今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ(第12回) 議事録

1.日時

平成25年2月18日(月曜日)17時~19時

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

小柳主査,青木委員,秋山委員,天野委員,石川委員,宇川委員,加藤委員,高田委員,富田委員,中島委員,中村委員,平尾委員,牧野委員,松岡委員,村上委員,室井委員,渡邉委員
(HPCI計画推進委員会)土居主査

文部科学省

田中総括審議官,森本審議官,下間情報課長,林計算科学技術推進室長,村松計算科学技術推進室長補佐

4.議事録

(1)今後の調査・検討課題について

 林計算科学技術推進室長より,資料1に基づき今後の予定を説明。また,資料2に基づきこれまでの議論の論点整理(案)を説明。質疑応答は以下のとおり。

【小柳主査】  論点整理の素案については,2月12日に開催されたHPCI計画推進委員会で報告している。資料2はそのときの意見も可能な限り反映させた。HPCI計画推進委員会での意見を紹介すると,グランドデザインについては,そもそも計算科学を日本としてどう考えるかという根本の立場を明確にした上で議論すべきであるという指摘を頂いた。ワーキンググループでもそのようにしているつもりではあるが,必ずしも十分ではなかったところがあるかもしれない。
 もう一つは国際協力で,我が国の競争力を維持するためには戦略が必要であり,競争と協力をどうするか,もっと掘り下げた議論が必要ではないかという指摘があった。その際には,どの時点で何が最先端の技術となるかという,技術ロードマップを踏まえた上で議論すべきであるということで,これはもちろんFS等でも議論していることでもある。
 また,プロセッサをどうするかということは論点整理では必ずしも明確には書いていないが,これは大変大きな問題で,それによって戦略が大きく変わるのではないかという指摘もあった。これは現段階ではなかなか書きにくいことではある。
 最後に,「計算科学技術は理論,実験に次ぐ第3の科学」という文面について,今更「次ぐ」はないのではないかという指摘があった。「次ぐ」というのは時間的な発展の段階で,実験科学,理論科学より後に出てきたわけだが,「次ぐ」と言うと,少し価値が低いという印象を与えるのではないかということである。
 以上のような意見があったが,土居先生から補足することはあるか。
【土居計画推進委員会主査】  特段ない。
【小柳主査】  資料2の論点整理については,12月6日の素案に対してメールで何度か意見を頂いており,それは可能な限り反映している。少なくとも共通認識についてはまとめに入りたいので,議論いただければと思う。また,参考資料2に論点整理の概要(案)があるが,これも併せて議論があればつけ加えていきたいと思う。
【中村委員】  11ページに独立行政法人のシステムについての記載があるが,文部科学省以外の独立行政法人でもスパコンを持っているところがある。それをHPCIの中にどうやって入れ込むかがこの文章だと弱いように感じる。そのようなアイデアがないと,独立行政法人は他省庁だから難しいですね,ということで終わってしまいかねないと思う。
【林計算科学技術推進室長】  ここでは基本的に文部科学省の話を書いているが,実際にはHPCIコンソーシアムに産総研も入っていて,一括課題選定ではないが,シングルサインオンの対象となるようなHPCI資源として運用していく方向で調整をしている。ただ,文部科学省であれば研究開発ということでまとめることができるが,他省庁も含めてということになると,省庁によって独法に求めている役割や考え方が異なってくるので,戦略として描くのは難しいと思う。
【中村委員】  例えばギブ・アンド・テイクの関係で,HPCIを使わせるかわりに資源を出してもらうというようなことは可能だと思う。そうしたときに組織として入ってもらうような,HPCIの組織ができているといいと思う。
【小柳主査】  確かに,コンセプトとしては文部科学省に限っているわけではないが,現実には難しい点があると思う。
【松岡委員】  基盤センターの役割に関しては,どうしても運用の方に焦点が当てられているような文章になっているが,実際は,基盤センターとリーディングマシンは,単にキャパシティという意味での補完的な役割だけではなく,研究開発の面でも補完的な役割を果たしていると思う。例えば,メニーコアに対する対応に関しては,石川先生のところがメニーコアのOSを作っていて,リーディングマシンより先にメニーコアのマシンを入れることになる。このように補完的な役割として,最先端技術を取り入れて進むのが重要だが,このような研究開発という役割が余り書かれていない。基盤センターのミッションとして,研究開発を何らかの形で入れていただきたい。
 もう一つはインフラの点で,計算機というインフラが重視されているが,すばらしいスパコンを入れても,ネットワークがガタガタだとどうしようもなく,現に,ライフサイエンス系の人はそれで苦労している。しかも,下手をすると次世代学術ネットワークは財務省説明がつかないという話もあり,例えば,テラビットのネットワークが欲しいと言っても,今の実績を見たら要らないだろうと言われてしまう可能性もある。しかし,次のエクサフロップスのスパコンや,それに類するものが基盤センターに入った場合,今の10Gがそのままリフトアップする形では全く間に合わない。リーディングマシンや補完的な大学の基盤センター等のマシンを整備することも重要だが,それを接続する広域ネットワークなど,それらがHPCIとして機能する基盤の整備も同時に必要であるいうことを,何らかの形で記述していただきたい。
【小柳主査】  コンピュータ以外の整備として,ネットワークはもちろん重要なものだと思う。
【林計算科学技術推進室長】  ネットワークについては,前回石川先生からもコメントがあったので,12ページの(3)に高速ネットワークの整備を今後も着実に進めていくことが重要であるという文言を追加している。
【松岡委員】  もう少し具体的なことを言うと,現在のコモディティ・トラフィックは年率30%しか増えていない。ところが,マシンは年間2倍くらいで増えていくので,今のままでは確実に破綻することになる。また,今のSINETはコモディティ・トラフィック・バーストではなく,コモディティ・トラフィックばかりで説明しているので,そこにそごが生じていると思う。高速ネットワークが必要だという文言はもちろん重要だが,高度科学技術に供するためには,現在のネットワークより更に上位のネットワークの整備が必要だということを強調した方がいいと思う。
【小柳主査】  コンピュータの附帯物というよりも,むしろ独立に考えるべきインフラであるということで,ネットワークと並んでストレージもあると思う。それと,大学の情報基盤センターに対しては,運用も重要だが技術開発をしているという面も明記して,その役割を認識すべきであるという点もそのとおりだと思う。
【松岡委員】  技術開発をしているということと,その技術開発を基盤センターのマシンで実証する場であるということの2点について記述していただきたい。
【高田委員】  言葉の使い方の問題かもしれないが,18ページの「アプリケーション開発の在り方について」の(4)と(5)で,「アプリケーションソフトウエアを開発する人材については,サイエンスとしての成果だけではなく,ソフトウエア開発に対する評価も」となっており,ソフトウエア開発とサイエンスが対比しているような形になっている。人によって解釈が違うかもしれないが,ソフトウエア開発もサイエンスであり,例えば,数学の力を使ってアルゴリズムを開発して10倍,100倍速くなったというのは十分サイエンスと言えると思う。ここはサイエンスというよりは,ソフトウエアの応用だけの成果ではなく,ソフトウエア開発そのものも評価するというような対比ではないかと思う。
【中島委員】  ここで書いていることは,いわゆる自然科学,計算科学をやっている人の中でソフトウエア開発もやっている人がいて,そのコミュニティにおいてどのように業績を評価するのかということだと思う。要するに,コンピュータサイエンス的な評価も必要であるというようなことで,それはコンピュータサイエンスの論文が載るというわけではなくて,というニュアンスで書かれていると思う。
【高田委員】  だから,ソフトウエア開発というよりは,コンピュータサイエンスと書いた方がいいということですね。
【中島委員】  そこは微妙だと思う。
【高田委員】  もう一つ大事なキーワードとして,(5)に「ユーザのニーズを反映して」と書いてあるが,「社会のニーズ」という言葉が必要だと思う。アプリケーション開発の在り方の中には社会のニーズが背景としてあるということを書いておいた方がいいと思う。産業利用もその一つになる。
【牧野委員】  今の点はコンピュータサイエンスとしての話ではなく,天文台がそうなるが,つまり,ソフトウエア開発というのは大型装置を作るのに近くなってきていると思う。大型装置の場合は,みんなが新しい方法論で論文を書けるわけではなく,そうではない仕事もやらなければならない。そういうところを評価するような体制が必要だという意味だと思う。
【小柳主査】  このほかにも,もし何かあれば事務局に連絡してほしい。この論点整理については一区切りがついたということで,今日頂いた意見も取り入れて確定としたい。なお,細かな文面については主査にお任せいただきたいと思う。
 それでは後半のテーマとして,アプリケーション開発の在り方について議論したいが,初めに林室長から資料3の説明をしていただいて,その後に,各委員からの説明をお願いしたい。

 林計算科学技術推進室長より,資料3及び資料4-2,3に基づき説明。また,秋山委員より資料4-1,加藤委員より資料4-4,青木委員より資料4-5に基づき説明。質疑応答は以下のとおり。

【小柳主査】  それでは議論に入りたいと思う。何人かの方が「コミュニティ」ということを言ったが,その意味が少しばらばらのような気がする。常行さんのコミュニティは「研究者コミュニティ」と書いてあるが,秋山さんの言うコミュニティはどうか。
【秋山委員】  恐らく研究者コミュニティでほぼ合っていると思う。企業側の人も入っているとは思うが。
【加藤委員】  僕のは単に分野全体でという意味で,必ずしも研究者だけではなく,使う人も含めてということである。
【小柳主査】  では,先ほどの論点整理の18,19ページを,ただ今の説明等も踏まえて拡充していきたいと思う。今後の研究開発の体制やスケジュール,方策について,今の発表に意見等はあるか。
【富田委員】  秋山先生に質問で,コミュニティに公的資金を投入するという話だったが,具体的に,どのようなところに投資すべきだとお考えか。例えば,アプリを育成するための人材の確保なのか,あるいは機材なのか。
【秋山委員】  受け手としては,例えばだが,HPCIコンソーシアムや理研AICSといったところが適切なものの一つかと思うが,一部は機能を拡張するための研究資金でもいいと思う。ただ,ここで一番言いたかったのは,ソフトウエアを仕上げていくときに一つの企業に任せてしまうと,しっかりした製品を作ろうとする余り硬直化していくような気がするということである。そのため,少し重心をオープンなコミュニティの方に移さないと,高度なソフトウエアに関しては難しいと思う。
【富田委員】  それは分野1の話なのか,あらゆる分野に言えることなのか。
【秋山委員】  あらゆる分野に言えると,分野1の私が思い込んで言っている話です。
【加藤委員】  分野4の場合には,いろいろなカテゴリのソフトウエアがあって,企業で利用できるような基盤的なシミュレーションソフトウエアだと,やはりベンダにも入ってもらわないととても開発できない。例えば,インタフェースの開発とか,そこまでやらないとなかなか使えないという感覚を持っている。
【秋山委員】  今の関係を少し変えようと言っているだけで,企業でないと作れないインタフェースやドキュメンテーションはいろいろあると思うが,製品ごとに個別に動いてしまっているものを,コミュニティ側がコントロールを取り戻さないとまずいという危機感を持っている。
【高田委員】  論点整理のところにもあったが,アプリケーションを産業界で利用していくためには,社会のニーズと開発する人のシーズの両方をバランスさせ,これをうまくマッチングしていく場を作るという意味でのコミュニティは非常に大事だと思う。
 その観点では,加藤先生のところなど進んでいる分野もあるが,日本全体としての戦略が必要だと思う。国の戦略ということでは,親委員会で国際協力と国際競争の両面から考えていかなければならないという御指摘があったということだが,ハードウエアのことだけではなく,アプリケーションソフトウエアも含めてそれぞれ開発できる人材育成につき国際協力していかないと,今後立ち行かなくなる領域があるのではないかということを危惧している。それこそ国の戦略ということになると思う。
【加藤委員】  共通認識としてはライブラリやミドルウエアが重要で,それは特定の分野だけではなく,分野間でも使えるものなのでその開発を早く進めるべきだと思っているし,それを担うのはAICSだと思っている。
 秋山さんや青木さんも同じようなことを言っていると思うが,これからはソフトウエアをみんなでシェアしていくことが大事で,それをうまく進めるための政策も必要だというところは,皆さん,認識が一致していたのではないかと思う。
【平尾委員】  これから先エクサに向けていくと,エクサ特有の技術が入ってくると思うし,そのときにはライブラリが重要になってくる。ライブラリの開発はどこかがいいものをつくれば,それをみんなで共有すればいいので,その意味では基盤的なライブラリの開発は重要だと思うし,AICSに期待されているのはそういうところだと思っている。
 加藤さんの説明で,アプリケーションのソフトウエア分類があったが,こんなにすっきりと分かれるものかなという気は少しする。研究者としてはアルゴリズムだけを開発しようとすることは少なく,何かの問題を解こうとしてアルゴリズム,あるいはソフトウエアを開発するので,それぞれ独立ではなく,つながるような形でやらなければいけないと思う。
【加藤委員】  配付資料にはないが,最後に見せたスライドでは全てつながっていて,ある特定のアプリということではなく,それが基盤的なアプリやアカデミアで共通利用されるアプリにつながっていく。ただ,私が言いたかったのは,研究開発でどこまでやるのかを明確にしておかないと駄目だということで,つまり,ソフトウエアを成果として残すのか,方法論を成果として残すのかということを明確にした上で研究開発をしないと,幾ら投資しても成果がうまく使えないということになりかねない。特に基盤的なソフトウエアに関しては,開発が終わった後どうするかということも含めて明確にしておく必要があるということを言いたかった。
【秋山委員】  18ページの(3)に,「ライブラリやミドルウエアの整備とともに,高性能のコンパイラの開発も必要である」という文言があるが,この「高性能のコンパイラ」を二つに分けたらどうかと思う。一つは,ハードウエアの性能を極限まで引き出せるようなコンパイラという意味と,もう一つは,これを書くことには少し議論が必要かと思うが,高機能な言語をサポートするべきということを書いてはどうかと思う。
 私どもの開発は全体がC++になっていて,コアのところだけを別のもので書いたりしていたが,青木先生の資料を見ると共通コードもC++になっている。大きなプロジェクトで世界共通でやることを考えると,全部FORTRANというわけにもいかないので,そろそろ,こういうところに書き込んではどうかと思う。ただし,コアのところまでC++で書いてマシン性能がでなくてもいいと思っているわけではなく,両方があって,高水準の言語でも走るというのは書いてもいいのではないかと思う。
【小柳主査】  つまり,性能を極限まで出すという面と,使いやすく共通性が高いということですね。
【秋山委員】  簡単に言うと,C++が真っ当にコンパイルできるということになる。
【中島委員】  今のC++の話も含むと思うが,コミュニティといった場合に,何となくアプリケーションコミュニティのように聞こえる。ハードウエアの専門家とその間には膨大なシステムソフトウエアのグループがあるが,残念ながらHPCのコミュニティに対して,そのシステムソフトウエアの,いわゆるコンピュータサイエンスのソフトウエア人材が入ってきていない。アプリのコミュニティでも開発されるとは思うが,例えば,そのメンテナンスや方法論というのは,ソフトウエアエンジニアリングの専門家,スキルも取り入れていかなければならない。そこに彼らを誘因するためには何があるかというと,いつも先立つものはと言ってしまうが,HPCに来ればいい仕事もできるし,研究費もつくということになれば誘因できると思うので,そのような観点も必要だと思う。
【平尾委員】  私も今の観点は非常に重要だと思う。少し手前みそになるが,AICSの中で計算機科学の人たちと計算科学の人たちができるだけコラボレーションできるよう,研究の進捗状況などをみんなで集まってやっている。そうすると,今まで顔が見えていなかったのが,何度も物理的に会って議論をする機会を設けることにより,お互いに顔が見えてきて,問題解決に向けたコラボレーションが進むようになる。まだスタートしてそれほど間がないので大きな進捗は出せないが,着実に進んでいるので,このようなものを大事にしていけばいいと思う。計算機科学の中でもシステムソフトウエアは非常に厚い層があり,その人たちとアプリの人たちが連携すればいい進展があると思う。
【松岡委員】  C++はHPCのために設計された言語ではないが,HPC的な用途で,例えば,テンプレート・ジェネレーションというのはHPCでかなり進歩した。それでBoostなどいろいろなライブラリができていて,HPC側から一般ITへのコントリビューションになっている。先ほど,中島先生がおっしゃったことの更に発展的なことを言うと,HPCはITのコンシューマだけであってはいけないと思う。むしろハードウエアにおいてリーディングエッジとなっているのと同じように,ソフトウエアにおいても,大規模システムや高速システムにおいてリーディングエッジであるべきである。スーパーコンピュータで作られたソフトウエア技術が,普通のクラウドや,場合によっては携帯端末でも意味があるというように,いつもアプリケーション方向に対するレバレッジを見ている。コンピュータ屋としては,ここでやっている技術が世の中を,例えば,クラウドだとかグーグルだとかアマゾンを席けんするということになってほしいし,そのようなフォーカスを持つことにより,若い人たちも引きつけやすいと思う。
【富田委員】  ミドルウエアとライブラリの重要性は共通認識としてあると思うが,これには二つの意味があって,シェアをすることによって効率よくプログラミングができるということ,それから,それを使うことによって性能の向上が期待できるということがあると思う。
 最初のシェアできる,プログラムの効率化ができるというのは間違いなくそうだと思うが,果たして,ライブラリを使って本当に性能向上ができるのかが問題だと思う。あらゆる計算分野の人たちが,それが本当に速ければ使いたいのだと思う。ハードウエア側の人たちともしっかり相談しなければならない話だと思うが,そこが,ライブラリが使われるかどうかというキーになると思う。
【加藤委員】  ライブラリが,ネイティブでべた書きしたものより速くなるとは思っていないが,重要なことは,研究者が開発するソフトウエアの場合,必ずしも近くにハードウエアの専門家がいるわけでもないし,大きなお金があるわけでもない。ある程度大きなプロジェクトであれば,いろいろなチャネルがあるので,必ずしもライブラリを使う必要はないが,研究者や若い人たちが,今後,エクサの時代に成果を出していくためにはライブラリやミドルウエアは必要だと思う。
【中島委員】  加藤さんはそうおっしゃるが,ライブラリを使わないと速くならないようになると思う。べた書きは理屈の上の話で,DGEMMは自分では絶対書けないし,後藤さんを雇ってきてもう一度開発してもらうようなことをしない限り,自分のプロジェクトで速くすることは多分できないし,それくらい難しいことになっていると思う。
【加藤委員】  ライブラリを否定しているわけではない。
【中島委員】  そのためには,問題をオープンにしていただかなければならない。DGEMMは後藤さんにとっては努力のしがいのあるもので,GotoBLASをやることによって彼にとっていろいろなハッピーがあったと思う。そのような形で,いろいろな問題をアプリの方からコンピュータサイエンスがわに対してオープンにしてもらって,立派な業績ができるというような形でオープンにしてもらえば,そこそこはついてくるんじゃないかと思う。
【加藤委員】  ライブラリ開発が必要ないと言ったわけではなく,富田さんがライブラリは使えるのかと言ったので,僕は使えると。
【石川委員】  中島先生が言っていることは本質だと思う。今後は,べたに書くのではなく,ライブラリを使わないと駄目で,皆がやっているとかえってそこにお金がかかってしまう。ライブラリもアーキテクチャにスティックしていくので,共通のAPIにしていくという形に持っていかないと駄目だと思う。
【秋山委員】  中島先生や石川先生が見ているアプリケーションは狭いエリアで,それがはまるものだけなら誰も苦労しないと思う。私もライブラリを使うべきだということには賛成だが,仕様がはまらない。
【石川委員】  それをライブラリに持っていく努力をするということだと思う。
【秋山委員】  それで,ライブラリを作っている人たちとアプリの人が共通言語で話せるようになるので,ライブラリを作るということは重要で,このとき,ライブラリを作る人に,どのくらい自由度があるかが重要になる。例えば,これは倍精度でしか作りませんとか,工程表ができているのでほかのことは一切できませんと言われてしまうと,それは使えなくなってしまう。ライブラリを使うことには賛成だが,なかなかそうはならない。
【加藤委員】  いずれにしても,ライブラリが重要という認識は一致していて,具体的にどうするかだけの話であり,それは後で考えればいいと思う。
【青木委員】  システムソフトウエアの専門家の助けは是非必要なので,そのような場を機構の方で何とかやってもらいたい。
【小柳主査】  いろいろ貴重な意見を頂いたので,今後の議論に反映させていく。今日の議論は事務局で整理して,アプリケーションのところに加えたいと思う。
 次回は,FSのアプリチームからの報告と,HPCIコンソーシアムからの提言をもとに,今後の検討課題についての議論を進めたいと思う。

(2)その他

 村松計算科学技術推進室長補佐より,次回の日程(3月11日月曜日,17時,3F2特別会議室)を報告。

小柳主査より閉会発言

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