X線自由電子レーザー利用推進戦略会議(第4回) 議事要旨
1.日時
平成23年6月27日(月曜日)13時20分~16時
2.場所
兵庫県播磨SPring-8 中央管理棟 上坪講堂
3.議題
- SACLAの現状及び今後の行程について
- 登録機関業務の検討状況について
- X線自由電子レーザー利用推進計画中間報告(案)について
- 今後のスケジュール等について
- その他
4.出席者
委員
石川委員、岩田委員、上田委員、太田委員、大野委員、上村委員、坂田委員、下村主査、妹尾委員、濡木委員、若槻委員
文部科学省
阿部量子放射線研究推進室長補佐
オブザーバー
河野英俊研究主幹(独立行政法人日本原子力研究開発機構)
山内和人教授(国立大学法人大阪大学大学院工学研究科)
5.議事要旨
【第一部 SACLA実機視察】
石川委員より資料1に基づきSACLAの現状および今後の行程について説明があった後、SACLAへと移動し、実機を視察した。
【第二部】
(議題2 登録基幹業務の検討状況について)
大野委員より、資料3に基づき説明の後、主な質疑は下記のとおり。
- 受け付けるのは英語のプロポーザルのみか。また、外国籍の選定委員はいるか。
- 日本語のプロポーザルも受け付ける。また、選定委員会に外国人はいない。
(議題3 X線自由電子レーザー利用推進計画中間報告(案)について)
坂田・岩田より、X線自由電子レーザー利用推進計画中間報告(案)の別紙として添付する予定である各重点戦略分野の概要資料について、前回からの変更点の説明があった。
その後、事務局より同様にX線自由電子レーザー利用推進計画中間報告(案)の別紙として添付する予定である各重点戦略課題の概要資料について説明があり、主な質疑は下記のとおり。
(注:本議事概要においては、利用推進計画中間報告(案)中のパワーポイント資料について、最初の1ページをまとめ資料と呼び、以降それぞれの重点戦略課題の説明資料について、一つ目から順にライフ1~5、イメージング1~5と呼ぶこととする。)
- まず、まとめ資料について、イメージングの説明の部分のテキストと絵が、ピコ・フェムト秒ダイナミクスの解析を実現するイメージと合致していない。原子・分子動画といった文言を用いて、図も変えてみたらどうか。利用推進計画中間報告の中で、この資料を実際には最も使うことが多いはずであり、よく考える必要がある。
- 各重点戦略課題の説明資料中の挿絵について、さらに適切な写真がある。全体的にアップデートすべきである。
- ライフ2の挿絵にファージ・ウィルスの絵があるが、この絵はライフ3にあるべきではないか。
- ライフ3は最終的にSACLAで目指すこととなる、繰り返し構造を持たない分子の一分子解析を実現するまでの間に、対称性が高く同じ構造の繰り返しでできている超分子複合体で予備的に 単粒子を実施しようというもの。この課題の場合、一分子そのままで構造を決定するのではなく、構造体解析を複数回繰り返して、像回復していくものであるので、その趣旨が伝わるようにするとともに、繰り返しのある構造体の絵を入れることが必要である。
- 確かに、繰り返し構造があり、平均化できるものでないとオングストローム単位での解像度まで解析できない。そこを強調すべきである。
- ライフ2の挿絵の、LCLSで解析されたウィルスのイメージング像は、二次元回復したものとなっている。LCLSではすでに三次元回復に成功しているので、差し替えるべき。
- 米国施設での成果を挿絵にしている場合があるが、海外で実施していることのコピーを実施するのではという無用な誤解を招くため、控えたほうが良いのではないか。
- ナノクリスタルを用いた創薬ターゲットタンパク質解析については、アメリカでできるものを日本でもできるという事自体が価値を持つので、敢えて取り上げても良いと思うが、全体としては確かに日本の独自性をアピールしたほうが良い。
- 必ずしもXFELの成果の図を載せる必要はなく、現行の放射光での成果の写真を掲載して、現在ナノ秒単位でしか見られていないこのイメージがフェムト秒単位で見られるといった説明でも十分に魅力的ではないか。
- それでは、本パワーポイント資料について、岩田委員・坂田委員を中心にして、今月いっぱいを期限に確認していただき、ご意見をもらいたい。
事務局より、資料4冒頭に新規に追加されたX線自由電子レーザー利用推進計画(概要)の説明があり、その後下村主査より、資料4の本文について前回からの変更点を中心に説明があった。主な質疑は下記のとおり。
- 「登録機関と設置者の連携等について」で用いられている「開拓」というのは「発掘」とするのが望ましい。
- 節電対策について、SACLAについてはどのようなことができるか。
- SACLAについては、SPring-8に比べて設計当初からかなりの節電設計になっているため、これ以上の実施となると焼け石に水となる。
- 節電は重要だが、なかなか具体的な提案は外部からできず、あとは施設側の努力次第となってしまう。電子の繰り返し周波数を落とすだけでもかなりの節電になるということなので、色々な運転モードを活用するなど、可能な限り節電してほしい。
- 利用企業側は一般・産業界への広報活動をどのようにすればいいかアイデアが欲しい。
- 産業界にアピールするには、SACLAを用いた大きなサクセスストーリーがひとつでもないと非常に厳しい。御題目だけでは上司すら説得できない。そういった大きな成果が早期に出ればいいのだが。
- 創薬業界にとっては、ひとつでもSACLAを用いて疾患ターゲットタンパク質の構造が解ければ説得力が全く違う。
- 成果が出たとしても、一般向けにはその成果は理解するのが難しいものなのではないか。
- 理解するのは難しくても、ガンの疾患ターゲットであるなど、ターゲットさえ面白ければインパクトがあるはず。
- 早期に成果を創出して、どうやって企業にXFELが面白いかを伝えていくことが非常に重要。
- 重点課題だけでなく、本文についても今月中に追加意見があればお寄せいただきたい。
以降のとりまとめについては主査一任という形で了承された。
- 重点戦略課題の見直し期間について、3-5年と記載があるのは長すぎないか。
- 現行の戦略課題については、3-5年で解決するかどうか困難な課題であると認識している。しかし、見直しは適宜できるような記載が望ましい。
- 年限が全く書いてなければ、何も記載していないようなものだという考え方もある。ここの記載については、事務局において3~5年に縛られず適宜見直しが図れるようなものに修正いただきたい。
(議題4 今後のスケジュール等について)
今後の開催については、主査の求めにより必要に応じて開催することとなった。
研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室
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