平成25年9月30日(月曜日)15時~17時
文部科学省 3階 3F1特別会議室
小柳主査,青木委員,秋山委員,天野委員,石川委員,加藤委員,金田委員,喜連川委員,小林委員,関口(智)委員,善甫委員,高田委員,常行委員,富田委員,中島委員,平尾委員,牧野委員,松尾委員,松岡委員,室井委員,渡邉委員
吉田研究振興局長,生川振興企画課長,下間参事官,川口計算科学技術推進室長,遠藤参事官補佐
石川委員より資料1-1に基づいて説明。次いで,中島委員より資料1-2に基づいて,松岡委員より資料1-3に基づいて説明。質疑応答は以下の通り。
【平尾委員】 リーディングマシンとしての意義というのは十分にいろんなところで議論されて,その意義は認めるところですし,ここに提案されたリーディングマシンのシステムの4つの分類も非常に説得力のあるものだと私は思っております。ただ,どちらかというと,各基盤センターが独自色を出して,競い合っているというようなところがありますが,もう少しコオペレーションといったことをこれから追究してもいいのではないかなという気がしています。今,9つの基盤センター以外にも,国の研究機関にもスパコンというのは導入されているわけで,日本全体として,計算機資源を効率的に使うという意味では,コオペレーションのところをもっと追究していくということも必要ではないかなという気がしております。
【石川委員】 前々からそういうお話はお伺いしておりまして,センター群の中でも議論はしました。1つあった意見は,センター群でという話もありますが,その前に,各大学の中にあるいろんなスパコンとの連携というのがまず重要だろうという話になりました。京大では,実際に一緒になってという例があるのですよね。
【中島委員】 京大の場合は,本センター以外の6研究所がスパコンの予算を持っていて,そのうちの3研究所はセンターと合同調達になったという格好になっています。ほかの3研究所については,これからの話だと思っています。比較的大学の中ですので,お互いの利害関係さえ一致すれば比較的簡単に話ができます。
他大学とやるというのは,我々は経験では非常によかったのですけれども,制度上のいろんな問題を解決していくのはコストが要りますので,我々の場合は2020年に向けて考えていきたいとは思っています。
【松岡委員】 昔はコンペティションがなかったけれども,現在ではコンペティションができたというのが現実だと思います。しかし,コンペティションばかりやっていてもしようがないというのはそのとおりで,例えば,T2Kなんかではコラボレーションされていますし,各センターは例えば計算科学研究機構ともいろいろコラボレーションさせていただいています。また,HPCIができて,例えば,ストレージを含める各基盤というものを,各センターが出てきて,共通基盤としてきちんとサービスしています。共通利用番号制以外ではほとんどなかったことだと思うので,下地はできていると思います。
海外に目を向けると,DOEでも,2016年のTrinityやCoralの調達においては,各ラボが,例えば,Coralでは3センター,Trinityでも3センターが合同で仕様を決めて,複数マシンを各センターで調達しています。そのようにして,研究と開発と調達をうまく一体化して,運用もある程度一体化して前に進んでいくという動きもありますので,そういうことを見習っていくことも1つの重要な点ではないかと思います。
【加藤委員】 各センターのミッションは誰が決めるのですか。
【中島委員】 実際はセンターが決める。
【加藤委員】 そのミッションというのは,計算機資源及びそのサービスも含めた提供と,研究開発ということでしょうか。
【中島委員】 基本的にはそういうことですね。
【松岡委員】 そういうのは大学からオーソライズを実際受けています。
【中島委員】 設置規定にそう書いてあります。
【松岡委員】 それから,ミッションを満たしているのかということを,外部評価等で精査されるという現実はございます。
【加藤委員】 各センターが独自にミッションを決められて,予算要求をされるというときに,このワーキンググループの場の意見やHPCIの意見というのは,そういうところで反映されるという認識でいいのですか。
【中島委員】 そこはセンターが自主的に判断することです。例えば,HPCIに参加して,資源を提供して,今の連携したやり方をやっていこうというのは各センターの判断に委ねられていて,どこかから強制的に9センターにHPCIに入りなさいと言われたわけではないです。もちろん,その過程では,HPCIのコンソーシアムだとか,あるいはこういうワーキンググループといった,いろんなところでのディスカッションを聞いて,我々がそこに入ってやることによって,日本のHPCのために一肌脱がなければいけないという立場で参加しているわけです。逆に,例えば,大学の執行部から行ってこいと言われるといったことはないです。
【喜連川委員】 任意のユーザは任意のスパコンを使えると思えばよろしいのですよね。そうすると,コンピューテイションリソースがフリーマーケットに乗っているというふうに考えればいいのかなと思っていまして,そのときのクロスの流動感というのが,どれぐらい起こっているのかなというのが何か数字があると分かるのかなという気がしています。我々のクラウドの世界でいいますと,安いところのディスクにデータを動かしていくというのがはやっていて,それなりに大きなビジネスの流動がある。余りそういうことはコマーシャルにはニーズはないとは思うのですけれども,HPCIのユーザにとってみればそれしか動くインセンティブはないのかなと思うのですが,その辺どうでしょうか。
【中島委員】 基盤センターによって比率はもちろん違うはずですけれども,例えば,京大の場合でいうと,4割ぐらいは京大ではない人が使っています。
【松岡委員】 東工大は半々です。
【中島委員】 東工大は事情が違うかもしれませんけれども,少なくとも7基盤センターというのは,内容が無差別の原理になっていまして,外側のお客さんに対して,ダウングレードするとか,負担金が高額にする,といったことをしないという立場でやっています。
【石川委員】 7基盤センターは全国共同利用施設として立ち上がっていますので,スパコンは学内に向けたサービスではないというミッションがあります。
【中島委員】 我々の設置規則はそういうふうに書いてある。法人化のときにも基本的な考え方は変えていません。
【喜連川委員】 だからこそ,納税者から見れば,コンペティションがあった方がずっといいに決まっているわけです。そうすると,その価格差が,単位フロップス当たり半分ですよといったら,そちらに流れるわけです。流れたら流れたでマーケット調整をしなきゃいけないし,そういうことは現状あるのでしょうか。
【石川委員】 東大の場合,電気代分をユーザから負担金としていただきたいということで,それで計算した上で価格(負担金)が設定されます。なので,普通は新しくマシンが入ると,その負担金というのは安くなっているのが通常です。年とともに変わっていくという感じになっていますけれども,電気代が払えなくなりますので,ほかが安いからといってこちらも値下げするということにはしていないです。東大は,2系統ありますので,例えば,2系統全体で電気代が賄われればいいというふうに考えると,若干古いマシンに関しては下げたりはしますけれど,1回決めると大体一緒です。
【小柳主査】 クラウドと違うのは,アーキテクチャの差の影響がより大きいということはあるかと思います。
【中島委員】 それから,クラウドと違うのは,リソースがたくさんないということです。クラウドの場合は,使っているつもりでもCPUにはロードが乗っていないとか,ファイルはあるけれど,そこにアクセスの頻度が少ないとかいったときに,オーバーサブスクライブができるわけです。ところが,スパコンの場合は,使い出すとCPUに対してちゃんとロードが乗りますが,本当に混み始めると身動きがとれないぐらい混みますので,そうなると今度は,あそこは安いけど,ジョブは動かないといった話が,どこかに流れる要因としては出てくるといった話はあり得ます。
【平尾委員】 先ほどコオペレーションという非常にマイルドな表現をしたのですが,9つあるセンターが一緒になって,それぞれをもっと充実させるということをにらんで,コオペレーションをもっと進めるはいかがかと,そういう趣旨でお話をさせていただきました。
【松岡委員】 平尾先生の御発言と喜連川先生の御発言に総合的にお答えしますと,結局,大学にとって,スパコンを持つ価値は何であるかというのは非常に重要となります。つまり,法人化前の予算は大学がタッチしないお金だったわけですが,今は,運営交付金に全部丸め込まれてやっていきます。そうしますと,我々は常に,スパコンセンターを持つ価値は何だということが常に問われます。それに答えないとセンターはなくなってしまうわけです。ですので,我々は常に,スーパーコンピュータ自身のリサーチのエクセレンスや,それによって得られる科学的な結果によるエクセレンスを常にうたい続けて,大学にとってシンボリックなインフラストラクチャーにしていかないといけないわけです。
それで,何らかの形で新しいセンターのユーザを開拓するということは,我々の間では紳士協定的に言わないですけれども,実は非常に大切なことです。というのは,HPCIというのは,HPCIのストレージが,セキュリティの枠組みによって,それが簡単になる可能性があり,それを実現化するインフラになるかもしれないからです。つまり,クラウドもそうですけれども,データを動かすのが一番面倒くさいので,データが簡単に動かせるようになると,ユーザも比較的にマイグレーションしやすくなる。そうなったときに,今までのモデルと,クラウドを比較して,価値としてよりすぐれたスーパーコンピュータを提供して,それによって機関として全体にプラスとなるか,例えば年間10億,20億の投資というのがプラスとなるかというようなジャステフィケーションは厳しく精査されることになります。それなので,1つのメトリックとしては新しいユーザの開拓や,質のいいユーザの獲得によって,自分のスパコンの持つ意味をちゃんと正当化していく。その中で,機関間での連携及びマージが,もしいいと判断されれば,そういうことが起こるかもしれません。でも,それはその機関間で連携することが,よりスパコンのインフラストラクチャーの存続と,それによるサイエンスや学術成果にプラスになると機関として判断できる場合になると思います。
川口計算科学技術推進室長より資料2-1に基づいて説明。次いで,小柳主査より資料2-2に基づいて,関口(智)委員より資料2-3に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【平尾委員】 教育や人材育成に関しては,議論しても尽きないと思います。この分野での人材育成が非常に重要であるということに関しては,これまで何度もうたわれ,ワーキング等でも議論がございました。私は,議論を早々に打ち切って,行動に移すべき時期だろうと思っています。先駆的試みが随分あるわけですよね。私は東大の場合しか知りませんが,例えば東大の基盤センターの中島先生を中心として,いろいろな教育カリキュラムの策定,あるいは実際の教育等がなされていますし,今の戦略分野においても,特に戦略分野の2の物質科学,エネルギー創生科学のところでは,実際様々なスクールがなされています。それがウェブなんかを通して全国に配信されており,サマースクールなんかもなされています。あるいは,産業界では,戦略分野4の方々が,生研を中心として,これまでも成果を挙げておられます。更には,全体としてのサマースクールとか,ウィンタースクールとかでもいろいろされているわけです。これから改善しないといけないことがあると思うのですが,そういう先駆的な試みを1回見ていただいて,何が足りないのか,あるいは自分たちが理想としているものがあれば,もう少しこういうふうにした方がいいという形で議論を進めていただく方がいいのではないか,という時期に来ているのではないかなと思っています。
【関口(智)委員】 御指摘の点は,コンソーシアムの側でも,いろいろなアクティビティとか実績をお持ちだということは重々に承知しております。ただ,今おっしゃったように,仮に分析をするとしても,それをどういう軸で分析をするべきなのかというところのそもそも論がないところが,人材教育の専門の方を交えて議論しているときに,何が一体これのメトリックですかと言われたとき,何が達成されているのがよく分からないです。だから,そういうスクール形式なんかが確かにあって,それがアドホックになってしまっていると,例えば産業界に行ったときに,結局何を学んできたのかわからないので,もう少しエンジニアリング的にやりませんかという提案になっているつもりです。
【秋山委員】 スキル標準を作るということは,様々な分野でやられてきたと思いますけれども,分厚いものができて終わりになっているところと,その後で認定試験をきちんとやっているところと,いろいろあります。認定試験の話になると,これは運用が大変なのですけれども,例えば,試験を何時間やるとしたときに,実技のこの部分は大事だけれども見られないねということや,見られる部分は何だという,試験をするためのメトリックを話すだけだと,すぐ収束したりします。壮大なものを考えるのではなくて,例えば,試験をするということを決めてしまって,それに必要なものを作るというのも,ほかの分野ではワークしていたと思います。
【関口(智)委員】 御指摘のとおりでございます。人材育成がマーケットとしてかなり定常的に回る場合には,試験をやるところというのはそれなりにビジネスのマスが出てきます。もしそれが本当に必要であれば,誰がそれをやるかということや強制力については大きな議論になると思います。
【高田委員】 これは今まで産応協等のコミュニティでいろいろ議論してきたところですけれども,産業界は大きなピラミッド構造になっています。それで,産業界が要求する人材育成のリクワイアメントというのは,現在,「京」を使っているようなフロントランナーの会社の10社とか20社がどういう人材が欲しいかということと,これから取り組もうとしているような,その下の層の会社でのリクワイアメントはかなり違っていると思います。
関口さんのスライドの4ページ目の「多様性」と書いてあるところですけれども,既に大きなフロントランナーの人は,会社のトップレベルの理解もあって,高度なスキルを持った人が会社に入ってすぐ役に立てられるような環境が整っていると思います。ところが,ピラミッド構造のその下の階層に当たる会社では,高度な技術を持った人が入ってきたとしても,会社の中で仕事に生かせるような環境が整っていないために力が発揮しにくい面もあると思います。ですから,会社のマネジメント層に対しては,別に人材育成をするという意味ではなくて,HPCIの重要性を理解してもらうということを普及啓発,啓蒙活動をしていかないといけないということでしょうし,ピラミッド構造のもう少し下の,これから「京」を使おうと言っているような会社では,実際に使えるような人を実戦力として育てていくことが必要だと思います。先ほど平尾先生が言われたように,既に,神戸でFOCUSさんもそうだし,理研さんもそうですし,東大生研さんの活動も含めまして,いろいろな教育はされていますが,現状ではまだ個々がばらばらに教育を実施している形だと思うので,関口さんが言われたような形で一度まとめて,相互の関係を整理して,こういうリクワイアメントを持っている会社に対しては,どこの部分を取ってもらうか,そして,その教育メニューは,どこの組織が担当していくかということも一度整理していただくと,個々の会社の方から見ても分かりやすいと思います。
それから,私は以前から再教育が大事だと言ってきましたが,これは私の経験に裏付けされたものです。私の会社は化学分野の材料メーカーですけれども,私の世代でシミュレーションをやっている人の半分近くはもともとは実験屋さんです。そこで何が大事かといいますと,会社でどういうソリューションを得ていけばいいか,事業なり商売のために何をしていくといいかという問題意識を自分で持って,その問題を自分で解決するためにシミュレーションが必要だと思ってやり出すことが一番大事です。そのシミュレーションの課題の前に,そこら辺が余り明確になっていなくて,シミュレーションの高度なスキルだけあっても会社ではなかなか役に立たないという,そのギャップが大きいと思います。ですから,そういう意味もあるので,コンピュータやソフトウェアを作られる会社の中では高度な人材がすぐ会社に入って即戦力で会社のビジネスに貢献されると思いますが,そうでない業種の会社では,関口さんのスライドの6ページ目にあるような,いろいろなルートを整理しないといけないだろうと思います。
【富田委員】 作れる人,それから使う人,支える人というのは,育成がやりやすいのではないかと思うのですが,つなげる人が一番肝になるのではないかと思います。要は,エキスパートとスペシャリストとかは,そこを教育すればスキームとしてはできるのですが,周りをいろいろ見渡しながら,いろいろなところをつなげていくというジェネラリストをどう養成するかということが,このHPCIを産業界で盛り上げていくことにとって,非常に大切なことだというふうに感じます。
【天野委員】 経営から見たときに,本当にスパコンって,HPCIってもうかるのか,効果があるのか,ということが腹に落ちていないということが前の会社では思いました。企業としてもうかる,それなりの効果があるならば,そういう人も欲しいと思いますし,そういう組織化もしています。自動車の場合で見ていると,10年や20年前までは各社さんでソルバーもどきも作られましたし,プリ・ポスト処理の機能も自前でした。残念ながら,ここ1年ぐらい見ていると残っている会社は1社ぐらいしかないです。定常業務としての市販ソフトを使ったオペレーションはできるようになりましたけれども,今はそれ止まりです。残念ながら,皆さんがおっしゃっている話と現実が何でギャップを非常に感じます。だから,そこのところをもう少し詰めてほしいなと思います。
【善甫委員】 例えば,関口さんのスライドの6ページの図があります。1番から2番,3番とありますけれども,これで3番からの方というのは,例えばこれですぐ活躍できるかというと,活躍できる場合もありますけれども,基本的に時間の進み方が違うから,99%の場合「まだ仕事ができんな」と言われることの方が多いと思います。例えば,これは分からないから基礎研究から始めてということを会社の中でやっていくわけにはいかない。そして,実際に役に立つということをある期間の中で,例えば,3か月後にもう答えを出さないといけない。じゃあ,そこの中で肝は何だということを見抜く力と,それから上司を説得して,それで納得させる力が要る。それは全然違うセンスで,ここで議論できていないことです。スライドの4ページ目にあるManager,Researcher,Consultantは1つだけが必要ということはあり得なくて,これの中を幾つか持っていて,それらと複合した力として,どれだけ実務に役に立てるかということの方が大事なのですが,そこをどう出すかという議論がない。そういうことが,これから必要になってくると思います。
【関口(智)委員】 幾つかの点で誤解もあったのかなと思うのですけれども,特にHPCに限らない話ということがありますが,例えば,理系の人材が少ないことや,一般に研究を人に宣伝できないという話とか,それから今も御指摘があったような,経営層をどうやって説得するのかということは,ここの議題からは外していました。あとは,先ほど天野先生から御指摘いただいたようなことに関しては例えばCOCNなんかでのHPCの議論のところでかなり具体的になされていたので,そこも外しています。経営層に対して,ここが利益を生むのかというところを誰がどういうふうに伝えるかという議論はさせていただいたので,今あるいろいろなプログラムをどういうふうにマッピングして落とし込んでいくのかというところを前面に強く出し過ぎたところがあるのかもしれません。
加藤委員より資料3-1及び3-2に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【高田委員】 せっかく報告書にされるので,もう一歩踏み込んで,具体的な提案までされたらいいかなと思います。例えば,継続的な維持管理がとても大事だ,利用支援が大事だということもありましたし,また,今までいろいろな国プロでいろいろなお金が産業界のために投資はされてきましたが,単発的にされてきていました。私が今言いたいことは,例えば組織を創るのかどうかは別ですが,一元的に国全体で,そういう推進をするなり維持するための仕組みまで持っていかないと難しいのかなと思います。
【加藤委員】 どこまで書き込むかですが,そういう意味も含めて維持管理ということを書いたつもりです。
【高田委員】 維持管理するセンター的なものを,横断的な組織として創ることは考えられているのですか。
【加藤委員】 これまで断片的に議論されていたことを,もう一度きちんと整理して,こういう方向で産業利用,あるいは産業利用に関わるアプリケーションの普及は進めるべきだということを整理したのが今の段階なので,更に予算的な話とか,具体的な拠点の話等は次のステップで検討したらどうかということが個人的な考えです。
【高田委員】 先ほど関口さんも言われていましたが,人材育成も同じような話だと思います。ここの場で皆さんが議論をして,どういう形の組織になるかはわからないですが,報告書を書くだけではなく,そこまでつなげないと難しいかなと思います。
【平尾委員】 大変よくまとまった報告書だと思いますし,実際これを基にして産業界でのスパコン利用を盛んにしていただくと有り難いと思っていますが,1つ,例えばフラグシップマシンとかシステムでは,大規模並列計算なんかの実証研究をするという認識は産業界の方でも定着していると考えてよろしいのでしょうか。というのは,プロダクションランをやりたいというふうな声がありますので,そのあたりの議論についてお聞きしたい。
【加藤委員】 あるべき論として,直接的なプロフィットを求める活動はプライベートセクターでやって,一方,どういう方向に進めばいいかとか,研究開発フェーズを国がサポートするというのが基本的な考え方だと思います。プロフィットを得るための計算であれば,例えばお金を払ってやるといった認識をしてもらうべきだと思います。
【平尾委員】 実証研究を第一に考えてやっていただきたいというように思っています。
【加藤委員】 例えば1並列のジョブを1万個一遍にやったら何ができるかということは意味のある実証研究なので,それは認めるべきだという議論はありました。どこかのリソースの代替ということではないという認識です。
【関口(智)委員】 7ページの第3章の3.4は,オープンソースの話に触れてこられて,ソフトウェア産業の国際化の競争力を育てるのは難しいという御指摘は,一般的に考えればごもっともですが,一方で,先ほどの人材のところの「つなげる人」がいないというような話があって,実はそこの話と,このオープンソースをどういうふうに使っていくか,使いこなしていくかというのは非常に絡み合っていると思います。こういうものをきちんと使える人を,そのサービスに対して利用者が対価を払えるというようなモデルができてくれば,ここのところの競争力で,ソフトウェアを売るという産業だけでなくて,ソフトウェアを使った全体のサービスという意味での産業にはなるのではないかというように思います。
【加藤委員】 そういう御意見はごもっともだと思いますが,いわゆる国プロで開発された以外のオープンソースを言っているわけですね。それを国の意思をどこまで働かせるべきかというのはちゃんと検討すべきだと思っていて,私の個人的な考えは,オープンソースのコミュニティというのは自分たちでこういう方向に行きたいというのがあるので,国が側方支援的に,例えばトライアル環境を提供するとかはいいとは思いますが,余り頭ごなしにこういう方向に行けというような提言はどうかと思います。
【関口(智)委員】 もしかしたら僕の発言を誤解されているのかもしれないですが,ソフトウェアが,仮にオープンソースのような無償ソフトウェアを,どういうふうにしていくかといったときに,それは単に無償だから広がらないということではなくて,無償であっても使い方というところまできちんとノウハウがあって,それに対して対価を払うようなモデルになって,なおかつ,そこの人材というものが,先ほどのつなげるような人材になるのではないかと思います。そういうのをパッケージで考える必要があるのではないかということを申し上げたわけで,オープンソースのコミュニティに対して何か指示をするというわけではございません。
【加藤委員】 はい,分かりました。考えてみます。
いま頂いた御意見はこのワーキングの最終報告に加えるという形にしたいと思います。
遠藤参事官補佐より,第22回は10月21日,第23回は11月13日,第24回は12月9日に開催予定である旨を報告。
小柳主査より閉会発言
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