参考資料4 科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会「科学技術イノベーションを牽引する研究基盤戦略について」(平成24年8月7日)

参考資料4

科学技術イノベーションを牽引する研究基盤戦略について
~研究開発プラットフォームによる研究開発力強化策~

平成24年8月7日
科学技術・学術審議会
先端研究基盤部会

はじめに~検討の背景

 第4期科学技術基本計画(以下、「基本計画」)が平成23年8月に策定され約1年が経過した。基本計画では、政策の位置付けを科学技術政策から科学技術イノベーション政策へと拡大するとともに、政府の研究開発の進め方について、これまでの分野別推進から重要課題達成を標榜した取組の推進へと大きな転換を図った。
 研究開発活動を実施する上で、「研究開発プロジェクト」とそれを支える「研究基盤(※1)」は車の両輪である。その中で「研究開発プロジェクト」については、基本計画策定以降、総合科学技術会議を中心に、グリーンイノベーションやライフイノベーション等の重要課題達成に向けた基礎研究からイノベーションに至るまでの体系的かつ分野横断的な推進方策が策定され、具体的取組が進められてきている。
 他方、「研究基盤」に関しては、現在もなお、分野別での議論に基づき、あるいは個々の研究開発プロジェクトに付随する形で大小様々な施設・設備等の整備や技術開発が進められている実態にある。科学技術イノベーション政策が目指す重要課題の達成という観点から、分野を越えて、我が国の研究基盤全体を俯瞰した上での議論が本格的には実施されてきていないのである。
 近年、厳しい財政状況の中にあっても、我が国の研究開発力は国際的に見て高い水準を辛うじて維持している。その中で、我が国の研究開発力が国際競争力、特に我が国の産業競争力の強化につながっていないという認識が年々高まっていることは事実である。我が国が、世界第2位(※2)の強みを持つ研究基盤の力を最大化するための戦略を持ち、世界の中で競争力を高めていくことが、今、求められている。

 このような状況を踏まえ、先端研究基盤部会及び研究開発プラットフォーム委員会では、これまで計12回にわたる審議・検討を行い、研究開発プラットフォームという新たなシステムの提案を軸とする、我が国全体の研究基盤の強化に向けた報告書を取りまとめた。
 本報告書は、国費により整備された研究基盤は「公共財」であるという基本的考え方の下で、我が国が保有する研究基盤の力を最大化し、今後限りある投資の中で我が国の国際競争力の強化に確実につなげていくために必要となる具体的取組を提案するものである。
 本部会においては、今後更なる審議・検討を行い、議論を深めていく予定としているが、本報告書が示す基本的理念や取組の方向性について、国、大学及び独立行政法人等の研究機関、研究者等が認識を共有することがまずは重要であると考えている。今後、関係者が一丸となり、本報告書が示す取組が実行されることを期待したい。

(※1)本報告書で用いる「研究基盤」とは、研究開発活動を支える研究施設・設備、基盤技術・機器(知的基盤を含む)の総称をいう。
(※2)国際経営開発研究所(IMD)「国際競争力ランキング(2012年版)」における「科学インフラ(Science Infrastructure)」のランキング。なお、総合ランキングは世界第27位。

1.研究基盤を巡る現状と課題

(研究施設・設備に関する基本認識)

○ 我が国の研究施設・設備を個々に見ると、オンリーワン、ナンバーワンの施設・設備は数多く、卓越した研究成果が日々生み出されている。特に、本年は大強度陽子加速器施設(J-PARC)、X線自由電子レーザー施設(SACLA)、スーパーコンピュータ「京(※3)」と世界最先端の研究施設が次々と共用を開始しており、これらの施設が一国に整備されている状況は、研究開発活動を実施する上での極めて大きな優位性である。
○ 大学、独立行政法人等が所有する研究施設・設備は、運営費交付金、施設整備費補助金、研究開発プロジェクト遂行のための委託費や補助金等、主として国費により整備導入又は貸付けられたものである。これらの施設・設備は、科学技術政策や高等教育政策の実行に伴って年々増加している「公共財」である。
○ 一方で、大学、独立行政法人等の基盤的経費は近年減少傾向にあり、科学技術イノベーションを支える重要な研究施設・設備について、十分に利用するための運転費やスペース、人的リソース等が確保できないために最大限活用できていないとの指摘がある。

(※3)京は平成24年9月末の共用開始を予定している。

(研究施設・設備の効果的利用に向けた取組の進展と課題)

○ 先端的な研究施設・設備を効果的に利用するための取組は、これまでも幾つか実施されてきている。
○ 例えば、大学共同利用機関及び共同利用・共同研究拠点として認定された研究施設では、個々の大学では整備・維持が困難な最先端の大型装置等が全国の研究者に無償で提供され、高度かつ多様な研究活動を支える基盤として、我が国の学術研究の発展に大きく貢献している。
○ 一方、産業界を含めた、更に幅広い利用ニーズがある研究施設・設備については、適正な受益者負担の下で共用取組を実施することにより、革新的な研究成果の創出や、我が国の産業競争力強化に向けた大きな効果の獲得が期待できる。しかしながら、産業利用等の促進に向けた高度な利用者支援体制を構築することは施設管理者や研究者にとって負担感が大きい、また、大学教員や若手研究者の立場に立った場合、共用取組を実施することが自らのインセンティブにつながりにくいといった問題点が指摘されている。
○ このため、国は、比類なき性能を有し、産学官の広範な分野の研究者に活用されることが想定される大型研究施設について、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(※4)(以下、「共用法」)」に基づき安定的な運用を図っている。具体的には、大型放射光施設(SPring-8)、J-PARC(うち、中性子線施設)、SACLA、京の4施設を対象に定め、各施設は登録機関制度による安定的な利用体制の下で広く研究者の利用に供されており、利用者は着実に拡大し、革新的な成果が生み出されてきている(※5)。
○ また、これらの4施設に続くような先端研究施設に対しては、平成19年度から「先端研究施設共用促進事業(※6)」による産学官への共用取組に必要となる経費の時限的支援を実施しており、外部研究者による利用件数は着実に増加し、産学連携による研究開発や人材育成が進んできている。
○ このような事業の実施を通じて、共用に積極的な施設における取組は着実に進展しているが、大学、独立行政法人等における研究施設・設備が年々増加している中で、共用可能な施設・設備の割合は必ずしも高くはない。平成21年に国立大学と研究開発法人等に対する共用取組実施の努力義務を定めた法令が制定(※7)されているものの、研究施設・設備を外部研究者に積極的に開放していこうとする意識は、施設管理者や研究者の一部にいまだとどまっているとの指摘がある。
○ 共用取組が進まない理由として、各研究機関において、自ら所有する研究施設・設備の全体像が把握できていないためとの指摘がある。「先端研究施設共用促進事業」においては、機関内の汎用的な研究機器を集約し産学官が共用できる体制を構築する取組に対する支援を進めているが、研究機器が年々増加する中で、このような取組を実施する機関の拡がりは必ずしも十分でない。
○ 加えて、大学や独立行政法人において、共用取組、産学連携のための取組を積極的に実施する教員、研究者等が十分な評価を必ずしも得られていないことが、共用取組が進まない要因として指摘されている。また、大学や独立行政法人においては、所有する研究基盤を用いて収入を獲得しようという意識が醸成されにくいという指摘もある。
○ さらに、大学共同利用の枠組みと産学官への共用の枠組みがこれまで別々に整備されており、国が双方の枠組みの関係を整理し関係者に周知してこなかったことも、産学官への共用取組が十分に進んでこなかった一因との指摘がある。

(※4)平成6年の法律制定時は「特定放射光施設の共用の促進に関する法律」。平成18年の法律改正時に名称変更。
(※5)SACLAは平成24年3月に共用開始されたばかりである。
(※6)平成19、20年度は「先端研究施設共用イノベーション創出事業」として実施。
(※7)「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」において「研究開発法人及び国立大学法人等は、その保有する研究開発施設等及び知的基盤のうち研究者等の利用に供するものについて、可能な限り、広く研究者等の利用に供するよう努めるものとする」と規定されている。

(施設間連携、ネットワーク構築の進展)

○ 共用法対象の4施設の登録機関間、「先端研究施設共用促進事業」の実施機関間において、相互連携の取組が進んできている。例えば、共用法対象施設の登録機関の間では、相互連携に向けた協定が結ばれ、具体的な連携取組の検討が今後開始される予定となっている。また、「先端研究施設共用促進事業」の実施機関間においては、公募審査の共同実施、利用システムの標準化、研究者の相互紹介等の取組が進んできている。
○ ナノテクノロジー分野においては、「ナノテクノロジーネットワーク」、「ナノテクノロジープラットフォーム」の実施を通じて、産学官に開かれた共用プラットフォームの形成を実現している。ナノテクノロジー関連の先端研究設備を有する様々な大学、独立行政法人等がプラットフォーム形成に参画しており、プラットフォーム利用者からの高い満足度の獲得や産業界の技術課題の解決といった目標を達成するため、センター機関を中核とする運営、技術領域毎のプラットフォームの構築、参画機関における共用設備の運用を目的とした組織の設置促進等、我が国の研究基盤全体を俯瞰した強化策を検討していく上で参考となる取組が数多く先行実施されている。

(利用者視点に立った取組の不足)

○ 企業から見て、大学等の研究施設・設備を利用することについて、いまだ敷居が高い印象を受けるとの指摘がある。近年、例えばスーパーコンピュータの利用者等を幅広く取り入れたHPCI(※8)コンソーシアムの設立をはじめ、利用者視点に立った取組は着実に拡がってきているが、多くの研究施設・設備では、アクセスのきっかけが研究者個人の人間関係に依存している傾向にあり、企業研究者が容易に各施設・設備にアクセスできるような仕組みは必ずしも十分には構築されていない。
○ また、研究者が外部の研究機器等を利用するきっかけとして、場所が近いという条件も重要となるが、機関を越えて研究機器等を拠点に集約するような取組や、利用者ニーズに合わせて研究機器等を機関間で再配置するような取組は十分でない。
○ 研究施設・設備の利用システムが多種多様で共通的な考え方が明確になっておらず、特に複数の施設・設備を利用したい研究者にとっては、個々の施設・設備を利用するたびに公募申請を行う必要があるなど、手続が煩雑になっている。
○ 大規模災害が発生した際に、研究基盤全体が有効に機能し、研究開発活動に停滞を与えないための仕組みを構築する必要がある。

(※8)革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ

(国の制度への理解不足に基づく共用取組の停滞)

○ 競争的研究資金等で整備した設備・機器等について有効活用が図られていないとの指摘があるが、その原因として、国の制度についての関係者の理解不足があることが挙げられる。
○ 具体的には、競争的研究資金等で整備された設備・機器等を産学官問わず外部研究者に共用するという取組は、法令上過度に規制がかかっているものではない。しかしながら、その基本的なルールが関係者に正しく理解されておらず、結果として設備・機器等の有効活用のための取組が必要以上に規制されているのではないかと考えられる。

(開発者側と研究者側の取組の分離)

○ これまで、「研究基盤の開発・整備」と「研究の推進」が別々に議論され、これらの取組が一体的に推進されていないとの指摘がある。
○ 例えば、計測分析技術、光・量子技術といった先端的な技術・機器の開発取組については、これまで開発者側からのシーズに基づく提案によって進められてきたものも多く、近年改善が図られつつあるものの、利用者側のニーズ、すなわち「何に使うか」ということが取組に必ずしも十分反映できているとは言えない。
○ また、国等が実施する研究開発プロジェクト、特に重要課題の達成に向けた分野横断的な研究開発プロジェクトにおいて、数ある優れた研究施設・設備や、国等のプロジェクトで開発された研究機器等を有効に組み合わせて活用するという取組は不十分である。

(研究費の海外流出と国内ものづくり産業の危機)

○ 研究者が研究機器を調達する際に、国内の研究者又は国内企業が開発した機器ではなく、海外企業が開発した機器を整備導入する例が数多く見られている。これを要因として、計測分析等の研究機器は、ライフサイエンス分野を中心に国内メーカーの競争力の低下傾向が続いており、我が国のものづくり産業は危機に直面している。また、この結果、多額の国費が海外へと流出している事実がある。

(研究施設の整備に関する国家戦略の不足)

○ 学術研究を目的とし、個々の大学では整備困難な最先端の大型装置等の整備に関しては、研究者コミュニティによる議論に基づき、大学共同利用機関や大学附置研究所を中心に整備が進められている。最近では、日本学術会議が純粋な科学的視点から策定した「学術の大型施設計画・大規模研究計画マスタープラン」に掲載されている大型施設計画について、優先度を明らかにした「ロードマップ」を学術分科会において策定し、その優先順位付け
等に基づいた整備が進められている。
○ 他方、国の政策的な意志決定に基づき施設整備を行う取組が近年実施されていないとの指摘がある。平成22年度に「最先端研究基盤事業」として大学、独立行政法人等への重点的な設備整備の取組が実施されたが、第3期科学技術基本計画に掲げられた「国家基幹技術」のように、分野横断的な検討や優先順位付けに基づく、政策的に明確な意志を持った具体的取組は実施されていない状況にある。

(研究基盤を支える人材の不足)

○ 大学、独立行政法人等の研究機関において、研究基盤を支える技術者や研究支援者等の雇用が削減されており、施設・設備の運転や技術の高度化に必要となる人材が不足している。
○ 研究基盤を支える技術者や研究支援者等については、多くの大学、独立行政法人等においてキャリアパスが準備されておらず、各研究機関が人件費抑制を求められている中で一層不安定な立場に置かれている。このため、優れた学生が技術者や研究支援者等を目指す意識が高まらないとの指摘がある。

(調査分析とデータの不足)

○ 我が国全体として、研究基盤がどこにどれだけあるのか把握できておらず、結果として、研究開発の実施の段階で、各機関において必要以上の研究機器が整備導入されることにつながっているとの指摘がある。

(ソフトインフラに関する取組の重要性)

○ 研究施設・設備のみならず、研究機関が有するデータベース等に視点を当ててみると、近年、世界のデジタルデータ量が爆発的に増大していく中で、膨大な情報の中から新たな知を創造する「データ科学」が着目されているにもかかわらず、公共的で多種・多様なデータを研究者が適切に利用できる環境が構築されていないとの指摘がある。

(諸外国の参考となる取組)

○ 米国エネルギー省では、研究施設・設備の整備運用に関する方策と研究開発プロジェクトの推進方策を一体的に検討し、重要課題の達成を戦略的に目指す取組が行われている。具体的には、「未来の安定したエネルギー保障」という課題の解決に向けた戦略を立案し、それを踏まえて研究施設・設備のネットワーク化と強化を図り、これらを最大限活用した研究開発プロジェクトが実行されている。
○ 大型施設の優先順位付けの取組事例として、米国では、エネルギー省が2003年に「科学の未来を支えるための施設:20年展望」を取りまとめ28の重点施設についての優先順位を定め、その後随時改定を行っている。また英国では、英国研究会議が主体となって研究基盤ロードマップを作成し、「健康・長寿・生活の質」、「エネルギー」など6つの重要課題達成を念頭に置いた優先順位付けが実施されている。

 (文部科学省所管の研究開発系独立行政法人の統合の動き)

○ 文部科学省所管の5つの研究開発系独立行政法人(物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、科学技術振興機構、理化学研究所及び海洋研究開発機構)は、平成26年4月に統合し、新たな法人が設立される予定となっている。当該法人は、我が国を代表する研究機関であるとともに、国家的に重要な研究基盤を擁する機関である。今後の我が国の研究開発力の強化、とりわけ研究基盤に関する政策を講じていく上で、当該法人が担うべき役割、機能は極めて重要である。

(現状と課題から見えてくるもの)

○ 研究基盤を巡る課題は複雑に絡み合っており、予算を伴う施策とシステム改革を適切に組み合わせた取組を実行しなければ、研究基盤を活かした研究開発力、国際競争力の最大化を図ることは困難である。
○ これまで国において研究基盤全体を俯瞰した政策的議論と取組が実施されてきておらず、研究基盤全体を取り巻く真のボトルネックが解決されてこなかったことは重要な問題点である。
○ 諸外国が研究基盤に関連する戦略的な取組を実行する中で、我が国においても、分野の壁、大学と企業の壁、省庁と省庁の壁を越えた、科学技術イノベーション政策を牽引するための俯瞰的かつ一体的な研究基盤戦略の策定と実行が不可欠である。

2.必要となる取組

 現状と課題を踏まえ、我が国の研究開発力と国際競争力の強化に向けて、研究基盤が効果的に機能していくために特に必要となる取組について、以下の5つに整理する。

(1)産学官が共用可能な研究施設・設備の拡大

(2)研究施設・設備間のネットワーク構築による利便性の向上と革新的研究成果の創出

(3)ユーザーニーズに基づく基盤技術・機器の開発とその効果的利用

(4)大型研究施設の整備に関する国家戦略の立案

(5)研究基盤を支える人材の育成・確保

(1)産学官が共用可能な研究施設・設備の拡大

(共用の意義・効果)

○ 大学、独立行政法人等の研究機関が有する研究施設・設備を外部に開放し、複数の研究者が利用できるようにすることは、当該施設・設備の有効利用に役立つのみならず、共同研究の進展や融合領域の開拓など、新たな知の創出と人材交流に効果をもたらす。若手研究者に魅力ある研究環境を提供する意味において、外部に開放された研究施設・設備の存在はとりわけ重要となる。
○ さらに、それらの施設・設備を広く産学官の研究者等の利用に供することは、研究機関、利用者双方から見て極めて大きな意義・効果をもたらす。
○ 具体的には、共用取組を実施する施設・設備側にとっては、企業ニーズの把握、産学・産独連携による共同研究の進展、技術の蓄積と高度化、研究レベルの向上、新たな研究領域の開拓、施設・設備の認知度の拡大、社会貢献、機関の収入増加といった効果が期待できる。また、大学が優れた施設・設備を産学官の利用に供する場合、イノベーションマインドを有する人材の養成、産業界における学生のキャリアパスの確保等にもつなげることができる。
○ 利用者側、特に企業にとっては、先端研究施設の利用機会の獲得、最新の学術研究の動向把握、新たな研究開発への着手、知的財産獲得による新製品開発と産業競争力強化への寄与といった効果の獲得が期待できる。
○ また、多くの施設・設備が空き時間なく有効利用されることで、我が国全体として研究開発投資の効率化を実現するとともに、共用、すなわち産学官連携の促進により、我が国の高い研究開発力を、産業競争力の強化とイノベーションの創出につなげていくことが可能となる。

(基本的方向性)

○ 国費で整備され、幅広い研究分野・領域や産業界を含めた幅広い研究者等の利用が見込まれるような研究施設・設備については、積極的に産学官の研究者の利用に供していくべきである。
○ しかしながら、現在、先端的な研究施設・設備を有する大学、独立行政法人等における共用取組の実施状況は十分でなく、国は、共用取組を進める機関への支援を抜本的に強化するとともに、研究基盤に関わる関係者が共用取組を推進する意欲を高めるためのシステム改革を行っていくことが必要である。

(共用取組への支援)

○ 大学、独立行政法人等の研究機関が、所有する研究施設・設備を広く産学官の共用に供するためには、外部利用体制を構築するとともに、共用に必要となる施設・設備の運転費及び人的リソースを確保すること等が必要となる。特に、企業研究者が施設・設備を利用する際には、高度利用支援体制の整備、具体的には、実験方法への助言などきめ細かなサポートができる研究者・技術者の配置、作業スペースの確保、秘密保持規程の整備、迅速な共用手続の実施等が求められることから、このような高いニーズへの適切な対応が必要となる。
○ このため、国は、産学官の共用に供する取組を実施する研究施設・設備に対する支援を行う必要がある。その際、施設の規模や先端性に応じた適切な支援を行うことが重要となる。
○ まず、科学技術イノベーション政策にとって重要となる先端的な大規模・中規模施設については、施設の稼働率、外部共用率を高めていくとともに、利用者ニーズを踏まえつつ施設の先端性を維持し続けていくことが重要となる。
○ 他方、研究機関に数多く存在する比較的小規模かつ汎用性の高い研究機器については、機器を一定程度集約した外部利用体制の構築を促進していくことが求められる。集約された研究機器群が、地域における産学連携の拠点となることも重要であり、必要に応じて研究機器を地域に分散配置していくような取組を促進することが望ましい。研究開発プロジェクト等で毎年度整備される設備・機器等を適切に入れ替えていくことで、機器群としての魅力を保つことは可能であり、将来的には国の支援に頼らない姿を目指していくことを推奨すべきである。
○ なお、共用取組の実施に当たっては、トライアルユースの充実等により、新たなユーザーの発掘・拡大に取り組んでいくことが重要となる。特に最先端研究施設においては、施設が有する機能を最大限発揮した研究開発を行うことのできるユーザーを増やしていくことが重要となる。
○ また、大学共同利用機関及び共同利用・共同研究拠点に認定されている研究施設の中には、先端的かつ企業研究者の利用に価値を持つ施設も存在することから、国は、これらの施設が産業界を含めた外部利用体制を構築するような場合にあっては、施設の設置目的を踏まえつつ、共用取組の実施を積極的に支援していくべきである。これにより、我が国の高い研究開発力を産業競争力の強化とイノベーションの創出につなげていくことが可能となり、異分野融合と人材交流が進展することで、学術研究の更なる発展への貢献も期待できる。
○ 企業においては、優れた研究施設・設備を成果占有枠で利用する際に、自らの利益を追求するのみならず、施設所有者、さらには社会全体にとって多くのメリットが残るよう、施設所有者と密に意見交換を実施しながら取組に参画する姿勢が求められる。

(共用を促進するためのシステム改革)

○ 「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」及び関連法令(以下、「適化法等」)に基づくと、補助金で整備導入した研究設備・機器等に関しては、事業実施期間中であっても本来目的に支障のない範囲で他の研究に利用することが原則(※9)可能である。また、事業終了後にあっては、補助金はもちろん、委託費の場合であっても一定条件(※10)の下において、他の研究に利用することが可能である。
○ しかしながら、競争的研究資金を含めた国等の公募型研究費の多くは、目的外使用を制限する意識から、当該経費で整備された設備・機器等の利用方法に過度に制限を設ける事例が多い。また、適化法等が掲げる基本的原則を、大学、独立行政法人等の研究者や事務職員等が正しく認識しておらず、例えば、事業終了後の有効利用が可能な場合であっても利用を躊躇しているなどの事例が報告されている。
○ このため、まずは適化法等が掲げる基本的原則を、全ての関係者が正しく理解することが重要である。今後、研究設備・機器等の有効利用を促進するためには、例えば、公募型研究費の事業目的そのものに「設備・機器等の有効利用」を加えるといったことや、補助金や独立行政法人が所管する競争的研究資金であれば、経費の執行ルールに「目的遂行に支障のない範囲で設備・機器等の有効利用のための取組を実施して良い」と明記する等の工夫を行うことで、研究期間中から当該研究費で整備導入した設備・機器等に関する共用取組を研究実施者の判断で行うことが可能となる。また、「研究期間終了後の設備・機器等の有効利用を見据えた取組の実施」を研究実施者に求めることや、科学研究費助成事業等で既に取り入れられているような、共用可能な研究設備等を整備導入する際の経費の合算使用を可能とすることなども有効な取組である。
○ 国や独立行政法人は、所管する全ての公募型研究費において、このような研究設備・機器等の有効利用のための改革を積極的に進めていくことが求められる。特に、必要以上に設備・機器等の有効利用に対する制限を設けている場合には、速やかに経費利用のルール変更等を行うことが求められる。
○ なお、各機関が共用取組を実施する際、利用料収入を当該年度の活動に充てることは可能となっているが、利用料収入を一層効果的に活用できるための方策、利用料収入を獲得することのインセンティブを高める方策について、国は、今後更なる検討を進めていくことが望まれる。
○ また、大学や独立行政法人における共用取組が一層進展するよう、各機関において、例えば、機関全体の研究施設・設備等に関する情報の一元的把握、共用取組を専門に担う組織の整備、論文のみに依存しない多元的な指標による研究者等の評価システムの導入等の取組が一層進むことが望まれ、国は、このような取組を促進していくことが求められる。

(※9)他の研究で利用可能とするかどうかは、補助金を所管する国や独立行政法人の判断に委ねられている。経費利用のルールの中で、本来目的に支障のない範囲で利用可能である旨が示されていれば利用可能となる。
(※10)補助金の場合、事業終了後は他の研究で利用可能である。国の委託費の場合、委託者への所有権移転後に無償貸与されれば、その条件内で他の研究に利用することができる。文部科学省から無償貸与された設備等は、文部科学省令に基づき他の研究への利用が可能となるが、他府省から無償貸与された設備等はその扱いが各府省令に基づくこととなるため、他の研究への利用が原則制限されている。独立行政法人の委託費の場合、事業終了後の扱いは各独立行政法人の定めによることとなる。設備等が受託者に無償譲渡されれば、その後の扱いに制限がかかることはない。

(国等の研究開発プロジェクトにおける利用促進)

○ 大学、独立行政法人等が共用に供する研究施設・設備等を、国等の研究開発プロジェクトにおいて効果的に利用可能となる仕組みを積極的に検討し、導入していくべきである。特に、重要課題の達成に向けた分野横断的な研究開発プロジェクトに関しては一層の仕組みの強化が必要となる。これにより、研究基盤の強みを研究開発プロジェクトの加速・発展につなげることが可能となり、研究施設・設備側にとっても高水準の研究成果の獲得が可能になると考えられる。加えて、研究開発プロジェクトにおける過度な研究機器等の整備導入を抑制する効果も期待できる。

(海外からの利用の取扱い)

○ 共用取組を実施する施設・設備については、国際的な頭脳循環の拠点としての位置付けを持つことから、施設・設備の利用に当たっては、国内外の優秀な研究者が等しく利用できる体制を有することが望ましい。
○ ただし、海外企業が成果専有利用を希望する場合の取扱いについては、現時点で統一的な対応指針が存在していないため、今後、国は、海外施設の取組状況等を踏まえつつ、適切な利用の取扱いについての基本的考え方を明確化していくことが望まれる。

(2)研究施設・設備間のネットワーク構築による利便性の向上と革新的研究成果の創出

(ネットワーク構築の意義・効果)

○ 施設・設備の利用満足度を高めていくためには、利用者が、可能な限り多くの選択肢の中から、自らの研究内容に最も適した施設・設備を利用できるようにすることが重要である。特に今後は、重要課題達成を目指した分野横断的な研究開発プロジェクトの拡大により、複数施設を利用した研究開発実施へのニーズの増加が見込まれることから、施設間連携を促していくことは極めて重要となる。なお、複数施設の効果的利用により、異分野融合や人材交流、新たな科学的知見の獲得といった効果の創出も期待できる。
○ 共用取組を実施する研究施設・設備の所有者等にとっても、他の施設等とネットワークを構築することで、有益な情報共有と意見交換が可能になるとともに、外部機関との効果的な連携、情報発信、異分野融合、人材交流といった効果の獲得が期待できる。また、利用システムの標準化、利用者の共同開拓等、共用取組のマネジメントの最適化を図ることも可能となる。
○ 加えて、大規模災害が発生した際に、研究基盤全体が有効に機能し、研究開発活動に停滞を与えないセーフティネット構築やリスク分散といった観点からも、施設・設備間のネットワークを構築する意義・効果は高い。

(基本的方向性)

○ 共用取組を実施する研究施設・設備は、積極的に他の施設・設備とのネットワーク構築を行い、適切な形態の共用プラットフォームを形成していくべきである。
○ 加えて、我が国の研究施設・設備全体を俯瞰したネットワーク構築も重要である。

(最先端の大型施設間の連携)

○ 最先端の研究施設を複数利用する研究を実施することで、革新的成果の創出が期待できることから、これらの施設間の連携、特に共用法対象の4施設間の連携取組を一層進めていくべきである。国は、施設間連携に必要となる基盤整備や、複数施設を利用した研究開発を着実に実施していくことが求められる。

(共用プラットフォームの形成)

○ 複数の共用施設・設備がネットワーク構築によりプラットフォームを形成する際には、その役割は「技術先導型」「課題達成型」「地域連携型」の3つのカテゴリーに分類できる。
○ 「技術先導型プラットフォーム」は、京を中核とするHPCIのように、最先端技術を中核とした同一技術領域の施設・設備群の提供を目的とするものである。技術先導型のプラットフォームの構築により、最先端の技術開発の動向を踏まえた上での研究開発や人材育成が可能となる。
○ 「課題達成型プラットフォーム」は、創薬や新材料開発といった達成すべき重要課題に基づき、必要となる施設・設備群の提供を目的とするものである。課題達成型のプラットフォームの構築により、重要課題達成の加速化が期待できるとともに、融合分野における人材育成が可能となる。なお、重要課題達成を目指した研究開発プロジェクトとの連携を図っていくことが不可欠である。
○ 「地域連携型プラットフォーム」は、一定地域内の多種多様な研究施設・設備によるネットワークを構築し、地元大学や地元企業等のニーズを適切に反映し、当該地域の研究者の利用に供していくことを目的とするものである。
○ 各プラットフォームにおいては、利用システムの標準化、プラットフォーム内での人材流動等を積極的に行っていくことが求められる。加えて、プラットフォームの取りまとめ機関を設ける等の工夫により、企業ニーズの把握やコーディネーターの配置、外部機関や社会との連携等の取組を効果的に進めていくことが望ましい。
○ 共用取組を実施する研究施設・設備においては、このような共用プラットフォーム構築に向けた取組を積極的に進めていくことが求められ、国はこれを促進していくべきである。

(全体ネットワークの構築)

○ 共用取組を実施する施設・設備全体による包括的なネットワークを構築することも重要である。「先端研究施設共用促進事業」や「ナノテクノロジーネットワーク」といった事業単位で見ると、参画機関間のネットワーク作りは着実に進んできているが、今後は、事業単位、あるいは前述の共用プラットフォームの枠を越えた、我が国全体を俯瞰した全体ネットワーク構築を進めていくことにより、一層効果的な機能の発揮が可能になると考えられる。
○ その際、研究者に対する施設・設備利用のワンストップサービスの窓口となり、国内外への情報発信や広報活動を一元的に担えるような機関の存在も重要となる。
○ 国は、我が国全体として、共用施設・設備のネットワーク作りを促進していくとともに、全体ネットワークの中核的機関整備に向けた取組を進めていくことが求められる。

(3)ユーザーニーズに基づく基盤技術・機器の開発とその効果的利用

(ユーザー側と技術・機器開発側との連携)

○ 我が国の研究開発投資効果を向上させるためには、ユーザー側と技術・機器開発側との連携を促進することが極めて重要となる。
○ このため、基盤技術・機器の開発を実施する際には、「何に使うか」というユーザー視点に立った取組を一層強化することが求められる。具体的には、開発された基盤技術・機器が、国の研究開発プロジェクト等において積極的に利用されるよう、開発ターゲットを設定する際にユーザー側の意見を積極的に取り入れ、また、技術・機器の開発段階からユーザーが積極的に関与していくというシステムの構築が求められる。

(ものづくり産業の復権)

○ 我が国の「研究基盤の強み」を維持・強化していくためには、ユーザーや先端的な研究施設等からの技術的要求を踏まえつつ、革新的な技術・機器を持続的に生み出していくことが重要であり、国は、先端的な共通基盤技術・機器の開発と実用化を推進していく必要がある。
○ 国のプロジェクト等で開発された国産の研究機器等が、我が国の研究開発において積極的に利用され、その結果、日本企業の産業競争力の強化と研究開発投資の効率化等に貢献することのできる方策を、今後、国は検討し、実現していくことが望まれる。

(4)大型研究施設の整備に関する国家戦略の立案

○ 我が国が科学技術を国家戦略の柱として推進していく以上、今後も最先端の技術開発と基盤整備を持続的に進め、世界に先駆けて新たな科学的知見を獲得し重要課題の達成に導いていく、また、国際的な頭脳循環の拠点、異分野融合や産学連携の拠点として大型研究施設を強化し続けていく、といった国としての強い意志を持ち続けるべきである。
○ 国として重要となる最先端の大型研究施設については、それらが最大限の機能を発揮するために、計画的な高度化を進めていく必要がある。加えて、最先端の研究施設については、計画的なライフサイクルモデル構築に向けた検討を進めていくことも求められる。
○ また、今後、先端研究基盤部会においては、研究計画・評価分科会等とも連携し、学術分科会において策定された「ロードマップ」を活用しながら、産学官の広範な研究者が利用可能となる、今後戦略的に整備すべき大型研究施設の検討に着手していくことが求められる。検討の際には、大学、独立行政法人、地方公共団体等における研究基盤の整備利用状況を俯瞰した上で、海外の状況とも比較しながら、社会・国民に対して新たな大型研究施設の技術的価値、利用価値等をエビデンスとともに明確に提示することが望まれる。

(5)研究基盤を支える人材の育成・確保

○ 研究基盤を支える人材として、施設・設備の利用者を支援する技術者及び研究支援者、高い研究力を有し産業界等の活動にも精通したコーディネーター、研究基盤を生み出す研究者等、様々なカテゴリーの人材の不足が指摘されており、それぞれに必要な解決策を明示していく必要がある。
○ 技術者及び研究支援者を育成・確保するためには、短期的には個々の研究施設・設備において雇用を確保していくことが重要となるが、中長期的には、例えば、大学、独立行政法人等において、これらの人材、特に研究技術専門職(サイエンステクニシャン)及び研究管理専門職(リサーチアドミニストレーター)に適切な「職階」を用意し、安定的な雇用と適切な評価の下で人材育成を行っていくような取組が重要となる。国は、このような取組の実施を促進していくことが求められる。
○ 優れたコーディネーターを育成・確保するためには、サイエンステクニシャンやリサーチアドミニストレーターの育成に加えて、例えば、優れた研究実績を有するシニアな研究者・教員の共用取組への参画を図っていくとともに、大学等の研究機関において関連する大学・大学院教育、職員の再教育、企業研究者の教育等を実施していくことが望ましく、国は、このような取組の実施を促進していくことが求められる。
○ また、学生や若手研究者が最先端の研究施設・設備に触れる機会を増やすことも重要であり、国は、若手向け研究費において、最先端の研究施設・設備の利用を促進する仕組みを構築するなどの取組の検討を進めるとともに、最先端の研究施設・設備を用いた大学・大学院教育を促進していくことが望まれる。
○ 今後、先端研究基盤部会においては、人材委員会、研究計画・評価分科会、学術分科会等とも連携し、研究基盤を支える人材のキャリアパスに関する検討を実施していくことが必要である。

3.研究開発プラットフォームの構築

 ここでは、「研究開発プラットフォーム」という、我が国の研究基盤全体を俯瞰し、これまでに提言した様々な具体的取組について効果的に実施・実現することが可能となるシステムの提案を行う。

(研究開発プラットフォームの定義)

○ 研究開発プラットフォームについて、「科学技術イノベーションを支える多様な研究基盤を俯瞰的、包括的に捉えた上で必要な取組を行うことにより、全体としての効果、効率を上げるとともに、新たな価値を生み出すシステム」と定義する。

(研究開発プラットフォームの構成)

○ 研究開発プラットフォームの構成要素には、以下が含まれる。
 (1)産学官に開かれた高度利用支援体制を有する先端研究施設・設備(先端性を有し、幅広い研究分野・領域や産業界を含めた幅広い研究者等の利用が見込まれるもの)
 (2)研究開発プラットフォームを機能させるために必要となる取組を行う中核的機関
○ 複数の研究施設・設備から形成された共用プラットフォーム(サブプラットフォーム)が主要な活動単位となり、それを俯瞰した全体ネットワークを構築する。
○ 研究開発に必要となる研究材料やデータベース、さらにはビッグデータ等のソフトインフラについても、一つのサブプラットフォームとして、研究開発プラットフォームの構成要素に位置付けていく。
○ 持続的な技術開発により、研究開発プラットフォームの先端性の維持と高度化を常に図っていく。

(中核的機関の整備)

○ 研究開発プラットフォームの重要な構成要素の一つである中核的機関に求められる役割は以下のとおりである。中核的機関では、個々の共用施設・設備やサブプラットフォームでは実施困難な取組を補完的に実施することが求められる。
 ・研究基盤に関する国内外の調査分析(我が国の研究基盤に関する詳細データの把握、次に必要となる大型研究施設の検討に必要となるエビデンスの収集等)
 ・利用者に対する総合案内(利用者への適切な施設の紹介、研究課題に応じた複数施設の効果的利用をアドバイスするコーディネート機能の整備、優れたコーディネーターの配置等)
 ・国内外への情報発信
 ・研究開発プロジェクト、研究施設・設備、共通基盤技術開発間の連携促進(関係者が意見交換を行う場の提供と充実、具体的な連携システムの構築等)
 ・研究基盤を支える人材の育成・確保に向けた取組
 ・利用システム(公募、課金、成果取扱等)の標準化や災害等に伴うリスク分散に関する基本的考え方の提示
○ 平成26年4月に統合し新たに設立される法人は、国家的に重要な研究基盤を擁する機関であると同時に、研究開発プロジェクトを実施する機関でもある。このため、当該法人発足時に、研究開発プラットフォームの中核的機関としての機能を新たに備えることが適当である。

(研究開発プラットフォームの効果)

○ 中核的機関を中心とする全体ネットワーク、機能別のサブプラットフォーム、個々の共用施設・設備といった単位で必要な具体的取組を実行することにより、我が国が保有する研究基盤の力を最大化するとともに、これを国際競争力の強化につなげることが可能となる。
○ 「研究開発プラットフォーム」というシステムの構築を通じて、我が国の科学技術イノベーション政策における研究基盤に関する取組が目指すべき方向性、言い換えれば、我が国の研究基盤の「在るべき姿」について、全ての関係者の間で共通認識が図られていくことが期待できる。
○ 研究基盤全体としてPDCA(※11)サイクルを効果的に回していくことが重要であり、国は、「研究開発プラットフォーム」による取組効果を検証するための指標等を今後明らかにしていくことが求められる。

(※11)Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Act(改善)

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