HPCI計画推進委員会(第50回) 議事要旨

1.日時

令和4年3月16日(水曜日)11時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

伊藤公平委員,伊藤宏幸委員,上田委員,梅谷委員,喜連川委員,小林主査代理,田浦委員,高橋委員,常行委員,中川委員,平田委員,藤井主査,朴委員

文部科学省

池田局長,川口参事官,奥野課長,宅間室長,西川参事官補佐,太田専門職

オブザーバー

理化学研究所計算科学研究センター 松岡センター長
理化学研究所計算科学研究センター 松尾副センター長
理化学研究所計算科学研究センター 庄司部門長
高度情報科学技術研究機構神戸センター 塩原部長

4.議事要旨

議題1:令和4年度予算案について
資料1について事務局から説明があった。
 
議題2:「富岳」政策対応利用課題について
議題1に続けて、資料2について事務局から説明があった。
 
議題3:次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループ取りまとめについて
資料3について事務局から説明があった。質疑は以下のとおり。
 
【藤井主査】  ありがとうございました。
 ワーキングの委員の方も計画推進委員会の委員の中に何人かいらっしゃいますけど、まず小林ワーキンググループ主査から何か補足がありますでしょうか。いかがでしょう。
【小林主査代理】  小林ですが、今、室長から御説明していただいたとおりですが、委員会では、特に若手の研究者の皆さん、あるいは産業界の方々、そしてベンダーの方々と多様な方からヒアリングさせていただき、アプリケーションのロードマップ、あるいはアーキテクチャの動向を踏まえて、今回のような形でキーワードを挙げました。非常にたくさんのキーワードが出ておりますけど、これからのFSを進める上で、この中で強弱をつけて提案していただけると考え、まずはここではキーワードを広げているところもございます。
【藤井主査】  ありがとうございました。
 ほかの方でも、ワーキンググループの委員の方で補足をお話しいただける方がいたら話していただいて構わないと思いますが、いかがでしょうか。特にないですか。
 それでは質疑の時間に入りたいと思います。今の御報告に対していかがでしょう。
 喜連川委員、どうぞ御発言ください。
【喜連川委員】  最初のページの4つ目のアイテマイゼーションのところで、「例えば」と書いてあります。ほかのものは「例えば」はついていませんが、どうしてここだけ「例えば」がついているのでしょうか。
【宅間室長】  ありがとうございます。ここの点につきまして、実験系の研究者も利用しやすいオープンかつカジュアルな計算環境の事例として、例えばオープンなアプリケーションの開発、プログラムのローコード化・ノーコード化を可能とするなどといたしました。
【喜連川委員】  オープンなアプリケーションの開発は当たり前のことで、プログラムのローコード化も当たり前で、こんなものを「例えば」で書くのは著しくコンフュージングというか、誤解を招く表現だと思います。
【宅間室長】  ありがとうございます。この「例えば」を削除したほうがいいということでしたら、ワーキングの主査と御相談させていただき、対応を検討させていただきたいと思います。
【喜連川委員】  いや、削除したほうがいいと言っているのではなくて、どうしてこの副詞句が入っているかを聞いているだけです。オープンなアプリケーションの開発もプログラムのローコード化もノーコード化も当たり前ですよね。このカジュアルとは僕はどういうことかよく分かりませんけど、御検討いただければと思います。これ以上細かくやってもしょうがないので。
 残りの部分で、その後、何か黒字で書いて、青字で、この次か次でしょうかね。この辺にいっぱいありますが、これは結構なことというか、極めて当たり前のことだと思うんですが、ぜひやっていただきたいと思うのは、これに関することを「富岳」のときは一体どうしていたのかということ。つまり「富岳」では、こういうふうにこの項目を検討したけれども、さらにポスト「富岳」では何をどう考えるかと。そういう比較で出していただけるとありがたいと思います。そうすると、「富岳」のときには、ここの検討が少なかったのをここではより丁寧にしましょうという議論になる。「富岳」のときに検討していなかったとすると、それは恥ずかしかったなということになる。あるいは「富岳」で検討したけど、ここに入ってないことがあるのであれば忘れていたなということになる。要するに、何遍も何遍も計算機を作っているわけですから、新たにここをやるみたいな発表は非常に違和感が出てくると思います。
【宅間室長】  ありがとうございます。そういった比較の形での書き方は確かにできておりません。既に「富岳」でも対応していることはこの中にもたくさんございますが、それをさらに進めるということで、ポスト「富岳」においては、こういったところを検討していくつもりで書いたものでございます。「富岳」で全く取り入れられてなくて新しい部分は、項目としてはそんなに多くはないかなと思っています。ただ、一体的な運用であるとかは新しい部分かなと思います。こうした比較の形式での御説明もできるように、今後検討を深めたいと思います。
【喜連川委員】  よろしくお願いします。
【藤井主査】  小林先生、今の件でしょうか。
【小林主査代理】  はい。御指摘ありがとうございます。
 委員会でも、「富岳」時代でのことと、あとポスト「富岳」の時代の境界条件といったことを議論しながら、あとは理研から出てきた「富岳」の自己評価書などを見て、そのときのFSに関する意見などもありました。それらを踏まえ一応まとめたところではありますが、これ以外の資料もあるかと思いますので、必要に応じて御説明したり、あるいは報告したりできればと思っております。ありがとうございます。
【喜連川委員】  それでいいと思いますが、かなりイグゾーシティブになってしまっている印象があって、これは非常にピーキーなシステムを我々は「富岳」で作っているわけですよね。だんだん検討することが増えていくとどうなるかというと、柔らかになってしまいます。だから、そこら辺は整理されて、小林先生の専門的な御知見の中で、「富岳」のときはここを検討して、ここを重点的に詳しく調べたと。そういうめり張りが、こういうデザインのときは重要で、コンプリヘンシブネスはあまり重要ではないですよね。その観点からお願いします。
【小林主査代理】  ありがとうございます。たしか委員会でも強弱をつけるべきだということもございましたけど、やはり我が国の多様な研究者から出てくるFSの御提案を見て、あとはある程度目利きも必要かなという感じで、ここではキーワードが多くなっております。ご指摘いただいた点は留意して進めたいと思います。ありがとうございます。
【藤井主査】  そうですね。フィージビリティースタディーをどういうふうに進められるかによるとは思いますが、後で検証するためにも、やはり喜連川委員が言われたように、「富岳」のときはこうだったという比較の中で、いろいろな提案が出てきたり、そういう進め方をするのは多分重要なことかと思います。御指摘ありがとうございます。
 最初の点についてはどうしましょうかね。「例えば」がわざわざついているというのは、おっしゃるとおりのような気がします。報告ですから、今、どうのこうのではありませんけど、何かの機会に考えていただければと思います。喜連川委員、これでよろしいですか。
【喜連川委員】  はい。小林先生を信頼申し上げますので、大丈夫だと思っています。ありがとうございました。
【藤井主査】  ありがとうございます。
 田浦委員、どうぞ。
【田浦委員】  ありがとうございます。私もこのワーキンググループに入っているので、喜連川先生に怒られている立場ですけど。
 おっしゃること大変重要だと思っています。喜連川先生の特に2個目におっしゃった点はすごく重要だと思いまして、どうしても全体を網羅しなきゃいけないと思うと、全部を並べた挙げ句、結局、キーワードとしては別に前回と大差ないものになってしまうと思います。なので、やっぱり「富岳」でうまくいったところと、あとは、まだ道半ばと言うべきところとをきちんと色分けしていただいて、次は本当にここを重点的にやるのだと。そういう道筋を一つ作っていただくことも重要かなと思います。
 あとは「例えば」なんですけど、私は、あれは3つ目のアイテムからの続きで「例えば」となっていると理解しています。それは小さいポイントです。
【藤井主査】  一つ上のパラグラフということですかね。
【田浦委員】  はい。私はそう読んでいます。
【藤井主査】  まあ、言い出すといっぱい出てくる気もしますけど。定義とかも厳密になされているわけではないので。カジュアルなんていうところもそうかもしれませんし。この件についてはよろしいですか、喜連川委員も含めて。
 よろしければ、ほかの御質問に移りたいと思いますが、よろしいですか。
 では、先に進ませていただきます。これについては来年度も継続して進む話ですので、また議論の機会があるかとは感じております。
 
議題4:「富岳」クラウド的利用について
資料4-1について事務局から、資料4-2について理化学研究所 松岡センター長から説明があった。質疑は以下のとおり。
 
【藤井主査】  ありがとうございました。限られた時間で御説明いただきました。
 これは審議事項なので、1点だけ、松岡センター長に確認したいのですが、先ほどちらっとあったのですが、申請には結局、サービスの実際の利用者とプロバイダーというか、民間事業者が共同で申請することになるので、通常の課題と何も変わらない形で動かせるんだと。そういう理解でよろしいですか。
【松岡センター長】  この共同でというところは、おおむねその通りで、実は共同である必要すらなくて、あくまでも現行制度では申し込む主体は利用者です。その中でrescaleを使うよということでrescaleがメンバーに入っているという意味での共同であって、現行制度では申し込む主体はあくまでもユーザーです。
【藤井主査】  主体はユーザーということは分かりました。
 それでは御意見を伺いたいと思います。朴委員の手が挙がっています。どうぞ。
【朴委員】  2つ質問があって、一つは運用技術的な話で、これは当然、従来のバッチでHPCとかAIの大型ジョブを流す人たちと並行で動くので、どこか特別なパーティションで、このクラウド的な利用をさばくのか、あるいはもうちょっと何かフレキシブルな形でやるのかというのが一つです。
 それともう一つは、11ページあたりに、今、実験に参加した人たちの会社とかが出ていますが、この人たちは潜在的にも今後のお客さんになることをどれぐらい見込んでいらっしゃるのかと。つまりモデルというか、利用者が立ち上げのときどれぐらいいると見込んでいるかと。その2点をお聞きしたいです。
【松岡センター長】  1番目は、既に先ほど申し上げたように、結論で言えば、クラウドユーザーだろうが、それ以外のユーザーだろうが何ら変わりありません。というのは、先ほど申し上げたように、「富岳」は既にクラウド機能をいっぱい備えているわけです。例えばアカウントを持って、プリビレッジを持っていれば、REST APIでジョブサブミッションを行うことはできるわけです。
【朴委員】  そういう話よりも、パーティションの話をしています。つまりクラウドユーザーはやっぱり総体的には比較的小さいジョブとかが多いようなイメージなので、うまくスケジューリングが普通のバッチユーザーと、ちゃんと効率的にできるかが気になりました。
【松岡センター長】  実は「富岳」は既に別にクラウドと関係なく、クラウドユーザーがスモールユーザーかというとそういうわけではないですが、「富岳」では既にスモールユーザーに対するバッチキューが存在しており、ちゃんとそれを効率的にスケジューリングするようになっています。ですので、特にクラウドユーザーだから、運用上、別パーティションにするとか、そういう技術的な必要性は全くなく、クラウドユーザーでも、クラウドサービスを使ったサブミッションを行うユーザーでも、普通のバッチキューで、コマンドでサブミットするユーザーでも全く立場としては同じで、問題はございません。
 2番目に関しては、スライドで、事業を継続するユーザーは、rescaleを含めて5社ですけども、こちらにおいては、なぜ継続するかというと、今、朴先生がおっしゃったように、逆にユーザーがあるから継続するんですよね。だから、この実験に参加した中でやってみたけど、ユーザーがキャプチャーできなかった事業者、それはなぜかはいろいろ分析を行っていますけど、そういう会社は、これ以上自分たちはコストをかけられないから降りてしまったわけです。もちろんサービスを提供するのは彼らにコストがかかるわけですので、今後サービスを提供していく会社は、ユーザーが見込めるので本格稼働になっても続けると判断したと解釈するのが正当だと思っています。
【朴委員】  分かりました。
【藤井主査】  回答はイエスということですね。よろしいですか。
 中川委員、どうぞ。
【中川委員】  日立の中川です。
 非常に期待が持てるというか、計算機を使ってみようかという、そういう気になったかなと思っております。ただ、ちょっと気になる点がございまして、実際に「富岳」を使おうというユーザーは大体がやっぱりパブリッククラウドはもう既に使っていて、そこから「富岳」もプラスアルファで利用してみようというユーザーが多いと認識しております。いろいろ比較する対象の一つとして「富岳」を考えることになると思います。
 そのときに、やはり大規模が使えるとかはすごくメリットになりますが、やっぱり気になるのがデータです。パブクラとの間はSINETでつなぎますというお話ですけれども、例えば海外拠点の研究者がパブクラにデータを上げていて、そこから「富岳」に持ってくるみたいなときに、要はパブクラのネットを通ってからSINETを通って、「富岳」にデータが来るみたいな。それを分析したり、AI、機械学習したりとなるかなと思うのですが、そういったときに利用の観点で気になる点としては、海外利用、それからデータの暗号化とか、そういったところの機能的なところも、通常のクラウド利用ですと暗号化機能がサポートされていますが、そういうのも使えるのでしょうか。
【松岡センター長】  性能に関しては、現状はSINET頼りなので、NIIに、SINETにもっと予算をつけていただくと申し上げるしかないのですが、今、セキュリティーを含んだ暗号化等はどこで担保するかは確かにおっしゃるように問題で、我々は一通りの機能はもちろんありますが、ただ、パブリッククラウドみたいにきちんと例えばISOのセキュリティービューがちゃんと行えるかというと、現状ではそうではありません。ポリシーとしても我々はギャランティーはもちろん、パブリッククラウドにはありませんけど、我々もないので、そういう秘匿性に関してパブリッククラウドほどのセキュリティー対策及び暗号化等の対策にフォーカスされると、そこまでは行ってないのが正直なところです。
 ただ、今後、これが発展していくときに、サービスプロバイダーと組むところの重要性は、そういうニーズをむしろ捉えて、我々のセキュリティーメジャーが十分であるかを捉えていくことにあります。これは別に企業だけじゃなくて、例えば今既にヒトゲノムで「富岳」を使っていますが、そのヒトゲノムのデータだとか、そういうプライバシーがあったり、GDPRのリクワイアメントでそういうのを守らなきゃいけないときに我々が対処していけるかというのは、研究面でも重要なことになりますので、企業利用と連携して十分であるかというレビューを行っていくのは非常に大事だと思っています。我々はパブリッククラウドと比べて頑健だとは言えないのですが、努力は続けていきたいと思います。
【中川委員】  よく分かりました。ありがとうございます。ぜひ我々もプロバイダーと組んで、そうした課題抽出とか対策みたいなところに関わっていければなと思いました。ありがとうございました。
【藤井主査】  ありがとうございます。いい指摘だったと思います。
【松岡センター長】  一言だけ申し上げると、もし例えばNIIが提供したのは、L2レベルでのセキュリティーだとか、高速VPNサービスだとか、そういうのが重要なのであれば、そういうところが企業までエクステンドされるのは一つ重要なことだと思っています。セキュリティーは1か所だけでは守れないので、それはいろいろな機能が複合する必要があるとは思います。
【藤井主査】  続いて高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  高橋でございます。ありがとうございました。クラウド的な利用によって産業利用は拡大しつつあるのだとよく理解いたしました。ありがとうございます。
 その中でちょっと気になったところが、松岡センター長の資料の中の9ページでしょうか、制度的な課題が浮き彫りになったといただきましたけれども、この中でも3番目、有償であっても課題代表者等々が公表されることと、それから4番目の研究開発要素の範囲が不明確であるという御指摘がアンケートの中から浮き彫りになった点ですが、このあたりは、「富岳」をどういうマシンとして産業界から見たときに位置づけるかと非常に関係してくることでもありますし、制度的な課題ということですので、制度をどうするかという考え方を、時流とか社会的な要請によって変えていく必要ももしかしたらあるのではないかと考えます。ぜひ御検討をお願いしたいと思いますが、理研ではどのような考えでおられるのかというのが1点です。
 それから、これはコメントですが、有償であって公表というのは、どういう根拠からなるのかなんですが、通常は公表することによって、かなりテーマあるいは使っていただける産業が限られてしまう可能性が十分あると思いますので、そのあたりも含めて御検討いただけるのかどうかを御質問させていただきたいと思います。
【松岡センター長】  理研としては制度を直接決められる立場ではもちろんないですが、文科省やRISTなどを含めて、もちろんこの種の委員会等を含めて御議論いただいた上で、制度はきちんと決めていかなければいけないと考えています。ただ、我々の役目は、もちろん理研としての意見を申し上げる立場にもありますし、及び制度を作っていくときに、こういうテクノロジーがあるだとか、運用上、こういうことがあるよと申し上げられると思います。例えばこちらにありますように、制度面でも、高橋先生がおっしゃった話で、例えば東工大や東大といったほかのスパコンや理研が持っているほかの施設で、民間利用に関して既に運用が行われています。こういうところでどのような運用が行われて、それによってどういうメリットやデメリットがあるかをきちんと検証し、感覚的にやるのではなくて、例えば海外の事例とか、もちろん企業に対するヒアリングとか、様々なデータを集めて、先生がおっしゃるように時代が変わってきているので、それによって制度をどうしていくかを前向きに決めていくのが大事だと思います。
 もう一個、そうはいっても、もちろん「富岳」1台だけで世の中が変わっている面もあるかもしれませんが、世の中が全面的に変わるわけではなくて、ITインフラの中での「富岳」の立場と制度がありますので、我々としては、その中で他のIT、例えば他の民間クラウドとか、それと複合して、ユーザーのモデルはこうなっていて、その中で「富岳」の利用はこの部分をやろうと。民間クラウドはこの部分をやろうという立場で制度設計をしていくのも大事だと思います。そのとき、我々は、今回のクラウド的利用もそうですけれども、民間クラウドとのシームレスな連携性ですね。これがその制度設計において大事だと思っていますので、クラウド的利用は全体のクラウド・ストラテジーの一部ですが、今後さらに、クラウド・ストラテジーをプッシュしていく中で、民間クラウドとのシームレスな統合、これによって逆にフレキシブルな制度が作れていくような技術的ないしは運用上の発展をさせていくのがもう一つの理研の立場であると思っております。
【高橋委員】  ありがとうございます。ぜひ、制度的なところは非常に大事なことだと思いますので、御検討を継続いただきたいと思います。改善をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【藤井主査】  この点はむしろ、この委員会等々で議論すべきことになってくるのではないかという気はしますね。極端に言えば、共用法とも絡むところもありますし、国の大きな資源を使って投資したものをどういうふうに広く使ってもらえるかという大きな課題につながっているような気がします。理研の経験を踏まえて、皆さんで議論いただければいいかなと思います。よろしいですか、高橋委員。
【高橋委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
【藤井主査】  あとお二人、上田委員、どうぞ。
【上田委員】  上田です。
 クラウド的サービスという方向性は、いわゆる「京」から「富岳」への進化という点でも非常に重要な方向性で、新たなイノベーションの創出につながるという非常に重要な方向性だと感じています。
 ただ、今の高橋委員からもコメントがありましたけど、私の本務はNTTの研究所ですので、民間の立場でのコメントになりますが、利用申請の際に、どのようなサービスをするかなどという情報を、特定の審査員に限定されるかもしれませんが、公開するとなると、民間企業は、開発者それ自身はそんなに意識しないのですが、企業のトップでの決裁がなかなか下りないのが現状です。民間クラウドをもっと活性化する観点では、制度面において、やはりチェックリストを設けて利用ルールなどを定めることは重要だと思うのですが、事前にサービス内容までの事前チェックだとか、公開だとかは緩和するような制度が非常に望ましいと感じております。以上です。
【松岡センター長】  そうですね。例えばNIIも民間クラウドに対する逆にリサーチ側からの利用のチェックリスト等も作られておりますし、もちろん我々の立場も民間クラウドと同じ部分ありますけど、違う部分もあります。その違う部分においても、やはり先ほど上田先生がおっしゃったように、民間利用という点では、様々な事業体としては懸念、セキュリティーの懸念だとか、いろいろございますので、そのあたり、先ほど高橋先生のときにも申し上げましたけど、我々のテクノロジーとしてこういうことができるよという話と、でもやっぱり制度上はこうだというのは、この委員会を含めて御議論いただいて、我々ができるところはもちろんやりますけれども、最終的にはポリシーの問題であって、それをどうやってインプリメントしていくかという運用の問題もありますので、そのあたりはRISTも含めてぜひ御議論いただいて、今後、最終的な目標、やっぱり我が国のHPCを研究や社会インフラとして高みを目指していってもらって、イノベーションを起こしてもらうところにつなげていくという目標を持って、制度設計に関する御議論をしていただければ大変ありがたく存じます。どうもありがとうございます。
【藤井主査】  喜連川委員、どうぞ。
【喜連川委員】  松岡先生、どうもありがとうございます。
 僕は頭が悪いので教えてほしいのですが、このエンドのクライアントの手前に、こういう皮をかぶせる人を入れるということだと思うんですけど、この人のビジネスモデルというか、何というか、経費負担が――何かお金を出さなきゃいけないわけですよね。これは誰がそれを支払うモデルになるのですか。
【松岡センター長】  これは事業体によると思いますが、今までは実験だったわけですが、今後は、まず少なくとも現行制度でやる分においては、「富岳」のリソース・アロケーションがまずないと意味がないので、これはRISTに申請してもらって、産業利用でも無償の範囲であれば――産業利用というか、一般の方の人も使えるわけですが、無償利用だったら別に無償利用で、有償利用の場合はお金を払って、それで「富岳」のリソースの固まりをゲットすると。そこが必要なわけです。それは、ただで使うか、理研にお金をそのリソース分を払うかと。そういうのがあります。
【喜連川委員】  いやいや、それはエンドユーザーですよね。その皮のユーザーのお金は誰が払うのかと。
【松岡センター長】  はい、そうですね。その上でrescaleを使いたいなり、HPC SYSTEMSを使いたいという場合、それは、そのユーザーと例えばrescaleだとか、HPC SYSTEMSとの間の契約で、我々はタッチしないわけです。だから、彼らがrescaleを使うと。「富岳」を使いたいとなると、それは彼らがrescaleとネゴシエートというか、多分、rescaleはRISTから買って、それで利用に応じてrescaleに彼らのサービスを使う分のお金を払うと。それは理研とは全く関係ないところで行われます。
【喜連川委員】  そういうことですか。ということは、アカデミアのユーザーがビジネス系を使うことはあまり想定してないのですか。
【松岡センター長】  でも、アカデミアのユーザーもお金を払ってスパコンを使うのは、別に市場なので、もしそれが利便性があると判断したら、それを止めるものでは全くないとは思います。
【喜連川委員】  僕が聞いていたのは、これで圧倒的に便利になるのであれば、「富岳」がリッチなプレースなので、頑張ってやられたわけで、それを基盤センターがまねして御紹介したら、ユーザーはみんな喜ぶわけですよね。問題はそのエコシステムというか、ビジネスモデルをどうするかだけが、聞いていて、クリアじゃないなと。
【松岡センター長】  そうですね。お金の動きは今回の資料には書いてないのですが、結局、得られた成果としては、現行制度で使うビジネスモデルの中では、今、先生に御説明した話になっているので、それを多分入れるべきかなと思います。
【喜連川委員】  あともう一つ、これは最初の点にも関わっているのですが、これはジェニュイン・日本でやっているのですよね。スパコンというのはジェニュイン・ジャパンですよね。今、現況下で、いわゆる経済安全保障の問題がもうあっちこっちで出てきていて、ここのところ、スパコンに関しては特にエッジなので強く出てくることは懸念されるというか、予見されるわけですが、そのときにネーティブ・メイド・イン・ジャパンのソフトでないものの、応用はあれなんですけど、この皮のところは全部、そこを通過して行くものですから、ややデリケートな側面もあるなと思います。これは答えはないと思うのですが、国家として見たときに御検討をいただくことも重要じゃないかと。前半に言ったことと後半に言ったことが非常に不整合しているのですが、不整合性は全ての分野で今起こっているので、それは許していただくとしてね。利用は、これが物すごくいいのであれば、基盤センターも使ったほうがいいのではないかということが一点です。
 だけど、すごく国家として、今回、特許もクローズにしますから、特許庁だって、そういうことをやっているわけなので、文科省も何らかの指導が出てくるのはもう目に見えているわけで、そうするとき、ここの扱いは何らかの意味で検討が必要になってくるかなというのが個人的な印象です。松岡先生、頑張ってください。
【松岡センター長】  喜連川先生の先ほどの御発言も大事だったのですが、今回の御発言も大事で、我々がテクノロジーベースを最低限まず持ってないと、これはお話にならないわけですよね。例えばソフトウエアに関してもそうです。だから、こういうアプリケーション部分だけじゃなくて、クラウドのシステムソフトの部分も我々がテクノロジカルベースを持ってないと、そもそも話にならないです。今回、幾つか日本の会社も入っていますし、及びこれに限らず、コンパイラだとか、そういうソフトウエアの部分も今回、「富岳」は頑張っていろいろやっているわけですけども、そのあたりで、オープンなエコシステムに寄与するとはいえ、逆にオープンに寄与できるだけのテクノロジーベースを持つのがまず大前提であることは自覚してやっております。
 その上で、日本発の、より全体的に基盤となるようなサービスソフトウエアを、サービスレベルとか、システムレベルのソフトウエアを出していくところに関して、先生がおっしゃるように、どこまで日本がやって、どこまで海外とのオープンなコラボレーションでやってというのは非常に微妙なところであります。
【喜連川委員】  微妙です。僕も非常に矛盾していて、今までオープン、オープンと言っていたのです。ですが、ここのところに来て、横スライスはもう駄目だと分かったのですよね。したがって、縦に作ることを全ての国家が意識せざるを得なくなってきたのは、これは大人の解釈なので。ちょっとエンドレスだから、また議論させてください。頑張ってください。
【松岡センター長】  最低限、縦しか、もう駄目だというときに、それができるだけのベースは持ち続けるというのは……。
【藤井主査】  このあたりは選定委員会の議論にもなってくるのかもしれないですね。ありがとうございます。
 伊藤さん、時間が大分過ぎているので、どうしてもであれば御発言をお願いします。
【伊藤(宏)委員】  簡単に申し上げます。よろしいですか。
【藤井主査】  どうぞ。
【伊藤(宏)委員】  一つは、やっぱりSINETの利用に当たっての法的根拠といいますか、運用上の根拠を明らかにしていただきたいというのがあります。これを行政の人に聞くと、今までは研究開発の対応の中で、民間の例えば製造業とかのエンドユーザーを使っていたケースはあると思うのですが、これはちょっと考えものだなと思います。一つはGIGAスクールなんかでも、SINETがあれば、それを使えばいいじゃないかという議論があって、SINETって一体どうなんだと。基盤のところが非常に曖昧じゃないかなという感触を得ました。今回の会議体では、それを議論すべきじゃないかもしれませんが、非常に気になるところです。
 もう一つは、我々企業はクラウドに対して求めるのは、計算資源の流動的な調整ですよね。そうしますと、同一企業の中でも基礎研究とか、調査研究から応用研究だとか、開発研究だとか、部署がシフトしてくると思います。そうすると、先ほどの次世代の話もありますけれども、要は端境期があると非常に困難を極めるというか、そこでまたジェネレーションが変わってしまうので、このあたりの接続性についても十分に考えていただきたいなと思います。以上です。
【藤井主査】  回答していただかなくてもいいかなと思います。
 大分時間が過ぎて申し訳ありません。これは一応、審議事項ですが、松岡センター長からもお話があったように、今の枠組みの中でやれることですので特に問題ないかと思います。そういう意味で、この2年間の高度化枠を利用してやった成果の御報告と、それから来年度、これを動かすことに対して反対は特になかったので了承されたものとさせていただきます。
 特に御異論があれば手をお挙げください。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 クラウドは、これ以外にもいろいろな使い方が考えられるので、議論すべきことは山のようにあると思います。動かしていただきながら、皆さんで議論していただければと思っています。
 議論は尽きないところではありますが、足りない点やさらに話がしたいのであれば、メールにて事務局にお寄せいただくようにしてください。御意見を踏まえて、来年度の進め方については事務局でさらに検討を進めさせていただきたいと思います。
 これで一応、審議事項を終わりまして、事務局から何か事務連絡等があれば、それを進めていただいて、閉会にしたいと思います。よろしくお願いします。
 
 
事務局より、次回について年度明けの5月頃の開催を予定していることの連絡を行い、藤井主査により閉会。

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