国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第7回) 議事録

1.日時

平成29年7月28日(金曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 前回からの状況について(報告)
  2. 大型国際共同プロジェクト等の国際協力事例に関する調査分析(報告)
  3. 体制及びマネジメントの在り方の検証に関する報告書(案)について
  4. 今後の検討について
  5. その他

4.出席者

委員

平野座長、岡村座長代理、伊地知委員、大町委員、京藤委員、熊谷委員、徳宿委員、中野委員、観山委員

文部科学省

関研究振興局長、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)、渡辺振興企画課長、岸本基礎研究振興課長、轟素粒子・原子核研究推進室長、吉居加速器科学専門官、三原科学官

オブザーバー

株式会社野村総合研究所 岡村グループマネージャー

5.議事録

【吉居加速器科学専門官】  それでは、よろしいでしょうか。時間となりました。
 開会に先立ちまして、事務局より御連絡をいたします。当会議は公開としておりますので、御承知おき願います。
 本日はプレス2社から撮影の希望がございましたので、冒頭の撮影を許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【吉居加速器科学専門官】  ありがとうございます。
 それでは、撮影希望の方はお願いいたします。
 よろしいでしょうか。撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。
 それでは、平野座長、よろしくお願いいたします。
【平野座長】  それでは、第7回国際リニアコライダーに関する有識者会議を開催させていただきます。大変お忙しいところ、暑いところを会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いします。
 まず、本日の出席状況について、事務局から報告をお願いします。
【吉居加速器科学専門官】  御報告いたします。本日の出席状況でございますが、本日は梶田委員、神余委員、森委員、横山委員が御欠席でございます。出席委員は9名、定足数は7名ですので、会議は有効に成立しております。
 また、本日は、議題(2)で御説明いただくため、株式会社野村総合研究所の岡村グループマネージャーに御出席いただいております。
 このほか、前回の2月より事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 研究振興局基礎研究振興課長の岸本でございます。
【岸本基礎研究振興課長】  どうぞよろしくお願いいたします。
【吉居加速器科学専門官】  事務局からは以上でございます。
【平野座長】  それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【吉居加速器科学専門官】  本日の資料について御確認をお願いいたします。お手元の資料を御覧ください。
 資料の1は体制及びマネジメントの在り方検証作業部会の検討経緯、資料の2-1が大型国際共同プロジェクト等の国際協力事例に関する調査分析としまして、野村総研から提出いただいた資料でございます。資料2-2が同調査分析の報告書の概要版、それから資料の3が体制及びマネジメントの在り方の検証に関する報告書(案)、資料の4が今後の検討事項(予定)となってございます。
 このほか、机上資料といたしまして、本日、御欠席の委員から報告書案に対する意見提出があったものをまとめてございます。
 また、先ほどの野村総研による調査報告書の本体、白い表紙の冊子資料があると思いますが、その資料とドッチファイルを置いてございます。ドッチファイルの方は、いつも御覧いただいているものでございますが、13番目に本日の報告書案にも引用されておりますILCプロジェクト・インプリメンテーション・プランニングを前回より加えております。
 以上、不足の資料がありましたら、お知らせ願います。
 以上でございます。
【平野座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。議題(1)前回からの状況についての報告を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
【吉居加速器科学専門官】  御報告いたします。お手元の資料の1を御覧いただきたいと思います。
 本会議、前回は今年の2月にございました。資料1は前回設置をお認めいただきました体制及びマネジメントの在り方検証作業部会の検討経緯でございます。1枚おめくりいただきまして、3ページにこの作業部会の委員名簿がございます。この作業部会の座長は、本会議の委員でもある広島大学の観山先生、それから座長代理は、本会議の委員で高エネルギー加速器研究機構の徳宿先生に務めていただきました。また、本会議からは伊地知先生、中野先生、横山先生にも委員に入っていただきまして、また、三原科学官にも毎回御出席いただき、これまでの国内外の国際大型プロジェクトの体制とマネジメントについて、知見をお持ちの先生方で御議論いただきました。
 先ほどの資料の1ページにお戻りください。この作業部会は3月から計6回、議論を重ねてまいりました。各回、御覧のとおりテーマを設定してヒアリングを行いまして、その内容を踏まえて議論をしております。簡単に御紹介しますと、ヒアリングにつきまして、第1回は、これまでの研究者コミュニティにおけるILC計画の体制・マネジメントに関する検討状況について、東京大学の駒宮先生、高エネ機構の山内機構長から。第2回は、国際研究機関への共同参画の在り方について、九州大学の川越先生、Bファクトリー実験の御経験から、名古屋大学の飯嶋先生、また、スイス・ドイツにおける素粒子物理研究について、科学官の三原先生より御説明を頂きました。第3回は、周辺環境の整備について、元野村総研、現北海道大学の北村先生から、また、本日の次の議題にもなってございますが、昨年度、文部科学省から外部委託調査を実施しました大型国際共同プロジェクト等の国際協力事例に関する調査の結果につきまして、野村総研の方から御説明を頂いております。
 2ページ目に参ります。第4回でございますが、ILC-PIPという研究者コミュニティにより策定されましたILCプロジェクト実施計画の内、特に産業が関わる加速器の工業化・量産化構想につきまして、高エネ機構の山本明先生から、これまでの大型国際共同プロジェクトにおける体制及びマネジメントの事例としまして、CERNにおけるLHC加速器とATLAS実験について、高エネ機構の徳宿先生から、第5回では、同じくITER計画の事例につきまして、元ITER理事会議長の高津先生から、ALMA計画につきましては、国立天文台の井口先生から、それぞれ御説明を頂き、それを踏まえて議論をしてございます。
 これらの議論を経まして、先月6月27日の第6回でまとめていただきましたのが、後ほど御議論いただきます報告書案となってございます。
 以上が作業部会の状況でございます。
 また、昨年度、文部科学省の委託調査としまして、大型国際共同プロジェクト等の国際協力事例に関する調査分析を実施いたしました。机上に白い表紙の冊子があると思いますが、そちらでございます。本調査におきましては、CERN、ITER、ALMA計画などの具体的なプロジェクトに着目をいたしまして、それらにおける意思決定に関わる過程等を調査し、課題を分析するというものでございます。本調査結果につきましては、作業部会でも御報告いただきまして、議論に活用しております。後ほど、野村総研の方から御説明を頂きます。
 また、関連いたしまして、外部調査委託としまして、今年度はILC計画に関する規制・リスク調査分析と、国際大型加速器のコスト削減に関する調査研究という2つの調査を実施しております。
 前回からの状況は以上でございます。
【平野座長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、何かコメント等ございますでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、次の議題(2)に入らせていただきます。大型国際共同プロジェクト等の国際協力事例に関する調査分析の御報告でありますが、今、説明を頂いたように、国際的な協力に基づく複数の大型プロジェクトについて、合意形成や推進体制等について調査を行い、プロジェクトを実現する上での課題の解決策の検討を実施した結果について、野村総合研究所の方から内容を御報告いただきたいと思います。
 次の議題の報告書の案は、この調査結果を踏まえて作成されておりますので、まずこちらの報告を先にしていただいて、これを参考に、また後から議論を頂きたいと思います。
 それでは、野村総研の岡村グループマネージャー、よろしくお願いいたします。
【岡村グループマネージャー】  野村総合研究所の岡村と申します。本日は御説明の機会を頂戴いたしましてありがとうございます。大変恐縮ですが、着座して御説明をさせていただきます。
 本日は、お手元にお配りさせていただきました資料2-1、A4横の資料を用いて御説明をさせていただきます。プロジェクターにも映しておりますが、細かい字のところもございますので、お手元の資料を見つつ聞いていただければと思っております。
 早速ページをめくっていただきまして、スライド1に調査の背景と目的を整理させていただいております。時間も限られますのでかいつまんでの御説明となりますが、御容赦いただければと思います。まず、背景・目的でございますが、本調査は今後検討が進められます国際リニアコライダー(ILC)計画等の大型プロジェクトにつきまして、これまで実施されてきました国際的な大型プロジェクトをひもとき、そこから示唆を得るという目的で実施をさせていただきました。
 その下にございます調査項目についてですが、大きく4項目の調査をいたしました。国内における政策・意思決定過程、国際的な合意形成、国際分担、その他の諸課題とその解決法、この4項目について調査分析をいたしました。
 スライド2に進んでいただきまして、次は調査対象とさせていただきました大型プロジェクトの抽出条件を整理させていただいております。まず、大きく2つの条件で抽出をいたしました。
 まず、条件1の方ですけれども、こちらにつきましては主に過去に実施された、あるいは現在進行中であるという点、また、日本が参加しているプロジェクトであるという点、そして今回ILCにも示唆を得るということで、10か国以上が参加しているプロジェクトであるということ。また、この条件1の方につきましては、文部科学省が中心となって実施・参加していないプロジェクトということで抽出をさせていただきました。その他、4点ほど書かせていただいておりますけれども、余り規模の小さなものを含まないといったことを書かせていただいております。その結果として、抽出結果1に整理しておりますが、CERN、ICGC、IAC、この3つの国際プロジェクトが抽出されております。
 また、抽出条件2といたしましては、抽出条件1の反対という位置付けになりますが、文部科学省様が中心となって実施・参加しているプロジェクトということで、ITER、ISS、ALMA、この3つの国際プロジェクトを抽出いたしました。
 ここに挙げさせていただきました6つのプロジェクトを今回、調査対象としております。
 その概要を、スライド3に整理させていただいております。ここの御説明は割愛させていただきますが、国際ステーションの10兆円規模のプロジェクト、またIACのような5億円程度の規模のプロジェクトまで幅広い国際大型プロジェクトにつきまして今回、調査をさせていただいたということになっております。この中身につきましては、お手元に配付させていただきました報告書にも詳しく記載しておりますので、ここでの説明は割愛させていただきます。
 そしてスライド4にお進みいただけますでしょうか。こちら、ILCの概要ということで、現時点ではございますが、研究者コミュニティにおかれまして、加速器と測定器のみで建設費が1兆円強、また運用費が年間500億円弱となっております。先ほどスライド3で御説明いたしました大型プロジェクトに比べても比較的大きな規模のプロジェクトであるということが言えるかと思います。
 そしてこの下に掲げさせていただいております3点につきまして、先ほど申し上げました6つの事例からいろいろな示唆を抽出しております。
 まず、ILCに係る合意形成につきましては、政府レベルでの条約の締結、またホスト国を置きまして明確な権利と義務などを明記するといったことが計画されているところでございます。また、国際的な研究機関の設置が想定されているというところでございます。
 また、推進体制につきましては、理事会を置くということ、そして貢献規模に応じた投票権が設定されるというところあたりがここで想定されているところでございます。また、こちらの3点目に書かせていただいておりますが、土地の確保や土木工事、インフラ整備につきましては、ホスト国負担が基本であるといったところ、また加速器・測定器につきましては、参加国の現物出資(In Kind)が基本であるというところでございます。その他、予備費等のIn Kindで分担できないところにつきましてはIn Cash、基金を作るといったことを想定しておるというところでございます。
 その下に設備分担に係るプロジェクトの特徴について書かせていただいておりますが、基本的には現物拠出が想定されております。
 こちらにつきまして、調査対象とした6プロジェクトにつきまして、それぞれ示唆を整理しております。そのあたりがスライド5からの整理になります。
 まず、合意形成に係る部分でございます。先ほども申し上げましたが、現時点で、ILCは政府レベルでの条約締結に基づき推進されることが想定されております。本回、調査させていただきました事例の中で言いますと、CERNの中の本体あるいはLHC計画、ITER、ISSが表中の分類1に該当し、現在ILCで想定しております政府レベルでの条約あるいは協定を締結する形式に類するということでございます。このあたり、事例を分析していきますと、メリットとしては国家レベルでの合意事項により拘束力を得ることが出来るというところでございます。その一方、デメリットとしましては、合意形成プロセスが非常に長くなるといった点が挙げられるかと思います。例えば、その右側に書かせていただいておりますALMAやIACですと機関レベルでの協定となっております。もちろん強い拘束力というのを持っているのですが、やはり国家レベルでの拘束力を重視すべきであろうというのが今回の示唆でございます。
 続きまして、スライド6に進んでください。こちらには推進体制と費用分担について整理させていただいております。分類を4つ整理させていただきましたが、今回ILCが想定しておりますのに一番近いのはITERであるということを整理しております。表中の分類2に該当しますが、まず国際機関を設立するというところで分類1、分類2のいずれかという形にしております。その中でCERNとITERの違いでございますけれども、費用分担比率というところをご覧いただいた場合、CERNの場合ですと、ここでは国民純所得と書かせていただいておりますが、参加国の経済規模等に応じた負担比重が原則となっております。一方ITERは、ホスト国が半分以下という決まりのもと、残りを参加国で案分するという形式が用いられております。
 また、先ほど国際機関を設立すると申し上げましたが、その下にそのメリット・デメリットを書かせていただいております。やはり国際機関を設立いたしますと、プロジェクトの推進のための専任制が確保されます。よって業務や意思決定の迅速性を保てるというところがメリットではないかと考えております。デメリットといたしましては、オフィスや間接部門の人材などを追加的に確保する必要があるということが挙げられるかと思います。
 そして最後の3点目については、スライド7を御覧ください。設備分担に係るプロジェクトの特徴をこちらに整理させていただいております。今回ILCは、表中で赤囲みになっております分類2に近い形式を想定しております。具体的に申し上げますとCERNのLHC計画の測定機器部分、あるいはITER、ISS、ALMAといったあたりが該当いたします。設備・データの調達を現物拠出(In Kind)で調達する形式になります。
 メリット・デメリットは少し複雑になっておりますけれども、端的に御説明をさせていただきます。まず一番上に書かせていただいておりますIn Kindですと、リスクが参加国、あるいは機関に分散させるという点がメリットとして挙げられます。また下から2点目に書かせていただいておりますが、自国産業への発注を通じた自国産業の発展もメリットとして期待されるというところでございます。その一方でITER等々でも見られておりますが、やはりインターフェイスの作り込みですとか、あるいは工程管理の難易度が上がる、また最新技術の導入の困難性といったデメリットも想定されております。このあたりのリスクをどう回避していくのかといったところは今後検討が必要ではないかと考えております。
 以上の点をまとめておりますのがスライド8でございます。若干繰り返しの部分が多くなってしまいますので、簡潔に御説明させていただきますが、合意形成につきましては、条約の締結によりまして租税回避などのインセンティブと途中脱退のリスク回避を図ることを可能としようということでございます。
 そして推進体制・費用分担については、まず国際機関を設立するという点、そして参加国の資金拠出、In Cashで予備費や共通基金を確保する。その上でございますけれども、土地、土木工事、インフラ、こういったところはホスト国が負担する。加速器・測定器につきましては参加国による現物拠出(In Kind)を基本とするというところでございます。その下の矢印のところに書かせていただいておりますが、ホスト国の分担を50%程度までとするというところも方針の一つではないかと考えております。これは調査対象事例でも見られましたが、ホスト国の権限を大きくし過ぎないということで50%というのが1つの線引きとなっております。
 そして設備分担、一番下になりますけれども、In Kindのよさを得つつも、先ほど課題として申し上げましたインターフェイスの作り込みですとか、工程管理につきましては各国の進捗の見極め、あるいは採用技術の柔軟性の確保、こういった課題に取り組むことが必要になると考えております。
 そして残りの時間で9ページ目以降、今回の調査で対象といたしましたプロジェクトにおける特徴的な課題とその解決策を幾つか整理させていただきました。整理の手法といたしましては、表頭に書いておりますカネ・権利に関わる課題、モノに関わる課題、ヒトに関わる課題という3つの観点から整理をさせていただいております。全て御説明する時間はないと認識しておりますので、幾つか例を挙げて説明させていただきます。
 まず、左上に整理させていただいておりますカネ・権利に関わる課題でございますが、例えば他のプロジェクトとの関係等におきまして、予算削減等の課題が生じたということがございます。ALMAやISSにおいてもこのような事象が発生いたしました。この解決策といたしましては、プロジェクトの優先順位を上げるため、あるいは分野に影響を与えないため、啓蒙活動に非常に力を入れられて、課題を乗り越えてきたというところが考えられます。また、下の方に整理させていただいておりますが、これは日本の参画がICGCで遅れてしまったというところもございましたが、会計年度のずれに関する影響というのもあったということが今回の調査から明らかになっております。
 そして次のページに進んでいただけますでしょうか。スライド10でございます。ここでは国際的な合意形成時についての課題とその解決策について整理させていただいております。先ほども御説明いたしましたが、途中脱退を防ぐ仕組みについてです。ITERは規模が大きく、かつ長期にわたるプロジェクトという特徴から、途中脱退を防ぐ仕組みというのが非常に重要だということが議論の俎上に上がったということでございます。そのため、先ほども申し上げましたが、やはり国家間の条約締結により拘束力を強くする、その中で脱退に関する制限を設けるといった工夫をされておりました。またモノ(サイトを含む)についてですが、CERNの場合ですと戦後間もない時期でございましたので、政治的なイデオロギーの影響を受けない国を選定するなどの解決策も用いられていたというところでございます。
 また、その下にございますような、ホスト国と非ホスト国の権限のバランスを事前に決めることが重要だということでございます。
 11ページ目にお進みください。こちらは国際分担時の課題について整理させていただいております。左側の真ん中のあたりに計画時の予算内に実際の費用が収まらなかったというCERNの例を整理しております。ここでは非加盟国の権限を拡大し、資金提供のめどを付けるということが行われました。また、その下にございますITERにつきましては、プロジェクト規模そのものの見直し、縮小ということも一度議論され、これが解決策として用いられたということでございます。ISSにつきましても、ホスト国の財政状況の悪化を受け、スケジュール変更等も実施されたということでございました。このあたりも、今後ILCを進めていく上で参考とすべきではないかなというところでございます。
 そして最後のスライド12にお進みください。プロジェクト推進時の課題と解決策を整理させていただいております。まず、カネの部分でございますが、例えば材料費の高騰あるいは技術的実現が困難であるということが発生した、また、委託会社の倒産といったプロジェクト管理に関わる問題が発生したということが今回調査の中で明らかになりました。こういった課題に対してどう対応していくのかというのが今後の検討課題ではないかと思っております。
 また、右下にございますヒトに関わる課題というところでございますが、ITERについては、複雑な組織構造であったというに起因し意思決定プロセスがなかなか効果的に機能しなかったということがございました。その結果、費用の拡大ですとか進捗の遅れという課題が発生いたしました。この改善策として、ITER組織内部にスケジュール管理やコスト管理を行う組織を新たに設置し、徹底した管理を行ったという事例も今回整理させていただきました。
 時間の都合上、簡易な御説明になってしまいましたが、お手元に配付させていただいておりますこの報告書の中に、詳しく整理させていただいておりますのでご確認ください。
 以上で、私の方からの説明は終了とさせていただきます。よろしくお願いします。
【平野座長】  どうもありがとうございます。
 今、まとめを分かりやすく説明していただきましたが、その説明に関して御質問がございましたらお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【伊地知委員】  ちょっと細かいことを聞いて……。
【平野座長】  どうぞ。
【伊地知委員】  ありがとうございます。本当に細かいことで恐縮ですけれども、スライドの5ページと8ページにそれぞれ「政府レベルで条約を締結」という表現があります。確かに条約の交渉の最初は政府レベルかと思うのですが、我が国の場合も条約は国会の承認を必要とするなど、各国とも議会での承認等の手続をするので、最終的には締結ということになると、政府レベルというよりは国レベルではないかとは思うのですが、いかがなのでしょうか。
【岡村グループマネージャー】  すみません、そういった意味では国、国家という言葉の方が正確かと思います。文部科学省様とも協議させていただければと思います。
【平野座長】  よろしいですか。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
【岡村座長代理】  1つよろしいですか。今と同じスライド8ページの推進体制と費用分担のところですが、「ホスト国の分担を50%程度までとし」というところの文章で、その理由として「権限と負担が過度に集中せず」と読めるふうになっています。権限と負担がパラレルになっていて、権限が最初にあるので、権限の方がより重要な要素になっているようにも見えます。大きな権限をもらえるならたくさん負担しても良いという選択肢もあり得るようにも見えて、何かこの書き方ですと意図がわかりにくく、何となしにすんなりと来ないところがありますね。
【平野座長】  意味するところはいかがかということでありますが。
【岡村グループマネージャー】  このあたりも表現の部分、かなり慎重にすべきと思っております。今の段階で私の方から明確に御回答するのはなかなか難しいものですから、委託元の文部科学省様とも協議させていただいて、後日回答、基本的にはこの文章でとは思っておりますが、改めて御説明をさせていただければと思います。
【平野座長】  よろしいでしょうか。
 どうぞ、中野委員。
【中野委員】  設備の調達、ITERとかなり近いということを御説明いただいたと思うのですけれども、そのときの問題、インターフェイスの部分の作り込みとかそういうところで、いろいろ複雑で管理困難を伴ったり、費用が上がったということがあるということですが、作るものがITERとILCではかなり違っていて、ILC、In Kindで供給するといっても同じものを3極からとかそういうことで、その部分の問題はかなり少ないのではないかと思うんですけれども、それについてはいかがでしょう。
【岡村グループマネージャー】  それはまさに御指摘のとおりかと思っております。ITERとILCでは大分もともとの構造も違いますし、分担の在り方というのも違うと思っております。そういった意味では、今まさに御指摘のとおりではございますが、ITERを調べていく中で、最終的に統合しようと思うと、なかなかうまく統合・接合できなかったというようなことも結構出てまいりました。もちろんITERほどの問題というのはなかなか起こり得ないと思っておりますが、このあたりを参考にして、用心しておくべきであろうといった程度の示唆でございます。
【平野座長】  よろしいでしょうか。
【中野委員】  はい。
【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 この後、先ほど御案内しましたように、作業部会の方で今の調査を参考にしながら議論も進めてくださっておりますので、その作業部会の方からの御報告も受けながら、後、議論したいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、議題の(3)体制及びマネジメントの在り方の検証に関する報告書(案)についてであります。これは前回の会議、2月の会議で設置を承認いただいた体制及びマネジメントの在り方検証作業部会において、先ほど事務局からの報告もありましたとおり、今年の3月から議論を重ねて、先月の会議で報告書案を取りまとめていただいております。この作業部会の座長を務めていただいた観山委員はじめ委員の皆様方におかれましては、大変御苦労を頂きました。鋭意、御議論いただいて、報告書にまとめてくださいました。ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、事前に事務局から報告書案をお送りして、既にお目通しを頂いていると思いますが、この作業部会の座長を務めていただいた観山委員より内容の御説明を頂きまして、議論をしたいと思います。この報告書については本日の議論を踏まえて、有識者会議の報告書として公表したいと考えております。また、その際には英語版も用意いたしまして、併せて公表するということを予定しております。
 それでは、観山委員、よろしくお願いします。
【観山委員】  それでは、資料3を開いていただければと思いますが、大部になり、またあらかじめ配付されているということもありまして、要点のみ説明させていただきたいと思います。結構時間がかかるかもしれませんけれども。
 では、2ページを開いていただければと思います。体制及びマネジメントの在り方検証作業部会は国際リニアコライダー(ILC)計画において研究者コミュニティが想定している国際研究機関に係る体制及びマネジメント、並びに周辺環境整備について検証を行い、併せて仮に国際研究機関を日本に設置する場合の国内における実施体制の在り方について行うため、平成29年3月以降、計6回の議論を行いました。
 まずは1として、体制及びマネジメントの在り方検証作業部会で聴取したこれまでの研究者コミュニティでまとめられた検討の概要をまず第1章に掲げております。(1)として、それはどういうものであるかというと、国際研究機関に係る体制及びマネジメントということで、まず1つとしてILC計画における国際研究機関に係る体制及びマネジメントに関しては、ILCに関する国際的な研究組織、これは別紙1にあります。いろいろなヒエアルヒーがありますけれども、その1つであるリニアコライダー国際推進委員会によって以下の報告がまとめられております。
 1つ目のマルとして、プロジェクト実施計画、これ、後でPIPというふうに参照いたします。準備段階における対応については、このPIPに加えて、以下の報告がまとめられております。プロジェクトデザインガイドライン、これをPDGと引用することにします。それからKEK-ILCアクションプランということで、まずは、これらの報告において想定されているILC計画の全体スケジュールの概要を以下に報告いたしまして、2章からそれを様々に検証するということが作業部会として行ったということです。
 全体スケジュールとしては、各国政府了解の下、研究機関間の合意(MOU等)に基づき多国籍のマル1、まずはプレ研究所を設立し、最終的な工学設計や参加国間の役割分担に係る検討を4年間実施。その後、条約に基づく国際研究機関であるマル2、ILC研究所に移行し、9年程度の建設期間を経て、マル3、国際共同実験グループによる実験を開始し、20年以上運転するということであります。
 次のページに行きまして、まずマル1、プレ研究所、これはPDGにおいては、ILC準備組織の体制及びマネジメントについて、法的基盤、雇用形態、物資調達方式の観点から下にある5つのモデルが検討されました。多くの詳細な課題を解決する必要はありますけれども、研究機関間の合意に基づくM4の枠組みで開始したのち、条約に基づく多国籍研究所へ発展させることが想定されておりました。
 次のページに行きまして、4ページです。最初のマルとして、KEK-ILCアクションプランにおいては、ILC準備組織であるプレ研究所は、研究機関間の合意に基づく多国籍研究所として設立され、その本部をKEKに置くということでした。
 2番目のマルとして、プレ研究所は200人規模で、そのうち20%から40%は外国からの貢献が期待されているということです。
 マル2として、ILC研究所、これはPIPにおいては、ILC研究所に係る体制及びマネジメントについて、以下のとおり想定されておりました。まず法的な位置付けとしては、政府レベルで条約を締結して、そして条約に基づいて、契約期間を建設9年程度、運転期間を20年程度として、先ほどもありましたけれども10年間は脱退を禁止するというような形で考えておりました。トップマネジメントとしては理事会(Council)が最終意思決定機関であり、所長は理事会によって公募・選考され、組織全体の経営責任を有するということです。
 次、プロジェクトマネジメントとしては、中央プロジェクトチームは、サイトを踏まえた設備配置を含む設計に責任を持ち、機器の仕様を決定すると。参加国は現物拠出(In Kind)による貢献に係るコスト全体及び合意された納入スケジュールに責任を持つということです。
 次、5ページに移りまして、加速器の製造体制としては、これも現物拠出(In Kind)による国際協力による分担が想定される加速器システム・要素の製造は、各地域においてハブ研究所が統括し、国際競争入札による企業との契約に基づき実施するということです。企業は、契約において示された基本構造仕様及び図面に基づく製造に責任を持つことになります。このハブ研究所が一貫した試作及び技術検証能力を有し、基盤となる製造技術実証を行った上で企業への技術移転及び情報提供を行うということです。下に図がありますけれども、ILC研究所の各地域に置かれたハブ研究所が上に述べたものの責任を持つということです。
 次、6ページに移りまして、経費分担ですね。まず土地確保、トンネルを含む土木工事及びインフラ整備はホスト国の負担を基本とし、加速器及び測定器は参加国の現物拠出(In Kind)貢献を基本とする。予想外の事象に対応するための予備費とか、実験ホール等の現物拠出(In Kind)では分担できない部分及び機関の独立運営等のための共通基金(Common Fund)は、ILC研究所の運営(Management)が参加国に対して資金拠出(In Cash)による分担を要求し、管理する。それから要点の超伝導高周波加速器技術のような高度技術でも相応の貢献をする場合は、ホスト国の全貢献は50%程度にする。この運転経費ですけれども、一応これは3つの選択肢及びその組合せが検討されておりました。1番目としては参加国の拠出に比例する。2番目としてはホスト国が提供する土木建設費、土地購入費、インフラ整備等を除く参加国の拠出に比例させる。又は、3番目としては各国の博士号を持つ実験者数に比例させて分担金を払わせるということです。
 マル3として、国際共同実験グループ、PIPにおいては、ILCのために設計された測定器であるILD(International Large Detector)とSiD(Silicon Detector)は2つの国際チームによって検討が進展しております。
 3番目のマルですけれども、実験グループの参加は、LHCの実験と同じく全世界のコミュニティに開放されており、加速器建設に参加しない国からも参加を可能としております。
 最後のマル、ILC測定器グループは自主的に運営を行うこととされており、財政的支援は基本的に各参加メンバーの資金提供機関によって行われるということです。
 次のページ、7ページに行きまして、(2)周辺環境の整備としては、ILC計画における国際研究機関に関わる周辺環境整備については、PIPに加えて、KEKのレポートとして以下の報告がまとめられている。「国際リニアコライダープロジェクト立地に関わる調査検討報告書」ということです。これについては、日本国内に関しては、具体的な立地場所にかかわらず必要とされている周辺環境整備が議論されております。
 マル1として、前提となる人口規模としては、PIPにおいては、研究者、ILC研究所職員及びその家族を含む人口は、概ね1万人規模(小さな町)と推計されております。
 それから2番目のマルとして、「国際リニアコライダープロジェクト立地に関わる調査検討報告書」においては、ILC研究所の立地地域におけるILC関連人口、研究者・技術者などですけれども、以下のように推計されております。大体運転期20年ぐらい、6,000人規模ということですね。8ページの上に、その推移が書かれております。
 マル2として、求められる生活環境要件及び社会基盤要件も検討されておって、9ページに移っていただいて、最初のマルですかね、「国際リニアコライダープロジェクト立地に関わる調査検討報告書」において、生活環境要件及び社会基盤要件が整備されております。これは後に付いております別紙にまとめられております。
 それから次のマルとして、ILCより派生する建設費として、初期段階から順次、計画的に整備が必要となる「ILC中央キャンパス(中央研究拠点)」及び「キャンパス外居住地区」における研究者・家族等のための住宅の建設費が推計されておりまして、その概要は、まずILC中央キャンパス建設費は602億円、ILC研究者用住宅建設費は652億円で、両方で1,254億円ですが、この最初のILC中央キャンパス建設費については、技術設計報告書(TDR)において、初期コストとして中央キャンパス建設費の見積額と一部重複している額になっております。それから2番目のILC研究者用住宅建設費については、中央キャンパス外で必要とされる住宅数を全て新設した場合に必要なものでカウントしたということです。
 10ページに行きまして、以上がコミュニティが検討されたこういう概要であるというものに対して、本項以降は、その概要について、我々作業部会がそれぞれ検証、検討を行った結果ということでございます。
 2として国際研究機関の体制及びマネジメントの在り方に関する検証ということで、今申しましたように検証、検討を行ってきたわけですが、まず(1)としてプレ研究所に係る体制及びマネジメントですが、KEK-ILCアクションプランにおいては、仮にILCのホスト国を日本が担う場合、プレ研究所の本部はKEKに置かれることが想定されているということでした。KEKで現在実施されている研究計画からリソースをプレ研究所へ移行する時期と範囲については、KEKや国内の関連研究者のみならず、海外の研究者等も含めた議論が必要ではないかということであります。現在のKEKにおける研究計画の完遂を阻害しないことが重要であろうということです。それからプレ研究所は200人規模で運営するということでありましたけれども、相当数の新人加速器研究者の育成が必要であろうということです。3番目のマルとして、製造を担う企業側もカウンターパートとなる高度な知識や技術を有した人材の準備が必要であろうということです。
 (2)ILC研究所に係る体制及びマネジメントですが、マル1、法的位置づけに関しては、PIPにおいては、条約を基盤として研究所を設立・運営することが想定されておりまして、ILCは複数国による協力が不可欠な設備整備が必要であり、主に予算規模の面で長期にわたる国家レベルでの関与が必要となることから、条約による国家間の合意に基づくことは妥当であろうということでありました。
 11ページに移っていただきまして、少し飛ばしますがマル4として、条約の締結を前提としつつも、参加国側の制約等により条約が困難な場合のために、別の枠組みの可能性について研究しておくことも必要ではないかということです。その場合にも、法的に非常に堅固な体制にしなければ、様々な問題が発生することが考えられるということです。
 その次、条約に基づく国際機関を日本に設立した例として国際連合大学がありますがけれども、これは1つの参考例になるのではないかということですが、多分、設備や課税などの面について規模が全然違いますので、ILCにおける条約の在り方を検討する際の参考にはなるでしょうが、ILCに関するものは、非常に新たなものになるであろうかと思います。
 マル2としてトップ(執行部)マネジメント及びプロジェクトマネジメントでありますが、これも次のページに飛んでもらいまして、一番上、PIPで想定されているトップ(執行部)マネジメントについては、体制としては概ね理解できますと。実効性のある運営がなされるためには、世界的に認められた高いマネジメント能力を有する研究者をトップ(執行部)に配置することが重要で、これは今までのITERなども含めて大いに参考になると思われます。PIPで想定されているプロジェクトマネジメントについては、中央プロジェクトチームの役割が重要でありますが、これについても優秀な人材の配置による強力な体制を構築して、プロジェクトを牽引することが必要であろうと。
 次のマルとして、導入する体制と採用する人材は一体のものであって、強いリーダーシップでマネジメントを担う人材を計画的に養成していくことが重要であろうということです。
 マル3として加速器製造体制及び経費分担の方式では、PIPで想定されている現物拠出(In Kind)による設備分担においては、拠出に応じた自国産業への発注が考えられるとあります。ただ一方で、各国・地域の予算や製造状況に応じた多様な工程管理が必要とするなど多くの調整が発生し、スケジュールの遅延やコストの増加を招く可能性があるということで、これはこれまでの国際的なプロジェクトにおいてもあったということでありました。
 13ページに移っていただいて、こうした課題の発生を抑制するためには、仕様変更等に係るルールやILC研究所とハブ研究所の権限の範囲等をあらかじめ明確にするし、ILC研究所は責任を持ってハブ研究所間の調整を行い、ハブ研究所は委託された権限の範囲で裁量を持って製造を行うことにより、全体としてコストと納期の達成に努めることが重要であると。
 それから次のマルとして、PIPにおいては、現物拠出(In Kind)方式に起因する課題にも対応できるように、資金拠出(In Cash)による予備費(Contingency)や共通基金(Common Fund)が想定されておりましたけれども、ILCのような大規模国際協力プロジェクトにおいて、様々な不確実性に対応するための資金を適切に確保しておくことは、類似のプロジェクトにおける経験に照らして重要であるということが検証されております。
 では、次のページに行きまして、14ページ。国際的な経費分担としては、PIPにおいては、ILCの建設と運営に関して、ホスト国の経費分担を50%程度までとし、残りをその他の参加国で案分することが想定されていて、このホスト国以外の参加国から十分な貢献を確保するためには、ホスト国に権限と負担が過度に集中せず、その他の参加国とのバランスにも配慮した本格的な国際機関としての運営が必要だと。ほとんど日本が立つというわけではなく、やはり国際的な機関として行うことが重要である。実際に私どもはITER、CERN、ALMAについて、国際的な経費分担の方式を聴取しましたが、それぞれの計画について、大分違いました。ITERは、これは覚えておられるようにサイト誘致が国際的に競合したためホスト国(極)の分担の割合が高騰したということですが、さっきもありましたように民主的な運営をする観点から、ホスト国(極)の議決権が過半数未満となるよう分担割合が50%未満に抑制し、ホスト極である欧州が45.46%、その他の6参加極が9.09%ずつ経費分担したということです。CERNは、これは歴史的に欧州の全体がまとまって作るということで、欧州の中でのGDPに基づく資金分担により1957年に設立され、現在は、加盟国の直近3年間における平均純国民所得(NNI)に基づく経費分担になっているということです。ALMAは、日本、米国、欧州の三者が全てにわたって経費分担をほぼ平等・対等にしようということでした。結果として、日本が25%、米国と欧州が37.5%という経費分担で、数字の上では違いますが、ほとんど平等な形で進んでいるということです。いずれにしても国際的な経費分担については、最終的には各国政府間の交渉で決定し、各国政府の合意を得るためには、各国内においてサイエンスカウンシル、日本では日本学術会議でしょうけれども、プロジェクトの承認や自国政府の資金確保に向けた議論の進展が不可欠であるということです。
 次のページに行きまして、(3)測定器建設を含めた国際共同実験に係る体制及びマネジメントですけれども、PIPにおいては、2つの測定器(ILCとSiD)による実験が想定されておりますが、2つの測定器で実験を実施する必要性について整理することが必要であろうと。それから、高エネルギーの分野として、これまで民主的な運営がすごくされていると。装置を作っているところというのは、もともとの参加国でない場合も割と公平に意見のとりまとめを民主的に決定されているのですが、民主的な運営については、少ない負担で参加する方が費用対効果が高くなるんではないかという見方もあり、仮に日本がホスト国を担う場合は、その妥当性やメリットを明確に示すことが重要であろうということです。
 あと3番と4番があります。3番目、国際研究機関の周辺環境整備の在り方に関する検証として、(1)として前提となる人口規模、これは先ほど報告にあったようにPIPにおいては、研究者、ILC研究所職員及びその家族を含む人口は、概ね1万人規模(小さな町)と推計されており、それから「国際リニアコライダープロジェクト立地に関わる調査検討報告書」では、ILC研究所の立地地域におけるILC関連人口は、建設ピーク時(7年目)には約7,700人、運用開始年(11年目)には5,100人程度、それから20年目には約6,300人と推計されていますが、その推計について以下のような懸念があります。16ページ、まず現在のように情報通信ネットワークが発達していると、各国でもデータ解析できることから、一つの研究目標を有するILC研究所では、建設終了後に人口が減少していく可能性もあるのではないかと。それから推計の根拠の一つとなっているCERNについては、ジュネーブという国際都市に建設されたことで生活や居住環境も非常によく、その相乗効果があるのではないかということです。
 (2)として求められる生活環境要件及び社会基盤要件ですが、ILCサイト周辺の様々な生活環境要件や社会的基盤要件が想定されており、(1)の検証を踏まえた人口規模にふさわしい範囲において対応が必要とありました。
 それから具体的な生活環境要件としては、様々な観点から多岐にわたっているが、これらの中には公共施設や公共サービス等が必要となるものもあるため、ILCサイトの立地及び周辺自治体等による支援が不可欠ではないかということですね。地方公共団体からの支援が非常に重要であろうということです。
 3番目のマルとして、周辺環境整備に係る経費は相当額に上ると。ですからこのILC研究所と国及び自治体等のホスト国内における分担について、ホスト国とその他の参加国との国際分担の可能性とともに、立地等の議論と併せて整理する必要があるということです。国際機関なので相当なレベルの居住や実験施設、それから環境を用意しなくてはいけないということが、今までの日本の国内の常識ではなかなか難しい点があるということでした。
 それから次のマルとして、ITERの場合には、サイト誘致が国際的に競合した結果として、周辺環境整備に関わるホスト国の役割が非常に高くなりました。例えばITER周辺の自治体はITER基盤整備費の一部を負担し、10年間で約560億円支出することに同意したということです。
 次のページ、4番目として、これが最後の項目ですが、国際研究機関を日本に設置する場合の国内における実施体制の在り方の検討ということで、1つはまず日本の大学によるILC国際共同実験への参画の在り方です。最初のマルとして、KEKにおけるBelle2実験の準備が進んでおり、国際共同実験のマネジメントに関する実績も積み上がっているので、この経験をILC実験においても十分に生かすべきであると。
 それから1つ飛んで3番目のマルとして、国内コンソーシアムを構築し、検出器製作やデータ解析の拠点を複数設置してリソースの集中投資をすることは、日本の大学の存在感を高めるとともに、ILC研究所から大学に優れた外国人研究者を還流して国際化を進める上でも有効であろうということです。
 飛びまして(2)KEKとILC研究所との関係の在り方については、KEKにおいてはILC研究所とは異なる形の研究を進めることが適当であると思われます。特に素粒子研究のようなものはILCで、これはDESYなどヨーロッパの研究所においてもそういう形態がとられております。
 一番下の行、KEKを含めた国内の加速器研究所を適切に維持していく必要があるが、既存の研究所の財政規模を維持したまま、別途ILC研究所を新設・運営するのは困難であろうと。人材や技術が継承されるよう配慮しつつ、国内外の研究所間の議論を踏まえてプロジェクトを選定していく必要があろうということです。
 次のKEKの在り方を検討する上で、ドイツの研究所であるDESYが、1つのモデルとして参考になろうということです。次のマルにありますとおり、CERNでLHC実験が開始された時とほぼ同時期にDESY独自の加速器による高エネルギー物理学研究も終了しましたが、DESYの高エネルギー物理学研究者の多くはDESYに所属しつつLHCの研究に参加する形態をとりました。ILCについても、KEKの高エネルギー物理学研究者がKEKに所属しつつILC実験に参加する形態も考えられるのではないかということです。
 それから次のマルとして、KEKはホスト国の研究所として、ILC研究所の中央プロジェクトチームの早期形成を支援することが重要であるということです。
 (3)ILCを含めた日本の高エネルギー物理学研究の将来計画に関する議論の在り方です。19ページに飛びまして、最初のマルとして、仮にILCを実施することになった場合には、日本の高エネルギー物理学研究者のコミュニティにおいても、選択と集中を考慮した将来計画の合意形成が必要になるということです。それからITERをホストする欧州内の核融合研究機関は、ITERの調達活動の完遂、ITER計画の支援、原型炉に向けた研究開発に焦点を絞った活動を進めています。
 それから最後に(4)ですが、これは後半で少し議論したところでありまして、日本企業も含めた産業会によるILCへの参画の在り方です。マル1、ハブ研究所と企業の関係。PIPにおいては、短時間で大量生産を求められる超伝導加速空洞とクライオモジュールの組立ては各地域のハブ研究所で行うことが有力な選択肢となっております。企業は自ら設備投資することなくR&Dを行い、本格的に資本投入する場合の準備が可能となるようにすべきである。一方で、企業が自社内に組立設備を持たない場合には、投資に対する説明責任を果たすためにもILCの参加経験を生かす次の展開が必要になろうかと思われます。つまり非常に短時間で組立てなければならないため、それを企業が全て行うとなると過剰投資になるので、ハブ研究所において、そのようなことができる施設もある程度、企業に提供してはどうかということです。
 それから次のマルとして、ILCの超伝導加速器技術の産業への波及効果も重要であるが、現状においては不透明であると言わざるを得ないと。企業と研究所が協働して、加速器関連技術や製品の産業界へのスピンアウトを図る必要があるのではないかということです。
 次のページ、これが最後のページになります。マル2として、国際競争入札に関わる検討課題としては、ILCはWTO政府調達協定に基づく国際競争入札が想定されており、ILCにおいて入札とパートナーシップの関係をどう設計するかは重要な課題となります。国際競争入札のため、そのハブ研究所が存在する国内で行える保証はなく、どう展開するかというのはなかなか難しい問題です。それから日本と欧州は企業とのパートナーシップで製造し、米国は研究内所の中(In-House)で製造するという特徴があります。ハブ研究所には、性能に責任を持てる範囲内において地域性に合わせた裁量を持たせるべきであるということです。
 マル3として、これまでの大型加速器実験計画からの教訓として、最初のマル、SSCが失敗した要因の1つとして、企業の製造マネジメント集団と研究所の設計マネジメント集団がかい離して、マネジメント能力のある優秀な研究者をトップ(執行部)に据え、明確に統一された命令系統を作ることが必要であろうということです。
 それから日本の研究所はエンジニアが少ないという特殊性があり、ILCのような大型国際プロジェクトを研究者だけでマネジメントすることは不可能であるので、この点は人材を産業界からも広く求め、研究所と企業が連携したプロジェクトマネジメントの体制を築くべきであるということです。
 最後に、このPIPは研究者の視点で書かれたものであり、産業界からの視点が不足しているのではないかという意見が結構ありました。ですから今後は、研究者だけでなく産業界も含めてILC全体のマネジメントの検討を深めていくことが必要ではないかということでありました。
 以上、少し長くなりましたけれども、私どもが検討した結果をまとめたものであります。
【平野座長】  どうもありがとうございました。大変重要な観点について議論を頂いておりました。大いに参考になると思います。
 今から議論に入らせていただきますけれども、たまたま本日、出席できない委員が見えまして、その委員からもあらかじめ意見を頂いておりますので、事務局からまず紹介をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【吉居加速器科学専門官】  御紹介いたします。お手元の机上資料を御覧いただきたいと思います。本日、御欠席の梶田委員、神余委員、森委員からは事前に意見を頂いておりますので、御説明をさせていただきます。
 梶田委員からは1ページ、3つの御意見を頂いております。1つ目でございますが、ILC研究所の記述につきまして、想定している規模が書かれていないので、報告書中の記述を把握するのが難しいという御意見がございました。
 2つ目でございますが、17ページのKEKとILC研究所との関係の在り方につきまして、「KEKを含めた国内の加速器研究所」とあるが、国内の加速器研究所には放射光や原子核研究の加速器などもあり、報告書にある「仮にILC研究所が日本に設置された場合においても、既存の研究所の財政規模を維持したまま、別途ILC研究所を新設・運営するのは困難であり、国内外の研究者間の議論を踏まえてプロジェクトを選定していく必要がある」という部分につきまして、慎重な書き方が必要ではないかという御意見でございます。
 3つ目でございますが、20ページの米国SSCの失敗例につきまして、SSCの場合は新しい研究所を作ってSSCを推進したと理解しているが、新しい研究所を作って巨大プロジェクトを推進する場合の問題点の検証も必要ではないか。既存研究所の再編などをベースにすることでプロジェクト失敗のリスクを抑えられるかという検討が必要ではないかという意見を頂いております。
 おめくりいただきまして2ページ、神余委員からの御意見でございます。2つ頂いております。1つ目でございますが、11ページにあります法的位置付けの部分につきまして、条約は国際約束の1つの形態であり、それ以外にも協定、取極め、規約等様々な形式がある。いかなる名称であっても政治的合意ではなく法的拘束力を持つ国際約束にしておく必要があるという御意見から、左の枠の赤字にありますように、「別の枠組みの可能性」を「条約以外の別の形の国際約束の可能性」に修正、また、「法的に非常に強固な体制」を「法的な拘束力を持つもの」と修正してはどうかという御意見でございます。
 2つ目でございますが、14ページのマル4、国際的な経費分担の部分につきまして、仮に日本がホスト国となる場合、50%を負担するのは現実的ではないと考えられ、どの程度の負担が適切かは将来の日本の財政状況等を踏まえて条約交渉等において決められるものと考えることから、左の枠にありますように、「ホスト国以外の参加国から十分な貢献を確保するためには」について、「確保するとともに」、また、「ホスト国に権限と負担が集中せず」を「集中しないようにするためにも」と修正してはどうかという御意見を頂いております。
 3ページ目に参りまして、森委員からの意見でございます。12ページのマル5、トップマネジメント及びプロジェクトマネジメントの部分につきまして、研究遂行には研究者だけでなくダム建設や新幹線建設のようなビックプロジェクトへの視点が必要との御意見から、左の枠にありますように、「研究の進捗に関するマネジメントのみならず部品や機材の生産体制、信頼性管理、費用構成にも目を配れるような優秀な人材の配置による強力な体制を構築して」というふうに加筆してはどうかという御意見を頂いております。
 以上が事前に頂いた御意見でございまして、本日、これも踏まえまして御議論いただきたいと思いますが、事務的な観点から1点申し上げさせていただきたいと思います。1ページ目の最初の梶田先生から頂きました御意見、ILC研究所の人数規模につきましては、昨年、本会議で御議論いただきました人材の確保・育成の議論の中で、TDRの記述から、建設期には年平均約1,100人規模とされておりましたので、その旨の注記を本報告書のILC研究所の記述部分に加えるという形ではいかがかと考えてございます。
 以上でございます。
【平野座長】  ありがとうございます。
 今の3人の委員からの御意見も参考にしながら、きょうここで自由に、先ほどの御報告について意見を賜りたいと思います。その意見を参考にして、修正すべきところは修正をしていきたいと考えております。自由に御意見を出していただければと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
 どうぞ。
【中野委員】  梶田委員の最初の意見の「『KEKを含めた国内の加速器研究所』には放射光や原子核研究所の加速器などもあると理解していますが、これらの分野については左記の記述の考えは共有されているのでしょうか」というこの部分ですけれども、議論ではやはりKEKというものを中心に考えておりまして、加速器と考えた場合に、KEKの加速器であったり、KEKが関与しているJ-PARCの加速器というものを強く意識した記述になっていると理解しております。加速器は大学にもありますし、それからほかの研究所にもありますけれども、全く影響がないということはないかもしれませんが、KEKにある加速器ほど影響は受けませんので、ここは誤解のないように書き換えた方がいいかと思います。
【平野座長】  この御意見によりますと、「KEKを含めた」というところは慎重に扱っていくべきであるという御意見です。
【中野委員】  そうです。
【平野座長】  そういうことですね。
【中野委員】  予算の出方も違いますので。
【平野座長】  よろしいでしょうか。
 どうぞ。
【観山委員】  ここでも共有されていたと思うのですけれども、基本的に素粒子実験に関わる部分というような意味であり、原子核研究や放射光などが全てなくなるということで議論したとは思っておりませんので、それは適切な修正が必要でしょう。
【平野座長】  では、ここの部分は適切に。
 どうぞ。
【三原科学官】  今の点について補足ですけれども、こちらは、作業部会で私が報告したことに関係したことで、今まさにお2人の先生がおっしゃったように、ここで言う加速器研究所というのは高エネルギー素粒子物理のための加速器という意味だったというふうに理解しています。
【平野座長】  分かりました。後々読み間違えたり心配してはいけないので、今、三原科学官からもありましたように報告書では分かるように文面を考えていきたいと思います。事務局の方でテイクノートしておいてください。
【轟素粒子・原子核研究推進室長】  承知いたしました。
【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
【京藤委員】  この本文2ページの全体……。
【平野座長】  資料3の2ぺージですね。
【京藤委員】  ええ。資料3の2ページの全体スケジュールのところで、数字的に理解できない、分からないところがあります。最初は4年間で云々と書いてありまして、その後、条約に基づくと書いてあり、最後に9年程度の建設期間とありますが、この意味は、4年後にいろいろな交渉をして、それが決まった後に9年程度の建設期間という意味合いですか。それとも4年間の間に交渉を終えてしまうとの意味ですか。
【平野座長】  研究者コミュニティが提言をしているところについての質問ですね。
【京藤委員】  そうですね。
【平野座長】  これについては、徳宿委員からお願いします。
【徳宿委員】  これは4年足す9年という考え方でいいと思います。
【京藤委員】  それぐらいで交渉がいけるという感じですか。
【徳宿委員】  はい。
【京藤委員】  民間において、5年、10年交渉に時間を要してしまうことがあるのですけれども。
【徳宿委員】  それは4年を想定しているということですから、かかるとしたらもっと。かかる場合にはここが延びるということになるのだと思います。でも9年の中には入っていませんので、そういう意味では。
【京藤委員】  そうですね。4年でまとめきってしまうということですね。
【徳宿委員】  4年で国際研究機関の形を作るということです。
【京藤委員】  作り上げるということですか。
【平野座長】  よろしいでしょうか。
【京藤委員】  分かりました。そういう解釈ならいいです。
【徳宿委員】  数字が妥当であるかというのは、意見はいろいろあると思いますけれども。
【平野座長】  観山委員。
【観山委員】  数字が妥当であるかということは余り議論しませんでした。ただ、条約に基づくということは非常に時間がかかりますよと言うことです。
【京藤委員】  知らせるのは4年で、並行してやっていって、うまくいけば4年という意味合いですね。
【観山委員】  4年が妥当であるかということは余り議論しませんでしたけれども、条約に基づくということになれば、もうそれは国会の承認まで要るわけなので、相当の時間が掛かるということを共有しておりました。4年が大丈夫かどうかは余り議論していませんでした。
【平野座長】  事務局。
【轟素粒子・原子核研究推進室長】  今の部分を補足させていただきますと、このプレ研究所を作るに当たっても各国政府の了解が必要ということになっておりまして、その交渉がまず進んでいって、恐らく条約に基づくILC研究所を作るという見通しが立ったところでこのプレ研究所が立ち上がるということかと思います。
【京藤委員】  そういう前提ですね。
【轟素粒子・原子核研究推進室長】  プレ研究所が立ち上がってから4年で準備ができるという部分については、可能かもしれませんが、その以前にも交渉フェーズがあるとご理解いただければと思います。
【京藤委員】  分かりました。
【平野座長】  よろしいですか。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
【岡村座長代理】  これは質問というか確認なのですが、今の資料3の5ページの一番上に加速器の製造体制というところがありますけれども、ここに「各地域においてハブ研究所が統括し」とありますね。これ、今までの議論は全部、参加国とか国というふうになっていましたが、このハブ研究所に関するところだけが地域というふうになっているのは、こういういわゆる製造に関わる活動は国という範囲を超えた地域に広がっている、だから各国にハブ研究所があるというわけではないということを踏まえてこう書かれているのでしょうか。
【平野座長】  いかがでしょうか。
【観山委員】  それは注意して議論はしませんでした。場所、国によって違うでしょうね。例えばアメリカの場合は1か国でと思いますけれども、ヨーロッパの場合は、地域というか広がった範囲でやるという場合が多いですので、それはもうそれぞれの対象によると思います。だからヨーロッパはもしも参加する場合だったら、ヨーロッパ連合というかヨーロッパの各国が1つのものを作るかもしれませんし、それが例えば大きく2つに分かれてハブになるかもしれません。そういう意味です。
【岡村座長代理】  ハブ研究所は、参加国という仕組みとは違う枠組みでできるということですね。
【観山委員】  そうですね。
【平野座長】  国を超えた組織体というのが当然あり得る、その中に含んでいるということでよろしいですね。
【観山委員】  可能性があるということです。
【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。
【京藤委員】  もう1点いいですか。
【平野座長】  はい、どうぞ。
【京藤委員】  8ページの社会基盤の要件のところですけれども、今、世の中が、大体情報通信が5Gの世界になると1,000倍になりますよね。ここで書かれている内容というのは、それ以上という意味合いですか。世の中どんどん、情報環境が進歩していきますが、それでもだめだという意味合いなのか、それに連動していき、そういうことを考えられているのか。
【観山委員】  そこまで立ち入って議論はしませんでしたけれども、確かに情報通信的な部分が発展すると、そこにいなくてもできる部分がどんどん増えていくだろう思われます。ただ、国際共同研究都市として、そこに集まって共同で作業することによって、ディスカッションすることによって新たに生まれる部分も非常に多いということもあると思われます。規模については詳しく検証はしていません。確か、先生がおっしゃるとおりの状況はどこかに書いたと思いますけれども。
【京藤委員】  ちょっと気になるのは、そのレベルでも足りないよというと相当技術革新が要求されると思うので、情報通信でも。
【観山委員】  それはどうですか。
【徳宿委員】  よろしいですか。
【平野座長】  どうぞ。
【徳宿委員】  今おっしゃられているのは8ページの一番下のところで、ILCに協力する全ての国を結ぶネットワークが必要であるという箇所ですね。
【京藤委員】  そうですね。
【徳宿委員】  分かりました。ここについてはILCの測定器及び実験の規模というのは、今CERNでやられていますLHCの実験でのデータ量よりはちょっと多いかもしれませんがそれほど変わらないので、そういう意味では現在のテクノロジーの範囲内でのネットワークで十分かと思います。ただし、データを解析するときに分散していろいろな国でやりますので、そういう意味では、あるところが細いとかいうことがないように、できるだけ解析に関わるコンピューターがあるところの間をきちんと結ばなければいけないということだと思います。今より非常に大きな技術革新が要るとは私は思いません。
【京藤委員】  技術革新が要るという意味合いではないですね。
【徳宿委員】  はい。
【京藤委員】  分かりました。
【平野座長】  よろしいですね。
 そのほか、いかがでしょうか。
【大町委員】  よろしいでしょうか。
【平野座長】  はい、どうぞ。
【大町委員】  今の資料3の8ページから9ページ、あるいは16ページの方がいいかもしれませんけれども、生活環境要件と社会基盤要件とが記述されています。私は耐震工学のことが専門なのでついつい心配になるので、発言させていただきますが、当然のことで省略してあるのかもしれないと思うのですが、この社会基盤要件の方に安全性基盤というよう言葉が最初に入ってくるといいかなと思います。この16ページの一番最後のところに、「ILCは放射線を扱う研究施設であることから」と書いてあって、ILCと立地自治体の共生のことは書いてありますけれども、放射線を扱う研究施設室であるから安全性は特に重要だと思います。日本に設置する場合には地震活動とか、火山活動とか、あるいは集中豪雨だとかそういう自然災害もあるため、安全性に特に注意する必要があるという文言を入れていただいたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
【平野座長】  どうぞ。
【観山委員】  全く重要な指摘で、確かにその観点を適切な形で入れた方がいいと思います。ありがとうございました。
【平野座長】  それではこれについても中に入れることにします。安全性に配慮したという概念をきちっと入れるということにします。
 そのほか、いかがでしょうか。
【熊谷委員】  よろしいですか。
【平野座長】  はい、どうぞ。
【熊谷委員】  12ページのマル3のところですが、何を言いたいかというと、国内の場合には、全体にマネジメントするエンジニアの方がいないので、国際的に、そういう人材を広く求めなさいというふうに書いてあるわけですけれども、ここに書いてあるのは、「スケジュールの遅延やコストの増加を招く可能性がある」などのおそれがあると、その下にもありますが。これに関しては一体どういう方策をしたらいいとお考えなのか。国内は確かにこういう人材が、エンジニアリングやマネジメントする人がいないので、企業からというのは分かるのですが、企業の方もそういう方というのは多分、手放したくない人ですよね。ですので、国際的に一体どうしたらいいのかというのは、何かきちっと書いた方がいいような気がするのですけれども。
【観山委員】  ありがとうございます。その点は少し議論したところです。5ページにありますね。確かにこれはITERとかALMAでも経験したことですけれども、ILC研究所とハブの研究所の関係なのです。一方で、マイクロマネジメントまで中央のILC研究所が関わることは適切ではないと思うのですけれども。
【熊谷委員】  いや、するべきではないと思います、そこは。
【観山委員】  ええ。ただ一方で、ある程度ILC研究所に権限を持たせて、確かに、例えばALMAの場合はあるハブみたいなところが、ある部分を作ると言っていたのですが、遅れてしまい、そこに任せるより、ほかのところに任せた方がいいとかいう決定をしたこともあります。そういう権限を与えて、マイクロマネジメントや、スケジュール、経費管理などは、中央の研究所に、ILC研究所に権限を持たせるということを各ハブ研究所間が合意しておくということが1つの解決策ではないかと思います。でも、それでもいろいろなことがたくさん起こるので、なかなか難しいところだと思います。議論したところはそういう話がありました。その辺も書き込んだ方がいいかもしれませんね。
【熊谷委員】  それともう一つ、今、ALMAの話がありましたけれども、ITERという計画がありますよね。あれは現状では、当初の予算から何倍かになってしまっているわけです。当初、その計画を進めたときには、それなりの客観的なデータに基づいて予算化されているわけですけれども、それがどうして遅延や、予算が増えていったのか。日本よりもマネジメントとかそういうことに関しては、それなりの経験や実績はある機関がおやりになっているにもかかわらず、やはりそれがどうしてそうなったかというのはきちんと分析してILCに生かした方がいいような、そういう分析をどこかに入れた方がいいように感じますけれども。
【観山委員】  ええ。実は最終回、5回目にITERに関して高津委員から、確かにそういう遅れとか経費の増加に関する問題点を御報告いただいて、その部分はある程度盛り込んでいると思います。先ほどの、例えばハブと中央の研究所の関係だとか、中央の研究所の体制ですね。具体的にITERでこうなったからこうしなさいとは書いていませんけれども、ただ、それも少し検討させていただいて、高津委員からの問題点の指摘を少し盛り込むような形にした方がいいかもしれませんね。ITERの失敗例とは書けないですけれども。
【熊谷委員】  失敗というわけではないのですが。
【観山委員】  そうですね。
【平野座長】  事務局。
【轟素粒子・原子核研究推進室長】  報告書では、1項目書いてあるところがありまして、13ページの一番上です。「実際に、ITERにおいても、インターフェイスや工程調整に際して、ITER機構と7参加極の国内機関の間で利害が対立するなど、管理運営上の様々な問題が発生し、スケジュールの遅延の拡大とそれに伴うコストの増加が大きな問題となった」と指摘させていただいていて、この事実を基に、先ほど観山委員からお話があったような対策を盛り込ませていただいたということでございます。
【平野座長】  今の点についての次の丸が、それに対する1つの対応といいますか検討事項ですね。
【轟素粒子・原子核研究推進室長】  はい、そうです。
【平野座長】  いかがでしょうか。
 どうぞ。
【徳宿委員】  次のマル2つが、それに対する対応ですね。
【平野座長】  そうですね。
【徳宿委員】  1つはハブと中央との関係ということと、やっぱりキャッシュをある程度中央に持っておけというような形の分析がその次に入っております。
【平野座長】  熊谷委員、何か、この点について。
【熊谷委員】  もう少し何かこう分かりやすくするといいですけれども。ITERの場合は利害関係があるというのはよく分かります。エネルギーの問題とか、それぞれの国の事情とか。そういうことでいろいろなコストが上がったり、設計の理念が国の文化によって少し違っているようなところがあるのかもしれないですけれども。そういうことに比べればILCというのは学術系の話なので、そういうリスクは少ないとは思いますが、やはり多国間でやるというのは、そういう問題が起こりやすくなるというのは事実ですので。
【観山委員】  よろしいですか。
【平野座長】  どうぞ。
【観山委員】  委員おっしゃるとおりで、ALMAも純粋学術的な装置でしたが、製造に関しては文化の違いというか、やはりいろいろありまして、スケジュールの管理だとか、コスト管理もそうですけれども、日本のカルチャーと、特に欧州とのカルチャーは相当の差があるということはあるので、なかなか書き切れていないところがあるかもしれません。その点は少し考えてみたいと思います。
【平野座長】  分かりました。ではこのあたりはもう少し、今の御心配のところは懸念されるところだろうと思いますから、その御心配のところに触れていけるように検討をするようにしたいと思いますが、そのほか、いかがでしょうか。
【岡村座長代理】  よろしいですか。
【平野座長】  はい、どうぞ。
【岡村座長代理】  6ページの一番上のところの経費分担のところですけれども、上からポツが並んでいて、建設の部分に関する部分が上に三つあり、運転経費というのが一番下のポツで別個になっていますね。確かに建設の経費のみならず運転の経費についてもどのように負担するか重要な問題のような気がします。それで運転経費についてはこの1、2、3の選択肢があって、そのどれか、あるいは組み合わせをすると書いてあります。実は1と2ではホスト国が出す金額は大きく違いますよね。これに対応する検証結果のようなものが14ページにある部分だというふうに見たのですが、14ページのマル4の国際的な経費負担の最初のマルには、前の6ページではきちんと分けて書かれていた建設費と運転経費が全体として「ふわーっ」と書いてある感じがあります。6ページにあった運転経費と建設経費という観点で何か議論があったのであれば、ここも何かそれを反映したような書き方ができるとよいのかなと思いました。
【平野座長】  観山委員、いかがでしょうか。
【観山委員】  確かに建設経費については、14ページにあります。運転経費については、多くの場合が最近はある種各国の博士号を持つ、要するに論文に載る参加者で比例するというのが割と多いという話は聞きました。けれども、これはどれがいいとかいうのはちょっと余り議論しなかったですね。
【徳宿委員】  議論しなかったとは思います。
【岡村座長代理】  もちろん議論していないことを書くわけにはいかないですね。
【観山委員】  そうですね。
【岡村座長代理】  要するに、6ページに明確に記述されている事柄が14ページの対応部分で何もメンションされていないのは良くないのではという気がちょっとしました。
【観山委員】  なるほどね。そうですね。1対1に対応している部分ではなかったかもしれませんね。
【平野座長】  前のところを踏まえて、このマル4のところに入れ込むという方がよろしいという理解でいいですか。今のところは。
【岡村座長代理】  何らかのことが書かれていれば。
【平野座長】  ダブってもいいから。
【岡村座長代理】  ええ。つまり幾つかの形態が検討されているみたいな話でもいいから。
【観山委員】  ちょっと考えます。
【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。
【京藤委員】  6ページの上から3分の1ぐらいのところに超伝導高周波加速技術とありますね。それのホスト国の貢献が50%程度。例えが悪いかもしれませんけれども、国際標準で物事を決めるときに、一番スペックの甘い技術で標準化していくという。要するにローレベルで合意していくという形成過程が大体使われるのですけれども、こういう本当に高度な技術は、ホスト国が貢献度50%になると、ほかの国参加するときに、そこに追い付かない技術と合わせていかないといけないとすると、スペックを甘くしてしまうとかそういうロジックになってしまうのですが、最先端の技術を使っていくとあえてここに書かない方がいいのはないかという感じがするのですけれども。これ、一番重要な技術ですよね。加速器のところでは。
【観山委員】  そうですね。徳宿さん、何かありますか。
【平野座長】  徳宿委員、何か。
【徳宿委員】  ここでこの文章が書いてある意味は、ホストはインフラストラクチャーとかトンネル工事とかそういうところはやらなくてはいけないと。そういうところは分担に入るであろうということが前に想定した上で、さらにホストのところがこの超伝導加速技術のようなところにも貢献するとなると、さらに積み上がるということで50%程度になるということなんですね。
【京藤委員】  そういう意味ですか。
【観山委員】  ちょっと文章表現が悪いような……。
【徳宿委員】  ですので文章にもうちょっと。
【京藤委員】  勘違いしてしまいますかね。
【徳宿委員】  会議では、詳しい説明がありましたので、それを足した形にして。
【京藤委員】  その方が。
【徳宿委員】  その方がいいと思います。
【京藤委員】  その方がいいかなという感じがします。
【徳宿委員】  そうですね。超伝導高周波加速技術だけの話をしているのではない。
【京藤委員】  捉えてしまう可能性もありますので。
【観山委員】  そうですね。
【徳宿委員】  ありがとうございます。
【平野座長】  今、議論になったように、ここの部分をもう少しクリアに書き込むということにすることにします。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【熊谷委員】  いいですか。
【平野座長】  はい、どうぞ。
【熊谷委員】  細かいことで申し訳ない。5ページに加速器の製造技術の上から2つ目のポツのところに、「工業生産における通常の完成検査基準に合格することを納入条件とする」。この工業生産における通常の完成検査基準というのは、世界で共通化されているのですか。国によって違っているような気もする部分があったりしますよね。ですので、標準化・規格化というのをきちんとしないと、全体のマネジメントをする上で何かいろいろな問題が出てきそうな感じがします。実際にあるところを見にいくと、日本の基準とある国の基準が180度ひっくり返ったりしている部分があったりですね。そういうことがあるので、ここはきちっと、検査基準を共有化するということが非常に重要だということを明記した方がいいような気もするのですけれども。
【平野座長】  ここの部分は検査基準を標準化して適合したものを採用することとします。
【熊谷委員】  どこに行っても徹底すると。
【平野座長】  そういうふうにきちっと入れ込むようにします。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 確かに検査基準についてですが、前、つくばのKEKを見学に行ったときも、ほかの国からいろいろ納入されたものをどのように整合させるのかという議論がありましたが、まさに大きいものを国際間でいろいろ入れれば、いかに整合させるかは重要なところだと思いますので、それはここにきちっと書き込むようにしたいと思います。事務局、テイクノートしておいてください。
 どうぞ。
【徳宿委員】  よろしいでしょうか。今のは、おっしゃられるとおりだと思いますが、作業部会の中で議論したのは、その前のページにあるプロジェクトマネジメントチームというのがセントラルにあって、そこでやはり仕様はきちんと決めるから、それには合わなくてはいけないということになっているので。
【熊谷委員】  そうそう。だからそこをきちんとすればいい。
【徳宿委員】  それをこちらでも分かるようにきちんと書くというのは重要だと思います。
【平野座長】  そうですね。その部分をここの工業生産における通常の完成検査基準というところに置き換えるというか、きちっとそこを入れ込むというふうにしていきたいと思います。
【京藤委員】  よろしいですか。
【平野座長】  はい、どうぞ。
【京藤委員】  私も具体的に経験したことがあるのですけれども、この基準というのは設置場所によって大分変わってしまうことがある。日本のような国土だと湿度があるので、例えば電気製品の耐圧基準がものすごく厳しいです。ところが乾燥した砂漠などは、かなり緩くて、アメリカの製品を入れたときに全部破裂してしまったという例があります。だからその基準の決め方は相当気を付けないと。日本でやる場合は特に気を付けないといけないので、そこは徹底しないといけないかなという感じがしますけれども。
【平野座長】  今の御指摘は検査基準等々のところできちっと現実にあらかじめ設定要件に入れておいてもらわなきゃいけないという御注意であります。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、今、大変重要なところを委員の方々から御指摘を頂きました。この御指摘いただいたところについては、作業部会の座長であられる観山委員と相談いたしまして、事務局併せて私たちの方で整理をして修正したいと思いますが、御一任いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【平野座長】  どうも貴重な御意見をありがとうございました。
【吉居加速器科学専門官】  申し訳ございません。
【平野座長】  はい、事務局。
【吉居加速器科学専門官】  座長、すみません、よろしいですか。
【平野座長】  はい。
【吉居加速器科学専門官】  先ほど申し上げました机上資料の欠席委員からの御意見でございますが、先ほど中野委員からも御指摘いただきました梶田先生の2つ目は御意見頂戴いたしましたけれども、ほかについてはいかがでございましょうか。
【平野座長】  一番上のところは年平均1,100人規模でという、これはいいですね。それから今で言う20ページにおける御指摘の部分ですね。これについてはいかがでしょうか。
【観山委員】  これはプレ研究所からILC研究所に移っていくような段階のことなので、少しこういうニュアンスを入れた形に文章を修正することは多分可能だと思いますが。
【平野座長】  では、梶田委員からの御意見については、この内容を含めて修正する、加筆をするということでよろしいでしょうか。
 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございます。
【観山委員】  あと、よろしいでしょうか。
【平野座長】  そのほか、どうぞ。
【観山委員】  机上資料の2ページ目に関しては、これはもう適切な修正をしていただいたと思っておりますので、私の考えとしてはこの修正のままでよろしいのではないかと思いますし、3番目の森委員のもの、これが非常にマイクロマネジメントに関わるようだと、ちょっとこれは結構作業部会の中でも議論がありまして、非常に細かいところまで中央のILC研究所がハブ研究所にがんじがらめにしたら、また余りうまく動かないという事例もあったりするので、これは適切に言葉を選んで、この修正に沿った形にしたらいいかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
【平野座長】  今、観山委員が提案されたような形で修正をさせていただいて、森委員の方にも事務局からそのことを説明して了承いただいておくということでよろしいでしょうか。
 それでは、森委員からの御提案、意見については今のような対応をとらせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、今、頂いた御意見については、先ほど御説明いたしましたように、観山委員、それから事務局、私で御意見を酌んで修正をしていきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 次の議題に入ります。議題(4)であります。本会議における今後の検討についてであります。これまで本会議ではILCに関する諸課題の検討という観点から4つの作業部会を設置して検討を進めてまいります。今後の検討について、事務局から説明をお願いします。
【轟素粒子・原子核研究推進室長】  御説明いたします。資料4を御覧ください。今後の検討事項といたしまして、1.研究及び研究者コミュニティの状況を踏まえた検討でございます。平成27年6月に当有識者会議でおまとめいただきました提言の中で、ILCの性能や得られる成果は、CERNにおけるLHC実験の結果に基づき見極めることとされておりますので、今後、有識者会議としましても、CERNにおける研究の状況を確認していく必要があると考えております。
 また、2つ目ですが、本年2月の前回有識者会議において、東京大学の駒宮教授から御説明がありましたが、現在、国際研究者コミュニティにおいて、当初30キロメートルのトンネルを想定していたものを20キロメートルとし、500GeVの衝突エネルギーも約半分にするという案を検討されているというお話でした。その見直しの状況も踏まえまして、当有識者会議においても検討を行っていく必要性が生じるものと考えております。
 続きまして2.です。外部委託調査についてですが、今年度は2件の調査を進めております。1つ目は、ILCは地下100メートルに数十キロメートルにわたるトンネルを建設することや放射線を発生する加速器を設置することなどから、多くの規制をクリアする必要があるものと思われます。過去の事例も参考にしつつ、想定される様々な規制やリスクについて調査を行いたいと考えております。
 それから2つ目、前回2月の有識者会議でも事務局より御紹介しましたが、昨年、文部科学省と米国エネルギー省との間でILCに関する日米ディスカッショングループを設置しまして、まずコスト削減に向けた共同研究に取り組んでいくということで合意しております。それも踏まえましてコスト削減に関する調査研究を進めていきたいと考えております。
 それからその他ということでございますが、今回おまとめいただいております体制及びマネジメントの報告書の中でも、KEKを含めまして研究者コミュニティにおいてもさらなる検討を要するような指摘も多々なされているかと思います。先ほど1.のところで御説明しましたCERNにおける研究や計画見直しといったことの状況も含めまして、研究者コミュニティにおける検討の進捗も見つつ、今後も有識者会議として必要な検討を進めてまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
【平野座長】  ありがとうございます。
 ただいまの今後の検討事項ということについての説明で、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 では今後また今の検討事項に従って進めるということにいたします。
 以上で本日の議題は終了となりますが、体制及びマネジメントの在り方の検証については、作業部会の委員の皆様方、報告書を取りまとめていただきありがとうございました。この作業部会には、この有識者の委員としての観山委員に、座長を務めていただきました。また、伊地知委員、徳宿委員、中野委員、横山委員には作業部会の委員としても御参画いただきました。どうもありがとうございました。ILC計画を考える上で、これまで本会議でもたびたび取り上げられて参りました体制等マネジメントに関する議論について、皆様の御協力が得られましたことに感謝申し上げます。また、きょう意見を頂いたことを踏まえて一部修正をさせていただきます。
 では、あと、事務局から一言お願いします。
【関研究振興局長】  研究振興局長でございます。本日は体制及びマネジメントの検証につきまして、御検討いただき、報告書を取りまとめていただきましてありがとうございました。もう言うまでもなく、このILC計画は大変壮大な計画でございます。これまで本会議で取りまとめられました報告書におきましても、一国のみで実現することはできず国際協力が不可欠と指摘をされております。今回、御議論いただきました国際研究機関を中心といたします体制及びマネジメントというのは、各国間の協力また研究機関間の協力、そして企業及び自治体等の協力も含めまして、まさにその在り方がこのプロジェクトの成否にも関わる重要な課題であると言えるのではないかと思っております。今回の取りまとめを頂きました報告書におきましては、これまで研究者コミュニティにおいて検討されてまいりました体制及びマネジメントにつきまして、ほかの大型の国際共同プロジェクトにおける事例なども参考にしながら、作業部会の先生方に大変精力的に御検討いただき、また本日、本会議の先生方からも貴重な御意見を頂いたわけでございまして、これらの課題を取りまとめていただきましたことにつきまして、改めて御礼を申し上げたいと存じます。先ほども話を申し上げましたけれども、このILC計画に関する国際コミュニティにおきましては現在、ILCのコスト削減案が議論されていると聞いておりまして、その動向等も踏まえまして、今後、ILC計画の課題等につきまして、継続して議論をお願いしたいと思っております。今後とも素粒子・原子核物理学分野の推進のために、様々な形で先生方にまた御指導、また御助言を頂きたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
【平野座長】  ありがとうございます。
 それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いします。
【吉居加速器科学専門官】  本日の議事録につきましては、後日、委員の皆様にメールにてお送りさせていただきまして、内容を確認の上、当省ホームページにて公表させていただきます。以上でございます。
【平野座長】  では、これで会議を終了します。どうもありがとうございます。

―― 了 ――

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(研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室)