HPCI計画推進委員会(第57回) 議事要旨

1.日時

令和6年3月19日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室(傍聴はオンライン会議にて参加)

3.出席者

委員

合田委員、伊藤宏幸委員、上田委員、梅谷委員、小林主査代理、田浦委員、館山委員、中川委員、福澤委員、藤井主査、朴委員、棟朝委員

文部科学省

塩見局長、嶋崎参事官、国分室長、谷本参事官補佐、関口専門職

オブザーバー

(理化学研究所 計算科学研究センター)松岡センター長、庄司部門長、原室長、嶋田室長代理

4.議事要旨

議題1:令和6年度予算案について
資料1について、事務局から説明があった。
 
【藤井主査】  ありがとうございました。資料1の説明について、何か御質問があればよろしくお願いします。いかがでしょうか。
【館山委員】  後半のHPCIの運営のところで、ユーザー拡大で2億円増額ということですけど、もう少し具体的にどういう内容を想定されているんでしょうか。
【谷本参事官補佐】  こちらの増額は、億円単位では2億円ですけれども、もう少し数字を細かく申し上げますと、約1.7億円を増額しています。こちらは、計算資源の利用料、利用負担金を、電気代の高騰分全てではありませんけれども、増額しているという状況でございます。
【館山委員】  分かりました。
【藤井主査】  よろしいですか。ほか、オンラインも含めていかがでしょうか。大きな問題はないということですので、よろしいですね。それでは、資料1についてはここで終わりにして、議題2に移りたいと思います。
 
議題2:令和6年度の政策対応課題について
資料2について、事務局から説明があった。
 
【藤井主査】  ありがとうございました。
 これについても、御質問等あればよろしくお願いします。いかがでしょう。よろしいですか。政策対応枠はいずれもこれまでの延長ということで、特段新しい話ではありません。政策対応枠は利用資源の最大量か、計画量かわかりませんが、資源の利用量というのは、全体資源に対してどの位になっているのでしょう。
【谷本参事官補佐】  今回採択している3つの課題は、3課題合計で2,700万ノード時間を配分しています。また、「富岳」全体の計算資源ですけれども、メンテナンスなどに必要な量を除いて、公募しているかどうかによらず、つまり理研の高度化・利用拡大枠なども含めて、全体の計算資源量が約13億ノード時間あります。この2,700万割る13億をしますと、約2%の使用割合になっているところです。
【藤井主査】  ちょうど一般課題が1つある位のサイズ感ですね。
【谷本参事官補佐】  一般課題は半期単位での配分ですけれども、大体似たようなサイズ感になっているかと思います。
【藤井主査】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
【伊藤(宏)委員】  成果創出加速プログラムですが、この中で、後にちょっとお話があるかもしれません。AI for Scienceとかそういうものが織り込まれつつあると思うんですね。そうしたときに、年度ごとに適時そういうものを開示していくというか、国民とかそういうところに知らしめるような、何かそういう努力はされているんでしょうか。
【藤井主査】  まず文科省からお答えいただけますか。
【谷本参事官補佐】  成果創出加速プログラムについては、研究交流会というものを開催しておりまして、課題ごとの成果の横展開や周知といった取組をしている状況でございます。
【伊藤(宏)委員】  分かりました。ありがとうございます。
【藤井主査】  領域総括が何人かいますので、それらが議論して、RISTさんに交流会とかシンポジウムに加えて、より幅広い、よく知ってもらうような努力というのを新たなことも含めて考えて欲しいというお願いしています。研究交流会も、例えばAIの議論を中心にやるとか、意図的にテーマを絞ってやるような形をしていますので、少しずつですけど、いろいろな努力をして広げていかなければいけないというのは皆さん認識していると思っています。
【伊藤(宏)委員】  ありがとうございます。
【藤井主査】  ほか、いかがでしょう。よろしいですかね。
 では、大きな問題はなさそうですので、先に進ませていただきます。
 
 
議題3:拡張型整備の実現可能性について
資料3について、松岡センター長より説明があった。
 
【藤井主査】  ありがとうございました。
 それでは、松岡センター長の説明に対して、御質問、御意見等よろしくお願いします。いかがでしょうか。
【合田委員】  御説明ありがとうございます。端境期をなくすというのは非常に重要だということは私も身に染みているところで、今日の話、幾つか解というか、ソリューションが示されていたと思うんですけど、一つは、異なるシステムを、運用期間をオーバーラップさせてやることで、変えるということと、いわゆる第二階層のような、「京」のときのように第二階層のマシンも活用するという話と、バーチャル「富岳」のようにクラウドを活用すると、3つの話があったと思うんですけども、松岡先生の全体的なお考えとしては、こういった複数の手法を組み合わせて、端境期みたいなものをなくそうという理解で正しいでしょうか。
【松岡センター長】  第二階層に依存するのは、今回、極力避けたいとは思っています。というのは、やはりパイが大きくならないんですね。先ほどのグラフを御覧になって分かるように、やはり我々がパイを小さくしてはならないわけです。特に第一階層が可能である「京」とか「富岳」がなくなるというのはもう圧倒的に影響が大きいので、特に次回はですね。ですから、第二階層に依存するだけというのはもう、恐らく御迷惑をかけるから避けようと。クラウドを活用するというのも、これはクラウドの活用を例えばクラウドバッシングとかそういうのでリソースが足りないときにということはもちろんあるわけですけれども、ただ、それはやはり様々な形の予算立ての困難さを考えますと、これもあまり積極的な施策としては考えにくい。ただ、これはむしろ企業が常態化した形で、バーチャル「富岳」のようなエフォートを抽出したりする、別に端境期じゃなくて、常態化する形で、「富岳」で得られた成果を民間に転用するだとかそういうシナリオのために使う。やはり一番大きなのは、我々が複数システムをデプロイし、かつ、継続的に開発を続けるということですね。
 別に端境期だけではなくて、やはり今のAI優勢の時代、これは10年前、2012年ぐらいですね。例えばアレクサネットが出てきたときは、世の中がこんなことになるなんて誰も予見していなかった。ところが、2012年というのは、これは「京」から「富岳」へのフィージビリティスタディが始まった年なんですね。ですから、そのフィージビリティスタディが始まったときは、到底、今みたいな状況になるというのはもちろん予測できなかったですね。
 これが例えば2017年ぐらいになると、トランスフォーマーが出てきたので、CNNのようなディープラーニングというのは十分、次のメジャーワークロードになるなということは分かっていたので、もし5年サイクルで研究開発というのが進んでいれば、十分それを取り入れたマシンというのができたかもしれない。現実問題としてABCIなどが、2018年に作っているんですね。それで、今、非常に我が国のAIのワークポスト、いわゆるその基盤とかです。
 ですので、研究開発のサイクルを短くして、一部でもオーバーラップする形で行くというのは、我が国がHPCによって、フラッグシップマシンが競争力を保つということにやはり必須だと。ただ単にサイクル、このロストサイクルだけではなくて、やはり我々は国際的なコンペティネスを発揮していくには必須なことだと思っておりますので、それが現実的にそうなっているというのは、例えばDOEなども多くの場合はそのように運用しているというところからも分かると思うんですね。というわけで、何といっても、第二階層とかに御迷惑をかけることはしたくないと思います。
【合田委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
【藤井主査】  今の点に関係して。先ほどの2ページのグラフだと端境期では第二階層全部あわせて富岳の6割程度の資源量ですね。
【松岡センター長】  今は、端境期、大体パリティぐらいが6割、もうこれは何を基準とするかです。
【藤井主査】  そうですね。
【松岡センター長】  例えば、要するに、フロップスを使う、本当はエクサフロップスを少なくしてもしようがないので。
【藤井主査】  確かにそうです。
【松岡センター長】  本当のワークロードでメジャーするべきですけど、でも、大体感覚的には出ると思います。
【藤井主査】  質問の意図は、今回はこの位の差があったとして、またその次の更新のときは、この差がさらに広がっていくのでしょうか。予測が難しいですが、どう思われますか。
【松岡センター長】  それは非常に良い質問ですね。というのは、それは次のマシンがどうなるかによるんですけど。
【藤井主査】  もちろんそうですね。
【松岡センター長】  ただ、ものすごくいっぱいいろいろな要因があるので、答えにくいところはありますけれども、ただ、御存じのように、今のフィージビリティスタディ、フィージビリティスタディをちゃんとやって、研究開発を継続的に行うというのは非常によい結果をもたらしていて、それによって最新のテクノロジーを開発する。特に今、欧米というか、米国ですね。主に米国のパートナーとも協力してもらって、最新のステイト・オブ・ザ・アートを開発するという観点からすると、フラッグシップマシンはリードタイムを確保することになるので、だから、そういう観点では、どちらかというと広がる傾向にあるかなと思います。
 もう一個の要因というのは、やはりムーアの法則、そうは言っても、ムーアの法則はどうしてもスローダウンしていくので。そうすると、一度、あるマシンを作って、それから、昔の場合はもうムーアの法則ですぐキャッチアップしたんですけども、キャッチアップするのがやはり難しくなるという状況はあると思いますね。ですので、それは今回起きている。「京」、「富岳」の場合も起きているので、その傾向がより激しくなるという予想が、標準の予想がもし当たると、その差の広がり方というのはより「富岳」の、次々世代の「富岳」のときよりは進むというふうには思います。
【藤井主査】  ありがとうございました。今の段階でなかなか議論できないところですけど、第二階層も一体としてのHPCIなので、この差が広がるようなら、そこら辺は少し考えて皆さんで議論していかないといけないかなと思って聞いていました。
【松岡センター長】  それはおっしゃるとおりだと思います。
【田浦委員】  フラッグシップ級のものを2つ、オーバーラップさせながらというのは、多くの人がそう願っていたし、今までも言われてはいたと思うので。今回、文科省の国分室長とかがかなり踏み出して、それで検討しようと言ってくれているので、今に至っていて、そこは良いことだなと思っていますが。
 質問は2つありまして、1つは、最初の建屋部分のところ、設備的なところで課題があると。だけど、克服可能とおっしゃって、それが克服可能な理由は何だったのかというのはまだちょっと、よく分からなかったというのと、もう1つは、こうと決まっているわけではないとは言いつつ、例えばこの2つを同時に運用すると、当然一つ一つは、これまでのフラッグシップよりは、予算の制約上、総体的にはちょっと小さいものということになる。決まってはいないですけど、なるかもしれず、そのときに、それでもやはりそのほうが良いという、全体のためには良いというお考えかというのを個人的な意見があったら。
【松岡センター長】  ありがとうございます。まず第1点目に関しては、我々、もうちょっと詳細なプランはあるんですけれども、これは公開の場なので、ここでは申し上げられない。例えば敷地がどうだとかそういうところになってしまうと、やはりそれは、我々がより踏み出して意見を言ってしまうことになるので、あまり公開の場では言えないことはあるんですけど。
 ただ、傾向から言うと、先ほどちらっと申し上げましたけども、ABCI的な手法、あれと全く同じものではないんですけども、あれをさらに改善したような手法を取れば、非常に安価に、かつ、非常にクイックに作ることができて、あとの問題というのは十分、電気代を払える、そういうところになるというのが大まかなところです。詳細はまた、田浦先生にもし御興味があれば、プライベートにお話しすることはもちろん可能です。
 2番目に関しては、確かに分割すると小さくなる可能性があるんですけど、2つ、アドバンテージがあって、1つは継続的な開発で、ストラテジックに動くと開発費というのがかなり抑えられるわけですね。開発を継続的にやっていくと、当然ながら継続性があるので、1個1個の開発費というのはうまくやれば減少するので、そうすると実際に、いわゆるマシン掛けるキャップエックスというのは大きくなるので、したがって、半分に分割したから、半分の大きさになるんじゃなくて、むしろ60%から70%ぐらいの大きさということがある程度予測が立ちます。
 もう1つは、やはり継続的にやっていくので、ポーンと上がって、ずっと同じ性能だというのが10年間続くのと、段階的に上がっていて、しかも、キーテクノロジーの部分が、我々が性能を上げたい。例えば、今、AIの性能を上げたいという人たちが多いので、単精度、縮退精度、FP16とか8とか、場合によってはFP4とか、そういうところの性能を上げたくて、かつ、それらが最新のチップではドラマチックに上がっているわけですけど、そういうふうな最新の技術を取り入れると、単にこう、普通のムーア則で上がっている以上のアーキテクチャの変化によるジャンプアップというのが期待できるので、積分値としては大きくなる。この2つの効果で、フラッグシップマシンとしては5年ぐらいで分割したほうが、総合的なキャパシティはかなり大きくなります。
【嶋田室長代理】  1点、センターから補足させていただきますが。
 10年の空白期間があった後、「富岳」の開発をしておりますので、松岡先生が長期的なスパンの中では開発費は抑えられますが、次のシステムがどこがやるかは置いておいて、そこの立ち上げのところの開発費はやはりそれなりに、「京」よりもかかると。
【松岡センター長】  もちろん。これはもちろん開発費というのは、それも積分値ですので。全般的に10年間の総合的なコストを考えてという話です。
【嶋田室長代理】  そうですね。そういうことで、今、文科省様で御検討されている次世代のものの開発費が抑えられるということを申し上げているわけではございません。トータルの積分値でございました。補足させていただきました。
【藤井主査】  ありがとうございます。これについては、現状ではまだどういうマシンになるかも決まっていないですし、なかなか検討は難しいです。今日はシステムのことについて議論しているわけですが、それ以外にもいろいろ問題というか、課題はあると思うんですね。それをみんなで少し議論して、いろいろな課題を出して、具体的なことが動き出したら、それぞれについて早めに対応していかなければいけないというのは、聞いていてすごく感じたところです。
【梅谷委員】  一言で言うと、やはり「京」のときに、「京」が止まってしまったというのは、やはり民間から見るとすごく驚きまして、いわゆるそこでやっている研究業務があるわけで、それが一旦途切れてしまうというのは大きな損失なのではないかというのを感じていまして、今、松岡先生、第二階層も含めて、リカバリーをしたとおっしゃられていたんですけど、本当にリカバリーできているのかどうかみたいなところが素朴な疑問としてあります。
 やはり継続性と、いわゆる車の開発業務でもそうですけど、研究でもやはり重要じゃないかと思っていて、それをどう運用として担保していくかというのは非常に、今日の松岡先生の提案はすごく重要なことだと感じていて、やはりそれは建屋の、データセンターのことまで考えていかなきゃいけないんだとすると、その建屋は、30年、50年、100年の話になるので、パッチを充てるというよりも、もうちょっと30年間の計画の中で、どうデータセンター、建屋を増強していくかみたいな議論はやはりしていかなきゃいけないんじゃないかと。自然災害だとか電力高騰の問題というのも含めてすごく大変ですけど、やはりパッチを充てるのではなくて、どこかでしたほうがいいんじゃないかと感じました。
【藤井主査】  長期的な視野で設備を考えなければいけないということですよね。予算との兼ね合いもあるので難しいですけど、おっしゃることは全くそのとおりだと思います。
【梅谷委員】  どこかでやはり、減価償却でならしていけばいいというふうについ考えてしまうんですけど。
【松岡センター長】  梅谷委員のおっしゃるとおり、全くそのとおりで、本当に100%同意いたします。御迷惑おかけしたというのはそういうのもあるわけですので、例えばDBOにするというのは一つのやり方で、もう一つの意図は継続性を担保することなんですね。建屋に関して言えば。あともう1つ、おっしゃったことで非常に大事なのは、継続性というのは必ずしもマシンが、じゃあ、「京」があって、ちょっと使えなくなったからといって、例えばTSUBAMEを使えるとか、そういう話じゃないわけですよね。環境だとかソフトウェアとかみんなそこに依存しているわけなので。
 それで、今の10年の開発みたいな話は、「京」から特に「富岳」になったときに、やはりソフトウェア環境がかなり、完全ではないんですけど、リセットされた。その前は地球シミュレータもそうだと。もう完全にリセットされたんですよ。やはりそれは非常によくなくて、ソフトウェア環境というのは開発者やユーザーにとっては一番重要な、日々業務をしている一番の、研究開発を進めるのが一番重要なことですから。だから、バーチャル「富岳」みたいなことをやる一つの大きなメリットというのは、ここで、「京」のときというのは、「富岳」で大分よくなったんですけども、さらにここで標準的なソフトウェア環境をここで定義して、これはクラウドでも、場合によってはほかのセンターでも、もちろん理研の中でも、理研のうちのセンターでも動くようにして、マシンが代替わりしていっても、同じソフトウェア環境で使えていける。むしろそのようなソフトウェア環境をアップデートしていくような形で、開発者の研究開発の、マシンの整備や研究開発を進めていって、梅谷委員がおっしゃったようなディスラクションがないようにしていくということがもう一歩大事ではないかとは思います。
【朴委員】  松岡センター長がおっしゃっている2フェーズというか、2システムのパイプラインといいますか、そのフェーズ違いでやると、開発費が抑えられるというのは違うんじゃないかなと思っていて。多分そこがもし可能だとすると、条件はやはり同じメーカーというか、同じ母体が少しずつ改良しながらどんどん新しいテクノロジーを入れながら作っていくというのだと、イナーシャルがあるので可能だと思うんですけれども、現状の、全部こういうふうにやりますと。FSみたいなことを。FSも例えば2フェーズでどんどん続けてやってということをやっていくと、必ずしもそれは積分であっても開発費はそんなに減らないんじゃないかなと。
 むしろ怖いのは、田浦委員が言っていたように、予算の総額を変えずに2フェーズにすると、各システムは少し小さくなるわけですよね。システムが小さくなると、物流の部分はシステムに比例して小さくなるだろうけども、開発費は決して小さくならないから、トータルで開発費が抑えられるというのは、総体的なシステムに対しての開発費を抑えられるというのはちょっと違うと思います。
 ただし、2フェーズはやるべきだと思っているので、そこのところをどう調整するかが問題で、あまりいいことばかりではないなと。だけど、やるべきだと思います。というのは、やはり電力性能に関しては、テクノロジーは明らかに進歩するわけで、作ってしまって10年使うというよりは、5年ぐらいでキャッチアップした最新のデバイス技術、その他、アーキテクチャ技術で電力性能を上げていくということは重要なので、そういう意味で、作って終わりというのはもうやめるべきだというのは大変賛成です。
 意見だけですけども、開発費の部分はちょっとだけ、ミスリードの可能性があったので申し上げました。
【藤井主査】  実際ここはまだ議論の残るところですよね。導入するシステムの規模にもよりますし、いろいろな要素があるので。
【松岡センター長】  実際のところ、朴先生のおっしゃることも正しい面もありますけど、逆にストラテジーで低く設置できるということを私は申し上げてきたんですけど。それは細かい話があるので、むしろそれで低くする方法はある。むしろあって、我々はそれを見ているということですね。
【藤井主査】  下がる部分もあるだろうし、逆に上がる部分もあるだろうし、もうちょっと議論が必要かなと思いますね。
【中川委員】 先ほどの朴先生の言葉と、実際にこの資料に書いてある言葉で確認したいと思いまして、これは2システム、つまり、新旧というのが混在するという、そういう新旧、新旧というのが、例えば5年置きに新しいシステムが入って、だけど、1個のシステムは、例えば10年間稼働するという。それで新旧、新旧ということで、2システム併用と考えるのか。それとも、先ほど、朴先生が、2フェーズという言葉を使われたんですが、例えば「富岳」NEXTのフェーズ1とフェーズ2が最初、フェーズ1が稼働して、次にフェーズ2が5年後に稼働してというふうなフェーズ分け導入なのか。ここで言っている2システムというのはどちらなんでしょうか。
【国分室長】  文科省から。補足的なコメントになりますけれども、まず端境期をつくらないという意味では、少なくとも、新しいものができるまでの間、既存のものが動いていないと端境期ができてしまうというのが最低限の条件だと思っています。
 それから、ほかに条件としては、電力容量と、運用コストというのがございまして、電力容量は、先ほどR-CCSからのプレゼンにもありましたけれども、アッパーが決まっていますので、そこで供給できる電力の中でどうやりくりするかというのがもう一つの条件です。
 そして、同じ意味になってしまいますけれども、運用コスト。これももう何十億円規模でかかってしまうものなので、そのコストの範囲内でどういうふうに新旧のものをうまく、どこまで重ねるか、どこまでオーバーラップさせるかというのは、どちらも要検討だと思います。先ほどの3つの条件をベースに、ユーザー側から見て新旧のシステムの併存期間がどういう状況であれば使いやすいかというのを見て、考えていくべきものだと思っています。
【藤井主査】  中川委員の質問は、今回考えている話が、2つ併せて1つだという計画なのかという、そういう質問ではないですか。
【中川委員】  そうですね。フェーズ分けというのも含めた2システムなのか、それとも、フェーズ分けとかではなくて、新旧というのが併存する期間があるという意味で2システムなのかという、そういうことですね。
【松岡センター長】  例えば、今、文科省のほうでありましたように、各システムに入れたときに、最低5年間はバーチャル運用する。それをさらに次の次のシステム、それは例えば5年後とか10年後ですけど、それをオーバーラップして、10年間やるかどうかは、今ありましたように、要は、メリットがあるかというところで判断するというのが重要だと思うんですね。
 ただ、我々も、それに向けて、今後、例えば古くなってきたらむしろ大幅に運用コストを下げていくのか。ないしは、場合によっては電力を下げるために、旧システムは運用を部分的にするとか、様々な方策を重ねることで、運用コストを下げて、やはりユーザーにとってなるべく最大限のメリットがある。あるいは、ところどころであったのはソフトウェアシステムの環境をもちろん共通化して、新システム、旧システムの区別というのを少なくしていくとか、様々な工夫を繰り返して、なるべく旧システムを生き長らえさせて、ユーザーメリットになるような。でも、途中からもう新システムというのは上がって、ユーザーは2つのチョイスがある。なるべく2つのチョイスが期間を長くするというのが真の姿だというように思います。
【中川委員】  なるほど。よく分かりました。フェーズ分けとか、そういう概念ではなくて、新旧のシステムが共存して、できるだけソフトウェア環境も共通化することによって、例えば新旧の両系をわたったジョブ運用とか、そういうのがもちろん運用できるような、理想的にはそういうことを考えるということですね。
【松岡センター長】  はい。そうです。
【中川委員】  すみません。ちょっと長くなって申し訳ないんですが、2つ目の質問としては、それ以外に、HPCI第二階層ですとか、あるいはパブリッククラウド上、バーチャル「富岳」とか、そういうライクなものをうまく併用してという運用に、HPCI全体としてはなると思うんですけど。
【松岡センター長】  そうですね。はい。
【中川委員】  そのときの共用ストレージの在り方については、何か御検討のイメージというのはおありでしょうか。共用ストレージという言葉がどこかあったと思うんですけれども。つまり、そこがユーザーから見ると一番キーになるのかなと。データというのが大事なので。
【松岡センター長】  HPCIのデータポリシーというのも、より今のHPCIストレージの在り方以上に考えていかなきゃいけない。それはワーキンググループ等でいろいろ検討がなされていますけれども、今後のデータ、クラウドを含めた、データベースとして、特に今、AIとかが出てくると、よりデータ、AIから出てきて、さらに、それに関する研究のアカウンタビリティー等を考えると、データの保存というのが非常に大事になります。そういう議論は世界中で行って、今のHPCIストレージは比較的テンポラリーですけど、それを長期化するにはどうするか。恐らくコストを負担しないといけない。例えばそれをより圧縮したりして、研究の質を落とさずに容量を稼ぐ方法もある。いろいろな課題があるのは確かです。
 ただし、一つ言えるのは、ストレージのデータのライフサイクルというのはものすごく長いので、全体的には、今後はやはりデータを、非常に長いライフサイクルというのを科学コミュニティー全体でサポートしていくということをやはり考えていかなきゃいけないということですね。大容量のデータというのは、大体大きな観測機かスパコンにくっついてくるので、我々のコミュニティーを観測の人たちと一緒にそういう大きいデータのライフサイクルをどうやってサポートしていくか。それに関してはクラウドをやはり使うのかという辺りを考えていくというのが非常に大事だというふうには思っております。
【藤井主査】  ありがとうございました。
【庄司部門長】  HPCI共用ストレージを運用しております理研と東大を代表して、庄司から少し補足します。HPCI共用ストレージ、補正予算をいただいて、今、リプレースのフェーズにあります。一方で、運用のルールとして、データ公開というのはこれまでできなかったんですけども、ちゃんとルールを整備して、近いうちに、共用ストレージをプラットフォームとしたデータ公開ができるようになります。さらにはその上で、RDMのような機能を充実させるという取組をしておりまして、NIIさんともお話をさせていただきたいなと思っております。
【藤井主査】  ありがとうございます。せっかく庄司部門長がおられるので、それ以外のことについても何か言いたいことがあればどうぞ。
【庄司部門長】  受電設備の話をここで少ししたいんですけども。
今の検討で、まだその新しいシステム、消費電力とか分かっていないので、現行設備のままで大丈夫ですという話はちょっと勘弁していただきたいなと。それもまだ検討中ということでお願いできればと思います。
【藤井主査】  よろしいですか。どうもありがとうございました。
【伊藤(宏)委員】  要は、共用法というものの広がりというか、そういうものについて、運用基準というか、そういうものを見直さないと、このまま行くとだんだんはみ出してくるという気がするんですけれども。一つのところに集中して、それがあればそうなんですけど、だんだんそういう形になってくると、2つあるだとか、バーチャル運用とか、そういうものを前提としたような話にしないと、少しずれてきているんじゃないかなと思うんですが。
【藤井主査】  国の大規模設備の難しいところです。
【国分室長】  御指摘のとおりだと思います。全国に複数あると非効率だという観点から国が大きな投資をして、一つのものをみんなで使うという考え方に立つのが共用法の概念であります。だから、そこもきちんと踏まえた形ですし、一体的にというのは少なくともそういう観点でR-CCSさんはおっしゃっていると思っていますので、そこはきちんと踏まえていきたいと思います。
【藤井主査】  よろしいですか。では、議事を進めさせていただきたいと思います。
 松岡センター長、遠距離からどうもありがとうございました。
【松岡センター長】  どうもありがとうございました。
 
 
議題4:次世代計算基盤に関する報告書 中間取りまとめ案について
資料4について、事務局から説明があった。
 
 
 
【藤井主査】  ありがとうございました。重要な議題ですが、FSの議論状況、中間取りまとめ案、これらの資料について御質問があればよろしくお願いします。修正案ということでも結構ですので、よろしくお願いします。いかがでしょう。
【合田委員】  御説明ありがとうございます。資料4-2についてですけども、この中の2ページ、令和3年度の中間取りまとめ以降の情勢の変化のところで、2ページの下のほうに、「ユーザビリティ向上やシームレス化の重要性が指摘されている」ということが書かれているんですけど、これを受けた議論というのは、この後の4節ですかね。どこでされるというふうに理解すればよろしいか、教えていただけますでしょうか。
【谷本参事官補佐】  6ページ目の1つ目から3つ目のところですね。これらは一体的に議論が必要かと思っておりますけれども、その中で併せて議論していくものだという認識を持ってございます。
【合田委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
【藤井主査】  よろしいですか。ほか、いかがでしょう。
【館山委員】  中間取りまとめ案の3ポツの次世代のフラッグシップシステムのところですけども、あと一つ、AI for Scienceの言葉に関しての定義があまりこの前で述べられていないので、一般向けの報告書としてはフットノートを入れたほうがいいのかなと感じたのが1点あります。
 もう一つは、その下にあります矢羽根2ポツ目ですけども、TOP500は目指さないと書いてありますけれども、あまりここだけ明示的に書くと後で突っ込まれると思うので、もう少し、この「あらゆる先端分野において世界最高水準」のところにもう少し具体的なベンチマークというか、何か入れることはできないでしょうか。
【藤井主査】  例えばそこのところはどんな書きぶりがよいですか。
【館山委員】  書きぶりですか。Green500がメジャーなのかどうか分かりませんが、ここだけ捉えられるとあまりよろしくないかなと思うので。
【国分室長】  少し事務局からの補足ですけれども、ランキングというもの自体が、TOP500に限らず、いろいろなスパコンの使われ方が求められている時代に、従前からあるランキングのカテゴリーだけを指標にするということがミスリーディングになってしまうんじゃないか、というのがまずございます。さらに、中間取りまとめ案に書いてあるとおり、シミュレーションの速度だけを追い求める時代から、シミュレーションとAIを掛け合わせて使うことが求められている中で、例えば、駆けっこだけ速い人たちを集めてもサッカーはできないみたいな形ですけれども、その駆けっこの性能を目標に置くということ自体が、だんだん形骸化してきているといいますか、意味をなさないと。もちろん結果的にランキングで良い順位を取るものを作るのですが、そこを目標に置くということは少し違うのではないかというのがもともとの観点でして、そういう意味では、既存のランキングのどれかの目標値を具体的に置いてしまうと、そちらが独り歩きしてしまうことを危惧しています。
【館山委員】  基本的には方向性はアグリーですけども、ここの辺り、こういうところの具体的な名前が、逆にTOP500を目指さない方が独り歩きしないかなという懸念を私は持って、出させていただきました。この表現だと多分、曖昧に全部するのか、どうするのかはあれですけれども、ちょっと気になった点です。
【藤井主査】  私も国分室長と割と近くて、「TOP500など」と一応入っていますし、後ろのところに何かを入れると今度はそれに引っ張られちゃうというのを逆に危惧します。もしよろしければ、ここの表記はこのままがいいかなと私個人としては思いますが、いかがでしょうかね。
【館山委員】  方向性は基本的にアグリーなので。ミスリードをなくすという意味では同意します。
【田浦委員】  この議論ですけど、私もこれまでとの違いを言うには、TOP500という言葉が入るのはいいのかなと思います。少し別な視点ですけど、「TOP500などの計算速度のみを追求するのではなく」と言い切ってしまうと、まるで何か計算速度を追求していないみたいな感じになってしまうので、これは「単一の尺度のみを追求するのではなく」とか、何が問題なのかをもうちょっと分かるような書き方にしたらと。
【朴委員】  田浦委員の言い方がおおむね賛成で、TOP500、つまり、HPLは実用ではないというのはみんなが分かっているわけなので、ランキングだけを目指した、非実用的な計算とかレコードを追求するのではなくみたいな言い方かなと思うんですけれども。
 行列計算は、HPLが役に立つ、役に立たないという話以前に、ランキングを目指すということをやらないというのが多分一番強いメッセージなので、そこをうまく書けばいいと思うんですけど。
【藤井主査】  書きぶりとしてどうしましょうか。
【朴委員】  ランキングは後からついてくればいいので。
【藤井主査】  それはもちろん分かっていますし、賛成ですけど、書きぶりをどうするのがいいのか。
【国分室長】  例えばですけれども、「計算速度の指標としてのTOP500など、単一の尺度を測るランキングのみを追求するのではなく」という感じにすれば全部入るのかなと思いますが、いかがでしょうか。
【朴委員】  それはいい感じですね。
【藤井主査】  細かい文言については後で議論させていただければと思います。
 朴委員、よろしいですか。
【朴委員】  はい。今の国分室長の文案はかなりいい感じだと思います。
【藤井主査】  基本的にはいいと思います。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。評をおおむね価委員会の議論を踏まえていて、大事なことは書かれていると理解しています。
 資料4-1についてももし何かあれば。ちゃんと読むと割といろいろなことが書いてあるんですけど、大事なところは特に3ページですね。
【館山委員】  資料4-1の3ページ、3ポツ目のメモリのところの話ですけども、「優れた性能を有するメモリを実装したシステムを中長期的に追求するべき」であるという。この意図をもしよければ教えていただければと思います。
【国分室長】  現時点で、メモリ実装技術として国内の最先端のものが根づいているかというと、そこはなかなか厳しいところもございますので、資料4-2にも反映されていますけれども、メモリ実装技術はコア技術としてきちんと国として見ていく必要があるものの、それは今すぐというわけではなく、中長期的な観点から育てていくという部分も含めて、きちんと見ていく必要があるのではないかという指摘です。
【館山委員】  なるほど。国産も含めてということですね。承知しました。
【藤井主査】  よろしいですか。ほか、いかがでしょうか。特に評価委員会に入っておられない皆さんから意見があれば、ぜひお聞きしたいと思います。
【梅谷委員】  次世代のスーパーコンピュータは、やはりコストパフォーマンスにこだわってもらいたいなと思っているんですけど、やはり「京」コンピュータも「富岳」コンピュータも民間で入れた実績がほとんどないので、やはり民間展開ができるようなマシンを目指すみたいなところが、実際であれば必要になってくるんじゃないかと思うんですけど、そこら辺、何か表現があるんでしょうか。
【国分室長】  資料4-2の3ページ目の矢羽根の最後です。「利用が大きく拡大するとともに」の次ですけれども、「その要素技術が世界の情報基盤に採用され、広く普及することで」という部分です。あと、それの具体的な部分が……。
【谷本参事官補佐】  4ページ目の真ん中です。開発・整備の手法の直前の段落のところです。
【藤井主査】  5ページにもあります。ここは大事なところなので、いろいろなところに盛り込まれていると思います。
【梅谷委員】  はい。ありがとうございます。
【藤井主査】  実際そうなってほしいですよね。
【梅谷委員】  ぜひ。
【藤井主査】  おっしゃることはよく分かります。そうならないと長続きしないですし、より大きなシステムが導入できないので。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 特に御意見がなければ、先ほどちょっとした修正がありましたが、それについては、もしよろしければ主査に御一任いただいて、表現の問題になりますので、先ほどの朴委員の意図を踏まえた上での、国分室長が言われた文章が基本だと思いますけど、それをベースに決めさせていただくということでよろしいですかね。一任いただけますでしょうか。
(「異議なし」)
【藤井主査】  ありがとうございます。それでは、この中間取りまとめ案については、今後そのように進めさせていただきたいと思います。
 先ほどもあったように、今後は4月頃にFSの評価委員会との合同会議、資料4-3だったか4月~5月と書いてありましたが、これを開催することになります。その際には、フラッグシップシステムの開発主体候補から、この中間取りまとめを踏まえて、どのようなシステムが提案できるかというヒアリングを実施し、夏までに最終取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。よろしいですか。
 開発主体候補として、理研さんはあり得ると思いますので、これまでの「京」、「富岳」を整備・運用してきた経験を持っている理化学研究所からヒアリングをまず行いたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
 特に異議がないようでしたら、そのように進めさせていただきたいと思います。
 これで、その他を除いて議題は全て終わっていますが、全体を通して何か御質問、コメント、もしくは言い忘れたことがあれば御意見いただきたいと思います。いかがでしょう。
 
事務局より事務連絡を行い、藤井主査により閉会。
 

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