今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成24年4月18日(水曜日)17時~19時

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.出席者

委員

小柳主査、秋山委員、天野委員、石川委員、宇川委員、加藤委員、金田委員、小林委員、坂内委員、関口(和)委員、関口(智)委員、善甫委員、常行委員、富田委員、中島委員、中村委員、平尾委員、牧野委員、松尾委員、松岡委員、村上委員、室井委員、渡邉委員
(産応協)佐々木氏

文部科学省

森本審議官、岩本情報課長、林計算科学技術推進室長、村松計算科学技術推進室長補佐

4.議事録

(1)ワーキンググループの今後の進め方について

林計算科学技術推進室長より、資料1から資料4に基づき説明。

資料2の「HPCI計画推進委員会 今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループの議事運営等について」については、案のとおり決定。また、同第2条の主査代理については、石川委員(東京大学情報基盤センター長)に決定した。

(2)HPCIに関わるこれまでの取り組み等について

林計算科学技術推進室長より、資料5及び資料6に基づき説明。

(3)スパコン利用の必要性、意義、重要性等に関するヒアリング

常行委員より、資料7に基づき説明。

金田委員より、資料8に基づき説明。質疑応答は以下のとおり。

【富田委員】  避難時のエージェントモデルについて、その精緻化具合は現在どのレベルまで来ているのか。またモデルの妥当性はどう評価するのか。

【金田委員】  例えば、集中豪雨で人がどう動いたか、車がどう動いたか、今回の東日本大震災で人がどう動いたかは、携帯のGPSなどを検証データとして使おうと思っている。これは単に人が動いて、ここへ逃げなさいというコマンドだけしか与えていないが、次のステップでは、例えばここにリーダー的な人が何人かいて、ここに逃げろ、あそこに逃げろといったときに、避難する人がどう行動するかというモデル化をしている。それを更に、高知市や名古屋といった実モデルでどこまでいくか。例えば名古屋では集中豪雨による災害があったが、そこで人がどう動いたかという情報もある程度あるので、その辺を検証しながら行うように思っている。

佐々木氏より、資料9に基づき説明。質疑応答は以下のとおり。

【小柳主査】  このワーキンググループで議題しているようなHPCIの高度化が、産業界にどのようなインパクトを与え得るかという点について、何かコメントはあるか。

【産応協・佐々木氏】  このHPCIがうまくいけば、先端的な企業が使い始めると思う。しかしながら、それは、日本の1割ぐらいであり、オールジャパンとなると、その次の層の企業が、その内容を見て使いたいと思うかどうかになる。その時にもっと違うサポートの技術などが要るのではないか。

(4)ヒアリングを踏まえた意見交換

議題(3)のヒアリングを踏まえた意見交換の内容は以下のとおり。

【中島委員】  常行先生に質問ですが、説明に出てきたヤコブの梯子を上がっていくと、計算量やメモリが膨大に増えるということだが、どのくらいのオーダーで増えるのか。

【常行委員】  nの3乗、もしくはそれ以上になるものも多いと思う。

【加藤委員】  常行先生にお聞きしたいのですが、MD やDFTの分野では計算量はデータ量の2乗とか3乗に比例して増加する。今の計算機は基本的にはコアが増えているが、計算量が2乗や3乗に上がっていくときにデータはそれほどは増えないから、必然的にストロング・スケーリングが求められることになる。本当に対応できるものなのか。

【常行委員】  方法論は、計算機の発展にあわせて新しいものが出てきているので、比較的楽観視しており、何とかなると思っている。

【牧野委員】  実際問題として、3乗で計算量が増えるような話というのは、2乗ぐらいのコアを使うようなスキームがほとんどであり、それほど厳しくないと思う。本当に3乗の計算で使い続けるのであれば、それは「京」でできる。去年ゴードン・ベルを取ったRSDFTの場合でも自由度は小さい。3乗の方法論をどこまで使うかの方が、よほど疑問だと思う。

【松岡委員】  主に金田先生の発表について、計算機屋が知りたいのは、例えば「京」でどのくらい足りないかということである。例えば、非常にラフに見積もると、TSUBAME2の1,000億メッシュぐらいの関東沖のシミュレーションで、1,000億自由度くらい、タイムインターバルで大体5ミリ秒くらいですが、FDTDで「京」に対する速度だと、10分の1くらいの速度、TSUBAMEの半分ぐらい使ったので、TSUBAME全体は「京」の5分の1くらいの速度なので、半分使うと約10分の1くらい。そこから外挿すると、大体10兆だと100倍ぐらいあるので、タイムドメインのところが3倍のレゾリューションで、3倍になるとすると、TSUBAME2を半分使った場合と比べて100倍~300倍くらいになる。「京」と比べると、10倍~30倍くらいというように見積もったが、そのような見積は「京」でできているのか。

【金田委員】  まだチューニングの途中なので実績としてはないが、資料でお見せしたように、「京」を使ったという前提では、1~10億ぐらいのメッシュというか、自由度を考えているのですが、今ここでお示しした10兆メッシュくらいであれば足りるので、30~100の更に上の計算量が必要になる。

【松岡委員】  1,000億自由度で、「京」の10分の1度ぐらいの計算量で十分計算できるので、おそらく「京」の10倍くらいで済むと思っている。

【金田委員】  もう一つは、例えばメモリも含めて、データ同化などでもこれから相当必要になる。そのことも含めると、今の「京」だけでは不十分ということになると思う。

【松岡委員】  それは何倍ぐらい不十分なのかというのを、我々は知りたい。10倍足りないのか、100倍足りないのか。

【金田委員】  多分、100規模だと思う。

【松岡委員】  そのような定量化を、「京」等でやっていただけると有り難い。

【金田委員】  まだチューニングの途中なので、実績としては出てこないが、おっしゃるようなところはきちんとやりたいと思う。

【中村委員】  シミュレーションに対する精度、信頼性の要求が非常に高くなっていると思う。特にエージェントシミュレーションなどは、そのシミュレーションの結果に非常に大きな責任がある。その責任を誰がとるのかということも含め、社会科学、あるいは人文、法律の方々も含めた議論が今後必要になると思う。

【金田委員】  我々は分野3の地震津波課題をやっているが、別のプロジェクトでは社会科学の観点から、いかに避難させるかという議論もしている。現時点では社会科学の意見は定性的な話が多く、まだ定量的な情報を一緒に同じ土俵でやっていない。先ほどお見せしたのは、まさにスパコンを使った結果なので、私が発表したときの質問のように、V&Vみたいなものをどう評価していくかも踏まえながら、例えば、より精緻なエージェントシミュレーションをやったときに、どのような評価になるのかという議論をやりたいと思っている。

【平尾委員】  3.11以降、こういうシミュレーションの結果をどのように社会に公表するかが非常に大きな問題になっている。これから先、シミュレーションの結果はますます社会に大きな影響を与えるようになるだろうということで、戦略5分野でも社会に対するシミュレーションの情報発信の在り方を検討するワーキンググループが今田先生を中心として取り組んでいる。中間報告は既に出ているが、今年中に最終報告をまとめるように進んでいる。

【小柳主査】  エージェントシミュレーションだけに限ったことではなく、どんなシミュレーションでもそれなりの責任があると思う。

【坂内委員】  「京」を中心にした今のスパコンがやれることと、同じくシミュレーションという言葉で、やれないことの区分けが必要だと思う。基本は、モデルがあるのかないのかという問題が大きいのではないか。例えば、モデルドリブンのように、こういう記述のモデルがあって、それによって次の行動が出るというのは、ある種限界が来ている。したがって、データドリブンで、様々な実データそのものがモデルのかわりをせざるを得ないというフェーズがある。それが最近言われる、ビッグデータと言われる側面で、先ほどエージェントシミュレーション、マルチエージェントシミュレーションの話が出て、私もITSと車分野をやっているが、例えば100万台の車のそれぞれのシチュエーションにおいて相互にどんな行動をするかというのを全く抜きに、シミュレーションを行わざるを得ない。これをやるとモデルは無限に発散をしてしまうため、データドリブンで考える必要がある。一方で、例えば、バイパス道路をつくったときに、車の流れがどう変わるかといった、マクロな判断でいいような場合はシミュレーションが役に立つ。
 常行先生が言われたデバイスの分野というのは競争が激しく、太陽電池などいかに効率のいいものを作るかに役に立つと思う。私の知り合いは、70%ぐらいの効率の太陽電池を、量子ドットとか、そういう新しいモデルでやっている。モデルをどうつくるのかがデバイスの勝負であり、モデルの中でパラメータを変化させ、どうインプルーブするのかの勝負では、国際競争という観点が必要となる。
 モデルドリブンとデータドリブンの問題を並行してやると、何の問題が解けて、何が解けないか、何をスピードアップすれば解決するかというのが、ごっちゃになってしまうのではないかという印象をもった。

【小林委員】  「京」をつくるときと同じような議論で、これぐらいあると、今の100倍が必要だと。結局、できた計算機で計算できることで何か成果を上げるというような、逆向きのような印象があった。例えば、こういう現象を発見するためには、これぐらいのFLOPSなりエクサが必要だとか、そういうターゲットを明らかにしていく必要がある。毎回、今つくったものの100倍必要だとか、そういう話ではないのかという気がしている。

【小柳主査】  それがこのワーキンググループの大きなミッションの一つである。

【松岡委員】  「京」のマシンとしての性質があって、世の中にいろんなマシンがある。例えば、日本には基盤センターのスパコンもある。そういうところから既にある程度外挿値は決定できる。私が申し上げた地震に関する外挿値はいいかげんですが、比較的他のその手の差分法においてコンシステントに、ただ「京」とTSUBAMEの間で出ている性能から予測して、金田先生がおっしゃったようなものだと、「京」と比べて、パラメータが維持できれば、10倍~30倍ぐらいのマシンがあれば、このリクワイアメントは満たせるだろうというふうに判断している。総合的に見て、どのようなマシンを将来つくらなければいけないかを早く決定しないといけない。5年、6年先に次をつくれという話だと、もう間に合わなくなる。

【牧野委員】  松岡さんの言うことはもっともですが、今日の資料の参考資料1にあるように、去年1年間かけてそういう検討をやってきている。したがって、去年1年間の検討をベースに、これからどうするかを、この委員会で進めていただく必要があると思う。

【小柳主査】  そのつもりでおります。それから、これから進められるフィージビリティスタディの結果も組み入れながらだと思う。

【小林委員】  産業利用を広げるという意味で、外部リソースへのアクセスに対する抵抗感はどうか。

【佐々木氏】  基本的に抵抗はないと思う。計算機は速くて性能がいいに越したことはなく、企業にとっては計算機がどこにあるかより、どうやって使っていくかの方が大事だと思う。大規模な計算をすることが、ものづくりの現場においてどれだけ効果があるのかを定量的に見せる戦略が不十分なところがあり、計算機とシミュレーションを使ったものづくり全体としてどうあるべきかが企業の課題だと思う。

【加藤委員】  2005年ぐらいまでは、計算機の速度は周波数が上がることで速くなってきた。企業もそれに対応して、例えばトップエンドの計算機の、私の感覚だと5~6年遅れたような計算機を使ってシミュレーションをしてきた。それ以降、何が起こっているかというと、計算機のコア数はどんどん増えている。でも、そこはソフトウェアの問題やライセンスの問題などがあって、5年ぐらいビハインドになってしまっているというのが、私の全体的な印象です。
 スパコンとか大規模シミュレーションではなく、もっと単純に、これだけの精度のシミュレーションが、これだけのコストや手間でできるということを示していかない限りは、産業界では実用化されないと思う。

【石川委員】  文科省の共用イノベーションの事業で、情報基盤センターのマシンを企業に無償で使ってもうことをやってきた。このときの企業の方の意見は、特に現場に近い人ほど高いセキュリティを求めており、アカデミックレベルのセキュリティとのギャップを感じた。ネットワークアクセスについても、企業によっては、そもそも企業の中から外に出られないこともあり、このような状況や研究機関とのギャップについても広く見ていく必要があると思う。

【渡邉委員】  地球シミュレータの産業利用ユーザをみていると、5年後、10年後の開発のためには外部利用ができるが、明日の製品開発は、セキュリティの問題から企業内部の計算機を使っている。

【産応協・佐々木氏】  だいぶ先の開発なら、最悪オープンになってもベーシックで共通な話で済むが、目の前のデッドヒートな情報は、リスクを考えると外部のマシンは使わないという判断になると思う。特に企業の中に計算機を持っている場合は、それを使えばいいので、企業の方から見ると当然なように感じる。

【関口(智)委員】  実際には、非常にセキュリティを厳しく言われるところもあるが、一方で、HPCIを産業の基盤にしていこうとすると、必ずしも高いセキュリティを求めているところばかりでもない。トップエンドのところだけの声を聞いていると、なかなか裾野は広がらないという印象を持っている。
 HPCIを産業の基盤としてしっかりやっていかないと、例えばアマゾンや、グーグルなどに行ってしまい、我々のところが結局頭だけになって、足がないようなインフラになってしまうということを懸念している。そういうところを取り込むためのパスや、どうやって取り込むかというメカニズムを検討していく必要があると思う。

【松岡委員】  東工大でも共用イノベーションをやっており、過去100社くらい、TSUBAME2になってからは、50社ぐらいの産業プログラムに参加している。今までお伺いした皆様の意見は、どれもそのとおりだというところもあり、例えば、我々はセキュリティレベルを幾つか設定しており、非常に高いセキュリティレベルの場合は料金も高くなるが、最近はそのような高セキュリティの利用が企業側から増えている。
 企業からの需要は大変増えており、キャパシティキャップをしているのが、もうそれに到達しそうになっている。裾野の広がりというところで、適切なセキュリティ対策をすれば、やはりハイエンドなリソースというのは、企業も使いたがると思う。TSUBAME1台で50社ぐらい来るので、十分な余地はあるのではないか。ただ、そのためには、ちゃんとやらなければいけない。
 先ほどのアマゾンの発言については、どうしてアマゾンに行かなくて、我々に来るのかというと、サポートがないからだと思う。基盤センターや「京」を含めて、我々のスパコンセンターとしてのアセットは、単にリソースを提供するだけではなく、ノウハウも提供するところが、企業には高く評価いただいていると思う。ただ単に我々はアマゾンみたいにリソースプロバイダなのではなくて、マシンをどう利用していくか、どのように産業に役立てていくか、どのようにシミュレーションを行うか、そういうノウハウも提供する機関としての価値を示していくべきと思う。

【善甫委員】  サポートのあるなしは非常に大きい。サポートにも千差万別あるが、何かわからないときに、ここへ問合せればいいという状況があるなしで、全然違ってくる。TSUBAMEの利用が多いのは、そのためだと思う。地球シミュレータの利用が多いのも、よく理解できる。手元にある小さなマシンでは計算できない大規模なシミュレーションを地球シミュレータで行うことになる。
 そういう意味で非常にわかりやすく、基盤的な大きな計算や、将来にわたって産業の基盤になるような非常に大きな計算をやるなら、大きな計算機を使うことになる。また、日々の計算のようなものは、コンパクトでサポートのあるところを使っていこうということになる。これら両方の組み合わせをうまく使うことで、産業全体の活性化につながると思う。

【天野委員】  自動車については、自動車工業会が地球シミュレータを使って大規模メッシュのシミュレーションを行った。その結果、実際の実験結果よりもきれいに出て、どこをどのように直したらいいかということがわかった。このような先端的なところでスーパーコンピュータを使っている。
 自動車各社は、自社で自前のコンピュータを持っているので、日々の日常の設計業務については、企業秘密もあるのでそちらでやることになる。「京」の後に期待するのは、自動車や基盤を含めた、全体をシミュレーションすることが本当にできるのかということになると思う。

【秋山委員】  技術開発については、参考資料1にあるように、ワーキンググループでかなりきちっとしたものが出ている。今の議論の中ででたサポートや人材養成、産業利用などは、参考資料1とは少し違う立場であり、このワーキンググループで議題すべきことだと思う。
 もう一は財務、お金の話になる。先ほどからの議論では、大きな速い計算機を国が用意してくれればそれに越したことはないが、それを国にお願いしているだけで、ワーキンググループとしてこれだけでいいのか。1カ所に、大きなものをつくるのか、2カ所、3カ所に割るのかというような非常にシビアな議論もあるかもしれないが、どれが一番お金がもつか、人が育つかという、経済的なことも議論しないといけないと思う。

【小柳主査】 今後、この議論をどう進めていくかということに、今の秋山委員のお話も大変関係が深いと思う。

【平尾委員】 先ほど牧野先生からも発言があったが、昨年1年間かけて、参考資料1の報告書がまとまった。おそらくこの議論に加わったのは100人以上、数百人のコミュニティの方々が活発な議論をして、何回も会議を持って、白書のような形でまとめている。改めて同じようなことをこのWGでやるのは時間の無駄なので、この報告書を土台にして、更に発展されるべきだと思う。

【小柳主査】  参考資料1の報告書のサマリーを共有するのは、重要なことなので、次回、もう少しその位置付けを明確にしたいと思う。

【岩本情報課長】  今後の進め方について、このワーキンググループで検討していただくことについては、いずれこういう検討が必要になるだろうということを、大分前から申し上げてきた。というのは、事業仕分けによって、いわゆる次世代スパコン計画をHPCI計画に変えてきたということがある。その中で、最先端のマシン開発のような技術の高度化という問題のみならず、HPCIとして、どのような計算リソースを提供し、どのような計算科学が行われ、成果が出ていくのか、そういう将来像を描かないと進められない状態になっているのが政策面での現況であり、その意味において、本ワーキンググループが必要だと考えている。
 技術開発の部分については、先ほど平尾先生がおっしゃったようにこれまで検討してきているので、それを踏まえた上で、足りない点があれば問題提起していただきたいと思う。今後2年間で行うFSでも、更に精緻に議論いただく予定になっているので、その中で意見を取り入れていくように進めていただきたい。HPCの利用の在り方についても、どのようなリソースが求められているのか、例えば、大学の基盤センターの今後の役割はどうか、トップマシンやサブプラットフォーム的なマシンの配置はどのように望まれているのか、そのような大きな議論をしていただくことをお願いいたしたい。
 もう1点は、HPCIコンソーシアムでも産業利用のワーキングを設けて議論がされてきており、人材育成のワーキングもコンソーシアムにあったと思う。必ずしも将来像を議論したものではないが、参考にできる部分もあると思うので、議論を効率化するためにも、既に議論されているものと、今まで議論されていない観点について整理していきたい。

【小柳主査】  FSの方は技術的な視点を中心に議論するのに対して、ここは政策決定の参考になるような問題を議論する、という役割になっている。

【村上委員】  今の岩本課長のお話は、これはある意味で、今日のお話と参考資料1との仕分けであり、分類すると、非機能要件、要するに機能ではない性能要件などは参考資料1にまとまっていると思う。今日のヒアリングでは、例えば、ここに出てこなかったような、データ同化、あるいは産業利用のためにはモデリングであったり、ポストのアナリシスであったり、そのようなシミュレーションという機能に関する非機能要件は参考資料1でまとまっているが、シミュレーション以外の機能要件については、まだいろいろな分野から出てくるのではないかという期待を持っている。

【小柳主査】  先ほど課長からの話でもあったように、ここで議論すべきことは、いわゆるナショナルマシンのようなものだけではなく、どのようにHPCを構築していくかという議論をすることも重要だと思う。

【岩本情報課長】  先日のHPCI計画推進委員会でも、例えば、これまではLinpackを数値目標として挙げてプロジェクトを進めてきた部分があるが、これからは違う指標が必要なのではないかという議論がでている。これは非常に大きな政策の問題であり、国家基幹技術で何を求めていくのかということにもつながる。ワーキンググループでもそのあたりのことは、大所高所から議論した上で検討していくことが必要、という意見があった。

【小柳主査】  次回については、報告書のサマリーを報告していただきたいと思う。また、HPC技術の動向についても、既に内々のお願いをしてあるかと思うが、よろしいか。

【加藤委員】  それでいいと思うが、このままいくと、このワーキンググループの議論は発散するような気がする。はじめの2回はフリーディスカッションでいいと思うが、2回目の終わりぐらいには、何を議論するかを決めないといけないと思う。

【林計算科学技術推進室長】  資料3の検討スケジュールでは、第3回に検討すべき事項の整理となっているが、そのために第2回では委員からの個別ヒアリングで伺った意見を整理し、ある程度今後の論点を示して、議論をしていただきたいと思っている。第3回では、更に検討すべき事項を整理し、その後の回では、ある程度論点を絞って議論してはどうかと思っている。
 第1回、第2回では、国内外の動向、計算科学技術の意義や必要性について認識を共有してもらい、そこを出発点にして政策の議論をしていったらどうか考えているが、早目に論点整理をしたいと思う。

【小柳主査】  次回のテーマとしては、報告書の説明と、国際動向、及びヒアリングのまとめを説明することとしたい。

(5)その他

村松計算科学技術推進室長補佐より、次回の日程(5月14日月曜日、17時から19時)を報告。

小柳主査より閉会発言

― 了 ―

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