国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議 体制及びマネジメントの在り方検証作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成29年6月2日(金曜日)13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. これまでの大型国際共同プロジェクトにおける体制及びマネジメント(ITER(国際熱核融合実験炉)計画、ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)計画)
  2. 報告書骨子(案)
  3. その他

4.出席者

委員

観山座長、徳宿座長代理、飯嶋委員、伊地知委員、川越委員、北村委員、佐藤委員、高津委員、田中委員、中野委員、永宮委員、山本(明)委員、山本(均)委員、横山委員

文部科学省

関研究振興局長、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)、渡辺振興企画課長、岸本基礎研究振興課長、轟素粒子・原子核研究推進室長、吉居加速器科学専門官
三原科学官

オブザーバー

自然科学研究機構 国立天文台 井口教授

5.議事録

【吉居加速器科学専門官】  定刻少し前ですが、全員おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 開会に先立ちまして、事務局より御連絡をいたします。本日の会議は公開としております。本日はプレス1社から撮影の希望がございましたので、冒頭の撮影を許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉居加速器科学専門官】  ありがとうございます。それでは、撮影希望の方はお願いいたします。
 よろしいでしょうか。撮影につきましてはここまでとさせていただきます。
 観山座長、よろしくお願いいたします。

【観山座長】  それでは、国際リニアコライダーに関する有識者会議、体制及びマネジメントの在り方検証作業部会(第5回)を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 では、本日の出席状況等について事務局から報告お願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  御報告します。本日は、市川委員が所用により御欠席でございます。飯嶋委員は少し遅れて来られる予定です。出席委員は14名、定足数の8名を満たしておりますので、会議は有効に成立しております。
 また、本日御発表いただくため、自然科学研究機構国立天文台から井口教授に御出席いただいておりますので、御紹介をさせていただきます。
 また、お知らせしておりますとおり、本日は終了時刻が15時30分の予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

【観山座長】  では、続いて、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  お手元の資料をご覧ください。本日は資料6点でございます。資料の1が、本日御発表いただく高津委員の提出資料、資料の2が、同じく井口先生からの提出資料、資料の3が報告書の骨子(案)、資料4が「今後のスケジュール(予定)」でございます。参考資料の1と2は前回と同様でございまして、外部委託調査をした際の報告書の概要版と、ILCの概要でございます。そのほか机上資料としまして、白い表紙の報告書、それから、ドッチファイルを置いてございますので、適宜ごらんいただければと思います。
 以上、不足がありましたらお知らせ願います。
 また、発表者におかれましては、御発表を予定時間内に収めていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【観山座長】  それでは、議題に入ります。議題1は、これまでの大型国際共同プロジェクトにおける体制及びマネジメントについてであります。前回は徳宿委員よりCERNについての御発表を頂きました。本日は同様に、まず高津委員よりITER計画について御発表いただき、続いて、国立天文台の井口先生からALMA計画について御発表いただきます。それを参考にいたしまして、ILCの体制及びマネジメントに関する課題等について議論を深めていただければと思っております。
 それでは、まずITER計画について、高津委員、お願いしたいと思います。委員は長くこのプロジェクトに携わっておられるとともに、ITER理事会の議長も務められまして、体制マネジメントの面でも中心的な役割を担ってこられました。初めに、先生からの御発表を頂き、議論を行いたいと思います。
 先ほどもありましたけれども、検証に当たりましては、前回同様、参考資料1、参考資料2、机上資料の報告書を適宜参照いただければと思います。
 それでは、高津委員、よろしくお願いいたします。

【高津委員】  観山座長、どうもありがとうございました。高度情報科学技術研究機構の高津でございます。今、御紹介いただきましたように、ITER計画には最初の概念設計から、1988年から、この3月まで30年弱関わってまいりまして、その中で自分が得た事業の運営体制マネジメントに関する教訓というものを御紹介して、ILCの議論に反映していただければと思います。
 まずITER計画の紹介を1枚、2ページ目に示してございます。もう御案内だと思いますけれども、核融合というものがエネルギーになるものかということに関して、科学技術的なフィージビリティを実証するというのが大きな計画目標でございます。ここにございますように、88年から概念設計が始まりまして、10年間ほどの設計を経て、2007年からITER協定、いわゆる建設開始の協定が発効してございます。参加国はここに書いてございますように、ユーラトムと残りの6国。極という言い方をしております。
 早速いきなりITERの建設サイトの写真をご覧いただいていますけれども、フランス南部のマルセイユから100キロぐらい内陸に入ったカダラッシュという俗称の場所でございます。ご覧のとおり、建設サイトの、これはバーチャルな絵ですけれども、今もう既にかなりのビルディングが建って、工事のたけなわな状況です。これはカダラッシュの森というところを切り開いて作られているサイトなんですけれども、下の方にフランスの原子力庁のカダラッシュ研究所がございまして、ここが原子力研究、安全研究が非常に盛んだということで、原子力に関する人材や知識がすぐ近くに手に入る。実際にここから人が移ってもらって、フランスの原子力施設の許認可に、経験のある人が対応するという形で、人材の供給もしてもらっております。
 また、このカダラッシュ研究所には核融合の実験装置もございまして、そこで超伝導トカマクという、トカマク型というITERと同じタイプの装置を持った実験を行っていますので、技術面でも、プラズマ面でも人材がかなり供給される状況になっています。
 さらに、後で述べますけど、フランスがホストサポート、いろいろロジスティクスでサポートすることに関しても、このCEAの研究所にエージェンス・イーター・フランスという組織を作りまして、いろんなロジ関係のサポートをしてくれる部隊も近くにいるということ。さらに、遠くを見ていただきますと、これはカダラッシュの森から離れた丘の下ったところにマノスクというまちがありまして、ここは当初小さなまちだったらしいんですけれども、このCEAの研究所ができて、最初のウェーブが来て、非常に人口も増えて、まちが大きくなった。2番目に中にウェーブがあったようなんですけど、3番目にこのITERのウェーブが来て、更にまちが拡充されたということで、住む環境としても非常にいい状況にあることと、そこに国際学校が作られまして、学齢期のお子さんがいる職員は、主にここに住んで、学校にも通えるという状況でございます。
 また、我が国の状況に戻りまして、ITER計画に参加するということに関しては、非常に長い期間を掛けて、国内で御議論いただきました。主に私の理解では4段階の評価を経て、最終的に閣議で決定いただいたと理解しています。まず一番上が原子力委員会の下の核融合会議というところで、専門家の間で評価をいただき、その次に原子力委員会で、原子力行政の観点からレビューを頂きまして、その後、総合科学技術会議の中で、我が国の科学技術行政の視点から御判断いただき、最終的にそれらを踏まえて閣議で決定したという状況です。
 原子力委員会の下では、ここに書いてございますけど、書き忘れて3つしか書いておりませんけど、4つの委員会を作っていただきまして、核融合分野じゃない、他の分野の先生方に様々な視点からも御議論をいただいております。最終的に閣議了解で、六ヶ所村を日本の候補地として、このITER計画に参加すると。また、サイトの協議に臨むという決定をいただきました。
 その際、予算でいろんなところにしわ寄せが来るのではないかという御議論もあったことから、閣議決定では、既存の施策の重点化、効率化を図り、ITERと同じトカマク型の核融合研究も含めた原子力分野の予算の範囲内で実施することという判断を頂いております。
 ITER計画はもう私が30年ぐらい関わってきたということで、時間スケールの長いプロジェクトです。前半の方は省略して、工学設計活動というのが終わる前ぐらいから建設活動に向けた非公式な政府間協議を始めていただきまして、文科省さんを中心に、たしか外務省さんも入っておられたと思うんですけど、非公式な、エクスプロレーションと呼ばれている政府間の話し合いを行いました。その結果を踏まえて、工学設計活動が終わった2001年からはネゴシエーションズと呼んでおりますけど、政府間のフォーマルな交渉を始めていただきました。その間に、ここに書いてございますけど、一時、EUの下で入っていたカナダが独立して参加するということで、サイトの提案を行いました。それから、我が国が提案して、ヨーロッパから2つのサイトの提案があって、都合4つの候補地の提案がありました。それらの候補地に対するサイトの評価などを行って、それらの結果を踏まえて、サイト交渉、厳しいネゴシエーションをやっていただきまして、2007年に協定が成立して、ITER機構が発足している状況でございます。
 あとの議論も少し出てくるので、1点、一番下に幅広いアプローチという線がございますけれども、これはITER協定の協議、サイト交渉の中で日本とEUが1対1の交渉になったときに、どちらかがホストする場合にはもう一方の極にはこういう活動をもって、お互いが協力し合おうという話し合いで合意を見つけていただきました。それは日本とEUだけの活動なんですけれども、ITERではできない活動。特に材料関係の開発なんかをこの幅広いアプローチ、ブローダーアプローチということで、BAという呼び方をしておりますけど、ブローダーアプローチ活動の中で、日欧が協力してやっていきましょうということを話し合っていただきまして、同じときにこの活動も協定が成立して、進めてございます。主に六ヶ所村と、それから、茨城県の那珂研究所で活動しております。
 協定に関しては、大きく枠組みとしては政府間の協定、それから、政治宣言という呼び方をしている取り決め、それ以外に、あと、附属のいろんな規則がございます。政府間協定にはITER機構というものの設立協定と、それに附随する知財の扱い、サイト支援に関する活動範囲を規定しております。それから、特権・免除の協定がございます。この政府間協定については、国会に諮っていただきまして、国会での承認を得て、成立する状況になっております。
 こういうことで、当初の計画では三十数年にわたる活動ということで、長年にわたる活動を担保し、複数年にわたる予算もある程度担保するという意味で、国会で承認を頂いております。具体的な費用の分担とか細かい内容については、その一段下の政治宣言というところに規定されております。こういった高いレベルの取り決めを結んだということには、一番下に書いてございますけど、参加極が、アメリカを除いてと言った方がいいかもしれませんけど、6極は特に強い核融合に対するポジションを持っておりまして、将来の基幹エネルギーの有力な候補として、核融合エネルギーの早期実現を目指すんだと、そのための非常に重要なステップだということで、ITER計画を位置付けているということがございます。
 途中、様々な、先ほどの年表にもちょっと入れておりますけど、いろんなディスターバンスがあって、危ない時期もあったんですけれども、参加極の強いこういう意思で今、活動を続けさせていただいているんだろうと思っております。
 ホスト国の規定が先ほど協定の中にあると申しましたけど、具体的には今回、最終的にはEUだったということで、ホスト国のフランスが準備すべきことをこういった規定で書いてございます。上から代表的なものを見ますと、サイト、それから、電気、水、輸送道路、100キロぐらい内陸ですので、かなり大変な道路工事をやっていまして、大型の構造物が搬送できる道路を作っております。それから、2つ目の四角にはサービスに関わる事項で、こういったことがございますし、職員としては、一番下の教育の問題も非常に大きくて、国際学校を作るということで対応してもらっております。
 ホスト国がこれらをサービスとして、自分たちの責務としてやるということですけれども、その中での負担割合はちょっと我々には把握できていませんが、周辺の自治体にも負担をお願いして、かなりの部分をサポートしてもらってございます。レポートには、10年間の建設期間に560億円ぐらいのサポートをすると書かれています。これは地方の自治体が幾つかが手分けしてやるようですけれども、このような数値が出されております。
 ITER機構は、こういう構成でマネジメントされておりまして、一番上に全体の最終的にステアリングを行う理事会というものがございまして、各極4人以内の委員を出して、7極ですから、30名弱の委員で構成される理事会で最終的な意思決定を行っております。右に3つほどのアドバイザリーグループがございます。それより下が実施部隊ですけれども、実施のチーフオペレーティングオフィサーといいますか、実施の最高責任者がITERの機構長と呼んでおりますが、現在はフランス人のビゴさんという方にやっていただいております。
 その下に、カダラッシュに常駐しているITER機構と、それから、各国に存在する国内機関、ドメスティックエージェンシー、DAと呼んでいますけど、これらが実際の実務を行っております。国内機関は協定の先ほどの政治宣言の中に決められた割合の機器の調達を主に分担するという役割を負っていまして、ITER機構側から与えられるスペックに応じて、主に自分たちの国内での産業界に協力いただいて、物を調達するという活動を行って、それをITER機構に持ち込んで、ITER機構がそれをトカマクに組み上げるというのが大きな役割分担でございます。即ち、ITER機構側がDAに発注して、更に受け取って、それを組み立てるという役割になっております。
 当初は、こういう構想で行ったんですけれども、この国内機関というものがITER機構からはスペックを与えられる。それを自国語に訳して、国内のメーカーさんに作ってもらう。作っている最中にITER機構側からスペックの変更を言われたり、あるいは取り合い条件を追加されたり、そういう変更があると、途端に国内の予算に影響するものですから、どちらかというと拒否したいという傾向がありまして、このやりとりに起因する問題が非常にたくさん出てまいりまして、調達が進まない、サイトの建設も進まない、建屋の建設も進まないということが何年間もあり、トラブルの大きな原因でございました。これをどう解決していったかについては後でまた触れさせていただきます。
 各極の貢献割合はどうなっているのかというのをお示ししたのがこれでございまして、7極は物納貢献と現金貢献という、2つの貢献でITERの計画に貢献しております。この下に割合が書いてございますけれども、当初の協定を結ぶ前の議論の中で50%を超えるコントリビューションを持つ国はやはり持たない方がいいという考えがありました。国際的にどこかの国が圧倒的に強いパワーでリードするような国際活動にはしないでおこうという合意がございまして、貢献は50%を最大でも切っております。結果的には、EUが45.46%で、残りの6極が9.09%の貢献をするということに決定しております。
 貢献の中で、真ん中に丸がございますけど、これはITER機構が技術的な調達をしたりするために必要な現金を貢献する部分で、当初はこれが十数%だったのが今、膨らんで、もう37%まで行っております。一方、各極が物で納める物納部分は、結果的に現在は63%という割合になってございます。
 この割合は建設期の分担割合でございます。運転期になりますと、協定でも規定されておりますけれども、日本とアメリカだけは13%、9.09から13%に増やすことになっております。運転期というのが実際にITERの実験結果などが得られる重要な時期なので、その期間の貢献を大きくして、コントリビューションを大きくしようという意図だろうと理解しております。
 この円グラフ以外に、更にITER機構の職員などの運営費というのがございまして、これがこの円に書いてございませんけど、大体全体の15%ぐらいに相当し、これも現金貢献です。その現金貢献分と、この調達に必要な現金貢献分とは、我が国ですと、文科省さんが直接ITER機構に払い込んでいただいていまして、この物納貢献の分は原子力機構に予算を頂いて、原子力機構の責任で調達をして、ITER機構に納めるという流れになってございます。
 先ほども言ってしまいましたけど、物納貢献の問題で様々なインターフェースのややこしい問題が起こりまして、これが原因で、国内機関とITER機構と、あるいは国内機関同士の利害の対立とかいうのが起こりまして、スケジュールの遅れにつながり、また、コストの増加につながるという問題が生じてきたのが実際でございます。
 そういう中で、ITER協定では、2年ごとにITER機構の運営を評価しなさいという規定がございまして、マネジメントアセスメントという規定ですけれども、それは2年ごとに行われています。2013年に行われたマネジメントアセスメントのレポート、これはアメリカ人で、マネジメントの経験が豊富な方がリーダーでやっておられますけど、この中で様々な重要な指摘がなされまして、特にこのITER機構と国内機関の関心を一致させて、対立しないで一緒にやりなさいと。それに伴って、機構長の権限をもっと強くしなさいと、こういう指摘がございました。
 また、それと共に、例えば人事では幹部の数を少なくして、もっと指示のフローダウンを滑らかにするようにということを指摘しています。また、組織の中に、真ん中に大きな箱がございますけど、設計のインターフェースの調整が今までまずかったということで、横串の調整をする機能の部屋を作った。それから、プロジェクトをもっとしっかりコントロールしようということで、プロジェクトオフィスというもの、横串的な組織を置いたことで、非常にスムーズな流れのようになってございます。
 さらに、ややこしい問題が出てきたときに国内機関の長とITER機構のトップが集まって、そこで議論をし、ディシジョンしましょうということを目的として、EPBと呼んでいますけれども、事業運営委員会というものが作られ、なるべくこの段階で、このレベルで解決していきましょうという流れになってございます。
 それからもう一つ、そのEPBというものが作られたことに加えまして、リザーブファンドという、一定の額だけ、機構長の自由裁量で適宜問題が出たときに使えるファンドを準備しましょうということを合意しました。一定額以下ではございますけれども、機構長にそういった裁量権を与えたということで、ITER機構と国内機関の間で非常に利害が対立した問題に対して解決がスムーズに行くようになってございます。それ以外にもプロジェクトのコントロールの強化、リスク管理の強化等々も対応して、ビゴ機構長の下で改善され、うまく進んでございます。
 最後に、ホストするEUがその後どうなっているのかというのは、ちょっと時間が無いので詳細は割愛させていただきますが、簡単に申し上げますと、ITER関係の活動は欧州委員会の研究総局からエネルギー総局に移して、膨大な予算、66億ユーロの予算をここでハンドリングして、もうエネルギーにつなげる研究開発活動にしていこうという位置付けに変わってございます。
 一方、一般的な核融合の研究はEUROfusionという組織を作りまして、その中でITERに役立つ研究、それから、ITERの運転が始まったら役立つ研究、それから、ITERの次の原型炉を目指した研究という三本柱の研究のみにフォーカスを当てて、5年間で8.5億ユーロの、1,000億ぐらいの予算を配分して、ヨーロッパの研究所を、方向付けをはっきりさせて協力を仰いでいる。そんな状況でございます。具体的にはこのページに、どんなことに協力しているのかというのが書いてございます。
 駆け足で申し訳ありませんが、まとめです。今申し上げたような様々な問題があったんですけれども、いろんな組織改革が行われて軌道修正が行われ、現状ではうまくいっているところです。ILCの視点からしますと、やはり物納貢献というのは、本当は避けた方が良いと思いますが、避けられないのであれば、物納のインターフェースをしっかり定義するということ。また、最初に定義しても、やはり途中ではいろんな問題が起こってくるので、それらを調達する側と国際中央チームが共同で、早く結論を、判断を下せるような合議体、あるいは組織体制を作るということが重要だと思います。さらに、国際中央チームのリーダーとなる人に強い権限を与えること、それでも、なおかつ、問題が生じたときにリザーブファンドのような、コンティンジェンシーを持って解決に当たるというのが一番大きな教訓だったかなと思いますので、それを申し上げて、発表を終わらせていただきます。

【観山座長】  どうも時間を守っていただきまして、本当にありがとうございます。それでは、皆さん、御意見、御質問等、お願いいたします。

【山本(均)委員】  ITERの組織図のところに、中央統合オフィス、これはCIOということだと思いますが、それの隣にプロジェクトコントロールオフィスがあって、それと、この並んでありますけれども、プロジェクトコントロールオフィスは最初からあったと。後でCIOが付いたということでよろしいんでしょうか。

【高津委員】  実はITER計画が始まった当初は、こういうものが要るということは認識があって、2つのグループは作っていたんですけれども、実際にオペレーションしていく中で、有名無実化しまして、両方のグループの機能がうまく働かなくなって、下の現場がリードしていくような状況になってしまったという経緯がありました。即ち、最初の二、三年はこの組織はあったんですけれども、実質動かなくなりました。その背景には、当時の機構長の御判断もあったんだと思いますけど、数年間、この組織が実質消えていたので、今回、ビゴ機構長は新たにはっきりとこういうものを設けて、ここが全体の横串でコントロールするんだという組織に改めて作られたというのが状況です。

【山本(均)委員】  要するに、そのプロジェクトコントロールオフィスが機能してなかったので、機能しているものを、機能するものを作ったということですね。

【高津委員】  そういうことですね。

【山本(均)委員】  分かりました。

【観山座長】  それでは、8ページの組織構成のところで、少しボリュームを教えていただきたいんですけれども、機構長等々ありますけれども、ITER機構というのは、これは何人ぐらいの規模で、シニアクラスとそうでないクラスがあると思うんですが、それはどれぐらいの感じで、あと、日本の人材の供給みたいなのはどれぐらいなのかというのを教えていただけますか。

【高津委員】  全てにお答えできませんけれども、ITER機構の職員は現在1,050人で制限を設けようとITER理事会で決めています。現状ではまだ、その数に至ってないんだろうと思いますが、九百何人とか1,000人とかそんな状況だと思います。今後の展開を考えて、ITER機構側が1,200人ぐらいの希望を出したんですけれども、それでは多過ぎるということで、1,050人をリミットにしなさいというITER理事会からの指示を出して、それを満たすように彼らも動いているはずです。
 当初は、この一番上のここに、こんなことを言っていいのかどうかあれなんですけど、ポリティカルアサインメントのような各極の代表がここに8人いたんですね。7極でヨーロッパが2人、筆頭副機構長に加え、許認可の担当の人もいるということで、合計8人もいまして、全くトップヘビーな組織になっておりました。その当時は、各極は自分たちの国内で予算を獲得したり、いろんなステークホルダーに説明し、理解・支持を得るために、それなりのポジション、高いレベルのポジションがいるということで、そういうトップヘビーな組織になったという状況がありました。しかし、数年動いてみて、やはり動く組織にはなっていないということで、最終的には、ここは現状では、3人のみ、3人でトップマネジメントをやっている状況です。
 人数とその2つについてはお答えできるんですけれども、具体的に幹部の人数がどうかというのは、ちょっと今、私は情報を持っておりません。

【観山座長】  結構でございます。

【高津委員】  ただ、言えることは最初の頃は、部長がいて、グループリーダーがいて、セクションリーダーがいてというので、上からの指示が本当にちゃんと伝わるのかなと思うぐらいの階層構造になっていました。ビゴ機構長は、それをなるべくフラットにしようということで、今は非常にフラットな組織構造に改善されてきていると思います。
 我が国からどのぐらいITER機構に行っているかというのは、幸い幹部職員には結構入っているんですけど、一般職が残念ながら少ない状況です。ITER協定を作るときに各極の貢献分ぐらいは、人数枠は取れる権利があるねという話し合いで進めたんですけれども、今は9%も行っておりません。四、五%の状況で、圧倒的にヨーロッパの人が多い状況でございます。
 地の利というか、そういうのもあるんだろうと思いますけど、我が国は大学の先生方も何年間か行くというのがなかなかやりにくいシステムのようで、一方、原子力機構の方も職員がそれほど増えないものですから、調達の義務を果たすだけで精いっぱいな状況です。勢い、産業界に御協力をお願いして、いい方を出していただいてはいるんですけれども、それでもやはり人の面ではコントリビューションが少ないというのが状況でございます。

【観山座長】  ありがとうございます。

【永宮委員】  ちょっと今の続きですけども、日本が9%というコントリビューションがある。そこで、物納と人員、それとお金が行く流れと、その9%という割合は、そのとおりに比例しているんですか。

【高津委員】  そうです。

【永宮委員】  そうすると、全体予算というのは今、幾らになっているんですか。何かどんどん上がっているという話も。

【高津委員】  ええ。現金貢献と物納貢献の割合は同じで、日本だと9.09%です。全体の予算というのは、この絵の中で、この物納の部分は、各国が自国内で円で支払っていたり、ドルで払っていたり、ユーロで払ったりしているので、全貌が見えないんですけれども、一つの推測としては、ヨーロッパが66億ユーロで、それが45%だとすると、ざっくり2兆円ぐらいになると思われます。我が国も、日本の物納貢献分をどれだけの予算で義務を果たそうかということを原子力機構のときに理事長の下に委員会を作っていただいて、これぐらいの予算ですというのを産業界の方にレビューを頂いたんですけれども、それが2,100億円だったと記憶します。日本が9%、2,100億円。これは各極と同じかどうか分かりませんけど、そういうことからもざっくり約2兆円のプロジェクトかなと判断しております。

【観山座長】  ほかにどうでしょうか。中野委員。

【中野委員】  今後掛かる予算がもっと増えていくとかそういうことがあった場合も、その9%というのはずっと約束されているんでしょうか。
 それと、運転期は13%に増えるということなんですけど、これは絶対値として増えるんでしょうか。それとも比率は増えるけど、絶対値は増えないとかそういうことなんですか。

【高津委員】  最初のご質問に関しては、物納調達分というのはもうバリューというか、納入義務がITERユニットアカウントというもので決められているものでして、残念ながら、これは最初からずっと変わっておりません。だから、それが実際に今の価値との換算率はあるんですけれども、それと国内各極が自分のところの国の中で調達活動をしているのはもう、やや乖離が出てきています。我が国としては2,100の中に抑えて機器を作る、物納義務を果たすということで努力しているところでございます。
 一方後者のご質問に関しては、運転期に入りますと、数値は忘れましたけど、運転の人員とか電気代とか、それから、一部機器の改造費用とかが必要になり、年間の費用が決まっておりまして、それは当然のことながら建設期に比べてはるかに少ない額になっています。その運転費の13%に貢献するという予定でございます。

【観山座長】  山本明委員。

【山本(明)委員】  2つ質問なんですが、1つは、ロシア、米国、日本と対比で、ヨーロッパの方はEUという形で書かれているので、フランスとかドイツという書き方になっていなくて、ヨーロッパの場合、この核融合で、ある意味で二重構造が欧州の中にはある。そういうときに各国の政府がお金を出していく中で、EUという形にまとめるスキームがどこかになきゃいけないんだと思うんですけど、ここがまた1つの複雑さを伴っているのかなと。EUはEUの本部というか、EU4でしたっけ。あって、そこら辺の運営がかなり難しいのではないかと思うんですけど、その点はどういうように解決、運営されてきているのか御存じでしょうか。

【高津委員】  二重構造かどうかよく分からないんですけれども、ユーラトムとして参加していますので、ユーラトムの参加国プラス特別に認められたスイスとかが入っている体制の枠組みです。予算はブラッセル、欧州委員会から来ています。一方、欧州委員会に対しては、ヨーロッパの各国がそれなりのコントリビューションをしています。その割合は、私、把握していませんけど、欧州委員会に支払われれば、もうヨーロッパのお金になっているので、ヨーロッパのお金をFusion for Energyに流して、Fusion for Energyという組織が発注をしている状況です。だから、私らが見ている限り、予算の流れは非常にスムーズに流れています。
 だけど、その中では恐らく、例えば、ドイツがこれほどユーラトムに貢献しているのに、ドイツの企業が受ける受注額が少ないといった観点のクレームが来ているという話は聞いたことございますので、やはり大元は各国のコントリビューションでしょうから、その流れを見ると、不満がある国とない国とがあるんだろうというふうに推測しております。

【山本(明)委員】  あともう1点よろしいですか。先週、私が御説明した中では、いわばここで言うドメスティックエージェンシーがアイリスの場合に考えたものの、各国なり、極の中でのハブラボラトリーになるわけですけれども、企業に対しては、世界共通のマーケットであるという考え方をとろうとしていて、これは物の共通性が高いという点から、数が多くて、共通性が高いという点からはやりやすい点かなと思ってはいるんですが、このITERの場合は非常にそういう各極の中に入って、各極の下でその発注がその中で行われるというようなイメージを強く持っているんですね。
 そうすると、非常にその競争といいますか、値段が、コストが上がっていくことに対する歯止めが非常に掛けにくいという困難があるのではないかと思うんですが、この点についてどういうふうに、実際に今、実施してきている中でどういう評価を持たれているでしょうか。

【高津委員】  基本的にはほとんどの国が自分のところの極内で、確かに調達、自分たちの調達責任を国内のメーカーさんの協力を得て果たしているところだと思います。我が国の場合だと、一部、韓国の企業とかに発注をしている例外もございますが、原則としては、WTOに基づいて、世界にオープンな公開入札をしていますけれども、実際にはほとんどが日本の国内企業に落ちている状況です。
 私達も調達活動を行う中で、ご指摘のようなコストのインフレーションというなか、歯止めが効かないことについては懸念を持っていますので、日本の場合だとできる限り複数の会社に受注し、お互いの競争原理を働かすようなことで、コストのエスカレーションを抑えているというのが状況です。

【山本(明)委員】  ありがとうございます。

【観山座長】  横山委員。

【横山委員】  恐れ入ります。背景を少しお伺いしたいと思います。アメリカについてです。一時期、アメリカが抜けたことにより国際条約が非常に厳しく締められたということが経緯としてはあると思います。アメリカが一時抜けたのはサイエンスベースの話なのか、政治ベースのお話なのか、そのあたりの情報を少し頂けたらと思いました。お願いいたします。

【高津委員】  まずアメリカの状況ですが、年表に見られるように1988年から概念設計活動に参加しており、ソ連とアメリカと日本とヨーロッパで活動を始めました。その後、工学設計のフェーズに入っても、アメリカは入っておったんですけれども、その途中で議会の圧力が強く、建設への進展が見えないじゃないかということで、やめろという圧力が議会筋から掛かりまして、2000年頃だったか、99年だったでしょうか、一度脱退をしてございます。
 そのときには国内でもいろんな議論があって、アメリカなしでやっていけるのかという意見もあったんですけど、やっている我々としては大きな問題もなく、活動を続けられるという判断を持ち、残りの3極で力を合わせてその後工学設計を完遂して、それから、次の建設交渉に入りました。ところが、交渉に入った途端にしばらくしたらアメリカがもう一度参加するということを表明して、ここにございますけど、またテーブルに戻ってきて、交渉を一緒にやっていただいたという状況です。
 アメリカがなぜこういうポジションをとったかというのは、ちょっと私が触れましたけど、6極はエネルギーにつなげる技術ということで、ITERをしっかりやろうという立場だったと思うんですけれども、アメリカはまだエネルギーサイエンスという言い方をしていまして、科学の分野としての興味があって、そこでリーダーシップをとろうという、ちょっとほかの国とは違う立場を持っていたように思います。科学だと言えば、ほかのところにもまだ科学でやるべきことがあるということで、一時撤退したんだろうと思います。
 そういうことで、この協定はかなりの費用負担があるので、途中で抜けるというのは非常に大きな影響を及ぼすので、今回の協定では、私の記憶が正しければ、建設期間中は脱退できない。あるいは脱退するのであれば、必要な費用を払って、やめるというふうな規定になっていたと思います。トランプ政権だと、そういうことが効くかどうかというのは分かりませんけど、そういう歯止めはしてございます。

【横山委員】  ありがとうございます。ほかのところから核融合の技術が開発されるんだったら、それをアメリカが持っておくことが重要であるという、そういう判断もあったというふうに耳にしておりまして、今のお話と一致しました。ありがとうございます。

【観山座長】  北村委員。

【北村委員】  パワポのページでいうと、7ページ、ITERホスト国(フランス)の責務というところがありますが、これはITER設立協定書の附属書に、結果としてこういう事項が出ているということだと思いますけれども、この経緯について、これはフランスの国の責務ということですが、最終的には自治体も負担しているということですね。そうしたときに、何をフランス側で負担するかという議論がフランスの国内で恐らく、ITERの誘致合戦を日本とやったときにあったと思います。ホスト国の責務は最終的には附属書のとおりなのですけれども、プロセスとして、周辺の自治体側がこういう条件を提供しますということをフランス政府に言ったのか、あるいはフランス政府で決めて、自治体側に負担を求めたのかという、そのやりとりといいますかプロセスについて、もしお分かりであれば教えていただけないでしょうか。我々も調べたのですが、そこまでちょっと分からなかったもので。

【高津委員】  知っていることは全て前回の調査で申し上げたので、そのことは私も分かりません。ただ、この条件が非常に高い、いろんな条件、ホスト国はこういうことしなきゃいけないということについては、やはり4つの候補で競い合ってセレクションする過程で、だんだん条件を厳しくというか、高くなっていったように、交渉された方々からは聞いております。
 だけど、その中で交渉に出ていたのはフランスの代表の方とCEAの代表の方とヨーロッパの代表の方だったと聞いていますので、地方自治体の方は恐らく入ってなかったので、どのような落としどころが後で探られたのかというのはちょっと、申し訳ないんですが、我々には分からないところです。

【観山座長】  関連ですけれども、以前の会議でも高津委員が言われていたと思いますが、このホスト国の責務というのは、今のILCと比較してみますと、交渉の中建設サイトを、引っ張り合いの中でだんだん責務が大きくなった。つまり、これだけ提供するから、こっちに建設地を呼びたいという過程の結果、決まったものであって、初めから40%、50%という数字ありきの話ではなかったわけですよね。

【高津委員】  この時期、私は研究現場に戻っていたので、交渉には直接参加していないのですが、聞いた話では、やはりサイトセレクションの過程で条件が高くなっていったというふうに聞いております。だから、今回のように伺っている限りでは、候補がもし絞られて、日本ということであるならば、この辺については非常にいい交渉のポジションにあるというか、様々な交渉のやり方が、可能性があるんじゃないかなというふうに感じております。

【観山座長】  いいポジションにあるのか、それとも関係国から勝手におやりくださいと言われるのか分かりませんけど。
 川越委員。

【川越委員】  先ほどITER機構の職員が最大1,050名というのがありましたけれども、その内訳というのは分かりますか。研究者、エンジニア、あるいは支援職員、ないしは、産業界からの方の出向とか、ということです。

【高津委員】  申し訳ございません。G職員、ゼネラル職員というのと、プロフェッショナル、P職員というだけの分け方をしておりまして、足して1,050だと思うんですけど、正確な数字は把握しておらず、申し訳ございません。当然、P職員、フィジシストとかエンジニアの方が多くて、Gスタッフというのは、セクレタリーとか事務職員ですので、圧倒的に少ないとは思うんですけれども、7:3だったのか、8:2だったのかはちょっと、申し訳ございません。記憶にございませんが。
 そういうことで、P職員が過半数をもちろん占めているんですけれども、その中のフィジシストとかエンジニアの割合についても、申し訳ございませんが、私は把握しておりません。

【川越委員】  じゃあ、もう一件。組織構成が変わったということですが、それを変える際の手続というのはどれぐらい大変だったのでしょうか。機構内で議論して、それを各国が承認という形でしょうか。

【高津委員】  先ほどの組織図でいくと、この上の3人レベルはITER理事会の承認が要ることなんですけれども、それより下はもう機構長の裁量で変えられると思うので、あとは職員の組合との話し合いで、問題がなければ、機構長の御判断で変えられたと認識しております。

【観山座長】  中野委員。

【中野委員】  条約を結んだ後、建設期間中は抜けられないという条件が付いているのは非常に大事だと思うんですが、その条件が付いた経緯とか、どういう方がそういう条件を付けるに当たって、リーダーシップを発揮して、それが実現したかということについて教えていただきたいんですが。

【高津委員】  申し訳ございません。そういうふうなことに決まりそうだというのを聞いて、もっともだなと思ったんですけど、どなたがどういうイニシアチブをとって、交渉の中で発言されて、ドラフティングされたというのは、申し訳ございませんが、私は認識しておりません。恐らくこういった経緯を聞かれて、過去のアメリカの経緯を聞いて、そういう条件は必ず付けなきゃいけないという議論が起こったのは当然のように思うんですけど、そういう場にはいませんでしたので、申し訳ございません。

【中野委員】  ボトムアップか、トップダウンか、分かりますか。

【高津委員】  いや、それも、申し訳ございません。それすら答えられません。

【中野委員】  ありがとうございました。

【観山座長】  この作業部会は、体制とかマネジメントで、最初の機構を作り上げるときに、今までの、もちろん原研も非常に大きな組織ですけれども、それに比べても相当大きな国際的な機構を作るということです。その場合、その作り方というか、どういう体制にしたり、どういうマネジメントにしようというのは、様々な段階で、どんなふうに作り上げていったんですか。一つの考え方としては、今、ボトムアップ、トップダウンというような言い方ありましたけど、今の施設を何かエクサルポーラレントして、こういう施設にしようというのか、それともある種、トップダウンで、理想形をまず考えて、それを現実に当てはめていくみたいな感じだったのか、そこら辺が分からなかったのですが。

【高津委員】  例えばこういう組織をどうするかということですか。

【観山座長】  ええ。

【高津委員】  私が聞いている限りでは、初代の機構長になられた日本の方と、筆頭副機構長になったヨーロッパの人が相談して、特にCERNなんかによく情報をもらって、ある程度CERNを参考にしつつ、核融合の特色を活かした組織にしようということで、最初の理事会だったと思うんですけど、こういう組織図にしますという提案が出てまいりました。
 その過程はITER機構の中で、お2人を中心に相談されたと思うので、それ以上の情報は持っていないんですけれども、CERNと少し相談して、CERNの方に意見をもらったというのは聞いておりますけど、それ以外はおのずと考えられる組織になったんだろうと思います。その当時は設計、インテグレーションのオフィスも、プロジェクトコントロールオフィスもあり、プロジェクトライクな組織になっていたんですけれども、だんだんと変遷していきまして、ちょっとその辺がまずくなったという状況です。

【永宮委員】  ちょっといいですか。それに関連してですけれども。いろんな研究所の在り方があって、主に旧科学技術庁系はトップダウンであるところまで決めて、それで実行するんですけれども、旧文部省系はボトムアップというか、大学の学長もボトムアップの選挙で決めますね。それでITERを見てみれば、多分上の方はかなりトップダウンで決めたように私は思っていたんですけど、下の方は何も関与はしないんでしょうかね。何か関与されて、その声を聞いたということはあるんですか。

【高津委員】  私の知る限り、例えば赤丸で書いて、赤で囲んであるような組織は、機構長の御判断で、リーダーシップをとって、組織を作られたというふうに聞いております。ただ、一番上の箱、2番目のブルーの箱についてはややいろんな国が、事情があって、いろいろポリティカルアポインティーのような方が入って、それがかなり大変だったというふうに初代の機構長からは伺っております。
 私はILCのケースを聞いておりますと、かなり名だたる研究所が構成機関を組織されるわけだと思うので、真ん中に入る国際チームがかなりリーダーシップをとって、マネジメント、ガバナンスをしないとなかなか難しいのではないかという、直観的に思いますので、その辺をうまく組織作りをされる必要があるのではないかと感じております。有力な研究所があると、ガバナンスもしっかりしている。おのおのがガバナンスもしっかりしているけれども、いろんなところの調整が必要なときに全体の調整がその国際チームでうまくやれるためには、そういった組織にしておく必要があるんだろうと思います。

【永宮委員】  初代かどうか分かりませんが、池田さんという方がやられたことがありますね。

【高津委員】  初代です。

【永宮委員】  初代ですか。そうすると、彼はどこかの省庁から来られた方ですよね。

【高津委員】  科技庁さんのOBです。文科省さんです。

【永宮委員】  失礼、文科省。だけど、そのITERプロジェクトに大きく関わっておられた方ではないんじゃないかと。どうなんですか。事前には。

【高津委員】  それまでの経緯は、私、十分には把握しておりませんけど。

【観山座長】  はい、どうぞ。

【飯嶋委員】  この委員会のミッションの一つは国内体制の在り方というのがあるので、このITERが進むときに、フランス国内ないしはEU全体のことになるかもしれないんですけど、それがITER以外の計画にどう整合性を保ちながら進んだのかというところ。最後の方にあったかと思うんですけど、ちょっと駆け足だったので、繰り返しでもいいので、説明いただければと思います。

【高津委員】  ITERのホストをすることによって、一言で言うと、欧州内の核融合研究に関して大幅な再編とプログラムの見直しが行われたということだと思います。大きな点の一つは、担当の所管総局も変わったと。ITERと幅広い活動というのはもうエネルギー指向だから、エネルギー総局が研究総局に代わって責任担当局になったということです。それから、それ以外にも各ヨーロッパの研究所の研究の方向性についても、欧州委員会が強い指導力を発揮して、ITERの調達に必要なこと。それから、ITERが運転が始まったときの実験に役立つ研究。それ以外に、ITERの次の原型炉に向けた研究というのにもフォーカスしてやりましょうと決めました。各国の研究所はもちろん自由度はあるんですけれども、欧州委員会からの予算はそういう方向の研究だけに50%だったか、60%のサポートをしますということなので、おのずと各研究所の核融合研究の中にも非常にITER関連にフォーカスされた研究に移ってきたという状況だと思います。

【飯嶋委員】  どうもありがとうございました。

【観山座長】  よろしいですか。では、山本委員。

【山本(明)委員】  やはりヨーロッパの場合、ホストがフランスで、だけれども、予算的な分担をするときは、ユーラトムであり、EUであるというところがやっぱり私たちには分かりにくくて、どういうふうにマネージできるのかなと。例えばユーラトムの中ではまたヨーロッパの中での分担ということがきっと話し合われてこなければいけないのではないかと思うんですけれども。

【高津委員】  ホストサポートの件ですか。

【山本(明)委員】  ええ。例えばEUとしてお金を出されたときにフランスがその中の何%で、ドイツが何%かということは、また内部できっと相当もまれなければならないことで、そこに今度はホストとしての役割というのがあったりして、すごく複雑な感じがしているんですね。恐らくILCの場合は、CERNというヨーロッパの中央となる研究所がありますが、そこでここで言うEUのような役割をすることは余り期待されないと思っていて、例えばCERNがこの大きな予算を自力で、各国から調達してきて、ここにまたインターナショナルリニアコライダーに貢献できるかというと、そういうものではないと思う。既にCERNとしてのミッションが決まっていて、そこに条約によってお金が決まっているので、そういうことではなくて、各国のやはり自律的な貢献というものをきちんと議論しなきゃいけないんだと思うんですね。その点を考えていく上で、ITERはどうしてこういう形がうまく機能できたのかというのをもう少し勉強させていただきたいんですけど。

【高津委員】  私の知っている限りでは、ホストサポートについては恐らくEUとホスト国の間で、ホストを提案する前段階から話し合いが行われて、ホストサポートについてはホスト国がするというやりとりになっているんだろうと思います。したがって、ホストサポートの項目については、ヨーロッパのほかの国が貢献しているという話は聞いたことがなくて、フランスが直接支援するか、CEAを通して支援するか、地元自治体が支援するかになっているというふうに理解しています。
 一方、物の調達については、ブラッセルが全体を面倒見るということですので、ヨーロッパを構成している国々から貢献金があって、その中から予算を割り当てているんだと思いますから、そこについては各国の貢献分があると思います。

【観山座長】  運用面で、これは実験炉という形で、様々な運用時期には実験されるのだと思いますが、その実験提案とか、その実験のデータなどは、参加国への供給というのはもう平等な形で割り当てられるのでしょうか。

【高津委員】  2つ目の御質問については参加国が平等にシェアできると決められています。それは建設過程で得られた知識も含めて、実験データ、実験、運転が始まって、得られた実験データも共有できるという取り決めになっています。
 一方、最初の方の御質問については、私が理解するところは、まだ運転の仕方、実験の仕方についての議論は十分煮詰まっていない段階だと思います。こんなことを言うと申し訳ないのですが、9.0から13%に貢献を上げることに対してどのぐらいフェアリターンがあるのかというのは分からない状況です。想像するには、最も魅力的な実験を提案して、また提案の背景にこんなデータがあるとか、こんなシミュレーションがあるといって提案するのが最も強いんじゃないかと思うので、第一義的にはサイエンティフィックな議論で、ITERの目的に合った最も魅力的な実験をやるということになると思います。一方、どういうグループでそれを検討していくかとか、体制についてはまだ議論されていないと思います。
 ただ、世界のトカマク物理のコミュニティでは、そういうことに備えて、国際的なチームを作って、ITERのための実験を今もやっていますし、実験が始まったら、きっとイニシアチブをとろうというぐらいの意気込みでやっておられるんだろうと思いますが、フォーマルな議論はまだ始まってないと思います。

【観山座長】  後で議論する場もあるんですが、産業界との連携という面で、ITERは何か特色がありますか。

【高津委員】  もちろん産業界を巻き込んだいろんなフォーラムを開いて連携活動を行っています。ITER理事会議長のときにも、そういうフォーラムを経験させてもらいました。一方、直接的には恐らく調達を通してのビジネスオポチュニティを提供して、今後ももっと長期的に参加していただくような機会を作るということが重要なんだろうと思っています。積極的に産業界とインタラクションを持つような場は、私が知っている限りでも、ITER機構は年に1回ぐらいは必ずそういうのを開いて、特にヨーロッパの企業が近いですから、たくさん参加いただいて、情報交換をやっていることは承知しております。国内でも国内機関がそのような機会を作っています。

【観山座長】  中野委員、短くお願いします。

【中野委員】  物納中心なので、品質保証というのは非常に重要だと思うんですが、この機構長直属で付いている品質保証の部署というのは何人ぐらいいて、どういうことをしているのかというのを教えてください。

【高津委員】  何人かはちょっと把握しておりませんけど、やっぱり7極で物を作っているということで、ビシッと品質、QA、QCのルーチンとフォーマットが決まっておりまして、それに基づいて各極がそれを受け取って、国内のQA、QCに反映させているのが状況でございます。
 ただ、我々から見ると、ややプリミティブな項目も入っていたりします。ITER機構にこんなことまでするのかというふうに問い合わせると、7極共通だから、そこはちょっと飲んでくれというようなこともありまして、やはり各極の産業界の状況は違うので、QA、QCについても要求されるレベルが本当は国によって相当に違うのだろうと思われますが、統一したQA、QCフォーマットになるとしますと、かなり品質は厳しいというか、そこまでしなくてもというところまでやらされているのが状況です。
 最近、一つ、ビゴ機構長になって大きく変わったのは、以前は国内機関がチェックした後、ITER機構の人が来て、チェックして、それでオーケーを出すというふうな二重のQA、QCをやっておったんですけれども、ビゴ機構長になって、両者は一体のチームでやっているんだから、国内機関に任せてオーケーだったら、もうそれでいいというふうなことで、少しその辺は合理化はされてきています。とはいうものの、我々も含め、日本の産業界もやや、そこまでもというのは、正直言って、あるところだと思いますが。

【観山座長】  よろしいですか。はい。佐藤委員。

【佐藤委員】  今おっしゃったことはまさに肌で感じていまして、以前に比べるとDAの裁量、それから、国内企業とDAの相談したことが認められることが増えてきたと。これはビゴ機構長も多田副機構長もおっしゃっていましたけど、ITERはやはり取り合いのところをしっかりやるべきであって、一つ一つの細かいところまでやっていると、人がいくらいても足りないと。だから、ITER機構はそちらの取り合いをしっかりやって、システム全体が動いて、建設できて、うごくところに主力を注ぐように変えていくんだとおっしゃっていたのが、今まさに実現されてきているなというふうに感じます。

【高津委員】  ありがとうございます。

【観山座長】  どうもありがとうございました。まだあると思うんですけれども、続きまして、井口先生からALMA計画について御発表いただきたいと思います。井口先生は自然科学研究機構国立天文台において、アルマ・東アジア・プロジェクトマネージャーを務めておられ、研究のみならず、体制やマネジメントの面からもこれまでALMAの計画の運営に携わってきておられます。
 それでは、井口先生、よろしくお願いいたします。

【井口教授】  すみません。立った方が話しやすいので、立たせていただきます。国立天文台の井口です。ALMA計画に参加して十数年経ち、プロジェクトマネージャーとしてちょうど今年で10年目です。その立場から、いろいろお話をさせていただければと思います。
 ALMA計画ですが、総合科学技術会議等でも審議・承認され、進んできた計画ですが、残念なことに、最初は二者で進むことになってしまいました。この経緯については、我々からも質問等があった際には話をさせていただいています。この計画を考案したのは、日本であり、ほぼ同時期にアメリカが、そしてヨーロッパが10年以上遅れて参加し、進んできました。日本の概算要求では、ちょうどタイミングが大変なときだったため、認めていただけずに、米欧に比べて2年遅れで承認されました。一方、米欧はそれをちゃんと予定通り予算が承認されたため、まず二者協定を結び、アルマ計画を進め、その2年後に三者協定を結ぶという形態で、アルマ建設計画は進みだしました。
 協定書の締結プロセスでは、分担項目は各国にて、まずそれぞれの電波天文コミュニティレベルでしっかり議論をし、その後、国際アルマ科学諮問委員会が設立され、そこで審議され、優先順位を決めて分担リストが作られた後、それをアルマ評議会に提案し、そこで審議され承認されたものが、協定書の策定の中に組み込まれて行きました。なので、ボトムアップのプロセスをかなり大事にして優先順位を決め、その結果を踏まえて分担リストが作られています。
 そして、各国で、この結果を踏まえて、同調しながら概算要求を進め、結果として予算が認められ、上記の協定書が結ばれました。つまり、予算が認められた上で、協定書にサインされたわけです。なので、概算要求が通らなかった日本は、2年遅れでサインをし、参加することになってしまいました。
 平行して、概算要求をする前に科学コミュニティレベルでの議論を行っております。
日本の場合は、日本学術会議という大きな組織があり、そこで十分審議をしていただき、ALMA計画は物理及び天文部会にて高い評価を得られましたので、その後学術審議会等を経て、CSTPと当時言われたところでも審議をしていただいて、予算を認めていただきました。
 一方、米国では、Decadal Surveyという10年に一回、大きな科学コミュニティの人たちが集まって大激論をする場があり、その中で、第一優先にならないと、ALMAクラスだと、やっぱり天文分野では通らないということで、NSFやアメリカ国立電波天文台がすごく頑張って、Decadal SurveyにてALMAは高い評価を得て、最終的に連邦議会へ提案され、予算が承認されていました。
 ESOでは、ヨーロッパはそのような大きな組織がなかったため、ALMAの場合は形式的にOECDにて議論をしていただきました。なぜALMAがヨーロッパにとって必要なのかという議論をしたと聞いております。欧州の代表は、ESOですので、先ほどから議論がありますようなCERNとか、またはESA とか、その似たような組織が天文にもありまして、それがESOです。なので、ALMA は、ESO Councilで最終的に審議をされて、予算が認められました。
 ここでも、常に大事なのは、やっぱり各国が同調して提案していったことです。日本が概算要求をするたびに、北米側が、ちょっと待ってくれとか。今、先に予算がつくと北米が大変になるとか、同調しながら、そのタイミングを図ることも議論としてありました。
 建設も終了し、今現在、運用期です。運用期では、これら建設協定では、建設計画と最初の初期運用フェーズまでしか規定されなかったため、今後の運用期間30年を想定した合意が必要となり、確固たるガバナンスが書かれた運用協定が2年前に締結しています。
 この新協定の作成では、ワーキンググループが作られ、それぞれのリージョンから代表者2名ずつを選び、建設協定をベースに議論を開始したのですが、結果、6割ぐらいが書き換わっちゃったんですけれども、多方面の議論をいっぱいしながら最終合意に至りました。そのときの署名は、NSFの長官、ESOの所長、そして、自然科学研究機構の機構長が行い、この協定を持って、30年の枠組みが出来上がりました。
 ALMAでは、ヨーロッパは、ある意味、ILCで言えばCERNが代表していただいていると思っていただいて良いと思います。敢えて、ALMAでは、ESOが代表として参加してきたことは、おもしろい構造であると思います。
 国立天文台とアメリカ国立電波天文台があって、チリにALMAを作る。こちら側が太平洋で、こちら側がアンデス山脈なんですが、この写真はハッブルから撮られた絵なんですけれども、見ていただくと、この辺りはあんまり雲が掛からないんですね。アンデス山脈が邪魔してくれて、アマゾンからの雲を遮ってくれるのと、チリというのは湾岸沿いから一気に2,000メートルぐらいまで上がってくるような山々が多いので、太平洋からの風もブロックしていただけます。そして高地であることから、大気も薄く、透けて見えるという意味では、ALMAのロケーションは、サブミリ波で天文観測するには最高の場所だと言って良いです。
 参加している国と地域は、現在で22か国です。ESOのメンバーズカントリーを含め、北米はアメリカが代表し、カナダはアメリカを通じて参加していますし、東アジアでは、韓国と台湾は日本を通じて参加しております。しかし、ALMAは、あくまでもメインは日本、アメリカ、そしてESOで主導しております。これは少しおもしろい構造かなと思っています。そして、ホストカントリーといって、お金を一切出さないんですが、土地を貸しているチリも、観測時間をゲットすることができます。
 ALMAが目指すものとして、ミッションの定義ですが、何より一番大事なのは、宇宙物理学の理解を進展させるのが、ALMAの大目標です。そして、メンバーズカントリーに参加している国々にも、当然ドメスティックなプログラムがいろいろあるんですが、そういう計画を邪魔せず、しかも、ALMA自身が発展していくような枠組みじゃないといけない。ミリ波サブミリ波天文学が、協力関係を持って、更に促進していかなきゃならない。最後に、30年以上、ちゃんと長期運用を可能となるような強いマネジメントを持ち、そして、それぞれの国々がその貢献割合に応じて責任を持って、最終的には素晴らしい成果を出していく。その中には経済的にも良い結果が出されるべきであると記されています。
 科学目標もしっかり分かりやすいものに定義しなさいということで、つい最近、CSTIでも審議を行っていただきました。ALMAでは、我々、天文学者が使う難しい言葉ではこちらの3つの大きなテーマを掲げていますが、平たく言いますと、何を我々は明らかにしたいかは、私たちの地球がある太陽系がどうやってできたのか、銀河系がそもそもどうやって誕生してきたのか、そして、生命の材料はどこから来たのか、これらがALMAの三本柱の科学目標として掲げられ、我々は観測を行っています。
 現状、初期サイエンス運用の段階でも、科学成果としておもしろい結果が出てきており、たとえば、我々の太陽系と似たような惑星系から「糖」が見つかったという結果が発表されました。この結果は、すでに2012年のときに出ています。
 この結果の大事な点は、我々が住む太陽系と似たような惑星系から「糖」が発見されたことで、結構おもしろい結果であると考えております。最終的にはアミノ酸がどこかの宇宙にあるのは、多分あるだろうと我々も信じているんですが、それを見つけるだけでなく、我々が住むような惑星系からもアミノ酸を見つけられれば、かなり生命の材料となるものがどこから来たのかという謎に深く迫れると思っております。それだけに、この結果は、王手一歩手前ぐらいまでは迫れるんじゃないかなという期待を示す結果であるではないかと考えております。
 今後30年も運用することを念頭しているALMAが、なぜそこまで大事であると考えられているのかを、こちらの図で説明させて頂きます。実線が現在運用中の望遠鏡で、点線が今後計画されている望遠鏡です。これが JWST で、来年、このJWSTというとんでもない衛星がNASAによって打ち上げられる予定です。こちらがハッブルの性能で、これがすばるになります。そして、これがTMTです。Spitzerという、もう論文数が何千本と排出されたすごいスーパーテレスコープもあるんですが、ALMAの性能は、ここになります。横軸が観測波長で、縦軸が解像度です。次世代、NASAが考えているJWSTの更にすごいハッブルの10倍以上の分解能となる、この超巨大望遠鏡計画ですら、ALMAの分解能にはまだ達しないことがわかると思います。JWSTができたとしても、ALMAと比較すれば、一桁程度ALMAの方が分解能でいえば良いんですね。
 今後、凄い望遠鏡が、特に、どんどん光赤外分野でもすばらしい望遠鏡が出来てくる中、ALMAと比較をし、より宇宙の理解を深めていくということが期待されています。そして、性能面で傑出している、このALMA望遠鏡は長い間運用するべきだろうということで、ESO、NSF及び国立天文台でも、その利点をよく理解し、やはり最低でも30年の運用は大事であるというふうに考えております。
 ALMAとTMTの比較という意味では、多少波長が違うことで見えるものは違うんですが、これは説明していくと時間が掛かるんですけれども、ALMAは生命関連物質を検出できます。そして、光での観測ではこういうふうにバイオマーカーを見ることができて、主星から出てくる光と観測者の間に、惑星があって、ここの大気等のパスを通ってくる光をうまいぐあいに観測してあげると、この大気成分だったり、場合によったら、この辺の森林の影響がスペクトルに反映し、そこに生命が生存できる可能性のある星があるかないかの是非を証明することができます。こういう観測手法の検証は、ケプラー衛星などでトライされていて、将来的にバイオマーカーがTMTで観測される可能性があるんじゃないかと言われております。特にTMTの分解能と感度を持ってすればできるだろうと言われています。なので、ALMAとTMTは両方とも大事であると我々は考えており、2つがあって生命の誕生に迫りたいと考えております。
 ALMAのガバナンスですけれども、これは建設期のときから決まっているんですが、ご存知かと思いますが、特に米国が参加してくると、かなりガバナンスをしっかりと作ってきます。彼らはこういう議論が大好きなのだと思います。ALMAの場合、この三者協定では、自然科学研究機構、米国の国立科学財団、欧州南天天文台によって協定書を結びました。なので、本当の意味での最高意思決定権は、この三者になっております。ところが、協定書では、ALMA評議会が定義され、そこに最高意思決定権を与えているわけです。このメンバーは、代表者署名をした三者の代表者が日本は自然科学研究機構、米国は国立科学財団、欧州は欧州南天天文台、ESO、そしてそれら三者がそれぞれで執行権を与えた代表者として、日本は国立天文台、米国はAUI、欧州はESO、さらに各科学コミュニティーから代表者が出てくるというふうな構成になっています。
 だから、協定書をよく読むと、この評議会が一番権限を握っているんだと理解できるのですけれども、一方で協定書の署名機関からの代表者が評議会委員ですので、その代表者たちに力がよってしまいます。ここが少し、ガバナンスの理解で複雑になりやすいです。
 実質的にNSFはファンディングエージェンシーなので、このNSFがALMAを運営することができません。アメリカでは、直接ナショナルインスティテュートにお金をおろすことができないらしく、間にマネジメントカンパニーを入れてきます。これがAUIという機関です。そして、この組織が法人格を持っています。アメリカのほかの国立何とかかんとかという組織でも、ほとんど法人格は持ってないようです。そのため、AUIのようなエグゼクティブが間に入ってくるようです。この米国の都合がALMAの組織を作るところで複雑さを生んでいるのですが、ここの代表者もやっぱり評議会のメンバーに入ってきます。評議会の構成を議論した際には、構成員に利益代表者をどこまでいれるのか、評議会は余り大きくし過ぎても結果として意思決定ができない事態になりやすいので小さくしたいとか、ITERと似たような議論がALMAでも行いました。
 ALMA所長は、ALMA評議会によって選ばれ、チリの合同ALMA観測所の運営の責任を持ちます。すべての運営を合同ALMA観測所ではできないため、各リージョンにはサポートセンターというのが置かれて、それぞれで連携をとりながら運営されています。
 予算の分担率は25、37.5、37.5。チリは、ALMAのために大きな観測施設を作るための土地を貸してくれたということで、観測時間の10%が与えられます。そのチリ時間を引いた残りの90%を、この予算分担比率に合わせて、観測時間が配られます。つまり、貢献したもののリターンが観測時間となっております。
 合同ALMA観測所の運用は、日米欧が分担率に応じて、運用経費と職員全体を分担しているのですが、運用経費と現地職員は分担がわかりやすいです。その出資比率分に相当した25%分を、我々は現金もしくは現物で支払う形態をとっております。一方、国際職員というのがいまして、チリでは得られない技能の持ち主を雇うことができないという点、そもそも科学者はインターナショナルな公募をもってから雇用するべきであろうという考えがあり、このような職種があります。
 ところが、合同ALMA観測所はバーチャルな組織で、法人格を持っていませんので、何だかんだ国立天文台とAUIとESOが出しゃばって運営しています。そうすると、国際職員というのは、国立天文台、もしくはAUI、もしくはESOの所属職員にいずれかから来ます。この40名いる中の10名を何らかの形で我々は貢献していかなければならないということで、今現在、職員を派遣して10名を貢献しています。
 ただ、人事選考委員会は、先ほども述べさせて頂きましたように、インターナショナルな公募で決めますので、10人送りたいから10名の貢献ができるということにはなりません。それぞれのポストごとで国際人事選考が行われて、ベストな人を選ぶプロセスが存在します。最終的にどの組織から選ばれるかは、その人事選考結果で決まります。現状、何とか10名、上位のポジションから下位のポジションまで満遍なくとれているので、何とか日本のプレゼンスは今のところ見せられているかなと思っています。
 合同ALMA観測所は、基本的に現地の望遠鏡の運用とデータのデリバーまでしかやりません。ところが、多くの天文学者は北半球にいます。観測を行う天文学者が欧州と北米と東アジアにいますので、それぞれのサポートセンターが直接コミュニティのユーザーと対話して、この観測データの解析の仕方を教えたり、プログラムを作るときのサポートをしたり、得られたサイエンス結果でまたみんなで議論して、次、どういうサイエンスをやろうかという議論をそれぞれで争いながらやっているという形態になっています。
 ALMAボードのメンバーシップなんですが、これは結構激論になりました。今現在は、3・4・4です。分担比率でいえば、本当は、2・3・3にしたくて、新協定の作業では、2・3・3をすごく我々は提案したんですが、北米が絶対4でないと不都合があると言うことで、4になっちゃいました。
 それで、この構成図の色別で説明させて頂きますと、この赤型の方たちが協定書に署名をした組織の代表者たちで、予算では拒否権を持っています。予算を承認するときには、彼らがノーと言ったら前に動きません。そういう拒否権を持たせています。このブルーで囲まれた人たちが各コミュニティからの代表者です。やはり評議会なので、コミュニティの意見も吸い上げなければということがありました。そして、このコミュニティの代表者から議長を選ぶんですが、今現在、議長になられているのは、日本のこの大阪府立大学の大西利和先生がなられています。
 あと、アセッサーというのがあって、これがよく分からない言葉なんですが、ALMAの中では、北米の人たちが言葉としてあると言って、提案してきたんですけれども、アセッサーというポストを定義し、それぞれのエグゼクティブの代表者を入れています。何でアセッサーというのが必要になったかといいますと、アメリカの国立電波天文台の代表が4名だと評議会のリストには入らないんですね。カナダに一個あげなきゃならないということで。そのためにこういう形になってしまいました。
 あともう一個大事なのは、諮問委員会というのもたくさんありまして、アドバイザーコミッティーとしては、科学諮問委員会、国際視察研究委員会があります。さらに、ALMA評議会の中にも人事委員会、ここが大きな人事権を握るんですが、予算委員会、科学委員会というのがあります。あと、所長会議があり、国立天文台やAUI、ESOといった執行機関の間の関係を円滑に進め、成り立たすグループです。
 意思決定プロセスとしては、ALMA評議会が直接、ALMA所長にがんがんチャージを出していきます。時に審議をしたい内容を視察委員会に依頼したり、科学諮問委員会に出します。
 ALMA所長は、マネジメントチームを束ねながら、このチャージに対してアンサーをしていきます。所長会議は、アドミニストレーションに関連するような管理支援をALMA評議会だったり、合同ALMA観測所の運営に貢献していくことを行っています。
 アルマ・マネジメント・チームというのは、先ほどで言うこのALMA所長の下にいるんですが、合同ALMA観測所と各リージョンのマネージャーたちの間をつながないと、やっぱり組織として一体にならないということで、ここにマネジメントチームを協定書では定義し、多くの権限が与えられています。つまり、実質的に、このアルマ・マネジメント・チームがALMA全体を運営していくわけですね。与えられた権限を基に、この4名が日々コミュニケーションを持ち、アルマ全体を運営していっています。合同ALMA観測所とそれぞれの地域センターを有機的につなげるという仕事もここで行っています。
 そうはいっても、何でもかんでもマネージャーだけで全てはやれません。なので、この下にそれぞれのディビジョンごとに専門家を置いて、またそこで調整するチームということで、統合チームを我々は定義しました。
 まず1つ目はサイエンスですね。科学成果全体でコミュニティから不満、不平が来る。どういう科学目標をやっていくのがALMAにとって大事か、どういうところを少しモディファイドするとALMAは更に性能が上がるんじゃないかと、こういうことを議論する場としてそれぞれの代表者がいます。天文分野で高い業績のあった方々が、大体このポストに選ばれます。
次は科学運用で、得られた観測結果のクオリティをコントロールしたり、ユーザーへのサポートをしたり、さらにそれらが充実しているかどうか。ここが、サイエンスオペレーションと呼ばれるところの代表者です。ここは、かなりハードな仕事量で、次の望遠鏡の改善点、例えばソフトウェアの改善で、ここが微妙に悪いために効率が悪いので改善してほしいとか、もっとこういうふうにソフトウェアを改善していかなきゃ解析がはかどらないとか、様々なRequirementsも出していきます。
そういう要求を全部応えていくのがこのコンピューティングチームで、それぞれのタスクは、この4人のマネージャーたちがそれぞれのリージョンで、どの仕事を分担して、それで、どこをアップグレードし、改善するのかという仕事を日々調整・検討していて、仕事の分担を分けています。
 次はエンジニアリングチームなんですが、ここが一番どでかいチームです。総勢、日米欧全部足すと500人ぐらいいるんじゃないかなと思うんですが、日々、望遠鏡の運営とアップグレード、そして、保守というものをやっています。
 あと、最後にもう一つ大事なディビションとして、ALMAでは大きく重要視しているのが広報です。それぞれのリージョン間が連携して、一つの広報グループを組んでいます。科学成果が出たときは、この広報グループが世界中に同時発信するということを行っています。
 次は、ALMAでの意思集約プロセスについてです。コミュニティからの意見を吸い上げていくんですが、パスとしてはいろいろあります。それぞれの地域センターからの集約、科学諮問委員会からの集約、この委員は世界に公表していますので、各人が直接コンタクトすることができます。そして、最終的にALMA評議会に、さまざまな意見が集約される流れが、組織全体に組み込まれております。
 あと、外部評価委員会として、先ほどのITERのお話にもありましたが、建設期は、ALMAではほぼ1年に1回、やってきました。かなり大きなことを審議していただいたりしています。特にディスコープをしながらもサイエンスが落ちないとかですね。そういう審議および審査もこの外部評価委員会で行っていただいた経緯があります。
 運用期におけても、この国際外部評価もやっています。2007年にはすでにアンテナが現地に到着しましたので、運用が開始されたことから初期科学運用に対する審議とか、そして本格運用が始まるということで、2015年にも開催させていただきました。日本からも委員が参加していただいて、かなり大きな貢献をして頂きました。
 あと、安全の審査会というのも、国際外部評価をやっております。
 国際計画から学んだことを話してほしいということで、これについてまとめさせていただきました。ALMAにおいて、やっぱり非常に感じたことは、何か自分たちができるところだけ貢献するとか、おもしろい科学に関連するような開発ばかりやるとか、それだけでは殆どプレゼンスは上がらないというのが分かってきて、やっぱり全ての運営に関与していかないと、プレゼンスは上がらないということでした。とりわけ人事や安全、広報、ストライキとか起きたときに、こういうことは科学者が不得手なんですけれども、実はそういうところに専門家がどんどん出しゃばっていって、やっていかないと、やっぱりイニシアチブはとれないです。
 あと、成功のみならず、リスクや失敗なども共に負っていかないと、やっぱりプレゼンスは上がらなく、おいしいところだけやっていたって、それはできて当然ですよね、となってしまいます。つらい仕事で、それをどのように乗り越えていくのか、ということがもう一つプレゼンスを上げることにつながります。
 何より日本の場合、痛いのがこの予備費がないことですね。予備費がなきゃ何も判断できないです。だから、こういう会議にマネージャーとして出席し、さあ、解決をしよう、お金を投資しようといったときに、日本はどうするんだと質問されても、金はない、といつも言わなきゃならなかったです。とはいえ、それだけではプレゼンが低下しますので、我々はいつも人を送り、人的貢献をしていました。人が金だと思ってくれと。頭脳が我々の貢献だと気張ってやっていたんですが、これではすぐに限界となります。全然限界がありました。
 あと、海外が日本より進んでいるマネジメントはと、よく聞かれるんですが、基本的には当たり前のことばかりですが、これらマネジメントの基本がしっかりしていることですね。先ほどITERのお話にもありましたけど、このヒエラルキーも大事ですね。指揮命令系統がしっかりしている。職員たちもそれをよく理解して動いていく。当然それをパスするルートも持っておかなきゃならないです。あと、日本の場合、よく混同されているのが、マネジメントとアドミニストレーションの違いです。アドミニストレーションができる人がマネージャーだと日本はよく考える傾向があります。ここはもう全然違うので、よくその違いを理解しなければならないです。
 もう一つは、徹底した合理主義だなと思います。法整備ですら、法すら変えていかなあかんというときには頑張る彼らの力強さは、すごいなと思っています。
 そして、サイト・インフラ、つまり土建はすごいですね。彼らのサイト・インフラ整備のパワーはもう恐ろしくて、感心するばかりです。要は、力強いマネジメント体制を構築しない限りは成功しないんだなと実感しました。
 国立天文台は、野辺山、すばる、ALMA、TMTと、一歩ずつ国際プロジェクトをやってきて、やっぱり一番大事なのはプロジェクトマネジメントと、あとは、システムエンジニアリングだなと思っています。後でシステムエンジニアリングの大事さをまとめのところで言わせていただければと思いますが、ALMAは、参加している国と地域は22あるんですが、実質は3つでリードしました。この3つというのが、ちょうどいいサイズだったかなと思います。頭がでかいとやっぱり動かないんですね。でも、三者ぐらいだとコンセンサスは得られます。
 そして、Product TreeやWBSをしっかりと作るということ、これはもう必須です。日本のメーカーさんは普通でやっていることなので、海外がやっているから日本はやらないというわけじゃなくて、日本の研究機関もこれはやらなきゃならないと思います。そして、インターフェースの変更の話ですね。これはALMAではConfiguration Control Boardというのを作って、インターフェースが変更したいと提案しても、そう簡単には認めませんでした。マネジメント的な観点、スケジュール、コスト、そして科学的に価値があるのかどうか、さらに技術的にそれが本当に正しい提案なのか、常に審議では専門家も入れながら、何度も何度も議論して、すべてにおいて妥当であるものだけがこの Board にて承認されてきました。だから、誰からの一存や言いなりで、システム変更は生じなかったです。バジェットの変更もそうです。常に、そういったお金、人、そして、科学的価値、このボリュームを見て判断していきます。さっき言ったマネジメントの4名が合意しない限り、これらの審議は前に進みません。こういったことをやりながら、ALMAではやっていっています。
 あと設計審査会は、ほぼNASAが行っていた手法を導入させていただいたように感じています。NASAやESAのやっていることですね。System Requirement Review、Preliminary Design Review、Critical Design Review、Test Readiness Review、Preliminary Acceptance In-house、Preliminary Acceptance on-Siteと、それぞれ最低でも1,000ページぐらいのドキュメントを準備していかなきゃならないんですけど、その審査会を突破しない限りは次のステップには絶対行けないのです。しかも、全てのコンポーネント、小さなものから大きいものまで、このプロセスを徹底してやるということをALMAではやってきました。
 国際外部評価は、NSFの要求だったのでやってきました。今後の国際計画についてということでのサジェスチョンという意味では、米欧流のマネジメントはALMAの建設当初から日本の研究者ができるのかなと心配されたりもしたのですが、でも、結果として経験した感じでは、これらはそれほどそんなすごいマネジメントでもなかったかなと思っています。
 そして、システムエンジニアリングについてですが、意外かもしれませんが、日本は得意でないと思います。一品物、すごいものは作るんだけど、その一品物、すごいものに寄り掛かり過ぎて、最終的に出来上がるものは少し劣化していることがよくあるので、その辺のバランスが大型装置開発では大事ですね。何か個々のもののおもしろいものに投資するだけではなく、最終的なパフォーマンスがベストにならなあかんという観点でエンジニアリングはやっていかなきゃならないので、その辺のノウハウは、米欧は結構強かったかなと理解しております。
 以上です。

【観山座長】  どうもありがとうございました。
 ちょっと補足しておきますと、先ほどあったITERとか、今のILCの規模から言うと、建設予算が大体1,500億円ぐらいですから、10分の1ぐらいの計画で、天文学ですけど、純粋学術研究ですよね。エネルギー開発とか何とかいうことは全然関係ないです。
 それから、これはマネジメントとか体制という点では、機関間協定です。この前の野村総研のまとめにもありますけれども、完全な機関間協定で、国の条約にはなっていません。ですから、さっきもちょっとありました関係機関の要求が大変ディレクターに対して強くて、機関の3人の長と、ALMAのディレクターの4人で集まるディレクターカウンシルというのが実際の状況を決めていくところで、なかなかALMAの所長というのは大変だと思いますが、一方で、各国の代表の機関が入っているので、各地域へのコミュニティへの対応は物すごくきめ細かくやっています。つまり、コミュニティの要求は、各リージョンの機関に上げて、その要求をALMA本体へ上げるということです。それから、もう一つ、ITERとかILCと全然違うことは、徳宿委員が前回話されたことでもあるんですけど、天文学なので、対象はたくさんあります。ですから、全ての人が同時に同じデータを共有するのではなくて、1年ぐらいは観測の時間をもらった人にプライオリティがあって、その人が特権を持って論文を書くことができる。1年間たてば、全世界にリリースされます。だから、観測の時間をアロケートするとか、どういう性能をするのかといった点について、サイエンスコミュニティからの要求は大変強いです。その審査というのは、毎年行われますけれども、非常に厳しい競争の中にあるというところがちょっと違う部分かもしれませんね。
 それでは、質問をどうぞ。

【中野委員】  各国に割り当て時間みたいなのがあるんですが、その割り当て時間内に何をするかというのは、まだそこで審査があることと思うんですけれども、それは各国で審査して決めるんですか。それとも何か決めた上にまた審査があるんでしょうか。

【井口教授】  もともとは各国で審査して、各国が好きなようなサイエンスをやりたいという提案は、日本は強く持っていたんですけれども、やはりこれだけ貴重な望遠鏡、同じような観測がダブったらもったいない。1年たてばアーカイブとして全世界の天文学者が使えるんだったらということで、今は世界一つで審査会をやっています。年に1回、審査会を開催していますが、今年、4月に締め切ったのでは約1,700件もの提案書が来まして、審査会は6月に開催します。100人ぐらい世界中から天文学者に集まっていただいて、その審査会を実施します。このメンバーもこの分担額に比率を合わせて、それで、1位から1,700番までの提案に対してランキングを付けます。それぞれのリージョンで、観測時間が持っている枠が埋まるまで積み上げて、採択される提案が決まっていくんですね。なので、絶対に日本は22.5%の時間を得られます。その代わり、その基本となるリスト、1,700番までの順番がついたリストを見たとき、結構おもしろい傾向がバッと出てきます。

【中野委員】  分かりました。

【観山座長】  はい、どうぞ。

【永宮委員】  ALMAとITERと対比して、非常によく分かりました。僕はJ-PARCというところをやっていたので、J-PARCがちょっとALMAに近い。そのときに3か所のところから所長さんが選ばれるんだと思うんですけど、その所長さんはどのようにして選んで、どういう権限があるんですか。それが我々にとっても重要なところなんですが。

【井口教授】  そうですね。それは新しい協定書を書くとき、その協定書の作成委員だったので、全部答えられるんですけど、分かりやすく答え切ろうと思うと、また1時間ぐらい欲しいぐらいの難しさがALMAの所長の場合はあるんですが、基本的にALMAの所長は、国立天文台かAUIかESOの職員がなります。ボードから任命された選考委員会というのが出来上がって、その選考委員会が世界中から候補になりそうな人のショートリストも一旦作ります。声も掛けたりもするんですが、その後、世界中に対して公募を出します。日本だけではなくて、米国や欧州もです。時には、『NATURE』や『SCIENCE』を使って、公募を出すんですね。
 応募者リストが出てきて、それでその選考委員会が面接する人のリストを作り、人事選考を行います。何名か残った方々は、ALMA評議会が臨時に開催されて、そこでもう一回面談して、最終的に1名が選ばれます。選ばれたらそのままALMAの所長になられます。当然オファーを蹴るということもあるとは思いますけれども、このようなプロセスで選考されています。
 権限はここに書いてあるとおり、基本はここの合同ALMA観測所をリードするまでしか書いていません。それぞれのリージョンの地域センターは、やはりそれぞれのリージョンに設置されているため、そこで任命されているプロジェクトマネージャーが権限を握るんですね。そうすると、ALMA所長としては、データのデリバーまでは責任持たなければいけないけど、そのリージョン内のことをマネージできません。だから、協定書では、それぞれのリージョンには、国立天文台、ESO、AUIが力を握っており、ALMA所長はそれらをオーバーサイトはするんだけど、そこにある予算の権限にはタッチできないので、やはりこのアルマ・マネジメント・チームを作って、常にコンセンサスを持ってマネージしなさいというのが定義されています。なので、ALMA所長になられた方はいつもそこで苦しむわけですね。なかなか突っ込めないところが出てくるからです。
 ところが、リージョンはリージョンで、都合がいっぱいあるわけです。コミュニティの意見も違えば、やりたいこと、やりたくないことも違います。なので、このアルマ・マネジメント・チームの場でしっかりと闘ってやっていきなさいということが強くALMAの所長としての役割として一つあります。

【永宮委員】  それは分かりました。大体J-PARCとよく似ているんですけど、3つの研究所だから、非常にコンセンサスをとりやすいと言われましたよね。

【井口教授】  はい。

【永宮委員】  僕らJ-PARCは2機関でやっていますが、なかなかコンセンサスはとれないんですよ。対立しちゃったら全然多数決は効かなくなるから。その3つですと。

【井口教授】  そこなのですが、奇数というのは大事なんです。大体2対1で割れるんですけど、ALMAのときは、大体喧嘩するのが北米とヨーロッパなんですね。結果、日本がすごいキャスティングボードで握れるんです。随分とおいしいところをとらせていただいたなといつも思いますね。

【永宮委員】  なるほど。

【観山座長】  はい、どうぞ。

【徳宿座長代理】  大変おもしろく、よく分かりましたけれども、一つ確認です。3機関でやっていて、かつ、22か国ということですけれども、日本と東アジアの台湾、韓国の機関との関係というのはどういう具合になっているんですか。

【井口教授】  基本はALMA協定が軸にあります。そしてそれぞれの地域で、さらにそれぞれが協定を結び、3つの地域が形成されています。東アジアでは、たとえば、台湾では向こうで言う自然科学研究機構に値する中央研究院がありまして、そこと協定を結び、それで東アジアALMAに対してどういう貢献をしますかというのを、その協定で合意しております。

【徳宿座長代理】  じゃあ、協定は日本と韓国とで協定を結ぶという形になって、直接ALMAに対して韓国が結ぶわけではないのですか。

【井口教授】  はい、その通りです。

【徳宿座長代理】  分かりました。

【観山座長】  はい。北村委員。

【北村委員】  基本的なことで恐縮なんですけれども、このALMAの望遠鏡というのは、このパワポのページで、4ページ目、その下の写真でみると望遠鏡群なのですか。

【井口教授】  群なんです。

【北村委員】  群ですね。

【井口教授】  はい。

【北村委員】  望遠鏡群を最初に建設したときの分担というのは、完全にワンユニットごとに分担し、たとえば、EUでワンユニット、日本でワンユニットと、そういう形で建設されたのですか。

【井口教授】  一つのものを三者で作ると、インターフェースはすごく大変になるんですけど、ALMAは電波干渉計といって、アンテナ素子の数、100台あったら、その100台を一つの望遠鏡にすることができます。これを開口合成とよびます。これはアレイレーダーに近く、似たような原理で実現しております。このため、分担の切れ目は、台数で切ることできたことが大きく、アンテナの台数が66台ありますので、25、25、16と分けることができました。そのため、インターフェースはかなりクリアにできたと思っています。

【北村委員】  その設計図というのは全部共通なのですか。

【井口教授】  アンテナの仕様書は全部共通です。

【北村委員】  仕様書は、共通ですか。

【井口教授】  ただ、仕様書は共通でしたが、異なったアンテナが出来上がりました。三者三様で。

【観山座長】  設計図は違います。仕様書が一緒。

【井口教授】  はい、仕様書が一緒です。

【北村委員】  性能が一緒ということですね。

【井口教授】  性能要求に関しては仕様書に明記されておりますので、一緒です。さらに、作業ワークが書かれている Statement of Works も全く一緒です。

【北村委員】  なるほど。

【井口教授】  ただ、仕様書等が完全に一緒でも、どうそれをどう実現するのかは、それぞれのリージョンの研究者だったり、その先にいらっしゃるメーカーさんたちのアイデアによります。ALMAとしては、一番大事なのは、その仕様を満たしていただくことでした。

【北村委員】  その望遠鏡の調達ですが、我が国は日本の企業から全部調達ですか。

【井口教授】  そうですね。はい。

【北村委員】  3極はそれぞれで調達したのですか。

【井口教授】  日本のは日本のメーカーで、アメリカはアメリカのメーカーで、欧州は欧州のメーカーが落札しました。

【北村委員】  なるほど。分かりました。
 もう一点ですが、常に大規模科学実験施設は、インフラストラクチャーとユーザーというふうに考えてしまうのですけれども、望遠鏡群をこのインフラストラクチャーと考えたときに、要するに、ユーザー側というのは先ほどの1,700論文で、時間をシェアして、時間を割り当てられて研究する研究者がユーザーというふうに理解してよろしいんですか。

【井口教授】  そうです。はい。

【北村委員】  そういうことなんですね。

【井口教授】  はい。

【北村委員】  そうすると、先ほど国際職員は全体で40人というようなお話がありましたが、この国際職員というのは、いわゆる望遠鏡を管理運営するとか、メンテナンスするとか、そういう役割の職員と理解してよろしいのですか。

【井口教授】  そうです。そのとおりです。ここで書いているのは合同ALMA観測所の職員数のみで、現地スタッフが230人で国際職員が40名。この40名も大半が科学者もしくはマネージャーです。ただ、それぞれのリージョンにもスタッフはいて、大体100・100・70ぐらいです。そこにはまたそれぞれのリージョンの科学者がずらっと並んでいて、それぞれの地域センターの活動も含むALMA望遠鏡全体の運営に貢献しています。

【北村委員】  その望遠鏡の運営に携わっている科学者、研究者の方は、いわゆるユーザーとして自分の研究もできるのですか。

【井口教授】  もできます。

【北村委員】  もできるというのは、やる場合には1,700の論文のリストの中に入らないとできないわけですか。

【井口教授】  提案しないとだめです。

【北村委員】  ああ、そういうことなのですか。

【井口教授】  はい。誰も優先の権利は持てません。だから、昔、そういう30年、40年前、野辺山を作った頃は所内時間とかを使い、当然職員がそれだけ大きな運用に貢献したので、その貢献分を観測時間として割り当てようという議論があった時代はあるんですが、ALMAの場合に関しては、もう共同利用というところを前面に出していますので、中にいる職員であろうが、大学の先生であろうが、観測時間を取りに行くときの条件は全く一緒です。

【観山座長】  よく誤解されるんですけれども、国立天文台、例えば、すばる望遠鏡に関して、国立天文台の人は自由に使えると思っていますが、サイエンスファーストなので、職員には権限はほとんどありません。所長には若干の時間がありますが、それは突発天体と、例えばブラックホールが、重力波源らしい天体があったらその方向へ望遠鏡を向けなさいとか、そういう権限はありますが、基本的には全くイコールです。

【北村委員】  分かりました。

【観山座長】  どうぞ。

【佐藤委員】  先ほど各極が、結局、各極のメーカーが落札したとおっしゃいました。入札としてはオープンな入札。

【井口教授】  オープンですね。例えば日本のメーカーさんの中には、なかなか活躍されている所がいらっしゃって、欧州分担分の幾つかは日本のメーカーさんが落札して、ゲットされています。アメリカの方もそういう事例があります。当然逆もあって、日本の方も海外メーカーの方が性能がよく、金額が安ければ、そちら側を我々は購入したこともあります。

【佐藤委員】  それはALMAのプロジェクトの中で。

【井口教授】  そうです。

【佐藤委員】  ですから、この何台かは一括でではなくて、年度ごととかそういうふうに出たという。

【井口教授】  先ほど紹介させていただいたアンテナとは異なり、アンテナの中に搭載する受信機だったり、相関処理をして、一つの望遠鏡にするコリレーターなどの観測装置があって、我々はアンテナ以外にいっぱい装置を製作しなければなりませんでした。そのアンテナという大きな単位になっちゃうとシステムになってしまうので、1社でドーンと製造を行ったんですが、アンテナ中に搭載する観測装置に関しては、むしろ逆にデザインオーソリティーは全部それぞれの研究者が持っていて、もっと細かい部品単位まで設計をして、図面単位で契約を行っていくので、それこそ入札できる会社の数はかなり多くなったと思います。その場合は、アンテナのような大メーカーさんである必要は全くなく、旋盤加工の強いメーカーさんだったら、どんどんと札を入れられる状態にしておりましたので、時には、海外の企業に対しても落札できた業者さんは結構いたんじゃないかなと思います。

【佐藤委員】  大きなアンテナそのものというのは、やっぱりドンと、ある程度のメーカーじゃないとできないかと思うんですけれども。

【井口教授】  はい、できないですね。

【佐藤委員】  そうすると、世界じゅうにある程度限られてくると、先ほど山本先生も心配したコストコントロールというのがどうされたのかというのと、もう一点は、事前の開発ですね。やっぱり新しいことがあるので、いきなり作れないと思うので、落札の前に開発があると思うんですけれども、そのときの費用とかやり方、その2点を教えていただけますか。

【井口教授】  はい。まず1つ目の観点ですが、おっしゃられているとおりで、やはりこれだけの高い仕様でのサブミリ波望遠鏡を製作できるメーカーさんは、世界中を探しても、ほとんどないです。おそらく、5社は切りますね。ただ、やはり三者それぞれ違うメーカーが落札したことが、実は相乗効果を生んで、コストの増加を抑えることができたと思っております。たとえば、コスト超過の依頼があったとしても、「いや、何で向こう側ができて、あなたたちはできないんですか」と問うことができました。できないことを言っているわけではないと説明できますし、「相手側ができていることが、あなたたちができないのは技術がないんじゃないんですか」と、それぞれの国で同じことを言い合っていたみたいで、それで随分いろんな案件をコントロールできていたというところがあります。
 もう一つの2つ目の質問なんですけど、それは結構、特に日本は我々がALMAをやるときは苦しんだところで、特に北米は大型予算を付ける前、結構な額で研究開発経費を付けてくれるんですね。ALMAの場合はたしか日本円でいうと、30数億円ぐらい。それで試作アンテナを1台作っていました。その試作機は、ものすごい性能の良いいいものを作って、それはそれですごいお金が掛かったんですけど、そこから量産期に向けてコストダウンを図っていくというのをやっています。北米が付けたからESOも急いで付けて、同じような試作機を作っていました。
 日本は2年遅れたため、その2年間の間で、研究開発経費というのを文科省さんの方で工面していただいて、付けていただきましたので、そのときにプロトタイプを1台作って、それをバネに本作の方へ向かったということをやっています。

【佐藤委員】  分かりました。ありがとうございます。

【観山座長】  ALMAの場合は、多分もう一つ全然違うのは、三者の協定なんですが、国際組織は作らなかったのです。ALMAという合同ALMAオフィスおよび合同ALMA観測所を、これはチリに作りました。チリの税制の問題のため国際機関を作ってしまうと参加する全ての国から輸入することになるので、関税が掛かってしまいます。そのため、ALMAはバーチャルな組織でたとえばシニア職員は、全部派遣職員です。現地職員はアメリカの機関に雇用されています。一方、派遣された職員には外交特権的なものがあって、関税はかかりません。チリは、土地しか提供していませんけれども、10%のチリのコミュニティに時間が割り当てられています。様々な状況を考えて、こういう組織形態にしたということなので、これがほかの参考になるかどうかは全然別だと思いますね。
 だから、それは普通の場合だったら国際機関を作って、そこがマネージするということがあろうかと思いますが、その場合にいろいろ気を付けなきゃいけないのは、税制の問題とかいろんな問題をやっぱり、一番コストを低くするようにどうするかというのがいろいろ考えどころかもしれませんね。
 では、横山委員。

【横山委員】  恐れ入ります。楽しくお話を伺いました。参考ということでお伺いしたいんですが、たしかTMTの方でしょうか。民間からかなり大きな寄附金を頂いているというような報道を目にしたことがあるんですが、ALMAの方は、そうしたことはなかったのかお伺いできればと思いました。

【井口教授】  ALMAのときも似たような、TMTのそういうドネーションを集めろという話はあったんですけど、その頃のALMAを始めた頃は、まだそういうドネーションをどのように集められるのか、まだ、そういうことをやらなきゃならないという雰囲気が科学プロジェクトにて芽生え出した頃であり、その要望をフィードバック掛けられるほどの能力というか、ノウハウが我々になかったのが現状でした。ただ、やっていくうちにだんだん少しではありますが、集められるノウハウを得られ、ちょうどTMTが動き出す頃には、まだ概算要求をする前からということで、TMTからそういうことが国立天文台でも率先して進めることができたというので、ちょっとALMAに関しては間に合わなかったというか、我々としてもいろんな準備が追い付かなかったというのはあります。

【横山委員】  すみません。追加なんですが、どれぐらいの規模の額なのか。要するに、分担金のパーセンテージにして、割とインパクトがあるのか。

【井口教授】  それはほとんど小さいです。

【横山委員】  ほとんどないということですね。でも、あるということが、例えば国から見て、国民から見て、やはりそういう出資もある中で動いているという、そういうインパクトがあるという理解でよろしいんですかね。

【井口教授】  はい。

【横山委員】  ありがとうございます。

【観山座長】  山本明委員。

【山本(明)委員】  ちょっと確かめたいんですけど、この方式というのは、この委員会の最初のときに山内さんがお話しされた、幾つかのPIPの方式の中でいう、マルチナショナルラボラトリーという考え方に近いというような理解で合っているでしょうかというのが私の質問なんですが、観山先生にお伺いした方がいいんですかね。

【観山座長】  まあ、それに近い形ですね。

【山本(明)委員】  そうすると、派遣されている職員というのは必ず母体のところの職員の資格を持ってらっしゃって、行っているという。一種の出向、出張、そういう考え方で。

【観山座長】  そうですね。ですから、これもいろいろ議論があったところですけれども、合同ALMA観測所の職員と言っていますけれども、天文台の職員であったり、米国の機関の職員であったり、ヨーロッパの職員であると。

【山本(明)委員】  これはALMAの場合はどうしてそれがうまくいくのかというところがもうちょっとよく理解したいんですけど、一旦設備投資をした後というのは、それほど大きな運転資金を伴わないとか。

【観山座長】  いや、運転資金は大きいですね。

【山本(明)委員】  そんなことはないんだ。やっぱり……。

【観山座長】  ですから、例えば装置の所有権は日本の国のままです。

【山本(明)委員】  それで済むということですね。

【観山座長】  ええ。そのまま置かれていますし、ですから、メンテナンスの責任だとかそういうのもそのまま残った状態になっていますね。

【山本(明)委員】  ああ、各極の皆さんにずっと責任を持つということですね。

【観山座長】  ええ。ずっと責任を持つということです。ただ、その分は、デメリットの分もあるけれども、例えば職員が何か外国の職員になったら、ペンションとかいろんな問題が、退職金とかいろんな問題はそのままでもできるし、いろんなバリアを割と簡単に超えられるという面もありますが、一方、反対にやっぱり各国からのより合わせみたいな形になっているということも事実ですね。
 40人と言いましたけど、それは国際職員が40人で、現地にいる現地職員というのは何人ぐらいですか。

【井口教授】  ここに書かせていただいていますが、230人ですね。

【観山座長】  300人程度で運営しているということですね。

【井口教授】  はい。

【山本(明)委員】  ありがとうございます。

【観山座長】  ごめんなさい。中野委員がさっきからお待ちで。

【中野委員】  すみません。所長の持っている予算請求権と人事権についてお尋ねしたいんですが、現場でどれぐらい次の年に予算が必要かとか、人員、どこを増やすべきだとかいうのが、そのALMAマネジメントチームというところが一番よく分かっていて、そこに所長もくっついているわけですけど、所長はそれをどう反映するんですか。というか、さっきの所長会議というところにも入ってらっしゃるんですよね。

【井口教授】  はい。所長会議も大事なんですけど、基本的には年次予算計画というのを作り、その予算計画そのものはちゃんと国際外部評価でまず審議をしてもらわなきゃなりません。そういうエビデンスを積み上げた上で、最終的にはALMA評議会に提案します。そのALMA評議会は毎年その都度、その予算額で間に合うか、間に合わないか、そもそもそれぞれのリージョンで得られている予算額というのも決まっていますので、その案配を見ながら、最終的に予算が決まります。

【中野委員】  そこで案をまとめるのは所長がまとめるわけですね。

【井口教授】  ALMA所長の仕事です。

【中野委員】  分かりました。

【観山座長】  永宮委員。

【永宮委員】  今日お聞きした2つの計画というのは非常に違いがよく分かりました。ITER計画はやはりエネルギー問題というのにかなり関係しているので、国の政策と物すごくくっついているわけですね。一方、ALMAというのは純粋科学的なものですから、そういう科学的なソサエティをどうやってやるかという点が重要になります。このILCの場合は、サイエンスとしてはALMAに近いというかな。運営としても近い。一方、プロジェクトのサイズとしてはITERに近い。その辺はうまい仕組みを作っていかないといけない。今すぐに答えがあるわけじゃないんですけど、そういう点が重要だと思いました。

【観山座長】  それは非常に重要な側面だと思います。
 じゃあ、最後に。

【飯嶋委員】  すみません。この国立天文台が日本なり、アジアの代表機関として1極を担っていると思うんですけれど、ただ、大学の研究者がこのプロジェクトにどう入り込んでいって、どう主導権を確保しているのかという、そういう観点でコメント頂けたらいいですけど。

【井口教授】  それはよく頂く質問で、難しいところがやっぱり一つあったのは、これはインターナショナルだったので、大学の先生たちが、例えばクオリティコントロールまでちゃんと、ALMAの場合は、例えば規格をIECやISOの規格に従う開発をしなければなりませんでした。なら、そういったちゃんとしたドキュメントを用意し、チェックする人と作る人を分けて、そして大学の大きさのラボラトリーが、特に日本の大学はまだそこまでそういう大きな観測装置を作る経験がない中で、アメリカのように、NASAの観測装置を、ある大学が作れるとかというような枠組みはまだないですから、そこはやっぱりそれぞれの大学の先生とも議論しましたが、例えばこういう装置を何々の大学の先生はノウハウを持っているので参加してみませんかという議論は何度もしたんですけれども、大学でできるレベルを超えていると言われ、なかなか難しかったのが現状です。うちの一研究室ではやり切れんと。その代わり、エンジニアリングやそういうサイエンティフィックな部分の議論はいくらでも貢献すると。例えば装置開発するときに、あるフィジックスの壁が出て、そのフィジックスを解かないと最終的に性能が出ないと、そういうときの技術的な議論やアイデアを出すという場では、大学の先生にも参加していただいたんですが、最終的に受信機を作る、そして、納品をするというところまでは、全てそこは天文台でやることになりました。
 ただ、1つだけ、先ほどALMAボードの議長になっていただいている大西利和さんがいらっしゃる大阪府立大学は、結構そうはいっても、ハードウェアのところはかなり貢献していただいて、サブミリではないんですけど、ミリ波の方の受信機のプロトタイプの製作までは大学で全部やり切っていただき、特にPreliminary Design Review までは突破していただく上で大きく貢献して頂きました。多少そのやれる範囲までしかやれない部分はあったんですけれども、やはりこういうNASA基準でドンと来られちゃうと、さすがに大学の先生たちは太刀打ちできないという感じの部分はありましたね。

【飯嶋委員】  もうちょっといいですか。

【観山座長】  はい。

【飯嶋委員】  その地域センターというのは、あんまりよく分かっていないんですけれど、例えばそこは何か機能と装置を備えたと書いてある。具体的にはどういう装置とかというのを。

【井口教授】  先ほど観山座長からもお話があったとおり、国立天文台が資産というか、自然科学研究機構が資産を持っているものが現地で運用されているんですね。例えばアンテナや受信機など。資産を持っているのは日本なので、大きな故障が起きたときは、合同ALMA観測所ではもう手に負えなくなります。そのときに我々地域サポートセンターにいる専門家たちが現地に行ったり、メーカーの人を呼ばなきゃならないときは契約をして、保守をしに行く責任が発生します。保守にも段階が2つあって、消耗品を取り替えるぐらいであれば、合同ALMA観測所でやれるんですけど、特に修繕、リペアとかコレクティブメンテナンスという保守改良までしなきゃならないときは、この地域サポートセンターが全部やることになっています。

【飯嶋委員】  分かりました。

【佐藤委員】  最後に質問です。

【観山座長】  はい。

【佐藤委員】  6ページ目のALMA望遠鏡のミッションのところに、「最大限の知的・経済的成果を達成すること」というミッションが書いてあるんですが、「知的」はよく分かるんですけど、この「経済的成果」というのはどういうことを具体的にイメージされているんですか。

【井口教授】  この文章を作るときに、この文言と2番目の文言のどこかだったかが、北米がとにかく書き入れたいと強く言われて、我々は、それほど必要がある訳ではないけど、まあ、影響が無いのでOKしました。彼らが、この文言は削れないと何度も言うんですよね。ヨーロッパでは、ソシオサイエンスとかいろいろこう、社会経済学と科学がどう混ざり合うかの議論もされています。
 さっきのCERNの話もそうかもしれないんですけど、そういうホストカントリーの、特にその地域がなぜお金を出さなきゃならないかというのは、そういう大きな施設が出来上がることでの恩恵をその町は受けるでしょうから、だから、お金を余分に出す議論もあるというのは、よくヨーロッパの人たちからも聞いていて、なので、そういう出資をしている分、その国々にも何らかのリターンはあるよねというところもニュアンスとして含んでいるのかなと、議論しているときの感じで、私は理解しています。
 当然、コストパフォーマンスが良い運営という意味もあると思っております。

【佐藤委員】  分かりました。遠い話というか、少し遠い話で、バイオサイエンスの分野で貢献するとかそういうことが具体的にあったわけでは、まだないという話。

【井口教授】  そういうことです。

【佐藤委員】  はい。

【観山座長】  どうもありがとうございました。さっきの大学の貢献なんですけれども、もちろん技術的な部分というのはある程度の制限がありますが、サイエンス面で、例えば審査をするという面では大学の先生がたくさんALMAの審査会に入っていただいて、参加していただくことはもう当然でございます。
 どうもありがとうございました。井口先生、どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に参りたいと思います。いよいよいろいろな方々から御報告を頂きまして、この作業部会の報告書骨子(案)について、議論をそろそろしていかなきゃいけないかなと思っております。前回お話ししましたとおり、次回では、本作業部会において、報告はもう抜きにして、議論を、報告書をまとめるという方向に行きたいと思っていますが、今日は、骨子(案)として、これまでの議論を事務局に整理いただきましたので、それを基に、今後、後の時間、議論を進めたいと思いますが、まず事務局から説明をお願いいたします。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  御説明いたします。資料3をごらんください。これまで第1回から、前回の第4回までの作業部会で御説明、御議論いただきました内容を踏まえまして、報告書の骨子(案)を作成いたしました。したがいまして、今日のITERとALMAの議論の結果はまだ反映されておりません。また、委員の先生方からは幅広い御意見を頂いておりますが、本骨子(案)は、体制とマネジメントにフォーカスして作成しておりますので、あらかじめ御承知いただければと思います。
 まず全体の構成ですが、最初、1.で、本部会で聴取したこれまでの研究者コミュニティにおける検討の概要を記載しまして、これに対して、2.以降で、検証、検討を加えていくという形にしております。
 1.については、第3回、第4回の作業部会で、もう既にお示ししておりますが、今日は、参考資料2となっております。研究者コミュニティにおいて想定されているILCの概要という資料をベースに、委員の先生方から御説明いただいた資料から図表等も加える形で作成したいと思っております。
 続きまして、検証、検討のパートでございますけれども、時間も限られておりますので、それぞれのポイントを説明させていただきたいと思います。
 2.国際研究機関の体制及びマネジメントの在り方に関する検証です。
 (1)準備段階における対応としまして、
KEKでは現在実施されている研究計画からリソースをプレ研究所へ移行する時期と範囲については、KEKや国内、海外も含めた議論が必要である。その際、現在の研究計画を中途半端にして移行しないことが重要。国際研究機関を想定した管理部門の増強が必要。
 (2)ILC研究所の体制及びマネジメントについて。
 1、法的位置付けに関しましては、
PIPでは、条約を基盤とすることが想定されているが、ILCは複数国による協力や、長期にわたる国家レベルでの関与が必要となってくることから、条約による国家間の合意に基づくことは妥当。
 条約に基づく場合は、参加国の途中脱退が困難である等、安定的なプロジェクトの推進が期待できる。一方、合意プロセスは長期化する可能性がある。
 ILCでは巨大な装置を各国分担で製作することから、国家間の権限調整が必要となる。したがって、条約に基づかない場合は制度設計は非常に困難。
 条約に基づく国際機関を日本に設置した例として国連大学があるので、これは参考になる。
 参加国側の制約等により条約が困難な場合のために、別の枠組みの可能性について研究しておくことも必要との御指摘がありました。
 2、推進体制に関しましては、
PIPでは、新たな国際機関を設置することが想定されていることから、専任職員が確保されて、意思決定等を迅速に行うことができる。他方で、その人材の追加的確保が必要となる。
 ILC研究所と参加国との関係をマネジメントする中央プロジェクトチームの役割は非常に重要。導入する体制と採用する人材は一体の問題であり、ILCのホスト国を日本が担う場合には、そのプレゼンスを高めるためにも、マネジメントを担う人材を意識的に養成していくことが重要との御指摘を頂きました。
 3、費用負担の方式に関しましては、
PIPで想定されている物納(in-kind)による設備分担では、割り当てに応じた自国産業への発注が期待され、不確実性リスクが参加国に分散される一方で、インターフェースの管理等が難しく、各国の予算や製造状況に応じた工程管理が必要であり、遅延やコストアップを招く可能性がある。
 こうしたその不確実性に対応するために、予備費や共通資金をできるだけ多く確保していくことが必要。
 ILCにおいても、CERNのように予算の長期的見通しが得られるような方策の可能性について検討する必要がある。
 4、国際分担に関しまして、
PIPではホスト国の分担が半分以下であり、残りを参加国で案分することが想定されていることから、ホスト国に権限が過度に集中せず、参加国とのバランスにも配慮した運営が必要となる。
 ILCが欧州におけるCERNと相補的な拠点を目指すのであれば、ILC研究所はアジアを中心とする研究拠点にすることも考えられる。相応の分担とともにアジア諸国が参加できる体制を検討する必要がある。
 国際分担については、最終的には各国政府間の交渉で決定することになるが、各国政府の合意を得るためには、各国内において研究者による自国政府の資金確保に向けた議論の進展が不可欠である。
 (3)測定器における国際共同実験の体制及びマネジメントにつきましては、
PIPでは2つの測定器による実験が想定されているが、この2つの測定器で実験を行う必要性について整理することが必要。
 ILC計画の実験グループでは、これまでの加速器実験と同様に民主的な運営がなされるべきである。その一方で、少ない負担で参加する方が費用対効果が高いという見方もできるので、仮に日本がホスト国を担う場合には、その強みが生かされることが重要であるといった御指摘を受けました。
 ILC実験においては、測定器の建設等の労力が大きい部分とデータ解析等の魅力的な部分が混在しており、こうした負担が国際的に平等に分担されるよう、マネジメントすることが必要。
 続きまして、次の3.、国際研究機関の周辺環境整備の在り方に関する検証です。
 (1)前提となる人口規模については、
現在は世界中でデータ解析ができる時代であり、一つの研究目標を有するILC研究所では、建設終了後に人口が減少していくことが予想され、他分野に研究を広げない限り、人口が増加することは困難。
 CERNに係る人口は増加しているが、CERNはジュネーブという国際都市に建設されて発展したことも考慮するべきである。
 (2)求められる生活環境要件及び社会基盤要件についてです。
海外の優秀な研究者やその家族を引きつけるためには、欧米に匹敵する立派な施設や環境を整備することが必要。立地自治体の支援も不可欠である。
 特に家族は、国際的に認められた初等・中等教育が受けられるかに強い関心があり、その対応が必要。
 配偶者の就労機会の確保も重要であり、保育施設の整備も必要。
 周辺環境整備に係るコストについては、国際分担とともに、国内分担についても、実験主体や立地等の議論と併せて整理する必要がある。
 ITERは誘致合戦が行われた結果、ホスト国の役割が増大したという事実がある。ILCは事情が違うので、ホスト国の義務を少なくする方が望ましい。
 ILC研究所は、将来的に放射性廃棄物を扱うようになると、原子力施設として認識されることも排除できないので、ILCと自治体の信頼関係を築いていくことが重要。
 続きまして、4.、国際研究機関を日本に設置する場合の国内における実施体制の在り方の検討です。
 (1)日本の大学によるILC国際共同実験への参画の在り方については、
Belle実験の経験をILC実験にも十分に生かすべきである。
 日本の大学のビジビリティを高めるため、国内コンソーシアムを構築することは、大学に外国人研究者を還流して国際化を進める上でも有効。
 大学院生のための連携講座等を用意するとともに、ILC研究所のスタッフや各大学のスタッフへの教育機会を提供することも重要。
 (2)KEKとILC研究所との関係の在り方です。
 日本がILCのホスト国となる場合、KEKにおいてはILC研究所とは異なる研究を進めることが適当。欧州においても、高エネルギーフロンティア素粒子物理の研究はCERNに集約され、DESYやPSIでは、CERNとは異なる形の研究が進められている。
 ILC研究所が日本に設置された場合においても、KEKを含めた国内の適切な加速器研究所を維持していくことが必要であるが、既存の研究所の財政規模を維持したまま、別途ILC研究所を新設・運営するのは困難であり、人材や技術が継承されるように配慮しつつ、国内外の議論を踏まえてプロジェクトを選定していく必要がある。
 世界の多くの高エネルギー物理の研究所は財政的に厳しく、フォトンサイエンスに転身している現状の中で、DESYの素粒子実験グループは縮小しつつも健全に残って、CERNにおいて世界をリードする仕事をしている。一つのモデルとして参考にすべき。
 CERNでLHCが開始されると、DESY独自の高エネルギー研究は終了したが、DESYに所属しつつ、LHCの研究に参加する形をとっている。ILCについても、そういった形が考えられる。
 ILC研究所に最初から強いリーダーシップを求めることは困難であり、国際的にリーダーシップを発揮できる者をILC研究所の運営に配置しつつ、それをKEKが支援して、段階的に移行していくことが考えられる。
 (3)ILCを踏まえた日本の高エネルギー物理研究の将来計画に関する議論の在り方についてです。
 加速器の新設時には、将来展開等を考慮する必要がある。欧州では、こうした議論は主にECFAで行われ、それを踏まえて、各国のサイエンスカウンシルが責任を持って分野間の調整を行っている。
 現在、日本の素粒子原子核分野の研究は多様性を持って進められている中で、ILCを実施することになる場合には、日本の高エネルギー研究者コミュニティにおいても、選択と集中を考慮した将来計画の合意形成が必要となる。
 (4)日本の産業界によるILCへの参画の在り方についてです。
 PIPでは、組み立てをハブ研究所で行う想定になっており、自社内に組み立て設備を持たないことになる企業にとっては、ILCへの参加を生かす次の展開が必要。例えば、ハブ研究所と各企業がジョイントベンチャーを設立する等が期待される。
 組み立てをハブ研究所で行う場合のメリットとして、企業は自ら設備投資することなくR&Dを行い、本格的に資本投入する場合の準備が可能となることが挙げられる。
 日本と欧州は企業とのパートナーシップ、米国はin-Houseという特徴があるので、ハブ研究所には、性能に責任を持てる範囲内において、地域性に合わせた裁量を持たせるべきである。
 日本の強みは研究所と企業とのパートナーシップであり、契約に裁量がある中で研究者と企業が議論しつつ装置を作り上げてきた。ILCにおいては詳細かつ厳密な国際契約の下で、こうした日本の強みを生かすための工夫が必要。
 ILCでは国際競争入札が想定されており、密接なパートナーシップを有する企業が受注できる保証はなく、かといって、WTOの協定の基準を満たして受注した企業がその後に研究所と密接な関係を構築することも難しい。ILCにおいて入札とパートナーシップの関係をどう設計するかは重要な課題。
 コスト削減には、ハブ研究所から企業への技術支援やハブ研究所間の知的財産の共有等が重要。
 米国のSSCが失敗した要因、それから、逆に、LHCでは成功した要因をILCにおいても参考にするべき。
 PIPは研究者の視点で書かれたものであり、産業界からの視点が不足している。今後は、産業界も含めてILC全体のマネジメントの検討を深めていくことが必要。
 以上でございます。

【観山座長】  これはこれまでの委員の御意見を少しピックアップしたもので、全部が一つの筋が通っているという形にはなっていませんし、これを基に、この後、今日はあんまり時間がありませんけれども、次回がありますので、議論していただければと思うんですが、最後に、産業界との参画の在り方に関して、せっかく佐藤委員が産業界から来られていますので、少しその連携についてコメントしたいということであります。よろしくお願いします。

【佐藤委員】  ありがとうございます。この骨子の中にもかなり述べられていることもありますけれども、今までの議論を少しまとめましたので、二、三分、お付き合いいただければと思います。
 まず企業及び人材の育成に関してですが、最初の回でも申し上げましたけれども、装置開発を行う研究者がどんどん増加していく場合に、それに合わせて、物作りの企業側にも高いレベルのカウンターパートが必要になります。それは一夕一朝にはなかなか育成はできませんので、企業から研究所、ILC研か、ハブ研か、分かりませんけど、出向ですとか、長期出張して、一緒に開発を行って、いわゆるILC建設ファミリーの一員となるような人、そういう人を育成して、その人が企業に戻って、また中心人物となってプロジェクトを引っ張っていくと、このような仕組みも望まれるのではないかと思います。こういうこともマネジメントとして考えていただければと思います。
 これはまた研究所の立ち上げ当初、なかなか研究者がうまく集まらないというときのマンパワーに対する一つの解決策にもなるかと思いますので、人件費をどうするかと、そういうようなことも含めて検討の対象にしていただければと思います。
 こういうことで、本格的な建設の前に開発、製造、これは研究所と企業、ここにも出てきますけど、パートナーシップをしっかりとって、準備を進めてきたということが日本で大型加速器建設が比較的円滑に進められてきた大きな要因の一つと考えております。実際、Spring-8やJ-PARCでも企業から出向している方はたくさんいたことは事実でございます。
 それから、次は、企業のモチベーションということなんですが、これまでの日本企業は基礎科学プロジェクトに対して参画して貢献することそのものに、非常に意義を感じてやってきたというところがあると思います。しかし、今後は株主構造の変化などもありまして、将来的なリターンに関する説明責任がより強く求められることが考えられます。ですから、人材も含む投資の結果として、まずはそのプロジェクトでそこの受注があるのか、それから、プロジェクト終了後に技術がビジネスに結び付くかは、企業のこれから大きな関心事になるのではないかと思います。
 これに対しては、先ほどもありましたけど、初期から開発に携わって、よく理解した企業が製造を行うということが、実はプロジェクトの円滑な進行とか、結果としてコストの抑制に寄与するという考えを共有して、これをマネジメントできればいいと思いますけど、これはなかなか難しい問題とは思いますが、一つ考えていただければと思います。
 それから、前回、山本先生のお話にありました量産時の企業と研究所の役割分担ですね。これも早期に固まることによって、企業の負担というのがある程度見えてきますので、これも早く固まることが重要な、そういうマネジメントが必要かと思います。
 それから、産業界への技術や製品のスピンアウト、これはもう基本的には企業の責任なんですが、やはり研究所も一緒になって応用先を探索するような仕組み、組織が早くからあって、一緒に活動していただけたらよいかと思います。そういうところでライセンス料管理なども行うことになるのかなと思います。CERNには技術のスピンアウトをサポートする組織が実際にあって、アニュアルレポートなんかも出していますけれども、装置が完成する前からそういうことをやってもいいのかなというふうに思います。
 超伝導空洞に関しては、現在、比較的大きなものとしては、極端紫外線のリソグラフィ、EUVリソグラフィ用の光源加速器への応用というのが検討はされているんですけれども、もっと多くの候補が出てくれば、企業のモチベーションになると思います。
 それから、これは今日、ITERとALMAの意義ということも出てきたんですけれども、大型加速器プロジェクトの意義を多くの人が理解することが重要と思います。企業の中の人、それからまた、政策に関わるほとんどの人は加速器や素粒子関係に身近な人ではないことが多いです。核融合は将来の究極的なエネルギーになり得るということで、比較的身近なものとして非常に理解しやすい。それから、加速器によるがん治療というのもこれは理解しやすいと思います。ですから、ALMAは基礎物理だねという話がありましたけれども、でも、キャッチフレーズとして、生命の起源ですとか、惑星の起源というものは、ILCよりは、我々としては同じですけれども、一般の人にとってはやっぱり身近さが違うかなというふうに私は感じます。こういうことをきちんとPRしていくということも。

【観山座長】  それは重要ですね。

【佐藤委員】  研究所のマネジメントとして実は重要で、それは専門家ではない企業のトップの方にいかに理解していただくかということにもつながるかと思います。
 実際は量子力学や相対性理論がわずか100年余りで、世の中をこれだけ変えているので、基礎科学は絶対重要だと、これは明白なんですが、でも、それでもILCの意義をストンと皆さんに理解してもらうのはなかなか難しいかなと、私は個人的には思っております。
 あとは最後ですけれども、先ほどから何回も出てきますが、仕様書でどこまで細かく規定するか。ILC研がハブ研に対してどういうガバナンスをとるか。それから、企業、ハブ研の自由度をどこまで認めるか、このバランスが実は非常に重要で、その基となるのは全体システム設計の出来のよさだと思うんですね。どこまでは譲れる、譲れないが分かっているかということだと思うんですけれども、これをしっかり行うのは、プロジェクトの円滑な遂行と、それから、コストの削減にとって非常に大きなことだと思いますので、それをやはりマネジメントとしてしっかり捉えていっていただけたらと思います。
 その中で、これも難しいんですが、さっき地域の違いというのがありましたけど、ITERのお話でも、国内企業と海外企業とどう接していくか。こういうところもしっかり考えていただけたらと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

【観山座長】  はい。どうも重要な指摘をありがとうございました。本日は、あと10分、15分ぐらいしかありませんので、フリーディスカッションというか、次回、もしかすると、項目ごとに議論していった方がいいのかもしれませんけれども、それから、前々回でしたか。山本委員から提言をというお話もあったんですが、親委員会ではあり得るかもしれないけど、でも、この作業部会として、方向性とか課題とかというのを挙げる事が大切と思います。ここには今、番号としてはありませんけれども、最後の項目としてそういう項目も付け加えてもいいかとは思いますが、今日は、今の産業界との連携の非常に重要な指摘もありましたので、項目は限りませんけど、皆さんから一般的に。
 はい。山本委員。

【山本(明)委員】  私、次回の委員会のときには、そのリニアコライダーの大きな会議があって、参加できないので、私が是非付け加えておくべきことを今日申し上げさせていただきたいと思います。
 前回、私からの報告に対する質疑の中で、プロジェクトマネジメントということに対して、産業界等で培われている、また、大学等での工学部門等で培われているシステムエンジニアリング、プロジェクトマネジメントというものを非常にしっかりと取り入れて、大きなリニアコライダーのような計画を推進していくことが必要だということで、そのときに私の方で、サイエンティストがしっかりしなければいけないという趣旨の発言をさせていただいたんですけれども、それが逆に、産業界や工学的な方々に頼っていてはいけないんだというような趣旨に受け止められてしまうと、それは大変な誤解なので、そうではないということを申し上げておいて、非常に重要な、それこそまたパートナーシップが必要であると。
 遂行されるサイエンスに対して非常に強いモチベーションをしっかり持った方が推進することが必要であることは間違いないと思うんですけど、一方で、パートナーシップを持って、プロジェクトマネジメントをしっかりできる方々が入ってきていただくことも重要であることは間違いなくて、私が申し上げたかったことは、例えば今の分野の方々には手に負えないから、プロジェクトマネジメントはどこかにボンとお願いして、言い方が適切でないかもしれないんですけど、アウトソーシングをするような考え方になってしまっては、それは違うと。
 やっぱりあくまでパートナーシップを持って、そのサイエンスとエンジニアリングというものがしっかりと手を結んでいくことが重要で、そういったときに、その後、少し考えてみたんですけど、例えば新しいスキームとして、今、先ほど佐藤委員の方からも企業の方々が一定の、例えば研究所に来ていただいて、また会社に戻っていくという姿もお話しくださったんですけど、これだけの例えば10年スケールで、その会社では当然の規模として行われているシステムエンジニアリング、例えばきちんとしたプレマネジメント、工程管理、失敗があったときに対してどうやってフェーズ支援をするかということがすごく培われているわけですが、そういった方々が、例えば本当に建設を担う中に、本当に来ていただいて、そうすると、どうしても起きることは会社から見ると、その間、仕事をしてなかったということになって、評価を受けないというようなことがどうしてもあり得るんだと思うんですね。そういうことに対する新たな、そういうことがきちんと評価されて、また、産業界、企業に戻ったときにそこでの成果というものが会社の評価としても、産業界の評価としてもしっかりと、その方々に対して積み上がっていくというような、そんなシステムがきっと、本当の意味でのパートナーシップを構築するということになるのじゃないかということを思っています。そういうことについてもまたここで議論を深めていただければありがたいと思っています。
 以上です。

【観山座長】  さっきの言葉で言うと、企業のモチベーションということだと思いますね。人を送っても、その計画の中に入っていって、それがどういうアウトプット、アウトカムになるかというのが、企業全体としてどうモチベーションを立てられるかということだとは思いますけどね。
 ただ、あんまり初期設定なんかに関わってくると、今度は入札のときに、国際入札のときにちょっと非常に微妙な部分があるので、そこら辺のある種の関係はうまく整理しておかないといけません。これはALMAのときでも非常に悩みましたけれども。
 ほかにいかがでしょうか。山本さん。

【山本(均)委員】  これは最終的には英語になって、海外の研究者であるとか、政府の方も読むと思うんですけれども、もちろんこれは日本で、日本がどうするべきかというのを考えているんですけれども、部分的に誤解されないように気を付けるところもあるかと思うんですよね。例えば日本が貢献するんだから、日本が利益を得るような仕組みが必要だというと、そうすると、科学的な公平なものを超えたものを組織的に作ろうとしているんじゃないかなんていう、誤解される可能性があるので、そういったことは考えながらやっていただきたいと思います。
 以上です。

【観山座長】  ありがとうございます。
 横山委員。

【横山委員】  体制の中に、もちろん広報が入ってくるというのは認識しております。ただ今回ここに書き込むことかどうかは迷うところがあります。佐藤委員がおっしゃるとおりだと拝聴しているんですが、SSCの失敗を振り返ると、誇大宣伝というのが非常に大きな問題だったというのが以前の委員会でも報告がございました。また認知度は、実は数字で調べたことがあるんですけれども、岩手では高いんですが、やっぱり他県では全然低いんですね。知られていない。議論をするため認知度を上げる必要はあるんですけれども、その呼び込みの宣伝文句が、果たして物理コミュニティから見ても正しいのかどうかとは検証が必要です。知られたらそれでいいというわけではなく、宇宙が分かると言えばそれでいいのかとか、250GeVのマシンでヒッグスを作るということにどういう意味があるのかというところに突っ込んで、パブリックスにどれぐらい周知できるのかというのは、かなり綿密な検証が必要です。もし書き込んでいただくとすれば、そういう点に留意する必要があるということは、一言述べさせていただこうと思いました。
 以上です。

【観山座長】  ありがとうございます。
 北村委員。

【北村委員】  総論的な話でよろしいんでしょうか。

【観山座長】  はい。いいです。

【北村委員】  先ほど先生がおっしゃられたことと関連すると思いますが、この報告書の前提は、ILCを日本に置くということを前提としたときの、日本側が考える体制及びマネジメントの在り方という、そういう理解でよろしいのですか。それとも、どこに立地するかは分からないけれども、我が日本国として、ILCやILC国際研究所がどこかにできたときの理想的なマネジメントの在り方を語っているのか。読んでいくと、表現が、普遍的な表現のところがある一方で、日本に立地を前提として書かれているところもあって、そこを少し、どちらのスタンスかをきちっとしておかないといけないと思います。先ほど山本先生が言っておられましたように、英語になったときに、これは日本の意思表示なのか、評論家として客観的に書いているのかがわからなくなるところがちょっとあるような気がするのですが。

【観山座長】  基本的にこのILCを今、日本以外で誘致してという具体的な話はありませんので、あんまり一般的な話をしても具体性が欠けるとは思うんですが、先生が言われたように、普遍的な部分と日本的な誘致を前提としたと。前提は決まってはいないんですけれども、そういう作業仮説の下に書いたという部分を結構切り分けて、はっきりと明示して書かないと、確かにいろんな誤解があるでしょうね。
 さっきの問題ではないけれども、初めから誘致合戦するのであれば、こんなことを言っていたら、後で損なんじゃないかということもありますが、実際には誘致合戦なんて、今はないわけです。現時点では作業仮説としては、日本に作った場合にどういうこと、マネジメントとか体制についてどういう検討が必要かというスタンスだとは思うんですけどね。そこら辺を前文やどこかで、どういう条件でこの議論をしたんだということを書き込んでおく必要があるかもしれませんね。

【北村委員】  はい。と思います。特に産業と研究所のパートナーシップというのは、多分ヨーロッパはそのカルチャーだと思います。でも、アメリカは全然違うじゃないですか。パートナーシップは官と民の癒着という面が強くなるから、完全にセパレートするみたいな考え方。最初からべったりというのはなしで、ドライに関係を持って最終的には国際入札で決めます。それは要するに、空洞の受注先企業は、アメリカの企業じゃなくても、ヨーロッパでも日本の企業でもいいという論理で考える、それがアメリカなので、企業と研究所のパートナーシップは日本的カルチャーだと、これで非常にいいと思うのですけれど、アメリカのカルチャーからみるとちょっと違うのではというところも気になったりしました。そういう点から述べさせていただきました。

【観山座長】  永宮委員。

【永宮委員】  報告書のPIPというのが定義されていないのですが、これは僕もよく分からないのですが。

【観山座長】  最初の回に報告された。

【永宮委員】  それから、実はこの規模ですね。ILCの規模というのはいろいろ言われたように、やっぱりITERと同じ1,000人規模になると思うんですね。それはなぜかといったら、例えば1兆円を使うとしたら、1年に1,000億円使わないといけなくなる。計画を10年でやるとしたらの話です。そうすると、1人当たり加速器の人が使えるお金は、大体1億円が上限なので、大体1,000人程度がリーズナブルな数になります。それで、そのときにどうやってこういう人を集めるかというのが何も書かれていないというのが非常に僕は不安なのです。要するに、KEKが改変してそれに乗るのはいいんだけど、いかにして外国の、どこの国から何人集めてくるかというのが全く書かれていない。先ほどのALMAのときは、非常にクリアにここの国が何10%というふうに、具体的に書かれているんですけど、やはり大体何名ぐらいを対象にしているかというのを書いてほしい。これは特に英語になったときには、大変に困る。

【徳宿座長代理】  初回に報告があったと思いますから、入れればいいと思います。

【観山座長】  もう一つ……。では、事務局お願いします。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  今日の資料3ですと、1.のところに当たると思いますが、本部会で聴取したこれまでの研究者コミュニティにおける検討の概要というのは、ここに入ってきますので、それは今日の資料ですと、参考資料2をベースにいろいろ図表等をくっつけて、ILCのコミュニティの方々が考えておられる構想が分かりやすく伝えられるように工夫したいと思います。

【観山座長】  それと人的な部分については、これまでの別の作業部会で、今、永宮先生が言われた、どこから集めてくるんだとか、人が足らないんじゃないかというのは結構報告がありますので、それも参考にしながらということでしょうね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  この前の作業部会では中野委員に座長をしていただきましたが、人材について特集して検討していただいておりますので、そこはもう報告書に明記されていると思います。

【観山座長】  あと、さっきのことになるんですけれども、この資料3の1ページ目の法的位置付けというところもあれですが、推進体制というところも必要です。トップマネジメントとかプロジェクトマネジメントとか、山内先生が言われたような部分も含めて、もうちょっといろんな課題とか御意見があれば言っていただければと思います。
 永宮委員。

【永宮委員】  もう一つ細かいのを言うことを忘れたんですけど、先ほど観山先生が言われたように、関税の問題というのは非常に大きな問題として上がってくると思うんですね。我々も外国でやったときに、そういう関税の問題がいろいろ問題になったこともあります。外国から人を集めて、日本で実現するときには、ちゃんと関税はクリアできるようなシステムというのを作っておかないといけないんじゃないかと。

【山本(明)委員】  よろしいですか。基本的な考え方はあって、税の場合にも一つのお手本になるかと思いますけど、条約の中で外国から物が行き来するときは関税を掛けないということが、今までのおおむねの基本的なベースにあります。それは外国から見ると、当然でしょうというような、CERNの場合がありますので、そこに全て、やっぱり条約でそういうことをきちんと規定するかというところを議論しなきゃいけないんだと思うんですけど、そういうのがないと非常にあやふやになってしまって、誤解を招くと思います。

【観山座長】  条約でそこまで設定してもらえればありがたいですが、それはそれだけ時間が掛かるということと同時なので、なかなか難しいところですけどね。
 ほかに。はい。

【川越委員】  もう時間があんまりないと思うのですけれども、この作業部会はあと残りが1回、プラス予備が1回ということで、今回骨子案が出てきましたが、今後これを最終版に持っていくまでのプロセスはどういうふうにお考えでしょうか。

【観山座長】  そうですね。何か事務局、アイデアありますか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  この骨子(案)で御議論いただいたことを更に反映し、かつ、今日、ITERとALMAの事例研究させていただきましたので、その内容も反映します。それから、1.の部分に、これまでの検討状況についてヒアリングさせていただいたものを加えた形で、報告書の案として次回はもうちょっとボリュームあるものを提示させていただくということになります。

【川越委員】  その後、さらに議論があって、本当に公開できるバージョンに持っていくと思うのですが、その間の委員と、座長なり、事務局とのやりとりはどうするのでしょうか。

【観山座長】  ですから、まず、後でスケジュールについて報告があるかもしれませんけれども、今日の議論も含めた骨子(案)の原案を私も見ましても、次回までに皆さんに展開いたしたいと思います。そこに盛り込んだらいいものとか、これはもう捨ててもいいものだかと、それから、先ほど言いましたように、今後の方向性とか、それから、課題とかという部分も書き込む部分があろうかと思いますが、それを1回やりとりした上で、次回に臨んでいただいて、そこでどういう形にするかとご相談したいと思います。それは事務局、コメントいただければ。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  本来はもう少しこの骨子(案)について御議論いただいて、意見を頂いた上で、次回6月27日ですけれど、事前に委員の先生方に報告書(案)をお送りして、見ていただいた上で、27日、最終回で御意見を頂いて、集約したいと考えていたんですけれど、若干骨子(案)の時間が少なかったものですから、もし御意見頂けるようでしたら、来週、早いうちに事務局まで御意見頂ければ、それも踏まえて報告書(案)を作成し、事前にお送りさせていただきたいと思いますが、そういう段取りでよろしいでしょうか。

【観山座長】  それはよろしいですよね。

【徳宿座長代理】  それをやるんでしたら、ファイルで頂けますと、コメントを書きやすいかもしれません。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  承知しました。

【観山座長】  PDFではなくて、ドキュメントファイルで頂ければということですね。まとめる方はまた大変ですけど。

【徳宿座長代理】  まとめるのは大変だと思いますけれど。

【山本(均)委員】  要するに、メール審議という形ですか。

【観山座長】  審議というまではいかないと思いますが。

【山本(均)委員】  意見を述べると。

【観山座長】  例えば書き込んでもらうとか、それに書き込んでもらってもいいですし、何か新しい意見だったら、新しい意見をそのまま事務局の方に出していただいても、ある部分は反映できる形の報告書にしていきたいということですね。

【徳宿座長代理】  次回審議するということですね。

【観山座長】  そうですね。事務局の方もまとめる時間があるでしょうから、もうぎりぎりに出されてもそれはなかなか難しいと思いますので、よろしく御配慮いただきたいと思います。
 今のことも含めて、本日の議題は終了になりました。
 最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  本日の議事録につきましては、前回同様、出席委員の皆様にメールにてお送りをさせていただきますので、御確認をお願いいたします。
 それから、今、議論のございましたメールで意見を出していただく件につきましては、座長とも相談をいたしまして、締め切りの設定ですとか、また、メールにて御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次回は6月27日火曜日13時からを予定しております。報告書(案)について議論する予定ですので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【観山座長】  それでは、本日の会合を終了いたします。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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