今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ 産業利用アプリケーション検討サブワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成25年8月21日(水曜日)17時~19時

2.場所

文部科学省 15階 15F1会議室

3.出席者

委員

加藤主査,秋山委員,天野委員,伊藤委員,奥野委員,笠委員,塩原委員,吉村委員,渡邉委員
(説明者)
FOCUS 長野常務理事,西川共用専門員

文部科学省

吉田研究振興局長,菱山審議官,下間参事官,川口計算科学技術推進室長,遠藤参事官補佐

4.議事録

(1)産業利用アプリケーション検討サブワーキンググループの設置と運営について

 川口計算科学技術推進室長より資料1及び資料2に基づいて説明。サブワーキンググループの運営要領が了承された。

(2)産業利用アプリケーション検討サブワーキンググループの今後の進め方について

 川口計算科学技術推進室長より資料3に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。

【加藤主査】  今後の進め方については,少し時間をかけて議論していきたいと思います。
【伊藤委員】  基本はこれで結構だと思うんですけれども,東大の生研でやっていたプロジェクトのベンチマーク,つまり,もしうまくいっているとすれば,もう十分に普及促進していたLS-DYNAなんかは使わなくてよくなっているはずにもかかわらず,そうでないところもあるということは何なのかといった議論をするべきではないかと思っています。
【加藤主査】  分かりました。国プロで開発してきたものが今どうなっているかということを,きちっとしたベンチマークをした結果をこの報告書の中に反映させたいと思います。
【秋山委員】  今の観点にも賛成なんですが,例えば様々なプログラミング言語の環境に対応すべきであるとか,ライブラリを多くすべきであるとか,それならまだしも,バルクジョブに近いようなものが産業利用では結構重要だと考えています。こういうことが,このサブワーキングからの提言の中に,短くてもいいんですけれども,ピリッとした形で入るというのが非常に重要だと私は思っています。
【加藤主査】  分かりました。整理すると,将来のHPCの使われ方において,バルクジョブの位置付けをきちっと明確にしておくという観点かと思います。特に創薬なんかはそうですよね。
【吉村委員】  このサブワーキンググループは資料1にあったような趣旨という形であるわけですけれども,サブワーキンググループのアウトプットが,議論した結果を何となくまとめればいいのか,あるいはその中からもう少し提言につながるようなところまですればいいのか,そこが分からなかった。
【加藤主査】  背景を説明すると,国プロでも,産業応用アプリの開発やその利用の促進を目指した活動をやっているんですが,総括的な議論というのが今までやられる場がなかったわけです。いろいろな活動があるんだけど,それを総合的に見て,何が足りていて,何が足りない,だから,何をすべきかということを明確にするというのがこのワーキングの設置の趣旨ですから,提言に当たるようなものをまとめたいと思っています。
【秋山委員】  先ほどの件なんですが,バルクジョブは高速化するために切り捨てなければいけないという議論も多くて,なかなかメーンストリームにならなかった。ところが,この産業サブワーキンググループについてだけは,産業界で使えないものは使えないというふうにはっきり言わないといけないと思って申し上げております。
【加藤主査】  分かりました。今頂いた意見も踏まえて整理をし直して,といっても,大幅な修正は必要ないと認識しているんですが,今後の議事を進めていきたいと思います。

(3)今後の検討における共通認識について

 加藤主査より資料4に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。

【加藤主査】  まず質問だけを先にアキュムレートして,整理してから議論しましょう。
【伊藤委員】  4のところで,トップクラスの計算機を使ってやることが実証研究であるという認識でよろしいですねという確認をしたいと思います。人によっては,トップクラスの計算機でプロダクトランをして,そこで大きな産業成果を出すことが目的と捉える節が時々あるんですけれども,トップエンドのものは実証研究で,そこで得られた結果は,各社なり,あるいはどこかのセンターなりを使って実用化するということでよろしいでしょうか。
【秋山委員】  関係するんですが,最後のところで2018年頃に実用化されているアプリケーションにフォーカスするとおっしゃりましたが,これはトップクラスの計算機は実証に使われているということと矛盾していませんか。
【渡邊委員】  今のことで質問なんですけれども,2018年頃というのは,別にエクサスケールがどうこうという意味ではなくて,今から5年以内に実用化できるかどうかということですね。
【加藤主査】  そうです。そういう意味です。
【笠委員】  産業界のスーパーコンピュータの利用状況,4,5,6という項目に関連するかと思うんですけれども,産業界による受入れはアプリケーションの使われ方として,市販ソフトウェアが一番多いというのは分かるんですけれども,産業界におけるソフトウェアの乗換えコストが意外に大きいんじゃないかという認識を共通認識として持っておいた方がいいじゃないかと思うんですけれども,いかがでしょう。
【吉村委員】  エクサでは実証だけれども,あるいは研究開発だけれども,実はもう少し小規模なスケールであれば実用化が進むというような感じの,ソフト開発のフェーズあるいはタイムラグなんかがある。その辺りというのをほんとはきちっと認識しないといけないのかなと前々から思っていたところです。
【塩原委員】  2018年のイメージというのは非常に大事だと思うんですけれども,現在でもいろいろなレベルの,例えばスキルレベルとか,あるいは分野によってもいろいろな使い方があって,混在しているという感じがすごくしているんですね。そういういろいろなレベルを踏まえた議論をすべきかなと思っています。
【伊藤委員】  すみません,最後のところで,以上の共通認識のもとに議論するとされているんですが,商用ソフトウェアに関しては,ベンダーがいない限り,余り議論しなくてもいいのではないかという気がしますが,いかがでしょうか。
【加藤主査】  ほかに何か。出尽くしましたか。
 それでは,今出た質問に関して1つずつまず整理をしていきたいと思います。乗換えコストが高い,これは共通認識で確かに入れるべきだと思っています。その辺に関して,天野さんとか何かご意見があればお願いします。
【天野委員】  乗換えのお金というのは,ただ単にソフトウェアの話じゃなくて,実験との整合性をどう取るかというのが非常に問題であって,その資産というのは結局,膨大な資産になるわけです。だから,今までの示唆,それに乗り換えるための実験コストも含めた議論までされるのかどうか,そこら辺がちょっとよく分からないんですけれども。
【加藤主査】  例えば実験コストが高いとかという認識を,その実験コストを誰がどう負担すべきかということも含めて,議論したいと思います。いずれにしても今の観点は,整合性をとるための検証実験するための実験コストも含めて,乗換えコストが無視できないようなオーダーであるという点でまとめたいと思うんですが,この点はよろしいですね。
 それから,プロダクションランを「京」でやるかという話ですが,私は個人的には,国のリソースはやっぱり実証フェーズで使われるべきであって,本当に乗り換えられるということが確認できたら,その後はプライベートセクターでやるというのが基本的な考えだとは思うんですが,いかがですか。
【秋山委員】  そのまとめ方でも余り無理はないと思うんですけれども,1回か2回計算するだけでいいような分野なのか,サーベイをしなきゃいけない分野なのかによって違うと思うんです。1発か2発計算して設計ができてしまうんだったら,有料でお金を払ってプロダクトランが「京」で,というストーリーもあり得なくないとは思うんです。
【加藤主査】  今の話はちょっと別な観点で,例えば100万ケースやったら,実はプロダクトができるというケースがあるかもしれない。そのときは,実証とプロダクションランが同時に行われるわけですから,その場合はそれで成果を出してもらえばいいというふうに整理できると思います。言われていることと,私の回答が多少違うことを言ったんですが。
 【伊藤委員】  私もこれは,トップのものというのは実証研究でいいと思っています。なぜここを確認したかったかというと,そこで使われるべきソフトウェアはリンクするわけで,もしこれが本当にプロダクトランになるとすると,商用ソフトを本気で真面目に考えないといけなくなる。だけども,実証研究であればその先のことになるので,ここの場では議論は余りしなくてもいいのではないかという整理であります。
【加藤主査】  ここは,私が先ほど申し上げたように,本当にバルクジョブの効果があるかを確かめるプロセスの中でプロダクトができることはある。だから,プロダクトが出ることはあるけれども,基本的な目的は実証に供するという考え方で認識を統一したいと思うんですが,よろしいですね。
 あとは,フェーズの話が何点かありましたね。2018年の実用化というフェーズに,そこにターゲットを当てた議論でいいのかということですが,それに関連して吉村先生からは,エクサでは実証なんだけど,より小さな規模だと同じ時代に実用化されているというものもあるという話と,それから,塩原さんから,スペクトラムが広いという話がありました。
【吉村委員】  国がこういう分野をサポートするとき,その全体プロセスを必ずしも理解していない場合があるんじゃないかなというのがある。そういう意味で,そこら辺のフェーズの中で,国として何をどこの部分に支援をしているのかというのが分かるような絵があって,それを共通認識として持つと,話はよりフォーカスできるかなと思って先ほどのようなことを言いました。
【加藤主査】  いろいろな意味でのフェーズの違いがあって,それを今の話は,余り1点にフォーカスするんではなくて,そのスペクトラムは明確にした上で,こういうフェーズに対してはこういう支援が要るという方向で議論を進めた方がいいんではないかということですかね。
【吉村委員】  ええ。そのときに,主としてはエクサというところをターゲットでいいと思うんですけれども,それの周りのところとの間にもうちょっとトランジェントなリージョンがある。だから,そこは議論されていないけれども,本来議論すべきものを残しているんだということを認識しておくことが重要かなと思ったわけです。
【加藤主査】  分かりました。そういうフェーズラグとかスペクトラムがブロードであるということをきちっと認識しながら,やはり2018年から20年頃でどんな実用化されているかということを第1次的には念頭に議論を進めるという方向ではいかがですかね。
まだ反対?
【秋山委員】  いや,反対というか,矛盾していませんかという質問をしているんです。我々が主に議論するシステムは,実用ではなくて,実証研究を行うシステムについて議論するんですよね。
【加藤主査】  そうではなくて,最終的に実用化されない限り,産業界でプロダクションランは出ないんです。つまり,実証でうまくいっても,実用化されない限り,絶対何も出てこないんです。私はこの議論を実証までの議論でとどめたくない。
【秋山委員】  そこは,賛成です。表現としては,少なくとも実用化に手が掛かるようなものしか扱わないということですね。完全に実用化がフィニッシュしているという意味じゃなくて。
【加藤主査】  実用化までのプロセスをきちっと議論したいと考えています。
【秋山委員】  それは賛成します。
【笠委員】  よろしいですか。2018年にはもう先行的な企業では,今の「京」の例えば50分の1とか100分の1能力のマシンは手に入れて,プロダクトランを一部始めている。そのときにソフトウェアというのも使えるものがそろっているというようなことを想像して,それに向かって今何をするかという整理をすればいいということでよろしいですか。
【加藤主査】  アプリによってはもちろんその前に実用化されているのもあるし,2018年にはまだ実用化されていないのもある。繰り返しになりますが,実用化までをスコープに入れて議論をしたいという話です。よろしいですね。
 先に進みたいと思います。商用ソフトの議論ですね。やはり今の商用ソフトがどうなっていくんだ,あるいは,今,国プロとかOSSで開発したものが商用化されるのか,もしされないんだったらどういうふうに産業界が使っていくのかということをきちっと議論すべきだと思っています。
【伊藤委員】  それはよく分かるんですけれども,ソフトベンダーの立場からすると,国からいろいろなことを言われるというのは,正直,ビジネスをやりにくいわけです。
【加藤主査】  いやいや,言うのではなくて,聞くんですよ。何をやるつもりですかと聞いて,こんなこと考えているんですか,じゃ,こういう支援をしたらいいですかねとかを議論する。
【伊藤委員】  ですから,そういう意味では,ヒアリングをするということは,全然否定はしません。ただ,そこから先の議論は,ほかの国プロアプリやオープンソースとは全然違っているということは認識して議論すべきだという意味です。
【加藤主査】  それは問題ないです。言い方を変えると,商用ソフトに対する支援とか提言には限界があるということですね。よろしいですかね。
今出てきたような点を少しそしゃくして,この認識事項の中に入れていくということにします。

(4)現状の産業利用アプリケーションについてのヒアリング

 西川共用専門員より資料5に基づいて説明,また,塩原委員より資料6-1及び資料6-2に基づいて説明。次いで,奥野委員より資料7に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。

【加藤主査】  どういう切り口でも結構ですが,何かご意見,御質問はありませんか。
【吉村委員】  HPC向けのソフトを開発するというときに忘れてはいけないのは,かなりいろいろなソフトとかアルゴリズムが既にもう試されてきているので,事実上,ほとんどセレクションはもう済んでいて,HPC向けに本当に使えるコードというのは限られているんですね。企業のニーズが,初めからHPCなんていうのは関係なくて,1ノードでいわゆる何もやらないでただ速くなればいいという形や,あとはただで使えればいいという形でですね。そういう意味で,HPCアプリといった形で残っているものをもうちょっとセレクトした上で,更にもう少し分析を加えるといいのかなとちょっと思ったところです。
【加藤主査】  今のお話は,私なりの理解をすると,実はある程度もうプリセレクション的なことは終わっていて,生き延びられそうなソフトにターゲットを当てて議論した方がいいんではないかと考えられる。とはいいながら,市販のソフトで今,8並列でやっているのを64並列とか256並列ぐらいまではやりたいというニーズも確かにあるわけで,それはちょっと区別して議論していった方がいいというような形ですかね。
【吉村委員】  ええ。あと,商用コードを並列化するというのは,国でお金を投資してやった経験があって,それでも結局,今程度の並列しかできていないソフトはたくさんあるんですね。それでも,やはり産業界のニーズとしては合致しているので,ものすごく使われている。そこの部分は少し細かく見た方がいいかなという感じがします。
【加藤主査】  ほかにいかがですかね。どんな観点でも結構だと思うんですが。
【天野委員】  このワーキングは,産業でこれをもっとスパコンで活性化したいという話ですよね。その話と,HPCIというか「京」の話とは,全部はリンクしませんよね。
【加藤主査】  ええ,そうです。「京」の中に全ての話があるわけじゃなくて,「京」もワン・オブ・アイテムという,そういう位置付けですね。
【天野委員】  もう1つは,大学発のソフトウェアの話と,市販のソフトウェアをどう育成するという話も同じようなレベルで考えればいいわけですね。
【加藤主査】  そうです。別に国プロアプリをどうするかということだけを考えるんじゃなくて,市販アプリに対して,国としてどういうサポートが必要なのかも含めて議論する。とはいっても,市販アプリでこの先,本当にHPC環境まで使われるのは,ある程度数は限られているという事実もあるので,それも踏まえてきちっと議論していった方がいいだろうというのが今の議論だと思います。
【天野委員】  この中で,ある程度のソフトウェアをよく使いますよねというときに,国としてお金を投資して並列化をされるという話と,民間がやればいいんじゃないかという話が両端あるわけですね。そのところの議論もするのでしょうか。
【加藤主査】  それもやります。今の段階では,HPC環境で使われる可能性があるものはエクスクルードしないという前提で議論は進めたい。今もあったように,具体的なアプリ名も含めてある程度の方針が出せるようにはしたいと思います。別な観点でいえば,実はこういうアプリが足りないんじゃないかということも重要な結論になると思うんです。それをどうやって開発していくのか,あるいはできるのかというようなこともこのワーキングの結論にしたいと思っています。
【秋山委員】  ここでの議論の範囲をもう一度確認させていただきたいんですが,HPC技術全般の話として,例えば各社が小さなクラスタを買ってやられる,そのためのソフトウェアの話というのは,少ししてもいいけれども,本来のこの話ではないということでよろしいですね。
【加藤主査】  ないですが,関連する話として,結局そういうことが進展していかないと,なかなかHPCとしては進まないというのも事実ですね。ですから,そういうことも意識しながら議論する。ただ,それはメインではないです。
【秋山委員】  1つ危惧するのは,産業応用用には第2階層か第3階層を使ってください,リーディングマシンからは産業応用の話は外しますよと言われてしまうことです。ですから,ここではあくまでも第1階層,第2階層を主に話している,それに向けての提言を出すということでよろしいのかどうかの確認をしたいんです。
【渡邊委員】  ただね,最初に加藤先生が,2018年までに実用化するソフトとおっしゃった。だけど,「京」を考えた場合に,実用化するソフトというのは,私はまず不可能だと思います。だから,もしも2018年ということをターゲットに置くならば,もうちょっと広い観点で,どうして産業利用が思うほどに進まないのか,それを議論していくんだろうと思うんです。
【加藤主査】  話を整理すると,私が2018年実用化とこだわったのは,いろいろなフェーズのアプリの話が一緒くたになると,議論がかみ合わないので,2018年頃に実用化されている姿を念頭に議論しましょうと言っただけであって,別にそのときにまだ多少実証フェーズであるということはいいんです。ただ,実用化まで考えないと産業利用は絶対にされないという点があるので,実用化まで議論しなければと考えています。
 今,秋山さんが言ったのは,端的に言うと,産業利用がHPCIの議論から切り捨てられるんじゃないかという懸念の下に話されていて,産業利用は重要だという認識は共通ですから,アーキテクチャの連続性に関しても担保しなければと思います。
 渡邊さんが言った,HPCIみたいなトップエンドのものがそんな簡単に実用化されるわけがないというのはごもっともなので,両方のことをちゃんと考慮して議論していきたいと思います。
【渡邊委員】  ですから,実証という方もターゲットにやはり入れるべきではないかなと思います。
【加藤主査】  分かりました。必ずしも2018年までに実用化されているものだけではなくて議論する。ただし,何回も申し上げますが,実用化までの道のりをちゃんと意識した上で議論は進めたいという点だけです。
【伊藤委員】  スペクトルが広いのは私もそのとおりだと思っているんです。議論するために,ある程度想定するものがないと議論ができないというのも分かります。ただ,例えば64並列をどうやって普及させますかという議論は,ここであんまりやってもしょうがないんじゃないかなというのが私の意見です。
【加藤主査】  確認なんですが,例えば64並列掛ける1万ケースのジョブもこの委員会のマターにすべきではないという意味ですか。それとも,その企業が,今まで8並列でやっている人が64並列でやるぐらいの話はここで議論してもしょうがないよねという意味ですか。
【伊藤委員】  それはアプリケーションの問題ではなくて,次期システムなり,第2層,第3層をどう使うかという問題なので,そこまで手を広げると4回ではとてもまとまらないのではないかというのが私の心配です。
【秋山委員】  8並列が64並列になって喜ぶようなレベルのユーザーのことをここで扱えないというところまでは賛成しますけれども,64並列若しくは256並列を1万投げるというのは非常に有望な使われ方だと私は思います。5年後のバルクジョブというのはどんなものか分かりませんけれども,そのとき,I/Oで行き詰まらないようにしてくださいとか,スケジューラーはちゃんとしてくださいと,そのぐらいのことはここで触れてもいいんじゃないかなと思っています。
【加藤主査】  触れる前提です。共通認識でも書いたように,端的に言うと,ものすごくでかい計算をやるか,ものすごく速くやるか,ものすごくいっぱいやるか,この3つしかないわけです。それが本当に産業利用にとって非常に有効であれば,その利用が進むわけです。
【笠委員】  共通認識の最初のところにあるなぜ産業利用を推進するのかという理由はものすごく分かりやすくて,ここをゴールにしているんだというのが,産業利用という言葉を通じて実現しようとしている姿だと思うんですね。それで,何を排除する,排除しないとか,非常にブロードなスペクトルがあってというのはもちろんなんですけれども,最終的にそのスクリーンを通して見た上で,やっぱり必要な手立てというのは何なのかというのを是非議論させていただきたい。あるところを切り捨てるものは切り捨てると,それはしょうがないんですけれども,余りこのこと自体を議論したくないんです。
【加藤主査】  どうもありがとうございます。
 今日出てきた議論で特に重要な観点をもう一度確認させていただくと,国プロアプリとか市販ソフトに限定することなく,あるいはバルクジョブ等を排除することなく,2018年頃にどういう使われ方をしていれば,産業界としてHPCの効果が最も出ているだろうかという観点で議論を進めていこうと思います。
 それから,余り漠然とした一般論の議論を進めるんじゃなくて,できれば具体的なものに対してどうなっていくんだというベンチマーク的なこともしていく。生研がやっていたプロジェクトの検証もすべきだというような話もありました。
 それと同時に,スペクトルが広いことを十分意識し,ある程度のフォーカスをしながら今後の議論を進めていくというところで今日のところはまとめたいと思いますが,ほかに何か追加しておくことがありますかね。
 もしなければ,次回は,2018年頃の産業界から見たHPC利用のビジョンをプレゼンしていただいて,それに基づいて議論するということにしたいと思います。

(5)その他

 遠藤参事官補佐より,第2回は9月3日,第3回は9月17日,第4回は9月30日に開催予定である旨を報告。

 加藤主査より閉会発言

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

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(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)