただ、ここで若手研究者への支援の在り方のことを議論するときに、卓越研究員の話というのは1つの大きな政策で、別の高等局の方でやっているわけです。ずっと議論が出ているように、文科省全体での、あるいは国全体での改革の中の一部ということを明確にするためには、書き方はお任せいたしますけども、ここの卓越研究員のことを全く触れないというのは、私はおかしいと思います。これは意見です。

【松尾振興企画課長】
 卓越研究員だけが例示になっているのが全く不適切だったので、大学改革の本丸の話と卓越研究員とか幾つか並ぶ中であって、まさに文科相全体でいろんな検討が一体的にされているというイメージがここに集約されるようにすればいいかなというふうに思った次第です。

【濵口主査】
 はい、甲斐先生。

【甲斐委員】
 ちょっと質問なんですけど、今の御発言で気付いたんですが、直接経費からの研究代表者の人件費の支出するという項目自体が、若手研究者への在り方の改善の項目に入っているのは、なぜなんでしょうか。ここに書かれている中の大型研究費を持っている人の大半は、若手研究員の分類に属さないですよね。しかも、その方自身の給与なので、何だか項目自体がおかしなところに入っているんではないでしょうか。

【松尾振興企画課長】
 丸2の最後の白丸で、前回のときはもうちょっと直題的に議論用ペーパーのときには書いていたんですが、まさにシニアな研究者の処遇ということを含めた大学の人事・給与システム改革という、そことの関係というのが一番の主なところがあって、そこを全部人事・給与システムにおけるというか、大学改革の検討というか、その辺で全部読んでしまっているので、競争的研究費側からの改革としてはPIに対する一定のものを払うのがいいんだけど、それが回り回って大学改革の、まさに一体的改革の全体の改革をすると、そのことと大学改革の人事・給与システムの改革などが合わさることでシニアの問題、若手の育成にもなるものと。

【甲斐委員】
 いっぱい御説明頂いていますけど、それでも(2)の若手研究者への支援の在り方の中の小項目に入れるのはおかしくないですか。全体だったら、出して、別項目で上げた方が読みやすいと思いますけど。これは、若手支援のためにPIの給料を自分で出せということになるんですか。それがどこにつながるでしょうか。出した方がいいんじゃないの。

【松尾振興企画課長】
 分かりました。

【濵口主査】
 本来の趣旨は、シニアの任期なしの人たちの給与を混合給与にすることによって任期制に移行していただいて、そのポストを若手に回せないかという……。

【甲斐委員】
 深慮遠謀ですよね。そんなふうに読み取れないですよね。

【濵口主査】
 深慮遠謀が全部消えてしまって、そこが。システムのディテールの議論になってしまって、ちょっとずれてしまったかなと。すみません、私の打ち合わせも足りないなと思って、今反省しています。
 はい、藤巻先生。

【藤巻委員】
 この問題については、やっぱりもう少し慎重な議論が必要じゃないかなというのが正直な感想です。先ほどの間接経費の使い方は、大学全体の基盤強化というような形に直接的につながるということで非常に分かりやすい話だったんですけれども、これはそうではなくて、大きなプロジェクトを持っている人が、その人だけが恩恵を受けるというか、研究に専念できるというような形に見えてしまう。ということは、要するに大きなお金を持った人がいい先生だとか、いい研究だということを助長している表現にも見えるわけですね。例えば理論の先生方とか、数学の先生方とか、文系の先生方とか、必ずしも大きなプロジェクトを持っていませんが、それなりの研究時間は当然いるわけで、そういった方々は、全くこれは当てはまらない。そういう意味では、大きな研究を持っている人、イコールいい先生というような図式がどんどん出来上がっていくというような感じがして、そこの部分の検討をもう少ししっかりとするべきじゃないのかなというのが、私の感想です。

【濵口主査】
 どうぞ、橋本さん。

【橋本委員】
 私は違う印象を持っていまして、おっしゃるように、大きな研究費を持ってきている人が偉いわけでもないし、それ以外の先生で大変よい研究をしておられる方もいて、そういう方の環境を守るということも大変重要だと思います。しかし、それは今、大学全体のマネジメントの中で考えるべき問題なのだと思うのです。みんなが今と同じでいいとか、あるいはみんなが研究がたくさんできるようにとか、そういう横並びになってしまうようなことに対する反省というか、それを改革していきましょうという流れの中で、もちろん、みんながそういうふうに自由にできれば一番いいんですけども、なかなかそうはいかない状況なので、しっかりいろんなツールを作りましょうということだと思うんですね。だから、大きな研究費を取れない分野であっても、その大学としてそこが重要だというのであれば、それは大学のマネジメントの中でやればいい。そのためには財源的な余裕がなければできないので、そういうマネジメント経費をいかに持つかという流れの中で、こういう方策があるということだと思います。ですので、いろいろなプールを与えるという意味においては、こういうことを入れることは、私は重要じゃないかなというふうに思います。

【濵口主査】
 竹山先生。

【竹山委員】
 少し話が戻りますが、人件費のところのPIという話ですが、今も濵口先生からシニアの人材が中心というお話をされましたが、実際、若手の先生・研究者たちもいろんな業務が課せられ、研究に集中できないという問題があります。今、文部科学省では、若手の研究者に対して大型研究費や特別な枠を設けているかと思いますので、ここでシニアだけじゃなくて若手も入るべきかと思います。何か月間は研究に専念する時間を持ちましょうという、もっとシンプルな話だと理解していたのですが。シンプルな整理で書き込めば、特にそれでお金を巻き上げられ云々という話にはつながらないかと思います。ですので、世代間をなくして、全体的な話として入れていただけければと思います。

【濵口主査】
 上山先生、どうぞ。

【上山委員】
 甲斐先生をはじめ、先生方の御懸念を伺っていて、そういう見方もあるのかなと思ったんですけども、まず最初に、2のところ若手研究者等への支援の在り方の改善という表現を変えた方がいいんじゃないですか。研究プロジェクト推進への支援の在り方、その1が若手であり、2がPIも含めた研究者、当事者に対する支援という形になって、若手も、あるいはPIも含めた支援ということがあるというふうになると、それはそれできちんとなっているかというふうに思います。もともと直接経費あるいは間接経費から人件費を出すという議論は、今お話あったみたいに、研究者の時間をどうやって作るかということできているわけでありますから、もしそれがある種のプレッシャーとなって、そこの資金が巻き上げられてしまうというような懸念が発生するとすれば、この2のところに、自ら希望する者については当該研究者の人件費についてとありますけれども、あるいは「当該するプロジェクトについてとか」、「そのプロジェクトをより効率的に推進していくためにとか」、そういう言葉を入れると、この経費はその中でうまくマネジメントされていくものだと、つまり大学本部の方がとっていくとか、あるいはそれを根拠に運営費交付金を減らしていくということにはならないのではないでしょうか。そういうような注意を入れておけばいいんじゃないかなというふうに思います。
 もう一つは、この直接経費も間接経費も必ずしもその人が取ってきたものとは限らないということも重要なんだと思うんですね。例えば外部資金を取ってきましたと、そういう直接経費もありますし、大学が本部としてマネジメントの中で、その当該の研究に対して与えるという直接経費もあるわけですね、大学のマネジメントの中で、大学本部のお金として。あるいは間接経費も、その人が取ってきた間接経費とは必ず限らないわけですね。間接経費というのは、もともとそのプロジェクトから発生するお金が大学の中に一旦還流されるわけですから、そこから入ってくる間接経費ということですから、必ずしもそれが間接経費を取れる、大きなプロジェクトで直接経費を取って間接経費を稼いできている人しかこのような恩恵にはならないということにはならないと思います。したがって、例えば人文社会科学系のところが取れないという議論も、さっき藤巻先生の方からありましたけど、例えば人文社会科学系なんか、確かに大型予算は取れないとしても、前にも見せましたように、大学の本部の中に一旦還流された間接経費の中から、その人たちの人件費に値するようなお金が配分されていくということになれば良いのではないかと思います。人文社会科学系の人たちにとっては、研究費というよりも時間の方がとても重要なので、時間をそういうような形である程度大学のマネジメントの中でケアしていただけるということになれば、これは相当程度、人文社会科学にとっても間接経費の使い方として納得できるものがあるんじゃないかなというふうに思います。
 要するに、若手とPIも含めた研究プロジェクトの在り方をどういうふうに支援をしていくかということの中で、直接経費と間接経費の使い方をもう一度提起してくれという意味に読めるように書いていくべきだなというふうに思います。

【濵口主査】
 なかなかまとめにくくなってきておりますが。

【松尾振興企画課長】
 上山先生のおっしゃるような趣旨で、まずここの表題の付け方はおっしゃるとおりだと思うんですけど、そういう流れの中で、この措置はこの目的のためだということをまずはっきりさせた上で、ただ、それでも甲斐先生おっしゃるように、外を一緒に見たときに、そういう御懸念のように見えるということもあり得るので、それをさらに、全体設計というんですか、それはこういうふうにされなければならないということは、なお書きででも併せて書いておいた方がいいような気もするんですよね。なので、そういうふうに案を書いてみるのがいいのかなと今思ったんですが。

【上山委員】
 質問、いいですか。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【上山委員】
 僕の読み方が間違っていたのか分からないですが、ここで、PIは自分の人件費を直接経費から出すことができると。そうすると、そのプロジェクトに関わるお金というのは、それだけ余裕ができますから、若手の人たちを雇ったりすることができて、よりプロジェクトを円滑に、かつ効率的に推進していくことができるわけですよね。じゃないんですか。

【濵口主査】
 プロジェクトの資金は、いわゆる消耗品とか研究費に使う、下がってきます。

【上山委員】
 別に人件費だけではないところにも使っても構わないですけども、直接経費からPIの人件費も出せることができるということが明記されてしまうと、それを根拠に、できるだけ外部資金を取ってきて、それによってPIも含めた人件費を運営費交付金でカバーしないような形で使えというプレッシャーが掛かるということが、甲斐先生の御懸念ですよね。

【甲斐委員】
 承継ポストの人件費分を減らせる。

【上山委員】
 減らされる可能性があるということですよね。ただ、もともとは、これは、プロジェクトをどのような形でより効率的にといいますか、よりうまく推進していくためには、こういう経費の使い方は認めましょうという議論だったわけですよね。だから、そこはちゃんとできるような文言が入っておけば、懸念はずっと……。

【濵口主査】
 もともと先生の言われるコンテクストの議論もいろいろ流れの中にはありますけど、ここは、なぜ若手研究者等への支援の在り方の改善の中に入ったかというと、シニアの方が任期なしのポストをほとんど占めているために、若手が任期付のままで不安定な雇用がずっと増えていると、そちらに雇用されることが。そのシニアの方のポジションを、直接経費から払うということは、要するに任期付に変えると。

【上山委員】
 同じことだと思うんですけど。

【濵口主査】
 任期付に変えて、その上で給与の財源を流動化させることによって任期なしのポストをなるべく若手へ回せるような環境を作りましょうという趣旨で、ここへ入っていると思うんです。そのタイトルを変えるというよりも、大前提としては、それがあって、この条件の、ここに議論がずっと入り過ぎているようなところはある。

【小安委員】
 でも、先生、それを言うと、結局、それは嫌だと拒否する流れがまた出てくるようになりませんか。

【濵口主査】
 現実的には、労務上は、シニアの人は、今パーマネントについている人を任期付にさせるためには、必ず同意がいる状況がありますよね。それをある程度加速化されるような政策がないと、なかなか減らない、うまく移行ができないというバッググランドがあると思うんです。

【小安委員】
 それは今、甲斐先生も上山先生もおっしゃったように、そういうプレッシャーを掛けるということになっているのではないですか。

【橋本委員】
 濱口先生のおっしゃるように、ここはそういう目的なんですよ、明確に。今のおっしゃっているようなことを書き込んだらどうですか。

【小安委員】
 それがちゃんと若手のところに回らずに終わる可能性があります。

【濵口主査】
 回らない可能性がある。

【小安委員】
 可能性を非常に危惧しているというところだと思います。

【濵口主査】
 この状態はですね。

【橋本委員】
 だから、そういうことをしっかり書き込むわけですよ。今、濵口先生が言われた趣旨は全くそのとおりだと思うんですね。実際には若手の安定的な雇用財源を増やすためにどういうことがあるかという議論がいろいろなされている中の、これは1つの方法なんですよね。ですから、そういう課題があるということをもう少し前面に出して書くとか。
 ちなみに、私はちょっと楽観的過ぎるのかも分からないけど、財務省が、これがあるから運営費交付金を減らすという圧力をかけてくるというよりは、大学全体の動き、つまりそういうのとは別の論理で削るとか増えるとかということになるのではないかと思っています。もちろん甲斐先生が御心配になられるような意味のことも起きないような手立ては必要ですが、それよりは大学自身がもっと全体として大きく変革していくというか、そういう意思や姿勢を見せているかどうかということの方が予算の話に与える影響ということでは大きいと思うのです。つまりは、大学は前向きに変わっていくんだということを明確に出していくことの方が重要だという、そういうことを言いたいわけです。

【濵口主査】
 どうぞ。

【佐藤委員】
 若手ということで書くとすれば、本当に濵口先生のおっしゃったようなことを具体的に書かないと、とても伝わらないし、また、書くことは書くことでまた問題はあるわけで難しいと思います。ただ単に直接経費で給与を出せるというなら、しかも、高額の研究費をもらっている方だということであれば、まさにシニアが任期付に移行することを加速できるようなことを考えているとしか見えなくなってくると思うんです。その場合は、外に出すことも考えるべきだと思いますし、本当に先生が書き込む気があれば書き込んでいただくのが最善と思いますが、それは検討が必要だと思います。

【濵口主査】
 資料の72ページを見ていただきたいんですけど、きょうの後ろの方に付いています。72ページのところの22という研究大学における任期付教員の雇用財源というので、2つ問題があって、1つは、任期なしポストが法人化以降、シニアの人にかなりシフトしているということが明らかに見えるということと、併せて、若手が任期付の多様な財源で不安定な状況で雇用されている状況があるということ。これともう一つ言われていることは、財政当局の指摘では、法人化以降、大学は苦しくなったと言っているけど、教員は増えているじゃないかと、あなた方は高齢者の雇用を増やしているではないかと、こういう指摘があるんですね。特にこの上の方を見ていただくと、60歳以上のところ、かなり増えている現実があるんですね。

【甲斐委員】
 定年延長でしょう。

【濵口主査】
 定年延長があるんですよ。そうなんですよ。
【甲斐委員】
 先生、これ、見方が、これはただ定年延長で上がっているだけで、それで若手を全部助教にして、任期付にしてしまったから若手が任期付になって、その准教授以上はそのままでしたから、それが定年延長で延びているだけで、こちら側を積極的に増やしたわけじゃないですよ。

【橋本委員】
 でも、それが問題視されているんですよ。

【甲斐委員】
 だから、全部を任期制にしてしまったら、一気に左に寄っちゃったんですよ。そしたら、誰も大学に来なかった。先ほどの、若手を増やすために使うというふうに言っていますけど、現在、東大なんかは試行的に年俸制にした教授には、そのお金で2人の助教を雇えるというふうに部局に対してインセンティブのように言っているんですよ。それで何人か少し始めていますけど、結局、その助教は任期付なんですよ。助教というのは、もう任期付だって決められてしまったので。だから、結局同じで、若手の人たちは5年の任期のある助教と、ポスドクはそんなに変わらないですよ、給料は変わらないし、助教の方がデューティーが多いんですね。だから、そんなにアトラクティブな改革ではないんですよ。だから、そういうふうにして若手をといいますけど、結局同じことで、任期付の若手が増えるだけなんです。

【濵口主査】
 任期付を増やすだけになってしまう。

【甲斐委員】
 それで人数は、任期付がまた増えていく。それは若手にとって、そんなにアトラクティブでもないということなので、だから、これのメリットがすごい大きいんだというのが、若手の中に入っているということが、あんまり私には感じられないんですね。

【濵口主査】
 上山先生、どうぞ。

【上山委員】
 議論を聞いていて、今までの議論とちょっと交錯しているなというのがイメージとして。僕はこれを素直に読んで、今の2のところで、若手研究者等への支援の在り方の改善の問題だとは読めないんです。1はそうですけど、2はそのまま、濵口先生がおっしゃるように、若手研究者の支援にぴったりくるとは思えないんですよ、これを読んでいるだけだと。つまり、PIの給料を直接経費で払いますと。浮いたお金で任期付じゃないポストを雇えるかどうかって、それは難しいですよね。だって、競争的資金ですから。
 したがって、若手研究者の支援には、ここの表現はそのまま直接はつながらないと思うんです。むしろ、我々の研究費が競争的資金化した以降、現場が苦しんでいるのは、研究者の側にひたすら仕事が増えて研究ができなくなってきている。この状況を改善するためには、どう考えたってもっと人手が要るでしょうという議論から始まったものですね。これは別に自然科学、人文科学、みんな同じだと思うんです。それを任期付きでやるのか、全くのテニュアでやるのか、それはちょっと分からない。恐らくテニュアは難しいと思いますけれども、この2の所で、僕が結構いろいろな議論で御紹介していたのは、アメリカでは直接経費、あるいは間接経費も使いながら、バイアウトの制度を紹介しましたが、研究者の時間を研究費で買うという形で研究環境を非常に改善させているということを、どこかで入れるべきではないですかという議論をいたしました。
 それが、若手研究者のテニュアのポストを確保するために使うという議論になるとは、僕は余り考えていなかったです。というのは、それはやはり運営費交付金でやらなければなかなか難しい話ですから。競争的資金で出てくるような、間接経費も含めた資金で研究者の環境を改善していくとなると、時間を研究資金で買っていくと、それしか手当てはないだろうというのが私の申し上げてきたことで、これは別に自然科学、人文科学に関わりなく、非常に大きなメリットがあるだろうと思います。
 したがって、ここから出てきた、捻出されたもので、任期付きでない、完全にテニュアなポストを確保するための手段とお考えであるならば、それはもうそこに明示的に書かなければ、2の所ではやはりそうは読めないです。
 というのが私の印象です。

【濵口主査】
 分かりました。
 はい、どうぞ。

【橋本委員】
 私の理解は、今はとにかく運営費交付金のほとんどが人件費となって、もうがちがちになって動かなくなっている。マネジメント上も、例えば若手の環境をよくするようなことも、テニュアトラックをもっと導入するようなこともできなくなっている。だから、マネジメント経費をしっかり持たなければいけないと。マネジメント経費というのは、一つは間接経費で、そういうものをもっとマネジメント経費にしましょうということと、もう一つはやはり運営費交付金の中で少し余裕を出すようなことが必要であるということです。その中の一つの手段がこれなのかなと思っているんです。
 要するに、運営費交付金で出している人件費や雇用されているところを、競争的資金でそこがサポートされるわけですから、その分だけ運営費交付金が浮いて余裕が出る。そういう余裕を持った中で、若手の人事制度をどのように導入していくかというのは、やはり大学の執行部のフィロソフィーだと思うんです。甲斐先生のおっしゃるように、全部5年ずつの任期付きのものばかりにするのか、あるいは、そういう中にテニュアトラック制を導入していくのか。それは、それぞれの大学のマネジメントの中でしっかりと考えていただく。併せて、先ほど申し上げたように、国全体としても卓越研究員制度のようなテニュアトラック制をしっかりと入れていく。全体がセットになって若手の環境をよくしていくと、こういう施策を目指すべきなのではないかというのが私の考えです。

【濵口主査】
 竹山委員。

【竹山委員】
 人件費を少し浮かせて、というお話は次に来ることかと思います。上山先生がおっしゃったように、初めの4行ぐらいに書かれていることを素直に読んで理解するのであれば、やはり研究をするために時間が必要であり、自分の時間を買うというシンプルな話ではないでしょうか。
 実際、研究費で自分の給料を補填することは、研究費が減るということですが、それをしても自分の時間を買うということは、やはり本人が選ぶことかと思います。副次的に、そのお金が大学の方に戻る部分があって、それをどう使うかというのは大学のマネジメントだと思います。それをあてにするのは本末転倒であり、大型予算を取ってきたら、必ず人件費分の何%を出せというのは問題かと思います。副次的なところが最初に入ってきて、その意図でこの文章をまた変えてしまうと、先ほどの甲斐先生の話みたいなことも出てきてしまうかと思います。
 若手教員・研究者も同様です。若い時期にどれだけ充実した研究ができるかはその後の研究に大きく影響を及ぼします。若手の人に振られる雑用も多く、研究時間が減っているのはシニア層と同じです。その現状を緩和するためにも、自分の時間を買うというのは若手に当てはまることかと思います。それゆえ、このような文章が書かれたと理解しています。

【濵口主査】
 そうすると、7ページの欄外の6の所にあるバイアウト制度をもう少し上に入れて、研究者の繁忙性を下げるために、研究に集中できるための柔軟な制度をもう少し検討すべきではないか、その中に直接経費の雇用への活用があるのではないかというようなラインでまとめてはどうかと、今、思っておりますが、いかがでしょうか。

【松尾振興企画課長】
 すみません、事務的に整理が悪かったので本当に申し訳なかったんですが、橋本先生がおっしゃったように、実はもともとの出発点は、若手育成のためにツールとしてこれはどうだろうかというところから議論はスタートしていて、CSTIの整理も基本的にはそうなっているんです。人事・給与システムの改革を前提としてですけれども、若手育成のためにこういうことが考えられるべきだという位置付けがちゃんとあって、それがあるというのも事実です。他方で、私どもはそれだけではなくて、競争的研究費の改革という面でポジティブな面を探しに行って、今回、自分で自分の時間を買うというか、研究時間の減少に歯止めを掛けるような、そういうことを併せて持ってきて、多分、その2つが混在してしまったので、訳の分からない議論にしてしまったんだろうと大変申し訳なく思っております。
 したがって、今、先生おっしゃられたとおり、バイアウトという書き方も含めて、シンプルなところがまずあって、かつ、これは大学等の人事・給与システムと併せて、一体的改革の中で若手育成にも資していくと。そこがちゃんと整理されればですけれども、いろいろな懸念を書かなければいけないと思うんですけれども、そういう面もちゃんともう一つあって、その2つをちゃんと両方書いて、2つとも書いて、全体を分けて整理していくと分かりやすくなるのかなと思いましたけれども、やはりどちらかでないとまずいですか。

【若山委員】
 よろしいですか。

【濵口主査】
 若山先生。

【若山委員】
 もう御指摘のように2つの面であって、やはり時間を作るということと、それから橋本先生がおっしゃったような、今、御説明あった趣旨ですね。それはすごく分かって、直接それで若手を雇用するとかいうことではなくても、やはり若手の育成にちゃんと資していくものだと思います。
 一方で、前のセクションで、私は、シニア研究者の流動性ということで疑問を呈しましたのは、このことも少し関係していまして、これはどちらかというと、問題となる低いアクティビティーの研究者というよりは高いアクティビティーの研究者なんですね。そういう意味で、ちょっと気になるなと思ったわけです。60以上というのは甲斐先生が御指摘になったとおりだと思うんですけれども、やはり人を率いて本当にアクティブな研究者は、多分、50代とか40代後半なのではないか。そこのところがこれだと十分に反映されていない感じがします。そこでやはり、私はその2点、バイアウトに関することとか、大学のマネジメントの、余裕を持たせるということ、それによって全体としてよくしていくことに使うということには賛成です。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【大垣主査代理】
 先ほど途中で濵口主査が、若手研究者等へのという(2)の見出しのことで、そのようなことになり掛けたような気がしますけれども、今のお話を伺っていると、やはり競争的資金に基づく研究を推進する研究者の環境を改善するための議論というようになると、6ページの(2)若手研究者等への支援の在り方の改善というのをまず直すと中が変わるのではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。

【濵口主査】
 見出しですね。

【大垣主査代理】
 ええ。そもそも競争的研究費改革ですので、研究費に基づいて研究するための周辺環境を整備すると、全体がそういうトーンになっていると思いますので、提案なんですが。

【松尾振興企画課長】
 あり得ると思います。前回、骨子を御議論していただいたときは、実は人材問題に対する対応の強化みたいにして、人材問題と今のことをくくってしまうのがいいかどうかという問題はありますけれども、必ずしも若手とだけ言ってないように骨子のときもくくっていましたので、等はついていますけれども、別に今の表題に最後までこだわるつもりもないです。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【橋本委員】
 今、若山先生のおっしゃったことで私も気づいたんですけれども、これはもともと一つは、若山先生がおっしゃったように、シニアになって、アクティビティーの高い方は全然問題ないのですが、高くない方に対しての給与体系をどうするのかということもしっかり考えましょうということがあったわけです。それが3つ目のポツの所に、「年俸制等により業績が適切に評価・反映される給与体系が適用されることが所属大学等のルールとして定められていること」という形で書かれているのですが、その頭が「対象となる研究代表者に対して」となっているので、アクティビティーの高い人だけにこれが掛かってしまっているのですね。そこが問題なんです。余りダイレクトに書けないということはよく分かっているんですけれども、この表現ですとアクティビティーの高い人にだけこれが掛かってしまっていますので、是非、そこは書き方を検討していただきたいと思います。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【佐藤委員】
 直接経費でPIの給与を出せることになったとき、実際どういうことが起こるかといえば、前回申し上げたように、基本的にはシニアの方が大型の競争的資金を取る力が強いので、結局そういう方がなられる。私はシニアが後までも活躍できるようになることも良いことだと思うんです。ただし、そのときには必ず年俸制に移り、そういうことで若い人に承継職員のポジションが渡るということが必要なわけです。
具体的に文部科学省が今、進めている年俸制に承継職員が移るというシステムと連動するとか、具体的にもうちょっと書かないと、この趣旨は伝わらないと思います。直接経費を給与に使えるということに関しては、我々の意図を明確に書くべきだと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 ちょっとお時間、押しておりますので、ここの項目の議論は取りあえずここら辺りで、もう少し単純にする形でまとめさせていただいて、それをどう検討するかは後でもう一回御相談するということでよろしいですか。

【松尾振興企画課長】
 はい。先ほど若山先生おっしゃられたように、2つの論点をちゃんと書いて、一つ一つちゃんと分かりやすく書いて、トータルとしてこういうものなんだという案を1回作らせていただいて、御相談させていただければと思います。

【濵口主査】
 すみません、よろしくお願いします。きょうの一番難しい所はここです。
 次、(3)研究設備・機器の共用の促進に移りたいと思います。こちらは大分合意ができていると思います。まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。

【松尾振興企画課長】
 8ページの(3)でございます。研究設備・機器の共用の促進ということで、まず、前回の骨子のときには、その前の回で、議論用ペーパーで御議論いただいたときの共用の必要性というものが骨子からぱかんと落ちている、参考資料に落ちている状態でしたので、共用促進の必要性を改めて本文の方に、コンパクトな形で持ってきたというのが骨子からの大きな変更点です。
 最初が共用促進の必要性なんですけれども、最初の白丸の所は総合政策特別委員会のものを要約しておりまして、設備・機器の共用の促進というのはこれだけ有意義なことだとコンパクトにまとめさせていただいた上で、2つ目の白丸ですけれども、そういった共用というのは科学技術イノベーション政策全体に大きく貢献するのみならず、これは前回の骨子にも入っていましたけれども、それぞれのステークホルダーにとって以下のような、以下から申し上げますが、そういう効果も期待されるのであって、イノベーションシステムの構造化と言ってもいいようなものになるのではないか。
 研究者にとっての利点、効果ということで、2つ黒ポツが書いてありますが、設備・機器の維持管理に掛かるコストの低減、その分、研究費が有効に活用できる、専門的な技術支援員等を大学等が措置してくれることで、研究時間の確保や、より高精度の実験が可能になる、またスペースの効率化も可能になる。特にということで、海外のこともありますけれども、若手研究者が共用設備・機器を利用する、活用できるということから、大型の競争的研究費が取れなくても、取れる前であっても、先端的な研究課題に取り組むことができるのではないかということ。
 それから、大学等研究機関にとっては、計画的・戦略的に設備・機能整備を行っていけるということと、卓越した研究者を国内外からリクルートするということや、産学連携を大きく活性化することが可能なのではないかということ。それから、3つ目の黒ポツですが、技術者・技術支援者等の専門人材の育成と、キャリアパスというものの確立が期待できるのではないかという、それぞれの効果をまとめさせていただいております。
 9ページ目のこれまでの取組ですが、ここもコンパクトにまとめさせていただきましたけれども、まず、科研費において複数の合算使用によって共同購入ができるようになって、その後、科研費と、JSPSとJSTの間で合算して共同で設備・機器を購入できるようになって、この3月末には、あくまでも補助金形態のものに限られてしまっていますけれども、政府全体で合算使用による購入が共通ルール化された、というところまで来ているということであります。
 本検討会でヒアリングいただいた熊本大学、北海道大学において組織的に取り組んでいるという事例はあるけれども、まだまだ多くない、少ない。科学技術・学術政策研究所のアンケート調査等によれば、やはり大学等における組織的な取組が重要であったということです。
 今後の取組ですけれども、1つ目の白丸に書いてありますとおり、研究費の直接経費によって購入した機器の共用を一層に進めるとともに、先ほど出てまいりましたマル2の所に書いてありますが、特に間接経費を活用して組織として設備・機器の共用促進に継続的、戦略的に取り組むことが奨励されるべきであろうということで、2つ目の白丸、具体的には、ここは前回の御議論を受けて極めてシンプルに書きましたけれども、「汎用性が高く、比較的大型の設備・機器」については、複数の合算による購入の場合を含めて、公的資金が原資となっていることも踏まえて、研究者同士での共同購入を奨励するとともに、共用を原則とすることが適当なのではないかということです。
 3つ目の白丸に、ただしということで、そのルールを一律に定めることは適切ではないと思われますので、汎用性が高くて比較的大型というのが一体何を指すのか、それから、それぞれの組織で共用とする体制はどんなものがいいのか、設備・機器の共用をいつから開始するのがいいのか、研究者の異動の場合にどうするのかという扱いについては、個別具体的に各研究機関において、それぞれの特徴、特性に合わせて決めていっていただくのがいいのではないかということであります。ただ、その際に、この白丸の下から3行目ぐらいに書いてありますけれども、こういった考え方だということはちゃんと私どもから、研究機関の事務職員も含めて、しっかり御説明をしないといけないかなとは思っております。
 「併せて」という最後の丸ですけれども、各競争的研究費の審査の際に、比較的大型の物がそれぞれの定める共用の仕組みによって扱われることを確認するとしてはいかがか。
 次のページ、10ページ目ですけれども、一番上の白丸は制度改正の話なわけですが、このような共用促進を進めるために、公募要領とか取扱規定にしっかり適切な形で明示をするべきであるということ。合算使用というものを、先ほど補助金形態のものに限られると申し上げましたが、それを原則として全ての競争的研究費に広げるということの制度的改善をしっかり連携させていただいて、政府全体で措置をしていくべきであろうということ。それから、多少繰り返しになって、くどいほど書きましたけれども、間接経費を活用することの有効性も含めて、研究機関であるとか研究者、事務職員などに、私どもから周知を図ることが必要なのではないかということ。間接経費に係る情報公表の一環として、共用のための仕組みと実績というものが、各大学等から公表されていくようなことがいいのではないかということです。
 一番最後の「なお」ですけれども、ここは留意事項ということで、既存の共用化促進事業との整合性をちゃんと考えなければいけないということ。2行目の所にありますけれども、直接経費で共用設備・機器を購入した場合には、その経費の全部又は一部を間接経費とみなすという扱いができるような仕組みも、検討していく必要があるということを書かせていただいております。
 施設共用の所は以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 前回の議論を踏まえて、金額等の記述は外したということと、それから実際の運用のディーテルは各大学の判断に委ねるという方向で文章を作っていただいたと思いますが、いかがでしょうか。議論があるとすると、一番最後の丸の所ぐらいかなと思います。直接経費と間接経費の境目をどうするかというところです。大筋は反論がない、皆さん御理解いただいている課題だと思いますが、よろしいでしょうか。このままでよろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

【大垣主査代理】
 大変細かい所、恐縮です。10ページの(4)の前の最後の丸、前回もちょっと質問したんですけれども、文章は変わっているんですが、意味が取れないので質問なんですが、直接経費で購入した場合に、その経費の全部、又は一部を間接経費とみなすことができるというのは、このみなすというのはどういう作業になるのかというのが、私、個人的に分からないものだから質問していたんですが、改めて意味合いはどういうことなんでしょうか。

【濵口主査】
 いかがですか。まず、これ、年度をまたがってできるのかなとか、ありますよね。
 はい、どうぞ。

【岩渕基礎研究推進室長】
 作文した意図としましては、大型の経費、直接経費で買うよりも間接経費で組織的に管理した方が得であると、効果的であるという観点です。例えば、2,000万円の機器を直接経費で買うという場合に、30%の間接経費の例外として、30%プラス2,000万円までは間接経費とみなすことができるというルールを考えた方がよいのではないかという意見が委員の方からありましたので、こういう作文をしました。その場合、間接経費30%の原則を超える可能性があるということになり、これは間接経費は30%までというこれまでのルールの例外になるかもしれません。そこで、こういうことが可能なのかどうかということを含めて検討する必要がある、という趣旨で書かせていただきました。

【濵口主査】
 間接経費で買おうとしたら、金額が高額になり過ぎるということですね。

【大垣主査代理】
 私の疑問は、購入という行為をするのは、直接経費が配分されて買うわけですから、もう既に直接経費、間接経費の配分が決まった後になりますよね。そうすると、その後、何を、どういう手続でこういうことが起き得るのかということが分からないだけなんです。

【岩渕基礎研究推進室長】
 直接経費で申請をして研究費を獲得した後で、実際に委託契約等を結ぶ際に、共用する研究機器の扱いを直接経費として契約をするのか、間接経費として契約をするのかということについて、ファンディングエージェンシーと大学の間で協議するということがありえます。

【大垣主査代理】
 そうすると、直接経費はそのまま、だから2,000万円の物を買って間接経費に移ると、直接経費は2,000万円減った状態のままだと、そういうことですよね。

【岩渕基礎研究推進室長】
 そうです。

【大垣主査代理】
 はい、分かりました。

【濵口主査】
 本来、直接経費で買う計器を一部、間接経費で工面することによって、その後、共用化を促進することができるということです。

【大垣主査代理】
 ああ、共用化。

【濵口主査】
 どうぞ。

【甲斐委員】
 やはり私、よく分かってないんですけれども、共用化のためということですよね。だから、直接経費で買って、そのプロジェクトがある期間は、その人は当然ながらその目的に使えるわけですよね。もちろん共用にするというのは、同意すればいいだけですから、自分は使えるわけですね。ただ、終わった後に、直接経費だと違う機関に移った場合にその機器を移せるんですよね。そういうことがあると困るから間接経費にしろと、そういうことですか。

【岩渕基礎研究推進室長】
 そういう場合も含めてそうですし……。

【甲斐委員】
 そういう場合? そうではない場合って……。

【岩渕基礎研究推進室長】
 このなお書き以前の部分では、全て直接経費で設備・機器を買うことになっていますけれども、なお書きの部分については、間接経費で機器を買うということを書いています。

【甲斐委員】
 間接経費で機器を買うのは全然問題ないですよね。

【岩渕基礎研究推進室長】
 そうです。したがって、直接経費……。

【濵口主査】
 このリスクは、全体の整合性をきっちり含めて、大学全体として、あるいは研究所全体として、こういう機器が必要であるという判断の下に間接経費で買うという姿勢から、個人の研究者が大型資金を取ったから、これを間接経費で買えというプレッシャーの方にシフトするような気もするんです。

【甲斐委員】
 ああ、そうか。

【濵口主査】
 よく議論しないと、ここはちょっとリスクがあると思っています。

【橋本委員】
 そういうリスクも含めて、個人の研究者にプレッシャーがかかるようなことはよくないので、そういうことにならないように気を付けないといけないと思うのですが、一方で共有化という観点では、ある機関で比較的大型の装置が欲しいということがあり、しかし、ある個人が取ってきた直接経費だけではその人も買えないような物であるときには、合わせて有効に使うことはできますよね。これは、大学なり研究機関なりがうまく使えるような制度を導入するという目的で、多分、書いていただいているんだと思うので、それは、何というか、何か悪いことがあるというよりは、よくなるようなことをしっかりと議論するべきということが書かれているのではないかと、私は理解しているのですが。

【濵口主査】
 大学のマネジメントが……。

【甲斐委員】
 今、橋本先生がおっしゃられたことは、今の科研費では全然アプルーバルされている、認められていることですので、改めて書く必要ないんですよ。直接経費をいろいろな人のものと合わせて、あるいは一部を大学の間接経費とも合わせて、みんなで共用の大型の物を買うということは、科研費ではもう既に認められていることなので。

【橋本委員】
 これは、科研費だけのことを書いているものではありませんので。

【甲斐委員】
 だったら、そういうようにそういう制度を広めるというように書いた方が分かりやすいです。直接経費で買った物が、買ったのに間接経費とみなすと言われると、目的外使用とか、それから自分の買った直接経費の使用のことを書きづらくなりますよね。その分が減ってしまって、それは間接経費としてあげたみたいになってしまうので、おかしくならないかすごく心配します。

【橋本委員】
 だから、いい点と悪い点があるとは思うのですが、これはそういうふうに言われないようにするための制度ですよね。
【甲斐委員】
 だから、書き方を気を付ける。

【松尾振興企画課長】
 よろしゅうございますか。すみません。
 ここは、まさに共用の促進の観点からと書いたのは、このルールは必ずこうやらなければいけないというように画一的に決めるべきものではきっとなくて、現場にとって間接経費に振り替わった方がより研究機関、研究者にとってもハッピーだということなら、それができるようにしようということだと思うというか、私が言ってはいけないですが、そういうことなので。

【甲斐委員】
 すごい心配なのは、100%あった直接経費の一部を間接経費に振り分けるわけですよね。

【松尾振興企画課長】
 はい。

【甲斐委員】
 それは、今の直接経費の考え方から認められていないですよね。

【松尾振興企画課長】
 今は認められていません。

【甲斐委員】
 購入の積立てをすごいしっかり書かされるじゃないですか。

【松尾振興企画課長】
 はい。

【甲斐委員】
 だから、直接経費はこれだけ必要ですと書いたのに、もらってしまった後、この2,000万円は間接経費に替えて大学にあげますというのは、今、許されていないので、さらっと書かれているけれども、結構大きな変更を含んでいると思うんですよ。その割には説明がないからよく分からないので、ちゃんと注意して書いた方がいいと思うんです。今まで皆さんが挙げられた例は、全部、今でも直接経費のまま使えるんです。大学で皆さんと合算して機器も買っています。直接経費が終わった後、移しては嫌だという場合は、終わったら大学に残すよう間接経費と合わせてというように、そういう制度にしなさいとか、そういうことを約束させることを可としなさいというだけでいいわけです。そのプロジェクトが終わるまでは、直接経費はその目的にしか使えないですけれども、終わった後に関して科学研究費でいろいろなことを言ってないですよね。必ず研究者が持っていかなければいけないとか何か書いていないわけですから、それはちゃんといろいろ書いた方がいいかもしれないですけれども、この書き方だと、もっと広く、今の制度自体がおかしくならないかなと心配します。書き方をちょっと注意して。

【松尾振興企画課長】
 はい、分かりました。前提を、例示かもしれませんが、ちゃんと書いた方がいいのかなと思いましたので、そこは適切に加えたいと思います。

【橋本委員】
 でも、やはり今の状況よりももっと共用化が進むような、そういうことが進みやすい制度も導入するということが重要だと思います。

【松尾振興企画課長】
 おっしゃるとおりです。共用を促進する観点からというのは、まさにそのために書いていて、別にここを削るつもりはないです。多分、これが裸で書かれていると、いろいろなことに誤解をされてしまい得るので、そうではない、もうちょっと……。

【甲斐委員】
 直接経費の一部を間接経費に振り替えられるというのは、すごい大きな変更だと思うんです。

【松尾振興企画課長】
 はい。ですから……。

【甲斐委員】
 そうすると、積み上げた積算根拠というものがめちゃくちゃになってしまいますよね。取ってしまった後、その一部を間接経費に替えることができると読めてしまうので、おかしくないですか。

【松尾振興企画課長】
 ですから、まさに今の制度ではできないので、今後、検討しようということなんですが。

【甲斐委員】
 検討してはいけないんじゃないですか。

【松尾振興企画課長】
 共用の促進の観点から、要するに組織的な取組をやった方がより施設の共用が進むということが現場であれば、そういうようにも使えるようにした方が、より使い勝手がよくなるよねということなんです。

【甲斐委員】
 うまく書いてほしいです。これ、危険だと思います。

【松尾振興企画課長】
 ちょっと裸になって書かれていると、多分、危険だと思いますので、そういう趣旨をもうちょっとちゃんと書いておけばいいのかなと思いました。

【前澤企画室長】
 すみません、ちょっと一言だけ。この御提案の基にありましたのは、科研費では本当に今、問題ございませんし、むしろこの報告書にも科研費の合算使用をもっと広げていこうということはしっかり書き込んでいるんですけも、例えば委託契約のような場合に、かなりその契約に縛られて、本当にそのプロジェクトのためにしか機器を使えないというようなことがあり、これをもう少し共用にできないのかと、そういう問題意識があったかと思います。
 ただし、本当にここを、直接経費を間接経費にするというのは、甲斐委員の御指摘のとおり大きな変更ですので、どういう方策があるのか、ちょっとそこは個別の事業ではなくて、本当に大きな制度変更になるかと思いますので、しっかり検討が必要かと思っております。
 すみません、この記述の趣旨だけ御説明させていただきました。

【濵口主査】
 委託契約等の場合とか、もう少し入れた方がいいか分からないですね。科研費の制度設計全体の検討になってしまいますね。

【前澤企画室長】
 科研費は、共用などはかなり進められるような制度になっております。

【甲斐委員】
 ちゃんと共用ができるようにと書いた方がよくて、直接経費を間接経費に替えられるというのは物すごく大きな変更なので、危険だと思います。しかも、獲得した後で、直接経費の何千万円は間接経費に振り替えるなんていうことを研究者が自由にできる制度というのは大きな変更なので、よくないと思います。

【濵口主査】
 研究プロジェクトの正当性がなくなるような行為に映りかねないですね。
 知野委員、そう思わないですか。研究者が勝手に、実は根拠は曖昧なんだけれども、何千万円必要であると言っているように見えかねない。社会から見た場合、ちょっとそういうリスクがありますね。

【知野委員】
 そうですね。

【若山委員】
 30%根拠がややこしくなります。

【甲斐委員】
 うん、ややこしくなる。

【若山委員】
 そこはやはりちゃんとしておいた方が良いですね。でないと、最初に先生がおっしゃったような心配が出てくると思います。

【濵口主査】
 そうですね。ちょっとまだ未成熟のような。

【前澤企画室長】
 濵口主査が先ほどおっしゃられた、大型研究費を取った方に何か共用機器を買うようなプレッシャーが過度に掛かるようなとか、いろいろな留意事項があると思いますので、その辺も気を付けた記載に。ただ、基本的に共用といいますのは、研究者の方からボトムアップで、もっと共用できるように研究費の仕組みをよくしてほしいというような希望、これは科研費の方にも寄せられておりまして、合算使用などもむしろボトムアップの提案で制度化しているものでございますので、ちょっとその辺のバランス、バランスというのは都合のいい言葉ですけれども、そういうものを気を付けた記載にすることが必要なのかなと思います。

【小安委員】
 委託費のことを言ったのは、多分、私だと思います。そのときに私は規制緩和をしてほしいと言ったのですが、それがこういう文で表れるとは思いませんでした。やはり何か別の表現で書いていただいた方がいいのではないかと思います。

【濵口主査】
 ちょっと……。

【松尾振興企画課長】
 すみません。委託費の規制緩和は、まさにその上の丸の所にしっかり書き込んだつもりであります。なので、ここの所はまず検討する、今の丸の所は検討するということで留意事項を思い付く限り書くべきであって、それがなくて、これだけぽんと出ているので、何か意味がよく分からないということだと思われますので、目的と留意事項をちゃんと書いて、ちょっと案文にして御相談したいと思います。

【小安委員】
 そうしてください。でないと、規制緩和が直接経費を間接経費にできることだというように受け取られるとまずいと思います。

【松尾振興企画課長】
 はい。

【濵口主査】
 すみません、お時間ございませんので、ここはもう一度整理させていただきます。最後の丸の所です。それでは、ここの所は終わりたいと思います。
 続きまして、ちょっとお時間ございませんので、(4)と(5)を併せて御検討いただきたいと思います。(4)使い勝手の一層の向上等、それから(5)研究力強化に向けた研究費改革の加速、この2点について、まず事務局から説明をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 10ページ目の(4)でございますが、使い勝手の一層の向上等ということで、ここは極めてシンプルな内容でございます。
 最初の丸で、使い勝手の向上というのはこういうことで、もちろんですけれども、重要な取組であって常に念頭に置かなければならないという精神論を書いた上で、今まではいわゆる競争的資金というものでルールの統一を図ってきたわけですが、一番最後の丸にあるように、それ以外の全ての競争的な研究費について同様のルールを拡大していかなければなりません、やっていきましょうということが書いてあります。
 (5)は、研究力強化に向けた研究費改革の加速ということで、冒頭申し上げたようにシームレスな連携と科研費戦略創造、それぞれの改革について改めて触れているところであります。
 まず、小見出しのシームレスな連携の所ですけれども、競争的研究費全体を俯瞰して、それぞれの制度の目的等を明確にした上で、データベース等を活用して一層の可視化等をやっていくことは重要だということで、下から4行目ですけれども、その際、学術研究については裾野を広く、かつ一定程度腰を据えて、目的基礎研究については選択と集中を図って配分するということを基本的な考え方としてはどうか。これは前回も書いてありましたけれども、そういうことをここに書かせていただいております。
 11ページ目ですが、そのためには科研費データベースの更なる活用を進めるほか、外から見た、研究者等からの通覧性の向上でございますとか、ファンディングの効果的な企画・運営とか、過度な集中を排除できる審査等に資するために、いわゆる研究費マップというものを政府全体で考えてはどうか。文部科学省の素案というのは、何回か前に御議論を頂きましたが、あくまでもたたき台ですので、それをここでも参考に付けていますが、こういうものを材料にしながら、政府全体で議論していくというように提案していってはどうかということであります。
 「また」という所ですが、FMDB(ファンディング・マネジメント・データベース)でJST、JSPSが成果情報の共用の仕組みというものをやりつつあるわけなんですが、これも参考に、ほかのファンディング機関も含めて、広く成果情報の共有を図っていくことが有効であろうということを書いています。
 諸外国との制度との連携という意味で、アワードイヤーギャップのことが上から3つ目の丸に書いてありますが、JSTが、中長期目標期間をまたぐところは今でも不可能なのですが、複数年にわたる委託契約を可能にしていますので、こういった事例をほかのところにも推奨していくことがいいのではないか。それから、科研費の基金にあるように、基金化のメリットについても留意していくことが必要であろうということを書かせていただいております。
 次からは個別の研究費ですけれども、最初は科研費であります。科研費は、我が国の学術研究の根幹を支える競争的研究費であるという基本認識を述べさせていただいた上で、その改革・強化を図っていくことが重要であって、ここで西尾先生がプレゼンされましたけれども、学術分科会がまとめられたものの中身の具体化と実行が急務になっていますと。
 一番下の丸ですけれども、今年度から国際共同研究加速基金というものが創設されて動き出そうとしているわけですが、4行目の所で、括弧の中にありますとおり、今後は海外の優秀な外国人研究者を日本に招聘して、国際共同研究の中核とするための方策などについて、新たな取組について検討することが考えられるということ。それから、一番下ですが、特設分野研究についても拡充が望まれるということが書いてあります。
 12ページ目ですが、一番上の丸で、科研費改革の実施方針、工程表を策定した上で、第5期期間中における取組を総合的に展開していくことが重要だと。下から3行目辺りですが、その際、ここでの御検討の方向性も踏まえて、若手等の自立や挑戦を積極的に支援していく仕組みについて検討されることが望まれるということを書いております。
 それから、戦略創造ですけれども、学術研究と応用研究・開発研究の間をシームレスにつなぐという重要な位置付けにありますので、全体として改革・強化を図っていくことが重要だと。先ほど申し上げたFMDB等を使って、戦略目標を設定するというやり方をやり始めているところですけれども、そういったことであるとか、まさにその位置付け、性格を踏まえて事業を適切に進めるといったPDCAサイクルを、透明性ある議論の下でしっかり回すということで、シームレスな連携とか、産業界との連携を段階的に進めていくという仕組みの強化を図っていくことが必要なのではないか。
 特にCRESTについては、前にも御説明申し上げましたが、いわゆるスモールスタート方式というものの導入を検討してはどうかということであります。また、成果を下流につなげるための仕組みの強化も、併せて検討するべきではないかということです。
 最後の丸ですが、戦略目標の策定の当初から国際展開も踏まえた検討が必要ということでありますとか、3行目からありますが、分野・領域の特性に応じて外国人研究者をPIとして我が国に招聘して実施するプロジェクトに、重点支援を行うことの可能性も検討してはどうかということです。
 最後、13ページ目が4.今後の対応ですけれども、これも前回、骨子のときに同じような趣旨で既に御提案させていただきましたが、昨年秋以降、産業競争力会議における議論、そしてCSTIが第5期に向けた議論、それから大学改革における議論というものが進んでおって、競争的研究費改革も大きなテーマとして取り上げられてきていると。
 この検討会は、本年2月から議論を重ねて、今般、中間的な取りまとめをすることとした。今後、CSTIでの検討とか、大学改革に関する検討等の状況を踏まえつつ、更に横断的な検討を行う必要がある事項につき検討を深めていくこととする。
 また、個々の研究費については、この中間取りまとめに基づいて、科学技術・学術審議会等でのより詳細な検討も踏まえて、政府において速やかに必要な対応等が具体化されることを期待する。
 このようにまとめさせていただいております。以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 それでは、残りのお時間、この(4)(5)の点に関して御意見いただければと思いますが、どうぞ、若山先生。

【若山委員】
 まず、(5)のシームレスな連携等の最初の丸で、視野を広く、かつ一定程度腰を据えてと。腰を据えてというのは、誰が腰を据えるのかというのはありますけれども、これは長期的な視野に立つとか、今、視野に入っていないところに対してもという言葉でお書きになっていると考えてよろしいでしょうか。

【濵口主査】
 そうですね。

【松尾振興企画課長】
 はい。

【若山委員】
 それで、ちょっと全体にも関わることなんですけれども、どこかに人文社会系という言葉を、この文章の中にも入れていただきたいと思うんです。といいますのは、今、ここに関係することで、人文社会系といっても目的基礎研究になり得るということは十分あるんですけれども、どうも日本においては、人文社会系という言葉を何となく持ち出しているけれども、目的研究とか、前面に進めるということに関して危機感がなさ過ぎるような感じがしています。
 日本というのは要素技術は非常に優れていて、例えば理論でも、数学でもそうですけれども、第一級のプロブレムソルバーが多くいます。しかしながら、考えていなかったような新しい物を作っていくというところが、それに比べるとちょっと下回っていると思います。例えば、スマートフォンだって日本の技術がいっぱい入っていて、スペースシャトルだって日本の技術ばかりなのに、全体を造るのはいずれも日本ではないということになってしまっています。
 それは、大学のガバナンスがあって、大学は総長のガバナンスで人文社会系を強くしていくということができればいいわけですけれども、やはりこういう所に一つそういう言葉がきちんと入っているということが、競争的資金の運用においても非常に大事になるのではないかと思いますので、人文社会系という言葉を文脈を考えずに入れるのは違和感があるかもしれませんが、是非どこかうまくここに入れていただきたいと思います。

【濵口主査】
 きのうの新聞発表では、人文社会系の転換を図るべきだと出ていましたけれども、それとこの話題は絡んでくると思います。

【松尾振興企画課長】
 一番最初に御説明申し上げたように、最初の状況認識の所で、1ページ目ですけれども、まさに人社も含めて多様な知識と価値で、その連携・融合が必要だということはしっかり基本方針の所で言わせていただいたんですけれども、最後の科研費とか戦略創造の所にも、先生おっしゃるようにうまく、何といいますか、書いてみたいと思います。

【濵口主査】
 一番の問題は、人文社会系が文献の研究に陥り過ぎていて、パースペクティブな、現代的な課題に、日本社会としてどう戦略的に取り組むべきかという研究が薄いように思うんです。その誘導がないと、恐らく従来型の文献検索のままでずうっと行ってしまうのではないか。

【若山委員】
 それなら、先ほどちょっと申し上げた、学術研究もあるでしょうか、その他に目的研究という所にうまく書いていくのがいいのかなと思う次第です。ただ、自然の摂理の解明とか、摂理を用いて何か作るというのとは、やや違っていて、人文社会系の研究はある意味で社会を動かすみたいなところがあるわけですよね。ですから、そういう意味でも、目的基礎研究という所に人文社会系を書けるような形で、ここに入れていただきたいというのが私の考えです。

【小安委員】
 よろしいですか。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【小安委員】
 私も、それをサポートします。たしかJSTの方が来られたときに、私は戦略目標の策定のときに人文社会系の視点を入れた方がいいと言ったと思いますが、それがまさに今、おっしゃったようなところになると思います。ですから、何らかの形でここに入れていただけると、特に戦略創造の所には、戦略目標の設定みたいなことも書かれていますので、最初の連携の強化という所にそれを入れるのは非常に大事なことのような気がします。

【濵口主査】
 上山先生、どうぞ。

【上山委員】
 僕はこの中でただ一人、人文社会科学系なので発言させていただきます。人文学は文献研究だけに拘泥しているというお話がありましたが、恐らく自然科学系の先生方も、アナロジーとして考えると、自然科学系の人たちもやはり非常に基礎研究、天文学も含めて、ほとんど目的性と関わりないところからどれほど多くの養分を、それぞれの応用系の学者の人たちは得ているかということが実はあって、人文科学系の人たちにとって、文献とか、歴史的な資料を読むというのは非常に時間が掛かり、かつ個人でやらなければいけない仕事で、これはやはりどこかで守らないといけないところがある。そういうところから出てきた養分は現代的な目的に合致していることも多い。先ほどありましたけれども、日本の大学で非常に欠けているのは、人文科学的な素養を持っている人たちのフレキシブルなアイデアを、科学技術の中に生かしていくというオープンソースのプラットフォーム型のものの融合が、実はなかなか弱いんです。

【濵口主査】
 つながれていないということですね。

【上山委員】
 その要請に対して、人文社会科学系の人たちはうまく対応し切れていない、あるいは、そのような人材の作り方に失敗しているという気がします。社会的な課題を突きつけられたときに、恐らく自然科学系の人たちにとっては、社会の問題を考えるときに、自然科学で取り扱いきれていない変数が何なのか教えてほしいという要求はありますね。やはり自然科学系の学問だけではなかなか解けない問題があって、その課題にどういう形で人文社会科学系の人たちが関わっていくのか。人文社会科学の根底になるような要素を守るとともに、そのような新しい可能性も伸ばしていくシステムをやはり考えないといけない。そこで非常にいいハーモニーが生まれてくるのではないでしょうか。それをどこかで日本のアカデミアも考えるべきだとは常に思っております。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 松尾課長、どういうように入れましょう。

【松尾振興企画課長】
 少なくとも、先生から御指摘ございました戦略目標の策定の所に、人社のことを含めて書くことはもちろん可能ですし、あとは戦略創造ではない、例えばJSTの社会技術研究開発センター、RISTEXと呼んでいますが、あそこは、ある意味、基礎研究のフェーズですけれども、社会技術をいかに、人社を生かしていかに社会的イノベーションに自然科学系と結び付いてやっていくかということを、いろいろやっているような取組があるんですが、なかなか競争的研究費からは言及しづらいものがあるんですが。

【上山委員】
 一言だけいいですか。

【濵口主査】
 どうぞ。

【上山委員】
 やはり僕の周りでも感じることですが、人文社会科学系に一番必要なのはお金ではないんです。決定的に時間なんです。というのは、今、工学系だと、一つの論文に20名ぐらいの著者名が並ぶような論文が大分出てきていますけれども、人文科学系というと1人、2人なんです。ということは、1人の人間がそれだけの多くの情報を入れないと論文が書けない、本が書けない。その意味で、一番必要なのは時間なので、その時間を競争的資金で買うという方法は実はあるんです。僕、スタンフォードにいましたけれども、優秀な哲学者などもうほとんど教えてないです。ひたすら書いているんです。そういう豊かな時間を、大学のマネジメントの中で勘案してもらい、競争的資金みたいなところから与えられている。
 そういう意味では、どこかで人文社会科学系のことを考えるのであれば、彼らの研究の特質を考えて、時間を担保するような方法を考えるべきだというようなことを入れていただければいいのではないかと思います。それは、恐らく切実な感覚として、あの分野の人たちにはあるということだけちょっと申し上げておきます。そういう意味では、競争的資金と関わらせることもできるかもしれないということです。

【若山委員】
 よろしいでしょうか。おっしゃるところは、私も、全く賛成ですけれども、もう一つあるのは、やはりいろいろなディシプリンが、融合をしていかないと、社会の課題が解決できていかないというところ、そこはまさしく競争的資金でサポートしていい場所だと思うんです。そこのところも、2点、人文社会系の研究者が積極的に研究を進めることに役立つことかなと思っています。

【濵口主査】
 一番最初に書いた融合性というか、その観点からいくと必要ですね。

【松尾振興企画課長】
 環境の分野とかですと、まさに、何ていうんですかね、自然科学系の知見を社会的にも生かす地球環境対応ですと、そういうフェーズに入っているので、人社系も含めて、これから5年間で社会的な対応まで持っていくために何ができるかということを、人社と自然系が一緒になってやるというプロジェクトが走り始めているんですけれども、そういう趣旨のことを競争的研究費の中で、どういう言葉で今後の方向性として書けるかという宿題だと受け止めましたので、戦略目標の所を含めて、戦略目標に書くということは、そこで参加するということは、その後の実行についても参画いただいて問題ないわけですので、ちょっと工夫したいと思います。

【濵口主査】
 最後の白丸の所ぐらいですかね。

【松尾振興企画課長】
 そうですね。戦略創造の所に、うまく書いていくということだろうと思います。

【濵口主査】
 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体、一通り御理解いただいたと思います。
 それでは、今後の対応について事務局の方から。

【松尾振興企画課長】
 まず、よろしければ、人材の所、人材というか若手というようにくくってしまっていますけれども、そこの所の、特にマル2のPIの人件費の所の書き方をもう一回ちゃんとした案にして、主査の御了解を頂いた上で、先生方に個別に御相談したい。それから、甲斐先生から御指摘のあった直接経費と間接経費の振替の趣旨の所も、どういう書き方がいいのかは、主査の御了解を頂いた上で、先生方に個別に御相談をしたいと思います。
 その上で、主査に御相談なんですけれども、それに対する先生方の反応を見て次をどうするかということを御相談したいと思います。

【濵口主査】
 どうぞ。

【甲斐委員】
 人材を若手と区切ってしまったというお話で、ちょっと今、思い付いたんですけれども、よろしいですか。
 運営費交付金の人件費の一部を競争的資金でという議論を、今、ずっとしてきましたけれども、今、リタイアされるような先生が自分の給与を払う手だてがないんです。諸外国の一流の先生で、日本だとノーベル賞を取るような先生は、自分で研究費を取れる限りは研究室をもらっているというところが多いと思います。ほとんどの方は定年でリタイアしますけれども、やはり優秀な方はたくさんおられて、そういう方たちが資金から自分の給与を出して、ベンチフィーみたいな場所代も払ってずっといる。資金が取れている間はいていいですよという大学は多いんです。高名な先生方が結構たくさんおられるんですけれども、日本にはそういう制度が全くないです。大学によって、いろいろ工夫して間接経費から出すとか、そういうことをしているところも、個々には努力でありますけれども、今の研究費で出せるという制度はないです。だから、エージ・ディスクリミネーションで常に若手ばかりではなくて、そういう有名な強い先生方のことも競争的資金で考えたらいかがかと思いました。

【濵口主査】
 先ほどの直・間の問題になってくると思います。

【松尾振興企画課長】
 はい。申し上げたとおり、そこのところの御意見も含めて、もう一回ちゃんと案にして御相談したいと思います。
 あと、事務的に勝手に申し上げますと、もしよろしければ、ちゃんと個別に、特に今の2つの所は、主査の御了解の下で先生方にしっかり御相談するという前提で、ほかの所は主査預かりとしていただいて、先ほど申し上げた2つ御相談すべき所の御議論の状況にはよると思いますけれども、基本的には会合は今回で一回閉じていただくというのも一案かなと、事務局としては思います。主査がよろしければですが。
【濵口主査】
 どれだけ信用していただけるかに掛かっておりますが、信用できない、もう一回議論をするべきだとおっしゃれば、もう一回開いて、若手の所と直・間の問題を議論したいと思いますけれども、大体おおむねは御理解いただける、コンセンサスは出来上がっているかと思いますので、もしよろしければ、先ほどの2点に関してはメールで御意見を頂いて、一応、提示をしていただいた上で最終報告として、中間報告はお任せいただければと思うんですが、いかがでしょうか。もっとやるべきだという御意見がありましたら、まだ予備日は2日ほど取ってあります。
 全体としては、政府の大きな流れの中に、うまくこの議論を載せていくために、なるべく早く中間取りまとめをしっかり上げる形にしたいと思いますので、もしよろしければ、オフィシャルな会合はこれで取りあえずまとめさせていただいて、今後は、いろいろな状況を見ながらまた相談させていただいて、御提案をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それから、きょう御欠席の有信委員、井関委員、角南委員については、非常に重要なフェーズですので、別途、事務局から、きょうの取りまとめ案と意見を反映させていただいて、御意見を伺う機会を作りたいと思いますので、御了解いただければと思います。
 それでは、最後に、安藤審議官より一言御挨拶いただければと思いますが。

【安藤大臣官房審議官】
 きょうは、本当に様々な観点からいろいろな議論を頂きまして、ありがとうございました。これまで8回にわたって御議論いただいたということで、お忙しい中、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 きょうも議論いただきましたけれども、科学技術イノベーションをめぐる状況が大きく変化しております中で、研究成果を持続的に創出していくという、この基盤を強化していくことは非常に重要だということで、そのためにこの競争的資金改革が、競争的研究費改革が喫緊の課題であるということで御議論していただきました。本日も、その具体策でいろいろ御議論を頂いたわけでございます。最後、主査にもまとめていただきましたように、更に詰めるべきところは集約をして、できるだけ早く取りまとめを頂いて、これを踏まえて、私どもとしても来年度予算の概算要求に向けた議論を本格化していきたいと思っております。また、CSTIでの議論も並行して進んでおりますので、そこにもいろいろお願い、あるいは調整、相談をさせていただきながら進めてまいりたいと思います。
 きょうの議論の中で、若手人材の活用といった組織的な対応が必要になるような重要な課題も議論になりました。これは、もう大学改革と一体的に議論をしていかないといけないということですので、その議論も別途、並行して進んでまいりますので、その辺りの議論の動向でありますとか、CSTIでの議論の動向、こういったところも注視しながら、私どもの方としても対応させていただきたいと思っております。
 この中間まとめの後も、最終的なまとめに向けての議論もまたお願いすることになりますので、お忙しいところとは思いますが、引き続き御参加を頂き、議論を続けていただきたいと思っております。
 本日は、どうもありがとうございました。

【濵口主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、事務局より連絡事項があればお願いいたします。

【松尾振興企画課長】
 今回は特にございません。先ほどの今後の対応で御議論いただきましたとおり、主査と御相談させていただいて、いろいろな周りの状況をよく踏まえさせていただいて、次回以降は、今回の宿題事項をどうするかという問題がまずあるわけですけれども、主査と御相談の上、御連絡申し上げたいと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございました。
 本当に長期間、白熱の議論を頂きまして、ありがとうございます。それから、橋本委員にはCSTIにつないでいただきまして、ありがとうございます。
 これで取りあえず中間報告取りまとめの会を終わらせていただいて、今後、いろいろな状況を見ながら、事務局とも相談しつつ、また私の方から皆様にいろいろ御相談することもあるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局振興企画課競争的資金調整室

電話番号:03-6734-4014
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