令和7年8月22日(金曜日)16時00分~18時00分
文部科学省 17階 研究振興局会議室(傍聴はオンライン会議にて参加)
合田委員、伊藤委員、井上委員、上田委員、河合委員、小林委員、田浦主査、只熊委員、館山委員、福澤主査代理、朴委員、棟朝委員、横田委員
淵上局長、阿部参事官、栗原室長、池田参事官補佐、森専門職、瀧技術参与
(理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS))松岡センター長、近藤部門長、嶋田室長
会議開始にあたり、議題1については議事運営第4条一および二により非公開とすることが確認された。
議題1:令和8年度概算要求について(非公開)
令和8年度概算要求について事務局から説明があった後、質疑応答が行われた。
議題2:新規ワーキンググループの設置について
資料2について事務局から報告があった。委員からの質疑・意見は特になし。
議題3:次世代計算基盤を見据えた今後のHPCIの運営に係る検討ワーキンググループにおける検討結果について
資料3について事務局から説明があった。委員からの質疑・意見は特になし。
議題4:理化学研究所における次期フラッグシップシステムの検討状況について
資料4について理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)松岡センター長、近藤部門長から説明があった。
委員からの質疑等は以下のとおり。
【田浦主査】 ただいまの報告について、御意見、御質問などお願いいたします。
【朴委員】 やっと発表になって大変よかったなと思うのですけれど、システムアーキテクチャーのことで、スケールアップネットワークはNVIDIAがやるから当然NVLinkベースなのですけれど、スケールアウトネットワークはどういうお考えでしょうか。
【松岡センター長】 現状では、ネットワークとストレージとかそういうものに関しては、やはり複数評価したいと。例えば、もちろんNVIDIAもネットワークベンダーですが、ほかにもブロードコムとかその他有望なメーカーがあります。ですから、NVIDIAがネットワークメーカーだからNVIDIAのものをスケールアウトネットワークに採用するということではなくて、ここは基本設計のときにきちんと評価をして、かつそれらのポテンシャルなパートナーからもよく、様々な形で参加していただいて、最終的に基本設計をするときにそれを評価してベストな選別をすると、そのような考えでいます。
【朴委員】 アーキテクチャーの観点でいうと、ノード数が5,000未満で、今は3,400と例えば書かれていて、それは今までの「京」「富岳」の10万規模のノード数とは違うので、相当違うネットワークになると思っていますけれども。
【松岡センター長】 そうですね。エンドポイントは結構、もちろん1個のノードにエンドポイントはいっぱいつながると。あと、今回はまず間違いなく間接網になるので、そうすると当然上位レイヤーのリンクもできてくるので、意外とネットワークもリッチにはなるのですけれども、ただ、そういう設計をしながら、例えば「富岳」はなぜ、あれだけ高信頼で動いているかというと、やはりネットワークが高信頼なわけで、ただ単にバンド幅とかレイテンシーみたいな基本的な設計メトリックだけじゃなくて、信頼性とかそういうものを含めて、やはり評価しなきゃいけない。
その時に、確かに「富岳」ほどエンドポイントは多くないんだけれども、それなりに多いので、かなり慎重な評価は要するというふうには思っています。
【朴委員】 エンドポイント数が多分、桁が違うなと思うのですけれど、逆に、ツリー型にするにしても、今度は相当なバンド幅のネットワークになりますよね。これだけの重たいノードがつながるわけですから。
【松岡センター長】 そうですね。そこで色々な技術が出てきているので。光を含んでですね。結構その辺りが、今後基本設計で、それを使用する使用しないなどの、それらの利害得失とか、実装できるかとか、時期はどうかとか、コストの関係があるので、そういう必要な広帯域を実装するときにどういうテクノロジーを使うのがベストなのかというあたりもかなり影響しているというふうには思っています。パブリックな場なので、あまり細かいことは言えないですが。
【朴委員】 もう一点いいですか。開発に関して、今回は、松岡センター長も先ほどおっしゃったように、理研R-CCSというのがあるから、「富岳」のときもそうだったけれども、相当がっつりやるのですけれど、例えば「富岳」だと、OSとして基本的にMcKernelを開発して使うという、相当基幹の部分をR-CCSがやったと思うのですけれども、今回どのレイヤーまでを一緒に開発していくのでしょう。システムソフトウエアとして。
【近藤部門長】 特に今回の目標として、もちろん「富岳NEXT」をつくり上げることは重要ですけれども、それ以外に、これらが広く普及するというところが特に重要視されていますので、専用のものを開発するということは考えておりません。
そういう意味では、もちろんNVIDIAさんも富士通さんも、世界に展開するためのシステムを一緒に開発するということですので、それに資するようなツール群を一緒に開発するということが重要だと思っています。
そのためには当然、プログラミング環境を、必要があれば一緒に開発して対応させていく、新しいAI・HPCシステムに対応させていくということも重要ですし、また、Ozakiスキームとか、そういう新しい数値計算のライブラリーを開発していく、チューニングしていくということも必要ですし、あと、スケールアウトのネットワークをどう有効利用するかというところも、通信ライブラリーではかなりポイントになってくると思いますので、そういうものを共同で開発していく。そこにR-CCSが、必要があれば我々のリソースも使って開発するということを考えていますし、特にエージェンテックAIとか、各HPCアプリをAI化、AI利用を可能なようなものにしていくというところは、そのためのサポートのツールですね、そういうものは我々が主体的に作っていく必要があると思っています。
【松岡センター長】 そうですね。前回はシステムソフトウエアは実際の運用で使われているシステムソフトウエアはほとんどオープンソースLinux、プロダクションレベルのLinux、RedHatですね、のものか、富士通が作ったものが基本だったわけです。
その後、SpackだとかDOEが作っているものに我々が協力したものも入ってきたり、だんだんAIが入ってきて、AIのライブラリーとして富士通と理研と一緒に、DL4FugakuでoneDNN for ARMとかそういうものを開発したりしましたけども、基本的にはコンパイラや性能モニターとかそういうところは基本的には富士通が作っていたわけです。数値ライブラリーとか。
今回は、まず「バーチャル富岳」というのが先程ありましたけど、「バーチャル富岳」を我々が作るに当たって、現状、今の「バーチャル富岳」というのは、それらの富士通にディペンドしていたモジュールをほとんど全てなくしたものになっているわけです。
だから、基本的には「富岳」のソフトウエアが全て動く、クラウド上でもほかのスパコンでも乗せれば動く環境なのですけれども、ただ富士通専用のツールとかライブラリーが一切ないものになっています。
ですから、まず我々が今後システムソフトウェアを開発していくときに一番ベースとなるのは「バーチャル富岳」なのです。それが一番の基本になります。
【朴委員】 それは非常にジェネラルなプラットフォームでなければいけないということですね。
【松岡センター長】 そうです。だから、「バーチャル富岳」は、実はものすごくリッチな環境なのです。色々なアプリケーションソフトウエアや色々なライブラリーが入ってリッチな環境ですが、基本的にはオープンソースのものをアグリゲーションして作った環境を、それをコンテナ化したのが「バーチャル富岳」なので。かつ、それをSpackでインストールできるようにする。
だから、まず理研が作る一番のベースラインのシステムソフトウエア、実行する際のシステムソフトウエアというのは、「バーチャル富岳」をベースとして、その上に例えばDOEのE4Sだとか、NVIDIAとか場合によっては富士通がつくるオープンソースの、例えば富士通も今、ARM用のコンパイラをLLVMベースでつくり直しているので、そのオープンなLLVMのコンパイラとかそういうものをインテグレーションしたものというのが、まずは基本になります。
それプラス、AIのライブラリーだとか、AIをサービスする、例えばOpenAIみたいなああいうインターフェースだとか、Open OnDemandもあるのですけど、さらに我々はセキュアなAI環境を開発していて、AIのインタラクティブな環境を今つくっていて、色々なオープンモデルを入れて、OpenAIみたいにブラウザでインタラクションしたり、APIキーでアクセスして、でもセキュリティーで守られていて、かつプライベートなデータのセキュリティーが守られるという環境もつくっていて、それはAI for Scienceのニーズでつくっているのですが、それも「富岳NEXT」に載ってくると、そういうことをやります。
ですから、そういう色々なサービス、Open OnDemandとか、まだ名前がないのですけれど、そのAIのサービス環境とか、あとデータ処理パイプラインのサービス環境だとか、そういうものを今作っています。
最後に、アプリケーションをテスティングして、インテグレーションして、それをベンチマーキングして、かつそれをポーティングを助けると。今の既存のユーザーが「富岳NEXT」に移植するのも助けるのだけど、一般論として、きちんとソフトエンジニアリングに基づいた開発環境を全ユーザーが使うと。これが非常に大事です。今までみたいに個別にやるのではなくて、本当にちゃんとインテグレーションされた環境で、AIツールを使いながら開発すると。そういう新しい環境に、やはり日本のHPCの各グループもいち早く転換しないといけないと思うのです。そうしないと、一個一個のアプリケーションにエンジニアを一人一人張りつけるなんていうのはとてもできないので。
今、例えばマイクロソフトで30%のコードがAI生成になっているのと同じように、今のHPCのソフトウエアというのも、例えば新しいメソッド、例えば既存のアプリケーションがあって、そこにプラスアルファで新しいメソッドを追加したいと。そういうときには基本的にもうAIで行うと、そういうことを理想的には行いたいわけです。
そのためにはそういうものが必要だし、かつ、それをテストしたり、ベンチマークしたり、インテグレーションしたり、そういう環境、それを自動的にやってくれる環境が必要です。
これは、例えばオークリッジでもChatHPCという形で開発が進んでいて、我々もそれが使えるかどうかの評価を始めているのですが、そのような新しいAI環境、ないしはコンティニュアスベンチマーク環境でユーザーが課すだけ、そういうふうなシステムをつくる。
これらのシステムというのは、「富岳NEXT」ができてからつくるのではなくて、来年そのフェーズ2のシステムが動いたときになるべく一般公開する。全部ではないにしろ一般公開するようなことを目標に、もうつくり始めているのです。
そうすると、「富岳NEXT」に参加していただけるアプリケーションユーザーというのは、フェーズ2のシステム、すなわち1,600GPUプラス約800CPUの、Grace Blackwellがベースとなっているシステムですけれど、そこの上で「バーチャル富岳」のベースのシステムのソフトウエアが動いて、その上にAIとかOpen OnDemandのサービス環境が動いて、ベーシックコンティニュアスインテグレーション、ベンチマーキング、ポーティング環境が動いてと、そういうふうな環境を提供して、広くユーザーに使ってもらって、それがだんだん進化して最終的に「富岳NEXT」になっていくと、そういうストーリーになります。
【朴委員】 言いたかったことは何かというと、「富岳NEXT」のためにどれぐらい専用の、あるいは特殊な環境というのがつくられるのかなということを危惧していて。
要するに、せっかく世界標準になるだろうというGPUと、それからMONAKA-Xの組合せ、CPUはGPUほど癖がないのでと思っているので、色々な形で対応できるだろうと。セキュリティー機能とかは別にして。
そうすると、やはり今までの「富岳」までの歴史と違って、世界標準になっているようなGPUをベースにしたHPC・AIアプリケーションをつくるから、それは世界にも使ってもらうし、世界で開発されたものもちゃんと「富岳NEXT」で動くという。プラットフォームの共通化というのは、恐らく色々な共同研究とかソフトウエアの生産性を上げると思うので、それはちゃんと目指してやっていきますという、そういうことですよね。
【松岡センター長】 そうです。「富岳」も、ARMに移行する、多少はそれは、部分的には達成したのですよね。あと、例えばLinuxベースで、かつ、きちんとOSがアップデートできる環境になったとか。「京」のときはOSのアップデートができなかったので。それが今はちゃんとRedHatベースでできるようになりましたし。だからある程度、道半ばであったけど、多少標準化ができたと。
でも今回、例えばHPSFに参加しているように、朴先生おっしゃるように、なるべく、もう基本的には、よっぽど例外がない限り、基本的にはもうオープンなコミュニティーを醸造するような形で、そこに我々が貢献するというので、高度な標準化ソフトウエアをつくったり、導入したりしていくと。それで理想的な環境をつくって、それをほかのセンター等と共につくって、外部に提供していくことを目指したいというふうに思っています。
【田浦主査】 ほかにいかがでしょうか。
【河合委員】 東北大の河合です。途中出てきたアプリ開発環境の整備というところがすごくいいなと思って聞いていました。確かにこうやってアプリ環境の整備をすることで、またサポートすることでユーザーが広がるという側面はあると思います。ただ、例えば今の「富岳」のように成果加速プログラムで予算をつけて、「富岳」を初めからきちんと使えるようになったことで、そこから裾野が広がっていってユーザーが増えるという側面ももう一方であると思います。これは理研さんに言うのか、文科省さんに言ったほうがいいと思うのですけれども、今回かなり大きく、日本の中でもずっとCPUベースだったところが、大きくGPUベースに変わるということで、アプリ開発の重要性は非常に重要だと思います。その辺をしっかり検討に入れないと、せっかくいいシステムができたのに、なかなかポーティングがうまくいかず、今のユーザーが全然使えないということが起こらないようにしてほしいと強く思いましたので、よろしくお願いします。
もう一点、ストレージのことなのですけれども、「富岳」もかなりストレージが逼迫していて、なかなか今、大変な状況だと思います。例えば普通のHPCアプリケーションであっても5倍から10倍のアプリ性能向上、計算法の革新などにより100倍のアプリケーション性能ということで、ストレージの容量であるとかI/O性能というのはどんなふうに考えておられるのでしょうか。
【近藤部門長】 今回、資料を入れていなくて申し訳ないですけれども、「富岳」のときのストレージの課題というのは十分認識しておりますし、これまで何が問題だったかというのも、技術的にも、あるいは使い方も含めて、ヒアリング等をしてかなり把握をしていますので、それに対処したものをつくっていくというのは当然やっていくつもりです。
また、前回までそれらのスライドがあったと思うのですけれども、どういうI/O性能が必要かということも一応試算をして、それに向けて早めに整備をして、特にストレージに関しては「富岳」から継続的に移行できるということも重要ですので、その辺は早めにやっていきたいというふうに考えています。
【河合委員】 ありがとうございます。
【松岡センター長】 先生がおっしゃる課題というのは、どこも抱えているところなのです。別に「富岳」に限らず、どのスパコンも今、ストレージの性能だとか、これは昔からの問題ですけれど、特に最近これが広がっている。特にAI時代になってですね。
逆に、今、ストレージベンダーというのは、またそれに対応するようなソリューションをいろいろ出してきています。主にアメリカのベンダーなのですけれど。
我々はそういうのを今、その問題も分かっていて、かつ調査をしてという段階です。あまり詳しいことは言えないのですが。
それらの技術を組み合わせると、一つの選択肢としてアクセスの方法ですね、例えば巨大な実質的にデータベースみたいな表形式データを持っていて、そこからバーッと探してくるような機能が欲しいだとか、そういうのをストレージに求めるような、そういうインテリジェントなストレージというのが今あるわけです。物理メディアとしても、ハードドライブもあるけどもフラッシュ化している。フラッシュを生で使うとやはり色々な問題がある。でも、それを解決するための技術がある。
そういうことを、ストレージベンダーとも会話はもう始めていて、それらを総合的に判断して、やはりほかの部分が、おっしゃるようにこれだけアップグレードするのにふさわしいストレージを調達したいと。
先ほどあったフェーズ2とかフェーズ3とか、そういうシステムがありましたけど、ある意味でそれらのシステムの段階から、それらのベンダーのストレージというのを試験的に調達をして、実際にベンダーと一緒にストレージのテストもやっていく予定です。
【河合委員】 ありがとうございました。
【栗原室長】 事務局から。河合委員の御指摘のとおりでございまして、アプリ開発等に関しての、開発を頑張ってもそれがポーティングして「富岳NEXT」に使えなければという御指摘でございました。
御指摘のとおり、本日の議題1、非公開議題でございましたけれども、そこでも扱った点でもございますし、また、現在公募中の次世代HPC・AI開発支援拠点形成の事業に関しては、まさに加速部、またAIを活用した計算手法による計算科学の発展を推進するために、既存のアプリケーション開発者等に関する加速部対応の技術支援等も含めた、必要な研究開発を実施するためのものでございます。そういった様々な施策を動員しながら、政府として対応をしっかり行ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
【田浦主査】 上田先生、お願いします。
【上田委員】 説明ありがとうございます。ちょっと別の会議があって先ほど入ったのですけれども、資料は事前に拝見させていただきまして、個人的にはAI研究者として、これは非常に私自身、感激しております。AMDになるとどうなるかというのは以前もコメントさせていただきましたけれども、NVIDIAでGPUが採択されれば、AI研究者にとっては非常に大きなメリットがある。これは皆さん言うまでもないのですけれども、CUDAが使えるし、PyTorchだとかTensorFlowとか、そのコードがそのまま使えますし、GPUへの分散学習もできるとなると、ChatGPT級のLLMだとか拡散モデルだとか、そういうような超大規模なAI学習が、いわゆるクラウドじゃなくて国内で実現できます。このことは非常に魅力的だと言えます。現在、学生さんとか若手研究者は単独のGPUでいろいろ開発していますけれども、それがこの「富岳NEXT」でも使えるということになると、教育コストも下げることができますし、国際共同研究の障壁も一気に減ると思います。日本語に特化したようなアプリだとか、あるいは日本の産業に特化したような基盤モデルとか、そういうものを国内で閉じてできるという意味でも、この「富岳NEXT」というのは少なくともAIの研究、あるいはAI for Scienceにおいては非常に大きな原動力になると思います。ぜひ、富士通さんのほうでこれらのツールキットが整備されると思うのですけれども、いろいろバージョンがあると思いますので、その辺をぜひ小まめにフォローしてコンテナでやっていただきますと、非常にAI研究者が「富岳NEXT」に殺到するのじゃないかと予想されます。HPCユーザーから見たときの感覚と、AI研究者から見たときの感覚は必ずしも同じではないと思いますが、AI研究者である私にとっては大変すばらしい結果になったと思っております。
感想です。以上です。
【田浦主査】 ありがとうございました。
たくさん手が挙がっていますので、次へ行きたいと思います。井上委員、お願いします。
【井上委員】 九大の井上です。御発表ありがとうございました。ここまで来たなと思って、ある意味ユーザーとしてはわくわくしながら聞いていました。
2点ありまして、1つは、これからになると思うのですけれども、MONAKAとNVIDIAのGPUがつながるというところがやはり一つの肝だと思うのですけれども、今後ある意味、例えばなのですけれども、パワーマネジメント、パワーAPIであったりという、両方が連携して制御するようなことが出てくる、システムソフトウエア系のところが一つの重要なポイントになるかなと思うのですけれども、その開発というのはどこがどう分担するみたいな、大きな、ラフなデザインはあったりするのでしょうか。
【近藤部門長】 ありがとうございます。パワーのマネジメント制御のところはとても重要でして、「富岳」もそれによってかなり省電力が図られているということもありますので、そこの機能はかなり最初から盛り込んでといいますか、強化をすることは検討に入っています。
そこでソフトウエアをどう作るかというのは、もちろんハードウエアの深いところまで含めて制御する必要があるので、その辺のドライバーとかミドルウエアという意味では、各ベンダーさんによるところも大きいと思うのですけれども、それをどう使って、もっと言いますとジョブスケジューラーとかそういうものを含めて、どうやって運用していくか、その辺のソフトウエアは理研が中核を担って開発していく所存です。
【井上委員】 それはすごくいいスキームだと思います。
もう一つ、これもかなり先の話になるかもしれないので、漠とした答えでもいいのですけれども、量子コンピュータとの接続のところで、今、特に量子系だとNISQからFTQCに急速に変わっていこうとしているような状況だと思っていまして、このフェーズのときに、「富岳NEXT」として量子コンピュータの連携というのをどういうふうに捉えておくべきかって、結構難しい問題だなというのは感じておりまして、その辺りは何かお考えとかありますでしょうか。
【松岡センター長】 そうですね。まず、システムソフトウエアとして、例えばリソースをスケジューリングしながら適切なリソースマネジメントをするとか、クラシカルとクアンタムの部分をなるべく一体でプログラムできるとか、ないしは、最近ちょっと実験しているのは、クアンタムのコードを自動的にAIが生成するとかですね。
あと、逆にクアンタムで動かしたものをサンプルとしてサロゲート学習するとか、そういうことはもちろん、今のクアンタムHPCのプロジェクトで既にいろいろ行っていますし、それらは継続するというふうに思います。
一番の我々の関心事というのはファシリティーの面で、クアンタムコンピュータとクラシカルコンピュータの間の通信というのがどのくらいの帯域だとか、どのくらいのレイテンシーである必要があるかと。本質的にですね。これはまだ分からない領域です。
例えば、今の一番のフラッグシップのアプリケーションで我々がやっているのは、IBMのSystem Twoと「富岳」はつながっているわけですけれど、これは今は一番上の階と下の階なので、もう本当に100マイクロ秒とかそのくらいのレイテンシーでつながるわけです。かつ、「富岳」も何万CPUも使って、System Twoもほぼフルシステムを使って、いろいろやりながら、とある物性計算をするのですけれど。
ただ、そこでのアルゴリズムというのはサンプリングベースのアルゴリズムなので、実はバッチングができるので。クオンタムコンピュータでサンプリングしたのを「富岳」側で固有値問題を解くという感じなので。ということをやるのですが、その際データの転送に関しては実はバッチングができるので、それほどレイテンシーはセンシティブではないのです。しかも両側で計算時間もかかるので。
だから、実はお互いに距離的に遠くにおいてもいいかもしれないわけですよ。そういう場合は。ある程度帯域さえ確保できれば。
今の事例で、逆に例えば、あまりこれはいい例ではないですけれど、VQEみたいなやつだとぐるぐる回らなきゃいけないので、最適化とクアンタムの計算がぐるぐる回らなきゃいけないので、この場合はレイテンシーセンシティブになるわけです。
ほかにも色々なシナリオが考えられて、今後のクアンタムHPCというのがハイブリッド計算とかが必要になったときに、果たして接続性においてどのくらいのものが要求されて、それによって分散して置けるのか、集中的に置かなきゃいけないのかというのはまだ分からない。
今後、プロジェクトでそれを明らかにしていって、将来のクアンタムHPCのファシリティーというのが専用ファシリティーなのか、コロケーションファシリティーになるかというのは、我々も一つの大きな関心事になっています。
【井上委員】 なるほど。その辺りも探索、調査しながら、評価していきながら見ていくという感じですね。
【松岡センター長】 そうですね。やはりクアンタムファシリティー、これは世界中でも行われていて、例えばフランスの場合はCEAでコロケーションしているわけです。一方、例えばアメリカではそうしていないので、それは国によっていろいろ違う。既に色々なところでその試みは行われているという状況になっています。
【井上委員】 ありがとうございます。
【田浦主査】 続いて只熊委員、お願いします。
【只熊委員】 ありがとうございます。本当に、「富岳NEXT」について発表があったというのは大変喜ばしいことだなというふうに思っています。産業界側からの一側面からのコメントとお願いをお伝えさせていただければというふうに思います。27ページ、風洞の代替の例として自動車の空力についても書かれてあると思うのですけれども、ここに書かれてあるとおり、正しいと考えられる車両形状と流れなどの空力性能のデータセットを共有してというのは、共に創っていく、自動車企業を超えて共に創る領域である共創領域だと思います。そこから、統計的機械学習から求めるそれぞれの最適形状、最適性能を出すことはコンペティションの領域にするというのは、そのとおりだなというふうに思っております。なので、これができるようになるというのは、すごく進歩的なことだと思います。
ただ、データ自体、もう日本の競争力の源泉だと思いますので、データの取扱いを国益に資するような形にしていければというふうに思っております。こちらはコメントです。
2つ目はちょっとお願いになるのですけれども、これからの検討になると思うのですけれども、これまでの「富岳」の使用環境を考えると、産業界から見た使いにくさ、手続とかデータのやり取りとか、あとは河合先生からも一部ありましたけれども、回せる人、言わば実装できる人、コーディングを含めですね、その人がいない、少ないというようなことがあると思うのです。やはり産業界からすると、1回回すのに1か月2か月かかるようなものというのはなかなか使いにくいわけです。
なので、お願いとして2つあって、1つがやはり回せる人の育成で、回せる人を配置する、そういったことを考えていかないといけない、そういうふうに思っております。
2つ目に使い方として、やはりAI for Scienceのトップ研究として、最初に使うときというのはアカデミア中心でいいかなというふうに思っているのですけれども、例えばさっきの例でいう自動車の空力のような、車業界、産業間連携で共有するような教師データというようなものをつくる、それは一定、自動車工業会とか自動車技術会と連携をして、個別での研究というよりも、より大きな活動、枠組みとしてやっていくべきだというふうに思っています。
ちょっと長くなりますけれども、あともう一個の側面としては、運用として「富岳NEXT」がトップ研究向きであるのだけれども、計算を回したい企業というのはたくさんあると思うのです。ただ、「富岳NEXT」が本格運用するときというのは、やはりトップ研究、アカデミア中心というふうにならざるを得ないかなというふうに思うのです。さっき言った、共に創る領域以外はですね。
なので、「富岳NEXT」が運用を本格化するときの端境期での、今の「富岳」の使われ方、簡便に産業界が回せるというようなことも、運用として考えていったほうがいいんじゃないか、そういうふうに思っております。
以上でございます。
【栗原室長】 事務局でございます。一点、冒頭にあった、1か月2か月、数か月単位で待たされてしまうという利用の問題点であるとか、また、データの共有等に関してHPCI共用ストレージに関するようなお話かと思いますが、そういった御指摘、また、アカデミア中心でフラッグシップがという御発言もございました。
これらの点は、まさに先ほどの一つ前の議題、資料3の次世代計算基盤を見据えた今後のHPCI運営に係る検討ワーキンググループの検討結果についての中の、特に7ページ、大論点Dに関連するところとして、まさにこれから、このHPCI計画推進委員会の中での御議論も反映して、政府として取り組んでまいりたいと思っております。
この中の、例えば大論点D1-4には明確に、「HPCIが学術研究中心と誤解されている」と書いてあるのです。すなわち、今、只熊委員がアカデミア中心なのですよねとおっしゃったことは、実はそれは誤解だ、ということは、既にこの一つ前の資料の7ページに書いているというところで、政府としても、HPCI計算資源を学術研究中心だと産業界が誤解していることを、ぜひその誤解を解いていきたいという思いでございまして、この委員会としても、論点D1-4でそのように整理をいただいたと思っております。
ですので、こちらも2025年12月までに、様々なコミュニティーに向けた形成の方向性であるとか、また、年内に10件程度の具体的な新規案件であるとか、様々ここにも方針が書いてございます。
また、試行課題ですと比較的短期で実行できますが、おっしゃるようにA期・B期の定期課題というと、今の「富岳」の定期課題というのは一定程度、数か月間の時間がございますが、その辺りに関しても、論点D2等で課題体系の抜本的な整理をするということもございますので、この辺りも政府としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【松岡センター長】 理研から申し上げますと、今幾つか御指摘のあった点で、データの活用及びセキュリティー、共有等に関しては、これは別に企業にユニークな話じゃなくて、実際の研究、普通の研究活動でも、現代の研究だと全く同じ問題が起きるわけです。
今、理研においては、「富岳NEXT」のプロジェクトも立ち上げましたが、AI for Science、TRIP-AGISというプロジェクトも、我々だけじゃなくてほかの理研の研究センターも含んで大きなプロジェクトが動いていまして、そこにおいて我々R-CCSとしてシステム側等を担当しているので、そこで、おっしゃるようなデータプライバシーを守りながら、AIや、場合によってはシミュレーション等を活用できる。しかもease of useで活用できるような環境というのを今設計して、実装をしております。もうプロトタイプが動いています。そこでは、例えば先ほどあった、シミュレーションをして、そのデータが出てきて、そのデータを教師データとして例えば学習させたいなんていうのはありますけれど、そうすると、その出てきたシミュレーションのデータというのは、例えば製品が出るとか論文が出るまでは当然秘匿性が高いデータで、AIをトレーニングするときに、例えばその教師データを使って追加トレーニングする場合に、そのAI自身が例えば悪さをしないだとか、そういうことが求められるわけです。
というのは、もうモデルが何をするかというのはもちろん分からないので。昔はよかったのですけれど、最近はそこで訳の分からないMCPサーバーとかを呼び出して、それはMCPサーバーというのはセキュリティーがないも当然なので、そこでデータがだだ漏れになるとか、いっぱい危険性が指摘されています。
我々は、そういうことが起きないような、100%のセキュリティーはもちろん難しいですけれども、極力起きないで、かつ、例えばOpenAIやGoogle等が提供しているような様々な、例えば、AIの推論サービスだとか追加学習サービスだとか、そういうものをユーザーが容易に使えるようなものを開発していて、それらは、何回か紹介しましたけども、実は内部的にはもう動いているのですけれども、一番最初はパブリックにはフェーズ2のシステムである1,600GPUのGrace Blackwellのシステムで、運用を来年からもう開始します。
もし産業界のほうでそのようなものに御興味があるのであれば、ぜひそういうのも「富岳NEXT」の開発の一環としてテストしていただいて、どういう機能がまだ不足しているかとか、どういう機能が欲しいか、どういうことが使いやすい等をぜひフィードバックをいただいて、それを我々が改良につなげると。つなげれば、そのシステムは行く行くは「富岳NEXT」に載りますので、我々としても大変助かるという状況でございます。
このように、「富岳NEXT」のサービスの形態というのは、従来のいわゆるスパコンのバッチジョブ、これももちろんサポートするのですけれども、そのようなものではなくて、より現代的な、サービスオリエンテッドな、アーキテクチャーのサービスイン、サービスアーキテクチャーというのも大々的にサポートされますので――もちろん、標準アーキテクチャーですから、様々なアプリケーションは普通にOut-of-the-Boxで動くし、また、色々なサポートも、現在「富岳」でも開始していますけれど、AIによるサポート、運用もAIによるサポート等で、AI化することによって、ユーザーにとって非常にフレンドリーな環境を実現していく予定ですので、よろしくお願いします。
最後、「富岳」ですけれど、「富岳」を企業が端境期に使うという話ですが、まず第一に、今回端境期はないのです。「富岳」と「富岳NEXT」というのは実は同時に、「富岳」を動かしながら「富岳NEXT」をつくるので、基本的に端境期というのは、電力のリミット以上には生じません。
ですので、21ページにありますけれど、「富岳NEXT」というのは新しい場所につくるので、「富岳」というのは動かしながら「富岳NEXT」をつくります。
じゃあ、「富岳NEXT」が動いたら「富岳」はどうなるのだという御質問もよく受けるのですけれども、これは、お金があれば動かせる。お金がないと動かせないのですけれど。その心は、その段階で、もしこれが共用法の支配下にないような施設になれば――ここら辺はちょっと、まだ法的にどうなるかというのは文科省と相談しなきゃいけませんが、「富岳NEXT」が共用法下になって、「富岳」が共用法の配下から外れれば、企業が例えば運用費さえ負担していただければ、「富岳」のほうを独占的に使うなんていうのも可能なモデルになるのじゃないかというふうには思っております。
2029年・30年にどのくらい「富岳」が競争力を持っているかというと、メモリ帯域とかを考えると意外と競争力を持っている可能性がありますし、世界最大のCPUマシンであることはもちろん変わらないので、それが十分に企業やほかの研究体にとって用途が足るのであれば、そのコストさえカバーされれば、我々はそれを継続して運用し続けることに全くやぶさかではございませんので、それも含めて御検討いただければ大変幸いです。
【栗原室長】 事務局でございます。政府としては、昨年の6月に本委員会で、次世代計算基盤に関する報告書最終取りまとめということをまとめていただきました。
そこでも、「富岳」から「ポスト富岳」に対して切れ目なく運用ということを書いておりますが、そのイメージという図示した中でも、長期間継続した運用がされるようなイメージは示されてはいないというところではございますので、そこは引き続き様々な観点から、政府としても、財政的な負担や様々な政策効果等も踏まえて、幅広く検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【田浦主査】 只熊委員、何かリアクションがありますか。
【只熊委員】 いろいろコメントいただきまして、どうもありがとうございます。おっしゃるとおり、様々な検討ができればというふうに思っております。
また、言葉足らずでうまく伝わっていないなというところがありますので、申し訳ございません、誤解なきよう改めて申し上げると、産業界の発展にも資するような活用をするというのは目的の一つと認識をしております。
「アカデミア中心」という言葉を使わせていただいたのですけれども、それは世界トップ研究のために使うということであるというふうに思っていますので、誤解なきよう御認識いただければというふうに思っています。
産業界としては、先ほど申し上げましたように使いやすさ、これを継続議論させていただければというふうに思っています。
また、端境期の話に関しては、「富岳NEXT」が動いているときに、今の「富岳」を同時に使えるのであれば、今の「富岳」というのは産業界でのニーズは多分あると思いますので、その時にうまく運用できるように考えられれば考えたいなというふうに思っています。
栗原さんがおっしゃったように、幅広く検討していくということですので、継続的にまたお話しさせていただければと思います。
以上です。
【田浦主査】 ありがとうございました。
館山委員が手を挙げられていましたので、これで最後になるかと思います。
【館山委員】 一般的な話からまた技術的なところで。科学大の館山と申します。私は科学材料系のアプリ開発のほうの代表をしております。
私ども材料系のところは、「富岳」の中でも上のソフトウエアはランキングとしては高くて、多くの利用があるかと思いますけれども、その中心が、多分FP64系が多くて、これからどうやって移していこうかというところをアプリ開発の若手の人は考えているところで、今回、例えば14ページとかでも、ミドルウエア、ライブラリーで、ポータビリティーというか継続性は重視するけれども、もう少しドラスティックに、いわゆるFP64のところは変えていく、それを一緒に何かやっていくという、そういう形の、R-CCSのイメージというか、メッセージというか、今開発している人たちに、どの方向に行くんだよというのがもし見えたらありがたいかなと思ったのですけれども、何かコメントいただけますでしょうか。
【松岡センター長】 FP64と一口に言っても、アプリケーションの性質によってその対応がもう全く違うので。
ただ、一言で言うと、その対応によって、実は今よりはるかに高い性能が期待できる場合が多いです。つまり、普通にネイティブにFP64のハードウエアを使うよりは、むしろ新しいアルゴリズムやライブラリーに移行したほうが早くなる可能性が高くなります。
【館山委員】 比較的早い段階でそういうのを何か触れられる機会というのが、来年度から多分テストベッドとかがあるというふうには伺っていますけれども。
【松岡センター長】 はい。先ほど申し上げたように、フェーズ2のマシンというのが今度理研にできて、主にAI for Science用ではありますけれども、ただ、理研の意図としては、そうはいっても理研の研究、さらには国の研究開発、そのプロジェクトだけじゃなくて、そのような用途にも供するということは、理事長の意図としても既にそのような指令が出て、それを検討する委員会なんかもできています。
その上に、今申し上げた、例えばエミュレーションするとか混合精度を使うとか、何もしないで普通にベクトル演算するだけだとか、色々なやり方があるのですけれども、そのようなものをきちんと全部整備して、かつ、今度新しくSC25でも発表するのですが、様々な精度を試せるツールなんていうのも開発していまして、実際に動いているのですけれども。 そのような複合的なことをやって、実際にアプリケーションの開発者の方々にそういう、まずはライブラリーとかを提供すると。さらにそれをAIシフトするような形にしていくということで発展させます。
ただ、トライをしたいとおっしゃるであれば、一番いいのは今後の開発計画において、フェーズ2のマシンに対して、こういう方法があるよと。さっき申し上げたように一つの方法ではないので。アプリケーションの性質で全くやり方は、どれが適切かというのは変わりますから、それをいろいろ見ていただいて、自分のアプリケーションはどれがフィットするかと。 例えば密行列で普通にBLASというか、LAPACKを呼んでいるのであれば、多分ほとんど何もしなくていいわけです。特にGPU化した段階で、NVIDIAが既にそういうエミュレーションライブラリーをデフォルトで呼ぶように次からはなるので、何もしなくても早くなるということになります。
一方、混合精度を使うとかいう場合は、ソルバーのレベルで呼べればいいのですけれど、自分でソルバーを書くと、やはりそれは混合精度に対応しなきゃいけないので、そういうあたりは自分である程度混合精度対応をしていくと。その時はツールを使いながら検証していくのも必要になるので、それは物によって対応が違うので、試していただくのがベストかと思います。
【館山委員】 非常にHPC側としても楽しみにしておりますので、ぜひ一緒に協力というか、サポートしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【田浦主査】 ありがとうございました。
では、様々な御質問並びにお答えありがとうございました。主査特権で、最後ちょっとだけ意見を言わせていただくと、やはり既に表明されているように、色々な方が楽しみにしていると思います。システムソフトウエア関係者しかり、サイエンスのアプリケーションをやられている方しかり、AIの方しかり、各産業界の方しかりと、こういう色々な人が、この発表自身、非常に聞いてわくわくしていると思いますし、これからということで楽しみにしていると思います。
ただ一方で、松岡先生と近藤さんが入る前の議題でも、ちょっと国の予算の話というのがあって、なかなかソフトを開発するとかアプリを開発するというところに、正当な配分がなかなか行っていないという国の事情があると。アプリケーションを開発される方が一体どうしたらいいのかというような状況にもなっています。
それは国の問題として栗原室長に受け取っていただきましたけれども、やはり、このフラッグシップの開発を担う理研さんとしても、ぜひ、理研の研究が進めばいいというだけではなくて、ぜひ理研以外の方々、ここに参画をしたいと思っている人たちが参画できて、そこの予算は別途つくというのが今の国の仕組みではありますけれども、なかなか、そこが簡単には行っていないという中、少しコミュニティーをサポートするというような取組もぜひ考えていただければなと考えています。
【松岡センター長】 その開発プログラムに関して、「富岳NEXT」の開発連携プログラムとかいうものをぜひつくろうと思っていまして。つまり、一部のNDA情報だとか、あと先ほど申しましたフェーズ2とかフェーズ3の開発環境にアクセスができると。「富岳」のときは、似たようなものはあったのですが、非常に限定された、重点課題のごく一部の人たちしか、そういう対象じゃなかったのです。
でも今回は、田浦先生のおっしゃるように、もう本当にコミュニティー、日本の中、及び世界のコミュニティーを巻き込まないと、なかなか、逆にこれだけの開発をするのは難しいと。
ですので、まさにコミュニティー形成を、このようなプログラムを通じて、アプリケーションやシステムソフトウエアなどなどをつくっていただくなり、早期からNマイナス2、いわゆる前々段階のプラットフォーム、そして可能であればNマイナス1、いわば前段階のソフトウエアにもアクセスいただいて、かつ開発にフィードバックいただく、そういう形態を取りたいと思いますので、ぜひ、まさに本当にコミュニティーは大事であるというのには同意いたします。
【田浦主査】 ありがとうございます。また楽しみが増えました。
事務局より事務連絡を行い、田浦主査により閉会。
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