平成25年8月30日(金曜日)15時~17時
文部科学省 3階 3F1特別会議室
小柳主査,青木委員,秋山委員,天野委員,宇川委員,加藤委員,金田委員,小林委員,関口(智)委員,善甫委員,富田委員,中村委員,平尾委員,牧野委員,室井委員,渡邉委員
吉田研究振興局長,菱山審議官,生川振興企画課長,下間参事官,川口計算科学技術推進室長,遠藤参事官補佐
川口計算科学技術推進室長より資料1に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【秋山委員】 4ページの留意事項で,「Cooperation Model及びOffloading Modelでの活用可能性の検証」という言葉がございます。これは,3ページに書いてある加速部についての利用イメージの三つのうち,Separation Modelはできるけれども,この二つは難しいと言っているような気がしてしまいます。真意をもう少し理解したいのですが。
【平尾委員】 Cooperation ModelやOffloading Modelでこういうことがやれますよということは検証して,委員会の方にも提出をさせていただいたんですが,更に検討してくださいというのがこの趣旨でございます。
【秋山委員】 分かりました。かなり積極的な意味だということが分かりました。
【小柳主査】 これじゃないと全然できないのを前提にしているというわけではなくて,今できる以上の活用ができないかということでございます。この辺の言葉遣いはもう少し注意して,誤解のないようにしていきたいと思います。
【中村委員】 8ページのコストのところで,サブワーキンググループの見解というのが,「「京」のプロジェクトの基本設計が終了した段階で見積もられた開発・製造費を考慮すれば」という表現になっていて,もうちょっと明確な表現があってもいいんではないかなと思いました。
【金田委員】 9ページのまとめで,「スケジュール及びコストについては,開発主体候補が提示したものとすること」と書いていますよね。これも同じようなことになるんではないかと思います。
【小柳主査】 微妙な点を伏せている面もあるので,書きにくいところがあるかと思いますが,よろしゅうございましょうか。
この報告をもちまして,システム検討サブワーキンググループについては調査を終了いたしたいと思います。委員として,あるいは理研側として御協力いただいた先生方には,短期間に4回もの審議を頂きましてありがとうございました。
川口計算科学技術推進室長より資料2に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【小柳主査】 ヒアリングのまとめでございますので,意見を出した方にとってはリアリティーがあるんですが,全般に適用するかどうかは議論が必要なことだと思います。
なかなか難しい課題もあることは重々感じております。ユーザーの皆様の希望と実際に可能な体制というのはなかなかマッチしないですね。いつでもぱっと行ったら使える計算機というふうに「京」がならないのが大変残念なところなんですが,やむを得ない面もあるかと思います。
私が感じた点を申し上げますと,最後のところに,「スーパーコンピュータを用いた大規模計算という文化の継承が途絶えた」とありますが,やっとできてきたというぐらいが現実にあるような気がするんですが,御意見どうでございましょうか。
【平尾委員】 私も,ようやく日本でも大規模計算ができるようになったというのが現実じゃないかと思います。これを更に広めていかないといけないんじゃないかなという気がしています。
【宇川委員】 産業利用自身は大いに促進すべきで,「京」の場合,随分と利用が上がってきているというのは非常にいいことだと思っています。
一方で,産業利用をするときに「京」自身は一体どういう考え方で産業利用をしていただいているのかということも大事で,そこのところを押さえておかないと,産業界にとってもいい改善にならないのではないかと考えられます。HPCIの検討をしていた頃に産業界の方々も含めて非常に大きな議論があったと思っています。それをコンソーシアムからの提言の中にも書き込んでいただいたと思っていて,「HPCIは公的な計算資源であるということから,これを産業界における高並列計算の効果を実証する場と位置付けて,同時に,実証しやすい利用,トライアルユースを設定することによって,産業界自らが先端的なHPC技術を利用推進・普及することによって,我が国の産業競争力強化と新産業創出を推し進める」というふうに書いてあるんです。その辺りを共有した上で,産業界利用の促進にとってベストな改善とは何なのかということを整理していくということが必要ではないかなと思います。
【加藤委員】 今の点に関連しては,産業利用アプリ検討サブワーキンググループで,一体何のために国として産業利用を促進するのかということを再整理をしています。今の観点に加えて,こういう分野の産業そのものが発展していくという観点と,さらに,産業利用された成果がアカデミアの研究開発にフィードバックがかかって学術研究も進展するという,三つの効果として,サブワーキングとしてまとめています。
【小柳主査】 システム検討の方でも議論になったのは,こういうシステムを貸したり売ったりする産業と公的な計算資源が,ウィンウィンの関係にならなければいけない。という意味で,それを使った実際の製品開発というのは,無償利用では含まれないというのが共通認識かと思います。少なくとも現在の「京」の利用システムでは,「京」の役割,あるいはHPCIの計算資源を産業界が使う場合の基本的な考え方になっていると私は理解しております。
【関口(智)委員】 ここの調査検討課題はリーディングマシンの利活用だけが主な論点になっているかのような懸念がございます。産業利用では,例えばCOCNでのHPCI利活用に関する議論を御紹介いただいたことがあったと思いますが,そこから出てきた意見をこの中にもう少し織りこまれた方が,全体を代表するというような気がいたします。その中で,同じ産業利用といっても,いろいろなシナリオがありうるので,大規模化を追求して,最後,「京」に出て実行し規模感を実感していくケースや,むしろスケールアウトを追求して,例えばクラウドの方に外に出ていくといった,パスをもう少し明確にしたら良いのではないかなと思いました。
【小林委員】 今の御発言に関連するんですが,基盤センターも含めて,ハイエンドな計算が必要なものから,本当にプロダクションランをたくさん流すような基盤センターレベルの話の検討を進めていくべきではないかなと思います。
【加藤委員】 全然別な観点ですが,ここに書かれている課題に対してどうするのかとか,この課題は本当に重要なのかというようなことを少し議論しないと,最終報告案にならないんじゃないかなと感じたんですけれども。
【小柳主査】 それはそうですが,基本的なところはなるべくここでの議論を経て,ある程度断定できる形で行きたいと思っております。
【渡邉委員】 2ページ目の(3)にあるんですけれども,システム運用における柔軟な対応というのが指摘されています。ただ,「京」コンピュータで,運用における柔軟な対応を最も阻害しているのは共用法だと思うんです。それは考慮はいただければと思います。
【小柳主査】 「京」の運用というのは,次のマシンのもちろん運用のモデルになるわけで,その意味でも「京」の運用について議論しておくことは,意義があると思います。
【平尾委員】 機構の方で責任を持って運用をやっているわけですが,非常に苦労しています。これから先もまた皆さんにいろいろ御相談をしないといけないだろうとは思っています。今,共用法の話がございましたが,運用に関して全責任を持っているわけですが,私自身は課題選定には全く関与できないんです。これはちょっとおかしいと思っているんです。これは共用法を変えるかどうかではなくて,いろいろなところでもう少しフレキシビリティーを持たせるような形であるとずっとスムーズにいくのではないかなという印象をいつも持っています。
【小柳主査】 「京」もだんだん軌道にのってきて,問題点がはっきりしてきたということはあると思います。
【加藤委員】 1枚目の裏の(2)のところに,裾野の拡大が重要であるとか,レベルアップとかステップアップが重要であると。ただ一方,「京」以外のHPCI資源が必ずしも当初の予想どおり使われていないという状況もあるわけです。そうすると,その問題点は何なのかということをもうちょっと深く検証しないと何か解決にならないような気がします。
【秋山委員】 二つ前の平尾先生がおっしゃった件に戻ります。走っているジョブについて,どういう違和感があるのかというのかを教えていただきたいんです。登録機関が選んでいるということに違和感があるとおっしゃっているだけなのか,もう少し大規模なものに寄せた方がいいとか,具体的なところがあればと思ったのですが。
【平尾委員】 「京」をどういう形で日本が開発したか,「京」をどう利活用するべきなのかということを考えますと,やはり「京」でしかできないとか,「京」の持っている威力を本当に引き出すような課題を優先して流したいんです。ところが,実際にはそういう形で課題は選定されておりません。その辺りを我々の方で交通整理ができるといいんですが。どこかで議論をして方針を出さないといけないんではないかなという気がしております。
【秋山委員】 科学的な内容にまで立ち入ったお話ですか。それとも,規模が小さいとか,運用していれば分かることについておっしゃっているのですか。
【平尾委員】 いえ,私は内容まで立ち入ってということでございます。
【秋山委員】 内容まで立ち入ってですと,私は登録機関の下で選ぶ方が公正だと反論申し上げます。そうではなくて,非常に規模が小さくて,計算機運用の立場からということであれば良いと思うんですが。
【小柳主査】 この選定は大変難しい問題で,「京」でしかできないような大規模かつ価値の高い問題を選ぶというのは当然なんですが,それを貫徹しますと,裾野を広げるという観点が抜けてしまうので,そこのバランスは結構難しい問題だと思います。
【富田委員】 フラッグシップだけを考えているとそうなってしまうわけで,HPCI全体のリソースをどういうふうに振り分けていくかを考えないといけないと思います。
それから,課題選定に関しては権限と責任がスプリットしているような状態だと思うんです。そういうところで少しきしみが見えてきているのかなという気がしています。
【小林委員】 こういう分野に非常に役に立つとか,何か色を付けてアピールすれば,「京」で成果が出るものが集まってくるんじゃないかとは思います。汎用と,それを生かしたある意味専用的なアプリの分野でしょうかね,そこをうまくバランスしないと,「京」の能力を生かしたものを増やしたいということにはならないんじゃないかと思います。
【小柳主査】 いや,もちろんそれはそうなんです。ただ,カバーするかどうかという話と,運用方針の話とは違う。
【小林委員】 もっと生かせるアプリが集まってほしいという御意見でしたので,特徴を示せばそれは集まる。
【加藤委員】 今の御議論は重要だと思うんですが,ここはあくまでも利用者から見たときにどういう方向に持っていけばいいかという議論なので,別のところで議論しないといけないのではないでしょうか。
【平尾委員】 運用でもいろいろ苦労をしておりますので,皆さんにも状況を知っていただきたいということで話題にしたので,ここで報告書に入れてくださいとか,そういうことではなくて,これは別のところで議論しないといけない問題であると思っています。
【小柳主査】 どうもありがとうございました。
【加藤委員】 この報告書は,全体的に,現時点でこうなっていますという書き方だと思うんです。将来的にこういうふうになるという観点が少し足りないと思います。
【小柳主査】 実際にはなかなか,今の「京」がとっつきが悪いという議論がある。
【加藤委員】 「京」だけじゃなくて,「京」の次はどうなるとか,それから,コモディティとの関係はどうなるとか,時間的に展開するときにどういうふうになっていくとかは,利用を拡大するとか普及を推進するということを考えたときに避けては通れない問題ですよね。全体的にその記載があんまりないような気がします。
【秋山委員】 小林先生がおっしゃったことに反論したいんですが,「京」のときは,広い科学の分野に使うということでやっています。規模の話とか,効率が何%出ないと駄目だとか,透明に判断できることで絞るのであれば何ら反論するところはないんですけれども,内容についての判断ということになってくると,誰がやっても非常に難しいことではないでしょうか。
【小林委員】 私は,汎用性をうたっている以上,ある程度いろいろなものが集まってきて,場合によっては,「京」の性能・能力を引き出せないものが動いているような状況も仕方ないと思うんです。
【小柳主査】 HPCIというシステムになっていますので,「京」を含めた資源を一体的に活用するような努力は始めたところでございます。
【室井委員】 四角で書かれている調査検討課題というところの整理が,産業界の色が濃過ぎるんじゃないかなと思います。まとめるに当たっては,「産業界」と付けていただいた方がいい意見があると思いますし,必ずしも必要じゃないところもあると感じました。
【青木委員】 ステップアップの話なんですが,どうやってステップアップすればいいかという仕組みが具体的に余り明確じゃない。面倒見てくれるところがないと難しいかなという感じがしています。
【加藤委員】 戦略機関はそういう責任を負っていると思っているんです。各機関が各コミュニティで,ロールモデル的にどういうふうにすればうまくステップアップできるかということを実証しながらそれぞれ示す。それでうまくいきそうなモデルをRISTなりAICSなりが採択して,どんどん広めていけば,その点に関してはいいと思います。
【青木委員】 例えばコンソーシアムなり,戦略機関なり,資源提供機関なりが,ある程度何か協力してやった方がいいような気がします。
【加藤委員】 そうですね,例えば分野4に関しては,効率的に早くステップアップができるような,そういうやり方を見付けようということで,やり始めているところです。
【平尾委員】 幾つかの戦略分野は既にFX-10とかを導入して,ステップアップの準備をしている,あるいはそれを実際にやっていただいているものだと思っていたんですが。
【小柳主査】 ステップアップについては,今のステップアップの話と,将来のマシンができたときのステップアップといろいろな観点があるかと思います。
【青木委員】 戦略分野で,ある程度見えるところはそうだと思うんですが,そうじゃないところもたくさんあるんじゃないかという気がするんですが。
【加藤委員】 さっき申し上げたように,戦略分野が率先してステップアップの方法を検証して,うまくいったものを広い間口を持っている登録機関なりで採択して,そこが中心に運用すればいいんじゃないかと思うんです。
【小柳主査】 これは人材育成の一部だと思うんですが,今後ともまたいろいろ議論していかなければいけない問題だと思います。
【富田委員】 戦略分野に,そういう意識というのはあるんですかね。
【加藤委員】 戦略分野というのは,研究開発課題の推進と計算科学技術推進体制の構築の二つミッションがあって,2番目の中に計算機リソースの効率的マネジメントというキーワードが入っていて,それがステップアップに対応するものですよね。
【小柳主査】 分野5関連だけですけれども,その体制をちゃんと組んでいる。
【青木委員】 ただ,それは自分たちのコントロールできる資源になっているので。なかなか今のところ難しい。
【宇川委員】 それは資源のコントロールとは違う話でしょうかね。ステップアップできるような体制あるいは教育というところが肝腎なわけで,資源の切り分けみたいな話とはちょっと違うんじゃないかなと思います。
【小柳主査】 もちろんステップアップに使える資源を持っていればいいんでしょうけれども,今の場合,必ずしもそういう問題ではないとは思います。
【中村委員】 (5)の文化の伝承が学生の間で途絶えているというところで,以前は,情報基盤センターなどで,学生が大規模計算を修得していくという枠組みができていたと思うんです。それがなくなって,計算科学というものを大学の教育でどういうふうにきちんと位置付けるようになっているかが重要な問題だと思っています。
【小柳主査】 それはそのとおりです。4年ぐらい前の文科省の中の小柳委員会で人材育成の議論をしましたし,その後,HPCIに移って,小柳委員会で議論をしまして,その成果はいろいろまとめてありますし,その後,HPCIで議論が進んでいるかと思います。あるいは,もちろん関連の諸機関で進んでいると思いますので,そういうのをいかに次のポスト「京」に生かすかというのが大問題だと思います。
【関口(智)委員】 大学のカリキュラムまで踏み込んでここの委員会での結論に含めてしまってもよろしいものかどうかというところをお伺いできればと思います。人材育成の議論を進めるときにどうすればいいのかという御意見を頂ければと思います。
【小柳主査】 どの段階の議論をするかで大分話が違う。最初の小柳委員会では,カリキュラムの可能性ということで,幾つかのパターンを用意して,それぞれの理解・特質はこうであるというような報告書を出したんですが,それは権限があるわけじゃない。その後出てきた議論は,我々が考えたHPCIの諸機関の関連でユーザーをどう育てるかというレベルで,そうなると,多分ここで議論することは十分意味があると思います。
【平尾委員】 ここで十分議論をして,各大学に働きかけるということをやらないと,人材育成にはつながらないと思います。産業界も巻き込んでということになるかもしれませんが。
【小林委員】 例えばリーディング大学院なんかの申請が出ていますけれども,そういうところでいろいろカリキュラムを検討しているようなことも聞いておりますので,そういうものがうまくいけばとは思っております。
【小柳主査】 人材育成も含めて最終報告書へ向けての議論はまた進めていきたいと思います。
川口計算科学技術推進室長より資料3-1に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【平尾委員】 整備されるマシンを四つに分類をされているんですが,3というのはもうひとつよく分からないんですが。
【小林委員】 基盤センターのセンター長会議の中でいろいろ議論しているところですが,基本的にはintelのXeon系のクラスタをそのまま持ってくるという話です。
【加藤委員】 私には4がよく分からなかったんですが。これはまさにフラッグシップを言っているんですか。
【川口計算科学技術推進室長】 性能というよりも,全く新しいコンセプトのマシンを開発していくという考え方もあるのではないかということで書かせていただいております。
【加藤委員】 すぐには実現できないけれども,将来的にはこういうアーキテクチャで実現できるようなとか,そういう意味ですか。
【川口計算科学技術推進室長】 そういうことです。
【加藤委員】 Grapeみたいな,そういう感じですかね。
【小林委員】 例えば宇川先生の筑波で開発されているなんていうのは,そういうものになるんじゃないんですか。
【宇川委員】 そういう面もあると思いますし,コンソーシアムの意見としては,「将来の計算科学技術の振興につながるチャレンジングなシステム」みたいな書き方もしてあるので,書き方かもしれません。
【小林委員】 議論としては,これの複数の組合せもあるでしょうというような話も出ております。
小林委員より資料3-2に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【秋山委員】 こういうメモリバンド幅が高いシステムは,応用にとってとても重要だということは理解しているつもりです。お金について,特定のアプリケーションではこっちの方が安くできるというところまで言えるんでしょうか。
【小林委員】 どれだけ売れるかということだと思います。ここで出ているのはもちろんフィジビリティスタディ(FS)なので,予算でフィジブルなものを考えているということだけ回答させてください。
【秋山委員】 ベクトルはコストの問題で我々のところから去っていったと理解していたものですから。
【小林委員】 ベクトル処理の仕組み自身は,何でもやっているんです。それをどうアーキテクチャ上のトレードオフを考えて,メモリに投資するとかという話なんです。ですから,適切なものを作っていきたいというのがFSでの取組です。
渡邉委員より資料3-3に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。
【加藤委員】 今はまだ,いわゆるトップエンドの汎用機と,バンド幅とかを狙ったマシンは,そんなに距離はないんですよね。だから,相互乗り入れは多少の努力でできる。将来展望として,ある程度の相互乗り入れが可能な姿を考えているのかという,そのマクロなビジョンをお聞きしたいんですが。
【渡邉委員】 もちろんbyte/flopも重要なんですが,この際ネットワーク通信という問題がありますので,CPUの数が増えたら,初代地球シミュレータのように単段クロスバーで全部が同じようにつながっているというようなネットワークは組めない。だから,1個のCPUが速いことで,少ないCPUで大きな性能を出すことができる。これが1個のCPUが遅い,例えば10分の1のスピードしかなかったら,10倍のCPUを持たねばいかん,そういう問題も起きます。
それから,出力ファイル数が多いというのを言いましたけれども,こういうところをカバーするマシンが要るんだということです。
【小林委員】 右肩上がりでスパコンはどんどん上がってきましたけれども,もう右肩上がりになっていかない時代なんですよね。ですから,計算機も少し方向が変わってくるんじゃないかなとは思っています。
【加藤委員】 私もそう思っていて,現実的にこういうふうになるという前提で今後のHPCIの整備は考えていくべきだろうなと,こういう話を聞いていると思う。
【小林委員】 効率をやっぱり高めていくような仕組みができてこないと,天井が見えてくるわけですから,そこはアーキテクチャとしては考えていきたいと思っています。
【渡邉委員】 私は,企業がお金をかけにくいところに開発費用をかけてやるべきだと思っています。企業というのはネットワークシステムのところではそれほどアピール度がないものだから,なかなか金はかけない。メモリバンド幅もそうです。
【富田委員】 さっき加藤先生がおっしゃった,山が二つあってというのは,ガラパゴス化してしまうかもしれないみたいな懸念があるということですか。
【加藤委員】 僕は必ずしもガラパゴスとは思ってなくて,そもそも1個の山だけで全部どこにでも行けるという世界が幻想になりつつあるという。
【富田委員】 1ユーザーとして資産を生かすにはどうすればいいかというのは悩ましい問題で,そういう意味では,地球シミュレータがこの後どういう方向に振れるのかなと気にとめています。
【加藤委員】 僕は全然違う考え方で,レガシーコードとかベクトルの資産とかそんなレベルではなくて,アーキテクチャ的にもう限界が来ている。今,三つの方向があるわけですよね。バンド幅とか容量をまだ頑張っているグループと,「京」と,それから,コモディティと,まあ,パワー系とかもありますけれども,それが全体的にどういうふうになっていくのかということを,このワーキングでも明確なビジョンを持ちながら,アプリの整備も含めて考えていく必要があるんじゃないですか。
【富田委員】 全体的にどうなっていくのかというのは,アーキテクチャがどうなっていくのかということと,ソフトウエア,アルゴリズムがどうなっていくかですか。
【加藤委員】 全部含めてです。
【中村委員】 資料1で,ポスト「京」をどうするかとあります。そこに,地震とか津波とか,地球科学が入っていますよね。渡邉さんのお話と矛盾を感じてしまうのですが。
【小林委員】 動けばカバーされるという話になってしまって,どれぐらいの性能でカバーするんだろうかという議論も出てくると思うんです。どうチャンピオンデータを出せるような仕組みで動かすかということだと思います。
【富田委員】 ある程度の規模の計算機で,実行効率は小さいけれども,結果時間は短いよねというようなシステムが我々にとっては必要なわけで,そういう観点から見るべきのような気がします。
【牧野委員】 総合防災に関しては,資料1参考の11ページに,アプリケーションFSで検討した結果の数字が出ております。これと東北大学のFSと数字が違うのは,対象とするアーキテクチャに応じた検討ということによっているんだと思います。
【小林委員】 総合防災という視点では,フローが出ていますけれども,ファイルI/Oなり,メモリI/Oなり,そこを全部含めて取り扱っています。個別のものをオフラインで動かすというイメージではないということだけ理解していただきたいということです。
遠藤参事官補佐より,第21回は9月30日,第22回は10月21日,第23回は11月13日,第24回は12月9日に開催予定である旨を報告。
小柳主査より閉会発言
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