研究機関における公的研究費の管理・監査に関する検討会(第9回) 議事録

1.日時

平成20年9月8日(月曜日)13時30分~15時

2.場所

虎ノ門パストラルホテル 新館5階「マグノリア」(東京都港区虎ノ門4-1-1)

3.議題

  1. 競争的資金を巡る昨今の動向等
  2. その他

4.議事録

【石井主査】  それでは、第9回目の研究機関における公的研究費の管理・監査に関する検討会を開催する。
 まず本日のこの会議の開催の趣旨について簡単にご説明申し上げたい。前回の第8回の検討会においては、ガイドラインに基づく体制整備の実施状況についてと題する一種の分析結果の報告をお配りし、それとともにガイドラインに基づく実施状況報告書の次年度に関するものの分析等についてご議論いただき、また最近の制度改善の横断的な事柄の進捗状況についてご議論いただくということで、当面の議論の締めくくりとしたわけだが、その後、皆様方も報道等でご承知のことと思うが、またぞろと言ってはいけないのかもしれないが、研究費に係る事案についての報道がいろいろあって、これらの動向について、ガイドラインの策定時から管理・監査体制の整備に留意を促してきたこの検討会としては、その状況を的確に把握し、そして情報を共有し、そして今後に向けての参考にしたい、それが重要であると考えるに至ったところである。
 本日は、放射線医学総合研究所から、報道のあった事案に関連してご報告を承るとともに、不正発生要因の分析、あるいは再発防止策等について、どのように進められているかということについてご説明をいただく。そしてもし当方として何らかの助言等、なすべきことがあれば、それを委員の方々から承りたいと考えたところである。
 それからもう一つは、ある新聞に報道された東京大学の事案である。これは、いろいろ内々、事情を承ると、この検討会で対象としているような研究費の管理・監査に関する事案というよりは、むしろ税法上の問題、それに関する処理の問題だということを伺っており、当事者である東京大学から、むしろこの検討会においてきっちりご説明申し上げたいという希望があったので、それではそのご報告をいただこうということで、ご説明をいただくことにした。
 それでは、資料の確認をお願いする。

まず大塚競争的資金調整室長より、資料の確認の前に、事務局の異動について紹介があった。
 異動紹介の後、議事次第、資料9-1-(1)、資料9-1-(2)、資料9-2の机上配付資料の確認があった。

【石井主査】  それでは、1番目の議題に入る。昨今の競争的資金制度をめぐる動向等ということで、先ほど申し上げたとおり、放射線医学総合研究所からこれについてのご説明、それから原因の分析、再発防止策等の概要について、同研究所の辻井理事、白尾理事のお二方においでいただいているので、ご説明を頂くこととする。
【辻井(放医研)】  放射線医学総合研究所の研究担当理事の辻井です。よろしくお願いする。
 このたびは、研究費の不正ということで、いわゆる預け金という形で報道された件についてご報告したいと思う。
 ご報告の前に、この場を借りて、こういったことでご迷惑をおかけしたということに関して、改めておわびの念を表させていただく。
 さて、私どもの研究所で、大変申しわけないことであったが、6月の初めにそういった事実があるということが発覚して、これまで約3カ月にわたって原因の究明とその対応策を行ってきた。
 この間、特に事実関係の把握に全力を挙げてきているが、所轄課のご指導もあって、直ちに7月8日付で第三者委員会を発足させて、その主導のもとに原因の解明を行ってきたところである。同時に、改善策に関しては運営改善委員会を設置して、その中で特に研究費の使用に関してはガイドラインに基づいて改善策も検討しているところである。
 そういうことで、本日はこれまでの期間にどういったことが判明して、どういったことを改善策として我々は考えているかということをご報告させていただきたいと思う。
【白尾(放医研)】  総務担当理事の白尾より、資料に基づいて、ご説明申し上げる。9-1-(2)がプレス発表の資料なので、こちらのほうで全体の流れが簡潔に示してある。それから9-1-(1)は、発生原因と再発防止策なので、これは後ほどご説明申し上げる。まず、9-1-(2)のほうからご説明申し上げる。
 辻井理事が申し上げた点と重複を避けるので、一部省略するが、6月末に一度プレス発表している。この時点では43名、約3,200万円の預け金がやはり業者にあるという事実を所内の内部調査で明らかにして、これを新聞発表している。
 その後、文科省の指示により、7月8日付、第三者委員会を設置して調査した点は辻井理事が申し上げたけれども、委員長は公認会計士でいらっしゃる酒井敬先生で、ほかに公認会計士1名、弁護士1名、計3名の第三者委員会を都合4回、8月末までに開いている。この間、予備調査も含めて、所員全員に対する書面調査を2回、それから主任研究員以上の「163名」に対する調査、それから特定した後の四十数名に対するヒアリングを都合3回ほど行っている。そのほか、業者に対して、我々クラスで計5回のヒアリングをしている。
 こういう形で、8月末までに第三者委員会のご指示に従って調査報告をまとめたものを文科省に先月26日に報告している。
 2枚目の調査結果の内容だが、まず人数は、43名が当初、確認されたが、その後3名の出入りがあって、最終的には43名だけれども、出入りが3名ずつある。
 それから(2)に概要とあるが、第三者委員会のほうからは厳しく定義を問われ、そこにローマ数字のⅰ、2、3とあるが、架空の請求による預け金、それから退職者から引き継いだものなど、それから3つ目に、先行発注をして、それから別の納品伝票で、架空伝票でそれを支払わせる。向こうから言えば売掛金、こちらでは買い掛けだが、それを精算するために架空の取引を行った者も今回の預け金に含めるというご指示があって、それを含めて調査している。
 その結果、平成13年度から7年間にかけて総額6,860万円、内訳、運営費交付金6,660万円、科研費660万、その他の外部からの委託研究費340万円という総額の預け金額182件を同定した。これからの支出は2,153品目、計、大体7,200万円相当ということが確認されている。
 最終的に平成19年度末の預け金の額は、3,160万円と算定している。
 4の原因と、対策については、次の資料に載っているので、後ほど詳しく申し上げる。
 次に、預け金に関与した職員の処分だが、プレス発表の際に申し上げたように、43名のうちの現職ないしは退職後再雇用になっている者37名に対して、最高停職1カ月をはじめとして、処分を行っている。また監督責任に関しても、口頭注意を含めて計10名の者を処分している。
 それから、最後に書いてあるが、その他の会社についても調査せよということなので、この内部調査以来、明らかになった数社に関しても調査していたが、同様の預け金の関与を示すことは確認されなかったということである。
 それでは、9-1-(1)に基づき、発生原因と再発防止策を詳しくご説明申し上げる。
 まず1枚目に発生原因が書いてある。大きく3つに分けているが、まず第1は、単価契約における発注と納品の検収に関連した原因である。単価契約というのは、毎年度初めに、通常、多数、研究所が必要とする物品に関して、業者のほうから入札して、品目ごとに単価を決めて、あとは研究者からの発注で月決めで支払うという制度なので、いちいち見積もりをとったりしないという意味では、極めて研究者の円滑な研究の推進に有用なシステムではあった。これに関して、検査職員の検収ということが徹底されなかったこともあって、先ほど申したような架空の納品書の作成で研究所から支払いをせしめて、業者のほうにその結果の金額を預けるということになっているところである。
 単価契約品は非常に小額だとお思いかもしれないが、血清の場合は1本3万数千円するので、100本預けても300万円ぐらい業者のほうに結果的にお金が行くということなので、意外と無視できない結果になるような品目である。
 それから、モニタリング体制の不備というのがある。これも単価品に関してだが、私どもとしては抜き打ちもやっているし、実効性の高い方法を検討していたのだが、有効な監視システムをつくるまでに至らない間に、結果的にはそういうものが放置されたということである。
 2つ目は、研究の進展に応じた購入手続などをしっかり行ってこなかったということがあるかと思う。年度末の発注期間が制約されているとか、あるいは起票から納品までに時間がかかる、このことによって研究者が進展に応じた調達がなかなかできないということにつながったのではないかということが言われている。
 それから、独法になってからは、もちろん年度末で締めるといってもそれは翌年度にその予算を持ち越すことは十分可能なわけで、私どもも必ずしも使い切らなければだめだということを言ってきたわけではないのだが、結果的にそういうことがずっと改善されずに引き継がれてきてしまったということで、そういった繰り越しをしてはいけないのではないかという誤認から、予算執行を急ぐということもあったと言われている。
 原因の最後だが、その他運営上の問題点ということで、先輩や退職者から引き継いでも、それをどうしたらいいかということをきちっと研究所として受けとめられる窓口がなかったということがまずある。
 それから、先ほど血清の例を申したけれども、血清は、例えば100本あるロットで頼むと、どうしても使い切るということがない場合には、例えば100本分残してほかのものに代えて納品してしまうということがあるとすると、それは事実上の預け金相当になってしまう。それから、最近はDNAの合成を、あるいは分析を業者に頼む際に、100、500、1,000という単位で頼むと、どうしても分析の残りが出てくる。それが結果的にその金額相当分が預けとしてその業者に発生してしまうということもあるので、こういった新しい業者からの研究支援サービスといったものが、どういうメカニズムで研究者のほうに預け金を発生せしめてしまうかのではないか。個々のもし変更があれば返金してもらったり、契約変更してもらえばいいのだが、なかなかその手続をとらないということが結果として安易な方向に行ってしまうということもあろうかと思うので、そういう新しいサービス、あるいは研究ニーズへの対応の遅れというものがあるかと思う。
 そのほかに、研究優先主義とか、あるいは事務と研究者のコミュニケーション不足ということも言われている。
 2枚目の発生の防止策であるが、これらの原因を受けて、私どもとして既にこの原因と発生防止策を研究振興局長に同時に8月29日に提出しているが、よりこれを具体化するように言われている。現在、その具体化のための種々の調査、あるいは内部での検討を進めているところであるので、一部まだ今後、具体的に検討点があろうかと思う。
 全体、5つほどに分かれているが、まずは検収機能の強化ということで、これはいずれにしてもガイドラインの中でも相当強く言われているわけで、私どもとして、特にこの単価契約品目に関して納品検査が形骸化していたと考えれば、この辺を中心に、やはり責任体制の明確化とか周知を図らなければならないと思う。
 まずは、ここにはあまり具体的に書いていないが、集中的な抜き打ち検査をするとか、単価契約品目に限って納品の事前通知をさせるとか、この検査職員を命じる際も、センターあるいはセンターの中の各グループ単位で内容のわかる人がなるべくグループ単位で検査職員を構成するとかといったことを今考えている。いずれにしても、この強化を図らなければならないと思っている。
 それから、ホームページで明らかにする。この辺は常識的な対応だが。それから中央検収センター機能についても、長期的には形骸化する、あるいは機能低下も考えられるので、これは先ほど言ったような一括検収とか、より実効性の高い体制に移行するというようなことを考えたいと思っている。
 さらに、立て替え払いの拡大については、現在も立て替え払いはやっているのだが、かなり限定的なところもあって、これをセンターごとの執行責任体制を明確にしながら立て替え払いをしていく。いわゆる分任制度とか、大学でいうところの教官発注とかというものをより明確に制度化したいと思っている。
 それから、起票停止期間の大幅な短縮というのは、年度末によくあった話であって、先ほど申したような、結果として研究者が預け金に走ってしまったという一つの原因を予算配分をできるだけ早目に行い、その見積もりをするための起票停止期間を短縮化したり、あとは現在でもいわゆる実際の停止期間というのはそう長くないのだが、やはり年度末の決算であるとか、年間契約の多数を処理するために契約課の事務がとまってしまうことから、結果的に普通の契約は受け付けてもらえないということがかなり研究所の間に広がったこともあって、こういった起票停止期間が長いということを、十分効率化を図りながら進めたいと思っている。
 それから、起票から契約までの期間短縮。これはどこの機関でも迷っている話かと思うが、やはりよりその物品に応じた簡便な方法、主として見積もりの要・不要を十分考えるということかと思っている。
 それから、予算執行にかかわる効果的、適切な契約の手続であるが、検収、それから翌年度への再配分を保障する。それから計画的執行を確保する制度については、会計システムそのものはシステム変更が必要なので、この点を22年度に合わせて行っていきたい。さらに先ほど言った研究者発注であるとか立て替え払いといったものを、不正発生要因を防止しながら進めていきたい。
 次の3ページであるが、5つ目の柱が結構大きいのだが、基本的には適正な運営管理と職員の意識向上の取り組みということに尽きると思う。
 2つの側面があるけれども、1つは研究サービスの進展に応じた問題解決の場をつくるということと、さらに研究者と事務職員の交流の場をつくっていくということがある。
 2つ目に、ルールや職務権限の明確化である。これは、外部資金の場合には誓約書の提出であるとか、監督者の氏名を明らかにするとか、そういうことが中心に、具体的になっていくかと思う。ルールの明確化についても、周知であるとか、わかりやすくするとか、窓口の機能を強化するなど、この辺も、基本的な点がまだまだ改善されなければならないと思っている。
 職務権限の明確化も同様である。ガイドラインに書いたようなことが並んでいる。
 それから、業者に対しても我々の姿勢を明確にするということと、特に単価契約品に関しては、納品日の事前連絡。これは先ほど言ったとおりである。
 それから、守衛所におけるチェックを明確にする。一応、出入り管理システムがコンピューター化されているので、これですべてをチェックするというようなこともあわせて考えていきたい。
 それから、不正発生要因の把握と不正発生防止計画の推進であるが、過去の事例とか他の研究所の事例などを紹介しながら、そういったことを教訓的に全所的に共有するシステムとか、コンプライアンス室の活動・人員の強化、それから通報窓口の外部化を考えていきたい。
 それから、外部機関による意識調査も考えていきたい。
 最後に、モニタリング体制の整備を図っていく。これは特に監事監査とか監査法人の監査の情報交換をより明確にしたいということが中心になってくるかと思う。
 最後に7番だが、事例研究による体制・制度のチェックを行って、これを所内に発信していきたい。
 それから、これは実際、研究所で懲戒処分したわけであるので、既に例があるといえばもう例があるのだが、そういった処分例について、他の機関も明確にしながら事例を示していきたい。
 最後に、ありきたりだが、パンフレット掲示等を所内で徹底していきたい。
 以上、今後できるだけ早くこれらを具体的なものとして示しながら、実行の時期を特定して、所内での意識を高める作業をあわせて行いながら、具体的な実行ができるものから着実に行っていきたいと思っている。
 以上が発生原因と再発防止策の説明である。
【石井主査】  それでは、いろいろご質問等あろうかと思う。どうぞ委員の方々から。
【大久保委員】  先ほどあった運営改善委員に私も入らせていただいて、この問題を正面から見てきて非常に感じたことを幾つかご報告させていただきたい。
 まず今回、放医研さんで起きたこと自体は、私はまさにこのガイドラインそのものが教科書どおりと言っては大変失礼だが、問題が起きたのかなという意識を持っている。
 一言で申し上げると、放射線医学総合研究所という研究機関のこれまでの取り組み状況は、私の経験上でいけば、どの研究機関ともそれほど遜色のあるものとは思えない。放医研さんがいわゆる整備制度が他の機関と比べて十分にできていないというわけでも決してなかったということである。そういう意味においては、どの機関においても起こり得る問題がどういう形で表面化したのかどうかということの問題なのではないか。
 一言で申し上げると、放医研という組織がいわゆる急激に変化する環境変化に私は十分に適応できなかったということが、今回の事件を巻き起こした最大の要因ではないのかと考えている。ご紹介させていただきたいのだが、現場の方にいろいろヒアリング聴取されて、今回の放医研さんの取り組みの最大のポイントは、ほんとうにこの研究所に眠っている問題を正面から向き合い始めたということではないのかということである。
 確かに今、ここから議事録に入れるかどうかはまた後でご相談としても、ちょっと読み上げさせていただきたいと思うのだけれども、私から見れば、どの研究機関でも同じことを現場の方がおっしゃっているのではないのか。所内のだれが詳しいのかがわからない。問い合わせをしようとしても相談相手がいなかった。問題が生じたときにだれ一人としておかしいという問題意識もなかった。現場から意見が出てきたときに、管理運営部門が正面から向き合って課題に取り組んでくれることがなかった。調達処理手続が末端の研究員に周知されていない。ルールの周知に当たって背景や必要性を説明してほしい。特に最近、人材が流動的なために、詳しい人がいなくなっていってしまっている。所内からはこのような意見が出てきている。年度末の3カ月執行停止というのは、これは今、大学では大分なくなってきたと思うけれども、問題がある。
 それから発注後、2週間以上かかるのはなぜか。過剰な規制を行うと必要悪が生じてしまうのだと。非正規雇用が増えているため、慣行を引き継ぎできず、ルールが正しく伝わらないと。それから最後、私、山のようにある中の一部だけのご紹介だけれども、ここが一番のポイントではないのかなと思うけれども、異なる職種の人間が一緒に話し合う機会がこれまでなかったと。放医研も病院を抱えていらっしゃるし、いろんな職種の方たちがいるけれども、極めてその職種間を超えたところのコミュニケーションの悪さといったことは、研究者の方々もはっきりおっしゃっていたわけである。
 今回の取り組みの中で、私が一番申し上げておきたいのは、決して言いわけづくりのための体制整備に腐心しないでいただきたい。例えば最近、研究機関で、「検収センターをつくったから、うちは完了しました」というのは、私から見れば単なる言いわけでしかない。まさに今、研究機関が抱えてきている現実的な問題というのは、本当に職員の方たちが今の経済環境の変化の中でどのようにこの問題に取り向かって、どう対応していくべきなのかどうかということである。これは決して私は事務職員だけの問題ではなくて、研究者そのものも、そういった意識改革をどうかけていくのかどうかということである。
 特に、意識改革というのは抽象的ではないかというのだが、私も抽象的だとは思うが、一番の問題は環境変化に気づくか気づかないかである。例えば一昔前であれば、納品発注書に日付を空欄にして、後でつじつまを合わせてどうにかその中小企業に対しての支払遅延防止法に形式論を合わせても、実態上は合わせないというようなことが横行していたことも事実かもしれないが、昨今の経済状況の中ではそういったことも許されなくなってくる。
 それから、一部の研究機関には、前に回ったときに感じたのだが、検収のサインをすれば検収したことになるという極めて形式的な取り組みが進行している。それから事務局側の説明で多いのは、研修をたくさん、年に3回、4回やったと言う。研修というのは開催すれば済むものではなくて、職員の方が理解できているかできていないか。職員の方が理解できないような研修をいくら開催しても、これは回数を重ねても全く意味がないと思う。
 実は、放医研の今の取り組みの中では、そういったことも含めて、今、改善の方向性が議論されてきている。私が外部から見ていて非常に感じたのは、むしろ事務職の方々もさることながら、研究者の方々が非常に意気揚々と、これを機に問題を変えていこうではないかという非常に前向きな議論が出てきて、だからこそいろいろと率直な問題が出てきているのではないかということを感じた。
 それで、今後の改革の方向性で、私は重要なポイントを3点、申し上げておきたい。この後で東京大学さんからの日付の問題の話が出てきて、東大が預け金があった、ないとかそういう話は私は全く知らないし、そういう立場でもないので申し上げないが、今回、放医研で業者側の預け金が出てきた伝票というのは、いずれも納品検収の日付が手書き、あるいは空欄になっているというものであった。いずれもというか、全部が全部ではないが、きちんと書いたものでも問題のあるものはあった。ただ私の理解では、いまだに国立大学の中には納品書について手書きで日付をわざわざ入れているところだとか、業者の生伝票ではなくて、業者にわざわざ書き直して指定用紙にしているようなところがまだある。これはやはり経済の取引の合理性から考えれば明らかにおかしく、別に指定様式である必要性は、少なくとも国の範疇ではない独立行政法人では必要がないわけである。最も不経済性を生み出している。わざわざ業者に書き直させて、つじつま合わせができるようになっている。
 やはり一番いいのは、合理的に業者側の生伝票をそのままきちんと出してもらう。しかも業者側にきちんとした電算システムがあるのにわざわざ日付を空欄にするのである。通常の取引であれば、必ず伝票に日付が入るものを空欄にしてしまうというようなことが横行している状況の中では、この納品日付のずらしで、そのずらしを応用していくことによって、預け金、預かり金、こういったものは私はなくならないのではないかと思う。
 放医研のほうにもいろいろ、私も細かいところは見ていないが、ぱっと伝票を見てみたところ、よほど国立大学よりはしっかり業者の生伝票がついていて、ほとんどにきちっと日付が打刻されていた。たまたま何かおかしいなと思うところが、やはり今回問題になった業者さんだったりしたので、私はかなりそういったところに問題があると思う。これから研究機関の中で伝えていただくときにも、これは消費税の問題が絡んできていて、還付などを各機関が要求し始めているので、国税庁も当然、しっかりチェックをしている。そういう意識を考えていけば、大学、あるいは研究機関側だけの処理だけでこういった問題は解決できるわけではなく、社会全体の中で、こういったものは牽制がかかってきていることを、もう少し研究者の方が危機意識を持っていただくことが重要ではないのか。
 そういう中で3つ申し上げたい。一番重要なことは、公的機関に勤めている職員の方々のモチベーションというのは何なのかということを、もう一回見直すことではないか。本来は、研究や公的目的を実現するために研究機関に就職されているわけである。ところが最近、ルールや規制の強化でそういったモチベーションが減少していて、とにかく目の前のものだけ何とかやっておけばいい、しのいでおけばいいというようなことが顕著に出てくる。そうなると、いくらお金をかけて、いくらトレーニングを積んで、いくらやっても全く事足りなくなって、結局、大事な目的が達成できなくなる。
 やはり公的機関に勤めている方が、モチベーションをどう高めていくのかどうか。今回、放医研さんも、いろいろな変革の中で感じるが、やはり職員の方のモチベーションが高まれば、いろいろな問題に正面から向き合って、いろいろ改善していこうという機運が出てくる。そこが最大のポイントではないかと思っている。
 それから2つ目として、意識改革という抽象的な表現だが、今回の放医研さんも、ガイドラインの中における私どもが一番重視してきた行動規範、これが各研究機関でも今つくられているケースが一部あるが、大体、往々にして抽象的だったり、一部の人が作文をされたりというようなことで、行動規範そのものがなかなか生きたものになっていない。何か作文を披露しているような感じになってくる。それでは職員のモチベーションも求心力も高まらない。いかにその構成員の人たちがこれを見て、ああ、なるほどなと納得ができるような行動規範をつくれるかどうか。
 そのためには、研修という制度も、放医研さんはさっき重要だとおっしゃっていた。ただ、重要なことが抜けているけれども、知識を教えていくということよりは、それぞれの職員の自己啓発、自分が自分の問題をきちっと認識していくようなスタイルをどうしていくべきなのか。そのためには、座学による研修だけでは当然、効果は限定的にならざるを得ない。あるいは場合によっては、知識なんていうのは既に皆さんよくご存じで、知っていながら行っているケースもたくさんある。ではなぜいけないのか、どうしていくべきなのか、もう少し踏み込んだ施策ということが期待されているのではないか。
 それから3点目、ここが最大のポイントで、会計処理についての向き合い方である。実は放医研さんは本日まだ具体的に踏み込んだご説明をされていないし、当然これは大きなハードルである。これからの研究課題になるが、せっかくなので、最後に幾つか例を申し上げていきたい。
 すなわち、もっともっと実態を踏まえていくべきではないのかということであり、一番いい例が、謝金の支払いである。それなども、どうもルールがあるからということなのだが、そうすると謝金が高額な有名な先生を呼ぼうと思うと呼べないわけである。呼べないと、どういうことをするかというと、作文をする。前後にありもしない会議をつけてきて、トータルの金額でどうにか帳じりを合わせてくる。これは、研究者の側がそういったことを事務官の側に相談すると、「先生、うまくやっておいてください」というわけである。
 そうではなくて、これも冷静に考えていくと、謝金というのはそんなに種類があるわけではない。外部の招聘研究者を呼ぶ金もあれば、非常勤の雇用の問題もある。それから役務の外注というケースがある。そういう幾つか類型をかけていけば、その類型の中にそれぞれ弾力的なルール設定というのが必要なのではないか。例えば非常勤は、きちんと給与テーブルをつくっていく。それから役務外注も、ある程度の目算を立てていく。それから外部の招聘については、一定の金額を定めつつも、臨時的なものは役員会の決議をもって認めるぐらいの柔軟な費用対効果があれば、対応していくこともできるのではないかと思う。
 特に今回、放医研で一番問題になっているのは、発注、検収のシステムだけれども、これはかねてから私が申し上げている。例えば立て替え払い制度、これもハードルが非常に高いが、立て替え払い制度をむしろもっと促進して、購入後にきちっと現品を事務側に持ってきて確認する。そういうようなことを強化して、アメとムチの部分をもう少し柔軟にしていくべきではないか。
 それから、例えば教員発注も、どんどん奨励していってもいいのではないかと個人的には思っている。そのかわり、特定の業者のみ教員発注の可能性をとる。特定というのはどういうことかというと、確約がとれたところである。発注権限の限度額がわかっている、それから違反行為はすべて業者が責任をとる、納品後に納品伝票を必ず事務局にすぐに送付する、それは生伝票を送るとか、こういう一定の要件をかけていった上で、教員発注というものを柔軟にもっと認めるようにする。
 そのかわり、事後確認を実質的な面で強化する。これは、前回のところで石井先生にもお話いただいたが、もっと事務職員の方々が教員の方々に踏み込んでいってもいいのではないかと思う。「この本は何の目的のために買ったのか」と、研究の内容を知っておく必要性はないが、社会的常識の中で関係性があるかどうかということが説明できるというのは、社会に対しての最低限の義務ではないのかと思う。そういったことをきちんと事務側と教官側がコミュニケーションをしっかりとれるようになっていけば、知らないうちに牽制が働いてきて、十分な機能を果たしてくると思う。ところが、今回、放医研で起きたものが検収センターを徹底したらほんとうに防げたのかというと、私は個人的には防げなかったのではないかという見方をしている。
 それから、もう少し効率化するべきところはすべきだと思う。今回、放医研が、大体、物の発注をして3週間ぐらいかかるということに対してのクレームが研究者から結構出てきているのだが、そもそもなぜ3週間もかかるのかということである。世の中の人から見れば違和感を感じるわけだけれども、いわゆる相見積もりをとらなければいけないという形式的要件ばかり進められるために、たかが文房具であっても幾つもの業者から返事が来るまで発注ができないような状況になっている。
 だからこれは、現実的に経済性を考えていくと、1人の事務職員の方が1時間当たり幾らかけて仕事をしているのか。その方が5時間かければ、例えば時給が3,000円とするならば1万5,000円そこでロスしてくるわけである。20円値段を削減するために。例えばホームページ等を見れば、今、安値は、大体価格ゾーンは決まっているので、その範疇の前後ぐらいなら構わないとか、もう少しそういった合理化することもできるのではないのか。
 今後、ぜひ私どももこの委員会として、各研究機関のほうにメッセージを出していくのも、これはご議論いただきたいという趣旨なのだが、そこまで踏み込んでいくと、これは機関側は説明責任が結構大変なのである。会計検査院などは形式的要件を必ず尋ねてくると思う。ただ、今のようにきちっと経済合理性と、そうすると検査院が求めている経済性、効率性、有効性という観点から考えても、そのかかるコストとの見合いの部分の発注コストと考えれば、その部分についての合理性というのは、私は説明ができるのではないかと思う。むしろそういう強弱を研究機関側のほうでしっかりつけていくことによって、やるべきところはしっかりやり、柔軟にできるところは柔軟にしていく、このようなことを一つしてはどうかと思っている。
 最後に、コンプライアンス部門の取り組みについて、ここの意見でも誤解があったので申し上げるが、コンプライアンス部門は事後摘発ではなくて、事前の予防措置として位置づけられるものだから、これからぜひいろいろ研究機関でそういった部門をつくって、問題を事前にきちっと解決していく能力が重要ではないかと思う。どうしてもこれまで行政官庁というのは事後に問題点を摘発して、あれが悪い、だれが悪いという責任を追及する話題が多かった。少なくとも機関の中でやる限りにおいては、事前に問題点を把握して、事前に解決していく。そうすれば、先ほど申し上げたような、現場に横たわっているような問題を正面から向き合っていくことができるのではないだろうか。
【石井主査】  大変貴重なご指摘をいただき、感謝申し上げる。
【小間主監】  預け金の定義という、この(1)、(2)、(3)の3番目のものは、厳密にはどういうものを指しているのか伺いたい。日付を入れない伝票で、後から支払いを処理したというのは、形式的にはこれに入るように見える。どういうものをこの3番として預け金と認定されたのだろうか。
【白尾(放医研)】  3番目に言っているのは、具体的に申すと、ある特定の機器を何の手続もなしに持ってこさせる。それに相当する金額のもの、別のもの、あるいは同じものだが、後で伝票を切って、架空の伝票を切って、その業者に支払うということである。
【小間主監】  消耗品ではないのか。機器に限ってなのか。
【白尾(放医研)】  いや、両方入る。物品であれば。
【小間主監】  そうすると、例えば、ノートを10冊買って、そのときは伝票の処理をしないで、3カ月後に伝票をもらって日付を入れて処理をしたというのもここに入っているのか。
【白尾(放医研)】  入っているというか、第三者委員会のほうからは、そういうものも入れて調査しなさいということである。
【小間主監】  平成13年度から7年間分といったら、相当の量がこれに入ると思うが。
【白尾(放医研)】  それは、日付の違うものを全部、研究者のほうから出させると、当然、日付のずれがわかってくるので、それをもとに、それに相当するものを出しているので、さかのぼって日付を合わせたものは、大昔は知らない。さかのぼって日付を合わせたものは入ってこないだろう。少なくとも研究者のほうからそういう関連したものを出させた後、実際の納品したものと、それから、いわゆる不正と言われるものを、不適切と言われるものを全部リストアップすると、中には日付の違うものが出てくるので、それをピックアップしたという意味である。
【小間主監】  今後の問題をどういうふうにするかということ、この問題に非常に関係するのだが、4月以降、実際にお金が使えるようになる。例えば科学研究費であるとか様々な競争的資金は、実際に研究機関に入るのが早くても7月ぐらいからということになるので、研究者は4月から7月までは全く発注できないということになる。それを立て替えで何とかそういうことがならないように、各大学及び研究機関が努力されている、そこまでは私も理解している。ぜひそうしていただきたいのだが、それでも解決しない非常に大きな問題は、3月31日現在で、放医研としても独立行政法人として年次報告を5月末にするために会計を閉めなくてはいけないということがある。
 それから、私はJSTだけれど、JSTとしても、年度にまたがって5%以内では研究機関に残してもよろしいことを申し上げているが、一方で、独立行政法人として、やはり5月末に会計の締めを出さなくではいけないので、3月31日の時点でどれだけ残されたのかの金額だけは教えてくれということを申し上げなくてはいけない。そうすると何が起きるかというと、それぞれの研究機関としては、金額をきちんと3月31日で確定するためには、2月の初めぐらいにすべての発注をとめてくれということを研究者に言わなくてはいけないわけである。そうすると2カ月間、一切物が買えないという状況が最後の最後まで残ってしまうのだが、これについて、やはり合理的な解決策を考えておかないと、ほとんどの研究機関がとまってしまうことになる。
 今までは、この矛盾はすべてと言ったら言い過ぎかもしれないが、ほとんどの場合は伝票に日付を入れない伝票を出してもらって、お金を払う時期までその伝票を置いておくという形で、ほとんどの機関は処理していたはずである。放医研さんもそうだと思う。
 だから、その道を、完全に不正である、預け金であるとして処理する以上は、今の2月から4月の初めまでの問題も、合理的にどうやって解決されるのかも同時に解決しないと、これは一貫しないのではないかと思うが、そこはどのようにお考えでいるか。
【白尾(放医研)】  横断的な問題はなかなか答えにくいところはあるが、私どもとしては、少なくとも第三者委員会で定義論を議論したときには、実は私どもだけではなくて、産総研が4月にいろいろ内部の調査をされて出てきた問題とかいろんな問題が目前にあるものだから、こういった問題は、日付の問題も契約変更の問題も別物の納品の問題も様々な問題が全部山積みされて、そこからこれは入れる、これは入れないと。つまり入れるというのは、現にそういうことがあることを同定して入れなかったのではなく、少なくとも入り口での調査として入れなかったという意味なので、その辺は誤解のないようにしてほしいのだが、おっしゃるとおりどこかで横断的に決めていただかないと、我々は少なくとも調査を担当する側であったので、目前の研究者のいろんな行為をどこで線引きするかというのは、特段、私どもの……。
【小間主監】  調査のやり方については一応理解したが、今後の問題として、研究者がお金を使えなくなる期間がどうしても残ることについては、厳密にこういう新しいやり方をされるとしたら、その中でどう解決されるのか。2月から4月の初めまでの発注はどうされるか。
【白尾(放医研)】  私どもとしては、少なくとも外部資金から来る制約は別にして、内部では、契約課が起票を受け付けないという期間を極力なくそうと思っている。それは、いろいろなやり方があるのだが、実態上は、例えば大体1,400から1,500件ぐらい毎月契約課の事務を受け付けているのだが、1月で1,100ぐらい、2月、3月で200以下にとんと落ちるので、これはやはり事務量が相当、年間契約とか、それとも決算でその時間がとられるからだが、そこの部分の仕事の配分を結局、我々としてよく考えて、少なくとも研究者に対しては緊急発注ラインのようなものを受け付けながら、できるだけそこの窓口を広くしていこうということは考えている。
【大久保委員】  今の問題に関係して申し上げるが、まさに小間先生は重要なご指摘をされた。これは非常に本質的な問題で、ただ会計サイドから見ていくと、発生主義会計を導入した国立大学においての前提としては、物が納品されたらすべて記録するというのが最重要のポイントになってくるのである。支払いが2カ月後なのか4カ月後なのかは、それは支払いの問題であって、発生主義というのは、事実の発生とともに記録してくる。
 そうすると、そもそもこの2カ月間、2月末には執行しなくてはいけないということ自体、経理の体制そのものがなっていないという話になってくる。民間企業でも3月31日まで取引したものを、例えばオムロンさんとかだろうか、4月6日には決算を上げられるような体制を組むことも現実的には可能なのである。
 ところが、なぜ国立大学や研究機関の場合難しいのかというと、そもそも予算の執行処理が、いまだに見ていくと年間の3分の2近くが年度末に集中してくるわけである。そうすると、年度末に膨大な業務を抱えているがゆえに、ほかの業務ができなくなってくるので、2月末にとめなければならなくなってくる。ところが、これは会計原則からいけばおかしい話である。
 先ほど私が申し上げたのは、教官発注を認めるかわりに、納品した業者は直接すぐに経理課のほうに伝票を送るのである。そうすれば、その月ごとに処理することができれば、年度末にまとめて業務するということはなくなってくるはずである。
 確かに、予算消化というのは、いまだに感覚が残っていらっしゃって、年度末は多少多いことは事実でも、それにしても年度末の処理が多いということは、やはり先生方は必ずしもすぐに伝票を回していない、あるいは業者がため込んだのを年度末になると少しずつまとめて出してくる、こういうそもそも経理側の根本を見直していけば、その分、私は相当程度改善されてくるのだと思う。こういうのを一つの契機にしながら、研究者の意識が変わってくれば、それは業者側のほうの意識も変わってくるから、そういうことを一つ一つ積み上げていかないと、この問題は直らないと思う。
 結論から申し上げると、私は3月31日まで執行を認めるべきだと思う。そのかわり迅速にして、業者側も1カ月、2カ月かかるようなら、そんな業者とは取引をしないとか、それはこちらが強く取引する業者に選んでいけばいいのだから、そうすることによって、研究者が事実上やりやすいパターンをとっていくべきではないか思う。
【白尾(放医研)】  一つだけ補足すると、1、2、3月に何が起こっているかということだが、これは多くの独法の方は事務をご存じであれば知っていらっしゃると思うが、私どもは大体、百六、七十億の年間予算を使って、350名ほどの定員制の職員がいるという規模で、大体、年間契約、保守点検含めて、エレベーターから建物のいろんな空調の点検から含めて、昨年、19年度から20年度にかけて348本あった。この入札業務だけで、実は契約課の職員には大量の仕事があふれる。大体契約課の職員が定員が11名で、これに派遣の方8名。この8名の方は大体、いわゆる1万円から数千円のものを見積もりをとったりしているから、大体、入札業務とかややこしいのをできるのは10名に満たない人間である。これが1、2、3月ごろに、特に早ければ12月ごろだろうか、350件弱のものを入札業務をやって、翌年に備えなくてはいけない。それに、決算やいろいろことが入ってくると、1、2、3月はほとんどこれでとまってしまう。
 私どもは、昨年度末から複数年契約を入れようということで、独法の最後の3年間は、予算節約を特に求められていないもので通常の委託は複数年、3年間にして、そのかわり入札すれば当然、落ちるはずなので、それを見込んだ予定価格を作成してやった。
 しかし、やっと60本減っただけである。これは相手が応じないという場合もあるし、複数年になかなか合わないということもあるので、これを減らしてもおそらく280件ぐらいはやはり年度末に集中するだろう。
 今、大久保委員が言われたとおり、我々としては、この契約事務というのは、しょせんある山で存在するわけだから、これを一つ一つ整理していって、業務として独法の中できちっとできるような体制をつくる。その中で、不正が起こらない要因をどういうふうに織り込んでいくかということが、やはり我々に課された問題であろうかと思っている。
 検収センターについても、6月末から様々な議論がある中で入れたが、やはり私どもとしては既に一般管理費が6.2%を切っているので、こういう定率の一般管理費というのは世の中になかなか存在しなくて、おそらく独法の規模と一般管理費の比率をとると必ず下がってくる。大きい機関であれば、パーセントは下がる。特にJAXAとかは3.何%で、普通、規模が小さくなると一般管理比率は上がってくるのだが、これをプロットすると大変おもしろいが、私どもの標準の曲線から大きくはずれており、かなり苦しい状況である。
 したがって、そういうところで、検収センターのために人を割くとか、何らかの外部への委託費を設けるとかいうのは、実は相当苦しくて、この辺を実は昨年、何とか抜き打ち検査でできないかなどを議論していたこともあった。
 したがって、どうもトータルで、やはりこの不正をどう防止するかということを、私どもとしては既存のシステムの中で、じっくりかつ具体的に、着実にできれば、非常にいいと思っている。
【辻井(放医研)】  また、これを具体的にどうするかというのが一番厄介な問題なのだが、先ほど大久保委員もおっしゃったように、意識の改革という意味から、やはりある程度の年代の人間というのは年度制の枠の中で長い間、研究してきたというところがあって、これがどうしても抜け切れなかったのではなかろうかという気がどうしてもしてならない。
 私も今、理事という立場で、ついこの間までは現場にいて、ただ自分自身の反省をすると、大学にもいた、放医研にも長い間いたとすると、どうしても年度後半になって事務サイドの仕事がだんだん大変になり、「この辺でとめてください」と言われたら、あまり疑問もなく、そんなものかなとなる。昔は三、四カ月が、最近は二、三カ月になって少しよくなったではないかというような形で、比較的容認してきた。
 我々のところは、預け金のきっかけというものを聞くと、先輩からの引き継ぎというのも少なからずあったので、そういう意味での多年度制のようなのを、どうこういった研究費の使うところに意識としても実際のやり方としても生かすことができるかというのは、かなり重い宿題ができているのではなかろうかと、何となく年度末になるとそわそわして、緊急もそちらのほうにいったりとか、その辺のところが結構大きかったのではなかろうかという気がしている。
【石井主査】  いろいろ問題はあると思うが、基本的に先程大久保委員がおっしゃったように、発生主義というものを採ったということに伴う意識改革というものが、どうしても必要なのではないか。
 また、運営費交付金は別に年度に必ずしも縛られないということもあるし、競争的資金については、文科省の科学研究費補助金については繰越明許を大幅に実際にできるような努力を我々も含めてやっているわけであるし、もし厚生労働省の科研費がそこまで行っていないのならば、ぜひそちらのほうにも働きかけていただきたいと思う。
 やっぱり発生主義というものが出てくれば、年度の縛りということについて、可能な限りの柔軟化というか、そういう努力を片一方でしなければならないだろうと考えではいけないのか。かなりの程度、私は事情が変わってくるだろうと思う。年度末にばたばたしなくてはならないということ自体が、やはり一つの思い込みであるのかもしれない。そういう観点での見直し、ご努力というものもぜひお願いしたい。
 時間も大分たったので、個別にまた各委員のほうから当局を通じて何らかのアドバイスもあるかもしれない。そういう形でぜひ今後のご努力をお続けいただきたいと思う。主査としては大変、この事態は遺憾と言わざるを得ないのであって、実際そのとおりだと思う。これを真摯に受けとめて、今、ご指摘のあったような改善の糸口というものを、ぜひ自分自身で考えていただきたい。
 前から私はここで申し上げているが、上から言われたからやる、あるいはその場しのぎをやるというのではなくて、自己規律の問題だということで、自己規律は、研究の現場の研究者の自己規律も必要であるし、経理を担当する事務の方々の自己規律も必要であるし、それから組織としての理事者側の自己規律というものも必要かと思う。いろいろなことについてご質問があれば、また各委員のほうからも対応があると思うので、ぜひ引き続き、そして一層のご努力をぜひお願いしたいと存ずる次第である。
【髙委員】  先生にまとめていただいた上でさらに言う必要はないのだが、私も詳しいところはわからないが、この預け金というのは、こういうやり方でもって私的に何か利益を得た人はいないのだろうか。要は、この預け金というのが表に出てしまう仕組みをつくるというのも一つの方法ではないかと思うのだが、これは行政側でどう考えるかわからないが、例えばSPC、特定目的会社、すなわち、ある特定の目的だけのために新しい法人をつくるとか考えられないか。
 例えば研究資材の調達のみを行う会社をつくって、そこにお金を出してしまって、その時点で発生したと大学側は認識して、そうするとそのSPCは、例えば数年間にわたって活動するわけだから、何かそういう仕組みも考えなければいけないのではないかと思った。意識改革も必要であるし、やるべきことはたくさんあるだろう。それからこの預け金の問題が出た後の処分を見ると、この後ほんとうにいい風土ができ上がるかというと、意識改革もやらなければいけないのだが、多分、この結果、起こることは、ますますがんじがらめの仕組みができ上がるだけかと私は思う。
 そうすると、研究者の人たちは多分もうそんなお金をもらってまでこんなことはやりたくないという逆の方向に行く可能性もあるので、意識改革プラス、制度として、特に会計上の問題があるのなら、特定目的会社を使って処理ができるような形をどこかで検討するとか、それから行政側もそれに関して議論に参加していただけるようなところがあれば、この構造的な問題の解決は少し前に進むのではないか。
 これは放医研さんだけの話ではなくて、先ほど大久保委員が指摘したように、どこにでもある問題なので、少しこの制度上の議論をしなければいけないと私は思う。
【大久保委員】  主査がまとめた後で恐縮である。最後に、今、放医研さんの私の得た印象と、逆にお願いということで、再度一言だけ申し上げたい。ピンチをチャンスにということで、これを機会に、やはり心底、今進んでいらっしゃるような方向できちっと現場が向き合って、研究者のモチベーションを高めて、むしろ逆に日本で最高の研究機関で、どの研究者もがあの研究所で働きたいとうらやむような組織になっていくことが、私は、放医研にとって今一番求められているミッションじゃないのかと思う。
 そのときに、常に忘れてはいけないのは、やはり研究目的を実現するための組織風土というのはどうあるべきなのか。ただそこでよく誤解があるのは、研究者のわがままを許すものでもないわけである。きちっとした自己規律を持ちながら、守るものは守る、柔軟にするものはする、私は本日幾つか論点だけ、出させていただいたけれども、ぜひ前向きに取り組んでいっていただきたいと思う。
 またどこかの機会でこの研究会にでも、その成果を報告していただきたい。
【石井主査】  それでは、本件についてはこれで終わりとする。どうもお二方、感謝申し上げる。
 では、次であるが、先ほど申し上げたように、東京大学から事情を伺うということにする。東京大学の西尾理事からご説明を頂戴する。
【西尾(東大)】  東京大学の財務を担当している理事の西尾です。本日、貴重なお時間をいただいて、ご説明の機会をいただけるということで、感謝申し上げる。
 お手元に2つ資料を配らせていただいている。最初のページが、私の名前がある朝日新聞掲載記事についての見解ということで、そのもとになった記事を参考としてつけさせていただいた。いわゆる「不正経理30億円」という非常に我々にとってはショックな見出しである。
 それを受けた形で、1枚目に文書を当時つくらせていただいた。そこにあるように、基本的には、先ほど大久保委員がご指摘になった発生主義ということを我々がきちんと理解できていなかったということが原因だと思うが、そこにあるように、本学が平成16年度の消費税に関する税務調査において、東京国税局から指摘を受け、7,800万円の修正申告を行ったこと自体は事実である。これは、調査対象の取引額のうち、約33億円が書類の不備と判断され、いわゆる課税仕入れ控除額として認められなかったものということである。
 ここに書いたように、書類の不備の指摘であり、いわゆる不正経理とは我々は考えていないということであるが、不正か不適切かというのはなかなか線引きが難しいと思うが、実際に書類の不備と指摘されたものがどういうものであるかということを申し上げたい。
 それは、先ほど大久保委員がおっしゃられた発生主義ということでいうと、物が納品されたときに、納品書というのを業者が持ってくる。これは非常に小さな伝票である。そこには日付も入り、検収印も入る。その後日、いわゆる支払いの請求の段階になって再び見積書、納品書、請求書という清書したものを持ってくる。
 それで当時、東京大学では、最初に納品したときに持ってくる伝票、これは正式なものだということで、部局には通達していたわけだが、部局での徹底が悪く、必ずしもその最初の納品書が保存されていなかった。つまり支払い時点でそろえて業者が持ってくる納品書を正式なものと現場が理解していた部分があって、それが最初の納品書がそろえられないもの、これをすべてこの課税仕入れ控除の対象外とみなされて、33億円が書類の不備ということになったと理解している。
 インターネット等を見れば、この課税仕入れ控除、あるいは仕入れ税額控除というのは大変厳格な書類の保存、それから整備をやらなければいけないものと、後で、勉強して、恥ずかしながら知った次第であるが、そういう認識が薄かったということで、いわゆる発生主義ということが徹底されていなかったと理解している。
 その後、指摘はごもっともなので、すぐにいわゆる納品時点での納品書というのが正式なものであるということを再度徹底して、それで現在ではそれを正式な書類として扱っているということである。
 ということで、簡単であるが、現在の説明とさせていただきたいと思う。
【石井主査】  以上ご説明をいただいたが、少し伺いたい。そうすると、東大としては、本来のというか発生した時点での納品書が保存されていなくて……。
【西尾(東大)】  ないものがあったということである。
【石井主査】  ないものがあって、従来からの例の3点セットというものが後の日付で出てくる。これに基づいて処理されていたということか。
【西尾(東大)】  当時はそういうものがあったということである。
【石井主査】  ところが、その中から今度は新しい方式で発生主義でやると、納品が先に来て、それから見積書はどうなのか。
【西尾(東大)】  見積書は、形式的には前ということになるけれども。
【石井主査】  さらにその納品よりも前の日付のものを出させることにしたということか。
【西尾(東大)】  したというか、それは現在では業者側が日付をきちんと打って持ってくるので、いわゆる我々は、小さな納品書と言っている、納品の時点にもらう日付がいわゆる3点セットの納品書にも打刻されて来る。いずれにしても、それはいわゆる3点セットと言われるように、一式が届く格好になるので、それは……。
【石井主査】  ただし日付はみんな違うということであろう。
【西尾(東大)】  はい。
【石井主査】  前は何か同じ日付が。
【西尾(東大)】  はい。あくまでも正式なものは最初の納品時点での納品書であるということは徹底している。
【知野委員】  基本的な事実確認で、今回、記事についてということで、書類不備のお話だけ説明していただいたが、記事を読むと2つ要素があって、要は架空の、今までさんざん問題になってきた問題も出ているが、ここも含めて、不正経理30億円ということか。
【西尾(東大)】  この記事ではそういうことになっている。
【知野委員】  この記事ではなくて、東大側の説明としては。
【西尾(東大)】  このインタビューを受けたのは私個人であって、個人というか、私を含めた者であって、この前日だったと思うが、インタビューを受けた時点では今のようなご説明をした。33億円の内容は今のような書類の不備であるということで記者の方にはお話を申し上げた。
【知野委員】  そうすると、前段部分というのは、大学側としては事実ではないということか。
【西尾(東大)】  ほかの経理含めて、完全に調べ切っているわけではないので、完全に預け金がゼロかというのは、今、文部科学省さんからの指示を受けて、再度、全国の国立大学が調べているところだが、正直申し上げてゼロかどうかというのはわからない。ここに33億円として挙がっている経費は、今申し上げたようなものであるということである。
【石井主査】  この33億円という数字の対象になったアイテムというのは、すべてその書類の不備という問題なのだというご説明である。
【西尾(東大)】  はい、認識であると。
【石井主査】  事務局に伺いたい。改めてプール金、預け金の問題について、全国の国立大学の状況はどうなっているのか。
【大塚競争的資金調整室長】  この放医研の件を受けて、今、大臣官房のほうで研究独法、あとは国立大学法人含めて、10月末までに預け金の有無を調査して報告するようにという調査をしている。
【知野委員】  というのは、今お尋ねしたのは、やはりちょうど放医研の報道も出て、それからこの国税の税務調査に関するのも、わりと相次いで、報道として非常に印象に残っているのである。これはこの委員会でも随分、リスク管理のあり方みたいなものが問題になってきたが、やはりこれをもしそういうことでご説明されたいということなら、その全般部分についても一緒に説明されて、例えば今、調査中であってわからないとか、何らかの形でやっぱり一緒に出されていかないと、非常に何かあいまいな感じがする。むしろ説明で、自分たちにとってよいところの説明をしやすい、これは誤解だというほうのところだけを説明されたように一般の側としては受けとめてしまうので、その辺も含めて説明されたほうがいいのではないかと思った。
【石井主査】  この検討会でも関心を持ったのは、まさに知野委員がおっしゃったようなことで、不正使用、不正経理であるのかないのかということについて、やはり大学側がきっちりご調査の上、必要に応じてそれを公開していただければと思う次第である。
【小間主監】  先ほどお伺いしたことと同じことだが、東京大学の場合は、年度末のぎりぎり2カ月ぐらいのところは、やはり発注できない状況に事実上なっているのか、あるいは3月31日まで発注できることなのか。
【西尾(東大)】  発注は3月31日までできて、いわゆる支払いが4月の、正確なところを言っていただけるか。
【東大関係者】  発注自体は別にとめているわけではない。先ほど大久保委員がおっしゃったように、納品の事実があったときに初めて未払いを計上するという会計処理をしているので、相手方の経費によって、仕方なくとめるのもあるかもしれないが、発注をとめていることはない。
【小間主監】  もう一つ、ファンディングエージェンシー側として、年度末の締めによって執行ができないということをできるだけ緩和する努力をしていて、5%以内であれば年度末残してもよろしいという道までは開いたのだが、それである程度、解決するかと思っていたら、実際の研究者から伺うところによると、年度末に幾ら残すかということは報告してもらわなくてはいけないということのために、大学としてそれをきちんと数値をまとめるために、どうしてもある期間が必要で、それは年度末の非常に忙しい、ほかの仕事もたくさんある中では、どうしてもさかのぼって2月1日ぐらいに締めをしなくてはいけないというのが現実的な締めになっている。そうすると、いくら緩和しても、大学側のそういう事情でこれは解決しないということが大変心配しているところである。
【西尾(東大)】  いわゆる手作業を伴うようなものだと、そういう今、小間先生が言われたような部分が大分出てくると思うが、今、東京大学ではかなり、会計処理だけではなく、執行まで電算化して、それでいわゆる発生主義というか、現場で入力して、比較的早くその統計データが出るようにシステムを動かしつつあるので、もちろんやむを得ないようなところで、後ろのほうで執行できないという部分が出てくるかもしれないけれど、それはシステム的にかなり改善しようと努力はしている。
【小間主監】  そのシステムは大学全体で同じシステムか。それとも学部ごとに違うのか。
【西尾(東大)】  いえ、同じシステムを動かしつつある。ただ今年から全体を動かしたので、まだかなり完璧に動いているとは言えないが、それによって不正経理をなくす、それから執行を早期にできるというシステムを全学的につくっている。
【小間主監】  そうすると、例えばJSTは多分、東大の中の数十部局にわたってファンドしていると思うが、それの4月1日時点で幾ら残すかということの金額を4月1日にJSTに一応もらわないと処理ができないという。その規則を守るために、大学側として、各研究者がシステムに入力するぎりぎりは、例えば1週間前でも可能になりそうか。
【東大関係者】  部局がやはり数十部局あるので、なかなか徹底はできてはいないが、基本的に発注段階で現場が入れると、納品段階で支払いが発生するのだという区分けをシステム的に分けて整理するように今はしている。
 ただ、4月1日にまさにタイムリーに残高はどのくらいあるかという数字を出せと言われると、少し難しいところはあるかもしれない。そうすると、やはり2週間とか3週間くらい前に1回大体の数字をつかまないと発注がとまってしまうこともあり得る。
【小間主監】  大久保委員にお伺いしたい。発生主義を徹底すると、法人の評価に必要な報告も、発生の事実の金額をまとめたもので評価ができるようにできるのか。それとも今の場合は多分、3月31日に東京大学なりにどれだけの現金が残っているかという、そこを合わせなくてはいけない。JSTも多分そうなってしまっている。発生主義だと、実際には発注して納品されたというところが幾らだったということがわかればそれで済むように思うのだが、そうではなくて、その処理が終わったところまでして残高幾らとしなくてはいけないのか、そこのところがどうもよくわからない。
【大久保委員】  当然、発生主義ということは、納品された事実の確認をもって記録するので、より迅速に、より早くそういった証拠をつかむことができる。今、研究費のこの問題も含めて、大きな問題は、発生主義で本来把握すべき日にちを支払い日のほうにより近づけようとして、そこで動かすことに実態が見えなくなってきている問題点があって、これはやはり国の感覚ともう一回確認しなくてはいけないのは、物が入ってきた行為と支払うという行為は全く別物だという意識を持てるかどうか。これを国の制度の場合には1つのこととして見ていたというところに難しさがある。
【小間主監】  そこを徹底して分離して、発生主義で評価を行うというようなシステムに徹底することはできるのか。
【大久保委員】  逆に申し上げると、今の制度は本来は発生主義で評価しているはずなのである。
【小間主監】  だからそこを分離しないで後ろにつないでしまったから、後ろのほうの制約になって。
【大久保委員】  意識がそう思ってしまっているので、知らないうちに発生主義がずれていっているということである。
【小間主監】  それは単なる意識の問題で、制度の問題じゃないのか。
【大久保委員】  会計制度の問題ではないが、大学の調達の仕組みの問題ではあると思う。会計制度はきちっとそこを担保するように要求してくるが、各大学がその仕組みを落とし込むときに、従来の流れの中でどこまでそれが取り組みができているかどうかというのは、相当差があると思う。
【石井主査】  納品の日ということは、納品されることによって債務が発生したということか。
【大久保委員】  はい。それを記録すると。
【石井主査】  現金を払ったかどうかはまた別の問題か。
【小間主監】  そうすると、各時点で債務がこれだけだったという報告で、それで十分であると徹底すれば。
【石井主査】  本来、会社でもみんなそうである。
【大久保委員】  債務が記録されて、あとは払うだけの話で、もうそこで十分である。
【小間主監】  それが今は法人では行っていないのか。
【大久保委員】  行ってはいるが、十分な取り組みになっていないケースが多いということである。
【小間主監】  了解した
【石井主査】  原理的にはなっているはずなのだが……。
【西尾(東大)】  徹底するように今後、努力する。
【石井主査】  それが金が空っぽにならないと何か事態が済んだような気がしないという、そこでその仕組みのほうが本来の原則どおりに動かないで、うそのほうに行くというか、そっちのほうへ引っ張られていくという、そういう問題。
【大久保委員】  そうだと思う。
 少し申し上げるが、東京大学のケースがどうかということを、私も論じる立場でもないし、詳しいことは知らない。ただ、納品日が記載されていないというのはどういうことかというと、結局、預け金だとかの不正の温床、私に言わせれば「カビ」の1つの要所では間違いなく事実であるのではないかと思う。現実的に、日付の、いわゆる民間企業でも結構あるのだが、決算期をまたいで日付のずれのようなことはわりとある。国税庁も当然、そういったところを中心にチェックしてくる。会計監査でもそういったところを中心に見てくる。ただ、年度を1期またぐかまたがないか、これも問題かもしれないが、それだけであれば日付のずれの問題で済む。ところがそれが習慣化してくると、実は2年、3年というスキームになってくる。私も旧帝大クラスの中で幾つも見てきた。そう言って業者側のほうが3年から5年ぐらいかけて先生方のお金を預かっているというケースは、実は今までもたくさんあったことも事実である。現実的に、病院などでもそれで業者が時々問題になって、大体10年に1回ぐらい未払い金の問題が出てきたりする病院も中にはある。
 そういう状況の中で、今回、放医研さんのケースと東大さんのケースとあったが、私は本日様々な大学の方もいらっしゃっていると思うので、気をつけなくてはいけないと思うのは、1つはもう少し伝票を、先程の発生主義のケースもそうなのだが、意識を事務側が持てば、私は相当解消すると思っている。
 私も幾つかの研究機関でこの問題があった後、ぱっと伝票を眺めてみた。そうすると、そもそも例えば量販店で買っているものが、本来入っているべき日付が抜けているとか、それから抜けているのはいいのだが、さらに手書きで書いた日付と、例えば1カ月分ぐらい見ていくと、前後に伝票がいろいろ出てくるのである。どう見ても、連番でいくと、およそ当年度の伝票ではないような伝票の番号の付したものもある。事実は確かめていないから、わからないが。例えば調達側が少しそこまで踏み込んで、時々そういった確認をして、先生方に「なぜなのか」とか。
 それから、私はまだ研究機関の中には、先ほど申し上げたように手書きで請求書、納品書を全部一式つくらせているところもあったり、業者が言ってくるからといって手書きのものを容認しているところはたくさんあるのだが、もう少しそこを徹底して、例えば有名な企業グループであれば、電算システムがないはずがないのである。私が見たものは全部あった。そういったことをこれからもう少し気をつけていただければ、こういう問題というのは事前に予防することができるのではないか。
 そうすると、先生方に対しての牽制になって、それをまず検査院や外部に指摘される前に、事務局が教官の先生方に対して、「これ先生、日付が違うのではないか、どうなっているのか」と。あるいは業者のほうに機関側から直接尋ねてみる。そんな積み越しで、もう少しうまく予防措置がいけるのではないかと思う。その意識を研究機関はそろそろきちっと持っていかないと、いまだにそういった意識がないところがたくさんあるような感じがしている。
 それから最後に、いざ、その4月から6月までどうするか。今現在、東京大学もおそらくそうだが、立て替え金制度を機関としていろいろやっているが、限界があることも事実である。例えばマウスのえさが欲しければ、これは会計理論上の世界であれば、買いだめしていいのである。買いだめしたかわり、棚卸資産で計上しておけば、それはなかったことにはならないのである。会計処理というのは、買った事実を書けばいいので、もしどうしても4月から6月分が必要で前もって買っておかなければいけないことであれば、買って、棚卸資産でそれを計上しておけば、会計処理上もきちんと反映していて、それを払い出していって費用化すれば、決算処理といわゆる予算、決算とはずれるかもしれないが、きちんと対外的に説明はできると思う。
 だから、一つ一つそうやって制度を追いかけてつぶしていけば、私は問題は解決できると思う。どうしても従来の考え方、それから何か大変だという言葉でどうも議論を避けてしまう。こんなことをぜひ改善していっていただく機会になればいいのではないかと思う。
【石井主査】  ご説明、感謝申し上げる。先程髙委員がおっしゃったSPCか、別会社をつくればどうかという、それをやるとかなりそういう従来の偏見というのが思い込みから自由に行けそうだとも思える。
【髙委員】  要は、柔軟に使いたいわけであろう。預け金というのが完全に表に見えていれば、ある意味で不正は起こらないわけである。そうすると、取引先の会社にそういう構造を設けてもらえば、これが不正防止になるので、もう表に出る形で、SPCというようなものはどういう仕組みにしたらいいかよくわからないが、その目的は、ただ単に研究費の執行という目的、それ以外のことには使わないというものを、要するにペーパーカンパニーだけれども、そういうものをつくって運営していけば、しかも3年ぐらいで目的を執行して、それで終わったらそれは解消するというものにしていけば、何かうまい解決になりそうな気がする。
【末松委員】  私も、先ほどのSPCのような仕組み、それをつくって、それ以外認めないという方法にすると、特定の教員といろいろな業者の癒着が防げる可能性があると思う。それは非常にいい方法だ。それから相見積もりを、小さなもの、安いもの、あるいは先ほど大久保委員からおっしゃったような薬品の消耗品を一括購入すると思い切り安くなって、実質の研究費のコスト削減みたいなことにもつながるような取り組みも今、電子化して大分できるようになってきたこともあるので、そういう規制緩和の部分を公にヘルプしていくような仕掛けというのを、ここの委員会から提言していくことは絶対必要だと思う。それをやらないと、職員と教員のコミュニケーションエラー、ギャップというのは先程あったけれども、例えばやはり私などでも、東大の先生とか教授がいると、萎縮するので、職員はもっとそうだと思う。「何でこんなものがこういうふうにできないのだ」と言っているケースも、身内の恥のようなこともあるのだが、職員の方々のストレスというのは非常に大きいと思う。
 それを、非常に限られた間接経費とか一般管理費で雇用した派遣社員、こういう人たちが責任を負わされたりする。でもそれは無理だ。プロパーな事務の職員の方が誇りを持ってやっていくためには、そういうことが平気で言えるような仕組みも必要で、それは「SPCの方がこう言ったらこうなのだ」とできると、これはすごくハザードが減らせるのではないかと思う。コミュニケーションをとる前に、まずそういうプレッシャライズされた環境を少しでも少なくするということは非常に重要だと思う。
【石井主査】  ご説明、感謝申し上げる。今まで、やかましいことを言うだけではなくて、制度改善のほうも我々として考えていくのだということを言いながら、専ら科研費の繰越明許のことぐらいしか今のところできていないが、まさにそういう経理そのものの具体的なところまで、もしこの検討会で何らかの現場の大学のほうにお役に立てるようなことができれば、大変結構なことだと思うので、事務局と少し相談したい。
【髙委員】  それで一度、そのSPCの専門的な人に来ていただいて、可能性を探ってみるというのはどうだろうか。
【石井主査】  同感である。
【大久保委員】  まさに今、私も、実は冒頭に放医研さんのご説明の後に申し上げて、そこで少しどういう調達システムがいいかという、この検討会で、ワーキングとまでは言わないが、少し議論させていただいて、提示していかないと、大学側に考えてくれと言っても確かに難しいかもしれない。
 だからこういうことをすれば教官は発注してもいいとか、そういう何かベースを、委員会の意見として、文科省としては言えないかもしれないが、少しポジティブな話をしていってもいいのではないかと思う。その中にSPCの話もあれば、私の申し上げた謝金の整理の話もあってもいい。
 それで、放医研さんの今回やったものを内々に多分いただくと、いろんな問題が出てくると思う。それから東大でもやっていらっしゃるようなことを内々にいただいて、我々はそういったデータを上手に活用して解決策を社会に示していくということも1つ機能であれば、少し皆さんに前向きなものは示せるのではないかというご提案である。
【石井主査】  大変、建設的な方向に委員会の委員の先生方からご提言もいただいた。他方、いつまでたってもこの検討会は終わらないのではないかと心配になってくる。
 西尾先生、ご説明いただき感謝申し上げる。
 それでは、今後の予定について、事務局のほうからお願いする。
【大塚競争的資金調整室長】  今後の日程をご紹介する。資料9-2である。今週の木曜日と来週の火曜日だが、大阪と東京でガイドラインの研修会を開催することになった。本検討会からも、石井主査、大久保委員にご協力いただいて、ガイドラインの趣旨を中心に、わかりやすい説明会を開催したいと思っている。また中では幾つかの大学の取り組み事例などもご紹介したい。
 これはご紹介だが、この研修会について、ホームページのほうで開催を周知したところ、わずか数日で両会場ともいっぱいになるというような大変な活況ぶりで、大久保先生からももう一回やろうということで、今年か今年度中に、今度は実際、実務で非常に苦労している方のクラスを集めて、もう一回追加で開催したいと思っている。
 それで、昨年もガイドラインの報告書の提出をいただいたのだが、今年度も同様に、体制整備の報告、主に変更点になるかとは思うが、提出いただきたいと思っている。前回の報告書と様式の大きな変更は、今回はまだ2回目なので、行わない。
 ただ、唯一違うのは、前回は紙媒体でいただいたわけだが、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)を利用して、電子媒体で提出いただいて、より効率的な形でこの報告書を収集したいと考えている。前日の研修会でもこのご案内はするつもりである。
 また、検討会については、本日いろいろご意見もいただいた。今後もまたそのときどきの状況により、開催をお願いするという形にさせていただきたいと考えているので、引き続きご協力、ご指導をよろしくお願いする。
【石井主査】  委員の皆様、ご協力を感謝申し上げる

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